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2017年3月10日(金)
朴大統領『罷免』決定 史上初… 韓国の運命は

ゲスト

山本一太
自由民主党参議院議員
黒田勝弘
産経新聞ソウル駐在客員論説委員
李鍾元
早稲田大学大学院教授(韓国学研究所長兼務)

朴大統領の『弾劾』成立 『分断』韓国の命運は
松村キャスター
「韓国の朴大統領について話を聞いていきます。李さん、まずは今回の憲法裁判所の判断、どのように見ましたか?」
李教授
「1つの歴史の大きな節目ですね。私、年で言うと、朴槿恵大統領の1つ下かな。私も同じ朴正煕時代を生き、ある時代ですけれども。憲政史上初めて弾劾ですよね。弾劾というのもよくあることでもなく、そういう意味では、非常に複雑というか、感慨がありますね。たぶん今回の弾劾も、大きな文脈としては、朴槿恵さんの統治のスタイルが若干古いスタイルです、トップダウンで。あまりコミュニケーションがなく、指示だけで、個人の不幸な背景もあって周りを信用しないので、閣僚ともあまり議論をせず、ある意味では、不透明性もある。それで不通政権、通じない政権というキーワードがあったんですね、それに対して社会は。彼女からすると、大統領というのは権限を行使するのだという感覚で、おそらくやったのかもしれないけれども、韓国社会、30年間、だいぶ民主化が進んだというか、新しい30年というと一世代ですから、現在の若い世代というのはおそらく広場にいる人も、民主化以降に生まれた人か、あるいは成人した人が主流なわけですね。そういう人からすると、こういう感覚が合わないとなるので、崔実順氏という存在が出た時に起爆剤となって、大きな爆発になったので、そういう意味で、若干広い文脈で言うと、そういうことを感じますね」
松村キャスター
「黒田さんは、この判断が下された時に、韓国にいたそうですけれども、どう見ていましたか?」
黒田氏
「弾劾自体は、朴槿恵さん、身の処し方に問題があった。李鍾元さんがおっしゃったように。だけど、果たしてクビにする。辞めさせるほどのものかと思っていましたからね。その弾劾決定自体、僕はちょっと個人的には思うんだけれども、だけど、結果的には順当だったと思います。と言うのは、もし弾劾に当たらず棄却というのがあった場合、大騒ぎですよ。僕なんかここに来られなかったと思いますよ」
反町キャスター
「それは空港が混乱してとかですか?」
黒田氏
「というか、要するに、弾劾推進派、集まれば何十万人という連中が、大騒ぎをしますね。既に、事前に野党サイドは、文在寅大統領候補もそうだけれども、棄却されると革命だと言っていましたから。それから、暴動だという声もありましたからね。つまり、自分達の意見が通らないと、暴動だ、革命だと言っていたわけですから。棄却になればね。だけど、やめろと、罷免になったのだから、皆、それに納得をしたわけではないですか。だから、おそらく憲法裁判所の判事達の判断も当然そういうある種の政治的な判断。弾劾にあたらず、朴大統領に引き続きやりなさいとなった場合に、国がちょっと収まらんぞとということで、ある種の不安感、危機感、そういうものがあったのだと思います」
反町キャスター
「黒田さん、今日の判決の中にこういう文言があったんですよ。『きょうの判決で、これ以上の国論の分裂と混乱がなくなることを願っています』。判決の中にこの文言が入っている。これが僕は、良いのか、悪いのか。聞きたいですよ。要するに、たとえば、現在、もし棄却になった場合、朴政権存続という動きになった時に、革命だという野党側の人達がいる。その人達が、要するに、何百万という数をもってソウル市内で何かをやるかもしれないという状況になった時に、その世論の流れ、世情に配慮して、それをこの文言の中に入れてしまうこと。司法というのはこういう機能なのですかという。僕は、ここを聞きたいです」
黒田氏
「世界的にも、憲法裁判所というのはあっちこっちにあるようですけれど、僕の聞いた話で、政治的な判断というのは相当影響があると聞いています。韓国の場合、司法も、いわば世論であるとか、民意であるとか、民心であるとか、純粋法理ではなく、そういう政治的な判断が相当影響する。もともとそういう社会だと僕は思っていますから、韓国が。今回、そういうことがあったと思いますよ」
反町キャスター
