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2017年3月2日(木)
姿現すトランプ安保像 国防費6兆円増の波紋

ゲスト

小野寺五典
自由民主党政務調査会長代理 元防衛大臣 衆議院議員
織田邦男
元空将 元航空支援集団司令官
渡部恒雄
笹川平和財団特任研究員

『トランプ演説』に読む安保戦略 『米国防費6兆円増』の波紋
秋元キャスター
「トランプ大統領が『アメリカの歴史上最大の増額を行う』と表明した国防費から見ていきます。ブッシュ政権以降、アメリカの国防費の推移を見ていきますと、ブッシュ政権では、アフガニスタンやイラク戦争などもあり、国防費増加の一途だったのですが、オバマ政権で国防費は削減傾向にありました。こうした中で、トランプ大統領は再び国防費を大幅に増やすことを議会演説で表明し、ホワイトハウスによりますと540億ドル、日本円にするとおよそ6兆円増額すると発表しています。この増額幅は日本の1年間の防衛予算を上まわる額だということですが、まずは小野寺さん、オバマ政権で削減の流れにあった国防費を再び増額しようという、このトランプ大統領の狙いはどんなところにあるのでしょうか?」
小野寺議員
「オバマ政権から強制削減ということで、予算をずっと減らすということ。それを大きな政策として決めてきましたので、アメリカの部隊、様々なところにいろいろな歪みが出ています。当然、装備を新しく更新しなければいけないとか、あるいは実際は、航空機はかなり部品を、様々なメンテナンスをして使えるようになりますので、私どもも、エッと思う話は、意外と日本にある米軍の航空機も数はあるのですが、実際にその稼働がどれだけできるかということをしっかり米側も管理はしていると思うのですけれど、予算が足りないと部品や、あるいはメンテナンスというのはうまくいかないので、稼働機数が減っていく。そうすると、数はあったとしても実際に動くものがどれだけあるかというのが大切なことですし、あるいは船にしても、古くなってきまして、老朽化して、新しく船を造るとしても一定の時間がかかってしまいます。そういう意味で、最近、少しアメリカの特に防衛装備について少し歪みが出ているなと。そういうことを感じておりましたので、これはたぶん現場の隊員から、部隊から、様々な方を通じて大統領も聞いていることだと思うんです。そういう意味で、削減の幅を戻そうということですが、ただ、史上最大に伸ばすと言うと、軍事費が過去最高にグンと伸びると思っていらっしゃる方もいらっしゃると思うのですが、現実的には2011年、2012年の高い水準まで届いていないということですので、むしろ強制削減の歯止めをかけたという、そういう見方を私はしています」
反町キャスター
「織田さん、この6兆円を何に使うと見ていますか?」
織田氏
「核の近代化ですね。核ミサイルの近代化。それと急いでやらなければいけないサイバー、あるいは宇宙ですね。これについては停滞していると。それと、よく言われるThird Offset Strategy、第三の相殺戦略ですね。一言でいって、AI(人口知能)なんです。つまり、ロボット。だから、従来の伝統的戦力とAIを組み込んだ、いわゆる無人でもって、コラボレーションしようと。たとえば、戦車とロボット、あるいは空中であれば戦闘機と無人機。水中であれば潜水艦と無人潜水艇のコラボレーション」
反町キャスター
「そうすると、使うのは今言われたみたいな、既存の兵器とAIのコンビネーションみたいなもので、そこでアメリカ軍の中露に対する軍事力の優位性をなんとかしたい。それが6兆の使いどころ?」
織田氏
「そうですね」
反町キャスター
「渡部さん、先ほど、織田さんが言われた、オフセットの話で言うと、今回の6兆円というのは、トランプ流の中国を相手にしたものか、ロシアを相手にしたものか、誰を相手にしたものかも僕も見えないところがあるのですけれど、ライバルに対する一歩抜き出るための、そういう予算だという位置づけですか?」
渡部氏
