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2017年2月27日(月)
米国新外交戦略を解く どう変化日米中の関係

ゲスト

薗浦健太郎
外務副大臣 自由民主党衆議院議員
ケント・カルダー
ジョンズ・ホプキンス大学教授
朱建榮
東洋学園大学教授

知日派の研究者カルダー氏 トランプ&米国の『今』を分析
秋元キャスター
「先月20日にアメリカ大統領に就任したトランプ氏ですけれども、アメリカのギャラップ社が行った最新の世論調査を見ますと、就任1か月目のトランプ政権の支持率40%と、歴代大統領の平均が61%であるのと比べますと、調査開始以来、過去最低の数字を記録しています。カルダーさん、トランプ大統領就任1か月、どう見ていますか?」
カルダー教授
「まず皆さんが勝つと予想しなかったと思います。そうすると、人事が決まらなかったし、もちろん、フリン氏のような問題もあったし、あとは難民の問題。ですから、混乱というか流動的、本格的に、これは各論政権ですから、大きな戦略がまだできていない気がします」
反町キャスター
「各論政権と言うのですか。要するに、大戦略がなく、1つ1つ、これはこれ、これはこれ、とやっていって、全体のビジョンというものがないのですか?」
カルダー教授
「比較的にそうだと思います。オバマ総論政権とすれば、これは各論政権」
反町キャスター
「そういう状況を生んでいるというのは、アメリカにとってかなり危機的な状況だと見ていますか?それともこれはアメリカの経済力や軍事力が比較して相対的に弱くなってくる中で、アメリカが世界のことを全部、総論で見ることはできなく、1つ1つ見ざるを得なくなった、当たり前の…」
カルダー教授
「政権の性格だと思います。要するに、ビジネスマンで政府の経験もないし、当然、具体策を考える、プラスの面もあるような気がします。安倍総理との首脳会談でいろいろ具体的に、日本は重要、それと個人的に安倍総理といい関係をつくって、先を見ると、たとえば、中西部に関する共同プロジェクト。安倍総理が勧めたインフラ整備プロジェクトから、そういうことを個別に合意すれば、進んでいきます」
反町キャスター
「結果的に、でも、それも先ほどの話だと日米を総論で見るのではなく、自動車なら自動車とか、牛肉なら牛肉とかね」
カルダー教授
「課題によりますね。インフラを中心的に集中する可能性があれば、うまくいくような気がします。ただ、農産物がどうなるのか。自動車がどうなるのか。そういうコンストラクションによるような気がします。ペンス副大統領、麻生副総理、現在のような形で進んでくれば、うまくいくような気がします」
反町キャスター
「薗浦さんから見て安倍・トランプでの経済対話ではなく、麻生・ペンスにおける経済対話というスキームの決め方、いかがですか?」
薗浦議員
「首相と大統領が毎回、直接そういう各論をやるわけにはいきませんというのが、まず1つ。それから、もう1つ、我が方もいろんな省庁を超えてやる案件。当然財務大臣としてではなくて、副総理として入るわけですから」
反町キャスター
「麻生さんも、完全に財務大臣の立場ではなくて、副総理として、今回、入っている。こういうことになっているわけですね。そうすると、麻生さんは、ペンス副大統領に話した話を日本の各省庁に振っていき、内閣府で調整をしながらまた向き合っていく、こういう作業になっていく?」
薗浦議員
「麻生さんとペンスさんがやる、この経済対話というのはおそらく、もちろん、各論の話もするのでしょうけれども、あの時、3本柱が出てきました。つまり、最初マクロの話をしますと。もう1つは、たとえば、エネルギーとか、インフラとか、個別、具体的な協力の話をします。3つ目に通商ルール。貿易ルールの話をしましょう。これはもちろん、副総理、副大統領のレベルでやるということは日米の経済戦略対話。もっと言えば、日本とアメリカで、どうしたら両方勝てるのか。日本とアメリカが組んで、世界のどこかに出ていって、投資とか、そういう協力案件ができないのかとか。そういうことも含めた、非常に世界、地球儀を俯瞰するではないですけれども、そういうものも含めた大きな戦略対話になると思っています」
反町キャスター
「ごめんなさい。僕が理解できていなかったのは、日米経済対話というのは日本とアメリカの間の、たとえば、自動車とか。たとえば、牛肉とか、そういう二国間の問題を協議する場だけかと思ったら、そうではなくて、二国で世界市場にどう打って出るかという、そういう話もするという理解でよろしいのですか?」