「李さん、いかがですか?憲法裁判所が世論を阿るとは僕は言いませんよ。世論を慮るこの方向性というのは、僕はあとで山本さんに聞きますけれども、日本の司法制度にあまり僕は感じたことがなくて」
李教授
「私は、司法学者ではないのだけれど、最高裁、大法院の他に憲法裁判所があるんですね。これはどちらかと言うと、ちょっと専門ではないので、自信があるコメントではないのですが、広い意味で、総合的な意味での政治判断というのは、単なる司法機関ではないわけですね。それはある程度、憲法体制の安定性と継続性、それはある意味では、政治学者の身からすると、広い意味での政治的なことですね。これは、私は憲法裁判所の判事達は、ある意味では、法律家としては保守的で政治的にも保守的な人たちだけれども、国家の継続性、安定性ということをどこかで総合的に判断するから、単なる勇気がなくて、世論にビビッたとされると、少し寂しくなるんですね。つまり、この人達は、身分が保証されているので、別にすぐに免職になるわけでもなく、任期まではですね。これはおそらく私も他の国のシステムをあまり知りませんが、たとえば、アメリカの最高裁が憲法裁判所を兼ねていますけれど、あそこは見事に党派的ですよね。ブッシュとゴアの投票にしろ、非常に党派ラインで追われて、それもアメリカ人は、客観的な司法というのは、どちらかと言うと、日本では優秀な人達、客観的に専門家の手に委ねるという考え方があり、一方では、アメリカ的な民主主義では、たとえば、司法でも陪審があるとか、ある種の民衆が決めるような。もっと大きく言えば民衆主義みたいなところがあるんですね。そこには多数決もあり、これはどちらがいいのかというのは少数の賢者達がやるのがいいのか、あるいは多数決がいいか、それは政治学の長い議論ですが、それはさておいて、韓国は戦後新しい国をつくって、やっと30年前に民主的な憲法をつくってやってきている。そこでこの憲法裁判官達は今回、国論が8対2ぐらいで壊れていく、少なくとも混乱しているので、これが収束することを願うというのは、私はそういう大きな文脈だということだと思います」
山本議員
「韓国における世論の影響力の強さを思い知った。黒田さんがおっしゃったように、結論としては、おそらく妥当なのだと思います。もしこれが棄却になっていたら、それこそ暴動になっていたかもしれないということで、結論としては妥当かもしれませんが、少し前までは五分五分ではないかと思っていた時期があったんです。あらためて9人の裁判官、6年の任期ですよね。このうち9人が8人になって、7人になる前になんとか決着を着けようというのが今回のことですよね。でも、この残った8人の方、結局7人になったんですかね。ほとんどが保守系というか、確かそのうちの3人か4人は李明博政権の時に任命をされていて、そのうち2人は朴槿恵政権で任命され、おそらく、あと3日すれば辞めていたであろう、古参の女性の、最高裁判所所長代行、代理みたいなおそらく大統領がいないから任命できないと思うのですけれども、この方だけが盧武鉉大統領の時に任命された古参の方で、どちらかと言うと皆、保守ですよね。だから、五分五分かなと思っていたのですが、最新の世論調査で、これはギャロップだったか、リアルメーターだったか忘れましたけれども、8割近くの人が弾劾を支持していると。これでほとんど勝負が決まったのかなということで、いろいろの日本の司法制度というか、社会の状況と比べるの簡単ではないのですけれど、韓国における世論とか、あるいはデモ、これが司法の判断をすごく左右すると。この番組でも1度、話題になって反町さんがしきりにおっしゃっていた、あの大規模デモの時に裁判所が、かなりデモ隊に、青瓦台に近づくことを許した。それは世論だなと思ったんですね」
反町キャスター
「裁判所の敷地にまで入ることができたではないですか?」
山本議員
「はい。検察も、お二人はよくご存知だと思うのですけれども、基本的に政権寄りですよね。最後にレームダックになるまでは、基本的に政権寄りなわけではないですか。ですから、とにかく世論の力というのは、ある意味、日本よりずっと影響力があると」
松村キャスター