「意図はあると思いますが、少なくともオバマ政権時から言っているのですから、第3の相殺戦略というのは。ただそれに対する予算の裏打ちがあまりにもなかったところだけですよ。口だけねオバマ政権はとは思われてきたわけだけど、そこに実をつけましょうというのがあって。あと忘れてはいけないのは、人件費、しかも、ちゃんとした人件費。つまり、強制削減措置で、一番割を食ったのは軍人のサラリーは減らさないんだけれど、シビリアンの人達の、つまり、軍人ではない、国防総省関連の人達の人件費をいっぱい削っているので、たとえば、そういうのを開発しましょうと。計画をつくりましょうと。結構、やれないんですよ。そういうのにも、人がお金がまわるようにしましょうというのもあると思いますね」
反町キャスター
「その結果、要するに、伸びるエリアというのはどこかと言うと、AI、そういうところでグッと伸ばして、中国、ロシアがついてこられない部分をそこでつくりたいと。ここはどうですか?」
渡部氏
「おそらくそれはあると思います。これは結構、偶然ではあるのですが、国防副長官の、第三の相殺戦略を言っていたロバート・ワーク氏が居残っているんですよ。なかなか後任がいないというせいでもあるが、彼の考え方でいいではないかという人は結構、現在のトランプ政権に多いのと、もう1つは、それによって仕事を国内につくり出すと。これはトランプさんがずっと言っている国内の産業ですから。それを軍事に関して言えば、アメリカは圧倒的で、他の国はつくれないわけですよ、誰も。と言うことは、そこは相当、雇用を増やす可能性もある」

『同盟関係』と『負担』
秋元キャスター
「トランプ大統領の議会演説から今後の対外姿勢を読み解いていきます。トランプ大統領、アメリカの同盟国に対してこういうメッセージを発信しました。NATO(北大西洋条約機構)、中東、太平洋の同盟国には戦略的な作戦・軍事的作戦の双方で直接的かつ意味のある役割を果たし、その費用を公平に負担することを期待すると、こういう発言だったのですが、渡部さん、このNATO、中東、太平洋の同盟国というのは、具体的にどこの国を指すと見ていますか?」
渡部氏
「同盟国ですから、NATOは加盟国ですよね、ヨーロッパの。それから、中東は、現在イスラム国に対し、アラブの諸国。たとえば、サウジとか、ヨルダンとか、こういう国が一緒に軍事作戦をアメリカとやっているのですけれども、そういう同盟国ですよね。それから、もちろん、イスラエルも入りますよね。太平洋の同盟国はもちろん、日本とか、韓国とか、オーストラリアとか、そういうところですね」
反町キャスター
「この戦略的、軍事両方で直接的かつ意味のある役割を果たしてほしいとは、戦略的作戦とは何のことですか?」
小野寺議員
「1つは、その地域の安定を、特にアメリカと同盟国が中心で主導していくということですから、それは一定の軍事的なプレゼンスも必要ですし、あるいはいろんな国に対し、こちらを向いてもらうためには経済援助も必要だと。そういう全体でのやり方で、この地域の一定の安定を保っていこうということ。それから、軍事的は直接紛争があった時にはどういう役割を分担して、同盟関係でしっかりこの地域や両国を守っていくかと。そのストレートな意味なのだと思います。直接的かつ意味のあると言うのは、これは読み方がそれぞれあるのですが、私は、直接的、いざという時は、一緒にこの役割を果たしてくれと。意味のある役割というのは、そうではなかった場合には、ちゃんとある面では、支援になるようなことを意味のある形でやってくれ。いずれにしても負担はちゃんとしてね、同盟国でしっかりリーダーシップをとっていくけれど。これまでは1人で世界の警察官を、これからは一緒に、ある面では警察官の役割を担ってくれと。お金も出してねと。そういうことを言ったのではないかと受け止めました」
秋元キャスター
「今回の演説で、もう1つ、日本を指していると思われるのが、こちらの部分ですね。『最も緊密な同盟国の中には、世界大戦の敵として戦った国もあるが、我々は、かつての敵と盟友になった』と。こういう発言もありました。小野寺さん、トランプ大統領の日米同盟への姿勢、認識、どう見ていますか?」
小野寺議員
