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2017年2月10日(金)
どうなる日米首脳会談 甘利前大臣 手嶋龍一

ゲスト

甘利明
前経済再生担当大臣 前TPP担当大臣 自由民主党衆議院議員
手嶋龍一
外交ジャーナリスト 作家
デーブ・スペクター
テレビプロデューサー

直前検証『安倍×トランプ会談』 蜜月か?芝居か?様子見か?
松村キャスター
「アメリカ・ワシントンは、10日の朝を迎えています。安倍総理は間もなく全米商工会議所主催の朝食会に参加。アーリントン墓地では献花を行います。日本時間、明日未明からホワイトハウスで日米首脳会談に臨みます。その後、トランプ大統領と共同会見を行い、ワーキングランチに出席。大統領専用機エアフォースワンでワシントンからフロリダに移動し、ゴルフが予定されているんですね。安倍総理は滞在中、トランプ大統領と昼食、夕食、朝食、昼食、夕食と計5回の食事をともにすることになっています。手嶋さん、自らが所有するゴルフ場でのゴルフや、連日の食事、トランプ大統領の思惑というのはどのあたりにあるのですか?」
手嶋氏
「こんなにたくさん一緒にいていいのかどうか。反町さんも、あまり夫婦関係がいいのは忙しいということですから、リスクもありますよね。ですから、本当に異例と言っていいのだと思います」
デーブ氏
「そのリスクですけれど、催促が多いから、いっそのことミニゴルフにした方が、いい気がするんですよね。長引いて何を言われるかわからない。それと、トランプ大統領は現在いろんな問題を抱えていて、日本と関係ない問題が毎日のように続けてあるわけですよ。彼の側近を含めて。娘さんのイヴァンカさんまでもトラブルになっているわけですから、ブランドね」
反町キャスター
「ノードストロームの話ですね」
デーブ氏
「彼が果たしてご機嫌がどうかはわからないですよね。本当は、彼はゴルフをやりたいと思うんですよ、大統領自身が。だけど、就任して2週間は行くわけにいかないから、ある意味で、安倍さんを利用しているかもしれないという点もあるのですが、それにしても食事5回はちょっと異例というか、異様に感じますよね。アメリカの注目は政治的なニュース、日本はどうなるとかということよりは、メラニア夫人が本当にどのぐらいの時間来るかどうか。つまり、現在、メラニア夫人がニューヨークにいて参加していないですね。生活を一緒にしていないです」
反町キャスター
「子供の教育のためと言われていますね?」
デーブ氏
「そうですが、でも、一応、それも違和感があるので、こういう時、昭恵夫人だっているわけですから、メラニアさんが行く、どれぐらいの期間でいるのかというのは結構、注目されているんですよね。だから、それに付随して日本も話題になるから、消去法的にはいいことですけれど」
手嶋氏
「鋭い指摘ですね。とても普段のバラエティのデーブさんではなく、素晴らしいと思いますけれども、核心に触れるところですよね。オバマ大統領の時もミシェル夫人は日本に来ませんでしたし、ということで言うと、明らかに日本との関係があまり良くないということを伺わせるので、夫人の動向というのは非常に重要。ただ、お話がありましたように、安倍さんは相当、異常接近でという。それについては批判があるし、世界からもイギリスを含めて、冷ややかな表情があるのは事実なのですが、短期で見るべきではないと思うんです。ここで異常接近をしても、虎穴に入らずんば…という言葉もありますから、それで日本の大事なところのいくつかのところについて取ってくるのだったら、僕はそれでもいいと思うんですよ。ですから、それができるかどうか。ただ、すぐにはわかりませんよね」
反町キャスター
「効果が出るのは?」
デーブ氏
「でも、安倍総理は批判していないです、例の入国禁止の件とか。何も言っていないから、それはトランプ大統領ももちろん、わかっているので、そういう意味では、有利ですけれども、トランプ政権とか、日本国内はどう見るかで、たとえば、月曜日ですけれども、安倍さんが帰ったあとですが、カナダのトルドー首相が行くわけですが、彼は早速、Twitterで批判をしているわけですよ」
反町キャスター
「移民の話ですよね?カナダは移民を受け入れますものね」
デーブ氏
「かなり直球で批判しているわけで、それでも会うのですけれど、気分が違うわけですよ、トランプ側から見ると」
反町キャスター
「トランプさんから見れば、ご飯5回とゴルフには、トルドーさんとはならない?」
