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2017年3月8日(水)
櫻井よしこVS飯島勲 北朝鮮の脅威と日米韓

ゲスト

櫻井よしこ
ジャーナリスト 国家基本問題研究所理事長
飯島勲
内閣官房参与(特命担当) 松本歯科大学特命教授

櫻井よしこ×飯島勲 北朝鮮ミサイルに日本は
秋元キャスター
「3月6日に北朝鮮の東倉郷(トンチャンリ)から弾道ミサイル4発が同時に発射され、およそ1000km飛行して秋田県男鹿半島の西300kmから350kmの海上に落下しました。そのうち3発は日本の排他的経済水域に落下したということです。発射されたミサイルですが、準中距離弾道ミサイル・スカッドの改良型ではないかと見られています。このミサイル発射について朝鮮中央通信は7日、在日米軍攻撃を担当する部隊による訓練で、訓練が核弾頭部の取り扱い手順などを確認する目的で実施されたと報じています。今月1日から日韓合同軍事演習なども始まっていますけれど、櫻井さん、北朝鮮のミサイル発射の狙いは何だと見ていますか?」
櫻井氏
「金日成の時代から、彼らにとって最大の脅威というのは、在日米軍基地ですね。朝鮮戦争の時も米軍は日本から行ったわけでしょう。38度線を越えて、釜山の方まで来た北朝鮮がそれによってドンドン押し上げられたわけですよね。だから、彼らが朝鮮戦争で決定的に勝てなかったのは、在日米軍基地のせいだというのが金日成時代からあって。だから、この在日米軍基地が機能しないように、日本から米軍が朝鮮半島に行けないようにするということが、彼らの大きな戦略なんですね、何十年も。今回、在日米軍基地の攻撃を担当する部隊による訓練だと、事実上、在日米軍基地が目標ですよ、狙いですよと言っているわけでしょう。そこはそのような意味があるんですね。とすると、私達はこれをどういうふうにしたらいいか。つまり、在日米軍基地がきちんと機能するように、もしくは北朝鮮には言葉で言ってもダメなわけですから、もちろん、外交も残しておかなければいけませんが、日本としては、そのような攻撃を防ぐことができる体制というものを考えていかなければいけないと思いますね。そのために現在、安倍首相は敵基地攻撃の話をしていらっしゃるわけですから、そこまで踏み込んできちんと見ていくことが大事だと思っています」
飯島氏
「過去において北朝鮮は、アメリカを攻撃する時は瞬時に、同時に、日本の厚木や何かの米軍基地を核で攻撃するというのでずっときたけれども、表立って報道ではっきり言葉を出したのは今回が初めてということ。韓国や日本の悪口は言っていないですね。どういうことかと言ったら、いわゆる朝鮮戦争は今日現在も休戦中ですから、韓半島の安全保障の、統帥権はアメリカの司令官が持っているということ。だから、アメリカに対して徹底的に言うのは当たり前。ただ水爆実験の時も思ったのですが、五十数年前になりますが中国が原爆実験をやった。日本共産党は、あの時フランスの実験も同時にやったので、フランスはけしからんと、中国の原爆実験は正しいみたいに、都議選の前だから慌ててということが過去にあった。その時、中国外交部の報道官の発信は、アメリカ帝国主義の言うことは聞かないと。だから、原爆の実験をやって力を持つみたいなことを言っていると。五十数年前の発言と現在の北朝鮮の発言は同じかなと」
櫻井氏
「金正恩氏は、中国がいったい何を考えているかをすごく気にしているわけですよね。それはなぜかと言うと、金正男さんが殺されましたね。彼が殺されたのは、中国が彼を立てて、金正恩政権を交代させると、そこに張成沢さんとか、いろんな人が関わっていたということを、彼はいろいろ分析させて、そういう結論に達するんですよ。それが2015年のことなのですけれども、その時から中国への猜疑心、敵対心を持つわけですね。そのレポートの中で、正恩氏は中国と韓国は計算には入れないと。無視してしまっていいのだと。中国が金正男政権をつくろうとするならば、上海と北京に核を撃ち込むと言っているんですよ。