「これはおそらく日本とドイツを示しているのだと思います。かつての敵と盟友になったという、このフレーズを見ると日本にとってのメッセージのような気がするのですが、私はずっと演説を聞きながら、どうもロシアの影が見えて仕方がないというか。いや、日本とドイツとも戦ったけれども、現在は盟友でしょうと。今回の演説の中で実はロシアの話が出てこない。普通であれば、現在の国際環境から見たらロシアがウクライナ、クリミアでやっていることに関しての、一定の発言があったりするのですが、一切、何も発言していない。新しい友達をつくるみたいな話をしている。その文脈の中、ここで利益があれば、新しい友人を見つけて、パートナーシップを築くという。これを仮にロシアと考えればその文脈の中で、かつての敵と盟友になっているのだからロシアももしかしたら将来、お友達以上の盟友になるのではないか。そういうふうにこの文脈の全部を見ると、何かそのメッセージが込められているのではないかなと、穿った見方かもしれませんが」
反町キャスター
「これは中国ということはないですか?」
小野寺議員
「私は、共通の利益があれば、ということだと思うのですけれど。いずれにしてもロシアとアメリカが組むということ。中国はアメリカとはいろんなところでぶつかっていくと思います。特に経済の問題、その他で。ですから、ある面で経済分野でもG2になるんですね。競合相手になります。ロシアはおそらくそういうところではなく、むしろ安全保障面で手を組めば、あとはたぶん資源の問題その他でいろんなことができてくる。そういう意味では、トランプさんから見た場合には、おそらく新しい友人で、まずアメリカとの権益が安全保障さえぶつからなければ、ある面では与しやすいと思っているのはロシアと考えれば、この文脈の中で意識しているのはロシアかなと思います」
反町キャスター
「織田さん、新しい友人というのはどこですか?」
織田氏
「私はちょっと違う見方で、まずかつての敵が盟友となったというのは逆もまた真なりで、現在の盟友も敵になり得ますよと我々は捉えなければいけない。つまり、危機管理の鉄則として最悪に備えよ、考えたくないことを考えるのだということであれば、それはパーマストンが言ったとおり、永遠の同盟も、永遠の敵もないわけですよ。あるのは国益であって、国益を追求するのがトランプさんだと。こういう話で見れば、逆に言えば、新しい友達、私は共通の利益があれば、新しい友人。これは中国と日本は見なければいけない。これは、アメリカにとっての中国だ。中国がこれからどういう材料を出してくるかわかりませんが、雇用を創出して、しかも、貿易赤字を減らしますよと。その代わり、たとえば、台湾関係法はやめてくださいとか、在韓米軍は撤退してくださいとか、日本にとって1番厳しいのは新型大国関係をアメリカと結ぶということですよ。それはどういうことか言うと太平洋の覇権・分割ですよ。西太平洋は中国に任せてくれと。核心的利益については、お互いに触らないようにしようと。太平洋は2つに分割しても、2つの大国が入れる十分なスペースがあると言うんですよ。だから、私は満額回答で、それは結構ですよ、非常に今回の日米首脳会談は良かったと思うけれども、政治家の方が満額回答だ、万歳と言っているのは、私はちょっと用心をした方がいいのではないかと」
渡部氏
「たぶんロシアが念頭にはあると思いますが、中国だって当然。ロシアと中国、一緒にというわけにはいかないけれども、どちらかと言うのはディールで。ロシアと仲良くしたくても仲良くできないかもしれないですよ。現在、風向きが悪いですし、最新だと、セッションズ司法長官が前に辞めてしまったフリン国家安全保障担当補佐官と同じようにロシア大使とどうも会っていて、しかも、そういう話をしていないですよ。会ったということを。だから、怪しいではないかと言われ。早速、だから、結構、風当りが強くなっていて、しかも、もちろん、民主党は厳しくいきますけれども、共和党の本体がロシアに厳しいですから。と言うことを考えると、実はなかなかそんなにトランプさんが考えているように、ロシアとは組めないかもしれない。その時、彼はとにかくビジネスマンですから、先入観がないですから、ディールをして自分が儲けになると思ったところと組みますから。もちろん、軍は違います。だから、安心ですけれども、アメリカの場合は。ただ彼がどう考えるかはわからない」

『中東重視』とアジアへの余波
秋元キャスター
「ここからはトランプ大統領の議会演説から中東政策の部分を注目していきたいと思います。『イスラム過激派のテロから国を守るために、強力な措置を講じる。審査の手続きを改善し私達に害をなすものを締め出す。さらに国防省にイスラム国を壊滅させる計画の策定を指示した。イスラム圏の友人達とも協力して絶滅させる』という発言がありました。小野寺さん、トランプ大統領のこの中東政策に対する本気度。優先度どう見ていますか?」
