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2017年3月16日(木)
アベノミクス救世主? 目からウロコの新学説

ゲスト

片山さつき
自由民主党政務調査会長代理 参議院議員
大塚耕平
民進党政務調査会長代理 参議院議員
浜田宏一
内閣官房参与 イェール大学名誉教授
早川英男
富士通総研経済研究所エグゼクティブフェロー

首相ブレーンに問う 『アベノミクス』の成否
秋元キャスター
「アベノミクスの現状について聞いていきます。安倍政権発足から現在までの株価と為替の推移です。安倍政権発足直後から円安株高が進行して、2013年4月の日銀による異次元の金融緩和によって結果としてさらに円安が進み、株価も上昇しました。その後、消費税引き上げの判断で一時、円安・株高の動きが収束するも、2014年10月に、日銀が追加緩和を行ったことで、株価は一時、2万円台の大台に乗せまして、円安も120円台まで進みました。しかし、2015年半ばには中国発の世界同時株安などもありまして、円高・株安が進行しました。2016年1月には日銀がマイナス金利を導入するなど、新たな金融政策を打つも局面を変えられない中、トランプ氏が大統領選に勝利すると経済政策への期待感からドル高・円安になり、株価も1万9000円台まで上昇しています。こうして見ますと、日銀の金融緩和によって、結果として円安・株高を引き起こしたかのようにも見えるわけですけれども、浜田さん、アベノミクスの成果をどう見ていますか?」
浜田氏
「初めの2015年の半ば頃までというのは、うまく物価上昇期待をもたらして、ただの紙を刷るわけですけれど、その紙を皆が使うようになるということを考えた岩田副総裁等のアイデアがうまく働いたと思うんですね。ところが、最近、私が悲観的になっていたのはこのグラフを見ますと、トランプ氏の勝利までの1年なり、半年ぐらいの間は、円がドンドン、かえって金融緩和をしたのにもかかわらず、高くなったと。だから、ゼロ金利の時に国内だけで金融を効かせるわけにいきませんので、為替を通じた働き方がどうもダメになってきている。そういうことで、あとで出てきますような財政の助けも借りなければいけないということを言ってきたのですけれど、どういうわけかトランプ氏が当選をしましてから、円安に今度変わって、その理由はいくつか可能性があるのですけれど、学問的にちゃんと立証されたような形で、はっきりこの理由で、というのはわかっていないわけです」
反町キャスター
「そうすると、トランプ大統領当選後の円安、株高の、その背景になるもの。なぜこうなったのかというのはわからないのですか?」
浜田氏
「いくつかオルタナティブあるわけ、普通に言いますとフレミングの理論という、マネタリズムを国際的に適用したような考え方だと、財政を、主に景気を拡大するとドル高になるということで、それが円安です」
反町キャスター
「それは期待ですよね?まだやっているわけではなくて。これからやるだろうという期待で動いていると、こういう意味ですね?」
浜田氏
「そういうことですね」
反町キャスター
「一方、浜田さんが言われた、2016年の間に進んだ、徐々に徐々に円高になって、株価が徐々に徐々に落ちてきたということ。それは別に金融緩和を日本が引き締めたわけでも何でもなくて、徐々にどちらかと言うと、いろんな知恵を出しながら、いろんなことをやりながら、でも、結局、円は高くなり、株は安くなり。アベノミクスは完全に息詰まった、失敗になったということなるのですか?」
浜田氏
「そう皆さん、おっしゃるのですが、この10年、15年を通じて日本経済というのは大卒の、新卒の人が就職できないような状態だった。それが現在、雇用の面ではうまくいっている。それから、企業収益もドンドン増えているし、税収までも増えている。そういうことを無視して、物価だけ達成できないから、アベノミクスは間違いだということを評論家の方々が、野党の方々が言われても、国民は納得しないのだろうと思うんですね。それは安倍首相の政策が国民に選挙で信頼を受けている、1番大きな理由だと思います」
反町キャスター