デーブ氏
「ならない。だから、どこまで割り切るかなのですが、そういう意味で、安倍総理は有利な環境で会う。会談をやるということが言えると思うんです」

『ゴルフ外交』と『日米の絆』
反町キャスター
「ゴルフの話の途中だったのでゴルフの話の続きさせてください。総理は出発前にこういう話をしています。ゴルフについては祖父の岸信介からアイゼンハワー大統領とプレーした時の話を聞いた。目の前でホールを外して、たぶんパットのことだと思うのですけれど、パットを外して悔しがるアイゼンハワーの姿を見て2人の距離は急速に縮まったと聞いたことがある。お互いに仕事と離れた関係によって強い信頼関係を構築していきたいと。これはアイゼンハワー大統領と岸さんがワシントンの郊外のバーニングツリーというゴルフ場だと思うのですけれど、そこでやっている写真をつけ加えたのですけれど、手嶋さん、この総理の出発前のぶらさがり、この発言、これは比較的、安倍さんがはっきりと、岸さん、お爺さんそのものを自分の中に投影しながらワシントンに行って、トランプさんと対峙するとはっきり語ったセリフだと思うのですが、どう感じますか?」
手嶋氏
「これはファミリーですから、特に岸総理というのを大変に尊敬しているということで、理解はできるのですけれども、当時と当然のことながらまったく違う。アイゼンハワーと岸さんの、国力もまったく違いますし、岸さんという人も別に、最初から、戦前から日米同盟派であったわけではないということですよ。そういう中での、ようやく親しくなったと言うのですけど、安倍さんは違うので、こういうことを踏まえながら、まったく新しい発想と視点で、まさにゴルフをすべきだと思うですね」
デーブ氏
「ただ、共通しているのは、アイゼンハワーは政治家経験ゼロだったんですね。ただ、戦後ということもあったので」
反町キャスター
「軍人ですものね?」
デーブ氏
「ですけれど、そこは近いかもしれない。ただ、安倍総理自身が外交そのものをお家芸と言うか、伝統芸みたいに1番ライフワークになっているわけですから。どこにでも行きたいのですよ。だから、外交の方が非常に目立つし、何らかの成果も生めるわけですから。それでアメリカに行くのはいいのですけれども、本当にリスク高いと思うのは、相手のトランプ大統領は、感情で話す人、怒りやすい。でも、エゴが非常に、ナルシストですので、何か嫌なことがあったら仕返しとか、裏切るタイプですから」
反町キャスター
「オーストラリアのターンブルさんとの電話を途中で切った。まったく未確認ですよ。そういう報道もありますよね。気に入らないこと言われたら、途中で腹を立てて電話を切ったというね」
デーブ氏
「笑い話になっているのは、オーストラリアまで敵にするという、どういう人なのかと。つまり、最も何の問題もない国同士なのに電話を切っちゃうというぐらいですから。だから、皆、神経質になって、ゴルフ外交で、しかも、長時間、2日間もいて、5回も食事をして、果たして最後までうまくもつのかどうか。他のことでイライラしていたら、どうするかということです。ただ、幸い、実務そのものは、トランプさんは何もやらないと思うんです。もちろん、それぞれの担当がいますから」
反町キャスター
「そうすると、本当に両首脳同士、安倍さんとトランプさんの間の信頼関係とか、親密さを増すためだけの2日間であり、ゴルフであり、5回の食事だとすれば、どうですか?トランプさんのターンブルさんに対して電話を切ったような形で癇癪を爆発させることは、僕はないと思いますけれども、もしそういうことなら非常に気まずい2日間になるリスクもあるという意味でも言っていますか?」
デーブ氏
「そうですね。だからこそ安倍さんがこれまで通り批判的なことやいちゃもんをつけないというのは、ある意味では、無難で、安全第一だと思うんですけれども」
反町キャスター
「手嶋さん、総理はこの間、プーチンさんを日本に呼んで、地元の大谷山荘に呼びました。ほぼ地元ですよ。自分の家に呼んだようなものです。今回、トランプさんにはトランプタワーにも呼ばれたし、本当だったら、ワシントンで会えば、そのままキャンプデービットに連れていくところを自分の別荘のフロリダに行って、自分のゴルフ場でという歓迎を受けると。そうすると、いつの日かトランプさんは日本に来ますよね、おそらく。何をするのか?」
手嶋氏
「地元に連れて行くのだと思いますね」
反町キャスター
「プーチンさんと同じ扱いというわけにはいかないでしょう?」