薗浦議員
「ですから、2項目が、申し上げた具体的な話ですけど、たとえば、エネルギーの分野だって、日米で組んで何か新しいことをやる話をしてもいいと思いますし、それは非常に矮小化された話ではなく、今世紀、日米がどうやって両方とも勝つかというような大きな戦略対話になっていくと思います」
カルダー教授
「歴史的に見て、前の成功と失敗から、それをだいぶ参考にしていると思います。ブッシュ41の構造協議がこちらから見れば、1番よく成功した日米交渉。その時もマクロが1つの課題で、それで協力もあったのですけれど、部門別の構造の話もあったんです。多少うまくいった。クリントン政権の時、自動車が中心になって、いわゆる枠組み交渉。個人的にそれは失敗だったような気がします」
反町キャスター
「カルダーさんから見ていて、日米経済対話の中で、個別のことも、牛肉の話も、自動車の話も当然やるでしょう。そういう時にトランプ大統領が、彼の性格を考えた時、牛肉でどうこうとか、車でどうこうとかということを、いや、全体の話なのだから、俺はいちいち、それにコメントしないし、そのプレスコンファレンスで、これにコメントして、日本はどうのこうのけしからんとか、そういうことは言わないで、我慢するのかどうか?」
カルダー教授
「それはおっしゃる通り、その問題ですね。通商上、現在のまま、先ほど、おっしゃったように直接問題になりそうな分野がどうしても入るとは限らない、はっきり。通商ルールはルールでいいです。総論の話。ルールの限り、必ずしも自動車でどうなのかとか、農業を、よく話をしていないです。そうすると、そういう形にすれば、何か成果が出てくる、出やすい」

トランプ外交と新アジア情勢 日米首脳の『対中姿勢』分析
秋元キャスター
「今月の10日、11日の2日間に渡って安倍総理がトランプ大統領と首脳会談を行いまして、共同声明を発表しました。その中身このようになりました。日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを確認した。尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する。関係国に対し、拠点の軍事化を含め、南シナ海における緊張を高め得る行動を避け、国際法に従って行動することを求めると、こういった文言が盛り込まれたわけですが、朱さん、中国を強く意識した、この日米共同声明ですけれども、中国側はこれをどのように受け止めたのでしょうか?」
朱教授
「この発言そのものは最近出てきたわけではなく、オバマ政権からも出ているし、現在のトランプ政権の閣僚も含め、皆、それを言っているので、ですから、それ自体で、新たに中国に対して厳しい姿勢をしたというより、日米安保、日本は大事だよと、日本に安心感を与えて、日本との関係、当然、他にも貿易やいろんなことがありますから、日米同盟は変わらないと。一方、そういう中で、別のTPPというところも含め、これから自動車を含めて、個別の問題で、既にいろいろ攻めていくというような中の一貫で、中国はそれだけでトランプ政権が日本と組んで、すぐ対中包囲圏にいくということではないんですね。実際に日米首脳の記者会見で、トランプ大統領がアメリカと中国との関係改善は、アジア、そして日本にとってもプラスであると。そういうことで見れば、これは軍事的な緊張がないように中国を牽制しつつ、日本を安心させつつやっていることで、それ自体が大きい1つのシグナル、トランプ政権が何か行動をとるということではないと思います」
薗浦議員
「日米同盟というものに関して、尖閣にまで5条が適用される。5条というのは、日本の防衛義務を書いた条文ですね。これがトランプさんはじめ、国防長官も、国務長官も明言しているということの意味は非常に大きいと思います。そのうえで南シナ海等々に関しては法の支配という言葉を入れた。つまり、国際法を守りなさいよというメッセージを日米が共同で出しているということに大きな意味があるのだろうと理解しています」
反町キャスター
「その部分が、たとえば、先ほど、カルダーさんが言った総論のオバマ政権、各論のトランプ政権の話にもなっちゃうかもしれないのですけれども、そこまでの理念的なところは、オバマ政権も、トランプ政権も変わりない?」