それは内部の話。もう1つは、核弾頭と潜水艦発射の弾道ミサイルを完成させて、アメリカを恐怖心に陥らせて、その時に、初めて自分達はアメリカと交渉をするのだと。相手はアメリカなのだという、これは金正日時代からの枠組みですね。だから、この中で中国とか、日本とか、韓国のことがあまり出てこないのはそういうことがある。もう1つは、日本に対しては安倍政権の悪口は言っていないですよ。ずっとそうです。拉致問題などでもいろいろ言いますけれども、彼の発言を調べてみると、安倍政権を名指しで批判することはないですね。朴槿恵さんのことはいろいろと言っていますけど、安倍首相に対しては何も言わない。日本との関係を交渉できるようにしておいて、そこから1兆円を取りたいと思っているんですね。お父さんの時代、小泉政権の時に訪朝し、拉致被害者を取り返して、その時に金正日の宮廷詩人と言われた人でも脱北して、ネットワークをつくって世界中に情報を発信している金正日の側近だった人が、小泉元首相が来たあとに日本から1兆円取れるから、それでどうやって経済を立て直すか計画を立てろと言うので皆、一生懸命にやった。飯島さんは否定なさると思いますけれども、とにかく金正恩氏は俺が日本から取ってやるという気持ちでいるという情報がありますね。だから日本との絆を切ってしまえば、私達にとっては拉致被害者のことが本当に心配、向こうにしてみれば、取れるはずのお金が取れなくなるという考えもあるのだろうと思いますね」
反町キャスター
「国交正常化交渉、拉致の交渉というのは現在がチャンスなのですか?」
櫻井氏
「チャンスというほどの可能性があるのかどうかは冷静に見なければいけないと思うのですけれど、拉致被害者のご家族の皆さん方がこの前、声明を出しましたでしょう。 日本は北朝鮮に対して国際社会と同じ制裁をしています、そのうえにもっと厳しい制裁を日本独自で積み上げていますと。日本独自の厳しい制裁を解除してほしいと。これは国民の多くの方がびっくりしたと思いますよ。もっと強く制裁してほしいとおっしゃるかと思えば、その反対を言ったわけですから。でも、ご家族の皆さんは本当に考えていて、どうやったら家族を取り戻すことができるか、眠れぬ想いで研究をしていて、現在、北朝鮮が追い詰められているから、だからチャンスなのではないかと。国際社会との同じ制裁は解除できないけれど、日本独自のものは解除できますよと。それで考えてください、ということを考えているから、その意味では、希望が現在あるかもしれないと見ているんですね」

韓国大統領選と半島情勢
反町キャスター
「櫻井さんはどうすべきだと考えますか?」
櫻井氏
「私は、具体的にどういった制裁があるか、たとえば、北朝鮮の松茸を輸入していないですよ。でも、実質的に北朝鮮の松茸は中国産と偽装されて入ってきているんです。ですから、こういったことを公に認めるというか。私は、ご家族の皆さんのご意見をよくお伺いしていますけれども、横田めぐみちゃんがさらわれて40年、13歳の少女が53歳になっていると。ここで日本は他のどの国よりも先に出て拉致問題解決のためにやらなければいけないと思うんですね。ただし国際社会の一員ですから、国際社会が決めた制裁の枠組みはきちんと守りますと。たとえば、1兆円がほしいと彼らが思っているのですけれども、あなたがこんなことをするのでは到底払えませんよと。ただし、日本独自の制裁である松茸を買うとか、そのようなことはできることをしますよと。できることとできないことをきちんと相手に伝え、過剰な期待を持たせないで、しかし、あなたが拉致被害者を帰してくれれば、国際社会の印象も変わりますよ、生きる道はそこしかないですよということを説得するために、ご家族の皆さん方の死ぬような思いで出したこの声に、耳を傾けていいと思います」
飯島氏
