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2017年3月3日(金)
石原慎太郎氏会見詳報 ▽ AIとカメラの未来

ゲスト

鈴木哲夫
政治ジャーナリスト(前半)
寺西信一
静岡大学特任教授 兵庫県立大学特任教授(後半)
松尾豊
東京大学大学院特任准教授(後半)
小宮山宏
三菱総合研究所理事長(後半)

前半

石原元知事×小池都知事会見 豊洲問題の経緯と責任
反町キャスター
「自身の責任について石原元都知事は『都庁全体が専門家も含めて検討し、しかも、議会が了として決裁したわけですから、私は裁可せざるを得なかった』と」
鈴木氏
「行政としては当然、そうですよね。仕組みとしては、たとえば、この分野だけでなくてたって、それはトップが、知事が何でもかんでも全ての分野で詳しいわけがない、とても細かいところまではいかない。専門部局があって、そこが一生懸命に議論をして、報告を上げてくる。最終的にはヒアリングしながら、決定していく。議会は議会で当然、二元代表制ですから、豊洲について徹底的にやった。ここも了承した。おっしゃっている通り、皆で決めて、これがベストだと思って私は裁可したと。しかし、裁可したトップの責任ですよ。だから皆で決めたけれども、最終責任はトップである知事にあるわけですね」
反町キャスター
「その印象をどのように感じましたか?自分の責任を認めた形になっているのか?いや、俺はハンコを押したよ、押したけれどねと。どちらに重心があった会見だったのですか?」
鈴木氏
「たぶん私だけではないと思いますが、俺は悪くないと、皆で決めたのに、なぜ俺だけという。だから、印象として、本当に全て俺が責任を引き受ける、いろいろあったのだけれども。もちろん、自分が最高責任者で、責任があるんだよと真摯におっしゃっているとはどうしても受け取れない印象でしたよね」
反町キャスター
「それは任せっ切りで、そんな小さなことにとてもかまけていられないと、この話が小さいかということを考えた時に石原都政というのはいったい何をやった都政なのかと、そこが問われる話ですよね。どう感じますか?そこの部分は」
鈴木氏
「長かったのですけれど、後半は石原元都知事が何日都庁に通っているかという問題ではなく大きいこと、つまり、東京から国を変えるのだ、そういうことが表に出てくる。要するに、都政のいろんなことについてはそれぞれに任せるぞと。全体的にはそういう体質だった。石原元都知事は君臨していましたから、メディアを含めて、かなり気を使ってきたと思いますよ、正直言って。だから、そういう意味では、何となく見過ごしてきたところもある。それから、これは舛添問題からずっと継続していますけれど、東京都はお金持ちですから、これが本当に財政が厳しいような自治体であれば、それは知事が先頭に立って必死にお金のことから考えなければいけないけれども、非常に税収も豊かな、唯一の自治体と言っていいぐらいですから。そういう意味では、何となく行政の緩慢さというのですか、そういうものが都庁全体にあると。そういう空気だったというのはわかります。そういう中で全て起きているんですよ。そういう環境だから、あらゆる問題が起きている。考えてみれば全部そう。オリンピックだって、何だって、全部そうですね」