小野寺議員
「これは既に大統領令で、この作戦の策定というのは1月28日に確か出していますので、1か月以内ということでしたから。ただ、作戦自体はペンタゴンから上がってきているのだと思っています。ここでトランプさんは、中東中心なのだなと思ったのは、たとえば、弾道ミサイルの問題について、イランの問題として提起をしました。不思議なのは、イランのミサイルはもともとどこから行ったのかと言うと、北朝鮮から実は技術が行っている。輸出されて、イランの今回、ミサイルです。あのミサイルの距離を見れば、絶対アメリカには届かない。おそらくイスラエルが争点です。ところが、逆におおもとの技術を出して、既にICBM(大陸間弾道ミサイル)を含め、アメリカ本土まで攻撃するぞと言っている北朝鮮のことは一切触れていないでしょう。本当はこのミサイルの問題からすれば、おおもとの悪いのは北朝鮮なのに、敢えてここで言っているのはむしろイラン。それは、逆に言えば、イスラエル。ですから、イスラエル中心のイメージがどうもはじめの、安全保障ではトランプさんの頭にあるのかなとすれば、側近のクシュナーさんとか、イヴァンカさんとか、こういう方々がユダヤに非常に近い方々ですから、そういう意味で、中東、マティスさんも中東での活躍された方ですし、印象としてはどうしても中東シフト。これは現在ちょうどIS(イスラム国)と戦っている最中ですから、仕方のないことなのかもしれませんが、ほとんどこの内容というのは、残念ながらアジアというよりは中東中心の今回は安全保障の話だったのかなと思います」
渡部氏
「中東と考えちゃダメで、イスラム国と考える方がいいと思うので」
反町キャスター
「イスラム国叩きに対するこだわりという意味ですか?」
渡部氏
「結局、実際にイラクでイスラム国に対する戦闘をやっているわけです。それをアメリカも支援をしているわけですね。直接の地上部隊を送っていないけれども。シリアだってイスラム国に対して現在、支援をしているわけですね、アメリカが。と言うことを考えると、ではなぜイスラム国対策で一緒に戦っているイスラム教の国々に対して、本当だったら、たとえば、エジプトとか、サウジとか、UAEとか、あるいはトルコ、こういうところに対して配慮していないみたいではないですか。だってイスラム教の国からのテロリストが心配だから、入国させないと言っているではないですか、7か国。ところが、この7か国をよく見ると、そういう国は入っていないです。しかも、9.11のテロの時の実行犯というのは、実は国籍見るとサウジ、エジプト、UAE、こういう国は入っていないですよね、7か国に。そこはちゃんと考えていて、つまり、アウトサイドイン戦略と言われるわけですけれど、これは昔から、パパ・ブッシュの頃から言われていて、アウトサイドというのはまず中東和平がありますよね。中東の中でイスラエルとパレスチナが戦っているわけですね。それでここの和平をうまくしたい時にどうするかと言うと、パレスチナとイスラエルを仲良くさせる前に、その周りを囲んでいるイスラム教の国々とまず仲良くして、その国々とまずイスラエルを仲良くさせる。エジプトがまず仲良くなったんですね」
反町キャスター
「トランプ大統領は、そんな超長期の中東和平に向けての布石を打っているんですか?」
渡部氏
「中東和平ではなくて、イスラム国と戦うことがポイントです」
反町キャスター
「別にパレスチナ、イスラエルの和平を目指している話ではない?」
渡部氏
「それはある程度、考えていますよ。だって、実際クシュナーさんという大事なお嬢さんの旦那をそこの特使にするとか、そういうことを言っている。これはこれで重要です。だけど、むしろイスラム国対策が大事。実は状況が現在、ちょっと変わっていて、最近になってから、サウジ、こういうアラブの国がイスラエルのことが実は好きではないのだけれども、イランの方がもっと怖いとなっているんです。そうすると、対イランで、うまくここで共闘すれば、イスラエルにも顔が立つし、アラブの国ともうまくまとまって、対イスラム国でやれるではないですかと、たぶん考えているのではないかと言われているんですね」
反町キャスター