手嶋氏
「どの政権でも松竹梅の3通りがありますよね。つまり、梅が1番最低ですよね。これはホワイトハウスのオーバルオフィスでやると。竹はキャンプデービット山荘。これは2時間半ぐらいです。3つ目は、自分のプライベートなところ。ブッシュ政権であれば、テキサスのブッシュ牧場に。これは小泉さん、大変面白い人で、どこでやるかというやり取りをした時に、いったんは当時ブッシュ大統領、自分はどこでもいいですと言って切ったというんですね。そのあと日程担当の大統領補佐官から直接、聞いたことがあるのですけれども、どうも怒っているようだと、小泉さんが。ただ、甘利さんがご案内ように、ぶっきらぼうな人ですよ。それがプラスに転じた。怒っているようだと、ブッシュ大統領自ら日程表を…」
反町キャスター
「竹から松に上がった瞬間ですね?」
手嶋氏
「ここからこれにあれすれば、ブッシュ牧場に来られるのではないかというので、僕ら行くはめになったということになりましたから、3段階の松竹梅の松はプライベートな分野ということになるんですよ」
反町キャスター
「もしトランプさんが日本に来たとしたら、安倍さんは少なくともプーチンさんよりは高いというか、より豪勢な迎え方をしなくてはいけないですよね?」
デーブ氏
「ハードル、高いですよね」
反町キャスター
「甘利さん、安倍さんの各国首脳との今後の付き合い方をどのように見ていますか?」
甘利議員
「非常に他の人が付き合いづらい、難しい人と言われている首脳を引き込むのは上手ですね。これは天性のものではないかと思うんですね。それから、サシで話をした時は、ここまで言っても、相手との関係は決裂しないということをさぐりながら政治家はやりますからね。本当にダメになっていいというのはよっぽどのことですし、決裂して、蹴っ飛ばして、拍手で迎えられて、その結果が良くなかったというのは歴史上でいっぱいありますから。それは、私が席を蹴って云々とよく言われましたけれども、それだって、何度もサシでやっていますから。自分として精一杯の誠意でやるのだということをきちんと伝えておいて、だからこそこう来たのだと。これでは意味がないではないかと言って、立つわけですから。それは、お前なんか嫌いだと言って立ったって何の意味もないですから。発する言葉は2人だけでは確かに難しいですけれども。安倍総理はそこらへんをしっかり読んで、ここまでは言っても大丈夫だということ、関係が完全におかしくならないということを踏まえながら、いろんな発言をされると思いますし、そういう点では天才だと思います、私は」

TPP離脱と貿易交渉
松村キャスター
「日米首脳会談のポイントをまとめました。通商、貿易、アメリカの雇用創出、為替政策、尖閣、南シナ海への中国の海洋進出など、どんな話し合いがされるのかが注目されていますが、両首脳の主張を見てみます。通商に関してトランプ大統領はTPP離脱を前提とした2国間の貿易交渉を行うと明言しています。自動車は日本が何十万台もの車をアメリカに持ってきて販売している。これは公平でないと名指しで攻撃しています。為替に関しては、ここ数年、日本がやっていたのは切り下げだと発言をしています。トランプ大統領がこだわる雇用に関して、安倍総理は日本の自動車業界はアメリカで150万人の雇用を生み出している。成長と雇用を促進する行動計画、これを提案して70万人の雇用創出を発言しています。尖閣諸島に関しては、日米安保条約5条の適用を確認しています。南シナ海に関して日米同盟は揺るがないという明確なメッセージを世界に向けて発信したいとしています。甘利さん、まずTPPですけれど、就任早々にTPPからの離脱するという大統領令に署名していますが、ずっと交渉に携われた甘利さんはどのように受け止められましたか?」
甘利議員
「だから、早くやれば良かったのに…」
反町キャスター
「そうですよね、まさに。想定されていました?でも、トランプ大統領は、これは必ず言った通り離脱表明するだろうと予測されていましたか?」
甘利議員
「議会との関係を考えてもう少し表現がマイルドになるかなと思っていましたけれども、ならなかったですね」
反町キャスター
「たとえば、その時は敵でも今になったら戦友みたいなものかどうかを聞きたいですけれども、フロマンさんとトランプさんが離脱署名をしたあとに連絡を取り合って、おい、あれはなんだったのだろうなという、そんな会話をするものですか?」
甘利議員