「浜田さん、失業率の話をされました。一方、他の数字はないのかと、我々も探して、こういうのが出てきました。GDP(国内総生産)の成長率と、それと物価の上昇率ですけれども、これもこうやって見ると、たとえば、GDPの成長率について目標2.0とする中で、2013年は2.0だけれども、それ以降はこういう状況になっている。物価の上昇率についても目標2.0と言っている中で、2014年だけ超えたけれども、近年はまたデフレに戻ったのではないかというような見方も出ていると」
浜田氏
「物価は、私は古い世代になりますので物価が上がらなくちゃならないと思ったことはないので、物価を上げることによって雇用がプラスになるというこれまでの経験的な関係がありますので、中間目標として物価を2%上げていこう。それはいいことだと思いますけども、それが達成されなかった、原油価格が下がって、そういう他の理由もあって。達成されなくても…」
反町キャスター
「原油が下がったのは昔の話、たとえば、マイナス0.1というのは、原油価格の問題ではないですよね?」
浜田氏
「いや、昨日あたりも下がっていますからね。そこまでは言い切れないのはありますが、確かに」
片山議員
「今年の1月ぐらいからですよ。原油の落ち込みというのは」
反町キャスター
「では、このマイナス0.1というのは、原油価格分の下落分?」
片山議員
「エネルギー価格は関係あったと思います」
浜田氏
「我々の財布が減っていくわけですから、インフレは。インフレがなくて、雇用が確保できるというのは最高の、ベストの状態と、僕の習った経済学ではなってたわけです」
反町キャスター
「そうすると、日本は現在、悪くない?」
浜田氏
「悪くない」
反町キャスター
「ほぼ完全雇用で、物価上昇率もほとんどゼロ」
浜田氏
「はい。ですから、物価は目標のために、これで1~2%あった方が雇用を長期的に確保をしていくためにやりやすいということはありますが、それ以上の意味は物価目標についてはないと。しかし、日本銀行に雇用を確保せよということを言うのを、手段として持っていない。直接には持っていないし、難しいということで、中間目標として、私は考えているんです。リフレ派の人達は違いますけれども。物価目標をつくるというのはいいのですが、満足しないからと言って心配することはないだろう。かえってインフレが起こらないで、実質の雇用が達成されているということは望ましい状態というのがオールドエコノミストとすると感ずる」
反町キャスター
「早川さん、アベノミクス、ここまでの中間と言ったらいいのですか、評価はどうですか?」
早川氏
「僕は、完全に失敗だとは思っていません。一定の成果はあったと思う。ただ、はっきりしていることは、要するに、金融緩和をすることによって、いろんな問題が全部、ほとんど片づくと言っていた人達がいたのだけれども、それはどうもご本尊の浜田先生がそうではないとおっしゃっているわけですから、その考え方は崩れたということだと思います。ご承知のように、安倍首相自身は別に金融緩和の話をされているのではなく、それこそ新三本の矢とか、1億総活躍とか、働き方改革とか、次々と看板を書き換えていって、僕は、実を言うとその目標自身は結構いいところを突いていると思うんですよ。ただ、残念ながら、なかなかちゃんと進めないで、すぐ次の目標へ変えていってしまうからまずいのであって、やるべきことを、しっかり成果を出していかないとなかなか本当の成果が上がってこないし。それから、おっしゃる通り、人口が減って行く中で、1%ぐらい成長すれば、まあまあなんです。ただ、残念ながら、要するに、私達の社会保障とか、そういうものを維持していくためにはもう少し高い成長を実現しないと、それができないので、だからこそ政府は実質2%とか掲げていて、それも大変なことはわかりきっているのだけれども、そうでないと日本の社会保障制度がなかなか維持できないというのが実態なので、その目標対比でみれば、人口が減っている割にはまあまあではないかでは済まないと」
反町キャスター
「早川さん、でも、その2%という経済成長目標の話が出た時に、経済が成長していかないと、日本の将来的な財政の均衡とか、借金も返せないよと。こういう話、僕らはなるほどと思うんです」