薗浦議員
「うん」
反町キャスター
「より踏み込みが強くなったという印象を、僕はあまり受けないのですけれども。確かに3人の方が、国務、国防、大統領3人で言われたというところは確かに強いですけれども、言っている文言の内容はどうかと言えば、変わりないと考えた時に、でも、これから先、言ったことをどのぐらい強制力を持って、中国に向かって対峙するのかというここの部分。これから先の対応、アメリカは変わると我々は見た方がいいのですか。それともこれまで通り、たとえば、航行の自由作戦は、これまでと同じような頻度で、頻度が増すとか、踏み込みが増すとか、そこはどう見ていますか?」
薗浦議員
「これはアメリカの政策ですから。僕がこの場で予想みたなことを言っちゃうと非常に立場的にできない部分がありますが、少なくともオバマ政権との間、つまり、代わっても日米同盟は変わらないというところがきちんととれている。それもごく浅い段階、初期の段階でとれているということは非常に大きいと思います」
反町キャスター
「カルダーさん、いかがですか?南シナ海における航行の自由作戦とか、様々な中国側の行動に対してアメリカというか、トランプ政権はかつてのオバマ政権よりもより強い姿勢で出てくると見ていますか?それとも、口では言っている限りは同じで、とる行動はあまり変わらないのだよと見るのか?」
カルダー教授
「中国はもっと積極的に人工的な島を強化しなければだいたい路線が同じ、続くような、要するに、海上の自由、それは中心。その島をだんだん強化するようになれば、まずベトナム。ベトナムを支援するもっと積極的に。フィリピンに関してはトランプさんとどうするか。アメリカは、日本がフィリピンとの関係を強化することを期待します。安倍総理とフィリピンがアメリカよりもいい関係ということは、アメリカとしては良かったと」
反町キャスター
「でも、オバマ大統領とドゥテルテさんはケミストリーが合わない感じはしたけれども、トランプさんとは」
カルダー教授
「そうです。要するに総論外交がそうなる。人権外交でドゥテルテ大統領が怒ってきて、それはアメリカの昔の帝国主義を表していると抵抗があって、もっと個別に問題を取り上げたら、トランプさんがフィリピン政府ともいい関係をつくって、要するに、アメリカは南シナ海に関して当然、中国に譲れないと。それでそういう海上の自由を確認、再確認する。中国に譲れない、その意味で。しかし、わざわざ刺激する、そんなにしないような気がします」
朱教授
「中国は島は中国のものだと言うし、もちろん、ベトナムなども、そう主張しているのですけれども、海は、自由航行というのは、私達、建国60年以上、1度も、そこを、自由の航行を止めたことはないし、中国が対外貿易、アメリカ、日本よりももっと南シナ海に頼っているんですね。ですから、そこで…」
カルダー教授
「日本は石油の85%を中東から輸入をしていますので、南シナ海経由で」
朱教授
「中国も同じです。そういうところで自由航行というところは中国も含めて同じ。ですから、そういう意味で、アメリカが自由航行と称しながら結局、南シナ海、西太平洋においてアメリカがナンバー1だと、軍事的に覇権を持っているのだというようなことを中国に示していると、逆に中国でそう見られているのですけれども。だって、実際に自由航行というのは、阻害されたことが1度もない。それはどうしてですか?」
カルダー教授
「人工的に領土をつくってきて、それを認めることはしないと思います。従って、その周りの、周辺の海は中国の領土ということを認めないと思います」
反町キャスター
「朱さん、いわゆる島の領有権を中国が主張していると。その周りの、十二海里、領海の部分というのも、これも当然、領海として中国は主張するわけですよね?」
朱教授
「現在、中国は昨年の7月12日、いわゆる仲裁裁定が出て、12日中に、中国政府の声明が発表されたのですけれども、それは南沙諸島、あるいは西沙について、これ全体が島そのもので、これが中国の領土という主張なので、ですから、個々の島での12海里とかの話ではなく、要するに、群島国家というのはまさにその中は自分の内水とか、こういう主張なので」
反町キャスター
「もっと広い領有権を主張しているわけですよ。その島の周りの12海里、20km範囲の領海かなと思ったら、そうではなくて、実は島全体を全部、その全体を大陸が如く主張され、その全部が中国の領海。つまり、領土だと主張しているわけではないですか?」