「その職を離れるにあたって、彼から手紙が来ました。それで終わったあとも私のことを心配して手紙も来ました。私が返事を出したのがまさに非常に言いにくいことも言い合ったけれども、日本では1番苦しいことをお互いに乗り越えてきた仲間を戦友だと言うと。あなたは私の戦友だとちゃんと書いて送りました。彼はどういう形にせよ、TPPをベースにした日米関係がいいと思うと現在も発言をしていますよね。TPPは関税のことばかり言われますけれども、関税はワン・オブ・ゼムで、ルールなんですね。日米で最も民主的に市場原理に見合った透明なルールをつくったわけです。トランプさんは中国に対して、知財を盗んで、技術移転を強要し、為替を操作し、何をしてといろいろおっしゃっているんです。TPPをよく見てください。そういうことができないようにつくってあるでしょうと。日米でつくったのですよ、そこのところをよく見てくださいと。だから、TPPは別にこのまま置いておけばいいです。やがて、こういう点が必要だなということにだんだん気がついてきますから。この時点で選挙公約通り離脱すると言ったって、慌てて過剰に反応する必要はないと思います。いずれ良さはわかってくると」
反町キャスター
「そうすると今回、総理が訪米をしている時に日米のバイのFTA(自由貿易協定)の話がどのぐらい出るのかというのも1つのポイントとなる中で、言われたのはまさに日米の2国間の、バイの話にあまり首を突っ込まずに放って置けば、必ずTPPの良さが彼らにわかる時があるのだから放置しようという話に聞こえます。いかがですか?」
甘利議員
「ええ。トランプさんが1番関心あるのは貿易赤字ですね。貿易もモノの貿易の部分で、サービスの部分は、アメリカは得意になってくるし、所得収支の部分は、アメリカの独壇場になっているわけです。貿易の形態はモノからだんだんサービス化していき、それから投資収益云々ということで移っていっているんです。移っていっている部分では、アメリカは1番強いんです。昔のアメリカが強かった、現在は弱くなった部分というのは、次第に面積が、体積が小さくなりつつありますよということをいろいろ時間をかけて説明して、理解してもらうと言っていく中、それから先は何があるのと。投資だったらきちんと安心をして投資できる環境は必要だよねと。アメリカにとって1番強い部分なのだから。そこは投資家が不安なく投資できる環境が必要だよね、TPPじゃないという話になってくるわけです。ですから、TPPはこんなにいいのだと言っても詮ない話ですから、そこはまずモノの赤字についてどういう話し合いがあるかということから始めて、戦略的な対話みたいなものをつくっていって、1品ごとに、全部均衡にするというのは、貿易の原理からするとおかしいですね。うちが強い部分と相手が強い部分、お互い強い部分を分け合おうというのが貿易ですからね。自動車は自動車で均衡させる。スマホはスマホで均衡させる。テレビは何とかでという話ではないですから。こちらはこうだけれども、こちらで日本は買うものがあると。エネルギーであればいくらでも買いますよ、モノの貿易で赤がなくなりますね。そういう戦略的な対話をうまく日米間でつくるということから始めるのがいいと思いますね」
手嶋氏
「TPPはまさに、甘利さんが言われたようなことで、意義があるということですよね。甘利さんはTPPを手がけました。一方、もう1つ大きな選択肢が日本に現に現在もあって、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)という東アジアの包括的貿易連携と。両方あって、おそらく甘利さんの戦略とは将来、統合を見据えて、だから、日本は両方に札を張っていたわけですね。しかし、TPPは安全保障を見ている立場から言うとまさしくTPPの土台のところには超大国アメリカを中心として、オーストラリア、ニュージーランドのANZUS、日米安保という安全保障の大きな土台があったので、RCEPでは最大の貿易国が、経済大国がその枠組みを取り仕切るというのは厳然とした事実ですから、そこに吸収合併されないから札を張れたわけですけれど、それがなくなっちゃうということになりますと、中国の引力にややもすれば吸収されるということになりますから。これは戦略の根本的な見直しが安倍政権にとっても必要ということになりますよね」
反町キャスター