「今回、憲法裁判所が示した弾劾事由とは何かをこちらにまとめました。公務員の任免権乱用、言論の自由の侵害、セウォル号事故職務放棄、これらは弾劾事由にはあたらないとしています。崔順実被告への機密資料提供と、崔順実被告の利益のための権限を乱用した。これらについては憲法に違反していると認定しています。機密漏えいについてですけど、詳しく見ていきます。2013年から2016年にかけて秘書が崔順実被告に機密資料を提供、崔被告が内容を修正したり、大統領の日程を調整するなど職務活動に関与。崔被告が公職候補者を推薦し、利益を得た。これは国家公務員法秘密厳守の義務に違反したと認めました。李さん、これらの判断、どう見ていますか?」
李教授
「全体の印象としては先ほど、3つぐらい外して、セウォル号とか。職権乱用だけを認めたという。よく見ると争いの余地のある事実とか、曖昧な事実ですね、世界日報というメディアへの関与とか、そこまで争われている。そういうのを全部外しているんですね。外して、どちらかと言うと、機密資料の権限乱用とか、あとこれから裁判でいろいろ争いがあるのだろうけれども。1番証拠がたくさんある、大統領の秘書官の通話記録、崔順実被告との通話記録が全部あるわけですね。それから、経済首席補佐官が真面目な人でしたから、詳細にメモを取って、それが物的証拠で、本人達がそれを認めているので。それが1番、言ってみれば、事実の大枠は確定しやすかった。そこだけをしたというのが、1つポイントかなと。もう1つは、判決文を読むと任期中、持続的に行われたというのが、つまり、これは1回、2回ではなく、構造的に、あるいは恒常的に常態化していたというのが強調されているんですね。それでこれは問題ではないか。それから、もう1つ、私は、より興味を、関心を持ったのはある種の隠ぺい。何か疑惑が出た時に本当は指導者としては、それを、疑惑を晴らす必要があるのに、疑惑が出た時に隠蔽をしたり、あるいは封じ込めようとしたり、あるいは捜査の妨害という言葉を使っていないけれど、関係者を抑え込んだりという表現をしたりしているんです。ウォーターゲートを思い出しました。ニクソンの弾劾までいかなかったのですけれども、盗聴がきっかけだったけれども、より重視をされたのが捜査の妨害と証拠隠滅の件ですね。これは公権力を行使する時に1番やってはいけないことなので、たぶん裁判官達も、それを1番重視した感じがするんです」
反町キャスター
「黒田さん、機密資料提供ならびに捜査妨害。これが、要するに、弾劾に値するという判断だろうという、ここの部分、どう感じになりますか?」
黒田氏
「僕は基本的にちょっと乱暴に言っちゃうと弾劾罷免、先にありですよ。だから、理屈はいくらでもつくのだと思います。基本的に先ほど国の分裂、対立をやめにしようと。象徴的なのだけれども。要するに、このまま朴大統領を辞めさせる、あるいは処罰しない場合は国家的安定に関わるということではないですか。それこそ暴動だ、革命だということですから。だから、あとの弾劾事由ということはそんなに関心ないですよ」
反町キャスター
「弾劾ありきであると」
黒田氏
「そう」
反町キャスター
「この5つのうち、3つではなくて、2つに絞ったというのは?」
黒田氏
「1番、具体的にわかりやすいということではないですか。私的なアドバイザーである友人、女友達に機密と言いますか、公開してはいけない資料を渡した、わかりやすい。国家機密漏えいだとわかりやすい。それから、女友達が財団をつくるというので、それを助けるために財閥を呼んで金を出してやれと言ってやったと。わかりやすいわけですから。これが憲法を壟断して、国家の紊乱につながるのかどうかというのは、疑問ですけれどね。だから、それは後づけの、僕は理由だと思いますね」
反町キャスター
「長期的に、国家の経営というのを考えた時に、世論に迎合とは、僕は言いませんよ。たとえば、世論調査の高い方、高い方に最高裁判所、あるいは憲法裁判所が舵を切っていくことが、100年の計と考えた時に、それは正解となると感じますか?」
山本議員
「それは、私は韓国に住んでいるわけではないですが、日韓関係が大事だと思ってここに来ているわけですけれども、それは韓国の政治全体を考えた時に、長期的には心配なところもあると思うんですね。民主化以降の韓国の大統領、少なくとも誰も途中で罷免されていませんよね。ちゃんと5年間やってきたわけで。こういう形でこういう理由で、もし大統領が罷免されるのであれば、それは将来的に同じようにレームダックの大統領が同じような状況になった時に、世論の7割か8割が何かの疑惑で辞めろというのであれば、たとえば、憲法裁判所は罷免をするのか、あるいは国会で弾劾の決議をとるのかという話になっちゃうので、そこは韓国の政治全体の問題というか、課題というか、話だと思うんですよね」