「ごもっとも。ただ、1日でも早く政府が動くべきと。調査結果を聞いて、交渉をすべきという理由は何かと言うと、現在、韓国を見ますと大統領選挙がある。大統領選で昨年の11月から、ダントツの35%以上支持されている文在寅前共に民主党代表、盧泰愚の時の大統領秘書で、盧泰愚と言えば南北改善で積極的に行動した人物、つまり、現在と違うんです。2000年6月15日の金大中の南北共同宣言、そのあとの彼が大統領秘書時代の2007年10月4日の共同宣言、南北の対話が相当進む時にこういう大統領が誕生する。日本が置いていかれる。トランプ自身も米朝会談をやろうとしていると。両方に遅れてしまえばおしまい。家族会が全面解除してでも早く解決してくださいと言うのだから、調査結果があると過去に何回も言っているのだから、北朝鮮を信じて資料をもらって、意に反した結果だったら、ドンドン政治的な外交をやるべきだと」
櫻井氏
「1つ大事なことを強調したいのですけれども、北朝鮮なんて信じられないですよ。でたらめですから、北が出してくる調査で、ほとんど全員死んでいましたと。これを受け入れません、全員を帰してくださいという前提で言って、亡くなっている人がいるなら、何年何月どういう理由で、どこでどのように亡くなったのですかと。めぐみちゃんの遺骨とされたものが偽ものだったわけでしょう。こんなことを2度と日本政府は許さないと。こちら側の決意ですね。遺族の気持ちを踏みにじってはいけないということをきちんと政策として、戦略として、向こうにわかるように、友情を込めて、脅しも込めて」

北朝鮮の脅威と米中韓
秋元キャスター
「中国の王毅外相が北朝鮮を非難した上で米韓の合同軍事演習の停止を提案して双方に自制を求めたわけですが、北朝鮮に対する姿勢をどう見ていますか?」
櫻井氏
「朝鮮半島をこういうふうにしておきたいという中国の希望です。米韓の合同軍事演習をやめなさいと。アメリカは朝鮮半島に対する軍事的コミットメントをドンドン減らしなさいと。本当はいない方がいいですよということですね。本当に中国が北朝鮮の核とかミサイルを阻止しようと思ったら、何十年も前にできているんですね。中国が実質的に北朝鮮の経済を支えている面があるわけですから、彼らがそこのところで本気で制裁していれば、北朝鮮はここまでこなかったと思います。中国にとって大事なことは自分達の言うことを聞く北朝鮮がほしいわけですね。金正恩に対する怒りというのは、核開発に対する怒りもあるでしょうけれども、何と言っても中国の意見を全然聞かないという怒りがあるわけですよね。その代わりに金正男氏を据えれば、自分達がコントロールできるというものがあるわけですから、中国は身勝手な大国だと思いました」
飯島氏
「金正日の時に北京に行ったんですね、常任委員長として。北京に行ったら石炭を50年ぐらい権利をあげると言って、調印して、その代わりに北京政府は平壌まで高速道路をつくるとなって喜んで帰ってきたら、軍と検討した結果、そんなものをつくってもらうと中国軍が北朝鮮に来たら、たった2時間で国境から平壌まで来られると。急遽、破棄して終わったことがあるんです。中国も利己的な状態があるわけで、THAAD(最新鋭ミサイル防衛システム)を米韓軍事訓練で2か月近くなると実射訓練をやるわけです。あのTHAADを韓国の中でいくつか場所を決めてあるわけだけれども、その1つをロッテの所有地に設置するということに。ロッテは政府の言うことに協力したわけです。ロッテは中国で徹底的に叩かれ、かつ観光客から何から全部締めつけられ、これはとんでもないことをやっていると言わざるを得ないですね。ロシアやモンゴルの方はその点、是々非々でいくとプーチン氏は地政学的に軍事的に精査して考えると言っていたけれど、考えた結果、今もっても何も喋っていない。その点、中国はあからさまに、植民地主義ではないけれども、従属的な状態で従えみたいな発言というのはとんでもないと思いますね」
櫻井氏
「中国が考えていることは韓国の人や北朝鮮の国民のことではなくて、中国にとっていかに都合のよい朝鮮半島をつくるか。それは中国が南シナ海でやっていることとまったく同じことだと。21世紀の中華思想を彼らがやろうとしているわけですよ」

中国『過去最大の国防費』
秋元キャスター