「見直しと言うと、たとえば、今回、甘利さんが言われたのは、バイにあまり深入りするのではなくて、必要性というのを徐々に対話の形をもって、戦略対話というステージを設けてもいいけれども、そういうことでアメリカに、いわば時間をかけて、TPPをまとめるまでに甘利さんとフロマンさんが、どれだけ、シンガポール行かれたり、ジャカルタ行かれたり、いろんなところで、ボルネオ…と同じようなことを、もっと逆の方向を向くけれども、また時間を何年も何年もかかるかもしれないけれど、それをやる?」
手嶋氏
「ええ。それはバイの、日米2国間だと柄の大きな人が勝つんですよ。だから、甘利さんが大変ご苦労されたのはアメリカの面子を損なわないようにしながら。安全保障の不可欠なパートナーですから。しかし、時にはニュージーランドやオーストラリアと組んで、時にはカナダと組んでということになりますから、マルチの交渉というのは日本のような国にとって客観的に有利です。ですから、そちらの方がもちろん、いいに決まっていると。しかし、大統領は現在バイでやると言っていますよね。従って、少し冷却期間を置かざるを得ないということになりますので、これも安倍さんの、まさにお手並み拝見と」
松村キャスター
「アメリカ商務省が発表したものですが、2016年の貿易統計によりますと、アメリカのモノの貿易赤字額は7343億ドル、国別の貿易赤字は、日本は689億ドルでドイツを抜き、中国に次いで2位に浮上しています。トランプ大統領は首脳会談で厳しい要求を突きつけてくるのでしょうか?」
甘利議員
「貿易赤字、モノの赤字がこれだけあると、経常収支となると四千数百億ドルです。と言うことは、貿易外の部分がアメリカは黒字なわけです。特に投資の収益はアメリカの独壇場。アメリカの共和党が昨年6月ですか、税制改革案を出した中で、アメリカの主要企業が国外にどれくらいの利益を積んでいるかということを発表しているんですね。これが2兆ドルです。2兆ドルを仮に、アメリカに利益を還元したらいくらになるか、これは35%の法人税をかけて、重複分の10%を抜くと、5000億ドルですよ。経常収支の赤字が4600億ドルですか、税として入ってくるのは5000億ドル。現在BEPSプロジェクトと言って、世界中の首脳が集まって、タックスヘイブンによる租税回避を世界的に防いでいこうと。ちゃんと税がその国に入るようにしようよという取り組みがあるんです。アメリカももちろん、入っていますよ。これを進めていけば、アメリカの企業が稼いだ利益が、その税収がアメリカに入ると、日本の企業が稼いだものが日本に入る。それがきちんと公正に行われれば、5000億ドルがアメリカにいくんです。だから、貿易収支と言っても経常収支ですね。国際取引の形態が変わっていって、その先頭を走っているのがアメリカです。経済のソフト化、サービス化の中で、アメリカが先頭を走っている、その部分の収益がきちんとアメリカに入れば、この経常収支の赤はなくなるのですよということに着目していく必要があると」
手嶋氏
「安倍さんは懐に飛び込んでいるのですから、案外と正確なことをおっしゃっているかもしれない。ただ問題は、アメリカの多国籍企業が膨大な利益をちゃんと取り持つべきだと、まさにおっしゃる通りですけれども、問題はあの大統領は選挙期間中を通じて、納税の、所得の証明書を出していない。2つ可能性があって、倒産した時に負債がありますよね。後にいくら儲けても別に税金は払わなくていいですから、これは違法ではないですよね。それがあるかどうか。もしかすると、パナマ文書にはドナルド・トランプ(の名は)ないですけれど、あるかもしれないということもありますよね。その問題、爆弾を抱えているんですね」
反町キャスター
「租税回避地を使うのをやめようと税務当局が一生懸命やろうと思っても、トランプさんが大統領として、それは困るんだよ、と止めてしまう?」
手嶋氏
「と言う可能性もありますので、そこは、日本はインテリジェンス機関がないのですけれども、それを完全に大丈夫だと言うのだったら、安倍さんは言ってみる手はあると思います」
デーブ氏
「スキャンダルもあった方がいいと思うし、正直言って。現実に、国家安保のフリン氏が12月にロシアの駐米大使と親密に話をしていたということも、もう伝えられているんです、今日のニュースで。ドンドンいろんなことが出てくるんです。仮にトランプ政権に日本が脅されても、いろいろむちゃな条件を出されても、ああ、そうですかと言った方がいいですよ、わかりましたと。そのうち実行されなくなると思うんですよ」

『雇用70万人』おみやげの効果
松村キャスター