豊洲問題は行政全体の責任
反町キャスター
「土壌汚染対策費負担額の、東京都:約800億円と東京ガス:約78億円の関係、何が問題なっていると理解したらいいのか。」
鈴木氏
「要するに、この豊洲の問題は段階があるのだけど、2001年前後にまさに浜渦副知事が交渉をやっていた頃に、東京ガスはこの土地を売りたくないと。他のことがやりたいからと。だけど、ここしかないから、ここがほしいという交渉があった。その中でいろんな約束事をやって、交渉を、まさに水面下でまとめたのが、浜渦元副知事。その時に、汚染しているというのはわかっていたから、もともといろんなことがあった土地だから。だから、汚染は全部、東京ガス自身がきれいにして、それで渡してくれと。その代わりに、たとえば、東京ガスの土地周辺の護岸工事とか、そういうものは東京都がやるから、みたいな条件をお互いに交わして売買にこぎ着けたわけです。その時の条件というのはきれいな土地にして売ってくれよと。きれいな土地にする分、そのお金をそちらで持ってくれよ、東京ガスで持ってくれと。これがどこまで続いているかという話ですね」
反町キャスター
「浜渦元副知事は、そういう合意を東京ガスとやったという話になっているんですね?本人の気持ちとしては」
鈴木氏
「そうです」
反町キャスター
「そういう東京ガスと都の間の合意があったにもかかわらず、最終的な土壌汚染対策費で東京都が800億円を負担した。これはおかしいだろうと、」
鈴木氏
「浜渦元副知事がやったのは第1段階ですね。その後にちゃんと東京ガスもやった。やって、はい、これできれいにしました、ではいよいよ契約だねと言った、その前後に4万3000倍のベンゼンが出てきた。どうするのだと。また安全対策でやらなければ。そのお金をどこが出すのというところからどうも話がよくわからなくなっているんですよ」
反町キャスター
「そこのところで言っている瑕疵担保という言葉が泳いでいる中で、新たに出てきた部分については、売却以降に出てきた分については、それは都が負担するというのがあったのか。ないしは売却したあとに出てきたものについては都が責任をとってとなっていたのか。ここがわからないですよ。どういうことになっているのですか?」
鈴木氏
「それがわからないですよ。それである人は、実は浜渦元副知事が2001年の時に要するに、合意していたのではないかと。永遠に、とにかく出てくる可能性があるわけだから、そこから先は1回出してくれれば、あとは都がやる、みたいなことをやっていたのではないかという人もいる。浜渦元副知事は否定していますよ」
反町キャスター
「でも、今日の石原元都知事の話からだと、そうではなく、『浜渦元副知事の後継者で豊洲移転の実際の契約を結んだ人物がいる。転職せずに、いきなり東京ガスの執行役員に転出していて、都庁の中でもちょっと評判になった。』とこの人は誰かというのが、石原元都知事も名前を挙げていました前川現練馬区長。この人が、要するに、先ほど言われた、あとから出てきた危険物、土壌汚染については、都がちゃんと都の金でやりますよと、浜渦元副知事の責任でやったのか、この人がやったのか、ここですよね?」
鈴木氏
「そこです。前川さんがキーパーソンになるわけです。つまり、浜渦元副知事のあとをやった人と。ただ、他の人がそのあとをやっているかもしれない」
反町キャスター
「石原元都知事がこの名前を出すというのはどういう狙いが?」
鈴木氏
「実は石原元都知事は、マスコミが玄関で囲んでいる時に、俺は喋るよ、俺が喋ったら困る人がいるだろうなと言った。困る人とは誰だろうと。その瞬間から取材したので。その中の1人が実は前川さんではないかと。なぜかと言うと、前川さんというのは浜渦元副知事がそのあとを任せたとか。それから、これは噂で、実際そうではないと言っていますけれど、小池都知事と割と近いとか。この人がキーパーソンになっちゃうと、小池都知事が意見を言えなくなっちゃうとかね。そんなことで前川現練馬区長の名前が挙がっていたと。ただ、現実的に見ていくと、彼がどのポジションにいたか。それから、東京ガスに俗に言う天下りで行っていたこと。この人が知らないはずはないではないかという、客観的に見ればそうですね。この人から話を聞くというのは、これは石原元都知事の狙いは別としても、絶対必要なことではあったんですよね」

