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2017年2月1日(水)
バチカン長官緊急出演 ▽ 経済3賢人世界展望

ゲスト

ポール・リチャード・ギャラガー
バチカン外務長官(前半)
中村芳夫
駐バチカン特命全権大使(前半)
宅森昭吉
三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミスト(後半)
松野利彦
SMBCフレンド証券チーフストラテジスト(後半)
永濱利廣
第一生命経済研究所首席エコノミスト(後半)
大山泰
フジテレビ解説委員(後半)


前編

バチカン外務長官に聞く 訪日の目的は?
反町キャスター
「バチカンという国は、世界最小の国と言われているのですが、皇居の面積の半分以下です。ローマ法王が統治しています。現在の法皇はフランシスコ法王です。世界のカトリック教会の総本山にあたるというのがバチカン。ギャラガー外務長官の、国の組織上の立場ですが、バチカン自体はローマ法王庁が政府に相当するのですが、それの元首が法王、現在で言うサンフランシスコ法王になります。その下に国務省がありまして、ピエトロ・パロリン国務長官、日本の総理にあたります。その外務省の担当のギャラガーさんを迎えているということになります。よろしいのですよね?」
ギャラガー氏
「はい、そういう理解の仕方で問題ないと思います。政府の組織というのはご説明いただいたよりちょっと複雑ではあるのですけれど、だいたいそんな感じでよろしいでしょう」
反町キャスター
「今回の訪日の目的について?」
ギャラガー氏
「今回の訪日ですが、昨年、日本の岸田外務大臣にバチカン市国にお越しいただきました。これまで高官の方々にいろいろと訪問をいただいて、日本との外交関係、協力関係などに関していろいろとお話をさせていただく機会もありました。返礼として、日本に参りたいと思っていたのですが、今回、今年、日本の政府からご招待いただいて、参っているところです。今回は、日本とバチカンの外交関係樹立の75周年ということもあります。それが1番の目的です。それに加えて、いろいろな機会を得られると思います。安倍総理ともお会いすることができましたし、岸田外務大臣とはいろいろとお話もさせていただきました。いろいろなネットワークの人々、特にカトリックのコミュニティの皆さんとお会いしたり、日本のいろいろな組織の方とお会いする機会もありました。私自身として、1番意義があったのは広島を訪問させていただきました。日本に来る前からも是非行きたいと思っていました。広島でのひと時というのは私にとっても意義のあるものでした」

被爆地を訪問… その想いは?
反町キャスター
「広島訪問の感想については?」
ギャラガー氏
「私の広島に対する印象なのですが、2つあったと言えると思います。私が泊まったホテルは原爆ドームを見下ろせる位置にありました。ある意味、ショッキングな風景でもありました。私がこれまで生きてきた人生、テレビや本の中で見てきたイメージが、そこで甦ってくるような、そういう想いも味わいました。原爆資料館も訪れることができました。その中で記念碑的なところも訪れることができました。特に核兵器の危険性というものも、それも理解することができましたし、1945年に人々がどれだけ苦しんだのかということも私はしっかり理解できたと思います。しかしながら、それと同時に、現在、広島は美しい都市に生まれ変わっています。あれだけの惨事があって壊滅的なダメージを受けたはずなのに、そのあと力強く復活を遂げた街だと感じました。ですから、2つの側面があったと思うんですね。そうした過去の戦争の歴史というのが確かに広島にはあります。 過去の歴史における危険性というのもあります。それと同時に、人類がどういう希望を持って世界を変えていけるかということも広島にはあったと思うんです。大変な間違いを人類は起こしてしまったわけですが、人類がその中で過ちから学んで正しいことができる、それが広島の姿だと思いました」

混迷する世界…日本の役割は?
反町キャスター
「安倍総理との会談の話を聞きたいのですが、日本とバチカンとの間でこういう問題を解決しなくてはいけない。あるいは世界のコモンアジェンダについて意見を交換した。どんな話があったのですか?」
ギャラガー氏
「安倍総理とはいろいろお話をさせていただきました。安倍総理の方からいろいろな御提案、話題を出していただきました。現在の日本、世界が置かれている状況、世界ではいろいろな紛争が起こっている、非常に危険な状況も出てきているような話もありました。経済などに関しての具体的なお話もありました。法王の来日の可能性ということに関しても総理からご要望もいただいたところです」
中村大使
「共通のアジェンダというのは、世界が自国中心主義的な中で、世界の問題について日本もバチカンも考えていこうという、たとえば、貧困の問題だとか、軍縮の問題だとか、環境の問題、いろいろ世界が全体でやらなければいけない問題について意見交換をしたということだと思います」

