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2017年2月22日(水)
北朝鮮の核・ミサイル 実戦配備は最終段階?

ゲスト

若宮健嗣
防衛副大臣 自由民主党衆議院議員
武貞秀士
拓殖大学海外事情研究所特任教授
古川勝久
駿河台大学経済経営学部専任講師
岡部いさく
軍事評論家

若宮防衛副大臣に問う PKO日報めぐる問題
秋元キャスター
「今日のテーマであります北朝鮮の核ミサイルの開発問題を聞く前に、国会で大きな問題となっています南スーダンPKO(国際連合平和維持活動)の日報を巡る問題について若宮副大臣に聞いていきます。まず一連の経緯をおさらいしますと昨年7月に自衛隊が派遣されている南スーダンの首都ジュバで、大統領派と第一副大統領派の対立による内戦が激化しました。9月にフリージャーナリストが当時の自衛隊の日報を開示するよう防衛省に請求したのですけれども、12月2日、防衛省は廃棄済みだということを理由に不開示を決定しました。しかし、26日になって防衛省は日報の電子データがあったことを把握しました。電子データの存在を稲田大臣に報告したのが1か月後の1月27日でした。今月に入って日報の一部が公表されたのですけれども、そこには『戦闘が生起した』と書かれています。これがおおまかな経緯ですが、廃棄済みとしていたデータが残っていて、さらに大臣への報告が1か月遅れたこと。その日報の中に『戦闘』という言葉が使われたということで、国会で大きな問題になったわけですが、まずは若宮さん、この一連の防衛省の対応をどのように感じていますか?」
若宮議員
「ご案内いただきましたように、10月3日、それから、今年2月の7日に至るまでの経緯もまったくご案内の通りだと思っています。この日報と申しますのは、実際には1年間保存期間を指定されたものでして、廃棄というのは適法に行われたもので、1年未満の文書ということに、まず該当いたしています。それから、ご指摘ありました7月の件でございますけれども、この7月の件については用済み後の廃棄になっていますので、本来ならば廃棄をされていてもおかしくない書類でございました。これが実際のところは、この作成元というのが、南スーダンの、現地の部隊の者がつくりまして、これを派遣部隊から、いわゆる中央即応集団というところに、この日報を、今日1日、こういった活動をしました、こういった業務でしたということで報告を上げるというわけですね。中央即応集団ではこれをモーニングリポートという形で取りまとめをいたしまして、これを、また、上げる形になっています。こういった日報に関して、毎日毎日、正直申しまして、各部隊全ての、この日報はそれぞれの部署に上げてくることになりますので、それを何もかも全部見て、それぞれの部署が、司、司で見るかというわけにはいきませんので、ある意味、その日報を集約してエキスとなったものを、それぞれの上に上げていくという形がなされていたわけです。先ほど、ご紹介いただきました、この10月3日の日に開示の請求がありまして、ない、ということで不開示を12月2日にしたわけですけれども、実際に本当にどこにもなかったのということを逆に大臣からもう1回、徹底的に、確かに現場にもなかったわけですけれども、どこかになかったのかということで、もう1回大臣から指示が出まして、それで一斉にどこかしらないのかということで徹底的に調べましたから、これが資料が発見されたのが、12月26日であったということになりました。確かに、この12月26日に発見されましてから、大臣に報告が上がったのが、よくご指摘されます、また今日も委員会等で1か月ほどの間があったと。なぜ1か月もかかってしまったのかというようなご意見も出ていますけれども、これはなかなか内部で、大臣への報告となりますと、これは万全の準備をして、ある意味、これは公開できる部分、公開できない部分という、いわゆる黒塗りと言われている部分があります。そこへの対応をきちんとしたうえで報告書に上げなければ、大臣への報告にはならないだろうということで、慎重に進めていたのですが、それにはちょっと時間がかかってしまったということは、これはちょっと過度に意識をし過ぎてしまったのかなという私は思いをしていますので、これからは節目、節目で、スピーディな対応をしていかなければいけないのかなということで、防衛省職員に対しては大臣からも厳重な注意がなされていまして、必要最小限度のことであれば迅速に報告をしなさいという指示が出ているようなところです。ですから、巷で言われていますような、たとえば、隠蔽をしたとか、そういったことはまったくありません。逆に稲田大臣自らが、あるものだったらどこかにあるのだろうから探しなさい、という命令を下したような状態ですので、そこのところは皆さま方にもちょっと間違って、もしかすると、ご理解をしてしまっている部分があるのかも知れませんので、私からも申し上げておきたいなと思っているところです」