「今回の日米首脳会談では、安倍総理がアメリカ側に成長と雇用を促進する行動計画を提案するとされています。経済分野で、テキサス州の高速鉄道計画、人工知能など。安全保障分野では、サイバーセキュリティーや宇宙空間からの監視など、4500億ドル、およそ51兆円規模の市場を新たにつくって、70万人の雇用を生み出すとするものです。一方、トランプ大統領は『日本や中国には高速鉄道があるが、米国にはない』と発言しています。トランプ大統領は日本が示すこのプランをどのように受け止めると思いますか?」
甘利議員
「金額が具体的に政府内で検討されているというのは聞いたことがないのですが、インフラ投資は積極的にやるのだという話ですね。そこに日本が技術的に、あるいは資金的にどう噛んでいくかというのは、いろいろな提案の仕方があると思うんです。高速鉄道はアメリカにはないというのは、まさに日本の独壇場ですから、これを技術供与で、一緒につくりあげていくとかですね。いろんな協力の仕方はあるのだと思います」
反町キャスター
「これは民民の投資で、政府系金融機関が何らかのアシストはしても、やるのは民民だよという、このスキームをつくるということですよね?」
甘利議員
「(日本国民の)税金を出すわけではないですからね。それはあり得ませんね。事業に日本の企業がいろいろな形で参加するということですね。技術的な応援をするとか、あるいは日本のお金が投資で向かうということですよね」
反町キャスター
「日本のメリットはなんだと思ったらいいのですか?」
甘利議員
「企業側は投資収益を得られますから。しかも、かなり信頼性の高い事業ですから、安心した事業に投資できるということですよね。それから、高速鉄道というのは、アメリカで評価されれば世界中で評価されるわけですから、それは日本の技術の世界展開する場所になるわけですから。そういう意味で、日本技術のPRの場にもなりますよね」
デーブ氏
「アメリカのぼろぼろになったインフラは、アメリカのせいですね。これまでこういった催促がなかったのに、トランプ政権になってから貿易赤字のペナルティにしか聞こえないですよ。どうですか?」
反町キャスター
「ペナルティだとすれば、中国の新幹線よりも安く入れなければいけませんよね?」
甘利議員
「トランプさんの1番のキーワードは、雇用ですよね。雇用をつくると。そういった事業を起こせば当然、雇用が発生しますし、中国と違って日本から日本人を連れていくわけではないですから、現地の人を雇いますから、そこは大統領の要請の第1項目に応えるということになるのではないですかね」
手嶋氏
「まさにそれは雇用をつくるのですから、ラストベルト地帯の4年後の選挙対策にも結果的にはなります。そのために50兆円を超える、政府の資金ではないですけれども、それをお土産に携えていくことなると、甘利さんの選挙区の方々も、それだったら地元にと皆、その声は湧き上がってくる。それは安倍内閣にとっては大変なリスクですね」
反町キャスター
「それは日本の内政を考えた時に、やらない方がいい?」
手嶋氏
「日本のためにやってくださいよと。なぜトランプさんの選挙対策のためにと。ここはそんなことはやらずに、ゴルフに行って、あなたの言うことはなるほどと言って、口先だけでがんばってもらいたい」
反町キャスター
「トランプさんは日米のバイのFTAをやりたいという話を向こうから切り出す可能性があるかもしれない中で、こういう日本からの一方的な支援というものを敢えて相手にぶつけて、これでFTAの話を封じ込めるという…」
手嶋氏
「封じ込めることができるのだったらいいですけれども、甘利さんの表情を見てください、プロはとてもそんなことは無理だよと言っている」
反町キャスター
「どうですか?止められますか、アメリカを」
甘利議員
「アメリカがFTAをなぜやりたがるかと言うと、マルチでやるよりも2国間でやった方が手っ取り早いというのがあるんですね。これはTPPも同じだったんですよ。TPPの時も、なかなかまとまらない時には、フロマン氏が各国をまわるんですよ、1国、1国をまわりながら、これでいいだろうと押し倒してくるわけですよ。それでまわってきてOKだと、全部了解したと。ところが、開いてみると、全然大臣から下にいっていないわけですよ。面従腹背で、一応聞いているけれども、下にそういう理不尽なことを下ろしていないわけですから、それではダメだと、ちゃんと根まわしが必要で、きちんと落としどころを探りながら言っていかなければと。