朱教授
「ベトナムもまったく同じだけれども」
反町キャスター
「そこの部分というのは、要するに、航行の自由を将来的に妨げる懸念があるかどうかという、この1点ですよ」
朱教授
「それについて、まさにこれから関係諸国、領土や紛争は関係諸国ですけれども、自由航行、平和の確保というのは日本を含めて、当然、当時国ですから、日本もアメリカも中国もね。そういうところ、ルールを巡って話し合うと。そういうことが重要であって」
反町キャスター
「大前提として、この地域は我が中華人民共和国の領海ではあるけれど、通ってもいいよという、こういう交渉もあるのではないですか?」
朱教授
「領海というのは、結果的に…」
反町キャスター
「だって、公海ではない、公の海ではないのでしょう。中国は、そこは、自分の領土だと思っているわけでしょう?」
朱教授
「南シナ海において島があるところは、ちっぽけな、ちょっとしたところで、大半のところで、これを中国は1度もこれが領海とは主張していない」
反町キャスター
「先ほどの話と違うではないですか?」
朱教授
「今言ったのはあくまでも島と島の間というのは南沙諸島との間です。その間は暗礁、いろいろあるので、主要航路ではないですよ。航路のところについて、中国は自分の領海と主張したこともない。実際に日本、アメリカと一緒にこの航路の安全ということを共に話し合って、守って行くということも提案していると思います」
カルダー大学教授
「我々から見れば、その意見はだんだんそういう人工的な島のうえに、強化して、軍事の基地をつくるとか、それもその前の現象とかなり違う」
朱教授
「それについて米中がそれを巡って、トランプ新政権といろいろ話をしなければいけないのですけれども、中国から見ればここ数年、アメリカは中国の脅威やら、中国の動きを理由にして南シナ海にベトナム戦争以来の大量の軍艦、軍用機、ないし空母の出動。ですから、中国から見れば、アメリカがそれを利用して、ここの軍事化を進めているのではないかと。それに対して我々は警戒しないといけない」
薗浦議員
「少なくともあそこに九段線なるものを設定し、そこを自分の勢力下にすべて置こうとしている。これは事実です。あそこにある島々にまだ紛争下であるにも関わらず、いわゆる軍事力を背景にして出て行って、滑走路をつくる。いろいろなレーダーをつくるということをやっているのも事実ですね。ですから、果たして中国という国が法の支配を守るのか。朱さんがおっしゃったようなことを含め、将来的にそういう自由を守るのかという疑念を抱かざるを得ない。それも法律に基づかずに軍事力を背景にしてやっている。この現状というものを日米が非常に、日米どころか、フィリピン、ベトナムなどの周辺国が懸念をしている。先ほど、航行の自由を妨げたことがないとおっしゃいましたが、海洋法条約にそれぞれ領海で認められた権利、接続水域で認められた権利、EEZ、排他的経済水域の中で認められる権利、延長される大陸棚に認められる権利、さらには公海で認められる権利、全部細かく書いてあるんです。当然ここが我々の勢力圏だと、排他的経済水域なのだと主張されれば他国の活動というのはその分制限される。明白にわかっているわけですから。そういうことにまったく触れずに、ここはそんな自由を阻害するものではないという話と、自分の勢力圏を主張する話はまったく矛盾していると言わざるを得ない」

対中姿勢『緩和』か『強硬』か…
秋元キャスター
「トランプ大統領の中国に対する姿勢と言えば、カルダーさん、一つの中国政策ですとか、為替操作国について大統領に就任する前と後とでかなり発言に変化があるような気がするんですよね。そのあたりはどう見ていますか?」
カルダー教授
「大統領に就任される前、就任してからは外交の重要性、ワンチャイナの重要性をよく理解するようになってきて」
反町キャスター
「それは大統領就任前のワンチャイナポリシー、僕はそんなに何が必要なのかわからないよという、見直す可能性すら言ったあの発言を僕らは忘れていい?あれがトランプ大統領の本音とか、トランプ大統領の中国に対するチャレンジのカードだったということではなくて、つい言っちゃった?現在は全然そんなことは考えていない?」
カルダー教授
「『アウトオブザディール』という本も書きましてなんでも取引、先ほども言いましたようにこれは各論、時々、個別に話をした時、うまく説得できるように話をして、前の話と異なってもそんなに構わない。構わないよりも矛盾する場合はある」