混迷の責任は『小池都知事』
反町キャスター
「小池都知事が現在、移転しないことに対する責任問題があるのではないかという石原元都知事の発言。どんな地下水があろうと、現在の建物で創業することに危険はないこということを専門家が保証しているのに、ランニングコストや業者への補償を含め、莫大な金が税金から支出されている。この責任は小池知事にある。石原元都知事はこの部分で、小池都知事に対して、やっていない、なぜ移転しないのだというところを問題提起している。どうですか?ここの部分は」
鈴木氏
「石原元都知事が言っていることは、立場として、ある意味、筋は通っているのかもしれません。つまり、彼が言っているのは裁可する知事が、トップの責任を持って決める、これが大事なのではないかという。現在は決めるべきではないか。でも、それは逆もある。たとえば、移転しないで白紙にすると。これを総合的に責任を持って小池都知事が決めたなら、それはそれで知事の決断ということになります。だから、石原元都知事は、自分の論を認めろというのであれば、小池都知事側の論もきちんと認めなければいけない。だから、そのへんが一方的な文句の言い合いのような、そんなふうな気がします。小池都知事も少しおとなしめですけれども。そのへんにはカチンときている感じのコメントですよね。この問題というのは、たとえば、石原元都知事、現在まさにこのことで言っていたのだけれど、安心と安全、ごっちゃにしていると言っていましたけれど、でも、小池都知事の言っていることをもうちょっと聞けば、安心と安全を分けてずっとやってきたんですよね。安心ではなくて、安全を第一に考える。つまり、科学的なデータ。これを見てOKかどうかを考えたいと言ってきた。このデータがぐちゃぐちゃになっちゃったわけです、科学的なデータでとんでもないのが出ちゃったものだから、これまでゼロなのに、いきなり出ちゃった。これは、要するに、科学的なというものも皆が信用できなくなっちゃった。つまり、安心と安全がごちゃごちゃになってきちゃった。だから、これは小池都知事も分けていないということよりもいっぱい出てきちゃったわけです。そこに信頼という問題、私は思いますが、盛り土というのはすごく大事だと思っていて、あれが1番の、東京都政は信用できるのというきっかけになっちゃいましたね。だから、こういうことからすると安全と安心というのは、おそらく世論も含めごちゃごちゃになっているから、これをどうほぐしていくかとうのはもう1回事実関係をしっかり確認するんですよ。それはまさに百条委員会ですよ。今日の会見はいいけれども、会見というのは主催する人が一方的に演出をして喋るわけ。ある程度、時間がきたら、はい、もう質問はありませんねと。つまり、喋る人のペースでやれるわけ。百条委員会は違います。質問をする議員さん達がドンドン質問をしていく。だから、私は百条委員会に、石原元都知事も含めて出て、事実関係をまずはっきりさせる。都民もそこを1番知りたいと思うんですね。そのうえで、さあ、どうしましょうという2段階。それを早急にやる。これしかないと思うんですよね」
反町キャスター
「そのプロセスは政治的な手続きがすごく時間がかかりそうな気もするのですが、急げば何とかなるのか。要するに、何が言いたいのかというと、7月の都議選に向けて政争の具になっていますか、いませんか、ここですよ」
鈴木氏
「いや、なっているでしょう」
反町キャスター
「これを、この豊洲の移転問題を政争の具にして得をするのは誰ですか。小池都知事のところの選挙陣営チームではないですか、と思った時、では現在の騒ぎというものをフェアな目で見るべきなのか。政争の具として利用している部分があるのではないかという、いわば政治的な、そういう歪んだ見方もありますよと」
鈴木氏
「あると思いますね。だから、大事なのはスピーディだと。たとえば、3月、今度、休日、土日、休日を使って、百条委員会で皆を呼びますね。石原元都知事も呼ぶ予定だし、それから、浜渦元副知事も呼ぶ、東ガスの関係者も呼ぶ。現在は予算議会で、本当はこれだけでも大変ですよね。ところが、それで日程がない。では、土日を使おうではないか。昨日ちょっとある百条委員会のメンバーの都議と夜に会いましたけれど、段ボール36箱の資料を、百条委員会に向けて用意された、それをとにかく今から見るんですと。段ボール36箱でしょう。それでも無理してでも土日にやっていこうと思ったらできるではないですか。それなら急げばできます。だから、呼ぶ人というのはかなり限られていて、人数はいるにしても、この人とこの人と決まっているわけだから、決定に関わった人とか。だから、それをざっとランダムに皆、呼んでやっていけばいいではないですか。それをまたいちいちこの人を呼ぶと政治的にどうだ、こうだとか。そんなことは言わずに。そういうふうにやれば、そんなに7月までズルズルではなくて、もうちょっとスピーディにある程度の事実のところまでいけると気がします」
反町キャスター
「そうなると、百条委員会というのは断続的にずっと続いていく?」
鈴木氏
「もちろん。4月とかにやっていけば何とかなるのではないですか。だって、この忙しい時でもここまで詰め込んだのだから。もう一息ではないですか、がんばりも。だから、そうやって、むしろそれを小池都知事も良しとすると。スピーディにやってください、私は選挙には絡みたくない、その前にきっちり判断したいと言ってくれればいいかなと」