『戦闘』と『武力衝突』
秋元キャスター
「この日報に関して、もう1つの問題になっているのが、『戦闘』という言葉についての稲田大臣の答弁ですけれど、『日報にある戦闘という言葉は、一般的な用語で使われている。人を殺傷し、物を破壊する行為である武力衝突があったが、法的な意味での戦闘行為ではない。戦闘行為が仮に行われたとすれば、憲法9条の問題になる。9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている』と稲田さんは述べているわけですけれども、若宮さん、どういう状態が法的な意味での戦闘行為ということになるのでしょうか?」
若宮議員
「たぶんテレビを観ている方も非常にわかりにくいと思うんですね。皆さんもなかなかわかりにくいと思うのですが、戦闘という言葉そのもの自体ですね、これがどういった定義なのかとこう言われますと、これは一義的に確立された定義というものは正直言ってないというのが現状です。これは文脈によりまして、それぞれの解釈というところが異なり得るというのがありますものですから、これを一概に戦闘という表現が出たからといって、どこまでの範囲を定義づけとなるのかというのは、非常に解釈のしようがないというもが正直なところですね。それで実際に見た現場では、とは言っても、戦闘と書いて報告書に載っているではないかということが、これが、たとえば、実際に現場の部隊である場面を見た時に多少なりとも銃撃戦が行われたのか、あるいはどのレベルなのか、あるいは殴り合いだったのか、あるいはそれが何人ぐらいの規模なのかとか。また、それがあるいは国、または国家に準ずる組織の間において行われたのか。一部の仲間うちでなされたのか。こういったところも非常にパッと見のところでは、皆さんが制服、こちらは制服着ています、こちらは制服を着ていませんとなっているわけですよ」
反町キャスター
「その部分というのはこういう部分になっていますよね。ジュバ市内でのSPLAとSPLA-iOとの戦闘が生起したことから、宿営地周辺での射撃事案に伴う流れ弾への巻き込まれ、云々かんぬんと続いていく。SPLAとSPLA-iOというのは、政府軍と元反政府軍という定義にはなっている。ようするに、よくこの議論になる。戦闘行為という言葉でいう国及び国に準ずるという、国と国との正規軍同士の戦いではないのだよということにこだわるかどうかが、ここで稲田さんが国会で散々言われた、突っ込まれた、戦闘行為という言葉を使うか、使わないか、ここの部分ですよね?」
若宮議員
「はい」
反町キャスター
「要するに、政府が戦闘行為という言葉にこだわる理由は、野党もそうかもしれません。戦闘行為だというのにこだわる理由というのは、まさに稲田さんも大臣として正直にお話になっている、9条との兼ね合いですよね。憲法9条において、国の交戦権の問題がある中で戦闘行為に加担するとなると交戦権を認めるのかどうかという、憲法に抵触するから、戦闘行為という言葉は日本にあってはいけないものというのが、政府の立場ということでよろしいですよね?」
若宮議員
「いや、そういうのでなく、戦闘というのが実際には確かにどういった形を…。この戦闘と言い、どういった形が衝突か、これが非常に難しいと思います。なかなか難しいと思います。私どもが南スーダンに派遣をしている部隊は、私も実は1月に行ってきましたけれども、基本的には施設部隊なのですが、戦う部隊では一切ありませんが、PKOの部隊として参加をしているということに対しては、この参加5原則というのが、まず守られているかどうか、満たされているかどうか。この5原則の中に、様々5つ要素があるわけですけれども、5原則が大前提でありますけれども、ただ、5原則を満たしていたとしても安全が確保されていて、かつそこで意義のある活動が確実にできるかどうかと。もしできないとなった場合では、これは戦闘であろうが、何であろうが、中がぐちゃぐちゃになるし、自衛隊の隊員の皆さん、施設部隊ですから実際に道路をつくっている。あるいはいろんな設備をつくっている。設備をつくれる状況にはないなと私どもが判断した場合には、撤収するとなっていますので、ですから、あまり戦闘という言葉自体が、この現場で使われた、確かに日報では使われていましたが、言葉自体にはそれほど現場の隊員がそのニュアンスで書いたものという認識で受け止めていただければなと思っています」