早川氏
「そうです」
反町キャスター
「そうですよね。それが現在、皆さんの話を聞いていると、人口減少で、1%上出来だよというものなのですか?」
早川氏
「いや、だから、それではダメでしょと。確かに国際比較で見れば、僕からすれば1%はまあまあの数字だと思いますけれども」
反町キャスター
「それは日本の借金の状況を見なければね」
早川氏
「見なければ、日本の高齢化の問題を考えなければ」
片山議員
「だから、それをもたせるためには2%成長、1%のインフレで、3%が必要ですよ」
早川氏
「では、これでまあまあと言っちゃダメでしょう」
反町キャスター
「ダメですよね。大塚さん、どうですか、現状は?」
大塚議員
「失業率が下がったとか、株価が上がったとか、これは別に悪いことではないので、良いことなので、常日頃申し上げているように一応、そういう意味で成果があったという部分もあります。ただ、政治の目標というのは、あるいは政策の目標というのは、国民を豊かにすることなので、失業率が下がったり、株価が上がったことによって、国民がもし豊かさを感じているとしたら成功です。ところが、そういういくつかの経済指標は、確かに成果を出しているのだけれど、なんとなく国民が豊かさを感じられない、たとえば、個人消費は11か月連続で減っている。うるう年を調整すると17か月連続。実質賃金は4年間で見るとデータ的には下がっているということを考えると、その政策、アベノミクスが中間目標たるいくつかの指標を改善するという意味では成功していると思いますけれど、政治の最終目標である国民を豊かにするという点においては課題が多いと。そのうえで、もう1点だけ申し上げると、政治の役割はうまくいっているところは、失業率が下がったとか、そういうところは別にそう自慢しなくても、誰がやってもそういうことを実現していくのが僕ら、与野党関係なく目標なので、問題はそこに潜んでいる課題があるとすれば、その課題にはちゃんと目を向けなければいけない。たとえば、失業率が下がっていることもひょっとしたら若手が減って、リタイヤ世代が増えているという理由かもしれないし、巷間よく言われますように、非正規雇用が増えて下がっているのかもしれない。だから、所得があまり高くない。最後に申し上げれば、これは浜田先生も、シムズ理論にある部分賛同しておられるわけなのですが、シムズさんは何を言っているかと言うと現在の状況で金融政策は日本においては無効だと言っておられるので、アベノミクス三本の矢の1本目が金融政策だったわけですから、ですから、アベノミクスはバージョン2をこれから考え出さなければいけないと」
反町キャスター
「その話、バージョン2、早川さんも言われたみたいに、アベノミクスというのは目標としてはきちんとしたものを見せているのだけれども、それが最終的に完成をする前に次の目標を設定して、次に舞台をドンドン移しているという趣旨の話ですよね?」
早川氏
「そうですね」
反町キャスター
「これはどうなのですか?」
大塚議員
「それは別に悪いことではないと思います。結局、また片山さんに反論されるかもしれませんが、現在、安倍さんが言っておられる、働き方改革とか、保育とか、介護の問題を何とかしようというのは、それは2009年に我々が主軸に据えていた政策を現在、安倍さんも言ってくれるようになったわけです。これも政党は多少、それは立ち位置とか、考え方とかが違っても目の前にある課題という、この現実は変わりがないわけですよ」
反町キャスター
「それはもしかして安倍さんが、もともと最初のアベノミクスからドンドンずれているけれど、自分のかつての政策に寄ってきたから、評価すると聞こえますよ」
大塚議員
「いやいや、それは、だって、かつての安倍さんであれば、第一次安倍政権の時であれば、働き方改革とか、保育とか、介護ということはおっしゃらなかったわけですが、これが第二次政権になって、この局面でそういうことをおっしゃっているというのは、それ自身は別に私は否定的ではないので。問題は反町さんがおっしゃる通り、それを言うだけでは困るので、是非、実績を上げる。このことについては我々も協力することは全然やぶさかではない」

『トランプノミクス』の影響は?