「織田さん、そもそも論ですけれども、こういうISみたいな国を名乗る武装集団というか、暴力組織を、軍事力で叩いて解決するかどうかというそもそも論ですよ。それは、たとえば、過去において、中東でアメリカが様々な戦略を打ってきました。アフガンのタリバンの問題も、イラクに対する介入でもそうかもしれない。いろいろ解決してやろうと介入した結果、抜本的な解決に至った例がありますかということを考えた時、その反省というか、検証というか、過去の中東におけるアメリカの介入政策を敢えて失敗と申し上げれば、それに対する反省というのはトランプ大統領の演説のどこか感じる部分はありますか?」
織田氏
「あります。2003年のイラク戦争の時、ラムズフェルドさんでしたよね。陸軍の参謀長がシンセキさんだったんですよ。軍人というのはリアリストですから出口を考えて作戦を考えるんですよ。だから、あの時に35万、要りますと言っているんですね。それをラムズフェルドさんは10万でやれと。費用対コスト、コストエフェクティブだとか何かと言って、ビジネスマンの。案の定、イラクを叩いたあとカオスになったわけですね。今回、トランプさんがISを打倒し、壊滅させる計画を策定しろと国防省に言ったということは、国防省もそうだし、取り巻きのマティスさんもそうだし、皆、徹底したリアリストですよ。軍事というのは、基本的には自分の部下を殺したくないわけですよ。だから、それは徹底した勝ち戦しかやらない。勝ち戦というのがわかってから兵力を送るわけですよ。だから、私は日本の立場で懸念しているのは、少なくともアメリカは南シナ海、中国と中東の二正面作戦できませんよ。リバランスという言葉も一切言わないでしょう。それは、言わないのはオバマさんが言ったから言わないのではなくて、プライオリティは中東ですよ」
反町キャスター
「かなり大量の戦力を中東に割くだろうという前提?」
織田氏
「ええ。だから、そこでキーとなるのが、アメリカの陸軍を投入するかどうかですよ。そこを見ていたら本気度はわかるし、いや、投入しなければ、たぶん先ほど、言ったようにISみたいな訳のわからないものに対して徹底したことができないと思うんですね。だから、ロシアと組む、あるいは周辺国と組む。たぶんスンニ派と組むのでしょう。ただ、シーア派のイランがいると。だから、組んで、アメリカが作戦の主導権を握って徹底してやる。だから、鶏を殺すのにも牛刀を持ってするというのは、軍人、リアリストの立てる作戦ですよ」
反町キャスター
「そうすると、現在、国防省につくらせている、イスラム国打倒計画の中に、ロシアとの協調であるとか、ないしは陸軍の、いわゆる数万人、ないしは数十万人規模かどうかわかりません。大規模な陸軍の部隊の派遣みたいなものがもし出てきた時には、これは短期で、絶対的な勝ち戦でもって一気に沈静化を目指しているという前向きな評価をされた方がいい?そういう意味で言っている?」
織田氏
「いや、たぶんそうなのですけれど、日本としては、それは中国に対して歯止めが効かなくるわけでしょう。だから、日本としては、では、どうするのと言った時に、考えなければいけない」

『対中国』『対北朝鮮』の本音
秋元キャスター
「ここからは、トランプ政権の姿勢に日本はどのように対応すべきなのかを聞いていきます。小野寺さん、先ほども話がありましたけれど、日本にとって大きな脅威であります北朝鮮について、今回触れなかったわけですけれども、アメリカにとって脅威認識が薄いのか、優先度が低いのか、このあたりどう見ていますか?」
小野寺議員
「これは実際、優先度は低いのだと思います。特に実際アメリカが脅威を感じるとしても、本当にアメリカに向けてICBMを北朝鮮が撃つということはそんなに想定をしてなくて、昨年だったでしょうか、宇宙やミサイル戦略を立てるノーラッドに行って、そこで現地で意見交換をした中でも、想定は、たとえば、ロシアとか、様々他の国で、北朝鮮についてはそれほど強い脅威認識を持っていませんでした。ですから、日本にとっては大変な脅威ですが、それほどアメリカが自国の脅威と思っているかは疑問だと思います」
反町キャスター
「織田さん、北朝鮮のミサイルを警戒していないのですか?」
織田氏
「アメリカは、アメリカに届く核ミサイルが完成していないと思っているから、のほほんとしているんですよ。それは届くとわかったら絶対に叩き潰すと思います。まだまだ余裕があると思っているんですね」
