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2017年2月21日(火)
トランプ政権の黒幕… バノン氏の『世界観』

ゲスト

林芳正
自由民主党参議院議員 元防衛大臣
会田弘継
青山学院大学地球社会共生学部教授
八田真行
駿河台大学経済経営学部専任講師

トランプ大統領の『黒幕』 バノン首席戦略官とは
秋元キャスター
「スティーブ・バノン氏とはどういう人物なのか。まずは経歴を簡単に見ていきます。バノン氏は1953年、バージニア州のアイルランド系のブルーカラーの家庭に生まれまして、高校卒業後、海軍に入隊します。在籍中にバージニア工科大学を卒業し、名門ジョージタウン大学で国防学の修士号を取得します。1980年代にハーバードビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得しまして、ゴールドマン・サックスに入社します。退社後、会社を立ち上げて、メディア業界への出資で財を築き、ドキュメンタリー映画の制作にも乗り出します。そのような中、ネットの右派系ニュースサイト『ブライトバート・ニュース』の創始者でありますブライト・バート氏と知り合い、2012年から会長を務めることになります。昨年の夏、大統領選挙で、トランプ陣営の選挙対策本部の責任者に抜擢されて勝利に貢献、現在はトランプ政権の首席戦略官兼上級顧問を務めているという人物なのですが、まずは会田さん、こうした背景を持つバノン氏がトランプ氏と近くなる最初のきっかけはどんなところでしょうか?」
会田教授
「2011年にシチズンズユナイテッドという政治活動組織があるのですけれども、そこのトップの紹介で、トランプタワーに行って、直接、トランプさんと会った。何でかと言うと、当時、トランプさんは2012年の選挙に出ようかどうかを考えていた。シチズンズユナイテッドは大きな組織ですけれど、考え方が合うのではないかということで連れて行ったと思うんですね。そこでバノン氏は、この人は自分と考え方が近いと思った。おそらくトランプ氏もそう思ったのではないかと。なかなか難しいのですけれども、バノン氏というのは一種の知略家ですよね。日本的に言うと黒田官兵衛か何か、そういう軍師ですよね。この馬に乗って戦おうか。そういう感じがおそらくバノン氏。それから、トランプ氏にしてみれば、こいつ、使えるなと。こいつをうまく使えば天下が獲れるのではないかと。おそらくそういう気持ちがあったのだろうと。それが2011年のことですね」

トランプ大統領支持のメディア 『ブライトバート・ニュース』とは
秋元キャスター
「八田さん、ブライト・バート・ニュースとはどういうニュースサイトなのでしょうか?」
八田氏
「2007年に、話に出てきましたアンドリュー・ブライトバートという人が立ち上げたメディアですね。この人は日本でも日本版がありますけれども、ハフィントンポストというアリアナ・ハフィントンが始めたメディアで働いていた人で、ハフィントンポストというのはどちらかと言うとリベラルな論調なのですが、その右翼版をつくろう、保守版をつくろうということで立ち上げた。それで2012年に、バノン氏とどういう付き合いがあるかと言うと、バノン氏は初期から関わっているのですけれど、どうもオフィスを提供したようですね。バノン氏はお金があるので、それでそういう付き合いがあって、2012年に、ブライト・バートさんが亡くなっちゃうんです、心臓発作で。その後はバノン氏が取締役会の会長かな。もう1人、別の共同経営者がCEO(最高経営責任者)という感じでやったと。それでブライト・バートさんが仕切っていた頃は比較的保守本流な論調だったのですけど、バノン氏が引き継いでからかなり極端な、いわゆるこれから出てくると思われますけど、オルタナ右翼(オルトライト)的な方向に舵を切ったと。ですので、トランプ氏との付き合いという意味で、先生がおっしゃいましたけれども、かなり古いのですけれども、本格的に付き合い始めたのは、どうも2015年ぐらいにトランプ氏を支持すると、ブライト・バートがサイトとして。それで当時のライターとかがドンドン辞めるのですが、ともかくトランプ氏と心中ぐらいの勢いでプッシュしてもらったのが、関係が深まったきっかけだと思います」