松村キャスター
「機密漏えいについて話をしましたけれども、崔順実被告の利益のため権限乱用。この件で認定された主な事実をまとめました。朴大統領は、秘書の安鍾範被告に指示して、大企業に資金提供を要請。これによりまず44億円の拠出を受けたミル財団が設立されまして、崔被告の広告会社のプレイグラウンドがここと契約して利益を得ます。一方、26億円の拠出を受けたKスポーツ財団が設立され、崔被告の仲介会社ザ・ブルーKがここと契約して利益を得ます。この他、朴大統領が直接、大企業のトップに要請をして、Kスポーツ財団に6億円が送金されているということですけれども、李さん、この裁判所の認定はどうですか?」
李教授
「私は別に捜査内容を全部読んでいるわけではないので。でも、個々の事実というよりも、少なくとも判決文では、その過程で朴大統領自身が直接、関わったということだけを認定しているんです」
反町キャスター
「大統領の倫理性みたいなのが問われている、そういうことですよね」
李教授
「もちろん、大統領が罷免されるかどうかが争点なので、別にその全体像の事実の完全な解明というのは別途、行われているわけで、裁判の」
反町キャスター
「罪を犯したかどうかではなくて?」
李教授
「ではないです」
反町キャスター
「資質を問うているんですよね?」
李教授
「大統領の職務を続けるべきかどうか、罷免に値するのかどうかを問うので。と言うのは、憲法裁判所は最初から、そういうスタンスですので、そういう面では膨大な割に判決文はさっぱりですよね。さっぱりしていますよね。これは別に個々の事実を全部。これは刑事裁判になれば、引き続き、証拠に照らして検証をしていくのでしょうけれども、ここでの焦点は、朴槿恵大統領自身が財団の設立などに深く関与をした、あるいは基金の拠出に。それだけが一応、安鍾範さんの手帳とかで確認されたというのがポイントですね。あとはこの財団自体が認めれば、大統領は公的な、つまり、国家のためのものということだけれども、事実上は企業が拠出したにも関わらず運営は完全に崔さん周辺が関与したと断定をしていまして、おそらく大統領側はそれに争いをずっとしてきたと思うのですけれども、実際に利益を得ていないとかですね。たぶんそのへんは細かいことは自信ないですけれど、細かく利益を得たかどうかではなく、財団というのが言ってみれば、公的な目的ではなくして私的なものであり、それで私的利益を追求する。そういうものに大統領が権限を行使して、自分の秘書官、補佐官を使って企業に捻出させたというのが権力の乱用である、職権乱用である、そういう筋だと思いますね」
黒田氏
「今回の案件は最後の職権乱用問題もそうなのだけれど、崔順実という女ですよ。これに対する国民の不快感ね。つまり、他の女性、ちゃんとした女性というのはおかしいのですけれども、他の人物だったら、こんなふうにならなかったと思います。朴槿恵大統領がああいう女性に、勝手にやらせたのかと。それを助けようとしたのかとか、そういうことね。それは朴槿恵さんの一種の政治家としての力量の問題ではあるのだけれども、崔順実という女性に対する国民の不快感と怒り、それが影響していると思いますよ。たとえば、今回の、彼女がスポーツ財団を構想して、朴槿恵さんに助けてくれというものでしょう。財閥に話をして金を出させたということになっているのだけれど、こういことはよくあることですけれども。朴槿恵さん自身もそうだし、それから、野党のさる有力者も言っていたのだけれども、要するに、朴槿恵さん、このアイデアは善意だったのではないかと、こう言っていましたから」
反町キャスター
「財団をつくるということですね」
黒田氏
「ところが、そのアイデアは良かったのだけれども、その間に立った、いわば影の人物、崔順実というのがとんでもないやつだと。これに対する国民の感情的な怒りね。これがこうなったと思いますよ」
反町キャスター
「それは、朴さんが大統領になったあと、要するに、周りにあまり人を近づけないで、まさに不通大統領と言われる前も含めて、周りとあまりコミュニケーションをとらないで、ごく少数の人達だけの間で決めていくという、周りに人近づけない政治…」
黒田氏