秋元キャスター
「ここまでのアベノミクスについて皆さんの意見を聞いてきましたが、浜田さん、アメリカのトランプ政権のトランプノミクスと言われるのも気になりますが、日本経済の見通しをどう見ていますか?」
浜田氏
「これは両方関係している問題ですけれども、現在のような技術信奉の状態を考えた時に、経済成長があれば労働者も当然、豊かになると。今まで思っていた経済学が嘘だということがわかったと。ですから、平均の所得というのはすごく伸びて、アメリカは豊かになっているわけですが、ウォールストリートやシリコンバレーにいない人にとって見ると、ほとんどメディアンというのでしょうか、人を並べて真ん中はほとんど上がっていないと。それをうまく汲み上げたのでトランプ氏という人は、本当に酷いことばかりをやっている人ですけれど、要するに、品格の逆みたいなことを全部やっている人と言ってもいい人ですけれども、彼が選挙に勝ったということはただそういうことで、彼の品行を批判するだけでは収まらない。陰にそういう不満なり、経済的な実態があったのだということを特にアメリカ人が理解しないとダメだと思うんですね」
反町キャスター
「たとえば、没落する中産階級というものがあるとすれば、その人達が今回、トランプ政権を支えた、つくった人達だと思うのですけれども、その人達に対する、トランプ政権のテコ入れというのはうまくいくのですか?たぶんそれが日本経済の命運を決めるカードではないのですか?」
浜田氏
「いや、そこまでいく前に、普通に、手段と目標の計算をすれば、ほとんど何もできそうもないですね。トランプ政権がやろうと言っているのは、本当に掛け声だけで、まったく政策の裏づけがないと言ってもいいわけですから。本当にマジックでも起こらない限り、どこかで破綻するかもしれない。それで、先ほど、大塚議員がご説明になった日本でも雇用が増えているけれども、本当に人々が豊かになっていないのではないか。要するに、消費が増えないというのは、人々が豊かになっていないということですから。そこはまったくそうですけれど、皆、同じ状態で、現在のようなIT(情報技術)がドンドン進化している時に、普通の労働者が労働組合に守られてるから必ず賃金が上がっていけると、そういうモデルがアメリカで失敗をして、トランプ政権をつくったし、日本でもうまくいっていないと。そういう意味で、安倍経済政策の輝かしい部分はもちろん、認めていただいたと思いますけれども、そうでない部分があるということはまったく事実だと思うんですね」
反町キャスター
「早川さん、いかがですか?浜田さんの話を聞いていると、アメリカ頼みの日本の成長というのはどうなのか。ほとんど無理だという話に聞こえました。どう感じますか?」
早川氏
「僕は、結論はほとんど浜田先生と同じなのですけれど、少しだけ詳しくご説明すると2点あって、1つは、アメリカはほぼ完全雇用ですけれども、まだ短時間労働者とかが多いですから。ここで大規模な財政出動をすれば、短期的には成長率は上がります。ただし、これはあくまで短期の話であって、そこから持続的な成長にいくかどうかというのは供給サイドの改革ができるかどうか。こう言っては悪いですけれども、アベノミクスは最初、財政出動で成長したけれども、その後、落ちてきてしまったのは、供給サイドの改革が不十分だった。トランプさんの場合、法人減税などは一定の効果があると思いますけれど、一方で、保護主義とかをやっているので、それではとても供給サイドは良くならないので長期の成長は期待できないのではないですかというのが1点。それからもう1点は先ほど、浜田さんが言われた論点と重ねると実はトランプノミクスは法人減税でしょう、富裕層減税でしょう、金融規制緩和でしょう。それは、ウォールストリートは喜びますよねという話ですよ。だから、喜んでいるわけですけれども、しかし、一方、ドル高になるわけですよね。当然、製造業の労働者に1番マイナスになる。金利が上がるわけ。昨日も上げましたけれども。トランプさんの支持者というのは本当の貧困層ではないです。ですから、だいたい借金をして、家を持って、車を持っているような人達なので、金利が上がるのはマイナスですよね。結局のところ、要するに、この政策を進めていくと実は、喜ぶのはウォールストリートであって、1番痛んでしまうのは、トランプさんを大統領に押し上げたラストベルトの労働者であって、ここが最大の矛盾であって。最終的にはラストベルトの労働者達が、我々は裏切られたと思った時に、トランプさんはどうするんだろう。さらに、保護主義に走る以外に手はないのではないかという」