米国トランプ政権について
秋元キャスター
「アメリカのトランプ大統領が難民や中東7か国の市民のアメリカ入国を禁止したことで、アメリカ国内や、他の多くの国からも反対の声があがっていますが、このような状況についてどう見ていますか?」
ギャラガー氏
「この問題に関してですが、移民を受け入れるということは、グローバルな状況の中で、いろいろな危機が発生している中で、考えていかなければならない昔からの課題だと考えています。ただ、それに加え、世界がそれにどう対応するか、法的にどうどう整備を進めていくかということ、これは国際的コミュニティが向かい合っていかなければいけない、そして負担も分かち合っていかなければいけないと思います。それに伴うメリットもあると思うんですね。難民を受け入れるということはいろいろな意味で特にこうした国連の条約における難民の保護に対する貢献にもつながると思います」
反町キャスター
「日本は難民受け入れの実態がゼロに近いほど少ないという状態です。そうした実態があるからこそ、トランプ大統領の難民、移民の受け入れ拒否に対して、日本ははっきりとおかしいと言い切れないという説明をする人もいるのですけれど、日本の難民、移民の受け入れの状況、どう見ていますか?」
ギャラガー氏
「おっしゃる通りだとは思います。他の国に対して自分達がやっているのと同じことを要求できないというのはあるでしょう。国によって状況が違う、経済状況も違えば、経済のキャパシティも違うということも理解をしなければいけないと思います。国が異なればニーズも異なるはずです。バチカン市国として、こうした政府に対して政策を押しつけることはもちろんできません。ただ、こういうことは言えると思うんですね。現状において皆さんが行っているそうした原則というものがどういうところからきているのか、その状況に対して、いろいろな形で寛容に対応できないのか。それがもっとメリットをもたらせないかということは考えてもいいのではないかと思います」
反町キャスター
「寛容さからくるメリットというのは難しくて、世界を見ていると、それが説得力を持って広がっていない状況にあると思います。どのように寛容のメリットを世界に広げることができるのか?」
ギャラガー氏
「いろいろなやり方があると思います。様々なニーズに対応できる方法はあると思います。常に1つの方法しかないということではないと思うんですね。たとえば、ヨーロッパにおいてこうした移民などへの対応が難しいということは課題としてあるでしょう。たとえば、中東にある難民キャンプに対して支援をするという、間接的な支援はできると思うんですね。また、日本のようにいろいろな形で海外への援助を行ってきた、長い歴史を持っている国もあります。また、その他でも海外の国に対して寛容な支援をしている国もあります。何か危機の時にそうした支援をしたとしても、政治的な難しい問題があって、すぐに成果が出ないような場合もあるとは思うんです。しかしながら、常にこうした寛容の心というものを持ち続ける必要があると思います。それによって自分達に何ができるのかということを考えて、できることをしていくことが重要だと思うんです」

ローマ法王の訪日は?
反町キャスター
「ローマ法王の来日の予定について、いつ頃、来てもらえるのですか?」
ギャラガー氏
「私自身、いつ法王が来られるかということを約束することはできませんが、でも、ローマに戻ったら、私はバチカン市国に戻ったら、日本の方々から法王の来日に対してこれだけの要望があったということと、ぜひ広島には行っていただきたいということは伝えたいと思っています」
反町キャスター
「中村さん、ギャラガーさんの話をどう受け止めたらいいですか?」
中村大使
「良いお話だったと思います。法王は自分が安倍総理から正式に招待を受けているのは十分わかっているのだと、是非行きたいというお返事ですが、機会がいつなのかというのは、フランシス法王はまず問題のある国を優先的に訪問すると、それとバチカンの行事のあるところを訪問する。たとえば、昨年はポーランドで世界ユースデーがあって、そこには行かれたんですね。2013年はブラジル。2019年にはパナマであるんです。たぶんそこには行くと思うんです。日本にバチカンの何か行事があれば日本にも来ていただけるのかな。ですから、安倍総理から出たメッセージとしては、核兵器なき世界の平和の実現、これはすごく強いメッセージだと思うんです。それを私もバチカンに帰って一生懸命に働きかけをしていきたいと思っています」
秋元キャスター
「ギャラガーさん、最後に日本の人々へメッセージを」
ギャラガー氏
「ローマ法王が日本に対して抱いている想いを是非理解していただきたいと思います。日本のカトリック教会のコミュニティ、私ども、日本の人々にいろいろな奉仕をしていることも忘れないでいただきたいと思います。日本の大使の方々、日本の政府との関係も今後は続けていきたいと思います。お互いに共有の価値観、世界の貢献のために、お互いに協力していきたいと思います。平和を醸成して、お互いを理解し、そうしたところから生まれる社会のメリット、良い面というものをもっともっと高めていきたいと思います」