反町キャスター
「渡部さんはいかがですか?アメリカはそういう意味でタカをくくっている部分があるのですか?」
渡部氏
「遠いんですよ、東アジアは結構。普通のアメリカ人にとってはですよ。もちろん、わかっている人達にとっては、また違うのですけれども。だから、そこはある程度、まだ距離があるのでしょうけれども、ここにきて北朝鮮が振り向いてくれということもあって、いろんな挑発をしているので、だんだん危機感は醸成されてきていると思いますが、なかなか難しいと思いますね。なぜかと言うと、ヨーロッパの方が近いですよ。ロシアが近いんです。あちら側を見て脅威を感じる方が、そういう人、ヨーロッパルーツの人達が多いというのもあります。アジアからというのは、どうしてもアメリカの国の成り立ちとしか言いようがないのですけれど、そこが弱くなるというのが。我々はちゃんと見ておく必要があると思います」

新『ミサイル防衛』検討の真意
秋元キャスター
「そうした状況の中、自民党は先週、安全保障調査会の下に設置しました、弾道ミサイル防衛に関する検討チームの初会合を開きました。主な出席者、こういった顔触れです。今日のゲストの小野寺さんが座長を務められていて、今津安保調査会長。中谷前防衛大臣とか、党や政権の安全保障政策を担ってきた方々が出席されています。小野寺さん、このタイミングでこのチームが発足した狙いというのはどういうことですか?」
小野寺議員
「これは北朝鮮の弾道ミサイルの技術が、私どもの予想以上に早く進歩していると。かなり撃ち方も能力も向上しているなと。それに対して日本の現在の防衛能力で、ミサイル防衛システムでしっかり防げるかどうか。これは当然。いつもそういう形で防衛省内でも検討はしていると思うのですが、自民党としてもそこはしっかりと検討をすべきだと。メンバー皆、大臣、副大臣、政務官の経験者ですし、柴山さんは現在、NSC(国家安全保障会議)に入っていますので、そういう意味では、ある面では防衛機密を含めた、それを取り扱った経験のあるエキスパートが集まって、非公開でかなり深い議論をさせていただいています」
秋元キャスター
「その弾道ミサイル防衛について、これまでこちらのような点が議論の焦点になってきました。日米韓連携の強化、迎撃能力の向上、敵基地攻撃の検討ですが、今回の検討チームでは、小野寺さん、具体的にどういう点が議論になったのでしょうか?」
小野寺議員
「まずは何回かに分けて検討し、提言を最終的に安保調査会にして、自民党としての提言をまとめることになると思うのですが、すごく単純に言うと、北朝鮮の弾道ミサイルを現在の自衛隊の装備で防げるのかどうか。これについて現在、自衛隊の場合には、SM3とか、PAC3とか、様々な装備でミサイル防衛システムを持っています。ただ、それと同時に、北朝鮮も撃ち方とか、ロフテッドという高いところから撃ち始めるとか、いろんな能力を開発していますので。ちゃんとそれに追いついているのかどうか、これは不断の検討が必要なのだと思います。それから、もう1つ、敵基地、私どもの議論の中で、これは反撃力。よく策源地攻撃能力と言われますが、当然ミサイルを撃ってくる時、撃ったものを防ぐ、これが専守防衛ですから。日本の自衛隊はしっかりこれをやっているのですが、現在、攻撃の形が変わって、前みたいに爆撃機が飛んで来る、あるいは戦艦が近づいて艦砲射撃をするという、そういうまどろっこしい脅威ではなく、相手の領土から弾道ミサイルが飛んでくる。こういう脅威になっています。そうすると、日本がずっとこれまで相手の領土を攻撃する、そういう能力を持ちませんということで、ずっと防衛装備をしてきたのですが、攻撃の態勢が変わって相手の領土からミサイルが飛んでくるとすれば当然、撃ってきたものを、撃ち落として防ぎます。ただ、何発も何発も撃たれて、いずれこれを撃ち落とすことができなくなったら、日本人の命が根底から危険にさらされます。とすれば、撃ってくるミサイルの基地を叩いて撃たせないようにする。これも専守防衛の1つではないかと。その時に1つの大きなハードルはその撃ってくるミサイル基地が相手の領土にあるということです。これをどうするのかということ、これを真剣に議論をする、その必要はあるのだと思います」
反町キャスター