反町キャスター
「稲田さんのこの説明、9条上の問題のある言葉を使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている。それはどういうことなのですか?それは、僕が先ほど言ったような憲法の抵触に、憲法9条との兼ね合いで、政府としての発言は戦闘という言葉は使ってはいけない。それは9条に抵触するので使いたくない。そういうことではないのですか?」
若宮議員
「はい。もちろん、憲法9条の話がありますので、そのあたりは確かに戦闘に加担するわけには行かないというのは、ご承知のところだと思います。そういった意味で、たぶん大臣もニュアンスでおっしゃられたのではないかなと私はご本人ではないですから、そこまではわかりませんけれども、いずれにしましても我々が認識するのは、現状の現場の報告は確かにそうあるけれども、先ほど申しましたように、それを集約して、まとめて、あるいは現場の報告のみならず近隣諸国、あるいはPKOにまず出している部隊というのは世界で62か国ほど出しています、様々な国々からの情報を収集して分析したうえで、PKO部隊として、自衛隊が現在出せる状況にあるかどうか。活動できる状態にあるのかどうかというのを判断していますので、そこのところをご理解いただければなとは思っています」
反町キャスター
「若宮さん、武力衝突は戦闘かという、その言葉の、どちらが良いとか、正しいとかを聞くつもりはないですよ。ただ、現場の人間が戦闘状態、戦闘だと感じているものが、政府に上がってくる限りにおいては、国会での答弁に至るにあたっては、これは法律上、憲法議論上のまずい表現だから、武力衝突にすり替えようという、このプロセスが今回、ここにあったという前提に立った場合、現地に何らかの紛争事態が生じた時に、これは戦闘なのか、武力衝突なのか、そういうことも全部含め、どの程度の危険な状態なのかということに対する言葉の物差しの度合が混乱するのではないか。要するに、本当に自衛隊が撤退すべきかどうかというのは、別に戦闘状態か、武力衝突かということで決めるかどうかということではなくて、現地における部隊が安全にやるべきことができるかどうかという物差しではかるという中で、その中において、武力衝突か、戦闘状態かという言葉にかまけ過ぎることが、政府の答弁がですよ。結果的に現場の状況をきちんと国民ないし永田町において共有するプロセスに阻害が出ませんかとそこを心配しているんです。いかがですか?」
若宮議員
「ご指摘の点もわかるのですが、どちらかと言うと、その言葉がどうであるかというのをご質問なさっているのは野党の先生方に多いですね。私どもとしては、まさにおっしゃるように、本当に出せる状態、あるいは活動できる状態であるかどうか、これに尽きます。これで大丈夫だと言えば、もちろん、半年間の期間として、現在11次隊が出ていますけれども、私自身が実際に1月に見てきました、道路をつくっている現場の最先端のところまで、もちろん、ジュバの市街地を出まして見てきました。見てきまして実際に現状を見た時にまったく心配ない状況ですね。街の中に戻って、歩いて、車で帰ってくる時も、女性の皆さん方は華やかな格好をして、お子様の手をつないで歩いていらっしゃる。あるいは買い物もするにも、商店街の中にも結構、商店の品物が揃っていて、そこで買い物を楽しんでいらっしゃる夕刻の時間にあの方々の日常があるわけなので、これなら別にそれほど何かあるというわけではないと。ただ、もちろん、いつ何があるかわかりませんので、そういったところは十二分に注意をしながら、もちろん、先ほど申し上げたように、様々な国々からの情報もいただきながら、本当に毎日のように、私どもも現地からの報告を聞いていますし、それから、情勢分析もしておりますし、本当に毎日毎日、確実に大丈夫というのを確認したうえで行っていますので、その点は是非、ちょっと言葉の行ったり来たりにあまり時間を使うことよりも、本質的なところに議論を持っていっていただければなというのが正直なところではありますね」

北朝鮮『核・ミサイル』『北極星2号』の新技術
秋元キャスター