朱教授
「大統領に就任して1か月間、トランプさんは予想以上にいろいろな壁、問題にぶつかって、そうすると、外交を全般的な、この総論と各論のことですけれど、現在、ちょっと総論を考える余裕がないです。そういう中で日本との関係、中国との関係、特に微妙な均衡の日米同盟、一つの中国の政策。その部分はとりあえず継承すると。そういう意味で、トランプさんがこれからもずっと各論でいくより、今後はこのアメリカファースト、経済優先、そういうところで、もうちょっと強く出てくる可能性があるのではないですか」
カルダー教授
「その意味で安倍総理とトランプ大統領の間のコミュニケーションは大変大事であると思います」
反町キャスター
「朱さんが、トランプ大統領はこれからだんだんアメリカファースト、経済重視の姿勢になるのではないですかという質問をカルダーさんにしましたが、これは中国が望むトランプ像であって、たとえば、アメリカが、南シナ海における法の支配を、たとえば、ファーストプライオリティだと言ってくるよりも、トランプ大統領は、我々はアメリカファーストだよ。経済重視だよ。中国さん、我々の何を、ボーイングを何機買ってくれるんだいと、こういうディールをしてくれる方が中国としてははるかにハッピーな米中関係ができるではないですか。中国が望む米中関係はそういうトランプ大統領を求めている、そう感じますか?」
薗浦議員
「中国のアプローチというのは、我々もよく考えなければいけませんけれども、少なくとも日米という同盟関係が現在、アジアだけではなく、世界においても平和と安定に寄与するものだと、安倍総理の言葉を借りれば希望の同盟。この価値というものが持つ意味というものを日米が協力している限り、そんなおかしな方向に流れることはないと思っています」
反町キャスター
「今回の日米首脳会談を終えて、フロリダから帰ってこられて、総理にここで20分ぐらい話を聞いた時、首脳会談と晩餐会と、2人でのゴルフの時の話の分け方、どうされたのですかという話をした時に、総理の話が、首脳会談というのは、要するに、いろいろな人もいるし、周りでいろいろな人が聞き耳を立てているからなかなか個別のことは言えないんだよと。晩御飯を食べる時もなかなか周りに人もいるから言えない。ゴルフの時には2人きりだから、そういう場では言えないような個別の首脳の話なんかも含めて、プライベートなことも含めて話ができたと、こう話をされました。つまり、どういうことかと言うと、トランプ大統領が中国の経済力にちらっと揺れそうになりそうな、雰囲気を出す感じにならないように、いや、中国というのはこういう国だよ、ないしは習近平主席というのは、こういう国だよということを、日本から見た中国像というものを、きちんとトランプ大統領に刷り込む機会だったのだろうなと僕は勝手に想像しているのですけれど、そこはどう感じますか?」
薗浦議員
「その場で、総理が2人きりで何を話したかはわかりませんが、僕自身の経験に基づいても、どこと会談をしても昼間はずらっ並ぶわけですよ。メモが出回るわけです。夕食会も一緒です。たとえば、ちょっとこの人と込み入った話をしなければいけないなとか、向こうがちょっと込み入った話をしたいなという時は、何と言ってくるかというと夕食が終わったあとにちょっとバーにもう一杯行かないかみたいなお誘いがくるわけです。そこで行く。当然、通訳さんがいることもありますし、通訳なしでやることもありますけれども、その時には記録にも残らないわけですから、かなり突っ込んだ話をします。腹のうちを合わせあうというのでしょうか」

トランプ政権 『米国第一』
反町キャスター
「カルダーさん、アメリカファーストと中国から思われている時にアメリカにとってのアメリカファーストとはどういうことなのですか?」
カルダー教授
「本格的に経済優先だと思います。要するに、ジョブ、ジョブファースト、雇用。特に中西部、失業率もかなり高い。長い間、経済が鈍化している。トランプ大統領の基盤、ペンシルバニア、ウィスコンシン州、ミシガン州のおかげで大統領になりました。雇用を増やせば、その国を優先する可能性も十分にある、日本と中国、競争させても」
反町キャスター
「アメリカが?」
カルダー教授
「ではないですか。まず孫正義氏とか、いろんな人に相談をして、それでアリババのジャック・マー氏を呼んで、2人からそういう、雇用をどうできるか競争させたと思います」