反町キャスター
「トランプさんを支えてきた人達に良い成果をもたらさない時、それが日本経済にどう、その時、我々はアメリカの、その状況を見た時にアメリカの風がフォローになる期待は持てない?」
早川氏
「短期的は先ほど、申し上げたように、成長率が上がりますから、それはいいでしょう。ドル高の反対をやれば円安ですからいいでしょう。だけど、もし彼らの不満が溜まって、トランプさんがそれをなだめるため、さらに保護主義に走るみたいなことになると結局、日本にとってもマイナスになっちゃうという」

アベノミクスの『新学説』
秋元キャスター
「シムズ理論は2011年にノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のクリストファー・シムズ教授が発表した学説で、まず政府が財政規律を一時的に放棄する。つまり、増税はしない、巨額な財政出動や減税を行うとします。そうすると、国民は増税がないので、家計は安心できると、また貯金をしてもお金の価値が下がってしまうので、使った方が得なのではないかと考え、結果、消費が増える。その結果、物価が上昇するという考え方なのですけれども」
浜田氏
「私は、物価上昇は悪いことだと思っていますから」
反町キャスター
「えっ?」
浜田氏
「消費をするために、物価が上がっていいことがあるかもしれません。基本的な目標ではないです。ただ日本銀行に対して消費を上げろとか、国民所得を上げろというのは難しいですから、物価上昇を通じてという手段でしかない」
反町キャスター
「シムズ理論を信じてやってみることが、もしかしたら物価上昇の1つのエンジンになるかもしれないと感じた?」
浜田氏
「物価上昇をもって消費も生産も増えるという状態をつくっていければ、良い物価上昇なわけですね。それをする時に、政府は財政規律をいつも守れと。返さない均衡という、政府は返さなくてもいいのだよという、それを含めて、議論をする体系に広げたわけですね。財務省、何なりは返さなければいけないということで、特に日本の場合、財政規律ということで日本経済の成長を摘んでいたようなところがあるし、現在のヨーロッパ、EU(欧州連合)も同じようなことがあるので、そういうことを、返さないでお金をまわした方がうまくいくという、昔からのケインズ理論のプリミティブな形のことも成り立つようなことも含んでいるのが、シムズの理論ですね。ただ、いろいろなバージョンがありまして、政府ががんじ絡めに均衡を守ると言うと、経済は萎んでしまうと。しかし、守らないとして野放図にやればインフレになります。そのあたりをうまく捉まえなければいけないということで、財務省も日本銀行もあまり望ましくない理論と思っているらしいですけれども、うまく使えば、日本人が、消費が過小になっていたところでは、借金を増やすことによって効果があるという、昔ケインズが言ったのと同じようなものをもう少し一般均衡と言いますけれども、そういうところで示したということなのだろうと思います」
片山議員
「かつてあまりにも借金の額が積み上がっていると将来の増税を予測するから、増税なんて言っていないけれども、どうせ返さなければいけないのでしょうと、家計で考えたらわかるでしょうと。予測するから、それで財布の紐が緩まないと。だから、キチッと見通しを立てて、年金も大丈夫よと。医療も大丈夫よと。サスティナビリティを確立した方がいいという議論が内外ともにあったんですよ。他方、日本の場合は世界に類を見ない、すさまじい財政赤字が既にあるんですね。それは消えるわけではないです。現在目標を立てて、まだ我々は、放棄はしていませんよ、プライマリーバランスは。だけど、その目標だって、他の国から見たら十分に低いですよ。アメリカの議員達と議論していても、何か新しく増やすのだったら、必ず減らさなければいけない。その基準が非常に厳しいと。