反町キャスター
「先ほどの話を聞いていると、八田さん、2012年に、ブライトバート・ニュースの会長になった。それより以前から、資本的な、ないしはスポンサーをしていたと。その時に、会田さんの話だと、2011年に初めてあって、2012年の大統領選挙も視野にあったのでその頃からだんだん2人の肌合いが近くなってきた。だんだんブライトバート・ニュースという、ネットサイトの経営、主導権を握るようになる時期と、トランプ氏との距離感がずっと縮まってきたのか、一致していますよね。その過程というのは、会田さんに聞きます。トランプ大統領との距離が縮まってくる中で、ブライトバート・ニュースというのが、彼の中で、バノン氏の中に、これを使ってトランプキャンペーンを一発やってやろうという気持ちが出てきたと。こう見ていますか?」
会田教授
「メディアの役割というのが重要だというのは間違いなく、バノン氏は思っているし、トランプ氏も結局、この選挙というのを振り返ってみると、お金にしても、それから、人員にしても、クリントンより10分の1と俗に言われるぐらい劣っているわけですね。しかし、互角に戦っていく。その時にバノン氏はわかっているわけですね。つまり、メディアの力、それがいかに有効かと」

存在感増す新保守思想 『オルタナ右翼』とは?
秋元キャスター
「バノン氏ですけれども、このブライトバート・ニュースの会長、2012年から務めたわけですが、そのブライトバード・ニュースについて、ブライトバード・ニュースはオルタナ右翼のプラットホームだと発言をしているのですが、八田さん、このオルタナ右翼というのは何でしょう?説明していただけますか」
八田氏
「オルトライトというのですけれども、ライト、右翼、既存の主流派の、保守の主流派に対するオルタナティブ。だから、別の選択肢として出てきた考え方なのですが、よくわからないですね、はっきり言うと。一応こんなことですけれども、オルタナ右翼のツィートを、要するに、オルタナ右翼の人はどういうことを言っているかの分析した結果があって、だいたい4つぐらい彼らが重視する問題なのではないかと言われているんですね。反フェニミズム、女性の対する、ある種の蔑視ですよね。それから、反多文化主義というのは、実は反移民でありまして、他のイスラム圏の文化とかを。西洋の文化というのが重要だと。イスラム文化とかとの共存は良くないとう考え方ですね。反ポリティカル・コレクトネスというのは、ポリティカルにコレクトという言い方というのがメディアとかを支配していて、言いたいが言えない、本音が言えないと。そういうのに反対する考え方。特にそれが表れているのが白人の問題でして、白人が自分に誇りがあると言うと、すぐにレイシストと言われちゃうわけですけれど、黒人がそういうことを言っても、誰も怒らないわけではないか、白人はむしろ差別されているみたいな言い方で、大雑把に言いますと、これはかなり大雑把な言い方なのですが、オルタナ右翼というのはネオコン以外と考えるとわかりやすいのではないかと思うんですね。ネオコンというのは、日本でもネオコンで通っていますけれども、ネオコンサバティズムという考え方ですね。日本の中道右派と言えばよろしいのですかね。小さな政府であるとか、経済的、あるいは個人的な自由を重視するとか、あるいはTPPも推進するし、自由貿易とか、グローバリゼーションを推進するというそういうようなタイプの右派。こういう人達に対する鬱憤がいろんな形で溜まっていって、それに反対をする人達というのは緩く集まって、そういう人達を緩く名づけたのがオルタナ右翼と考えればいいのではないかと思います」
反町キャスター
「反、反というのを見ると、これまで世の中で守らなくてはいけないよと言われていた、きれいごとを全部ぶち壊し、はっきり言ってしまうと、低所得者の白人の本音を剥き出しにしたようなものの羅列に見えるのですけれども、いかがですか?」
八田氏