アメリカの要求だけを相手に押しつけたならば、その場ではわかったようなふりをしたって下りないからねとずっと言い続けてきました。アメリカはマルチの場でも常にバイですよ。全体が合うような、最大公約数を求めるのは意外と苦手です。そこは日本がアドバイスをして、うまくまとめていったんです。だから、日本が入ってまとまったのだと思うんですよね。バイでやった方が多く取れるから。確かに大男対子供が相撲をとっても勝てるわけはないですよ。それではwin-winにならなくて、ゼロサムになってしまうわけですね。そこはwin-winになる方法でということでアプローチをしなければいけない。だから、戦略対話で2国間FTAと言うと1品ごとに帳尻合わせようという話になりがちですから、貿易はそうではないのだよということで、だから、戦略的な対話で、こちらの部分はこっちで収支を合わせようではないかみたいな話し合いが必要だと思うんですね」

『一つの中国』維持の思惑
反町キャスター
「米中電話首脳会談をやった時の発言が発表になりました。トランプ大統領は習主席の求めに応じ『一つの中国』政策の維持に同意したと。相互利益に関わる様々な問題について対話と交渉を行っていくとホワイトハウスから発表されました。先日、台湾の蔡英文総統との電話会談で、『ワンチャイナポリシー』に何の意味があるのだ、と見直すかのような発言をしてまだ2、3週間ですよね。今度は『一つの中国』政策の維持に同意したと。一つの中国政策についてのトランプ大統領の揺れをどう感じますか?」
甘利議員
「トランプ大統領は割とその時の思いつきで極めて重要なことに簡単に触れるように言われがちですけれども、相当したたかにスタッフが戦略・戦術を仕組んでいるのではないかという見方があるんですね。中国に対してトランプさんが1番言いたいことは、アメリカの貿易赤字の半分は中国だと。為替を操作しているではないかと。日本に言っているのはそのついでの話です。本命は中国です。中国にそれを迫る時に、中国が1番嫌なことはなんだろうと考え、敢えてそれをぶつけて、あの大統領だから本当にやりかねないという雰囲気の中で、1番中国にとって嫌なことをぶつけておいて、それでこれから貿易赤字の解消について真面目に取り組む意思はあるのかということを、ある種、踏み絵を踏ませながらぶつけて、ちゃんとやってくれるのだったらわかったと言っているような戦術ではないのかなと」
手嶋氏
「トランプさん自身も言っていますね。自分はこの機微をよく理解をしているのだと。どう理解しているかは説明していないですけれど、ただ、甘利さんの言われることだといいと思うのですけれども、しかし、一方で、思惑通り中国が反応しない。今回は一応収めていましたけれども、しないという可能性もあるので、どれほど危険なのかと。実はアメリカと中国に危険なのではなく、日本にも危険ですね。もし台湾海峡でコトが起こった時に日本は随伴するのですかと言ったら、自由民主党の中でも意見が割れますよね。こういう局面に立ち至ってはいけないというほど非常に微妙な…。甘利さんが言われるような推測が当たっているといいと思いますけれども、その保証はないのだと思います」

甘利明 自由民主党衆議院議員の提言 『泰然自若』
甘利議員
「大事なことは、トランプ大統領と付き合う心構えとして、挑発に乗らず挑発をせず、相手の苦悩を共有して、もっといいソリューションを提示するというやり方だと思います」

外交ジャーナリスト 手嶋龍一氏の提言 『トランプさん!! 安保と経済をリンクさせるな!!』
手嶋氏
「トランプ大統領、安保と経済をリンクさせてはいけない。とりわけ中国で、一つの中国政策と対中赤字の解消などを安易にリンクさせてはいけないと、この1点だと思います」

テレビプロデューサー デーブ・スペクター氏の提言 『トランプ大統領の本当の狙いは…二期ゴルフ』
デーブ氏
「首脳会談を見てわかると思うんです。トランプ大統領の本当の狙いは、二期ゴルフ」
反町キャスター
「8年やるつもりでいると思いますでしょ?」
デーブ氏
「面白いですからね、応援したいところもあるんです」
反町キャスター
「選挙期間中もトランプさんのいろいろな発言によってアメリカの報道、メディアが儲かったという話、その意味で言うと、8年間というのは、メディアから見て、トランプさんの賞味期限は8年持つと思いますか?」
デーブ氏
「ありがたいですよね。メディアから見ると。そこは大きいジレンマでもあるんですよ。最低の大統領政権でありながら1番面白い政権ですよ」