「それで憲法裁判所の発表の中で言っていましたけれども、要するに、これまで問題があるということを指摘されながら、朴槿恵さん、無視してたということを言っていますよね。無視というのは、なぜかと言うと、実は崔順実という女性を大目に見てあげたということでしょう。それは、たまらない。僕は割と周辺にいる、特におばさん方、女性に聞くと1番、それを言いますね。あの女に朴槿恵さんは騙されたとかね、そういう感情が非常に強いと思いますよ、今回の案件は」
5月? 大統領選の展望
松村キャスター
「次期大統領選挙の主な有力候補の支持率ですが、文候補の支持率が3割を超えまして優位な状況ですが、李さん、このままいきそうですか?」
李教授
「ずっと優位を保っていますね、あと2か月ですけれども、この間に何か変数が出てくるかどうかですけど。彼が強いというよりも他の有力な人がなかなかまとまらないこともありますし、分析をしている人が言っているのは、文さん自身の政策への同意とか、魅力ではなく、政権交代だということです。つまり、保守系の政権に対する失望感という、とりあえず政権交代だと。そこで第1野党に集中すると、だから、安哲秀さんらも1つ党があります、そこが割と政策は中道だったりするけれども、なかなか浮上しないのは、安哲秀さんも一時期は人気があったのですけど、たぶん基本的には政権交代がキーワードなので、有力候補に流れるという、そういう説明が多くて、私もそうかなと思います」
黒田氏
「文在寅さんは終始トップで30%以上ですね。それで最大野党と言いますか。(共に)民主党は3人も候補者がいるわけですよね。それをこれから党内の予備選挙で1人に絞るわけですけれども、3人合わせて50%きていますからね。50%獲れば勝ちですから。(共に)民主党の、特に文在寅さんが最有力だということです。ところが、これまで弾劾政局だったんですよね。弾劾が終わったあとは次の政権、次をどうするか、どういう政治をするか、外交を含めて、そうですけれども、そういう話になるので、もう朴槿恵を持ち出しても票は集まらないということですから、自分達の考え方、イデオロギーを含めて、そういうものがアピールになるわけですから、そうすると、必ずしも文在寅さんで全部、まとまるかというとわからないです。彼は若干、左翼的、左派的、革新的、あるいは対北融合策だということで、保守派には非常に危機感と言いますか、反対論も強いこともあるし、怪しいと見ている人もいる。ところが、問題はそれに対抗する保守派と言いますか、与党を含めてですけれど、保守派の候補がまったくないということです。それで黄教安氏」
反町キャスター
「他にいないのですか?保守派の中に」
黒田氏
「いない。もう1人、野党の国民の党、安哲秀氏という候補、これは過去の政治経験がないですよ。つまり、フレッシュな人。彼が対抗馬として出ると思いますね。彼は前回、文在寅さんに譲ったんですよ。同じ党にいながら。今回は絶対に自分は降りない、最後まで出ると言っていますからね。この安哲秀候補に保守派が乗っかる。ある種の保革連合候補的なものになる可能性はありますね」
反町キャスター
「朴大統領がやった政策をある程度、踏襲する?」
黒田氏
「朴さんがやったことは踏襲できない。そうしたら票が集まらないですからね。たとえば、対米関係とか、安定志向の改革、中道改革、これが安哲秀氏の主張なので、そこには保守は乗っかりやすいということですね」
山本議員
「韓国の政治はダイナミックで。盧武鉉大統領が当選するとは誰も思わなかった、あの選挙。大本命がいたんですよね。大本命がいる中で民主党の予備選挙をやって、ダークホースだった盧武鉉さんが登場して。韓国の大統領選挙はアメリカの大統領選挙より予測できないと思っていたので、これで万が一、弾劾が否決されれば12月なので、そこまで波乱があったのかもしれませんが、現在の段階で5月に大統領選挙があるということになると、2人がおっしゃるように文在寅さんが有利だと思うんです。安哲秀さん中心に、中道左派なのか、中道右派なのか、いわゆるセヌリ党から分裂した正しい政党と、自由韓国党ですか、そこらへんの主な人達が集まったと言っても、どうシミュレーションしても文在寅さんの方が強いですよね。文在寅さんについて言うと、ずっと主要候補者の発言をここのところフォローしているんです。だんだん現実的にはなってきている。ただし、文在寅さんが最近、言い始めたのは、ツートラックアプローチということを先月から言い始めていて、日本に対して歴史認識の問題は厳しいと。おそらく文在寅大統領のもとでは慰安婦問題はまったく進まないと思うのですが、ただ外交、安全保障、経済、ここらへんはちょっと別に考えようと言い始めている。