後半

エリザベス女王工学賞受賞 『イメージセンサー』とは?
松村キャスター
「エリザベス女王工学賞ですがこの賞はどういった賞なのでしょうか?」
小宮山氏
「いわゆる科学というのはノーベル賞が非常に有名ですよね。ただ、科学だけではなく、社会を良くしていくのが工学だと、そういう国際的なエンジニアの人達のそういう想いに数年前から、ノーベル賞に負けない賞をつくろうとノーベル賞より上の賞をつくったというのがこの賞です。3つありまして、1つは賞金がノーベル賞よりも高い。こちらは1億6000万。それから、ノーベル賞は1年に5件出るでしょう。だけど、ここは1件。絞っている。それでノーベルは私人ではないですか。こちらは大英帝国の女王で、バッキンガム宮殿で寺西さんは女王から賞をいただくんですね。なかなか、そうは言っても、ノーベル賞はノーベル賞でアレなのですが、そういう想いで工学の人々がつくった賞です」
松村キャスター
「寺西さん、日本人として初めて、受賞となったわけですけれど、その知らせを聞いた時はどうでしたか?」
寺西特任教授
「いくつかの想いはありましたけれども、率直に嬉しいという、誇らしいという、技術者として40年近くイメージセンサーをつくってきて、それがいろんな人に認められるというのは非常に嬉しいという想いがありました。同時に世の中には重要な技術というのが山のようにあって、その中からイメージセンサーが選ばれたのはラッキー。と言うのは、見えない技術の方がたくさんあるわけです。我々が知らないで使っている技術、そういう人に比べたらすごくラッキーな想いをしたと思っています」
松村キャスター
「この受賞理由が、イメージセンサーの開発でデジタル画像の質を大幅に向上させた、ということなのですが、このイメージセンサーとはレンズから入ってくる光を電気信号に変える半導体で、私達が普段、使用しているデジカメ、スマートフォン、ビデオカメラなどの民生用カメラから、放送用のカメラ、監視カメラ、胃カメラなどの医療分野、さらに事務機など様々な分野の機器に使われているんですね。具体的にどこを改良されたのでしょうか?」
寺西特任教授
「イメージセンサーの性能を、飛躍的に上げることに成功したということです。その結果、画質が良くなり、暗いところでも絵が撮れるとか、そういう性能の向上が、さらに画素数を増やして、デジカメですと何万画素と言いますよね、それをドンドン上げていくことに成功したという。それで、誰もがどこでもいつでも写真とか、画像が撮れる、そうなったところが1番大きいと思っています。たとえば、従来のイメージセンサーでは残像があります。これはメトロノームの上に白い紙を貼って、こういう尾を引いて、画が蕩けるようだった。それをなくしましたと。それから、従来の埋め込みフォトダイオードを使ったものです。人形の顎のところとかを見てもらうと、埋め込みダイオードを使うとツルッとして、人形もかわいく見える。これは扱える電子量が増えると、暗いところから明るいところまで画が撮れるようになる。特に青空というのが非常に光量が多くて、なかなか従来ですと画処理で白くしてしまうんですね。色が変になっちゃうと。それがこちらの写真にように青が撮れるようになった。そういういくつか良いことがありまして、これまでのフィルムであるとか、撮像管ではなくて、CCDがまず使われるようになって、次にイメージセンサーが使えるようになったという。結果ドンドン安くなり、小さくなり、いろんなところで使っていただけるようになったと」
反町キャスター
「一般の民生品にも導入されているのですか?」
寺西特任教授
「そうです。2年ぐらいで40億のイメージセンサーが発売されたのですが、そのほぼ全てで使われているんです」
小宮山氏
「カメラとか医療用のものとか、写真が出ましたが、ほとんどに使われている」
反町キャスター
「今回、寺西さんが発明された技術というのは、他のところからも似たようなものが出ているのですか?」
寺西特任教授
「特許は20年しか持たないです。1980年に発明して、2000年切れているんです。ですから、どなたでも使える」
反町キャスター
「そこはオープンに技術上なっているのですね。技術的に特許のところは。20年前の発明というものが今回評価されたということになるわけですか?この部分というのは、まさに現在の電化製品やら何やらに全部あてはまる?」
小宮山氏
「そうです。CCDとか、シーモス、あまり一般になじみのない言葉が出てきましたけれども、何に代わっても寺西さんの技術、埋め込み型フォトダイオードというのですが、これだけは全部に使われている、これがないとできないの」
反町キャスター
「胃カメラだとか、デジカメとか、スマホ以外、そこから先、どういう?」
小宮山氏
「ともかく現在、既に売り出された、最近ですけれど、売り出された早いものは1秒間に1000枚撮れるんですよ。1秒間に1000枚、960枚だったかな。それから、七色の、赤の外には赤外というのがあるんですよ。それも見えちゃうわけですよ、同時に」
反町キャスター
「人間の目よりはるかに良い?」
小宮山氏
「ダイナミックレンジに、要するに明るいところに暗いものがあっても見えるか。人間の目は合わせちゃうじゃない。暗いと瞳孔が閉じて、それが両方とも見えるとか、これまで見えなかった赤外線とか、紫外線も見える。現在X線も見えるように研究している。本当にこうなると人間の目をはるかに凌駕する新しい目ができるということですよ」
反町キャスター
「それはどういうメリットが出てくるのですか?」
小宮山氏
「だから、たとえば、これまで測定ができなかったトンネルのどこが崩落するかとか、というようなものだって見えちゃうわけですよ。ドローンに付ければ、人間が入っていけないような。この間、アスクルの火事が3日間も続いて、人間は怖くて入れません。だけど、ドローンに目が付いて、しかも、赤外線も見え、それから、火も見えると。良い目ができるわけですから。いろんなことに使えるようになりますよね」
反町キャスター
「AI(人工知能)をずっと進められてくる中、こういう良い目ができることによるAIのさらなる使い勝手の良さのイメージはどんなものがあるのですか?」
松尾特任准教授
「見えると現在おっしゃっていますけれど、実はこれは見えていなくて、カメラで撮ってもカメラは写ったものが見えているわけではないですよ。写った信号を処理しているだけで、この写ったものの中に何があるか、何が写っているのかを認識することはできないですよね、カメラは。この機能を使うと、カメラに写っているものが何かというのを認識させることはできるんです」
寺西特任教授
「初歩的なAIかもしれませんが、現在のデジカメも、スマホでも、これは風景だとか、これは人が写っている、逆光だとかの認識、それはこの初歩的なAIがカメラに組み込まれているからですよ」
反町キャスター
「そういうものとの組み合せによって、さらなる広がりが出てくると?たとえば、危機管理上の目的とか、そういう方面に伸びていくと見たらいいのですか?」
松尾特任准教授
「そういうのもあります。たとえば、防犯カメラ、監視カメラで不審者を見つけるというのがこれまで自動ではできなかったですね。人間が後ろで見ていないといけなかったです。ところが、ディープラーニングと呼ばれるこの人工知能を使うとカメラが不審者を見つけられるようになるんです」