後編

エコノミスト3人が展望 日本名指し批判の影響
秋元キャスター
「まずは日本時間の昨日ですけれど、トランプ大統領が就任後、初めて日本や中国を名指しして、為替政策を批判しました。こちらがその発言ですけれど、『中国が何をしているか、日本が長年何をやっているか見てみろ。彼らは、金融市場を操作し、通貨を切り下げている』と発言しています。永濱さん、トランプ大統領の日本を名指した批判というのをどう見ていますか?」
永濱氏
「不当な批判だなと思いますね。と言うのも、今回、円安ではないですね。ドル高が進んで、ドル高円安になっているではないですか。要は、為替というのは基本的に金利差で決まっていくわけで、では、現在ドル高になっているのはなぜなのですかと言うと、日本の金利は下がっているというか、むしろ上がっているわけで、それ以上にアメリカの金利が上がっているわけで、要は、トランプさんの積極的な財政政策というところが期待されて、金利上昇、ドル高になっているわけですから。一方、日本の方はイールドカーブコントロールということ、要は、日本のデフレ脱却を確実なものにするためにやっているわけですから。表向きはそうかもしれない。本当は為替も関係しているのかもしれませんけれども、そういうことを考えると、そんなことを言われても仕方がないのかなと。逆に言うと、私、個人的には、トランプさんはそこまで為替に本当にこだわりがあるのかなと。要は、大統領になる前から意見がいろいろ変わるっているんですよ。ドルが高過ぎると言ってみたり、逆に金利が低過ぎるとか言っているので、私はどちらかと言うとトランプさんの、いわゆるこれまでのビジネススタイルと言いましょうか、今後、安倍さんと日米首脳会談をやるわけではないですか。交渉をする時には、最初は少し強めに出しておいて、いろいろ相手に強めなことを出しておいて、実際に会ってみて、そこで少し良い取引ができるような。ただ、それだけのことなのではないのかなと、私はそこまで深刻には考えてはいないですね」
宅森氏
「私も同感です。トランプさんが中国、日本、メキシコと最初に言いましたね。ドイツが入っていなかったのはなぜだと言われたのですけれども、たまたま2016年11月のアメリカの貿易統計、この赤字を順番に並べるとドイツが4番目だった、単月では」
反町キャスター
「3つしか覚えられなかったとは言いませんけれども…」
宅森氏
「上から3つ言ったということなのかなと思うんです。それで中国と日本が1番と2番だからしょうがないと言えば、しょうがないのでしょうけれども」
反町キャスター
「大きな差があるのにね」
宅森氏
「そうです。20世紀最後の年、2000年には、ちょうど貿易赤字の比率が、日本も中国も19%ぐらい。ほぼ一緒だったんです。だから、その時の数字が頭に入っているのか。それとも…」
反町キャスター
「常に1980年代、1990年代がベースになってモノを言う?」
宅森氏
「うん。または、直近のところで、2つ目から2つと言って、中国は、逆に50%近くまできているわけで、日本はずっと落として、10%以上落としているわけですよね。だから、そこを理解してもらっていないのかなという気もします」
秋元キャスター
「トランプ大統領、これまで日本や中国の為替施策を批判する先には、保護主義的な貿易政策があるんですね。TPPから離脱。それから、北米自由貿易協定、NAFTAの再交渉などあるのですけれど、攻撃の矛先も日本に向いていて『日本は私が見たこともない巨大な船で何十万台もの車をアメリカに運び販売している。これは公平ではない』と、また、日本の名指ししているのですけれども」
反町キャスター
「宅森さん、どう見ますか?車。我々はどこまで深刻に考えたらいいか?」
宅森氏
「逆に言うと、アメリカは、増やすチャンスがあっても、ちっとも増えていないということは、日本に合わせた車をつくっていないわけですよ」
反町キャスター
「それは皆、見ている人も含めて、全員感じると思う」
秋元キャスター
「人気の問題はありますよね」
宅森氏
「だから、そもそもそこなんだというところをわかってもらわないとしょうがないのですけれども、それをわかってくれる人かどうかという問題ですよね」
反町キャスター
「それは、トランプ大統領がビッグ3をホワイトハウスに呼んで、日本で売れないというなら、では、日本で売れる車をつくってみろとは彼は言わないわけですよ」
宅森氏
「そうですよね。本当に困っちゃう」
反町キャスター
「そこはどうにもならないということですか?」
宅森氏
「そうですね」
大山解説委員
「アメリカと日本の自動車摩擦はすごく政治的な感じがして、たとえば、1992年は、ブッシュ大統領がビッグ3のトップと来日して、輸入台数を増やせと、共和党時代。それから、クリントン大統領の時には1995年ですけれども、通商法301条で、100%、日本車に関税をかけるぞとやって、そのあと橋本龍太郎通産大臣とミッキー・カンターUSTR(アメリカ合衆国通商代表部)代表が、その1か月後には、何らかの合意とか、結構、脅しがくるのだけれど、なんとなく落としどころを探るみたいな。そういう過去もあったのですけれども、今回のトランプさんの感じというのはどういう風になるかなと、永濱さんはどう見ていますか?」
永濱氏
「特に、今回に関しては、トランプさんがなぜ大統領になれたかと言うと、白人ブルーカラーの票がかなり重かったわけではないですか。となると、そういった人達へのアピールという意味も込めて、非常に大げさというか、実際にトランプさんのこれまでのビジネスマンとしての交渉、いろいろな話を聞いてみると、たぶん最初は大げさ気味に言って、最終的にある程度、自分のところ、有利なところにボールを持っていくという交渉でこれまできていたみたいですから、たぶん今回もそういう交渉でいこうとしているのかなとなると、トランプさんが言っているのは、そこまで過激な落としどころにはならないのではないかなと。逆に言うと、いかに日本が、どのへんで堰き止められるかというのが非常に重要なポイントになってくると思いますね」