もしどうしても進歩系の大統領に登場が不可避ならば、安熙正忠清南道知事がいいと思っているんですね。と言うのは、安熙正さんも、文在寅さんもアメリカとのTHAAD、これは約束を覆せないだろうと言っていると。文在寅さんはとにかく日韓のGSOMIA(軍事情報包括保護協定)には反対です。これは軍事大国の道を進む日本とGSOMIAを結ぶのはどうかと言っている。ところが、安熙正さんは昨今、GSOMIAも覆せないと言い始めて、安熙正さんは一時、1か月前ぐらいに(支持率が)20%を超えた。それからちょっと落ちた。いろいろなことを言う人がいるのですけれど、これも2、3週間前の発言で、朴槿恵大統領と李明博大統領がやろうとしたことは良かったのではないかと。そういう気持ちはあったけれど、法を遵守できなかったという言い方をして、それで反発を受けたかもしれませんが、この人もすごい人生を送っていて、高校を2回中退して、高麗大学に行って、途中で捕まって、また、盧武鉉大統領のチームに行って、また捕まって、みたいな人なのですが、だけれども、昨日までの発言を見てきたのですけれども、安熙正さんの方が文在寅さんよりもいいと思っていまして、もし進歩系の大統領ができるのであれば世代交代ということでなんとか文在寅さんをかわしてほしいなと個人的にはそういう願望を持っています」
『慰安婦の行方』と日韓
松村キャスター
「李さん、日本に対する国内世論はどうなっていくと考えますか?」
李教授
「現在、全般的に慰安婦合意はいろいろな経緯があって人気がないわけですね。批判が高くて。そうすると、選挙の季節になると政治家は批判的スタンス。でも、しかし、人によって、いざ政権を獲ると現実的にならざるを得ない。若干含蓄をもたせたり。文在寅さんもツートラックとか、そう言わざるを得ないと思うんです。たぶん日本へのスタンスは現在のいろんな発言なり、正直、突き詰めるとある種の国内選挙を意識したものがあるので」
反町キャスター
「当選したあとにひっくり返しても問題はないのですか?」
李教授
「違うスタンスをとるというのは以前もありましたし、朴槿恵さんも最初は相当、日本に厳しい姿勢だったけれど、あとで変わったりですね、ということもあるので。もう1つ考えるべきは共に民主党が有力ではあるけれども、どの人が当選されても国会では少数派なわけです。必然的にある種の、連立までいかなくても、協力を得なければいけないので。もう1つの野党でかろうじて過半数を獲るけれども、重要法案とかを考えると3分の2を考えざるを得ない。そうすると、与党から分離した党とか、あるいは韓国党を含めて、やらざるを得ないです。(共に)民主党の第2候補も大連立というものを言って、評価は割れましたけれども。そういう面もあると思うんですよ。現在言っていることと、いざ政権の座に着くともう少し現実的に内外政策を考えざるを得ないと」
黒田氏
「我々は政治家、大統領候補の発言に一喜一憂するわけですけれども、一般の人は別に慰安婦問題に関心があるわけではなくて、もういい加減にしたいというのが国民の大方ですけれども、ただ、政治的に利用するという、メディアを刺激し、メディアがそれに乗っかるということで大きな問題になるのですけれども。現在、アメリカはトランプ氏に変わったでしょう。隣の日本は安倍政権で堂々たる外交をしているということで、存在感が非常に大きく映っているわけですよね。現在、韓国は非常に外交的孤立感、ある種、不安感がありますね、外交的には。日本は足元を見るわけではないのだけれど、良い環境にあって、特に安倍さんは慰安婦問題の合意もそうだけれども、国際世論を味方につけているというのが大きいのではないか。国際的にはこうなのだよと、韓国の次のリーダーに教えてあげる、圧力をかける。国際圧力で反日を封じ込めると。これまで安倍バッシングで韓国のメディアは大変だったけれども、最近は、安倍バッシングは少し後退しまして、すごいということですよ、トランプ氏まで引き込んでしまったということで。だから、日本を甘く見てはいかんという雰囲気でありますし、日本と現在は喧嘩できないという雰囲気。当然、次期の候補達にも影響しますよ。僕は楽観しています」
山本議員