「中国は国防費を大幅に増額するとしています。中国財務省が発表した予算案で、2017年度の国防費は前年度実績から7%増の1兆0444億元。日本円にすると、およそ17.2兆円ということですね。中国の国防費が1兆元を超えたのは初めてのことだということですけれども、この軍備の増強を続ける中国の今後の戦略をどう見ていますか?」
櫻井氏
「中国の軍事戦略って、あっぱれだと私は思います。褒めたくはないですけれど、これだけ長期戦略に基づいて、ほとんどぶれることなく、国民がどんなに困っていても予算をガッと軍事の方にまわして、とにかくやっていくというのは中国の軍事戦略というのは、陸だけではなくて、海も、空も、宇宙も、深い海も、全地球を取り込むわけですよね。これをずっとやっていけば、本当2020年、2030年、中国に敵う国はなくなるかもしれないという地平にうまくいけば、彼らはいくんですよ。だから、そのためのこの予算ですね。もちろん、トランプさんが6兆円もの軍事予算を、日本の国防費よりはるかに多いものを追加で増やしたわけですね。それに対抗するという意味もありましょうし、中国の経済成長を考えれば、これだけのものを軍事に費やす余裕があるかと思いますけど、そんなことお構いなく、とにかく軍事大国として。なぜなら国家の基盤はまず軍事にあるというのが、彼らが信じていることだからですね」
飯島氏
「中国から見たら当たり前で、革命軍が軍として現在残っている国は北朝鮮と中国だけ。だから、軍事政権と同じです、共産党というのは。こういう中で、対GDP(国内総生産)、この1兆円を超す防衛費はどのぐらいか。日本の場合は対GDP2%いっていないのかな。」
反町キャスター
「1%いっていないですよ」
飯島氏
「そうでしょう。こういう状態の中で北朝鮮ミサイル4発、さらには中国がこういう状態であるというのは大変なことです。4発撃たれたら、THAADを日本も買わざるを得ない。THAADの射程距離は40kmキロから150kmですよ。これでは北朝鮮の攻撃に太刀打ちできない。ただアメリカのペンタゴンにありがたいと思うのは、ミサイルだけではなくて、海洋進出に対し、いわゆる静かな海作戦で、中国海軍の船を捕捉して、いつでもミサイルで撃沈できる体制、プログラムを組んでいるはずです。」
秋元キャスター
「南シナ海は現在このような状況です。既にパラセル諸島に地対空ミサイルを配備していることはわかっていますが、最新の衛星写真で南シナ海のスプラトリー諸島に造成した人工島、スビ礁とファイアリクロス礁とミスチーフ礁に長距離地対空ミサイル用と見られる構造物を建造中であることが、新たにわかりました。このように中国は着々と軍事化を進めているわけですけど、王毅外相は記者会見でその言及もしています。南シナ海は落ち着いていると。波風を立てるものがいれば、周辺の国々と連携して、それをボイコットすると話をしていましたが、建設だけして現在落ち着いていると言われても」
櫻井氏
「こういう言い方を笑止千万と言うんですよ。これまでどれだけ東南アジアの国々が話し合いをしましょうと。私達と一緒のテーブルについてくださいと何年も言っている。それを中国がしなかったと。これは、1対1の関係ですよ、と言って合同会議に出ようともしなかった。出ても本当に言葉だけで、何も行動に反映させなかったです。でも、現在、アメリカがオバマ政権の時に何もしなかったこともあってほとんど全ての基地、軍事施設ができちゃったわけですよ。これはどうやって変えるかというよりも、現状が変えられてしまったわけです。変えた現状の中で会議をやってこれから行動規範をつくりましょうと。皆、これでいいですねと。小さな国は認めざるを得ないわけでしょう。しかも、トランプ政権がこれから南シナ海でどうするかはわかりません。トランプさんも本当に言葉と行動がどうなるかわからない面がたくさんありますので、アメリカはわからないけれども、アメリカの注意というものが中東に向かっていって、IS(イスラム国)に向かっている時に二正面作戦で南シナ海まで手がまわるのか。東シナ海まで手がまわるのかと言ったら、多くの人はまわらないだろうと考えますよね。中国はその足元をちゃんと読んでいるわけで、しかも、自分達がいろんな地対空ミサイルとか、地対地ミサイルとか、全部揃えてしまって、さあ、どうだ、これは誰も壊せないだろうというところで、我々、話し合いをしてとてもいい雰囲気になりましたというのは、本当に笑止千万ですね」