「でも、たとえば、グローバリゼーションというのは、特にアメリカはそうですけれども、グローバリゼーションで得をした人達というのは、いわゆるエリート層であるとか、エスタブリッシュメントと彼らが敵視している、ワシントンとか、西海岸、東海岸にいるお金持ちですね。損をした人達というのが結局、いわゆるラストベルトと言われる地帯にいるような白人の人達、労働者。彼らがこれまでアメリカの屋台骨を支えていたと、自分達は思っているわけです、製造業で。職と一緒に自分達の誇りもなくなっちゃった人達ですよ。彼らを代表する政治というのが、実はこの30年ぐらいなかった。実は共和党に対しても怒りが向いているわけです。民主党にも怒りが向いていて、要するに、中道右派とか、中道左派、どちらも割とネオコンですね、アメリカは。ここ30年ぐらい。だから、それに対するオルタナティブというのが必要とされていて、それで出てきたということだと思います」
反町キャスター
「このオルタナ右翼。バノン氏のやっていた、ニュースサイトの特徴はこういうところにあったと。この考え方によるニュースサイトが非常に広く支持を受けて、その思想を持った人達、バノン氏が現在の大統領の側近にいるという、この状況。現象としてどう感じますか?」
林議員
「ちょっと怖い感じがしますよね、一言で言うと。と言うのは、反ですから。反フェニミズムというと、代わりに、具体的にどうやっていくかということがあまりないんですね。だから、不満だったから、これまでポリティカルコレクトだと、黙っていたことを言わせてもらうというのはあるのだけれども、その後どうするのですかというところは、あまりこれからは見えてこないですし、オルタナ右翼という言葉自体、先ほど、ご説明があったように、まだ定義もあまりないです。ネオコンと言い出してから、それから定義ができているように、これまでではないと言うのが全部、ここに取りあえず入っている、みたいなところがあるので、そういう意味では、これまで、これまで大統領選に勝って良かったかもしれませんけれども、これから政策を実行していくわけですよね。政策を実行していくということは否定だけでは済まない。代わりにどうするかというのが必要になるので、その時にオルタナ右翼とか、バノンさんが言ってきたことと、これからやっていくことが衝突、もしくはやっていこうとしたら、違うからダメだと結局何も起きないから、と言うようなことになると非常に困るなという印象がありますね」

バノン氏と大統領選挙
秋元キャスター
「大統領選でのトランプ氏の支持率の推移なのですけれども、8月にトランプ氏がイスラム系の両親を持つ元アメリカ兵を中傷し、支持率が最低になったあとに、バノン氏が選挙対策本部の最高責任者に就任します。バノン氏の前の責任者は、トランプ氏に対して、暴言は慎んだ方がいいという方針だったのですけれども、バノン氏は暴言を解禁しました。支持率が再び上昇しまして、勝利になったということですけれども、会田さん、バノン氏はどういう戦略で勝利に導いたのか。この選挙戦における功績。どう見ていますか?」
会田教授
「彼をすごいと思うのは、既存のメディアの力を見事に見抜いたというのか、勝てるとそう思いなしたところがすごいなと。つまり、普通だったら怖くてやりませんよ。あれ以上に、たとえば、女性の問題もたくさん出てきました。その時に逆に攻勢に出る。クリントンの旦那のスキャンダルを持ち出して、普通そんなことをやったら、逆に、酷いことになったと思うのだけれども、彼はここが軍師たる所以と言うとおかしいですけれど、見事な決断力というか、それは褒めているわけではないですよ。アメリカの人達が、特に彼がターゲットにしている、忘れられた人々はアメリカの価値観なんか信じていないのだというところを見抜いたのだと思うんです、彼は。つまり、アメリカの価値を信じていれば、たとえば、イスラムのああいう問題が起きた時に、人々はそんなものは許さないと、それはアメリカらしくないとなるのだけれども、現在人々はアメリカらしいとは何なのと。もう我々がかつて信じていたアメリカの価値観はなくなっちゃっているではないか。彼が置かれている、その状況ですね。それは経済的、社会的な状況、それを掴めるのだったらという強い確信をバノン氏は持っていたのだろうという気がして本当に今回の選挙で1番驚いたところですね」