『トランプノミクス』
秋元キャスター
「トランプ大統領の経済政策の本質について聞いていきたいと思います。トランプ大統領の経済政策、いわゆるトランプノミクスの柱をおさらいしておきますと、法人税などの大幅減税と規制緩和。10年で1兆ドル、日本円で110兆円を超えるインフラ投資。保護主義的な貿易政策。GDP(国内総生産)年4%成長を目標に掲げていますが、松野さん、このトランプ大統領の経済政策、レーガン政権時代の経済政策レーガノミクスと似ていると指摘されているんですよね?」
松野氏
「はい、トランプ政権がやっていることは、1980年代の、おそらくレーガン政権時代にやっていたことをもう1回やろうとしているのだろうと」
反町キャスター
「重なっていますよね?」
松野氏
「かなり重なっています」
反町キャスター
「軍事費。軍事力の拡大もトランプさん、言っていますよね?」
松野氏
「100日以内にやると言っている。アメリカの軍備を拡大させ、なおかつ再建をするのだと言っています。しかも、トランプ政権の中には当時、レーガノミクスを制作したヘリテージ財団の方々も入っていますので、それと同じような施策をやろうとしている可能性がちょっと高いだろうと」
反町キャスター
「レーガノミクスとトランプノミクスというのは同じですか?それともベースとなるものがそもそも違っているとか、時代背景が異なるとか、どう見ていますか?」
松野氏
「もちろん、時代背景はまったく違っていまして、レーガン政権ができる前は、オイルショックがあって、その後スタグフレーションを経験するわけです。いわゆる景気が悪いのに物価が上がっていくという状態。そのあとドンドン金利を上げて、インフレ退治と言うのですか、物価が上がる状況を退治しながら、こういった財政施策によって、アメリカの経済を立ち直らせていこうと。こうした景気が悪い時にやるような財政施策を極端にやろうとしている。これは明らかにバブルが発生するという可能性が非常に高いわけですよね」
反町キャスター
「政策は同じだけれども、ベースとなる条件が違うからかえって危ないという話に聞こえます」
松野氏
「後々は危ないのですが、とりあえずその前にバブルが発生するとなると企業の連中を集めて、規制緩和をやって、投資家が儲けていくと」
反町キャスター
「要するに、今ばっとやるから、今のうちに一儲けしろよと投資家とか、大企業の人達を煽るような、そういう方針に見えますよ」
松野氏
「たぶん、それで当初、トランプ候補が大統領になった時には、全世界が壊れるのではないかぐらいの勢いだった話が、極端に崩れたストーリーがここにあると思いますね」
反町キャスター
「永濱さんはどう見ますか?今の話」
永濱氏
「私も同じ考えでして、まさに、トランプノミクスは、一言で言うとマクロ経済学的にはインフレ加速政策だと思うんですね。良い意味でも、悪い意味でも。減税とかインフラ投資というのは、これは需要を増やすわけですから、需要が増えるという意味では、いわゆるリマインドフルインフレと言って、良いインフレをもたらす。幸い現在のところ、アメリカはまだ実質インフレと言いましょうか、2%には行っていませんから、短期的にはプラスにいくかもしれませんけれど、一方の保護主義と言うのはコストプッシュであって、安い賃金の移民を抑制したりして、要は、生産拠点を国内に持ってくるということですね。アメリカの高い人件費を使ってモノをつくらないといけないので、これはコストプッシュの原因になるので、いずれも物価は上がるようになるんですよ。トランプさんはそこまで意識はしていませんけれども、これは財政政策の効果というのが、今年の秋以降、早くて。暫く時間はかかるのですけれども、実は出てくるようになると。それまでは先ほど、トランプさんが円安に誘導しているのだみたいなことを言いますけれど、たぶんインフラ投資の効果が出てきたら、黙っていても現在アメリカは完全雇用に近い状態なので、サプライサイドが強化されない限り、加熱して、インフレが高まってくる。そうするとFRB(連邦準備制度)がインフレを抑えなければいけないので、利上げペースに入りますよね。そうすると、私はそうなってほしくはないですけれども、可能性があるのが、たぶん2017年の後半から2018年ぐらいはすごく経済が過熱して良くなると思うんですね、アメリカの方ですが。ただ、そういう時は、加熱した時はFRBが金利を上げて、インフレを抑えようとすると、いわゆるオーバーキル、利上げをやり過ぎてしまってたぶん景気後退で、だから、トランプさんの政策というのは、これまでアメリカの景気回復は相当長く続いてきたのですけれども、それを短命にしかねない」