ディープラーニング『画像認識』
松村キャスター
「ディープラーニングでできることとして松尾さん、3つのことを挙げています、画像認識、運動の習熟、言語の意味の理解ということですけれども」
松尾特任准教授
「画像に写っているものが何かを見分けるというのは、コンピューターでは長年すごく難しいことだったんです。たとえば、写真があった時に、写真の中に猫がいます。猫がいるのは人間はすぐにわかりますよね。だけれども、これはコンピューターにとっては難しくて、なぜかと言うと、猫というのを構成している点、点を足し合わせていって、全体で猫だというのを認識しないといけないからですね」
反町キャスター
「点、点というのは、いわゆる画素とか、そういう意味ですか?」
松尾特任准教授
「そうです。まさに先生のカメラによって得られた画素の情報を組み合わせて、これは猫だ、犬だというのを認識しています」
反町キャスター
「コンピューターもそれをやろうということなのですか?」
松尾特任准教授
「コンピューターもそれをやりたかったのですが長年できなかったです」
反町キャスター
「でも、僕ら、犬か猫という時、静止画ではなくて、動きで判断する時もありますよね。これはどういうことなのですか?」
松尾特任准教授
「動きで判断する場合もあります。動きの方が問題としては、やや、難しい。静止画の写真をみれば人間はわかりますよね。これですらコンピューターにはわからなかったが、このディープラーニングという技術によってできるようになってきたんですね。これまでの機械というのは全部目が見えていない機械です。それを人間が操作をするか、あるいは一定の動作をしてもうまくいくように人間が環境を上手に作っていたんです。ところが、そのアプローチでできないのが、たとえば、農業とか、建設とか、調理で、こういったものは目を使って作業をしないと機械化、自動化できないです。なので、人手が足りなくて困るわけです。たとえば、農作業でトマト収穫ロボットはないですね。それが今後できるようになる。これまでない理由はトマトが見えなかったんです。トマトがどこにあるか見えなったから、それが機械化できなかったのだけれども、今後はトマトがどこにあるかが見えるようになりますのでトマト収穫ロボットもできるし、適か、適らいとも言いますけれど、こういうのもやるロボットも出てきますし、選果場で選果をするロボットが出てきます」
反町キャスター
「それは色も含めて、硬さとか、間引きする、ないしこれは食べられるものかどうかというのは、たとえば、トマトにしても、色とか、触ってみて柔らかさとか、そういうものを全部含めての総合判断ですよね?」
松尾特任准教授
「おっしゃる通りですけれども、8割方が目です。人間の場合は感覚情報の中で五感がありますけれども、8割方が目で、あと音もありますし、食感も含まれますし、匂い、味もありますが、目というのが非常に重要なセンサーなので、その処理が難しかったからこれまで活用できなかったのが現在できるようになってきた。寺西先生がつくられたイメージセンサーの部分は、人間で言うと網膜にあたるんです。人間も網膜だけで見ているわけではなくて、脳の後ろの方にある視覚野という部分が連合して動くことによって目が見えているんです。この視覚野部分が、ディープラーニングにあたるということです」
反町キャスター
「ディープラーニングが1つの学習過程だとすると、コンピューターやAIが自ら学習して按配や加減というものを学ぶということになったとすれば、新しい技術を開発するとかではなくて、勝手に勉強してくださいと。自分達で勉強していって、人間が要求する以上の精度や技術やカテゴリーが出てくる、こういう理解でよろしいですか?」
松尾准教授
「何をやるかと言うことを明示的に命令すれば、それを上手にやるようにはなります。勝手に何かを見つけ出してやろうという意思を持ってやるということは、基本ないです。それは人間と違うので。人間は生物ですから、生きようという意思があるわけですけれども、コンピューターは生物ではないので、そういう意思はない。ただ、人間が目的を与えると、それに対して上手にやるということができますので、たとえば、トマトを収穫せよと言うと、非常に上手にトマトを収穫するようにはなります」
反町キャスター
「たとえば、ディープラーニング機能を持っているAIに対して、お前は生き残れ、という指令を残した場合、どうなるのですか?他者を排除してでも生き残れという指示を残した場合」
松尾准教授
「その場合は、生き残ろうとすると思います。でも、おそらく失敗します。そんなに簡単なものではなくて、生き残ろうとするAIが現れても、人間が電源を切ろうとしますよね。人間や生物がこれだけしぶとく生き残ろうとするのは長い長い進化の過程の中で何度も絶滅の危機を乗り越えて現在に至っているので自分を守ろうとか、種を守ろう、仲間を助けようというのは強いですね。こういうプロセスを経ずに、生き残れと命令しただけで、そんなに簡単に生き残れるわけがないということです」