八田氏
「正直に言ってバノン氏は勝てるとは思っていなかったと思うんです。トランプ氏もそうですけれども、たまたま勝った。でも、いいところまではいけるとは思ってたと思うんですね。だから、先ほど、申し上げたのかもしれませんが、いわゆる中西部ラストベルトが痛めつけられていて、そこはたぶん民主党がそのへんの票の読みが甘かったですね。要するに、労働組合の勢力が強いから、伝統的に強いから、そこはきっと民主党が勝つだろうと思っていたのだけれども、もう民主党には堪えられない人が多く、あそこは確実に獲った。オハイオとかですね。スイング・ステートを確実に獲ったから勝ったのですけれども、要するに、得票数としては、全体としてトランプ氏はそんなに多くなかったわけで、だから、獲るべきところを、ピンポイントで獲った、それを嗅ぎつけたのは生まれ育ちだと思うんですよね。要するに、そういうバックグラウンド、労働者の、ブルーカラーの家を出た人ですから、たぶんいろいろな彼らの抱えている問題であるとか、荒廃ぶり、地域の。そういうのを肌で感じることができたのだと思いますね」
反町キャスター
「これはバノンさん本人に聞いてみないとわからないのですけれども、総得票で勝てないにしても勝つ方法があるということを考え抜いたら、あの作戦しかないですよ。カリフォルニアには行かないとか、ここは最後の最後に集中的に行ってひっくり返すことによってという、総得票数で少なくても勝つとしたら、この1点しかないという、そこを彼が考えた、これは想像の世界、だとすれば彼はまさに軍師かなと僕は思うんですけれども、それはどうですか?」
八田氏
「マイケル・ムーアが昨年、書いた文章が、実はまさしくその戦略を述べていて、勝つと。しかも、単にヒラリーがそうだから、逆張りで言うのではなく、ラストベルトをトランプ氏ががっちり押さえればスイング・ステートを抑えることは可能だと、ちゃんとやれば。そうすれば絶対に勝つのだと。だから、まずいぞという警告を何かに書いているんですね。だから、見る人、見るべき人は眼力のある人であればわかっていたはずですよ。だから、バノン氏はもちろん、僕は大したものだと思うのですけれども、見るべき人が見ればわかる。だから、逆に言うと、ある意味、民主党が膨大な量のお金とデータをつぎ込んだ割にちょっとお粗末だったなと思っているんです」
反町キャスター
「林さん、選挙期間中の、選対委員長の差し替えの部分ですよ。自分がワーッと言っていて、失言があって、あの時はイスラム教の人達に対する失言でしたね」
林議員
「そうですね」
反町キャスター
「そこでさらにトランプ氏は、弱気なやつは要らないのだと。さらに強気のものを持ってきてという、この彼の感覚と、そこにはまったバノン氏のタイミングをどう見ていますか?自身の選挙だったら、こういう選対本部長の差し替えは…」
林議員
「すごくハイリスク、ハイリターンの選択をトランプ氏はしたと後づけで言えば。だけど、普通そこまで行ったら、負けてもともとだからという発想ができたんだと思いますね。だから、マナフォートさんの、その前の時は割とこうやっていたんですね。言うことを聞いて、まともなことを言って皆が安心をするけれども、露出が減るわけですよね。それは面白いことを言わないからニュースにならないし、大統領選挙中ですから。だから、結局、そこはトランプ氏もわかって、もう少し荒れ球を投げるということは彼自身も思ったのかなと。それから、先ほどの話、アメリカは50しか州がないので、どこをどれぐらい獲れば、過半数を超えるというのは単純な算数ですね。だから、むしろそこがすごかったというよりは、先ほどおっしゃっていたように、もう1回めちゃくちゃ言わせて、その注目を引いて、要するに、露出するという戦略に戻って、バノンさんがわかっていたのは、トランプさんも本能的にわかっていたと思いますけれども、それで酷いやつだと言って失う票よりも、露出して、何かをやってくれそうだと思う方が多いと、わかっていたのだと思うですね。だから、隠れトランプという言葉がありますけれども、当時それはなかったわけですね。だけど、確かに普通の全米ネットのテレビ局や何かがやっている世論調査と、ネットでやっている調査は当時から違っていたわけですね。だから、こちらの方が、たぶん本音なのではないかというのを、バノンさんはわかっていたのではないかなと私は思うんですね。だから、こちらを獲れば、ここで負けていても、いけるかもしれないと。一か八かで勝負をかけたということではないかと思うんです」