「まずは今月12日に北朝鮮が発射しました新型の弾道ミサイル北極星2号が、これまでとどこがどう違うのか、その脅威について聞いていきたいと思います。弾道ミサイル北極星2号は北朝鮮北西部の亀城から打ち上げられまして、高度およそ500キロまで上昇して、500キロほど飛行をした後、日本海に落下したと見られています。朝鮮中央通信によりますと今回の弾道ミサイルは潜水艦発射弾道ミサイルSLBMの射程を延長して開発したもので、大出力固体燃料エンジンを採用していて新開発した発射台付き車両から発射したとしています。まず若宮さん、今回の新型弾道ミサイル北極星2号の打ち上げを防衛省はどのように受け止めているのでしょうか?」
若宮議員
「労働新聞が発表した映像、画像から判断をしますと、移動できる、いわゆるテレと言われるキャタピラ式の発射台付きの車両から発射されたということと、それから、いったん発射管から空中に、ミサイルがちょっと射出をされ、そのあとに点火をするという、いわゆるコールドローンチシステムという、この運用に成功しているなというのは明らかに見てとれるというのが言えると思います。また、煙の出方から、固体燃料のエンジンの特徴であるということが見てとれるなというのが、私どもで分析をされている状況です。そうした状況で飛翔距離、だいたい高さ500キロ、だいたい距離も500キロ飛んだと現在出されていますけれども、明らかに固体燃料を使用した新型の地上発射型の弾道ミサイルではなかったのかなと考えているところです。こういった形で昨年も二十何発以上、撃ち込んでいますけれども。先ほど、ご紹介がありましたように、潜水艦から撃つ、あるいは移動式のテルから撃つ。それから、先ほども申しましたけれども、固体燃料というのが、岡部さんが1番お詳しいのですけれども、燃料を注入すると燃料注入する時間もかかりますし、注入をしている時間、その場所にミサイルを置いておかなければいけませんので、ある意味では、把握しやすいところがある。固定式ですと、それが移動式であれば、特に注入してから、燃料が建物であれば、幾日かの時間の制約がありますので、ある段階では撃たなければならないというのがありますけれど、固定型の場合はいつどこからでも移動しながら、たとえば、トンネルとか、森の中とか、隠しておいて、スッと出てきて、スッと準備をして、ボンと撃ち上げるということが可能になってきますので、そういった意味では、潜水艦からの発射ということも含めまして、北朝鮮の技術が非常に高度化、進歩が早いなというのを率直に感じているところです」
秋元キャスター
「武貞さん、北朝鮮はなぜこのタイミングで発射をしたのですか?この時期とか、狙いとか、どう感じますか?」
武貞特任教授
「新型ミサイル、これも兵器ですから軍事的な目的が第一にあって、政治的な副産物を狙ったとみなければならないですね。軍事的な目的というのはSLBM、潜水艦型弾道ミサイルを何とか完成させて、究極の核戦力ですからね。戦略爆撃機、大陸間弾道弾ミサイルよりもはるかに見つけにくいし、防ぎにくい点で究極的にワシントン、ニューヨークを焼け野原にする能力を、SLBMで持つことによって、米朝、これは戦争をやめようねと。関係正常化、在韓米軍撤退、韓国を北朝鮮主導で統一という戦略の中で、ずっとやってきたことですよね。それで私は昨年9月に朝鮮人民軍武力装備館、武装装備館というところが平壌にあるのですけれども、見学する機会があったんです、日本の国会議員の方と一緒に。驚いたのは金日成の言葉と書いて、大きな看板、大きく新しく書いた看板だったのですけれども、潜水艦は海の王様だ、金日成、と書いてあるんです。北朝鮮の人民武力部がこれは明らかに潜水艦を集中的に技術改良して、SLBMをつくって、アメリカとほとんど対等の核戦力、弾頭で数は同じにはいきませんが、アメリカが、ワシントン、ニューヨークに弾が届いたら嫌だなと思う条件をつくり出して、ほとんど労せずして韓国を軍事的に獲っちゃおうという構想があると、その看板を見た時に思いました。その一環として昨年から特にSLBMの実験を繰り返し、先ほどおっしゃられたコールドローンチという、ガスで途中まで上げて、それから、点火をするという方法で、陸上から打ち上げたわけですね。潜水艦では水中から点火するわけにいきませんから、そのまま応用できるSLBMの能力は、ほとんど彼らは完成したと思いますよ」
反町キャスター
「固形燃料の意味と、いわゆるキャタピラがついてる車に載っかっている意味、この2つ、どういう意味なのですか?」