EUの経済リスクは?
秋元キャスター
「就任したばかりのトランプ大統領の経済政策に注目が集まっていますけれど、ヨーロッパに目を向けますと、こちらも今年、大きな経済リスクとなり得る政治イベントがあるんです。3月にはイギリスがEU(欧州連合)からの離脱交渉を始め、オランダで総選挙が行われます。5月にフランス大統領選挙が行われまして、極右政党であります国民戦線のルペン党首が有力候補の1人となっています。そのあともフランス、ドイツで総選挙が続き、フランス、オランダではEU残留に否定的な政党が台頭するのではと言われているのですが、松野さん、どう見ていますか?」
松野氏
「そうですね。今回このスケジュール以外にも、たぶんイタリアも選挙をやるのだと思いますけれども、1番気にしているのは、ブレグジットと言うのですか、EU離脱、イギリスの話よりもEUそのものが崩壊してしまうリスクですよね。イギリスは国民性を考えるとジェントルマンな国ですから、あくまでエリートがつくったEUという仕組みに対してはかなり敬意を表するような国民性がある。そのイギリスにおいてブレグジットが起きたわけですから。そうではないヨーロッパにおいてはますます反EUみたいな体質というのが国民の中に広がっている可能性が高いと思うんです。そうなってくると、こういった選挙を通じながら次々とそこらへんがクローズアップされてきて、むしろEUが先に壊れていくような議論が、年内に壊れるような話にはならないと思いますけども、そういう議論が相当高まる可能性が高いのかなと。そうなってくると、イギリスとしては無理して何もしなくても出て行く元のEUが壊れるのであれば、それは放って置けばいいかなみたいな話に、もしかしたら出てくる可能性が、今年、大きなリスクの1つかなと思っています」
大山解説委員
「マーケットのことなので、松野さんに聞きたいのですけれども、過去のユーロで、ギリシャがどうしようもなくて財政危機があった時に揺れて、一時的に危ないから、ユーロとか、ヨーロッパの通貨が逃避的な円買い。日本は政治的に安定をしていて、与党が3分の2、上下(院)で獲っている。逃避的円高という異常な短期間の過度な円買いとか、そういうことが起きることはないですか?」
松野氏
「たぶんそれがクローズアップされる度に出てくる話ですし、実際今回も、たとえば、メイ首相が完全離脱だと言った瞬間にすぐ円高になったりしますので、そう言った話は今年、いくつか他にもリスクはあるのですけれども、そういうリスクが出る度に極端な円高と言うのですか、あるいは場合によっては短期間に収束してしまうかもしれませんけれども、そういう激しい動きはたぶん出てくる可能性は高いだろうなと思いますね」
反町キャスター
「そうすると、今年、日本株というのは期待できないなと、先ほどから聞いて思っているのですけれども」
松野氏
「ただ、基本的にはトランプノミクスでアメリカの経済が良くて、金利が高くて、円安基調というか、ドル高基調ですね。これはたぶん変わらないと思います。ただ乱高下しながらも右肩上がりになっていくのかなという、そういう見通しを持っています」
宅森氏
「そうですね、ちょっとアメリカ経済に中だるみの時期があると思うのですが、トランプさんの政策が出てくるところはしっかり出てくるので、そこからはシナリオ通りになると思うんですよ。昨年も日米の金融政策のアレから、円安、ドル高だと言って、実は裏切られました。たとえば、日銀が1月29日にマイナス金利をやった。東京マーケットで素直に反応した円安だと。海外で逆に動くんですよ。そこはそのあと2週間ぐらいで11円ぐらい動いて、1年間、一昨年の変化幅は10円でしたから、それを大きく動かしてしまう。海外勢の動きがすごく怖いですよね。トランプさんが大統領になった時も、まず円高だという話になっていて、東京マーケットでは動くのだけれども、海外では逆に動くんですよね。それがすごく多いんですよ。だから、なんとなくリスクオンだとか、リスクオフだとか、安全資産の円だとか、海外勢中心に仕かけて、いろんなタイミングでそういうヨーロッパの出来事があったりする時に、また、今年も動かされるのかなと。プライオリティは結構高いのではないかと思います」
反町キャスター
「その意味で言うと、松野さんが先ほど言っていた、そうは言いながらも日本の株は基本的には右肩上がりで、それなりに、上下はあるけれどもと、そのへんの見通しはいかがですか?」
宅森氏
「私はそれで大丈夫だと思っています。アメリカがトランプノミクスをやる感じではないですか。そうすると、年度の後半から来年にかけて大丈夫。おそらく中間選挙を意識すると思うんですよ。中間選挙の頃までは持ち堪えるでしょうね」
反町キャスター
「そうすると、来年いっぱいまでいくかもしれない?」
宅森氏
「来年いっぱいは」