EUには3%ルールがあると。そこで皆、やっている中では、これは多少効くかもしれないけれども。日本の場合はある意味これをやってしまっているんです。増税も延ばしています。だから、延ばすよと言ったところで、国民が信じる程度の赤字国債の額なのかというと、そうではないでしょう。そうすると、未来へのツケまわしを心配することになってますよね。我々がずっと経済政策に気を使い、数値を見ながらやっているのは、消費は弱くなりがちです、超高齢化があります。将来の社会保障への負担、不安感も強い国ですよ。国に全部任せておけばと思っていないから、貯金をします。自分で生保に入ります。そういう不安をとっていくために、我々は1億総活躍をやったり、構造的な社会政策も一緒にやりながら、需要を補わなければならない。それから、日本の企業ほど内部留保を溜め込んで、投資のチャンスがあるのになかなか投資しない企業文化もないんです。それがたぶんアメリカのエコノミストには理解されないと思うけれども、これだけのボリュームがある中で、それを代替して使った方がいいだろいうという、日本特有の事情もあって、一定の景気刺激をずっとやっているんですよ。それはおそらく我々の財政状態で欧米だったらやらないですよ。だから、ある意味、ここにきている部分があるけれど、では、それで消費が喜んで増えると思うほど日本人もそんなに甘くない」
反町キャスター
「増税はしませんよ、財政再建も当面、視野に入りませんよと言ったことによって、消費が増えるか、増えない?」
片山議員
「それほど大きな効果はないと、この国では」
大塚議員
「シムズさんがおっしゃっていることをいろいろ読んでみると結局はインフレ課税を起こすと言っている、根本として。国の財政の負担が減っていくと、国は財政状況が良くなるから、それで社会保障などもいい方向にいくので、国民の皆さんは気分が楽になって支出をするという組み立てです。ところが、インフレ課税で国民の資産も減るので、 本当にそうかなというのが1点と、社会保障について先々はシムズさんの言うことがあるかもしれないけど、どちらかと言えば、日本は少子高齢化で社会保障は削られるトレンドにあるものですから、国民の皆さんがシムズさんのおっしゃることが腑に落ちなければ、国民の皆さんの財布の紐がしまってしまう可能性がある。私が聞き及んでいる限りでは、このシムズ理論をあちこちに紹介していらっしゃる人物の1人にジョージ・ソロスという人がいるんですよ。私も1980年代後半から1990年代、マーケットの仕事をしていましたので、ジョージ・ソロスはその頃あちらこちらに理論を吹聴して、予測を吹聴して、債権と為替で大儲けしたわけですよ。だから、シムズ理論をソロスさんがあちらこちらに話をしてまわっている、麻生さんのところへも行かれたそうですから、そこに一抹の胡散臭さを感じるというのが率直な印象です」
反町キャスター
「たとえば、2019年の10月に消費税を上げるかどうかという話があります。政策的なことというよりも、政局的な対応で、もしかしたら総理はもう1回先送りするのではないかという議論がくすぶっています。シムズ理論、返さない均衡を根拠に、消費税の引き上げをさらに先送りするというシナリオは現実味があるのですか?」
早川氏
「これはどうなるか、やってみないとわからないタイプの、具体的にやったら、どれだけ物価が上がるかとか、消費が増えるかはほとんど計算できるモデルではないですから、たとえば、それをやってみて、しまった!インフレ率がうんと上がってしまったということになったら、それはそれで日本ぐらい大きな財政赤字を抱えている国となれば、大変だろうと思うし、先ほど、申し上げたように、消費が増えるかどうかもわからないし、失業率はおそらく2%台に入っていく国にあって、そこまでのことをする必要がどこにあるのですかと。ただ単に消費税を上げたくない人に利用されるだけではないですかと」
浜田氏
「そちらの方に本当にいってくれれば、その時から金融引き締めで、財政もドンドン税金をとればいいのですから。だから、今から我慢せよと、今の状態が悪くなることを甘受する必要はないと」

『アベノミクス』 次の一手は
反町キャスター
「今後の方向性として何を目指していくのか?」