「小野寺さんは閣内にもいたので、この違いの温度差みたいなものを聞きたいのですけれども、閣内でこういう話、たとえば、外務、防衛、官房とか、そのへんのところで、いきなり議論を始めて、策源地攻撃の検討に入りました。これは大変なことですよね。中国、韓国も含めて、いろんな国のハレーションが起きるのかなと思う中で、この議論を党の中でキックオフをしている狙い。これはどう見ればいいのですか?」
小野寺議員
「当然、政府は一貫した政策をこれまで持っています。専守防衛というスタンスがありますから。これは政府としてしっかり守っていくと思うのですが、私どもは、少なくとも防衛の仕事をさせていただいた経験者として、国民を守るために必要なものは何かと言うのは当然、提案していく必要があると思うんです。ですから、政府が言えない分。私達が逆に言えば、必要なものをお話していく。ただ、基本は日米同盟がしっかりしていますから。私達は、同盟国アメリカがしっかり策源地能力を発揮し、日本を守るということはしてくれることは間違いないです。ただ、そのうえで日本としてどういう役割があるのかどうか。これは中で検討する必要があると思いますし、当然私どもは自国防衛のために使います。相手が撃ってくるミサイルを、次、撃たせないために1発撃ったならとめるけれど、2発、3発は撃たせないぞということで、私どもはこういう能力をどうするか考えるわけですから。当然、中国も、韓国も、自国防衛の一環だということで理解していただく。そういう努力は政治の場では必要だと思うんです。あくまで政府の方針ではなくで、党としてそういう検討をしているということです」
反町キャスター
「党で方針を決めたら当然、与党の政調、方針を公明党と摺合わせて、どういう形で政策としてどう取りまとめて実際のスケジューリングに乗せていくか、その段取りをどう見たらいいのですか?」
小野寺議員
「まずこのチームの中で、これはクローズドで限られたメンバーで、防衛相にも入ってもらって議論をします。これをだいたい今月中ぐらいに、会合を繰り返して、一定の方針を出して、それを安保調査会という党の正式な機関にこういう検討ですということで報告をして、そこで多くの議員の皆さんから意見をいただいて、最終的にはそれを政府にどういう形で考えとして伝えていくか。これは安保調査会長の今津さんが判断してくれると思います」
反町キャスター
「法律化を目指すのですか?それとも、たとえば、防衛整備計画みたいなものへの盛り込みを考えていくのですか?」
小野寺議員
「法的な問題のクリアは、全て問題は特にないのだと思います。たとえば、反撃力、日本を撃ってくるためのミサイル基地を叩くことは相手の領土であっても座して死を待つよりはということで、過去の国会答弁で憲法上許されることになっていますから。あとは政策判断としてどうするか。当然、日本だけでこの議論をすることはできないので、米側との協議もありますし、本当にいろんな形で、私どもが今後も検討する1つの大きな項目として基本的には撃ち落とす能力をしっかりしていくということです。それがあって全て万全かということを含めて、米側と議論していく1つの題材として、党としての提案をしていきたいと」
反町キャスター
「それは具体的に何ですか?日米ガイドラインに新しい項目として盛り込むのか?ないしは中期防みたいなものに盛り込んでいくか?どういう形で我々に見える形で字面になって表れてくると見たらいいのですか?」
小野寺議員
「迎撃能力の向上というのは現在、日本が持っているような弾道ミサイルの防衛システム、これを今後とも拡充していく。それは具体的に、中期防、その次の後記の中期防に入る時期になってきますし、あるいは現在、北朝鮮の能力が大きく変化するので、防衛大綱自体を少し見直すという議論もあります。ですから、そういう中でミサイル防衛についてこういうものが必要ではないかということは、一定の、たぶん意見が出てくると思います。策源地の攻撃能力については、これは実際、何がそういう能力としてあるのか。それは米側が補ってくれているので、米側に頼って、これからもお願いをするというやり方と、あるいは日米でどういう役割分断をするのかということ。いろいろな議論があると思うので、その検討についてはしてもいいのではないかと思います。ですから、具体的な、たとえば、今後の防衛装備に入ってくるのは、むしろミサイル防衛、どのようなミサイル防衛が今後必要かという、そちらの方が主力で入ってくると思います」