飯島氏
「トランプ自身がどういう方向か。中国政策をどうするのかを決めていないです、実際、だいたい公務員は皆クビですから。閣僚やらが決まっても、だいたいどうですか、半年ぐらい、8か月かかるでしょう、官僚の体制をつくるのに。その前にトランプさんはこうだと細かいことを打ち出さないと思う」
櫻井氏
「それと同時に、重要なファクターはアメリカがどう動くかですけれども、アメリカと中国の関係が本当にどうなるかというのが、表の動きと裏の動きが全然違うんです。だから、この表と裏。表の中でも、ホワイトハウスの中での対中強硬派と親中派のせめぎ合いというのがあって本当にトランプ政権の対中政策がどうなるかというのが見えにくい中で、私達は、アメリカが世界の秩序を全部守ってくれるとか、軍事費を10%も増やしてくれたのだから、私達のために何かしてくれるだろうというところに、楽観論を持ってはいけないのだろうと思います。もちろん、そうしてもらいたいと思いますけれど、楽観論を持てるほどの確信は、まだアメリカは私達に与えていないと思いますね」

米国『国防費増額』の狙い
秋元キャスター
「ここからはトランプ政権の安全保障、外交政策が世界に与える影響等を聞いていきたいと思うのですけれども、議会演説でトランプ大統領は、『私は軍を再建するために、国防費の強制削減を廃し、米国の歴史上最も大規模な増額を求める予算案を議会に送る』と発言をしました。その増額幅ですけれども、前年度比で10%増の540億ドル、日本円にしますとおよそ6兆円と言われていて、これによってアメリカの国防費は6030億ドル、日本円にしておよそ68兆円に達すると見られています」
反町キャスター
「警察官はやりません。NATO(北大西洋条約機構)も、要するに、既に古い組織ですと、それは訂正をしましたけれども。それぞれの米軍が駐留している国は、応分の負担をやりなさい。それが同盟国としてのルールではないかと言ってきた大統領が、10%、6兆円の増額。この言葉に矛盾はないのですか?」
櫻井氏
「トランプさんの言葉って矛盾だらけですけど、トランプさんは強いアメリカをつくりたいわけ。メイク・アメリカ・グレイト・アゲインというのは、経済的な繁栄とともに他に並ぶべくものもない超大国という意味がありますから。その意味では、これは彼の主旨にはあっているのではないですか」
反町キャスター
「飯島さん、アメリカの防衛費10%増額の方針をどう感じていますか?」
飯島氏
「世界情勢がドタバタしていますから、そういう意味でこのぐらいはおかしくはないのではないかなと。ただ、心配なのは安全保障だけで語るのではなく、まだトランプさんの場合というのは経済と安全保障という調和のビジョンがまったく見えてこない中でこれだけ突出しているというのは、すぐにああだこうだとは言えないですね。少し様子を見なければいけない。大統領令を発行したのは、1月20日までの準備委員会で公約したのはやらなければいけない。閣僚も決まっていいない、公務員も決まっていない。私の知り合いのリチャード・H・バッカー氏が公約の大統領用の原案をつくったんです。と言うのは、彼はホワイトハウスで大手の企業の重役にいっちゃったのだけれど、これから具体的な各論をやっていくのだけれど、ことごとく見えて来ないものだから、そういう中でこれだけ突出しているというのは、ある意味では、どう理解をしたらいいのか。まだ不明ですね」
反町キャスター
「アメリカの国防戦略の柱というのはアジアなのか、中東7か国、ヨーロッパなのか、どこなのかという話」
飯島氏