反町キャスター
「そう考えると、選挙戦における彼のメディアにおける露出というのは、もう完全に批判されて、批判されるために出るみたいな」
林議員
「普通のことを言っていると、その出た瞬間に露出が終わるのですけれど、たとえば、テレビに出なくても変なことをツイートすれば、それがニュースになって、それでなぜこんなことをツイートしたのですかで、もう1回出るわけですね。それは全部タダですよね。だから、そういうのを敢えて選択したと見てもおかしくはないのではないかと」
秋元キャスター
「いわゆる炎上商法みたいなものですか?」
林議員
「そうそう、まさに」

バノン氏台頭のワケ
秋元キャスター
「トランプ大統領は大統領令を連発してきましたが、背後にバノン氏の影響があると思いますか?」
会田教授
「それはいろんな報道にも出ているし、いろんな人が証言していることですから、彼がこういったものを。でも、選挙期間中から約束していたことですから、ある意味でやらざるを得ないし、やってみせなければ、決断力のない大統領になりますから。それはいろいろな議論を呼んでいるイスラム圏7か国からの入国禁止は大変な、私も深刻な問題だと思います。ただ、アメリカという国は面白い国で、ちゃんと司法がこれに対して、3権分立の機能が機能しているという状況です。これはどんな政権でも起きることで、ルーズベルトがやった様々な政策だって、憲法違反の疑いがかけられ、あるいは議会に攻められて。リーカーンも大変でしたよね。だからと言って、リーンカーンやルーズベルトに相当するかと言ったら、そういう意味でなく、アメリカの大統領の力というのは、こういう形で動いていくものであるということをまず念頭に置いた方がいいと。決して大統領令の数が彼は多いわけではなく、オバマ氏も1か月の間に出していますし、どう報じるかというところがちょっと違う感じがします」
反町キャスター
「守る公約と守らない公約の線引きは、バノン氏の手にあるのかどうか。彼はどのようにトランプさんと向き合って、公約を守る、守らないをやっていくか。どう見ていますか?」
会田教授
「これから先どうなるかわからないけれども、中国の為替操作をすぐにやると言っていながら、現在ぐずぐずしているわけですよね。ここから浮かんでくるのは、日本はこの間の安倍さんの訪米でうまくいっていると思うかもしれないけれども、実はバノン、トランプ政権の大きな世界戦略の中でもう結論が出ている。つまり、中国との、ふたつの中国を言わない。なぜかと言うと、当面アジアはこれまでの形での安定、日米同盟を軸として、なぜアジアをそのままの状態にしておくかと言うと、彼らの戦略的な優先は中東にあるからです。全ての問題の根っこにあるのは、アメリカの経済の不安定も含めて、移民のヨーロッパの混乱も含めて、大きな世界の、混乱の核の1つは中東、シリアを中心に起きている混乱状況で、これは明らかにいわゆる安全保障系の人事からも見えてくるわけです。つまり、あそこで何かをやりたい。それから、対露関係について言っているのもプーチン氏は見抜いていると思いますよね。お前ら、あれをやりたいから協力がほしいのだろうと。つまり、中東に向かうための1つのロシアとの関係改善ですよね。そういう流れの中で、アジアで中国と対立している暇なんてあるわけがないです」
反町キャスター
「日米首脳会談で同行したバノンさんの、日本側を安心させたい態度というのは、まだ、君達とはやらないよ、というそれだけのサインだと思ったらいい?」
会田教授