『激変未来』&日本の対応策
松村キャスター
「AIの発達は、雇用を奪うことにつながってしまうのですか?」
松尾准教授
「そういう面もあると思いますけれども、いろんな作業を自動化できる可能性があるんですね。自動化するような機械、ロボットを日本がつくることができれば世界中の生産を担うことになりますので、それは雇用がすごく増えると思います」
小宮山氏
「もう1つの面は、これまでできなかったことができるようになるんですよ。たとえば、急斜面では木なんて切れない。だけど、目ができれば人間が切らなくても、機械が切る。目と機械が相乗的に新しいものになっていくと思うんです。だから、見えていることがわかれば、ケーブルに機械がついていて、見て、細いやつを切るということができるわけで、これはこれまでできなかったことができることになって全体のGDP(国内総生産)という言い方をしてもいいですけれども、それを増やすわけですよ」
反町キャスター
「どういった仕事が増えるイメージですか?」
小宮山氏
「たとえば、陸送は人が足りないですよね。ああいうのを誰がやるのか、1人の人間が10倍できるようになるわけですよ、目がある機械ができれば」
反町キャスター
「人口減少社会においてAI+イメージセンサーというのは働いている人にとっての脅威にはならない?」
小宮山氏
「ならないようにすることができる。むしろできなかったことができて、若い労働者が足りないところを補って、なおかつこれまでできなかったような急斜面もできるようになる」
反町キャスター
「監視社会とは言いませんけれども、中央政府が我々の行動を全て把握する、非常に安全な社会かもしれないけれども、近未来的な話はどうですか?」
小宮山氏
「それはありますよ。人間がどう使うかです。ポジティブな話はたくさんある。ほとんどの人がポジティブな話をしないで、ネガティブな話でとまってしまうでしょう。そうではなくて、ポジティブなところを進んでいって、ネガティブなところをどうやって押えるか、議論をするべきだと思います」
松尾特任准教授
「その通りだと思います。既に顔認証というのはかなり進んできていて、テンセントという世界時価総額4位会社がありまして、そこは今年の年末に新社屋をつくるのですけれども、その新社屋はオフィスのセキュリティカードはなし、顔を登録しておけば従業員は自分が入っていいところはドアが開くし、ゲストの人は、あらかじめ行きますと顔登録をしておくと、駐車場に着いたらお知らせがきて、そのまま前に進んでくださいと、ロビーがありますと。ロビーに入って、エレベーターに乗ると、行き先階が自動的に押されているというようなものをつくろうとしているんですね」
反町キャスター
「それはいいことだとはわかりますよ。だけど、気味が悪いというのは、ここはどうしたらいいのですか?」
松尾特任准教授
「それはまさに人工知能学会の倫理委員会の中でも議論しているところですけれども、気持ち悪いと感じることは、裏を返せば、人間には権利があると。つまり、見られない権利があるのではないか。これはこれまであまり議論されなかったけれども、見られない権利というものをちゃんと守るような、かつ利便性を社会が享受できるような仕組みというのをつくっていかなければいけないのではないかというのは、皆で議論していかなければいけないところではないかなと思いますね」