「これははっきり言えるのは、湾岸、中東、現在すごくぎくしゃくしているんです。それに対してトランプ氏、あまり興味がないような感じ。だから、湾岸、中東に対する、いわゆる期待値。これはロシア、中国が中心になって、EU(欧州連合)、アメリカ、日本はまったく、湾岸中東の各国から見たら期待値はそんなにない状況。つまり、トランプさんはアジア中心で現在、物事をみていると、私は見ていますね」
反町キャスター
「いかがですか?トランプさんの世界戦略、国防戦略ですけれど、どこに重心を置いて動いているのか?」
櫻井氏
「重心と言っても、ご本人の頭の中でおそらく整理されていないのだと思います。たとえば、イランとの合意を破棄すると言うでしょう。これはロシアとイランはすごく近いですね。ロシアとはもしかしたら新しい同盟関係とか、関係をつくるというところまで言っていますね。ここがおかしくなりますね。イランとの関係を破棄したら、サウジアラビアなどは喜ぶと思います。だけども、サウジアラビアと取り立てて何か交渉をするという気配もないですよね。イスラエルに非常に肩入れしている。それは娘婿のクシュナーさんがユダヤの方、イスラエルのお金もクシュナーさんの会社にたくさん入っているわけです。イスラエルの大きな銀行からものすごい投資がされていると聞きます。イスラエルに加担するということが、しかも大使館を動かすとか、これはアラブの国々を敵にしますよね。だから、彼の中東政策1つとってみても、非常にわからない部分がある。アジア政策をとってもアジアに対してどのような政策をとるのかということがなかなか見えてこない。なぜならば、米中関係をどう見るのかと。たとえば、バノンさんは首席戦略官、ホワイトハウスで1番強い権限を与えられたと言います。この人は対中強硬派ですよね。ピーター・ナヴァロさん、通商代表部。中国との経済をやる窓口の代表、この人もすごく反中ですね。このような人達がいるかと思えば、クシュナーさんはトランプさんが大統領に当選したのが11月8日ですけど、その10日後に中国の呉さん、大富豪です、共産党政権とも近くて、この人と、中国が買ったホテル、モルトフホテルで会食をしているんですね。その1週間後にクシュナーさんのお父さんが同じ人物のグループとランチを食べているんですね。中国マネーによってクシュナービジネスというのはすごく助けられてきた。それこそ何十億円というお金が入っていると言われているんです。クシュナーさんというのはトランプタワーの隣に立派なホテルをつくったけれども、このホテルの建設にも中国マネーが入っていると言われていて、中国マネーとイスラエルマネーがすごくクシュナーさんのビジネスに入っているんです。それよりもおもしろいのは、中国の旧正月、国慶節を祝う会にイヴァンカさんがご自分のアラベラちゃんという5つの女の子を連れて行って、アラベラちゃんは小さい時から中国語を学んでいるんですよ。すごく美しい北京語を、マンダリンのアクセントで中国の歌を歌って、拍手喝采で、イヴァンカさんはご自分のFacebookに載せて全然隠そうとしていないですね。これが2月1日です。この頃にトランプさんが何を言っていたかというと、一つの中国になぜ我々が縛られなければいけないのかとか、中国は為替操作をしているではないかということをもう1回言った時です。表の発言と裏で、トランプさんは家族をとても大事にしていますよね、この家族がしていることが正反対なんです。トランプさんがどちらに引っ張られるのか、家族が考える方にいくのか、それともホワイトハウスの方にいくのか、これがよく見えてこない。だから、本当に彼のアジア政策がどうなるかというのはわからない。もちろん、日本に対してはマティスさんも、ティラーソンさんも非常に言いことを言ってくれましたよね。日米安保条約は非常に大事だと。基地を置かせてくださってありがとうと。100%日本を支持すると。トランプさんも安倍首相に対して100%支持すると日本の後ろに立って言っていましたね。そのような言葉を私達は安心材料として持っていますけれども、実際にこれがどうなるのかはわからない」

米露の距離と日本の軸足
秋元キャスター
「今後の米露関係はどうなると見ていますか?」
櫻井氏