中東の経済リスクは?
反町キャスター
「石油ですが、原油価格の見通しは?」
松野氏
「基本的には現状維持ぐらいを続ける可能性が高いと。中東で生産抑制をやっていますけれども、かなり増産したあとの生産抑制で効果はそれほど大きくはないのですが、インパクトはありました。一方、原油価格が高止まりすると、アメリカがシェールを増産してきますので、これが原油価格を下げる作用がありますので、両方考えると現状維持だろうと。ただし、トランプ政権で軍事費拡大させて、大量に兵器をつくって、どこかで在庫処分しなければいけないねとなると、たとえば、中東あたりで花火を上げてみようかみたいな話になってくると、原油価格が上がっていく可能性が高いかなと思います」
反町キャスター
「それはアメリカが意図的に仕かける中東危機で、狙いは原油価格の吊り上げという、そういう意味で言っていますか?」
松野氏
「本音はそこですけれども、大義名分は、たとえば、シリアのIS(イスラム国)掃討だとかという話で、結局はイスラエル寄りの政策をドンドン打っていきますので、イスラエル対アラブで、そういった話を起こして、ドンドン兵器を在庫処分していくというパターンですかね」
反町キャスター
「イランを叩くので、イランに圧力をかけるというのも出てくる?」
松野氏
「たぶんレーガン政権の時もそうだったのですけれど、自分は当事者にならないですね。あの時はイランとイラクの対決で、でも、公式にはアメリカはイラクを応援していたのですけれど、あとで、裏でイランに兵器をまわしていたと、イラン・コントラ事件という有名な事件があって、レーガン大統領が苦しい立場に追い込まれたことがあったのですけれど、基本的には昔からある属国支配方法で、分割して対立させて統治せよという方法があって、要は、対立軸をつくって、両方を応援して、競わせながら統治していくという昔からのスタイルがありますので、それに則りながら、両方に兵器を売ると在庫処分もできます。それで原油価格が高くなるのだったら、シェールも追い風になりますから、アメリカにとっては一石二鳥の話かなと思いますね」