反町キャスター
「朱さん、どう思いますか?要するに、アメリカは日本と中国を両方、天秤にどちらがアメリカの雇用を増やしてくれるんだい、プレゼンしてくれよ、両方の国。そういう感じに見えますか?」
朱教授
「全般的なアメリカの外交戦略においては、日本とは同盟関係、そこは、中国とは軽重の差はあると思いますけれど、経済面でアメリカ優先にして、それで日本と中国を競争させて。だって、日本も今回、安倍首相は新幹線をアメリカに売り込みたいと。中国も同様にアメリカに売り込みたいというわけですね。ですから、そういうようなところで、アメリカのトランプ大統領としては日中を競争させ、他のカード、一時期、台湾のカード。他にこれからおそらく中国との間にも、またいろんなカードがありますし、経済面で譲歩を引き出すと。そういう意味で、日本に対して日米同盟というのは、日本を安心させて、では、経済面で実はちょっと譲ってくれと。そういうようなところが、あるのではないかと思います」
反町キャスター
「安保でしっかりやってくれそうだから安心してはいけないよと。アメリカは日中を天秤にかけるかもしれないよという話にも聞こえます、どうですか?」
薗浦議員
「だから、最初に安保をとったんです」
反町キャスター
「日本はね?」
薗浦議員
「はい。まず安保をまず取る。安全保障を確立させる。そこが立つ。では、経済の話をしましょうというところになった」
反町キャスター
「先に安保をとって経済の話になるか。先に安保を向こうにしてみれば、先払いをして、あとこちらに払ってねという、ニュアンスが全然違うのですけれど、そこはどうなのですか?」
薗浦議員
「いや、先に安保が固まったということです。経済に関して言えば、これまでの積み重ねがありますし、当然いろんなレベルで、いろんなことをやっていますけれども、たとえば、アメリカ国内への投資残高というのはイギリスに次いで日本が世界で2番目。ヨーロッパの国がその次にくるわけです。製造業の雇用者というのは、日本企業はすごく多いです。まさにトランプさんが寄って立つところ。ラストベルトと呼ばれているところも日本の企業は出てきて多くの雇用を生み出しているというのは、非常にこれまでの積み重ねてきたことがありますので、そこは我々、非常に説明して理解をしてもらえば、日本企業はどれだけ雇用を生み出しているかというのをわかってもらえるのではないかと思いますし、現実に周辺にいる人達の多くは、そうだよね、という声を、僕自身、たくさん聞いていますので」
反町キャスター
「今度、何を言わんとしているかというと、アメリカが両方を、鵜飼の鵜場みたいに、中国と日本をこうやって、こう泳がせて、どちらがたくさんアユを持ってくるの、がんばってね、と言われるのも、これもまた日中にとって良くないかもしれない。では、日中で話し合って、アメリカにどうするかという対米の、これは安全保障ではなく、経済面における対米の日中連携というのか、調整というか、そういう可能性もそこに出てくるのかどうか、ここはどう感じますか?」
薗浦議員
「TPPを含め、TPPが大事だというのが我々の立場ですが、非常にバイの関係、1対1の関係を重視されている方なので、逆にこちらが何か組んで何かやってきたということがうまくいくかどうか、非常にリスキーですよね、現在の状況を見ていると」
反町キャスター
「対米経済協力における日中の調整は視野に入れない方がいい?」
薗浦議員
「組んでやるような話ではないと思います」
反町キャスター
「中国にしてみてはどうなのですか?」
朱教授
「日中がアメリカ進出で手を組むということはないと思いますけれども。しかし、中国は、たとえば、イギリス、フランスと組んで一緒にアフリカに進出すると。そういうようなところで、日中が東南アジアを含めて、できると思います」

日・米・中の『あるべき姿』
反町キャスター
「現在、RCEPの協議を神戸でやっていますよね」
薗浦議員
「神戸に行く前に、首席交渉官に全員、外務省に来ていただいて、僕は全員と話をしたんです。とにかく自由貿易、我々にとって非常に大事なことですから、自由貿易を守らなければいけない。RCEP(東アジア地域包括的経済連携)が完成すれば世界の人口の半分、GDP(国内総生産)3割という経済圏が誕生するわけですから、これはやろうと。ただし、あまりレベルの低いものをつくっても意味がないですから、どうせやるなら、レベルの高いものをつくってくれという話をしたんです。全首席交渉官がハイクオリティ、要は、質の高いものをと言っていましたので、中国も。意欲的に交渉をやってくれているではないかと思います。その分、ハードルが高いですけれども」