早川氏
「シムズ理論は、何兆円も支出を増やせと考えていない。簡単な話として、最近、地方に行くと本当に人がいない、大変だと。その一方で、賃金も上がらない。もちろん、地方ではサービス業の生産性が上がりにくいという問題もあるのだけれども。もう1つ大きいのは、すごく大きな産業である介護みたいなのが、事実上、公定価格になっているんですよね。たとえば、介護で働く人達の賃金を1か月2万円上げたらどうだろうか。東京では厳しいかもしれないけれども、地方だとそれで人が集まるんですよ。いくらかかるかと言うと、僕の計算では4000億円、1年で。それをやった方が本当に介護に人が集まっていいし、賃金が上がるので、デフレ対策で公共事業を何兆円もやるよりも、そちらの方が効果あるのではないかと。計算したら4000億円と出てきて、28兆円の景気対策をやるよりも、こちらの方が本当はデフレ対策になりませんかと」
大塚議員
「8000億円だったら、4万円上げられるでしょう。4万円上げたらすごい景気浮揚ですよ」
早川氏
「そういうお金の使い方がワイズスペンディングであって、何か大風呂敷で28兆円というのがいいとはとても思えないですね」
浜田氏
「今、栄養がうまく取れない子供の層があるということ、お稽古ごとにも通えない、そういう人達は、ある意味では分配の問題ですけれど、別の意味で言うと、将来の成長を担う人的資本がうまくいっていない。そこを十分教育しなくてはいけない。若い人達、日本の成長を担うような人をどう教育するかが重要。ただ、日本を見ていますと、成績がいい人から奨学金を与えようと、そういう学生なんて大学がつまらないと、勉強も楽だと遊んでいるわけですよね。アメリカのように成績が悪くなったら奨学金を止めると。日本の若い人が伸びないのは優遇されていないからではなく、ちゃんと鍛えられていないと。ひもじいところで必死になって学問なり、技術を取得するということが日本人とっても必要なのではないかと」

片山さつき 自由民主党政務調査会長代理の提言 『課題先進国』
片山議員
「国際的な、著名なノーベル賞受賞学者が、浜田参与も含めて、この未曾有の状態に対する理論を探しあぐねているから、いろいろな理論が出てくるんですよ。ただ、我が国は人類初めての課題に直面して、茨の道を初めてかき分けているわけだから、理論なんてないのだから、課題先進国、超高齢化、超少子化の中で成長していこうという課題に取り組むべく、常に微修正しながら、新しい道を行くべきですね」

大塚耕平 民進党政務調査会長代理の提言 『人への投資』
大塚議員
「教育支出の対GDP費が、先進国の中で最下位クラスだとか、相対的貧困率も先進国の中で高い方だとか、いろいろ考えると、片山さんがおっしゃった課題の中でも、人への投資が足りないという、これも大きな課題ですので、ここに財政支出を思い切ってやっていくということをお勧めしたいと思います」

浜田宏一 内閣官房参与の提言 『みかどのかまどよりたみのかまど』
浜田氏
「仁徳天皇ではありませんけれども、政府の財政の収支だけを考えて、政府が富んでも、民間のかまどの火が出ないとダメだと。そういう意味で、民間のかまどにもいくように政策をしてほしいと。それが行き過ぎることもあるわけですね。そうすると、国際収支が赤字になりだすわけですけれど、それは起こっていないわけです」

早川英男 富士通総研経済研究所エグゼクティブフェローの提言 『日本的雇用を変える』
早川氏
「新三本の矢とか、働き方改革というのはかなりいいポイントを突いた標語だと思います。中でも、働き方改革というのは、中核にあると思っているのですけれども、もっと言ってしまうと、ジョブディスクリプションのない、要するに、職務の規定がない、日本の雇用の仕組みというのがいろんな問題の根幹にあるということが多くの人が気づきつつあることなので、働き方改革なのですけれども、さらに言えばこういうことだと思っていて、これをやるのは民間企業を変えていかなければいけないことなのですけれど、政府にもできることがある。たとえば、配偶者控除の問題、こんなに簡単に腰砕けになってはいけない。政府にはできることをやって、民間に日本的雇用を変えるように促していくことが必要だと思います」