「トランプ氏がどうしてプーチン氏に融和的なのかということは、アメリカのメディアでは毎日論じられています。何か弱みを握られている可能性があると、はっきり言う人達も少なくないです。それはさておいて、トランプさんがロシアに言葉の上で本当にロシアに融和的、中国に対してはそうではなかったということは、論理矛盾ですね。2つとも同じような国ですから、独裁国で、自由もない、民主主義もない、灰色の国ですから。にもかかわらず、両方に違う政策を持っているのは矛盾ですね。で、アメリカとロシアがこれからうまくいくのかと言うと、うまくいかないです。クリミア半島の問題にしても重要な問題になればなるほど、立場が違うのですから。アメリカは大統領が強い権限を持っていますけれど、議会というものもあって、トランプさんは共和党の大統領。共和党の対ロシア観というのは非常に厳しいです。だから、トランプさんがオールマイティで独裁者でもない限り、トランプさんが考えているようなロシアに対する融和政策というのはなかなかとりにくいと。同時に、安倍首相はプーチン大統領を惹きつけておいて、中国に対する構えをつくりたいと言うことですけれど。中国とロシアの関係も簡単に離すことはできないと思います。なんと言っても中国は経済的に大きな国ですし、あの両国はすごく長い国境線を接していて、お互い心の中で1番嫌いあっていても、地政学から見るとロシアが中国から離れて、こちら側に寄ってくるということはないかと」
反町キャスター
「米中露の中で安倍首相はどういう役割を果たせば日本の国益になる?」
櫻井氏
「安倍首相は重要な役割を担っていて、他の総理大臣ではおそらくできないことをしてきたわけですね。プーチン氏と良い関係を結んだ。だけど、良い関係というのは、個人的に良い関係であるのでしょうけれども、日本の国益ということから考えると、例えば北方領土やシベリア開発から言うと、日本が何を得たのかということは疑問に思わなければいけないようなところがあるわけですから、なかなか手強いけれども。でも、安倍首相の存在感というのはあるわけですから。トランプ大統領に対してだって、これから米中関係がどうなるかという中で日本は本当にどういう立ち位置をとったらいいのかということは難しいわけですけれど。でも、トランプ氏からは絶大な信頼を得ているように見える。世界が安倍首相のいる日本を無視できない。なんと言っても日本は第3の経済大国です。これまで経済大国であっても、これほど日本が注目されて重視されたことはないですね。政治的なリーダーシップがこの経済力に加わって、初めて日本の存在意義というものがあるわけで、ようやく私達がここにきた。あと私達がやらなければいけないのは軍事的な力をきちんとここでつける。これは憲法改正ですよ。憲法改正であると同時に、GDPにおけるパーセンテージ、NATOに対して2%を求めていて、NATOの国々はアメリカと共に戦うんです。韓国もアメリカと共に戦う。日本は1%で、アメリカと共には戦う意思があってもいろいろな制約があってできないと。ここのところを直していかないと、きちんとした立ち位置を、いくら安倍首相が優れたリーダーであるとしても、これはなかなかとりにくいと思っています」

飯島勲 内閣官房参与の提言 『安倍流リバランス』
飯島氏
「要するに、課題の安全保障と経済をどうやって安倍流でやっていくか。そういうことを考えると、為替とか、TPPの問題が中心になる。日本の場合だと、円安、株高を願わざるを得ない。ところが、為替とTPPの関係でいくと、トランプさんはドル安、円高を願ってくる。安全保障と経済をどうやって絡めて、着地させるのかが1番大事。安倍流でがんばってほしい、というのが私の期待値です」

ジャーナリスト 櫻井よしこ氏の提言 『地政学の重要性』
櫻井氏
「先ほどからアメリカ、ロシア、中国、中東、日本というように2国間関係だけで考えていてはダメですね。地球全体を見て、どことどう引っ張り合うのか、押し合うのかということを全体像で考えないと、日本の生きる道は保証されないということです」