「新しい大統領、たとえば、進歩系の大統領になった場合、文在寅さんか、安熙正さんかはわかりませんが、慰安婦問題はなかなか大変だと思います。歴史認識の問題も大変だと思います。ただ現在は大使を一時帰国させていますね。かつてメドベージェフ大統領が日本の領土である北方領土に行った時は、3日間ぐらい大使を一時帰国させ、そのあと李明博大統領が竹島に上陸した時は確か13日か、14日か、2週間弱だったですよね。今度はかなり長くなっている。これをどうするかは大変なのですが、私は別に政権の人間ではないので、個人的な意見を言うと、次の大統領が誕生するまではなかなか戻せないのだろうと。日本の世論も支持しているので戻せないだろうと。たとえば、文在寅さんが(大統領に)なった場合、慰安婦問題をいっぺんにこれまでの思想的背景とか、権力基盤から考えてできないにしても、たとえば、日本が軍事大国化するという文言は変えてもらうと。たとえば、安哲秀さんが、GSOMIAをやらざるを得ないと言っているのを、文在寅さんはキチッとGSOMIAをやると言ってもらう。さらに日米韓の連携についても、朴槿恵大統領が中国に引っ張られていた。もっと言うならば、李明博大統領の竹島の時から、悪化していた日韓関係が日米に、中国から離れてきたわけだから、そういう形で、日米韓でやっていくというスタンスを示してもらった時に戻せばいい。キーワードは韓国国内で、慰安婦問題で何を困っているかと言うと明らかにスワップ協定です。韓国の有識者はあまりそのことを言わない。これは本当に大事ですね。韓国がスワップ協定を結んでいる国で大きいところはなくて、中国です。おそらく6割、7割が中国で、なおかつ10月の確か下旬に切れる。ここが問題なのですけれども、中国は韓国にTHAADの件ですごくプレッシャーをかけていて、いろいろやっているんですよ。場合によっては、10月下旬にスワップ協定をもし中国が切ったら、現在、韓国の経済は安定していますから、財務の格付けも高いし、経常収支も黒字だから、資金が逃げるようなことはなくても、万が一起こった時に、中国とのスワップ協定がないと丸裸です。だから、最大限、日本は韓国のためにやっているのだから、これもしっかり。文在寅さんがツートラックアプローチと言っているのは、スワップ協定を意識していると思っているので、そこも使いながら少なくともGSOMIAとか、そういうところをキチッとやってもらった時に戻せばいいのだと思います。そのぐらいはキチッと交渉した方がいいと思います」
李鍾元 早稲田大学大学院教授の提言 『超党派』
李教授
「短く言うと超党派という言葉を使いました。対日外交において難しい課題ではあるのですが、研究者的用語かもしれませんけれども、この慰安婦合意にしても、THAADにしても、GSOMIAにしても、朴槿恵大統領、李明博政権の末期からいろいろ苦労をしていたわけです。合意に踏み込んだのはいいのだけれど、より韓国でも批判を高まらせたりしている理由は、野党とか、国民とスキンシップをとらなかった。力で押し切ったような、そういう面もなきにしもあらずで、特に慰安婦合意、外交の問題について、日本と韓国と両方で、特に韓国の場合、外交案件についてもう少し与野党が相談しながらというか、そういう協議を今回は特に求めたいという気持ちで書かせてもらいました」
黒田勝弘 産経新聞ソウル駐在客員論説委員の提言『引っ越せないから活用法を考えろ!!』
黒田氏
「韓国は地理的に日本とは引っ越せない間なのだから、好きだ、嫌いだ、別れろと言ったって別れきれないので存在は認めざるを得ない。しかも、韓国は5000万人の人口で、経済力は相当だし、文化水準も高いし、だから、利用価値があると思いますね。日本にとって。基本的には昔から安保上の価値、大陸勢力の防波堤という意味がありましたけれど。経済は最近のJETRO(日本貿易振興機構」の現地調査だと、日本企業が1番儲かっている国は韓国ですよ。最近の調査によると。韓国に進出企業の80%以上が黒字と言われていますよ。アジアでナンバー1ですよ。だから、結局、経済的価値もある。しんどい相手だけれども、うまく活用、利用しなければいかんというのが持論です」
山本一太 自由民主党参議院議員の提言 『戦略的思考』
山本議員
「韓国はとても大事なパートナーだと思います、日本にとって。最大の貿易相手国の中国が大事なのもわかるのですけれども、北朝鮮があらたな脅威の段階に入っていると思えば、キチッと日米韓が協力していく、これが国益だと。感情を超えて、日本も韓国も日韓がキチッと連携を強めていくことがお互いの国益だという、冷静な戦略的思考を持つべきだと思います」