岡部氏
「何しろ発射準備が早くて済む。それから、長期保存が効くということですよね。ミサイルの中に燃料がそもそも詰まっていますから。そのまま保管しといていい。燃料を別に置いておいて、あとで注入するという、手間が要らない。アメリカ、北朝鮮問題のシンクタンクのサーティエイトノースが言っていましたけれども、ノドンだと発射準備に30分から60分かかるだろうと。ところが、今度の北極星2号は5分で済むという分析があるんですね。ですから、車両が発射位置について、これまでノドンだと30分から60分ぐらい、準備をしなければならない。その間にうまく航空機なり、偵察衛星なりで(発射台を)見つけて、そこに届くように攻撃手段があれば、発射前にノドンを破壊することができますけれども、今回はそれが5分しかないということですね」
反町キャスター
「後、車台の方はどうなんですか。
岡部氏
「当然、このキャタピラですから。道以外のところも走れる。もちろん、戦車みたいに、山を越えたりとか、そういう乱暴な動きはできないでしょうけれども、舗装状態の悪い道なんかでも、かなりデコボコした道でも走れると。それと、今まで言われていることですけれども、アメリカが北朝鮮の道路をよく調べていて、ノドンとか、ムスダンとか、ああいう大きな発射車両が通れるような道、そういう車両が通れる道からつながっているミサイルの発射場になりそうな場所というのを全て調べて上げているという話があるわけですね。ところが、今回、このキャタピラ式の発射車両になってくると、それ以外のところから撃ってくる可能性がある。これまで知られていた道以外のルートを通るかもしれない。事前に、このミサイルが、どこに展開をして発射準備に入るかというのも掴みにくくなってくるですね」

日本防衛の課題は?
秋元キャスター
「北朝鮮の核ミサイル開発に対して日本や韓国の防衛システムは大丈夫なのか。非常に心配になってくるわけですけれども、現在、日本は日本に向かう弾道ミサイルをレーダーが探知したあと、イージス艦から発射するSM-3ブロック1A迎撃ミサイルと、地上に展開するPAC-3の、この2段構えで迎撃するシステムを配備しています。一方、アメリカ軍は韓国国内に最新鋭ミサイル迎撃システムTHAADの配備を年内に予定をしているということですが、今後、日本や韓国のこうしたシステムで北朝鮮のミサイル攻撃に十分に対応できるのでしょうか?」
岡部氏
「今回の北極星2号が、射程が1200キロ、ノドンクラスだと思うと、一応SM-3ブロック1Aの迎撃能力の範囲以内には入ります。ですから、発射されたミサイルをうまく探知して捕捉できれば、SM-3ブロック1Aで対処することは、技術的に、性能的には可能です。それよりもっと高度を高く上がってきて、いわゆるロフテッド軌道で、高くから落ちてくると思われるムスダンというミサイルがありますよね。それに対して迎撃が可能になるSM-3ブロック2Aという新型があるんです、日米共同開発して。確か1月に迎撃試験に成功していますし、確か既に予算要求にも調達(予算)が早くも入っている」
反町キャスター
「入っているのですか?」
若宮議員
「入っています」
反町キャスター
「それは配備に向けた?それとも実験とか。研究段階?」
岡部氏
「いえ、現在やっと迎撃テストに成功したのですけれども、既に調達の予算が入っている」
反町キャスター
「韓国に配備されるTHAADと今度の新しいブロック2Aの比較をするとどうなるのですか?」
岡部氏
「これが、実は、比較というのか、迎撃範囲が違うんですよ。SM-3のブロック1A、2Aというのは大気圏の外で迎撃するんです。ミサイルが上がってきた弾道のちょうどてっぺんのあたり、いわゆる中間段階を迎撃するのがSM-3シリーズなのですが、THAADというのは終末段階高高度防空ミサイルという訳でして、メーカーがよく言うのは、いわゆるエンドアトモスフェアリック。つまり、大気圏の1番外側の部分、宇宙と大気圏の境目ぐらいの高高度で迎撃すると。だから、SM-3が1番高いところ。次にTHAAD。1番低いところでPAC-3と。だから、THAADというのは3段構えの2段目になるわけですね」
反町キャスター
「日米韓のミサイル防衛の連携というものが進む中で、たとえば、韓国に展開するTHAADミサイルというのは、韓国を守るためだけなのか。アメリカに向けたミサイルも迎撃するのか。日本に向かうミサイル攻撃からも守るのか。別の言い方をすると日本に新たに展開するSM-3ブロック1Aないし2Aというもの、ないしはパトリオット、パトリオットはたぶん韓国のために役立つことはないでしょうけれども、そういう自国のためではない形でお互いに相互乗り入れというか、相互使用という可能性というのがあるのですか?」