「ここは難しくて、オルトライトはよくわからないところですけれど、不思議と日本文化に対する親近感が、たとえば、2チャンネルを模した、4チャンネル、8チャンネルという、アメリカに。あるいはオルトライトの中核的な、バノン氏から言えば大先輩、バノン氏がオルトライトかどうかというと議論の余地があるのですけれど、その運動の中核的な、たとえば、ジャレット・テイラーとか、日本語ができる。、日本で暮らした人や、あるいはリチャード・スペンサーもアジア的なものが好きな人ですよ。この意味はなかなか難しく、1つは不思議な彼らの右翼観というか、保守観があって」
反町キャスター
「日本と親和性があるのですか?」
会田教授
「それはオルトライトの話、バノン氏はそういうものも知っている。おそらく感覚的に。そういう文化的背景も若干、でも、大きな背景は戦略的な」
反町キャスター
「まずは中東?」
会田教授
「だと」
林議員
「中東が大変だというのはあると思いますし、ただ、これまでのオルタナティブライトとか、選挙の時の話を見ていると、中長期的な話というよりは短期的。国際関係というよりは国内という、最初にそういうことになっていて、別にバノンさんは外交担当ではないですよね。首席戦略官ですから戦略官としてNSC(国家安全保障会議)にも入っていると、そういうことなので。そこは彼の関心がある範囲でいろんなとこになってくると言うと、先ほどの反イスラムですから、イコール中東問題はここから出てくるのでしょうけれども、そういう意味で言うと、戦略性を持って、アメリカが世界の警察官をやるみたいなところがあるのかどうか、よくわからないところがあるんですね。オバマの時に警察官辞めますと言って、そのさらなる進化系としてアメリカファーストだから。どうなってしまってもいいのではないか、アメリカさえ影響を受けなければ、というのがどうも根底にあるような気がしますけれども」
秋元キャスター
「バノンさんは首席戦略官ですが、この首席戦略官と言うポストはどういう意味を持つのでしょうか?」
会田教授
「本来だったら、バノンさんみたいな人は普通はスペシャルアドバイザーみたいな、次の選挙の戦略を練る、そういう意味での戦略で、彼が任命された時は次の選挙は重要だし、そういう意味では、国内中心に選挙戦略を練っていく。内政と選挙は密接につながりますから、どれだけの雇用を生み出すか。そう思っていたらボコッとNSCに入ってきた。そこも重要だから顔を出しておくという程度のことかもしれないけれど、初めからフリンさんを凌ぐような形で動いていたのは間違いないですよね。つまり、フリンさんをないがしろにして物事をやろうとしていたところ。あるいは国土安全保障省のケリーさんもないがしろにして。これは内政とも関わりますから。なかなかそういうポストを得て、自分が全部仕切りたいという動きが若干出てきているのかな。そういう危機感を持ちます。本来的には彼に託されたのは、内政を軸に次の選挙を政治的に勝てる体制をつくる。それがこれまでも、戦略官という名前はついていないですけれども、彼みたいなポジションで入って常に大統領の動きを…。でも、これまでの人はNSCには絶対顔を出さない。なぜかと言うと、選挙屋がNSCに入ったら、選挙のために兵隊を殺すのかという話になるということは、まともな政治家ならわかるわけですよ。選挙とは別の話なのだから。今回はそういうルールはないという」
林議員
「これまでの規範みたいなものがそもそも崩れてしまっていて、この人を入れたから、これまでは我々はそう考えてきましたけれども、なぜそういう人をここに入れるのだというリアクションがあまり出ないですよ。これまでだったら、いや、違うでしょうと。NSCに入るのは違うよねと、リアクションが出るところが出ないですよ。そういう意味では、世論とか、メディアも変わってきているし、アメリカの政治における海外の比率というのが政治的に下がってきているのでは。内政が中心になって、いろんなことが行われていくので、全てアメリカの都合で外交とか、安全保障が語られるようになっていくと」
反町キャスター
「日本にとってはどうなのですか?」
林議員
「喜ぶべき事態ではない」

トランプ政権に揺れる欧州 時代の転換点にどう備えるか
秋元キャスター
「ヨーロッパでは春にオランダの総選挙があります。フランスの大統領選挙があります。秋にはドイツの連邦議会選挙があるわけですが、会田さん、アメリカで起きている既存政治への懐疑は、ヨーロッパにも波及すると見ていますか?」