巨龍・中国が睨む将来は…
反町キャスター
「中国が開放、透明、包摂に満ちた経済体制を持っているかはまったく別の話として、そういうことを中国の主席が国際会議の場で言うということを、アメリカはそれを容認するのですか?」
カルダー教授
「どちらかと言うと、8年間というかなり長く総論しか考えていないアメリカの大統領がどのくらいアメリカの雇用を実際に重視していたか。トランプ大統領になって、どちらかと言うと、総論から各論、各論重視の時代に入ってきたような気がします。完全にそうとは限らない、まだTPP支持者がかなりいて、それを拒否したことでがっかりしている。それで中国が総論を進めるのは、4割ぐらいはなかなかいいではないですか、総論としては。ただ、実際に中国はそれを実現できるか。たとえば、知的所有権、あるいは我々米企業、外資系企業を受けつけているかどうか」

北朝鮮めぐる米中の対応は…
秋元キャスター
「金正男氏の暗殺を巡る疑惑について、国際世論も厳しい風向きとなる中で、中国は今後どういう行動をとっていくのでしょうか?」
朱教授
「現時点で中国はストレートに北朝鮮を非難していません。マレーシアの発表を待つのですけれども、マレーシア側が容疑者とみなした4人の北朝鮮国籍の人は、マレーシアからインドネシア、中東、ロシアのウラジオストックを経由して戻ったわけですね。言ってみれば、中国を避けて戻ったということは中国がこの件で怒るということはある意味でわかっていたわけです。直後に中国は今回、石炭輸入のことを今年いっぱい止めるという意味で強烈な不満を示したのは間違いありません。国連安保理の制裁決議、石炭について昨年の11月に出されたもので、その後の2、3か月、一定の輸入はしたのだけれど、ノルマには達していないです。中国はそれを理由に、それを止め、一方、北朝鮮から強烈な中国批判、中国はあのアメリカと組んで、非人道的な対北朝鮮政策をやっていると。そのような批判をしたことを見れば、中国は今回の金正男暗殺のことで、現在の北のトップの行動というのが正直言って、正気を失っていると。張成沢の殺害を含め、このような親族を、21世紀の時期に、これまでは中国の保護下で北京とマカオ、今度は抜け出した瞬間、そこで殺されるということは中国の面子もあるし、何と言ってもこの政権がまともな政策ができるのかと。中国国内でも、北朝鮮は中国流の改革開放政策を、我々は望んできたのですけれども、できないのではないかと。もっと厳しい対策をとれというような声も出ています」
反町キャスター
「中国は国力が増す中で、北朝鮮をどこまで守るのかと言うと、中国にとっての北朝鮮の重要性、明らかに低下している、という意味でよろしいですか?」
朱教授
「間違いなく、かつてのような、いわゆる緩衝地帯というような考えは、中国の指導部のハイレベルではもう考えなくなったと思いますね」

ケント・カルダー ジョンズ・ホプキンス大学教授の提言『U.S.-JAPAN ALLIANCE PLUS-』
カルダー教授
「一般的に各論政権ですけれど、日米同盟を総論の珍しいものとして再確認。プラスというのは、雇用、中西部に対する日米協力、中国との安定。コミュニケーション、譲ることではなくて、コミュニケーションが大事だと思っています」

朱建榮 東洋学園大学教授の提言 『冷戦思考から共同作業へ』
朱教授
「冷戦思考から脱却して、日米中の共同作業というところが重要ではないかなと思います。特に北朝鮮の問題に関して、実は北朝鮮は国力が弱いけれど、ここまで大きくみせて脅威になっているのは、大国同士が喧嘩しているから。関係諸国が歩調を合わせるということ。南シナ海のことでも、中国とフィリピンが最近、海上警備で共同作業をやると。これから日米中などで東アジアのシーレーンなどいろんなところで、具体的テーマで協力するというところから始めなければいけないのではないかと思います」

薗浦健太郎 自由民主党外副大臣の提言 『王道』
薗浦議員
「奇をてらうのではなくて、軍事力を背景にした覇道を歩むのではなく、それぞれがそれぞれの役割をわかって、話し合うことによって、様々な問題を解決していくという、この道を我々が主導して進んでいきたいと考えています」