若宮議員
「いまのところ具体的に配備したものが、どこをターゲットにするとか、どこを守るという明確なものというのが、これは申し上げられなくて、恐縮ですが」
岡部氏
「たとえば、SM-3シリーズは結構、防空範囲広いので、日本列島、たとえば、SM-3ブロック1A搭載のイージス艦が6隻あれば、全部カバーできる、というような図を発表しています。ですから、イージス艦の展開場所によっては朝鮮半島の上を迎撃範囲に含めて…」
反町キャスター
「韓半島のTHAADはどうなのですか?日本のために、それは在韓米軍との、韓国との握りもいろいろあるのでしょうけれども、それはどうなのですか?」
岡部氏
「THAADの防空範囲も結構、広いので、韓国南部にある場合には、迎撃可能範囲に九州とかの一部が入ることは考えられますね」
反町キャスター
「そうすると、あとは2国間、日韓の、相互信頼とか、軍事情報の共有とか、即時のオペレーションの同時性みたいな、そこの部分が」
岡部氏
「特にレーダー早期警戒情報をお互いどうやって融通し合えるのかというのがこれから難しくなってくるのかも知れません」
武貞特任教授
「その点ですけれど、イージス艦のデータが日本と韓国で共有していないし、イージス艦そのものが韓国は非常に限界がある、能力に限界があるところで、現在は日韓でGSOMIA(軍事情報包括保護協定)が機能するようになった。非常に限定的に日米韓で政策の調整とか、協議はできるけれども、実際の装備の運用で、運用と言うと日米韓3か国の同盟関係になるではないですか。韓国がそんなことに踏み切れないで結局、日韓の問題になってしまって」
岡部氏
「そこですよね。実際、昨年、日本のイージス艦、アメリカのイージス艦、韓国のイージス艦がそういうミサイル追跡テストというのをやっているんです、共同で。ただ、これはアメリカのイージス艦と韓国の、アメリカのイージス艦と日本のと。日本と韓国の間が直接つながっていなかったんですよね」
若宮議員
「おっしゃる通り、その部分は否めないと思います。それもあって昨年秋、GSOMIAの締結が無事されましたので、そういう意味では、一歩一歩前に進めていこうということで、日本と韓国の間で円滑かつ迅速な、速くなければ意味がありませんから、密な情報交換ができる状況をまずつくっていこうと。それで双方で、北朝鮮で何かしらの動きがあったならば、どちらかが情報を察知したなら、それを共有できる形になるのが望ましいのかなと思っています」

国連制裁の現状と課題
秋元キャスター
「北朝鮮への制裁、今回の中国の対応をどう見ていますか?」
古川氏
「非常に重要な姿勢の変化が見受けられると思います。ただ、1つ申し上げるなら、石炭輸入停止というのは昨年の3月に採択された安保理決議で原則禁止になっていましたので、1年かけてようやく中国が安保理決議をちゃんとやる気になったということで、時間がかかり過ぎというのは否めないのですが、これから重要なのは中国がしっかりと約束したことをやっていくことを、我々もモニターしていかなくてはいけません。たとえば、石炭が偽装されて、北朝鮮から別の商品のように流れるようなことがあれば、それは中国当局もしっかり貨物を検査しなくてはいけませんから。政策を表明したということと、実際に現場が本当に履行していることをしっかりとモニタリングしていくことには、まだまだ要注意事項があるのではないかと」
反町キャスター
「これによって北朝鮮は経済的打撃を受けるのですか?」
武貞特任教授
「北朝鮮の石炭の9割以上は中国向けてですから、打撃は大きいです。10億ドル余りのお金を中国に輸出する石炭で儲けていたんですね。輸出・輸入全部合わせて80億ドルぐらいしかないものを、中国に対して輸出する石炭で10億ドル稼いでいたというのは非常に大きな金額ですよね。ということを考えると、北朝鮮にとっては輸出産業としての石炭、厳しいですけれども、他の国に輸出するとか、いろいろと考える可能性は十分にありますから。ただ、中国の北朝鮮に対する厳しい姿勢が明らかになったと見て、安心していては重要なポイントを見誤ることになると思います」
反町キャスター
「厳しくなっているわけではないと見た方がいい?」
武貞特任教授
「まったくそうではないですね」