会田教授
「私の見方だと、ヨーロッパへ波及というより、むしろヨーロッパの方に先に起きていた。ヨーロッパの小国、ハンガリーだとか、ポーランドとか、政治制度の違いもありますけれど、経済状況もアメリカよりもヨーロッパの方がずっと悲惨な状況が続いていたし、あるいはギリシャの問題をはじめとして混乱が続いたと、移民問題も含め。波及というよりは既にヨーロッパではそれが起きてきて、イギリスのEU(欧州連合)離脱に至って、そこでタイミング的にアメリカの選挙で連動するようにトランプの勝利があった。それがまたヨーロッパに反響していって、大国の選挙に影響を及ぼし、ここに一種の往復作用みたいなことが起きていて、ネガティブな動きがこのまま続くと困るなと。ドイツはメルケル氏が何とか残るでしょうけれども、しかし、それでも下から攻め上げられてくる、力が弱くなる。フランスがこけてしまうと大変なことだなと思って。メルケル氏が残れば、変な話、安倍さんとメルケルの2人で暫くの間、西側の民主的な力を支えざるを得ない。不思議な事ですけどね」
八田氏
「新しいタイプのレシズム。当人達はレシズム、白人至上主義とは言わないですけれども、アイデンティタリアニズムというのですけれども、それも原点はフランスとかですね。ルペンさんは、親父さんは昔ながらの反ユダヤ、反移民みたいな昔ながらのレイシストですけれど、娘の方はナショナルアイデンティティ、フランスの価値観に合わないイスラム教徒は出て行けという方向にもっていくわけです。イタリアもネオファシズムという流れがあって、それをバノンさんは読んでいるんですよね。それを人に勧めたりしている。そのへんがアメリカの動きに影響を与えている。お互いに影響を与えながら共鳴しているみたいなところがあります」
林議員
「選挙がこれだけ今年あるので、まずオランダですよね。自由党のウィルダースさんというのはフランス、ドイツ、オランダの中で1番勝ちそうだと言われていますので、これが勝つとさらにデジャヴが続く、悪循環と言うと悪いですけど、連鎖反応が起きないかなと心配ですよね」
(テーマ=バノン氏の狙いは?)
林芳正 自由民主党参議院議員 『発信力強化』
林議員
「結局、自分の発信力が、強化されるということが最優先なので、それでやっていける限りは、現在の位置がすごく発信力のあるポジションですけれども、自分の発信力を犠牲にしてまで、ホワイトハウスに、トランプ氏のために尽くすとか、主義主張を犠牲にしてまでずっと留まるかというと、どうもそこは優先順位が違うのではないかなという気がします」

会田弘継 青山学院大学地球社会共生学部教授 『ジャクソニアン革命』
会田教授
「ホワイトハウスにアンドリュー・ジャクソンの肖像が掲げられているけれど、おそらくバノン氏がこれにしようと、トランプもうんと。ジャクソニアン革命は1800年代、現在よりもすごかったと思うんですね。当時はアメリカの民主主義というのは、一種、貴族民主主義的な、いわゆるギリシャ的な、自由民と奴隷があって。しかし、そこに本当の民主化を、土足でホワイトハウスに踏み込んで、中に会ったものを皆、略奪して、しかも猟官制度」
。俺がやりたいことはやるぞ、という激しい革命みたいなことが起きたわけですね。それがアメリカの民主主義の基礎であって、それに比べれば、今度はちょっと甘いのではないかと。でも、彼はそういうものを狙っているのではないかという気がします」
八田真行 駿河台大学経済経営学部専任講師 『アメリカをぶっこわす?』
八田氏
「バノンさんが言っていることを追ってみると、妙なことを信じている気がするんですね。簡単に言うと、アメリカはどん詰まりにきている。ガラガラポンと言いますか、完全なやり直しが必要だみたいなことを考えている節があって、なので、アメリカをぶっつぶす、だけど、本気かなというところがあるので、?をつけさせていただきました」
反町キャスター
「壊すことが目的になったら、革命家ではないですよね?」
八田氏
「循環史観みたいな感じです。いろんなことが繰り返されることを信奉しているらしいのです。また何か出てくるよと」