『敵基地攻撃』論議の行方
秋元キャスター
「敵基地攻撃の検討について、どう考えますか?」
織田氏
「小野寺先生が言われたように、議論していただいていいと思うのですが、抑止全体について議論しなければいけないと思うんです。撃たせないために何をやらなければいけないか。それは大きく、拒否的抑止と懲罰的抑止と褒章的抑止というのがあるんですね。褒賞的というのは、ご褒美やるからやめろと。6か国協議で軽油をやるから、あるいは重油をやるからやめろ、それでダメだったわけでしょう。拒否的抑止の中に3つあるわけですよ、ミサイルディフェンスと、策源地攻撃、被害極限、それは100%撃ち落とすことはできませんから、被害を極限するために地下鉄のプラットフォームを使って、シェルターにしましょうよと、そういうことを考える。全体を考えなければいけない。その中の策源地攻撃ですよね。策源地攻撃という名前が悪いと思うのですが、発射前ミサイルに対する攻撃ですよ。ピンポイントです。それはアメリカにお願いするようなものではないですよ。アメリカは懲罰的抑止で、1発でも核を撃ったら100発でも撃つぞと。だから、懲罰されるからやめておこうという抑止ですね。それは日米同盟で、今回の日米共同宣言でも明記されていますから、いいです。では、策源地攻撃という意味づけをどうするのか、これは拒否的抑止で日本が自主的にやらなくてはいけない」
反町キャスター
「発射前ミサイル、それが日本に向かってくるのかどうかは?」
織田氏
「1撃目は、策源地攻撃をやると、予防攻撃と言っても、それは先制攻撃になってしまうんですよ。1発目は安倍さんでも決心できないと思いますよ。撃ったよね、たまたまミサイルディフェンスで撃ち落としたよね。次からは、撃つ前の発射前のミサイルを叩く、それは独立国として日本の役目です。それを議論してこなかった。ようやくその議論に着いた。抑止というのは全体の中のどういう位置づけかということから議論してもらいたいなと」
渡部氏
「ゼロから考えましょうと。アメリカに頼る部分もあるのだけれど、日本は何ができますかと。日本がちゃんとやることによって、アメリカもやらざるを得なくなるわけです。それをやっているというのがわかれば、相手側も簡単にはできないとか、あるいは脅しはかけられないねと思うわけでしょう」
小野寺議員
「私も予算委員会で総理に質問した時、総理は検討することは必要だとお話をしていますので、検討してもし能力を持つとしても時間がかかります。そういう意味で、私はしっかり今のうちから検討し、できれば党としてこういう方針だということは出していきたいと思います」

小野寺五典 自由民主党政務調査会長代理の提言 『同盟の深化』
小野寺議員
「日米を含めた同盟国との関係の深化、一緒に守っていくということが、逆にこれから必要になってきますので、先ほど、策源地攻撃能力の話をしましたが、日本も一定の役割を果たすという中で、日米同盟が深化すれば、日本の安全は守られていくと。その基本をこれからもしっかりやっていきたいと思います」

織田邦男 元空将の提言の提言 『主体性』
織田氏
「先ほど、言いそびれたのですが、策源地攻撃能力で物理的能力を持ったからと言ってそんなに簡単にできるものではありません。何がないかと言うとインテリジェンス、リアルタイムなターゲット情報を得られないというのがありますが、だから、持たなくていいかと言うと、独立国として持つ必要があります。主体性と書いたのはマティスさんが来て安倍さんと会った時に、尖閣は(安保)5条の対象であると言って、やった、ようやくアメリカさんが言ってくれたと。そういう話ではないでしょうと。基本的には日本の領土、領空、領域を守るのは日本人ですよと。だから、主体性を持ってやらなければいけないと。根底にこの主体性を持たなければならないということだと」

渡部恒雄 笹川平和財団特任研究員の提言 『長期的視点』
渡部氏
「国というのは、国家というのは永遠の存在だと言いますけれど、それはそうで、ずっと続くんですよ。一瞬、短い間に守れたからと言って、その先ダメだったら、ダメなわけで、長く続くのかどうか。短期的に国が壊滅しても困るわけで、両方必要ですよね。だから、それが戦力であると思います」