寺西信一 静岡大学特任教授 兵庫県立大学特任教授の提言 『失敗を糧に』
寺西特任教授
「2つ意味がありまして、1つは、実際にやっていると成功することよりも失敗することがはるかに多くて、それを残しておけば、ディープラーニングで使ってもらえるのではないかという意味。もう1つは、ベンチャーとか、大企業でもそうですけれども、新しいことをやろうという意欲のためには失敗しても再挑戦できる。再チャレンジ、それこそ大事だと思います。たとえば、ベンチャーで失敗したら、自分の個人資産が全部奪われてしまうようなものでは再チャレンジというものはできないわけですね。何回も失敗した人の方がよりクリエイティブなことができるのではないかと思っています」

松尾豊 東京大学大学院特任准教授の提言 『ものづくり×AIで企業が儲ける』
松尾特任准教授
「時価総額でトップ5位というのは、Google、Apple、Amazon、テンセントとアリババです。全部IT(情報技術)企業です。日本は1社も入っていないです。日本は、トヨタさんが30位ぐらいにいるぐらいです。本当に日本はヤバイです。ITで負けまくっています。ところが、ディープラーニングと、カメラ、イメージセンサーで目ができると、これに日本が強い機械、ロボットを組み合わせるというのは、目がある機械という新しいカテゴリー、まったく新しいカテゴリーの製品がすごくたくさんこれから出てくるはず。ここを日本が取れるかどうかというのが、日本にとって千載一遇のチャンスです。これをやらない限りは、日本の経済の発展はないし、研究の面においても企業が儲けて、それを技術に再投資するというようなサイクルをつくらない限り、日本は絶対に勝てないということで、とにかくこの千載一遇のチャンスをものにしてほしいと思っています」

小宮山宏 三菱総合研究所理事長の提言 『プラスのイノベーション』
小宮山氏
「これはイノベーションでもって人の職業が奪われるとか、そういう面というのはあるんですね。だけど、これまでできなかったことができるようになる。たとえば、トンネルだの、橋だの、これまで蓄積した膨大なものが古くなって、困っているわけですよ。ここに目があるロボットができれば、新しいものができるようになる。これが、私が言いたいプラスのイノベーションということです」