秋元キャスター
「国連の制裁を行っても、なぜ北朝鮮の核開発は止まらないのですか?」
古川氏
「安保理決議は書面では最大限のツールを加盟国に法律的に義務を課して、いろいろなことができるような枠組みをつくっているのですが、それを完全に履行するのは難しいですね。これは日本政府も含めて、できていないです。中でも、北朝鮮というのは、先進国からいろいろな市販品を買い集め、それを寧辺の施設に持ち込んでみたり、あるいは通常兵器に使う、また、弾道ミサイルのサブシステムつくるのに使うとか、我々が予想しない形で我々の製品を使うんですね。これを差し押さえるのが難しいです、北朝鮮を経済封鎖しているわけではないので。品目を決めて禁止していますから」
反町キャスター
「軍事転用されるかどうかはわからないということですか?」
古川氏
「電子機器類はかなりいろいろなものが使われています、北朝鮮の大量破壊計画に。それに関わっている北朝鮮の個人、企業及びカウンターパートになっている中国とか、東南アジア、あるいは台湾の企業、個人、取引に誰が関わっているのかをちゃんと調べて、それを摘発しなければいけないのですが、この体制がほとんどの国でできていません」
反町キャスター
「国でできていない?国連ではどういう体制なのですか?」
古川氏
「国連は安保理決議をつくるだけですので、それを履行するのは各国の義務です。そのためには国連法が必要になるので、そこがなかなか進まないと」
反町キャスター
「過去にチョンチョンガン号が摘発されました。国連が摘発したのですか?どういう経緯で摘発されたのですか?」
古川氏
「チョンチョンガン号というのは2013年7月にパナマ運河を通過している時に、パナマ政府によって拿捕されました。キューバから北朝鮮に向けて、大量の通常兵器を積んでいたと」
反町キャスター
「キューバから積んできた砂糖がたくさんあるのだという話でした」
古川氏
「大量の砂糖バックの下に、大量のコンテナが隠されていまして、そういった中から様々なMiG-21戦闘機の分解したパーツ、地対空ミサイルシステムから迫撃砲、様々な通常兵器が…」
反町キャスター
「キューバから北朝鮮に向けた武器の輸出だと判断されたのですか?」
古川氏
「そうですね。キューバは北朝鮮にリースしているだけという理由のわからない言い分を言っていましたけど、我々はこれを北朝鮮が自国で使用するか、あるいはパーツを分解して諸外国に販売するか、どちらかの目的で調達をはかったのだろうと見ています」
反町キャスター
「日本政府は、こういう怪しいと思った船を検査する体制は取れているのですか?」
古川氏
「それは取れています。ただし、もう少しできるだろうと思うことは個人的にはあります。たとえば、特定の船に非合法貨物が積まれている、あるいは非合法組織が運営している船に関しては、たとえば、アメリカは、米海軍が情報収集しまして、それを関係国に伝えたり、国際協力をうまくやっているのですが、日本の場合も自衛隊が電波傍受の能力等ありますから、もう少し海上保安庁などと共有して、非合法目的の貨物船というものを摘発することはできるのではないでしょうか」
反町キャスター
「若宮さん、そこの部分というのは自衛隊の検討課題なのですか?」
若宮議員
「現在の状況では、自衛隊としてはそこまでやっているわけではなくて、関係省庁と連携しながら、これからしっかりと取り組まなければいけないなと思っています」

古川勝久 元国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネル委員の提言 『制裁の完全履行、そして、対話も』
古川氏
「国連安保理決議というのを国内でもしっかり履行し、海外の国々もできるように協力する。さらに対話をちゃんとやる。制裁というのはあくまでも外交のためのツールですので、制裁のみでは限界があります」

武貞秀士 拓殖大学海外事情研究所特任教授の提言 『ミサイル能力 強化』
武貞特任教授
「攻撃を受けそうになった時、こちらも攻撃したらいいのではないかという、策源地攻撃の話がでましたが、私は持つべきだと思うんです。THAADとか、お金のかかるものを考えるのではなく、巡航ミサイル、空対地ミサイル、弾道ミサイル、これら全て韓国軍は持っているわけですから、隣の国からクレームをつけられることもないということで、攻撃能力を持つことによって、北朝鮮だけではなく、中国も念頭に入れて、攻撃をする能力を持つことが抑止力にもなると思います」