日本経済の足元と行方
秋元キャスター
「宅森さん、日本経済の足元をどう見ていますか?」
宅森氏
「ようやく良くなってきたというのが結構あると思っています。たとえば、25年ぶりの高水準だというのが結構ありますよね。有効求人倍率が1.36倍になって、25年ぶりに良くなりました。少子高齢化だからというような言い方をする人もいるのですけれども、企業の景況感とか、特に製造業が良くなっている感じがします。製造業も、中小企業のDIですけれども、円高が収まってきたので戻ってきて、良い方に転じてきていますよね。大企業の方も1年半ぶりに改善したとか、それから、景気動向指数の判断も足踏みと言っていたのが改善に1年半ぶりになったとか、良くなってきているんですよ。製造業の日銀短観の景況判断DIは、2013年にプラスになっているのですが、これが1992年の初め以来だったんです。ずっとそのあとマイナスに1度もなっていないと。雇用吸収力のある業種ですよね。これが強いですよ。底堅いというか。これは25年ぶりの話です。だから、有効求人倍率が全県で1以上、1.36倍。直近は1.43倍、そこまで上がってきていると。だから、バブル期を有効求人倍率で抜くと思いますし、失業率も2%台という声もあると思います。2.9(倍)とか、そういう数字が出てきてもおかしくはないと思うんですね」
永濱氏
「日本経済だけを考えれば全般的に良くなってきていると思います。景気循環を見る時に日本の生産活動、製造業の、これが非常に重要ですが、これを見ていただきますと、循環的に景気が回復するオーソドックスな動きをしているなということです。具体的に言うと、景気が回復の局面では出荷が増えていますよね。出荷が増えてくると在庫とか、在庫率が下がってくるわけではないですか。そうなると、ようやく企業が増産体制に入り、生産にシフトするということで、昨年の秋ぐらいからそういう動きが明確に出てきているということ。景気循環というのは1回上を向いたらすぐに下を向きませんので、このまま循環的な動きが圧力としては暫く期待できるのかなということです」
松野氏
「国内だけ見る限りでは、景気が良いと。企業業績もさすがに円安も効いてきて、この下期、並びに4月から始まる来期、増益基調、1割ずつぐらい増益になれるかなと思いますので、そういった意味では悪くない話だと思います。あとは外部環境で振り回されることに目をつぶれば、心配ないかなと思ってはいるのですけれども」
秋元キャスター
「相場の言葉で申酉騒ぐという言葉があるのですけれども、申年と酉年は株価の上下が激しくて、値動きが荒い年になるというのですけれども」
宅森氏
「よく辰巳天井と言いますよね、非常に高くなっていますよね。馬尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐなんですよ。ここは乱高下するのですけれども、結果的に酉年は戦後、4勝1敗ですけれども、4回上がって、1回下がったという。1回下がったのは60年前、1957年。この背景ですけれども、たまたまと言うよりも相関しているものがありまして、変動相場性になってから為替レート、前年末に比べて円高になったか、円安になったかと、円高はプラス、円安はマイナス、そうすると、単純に平均した時にマイナスになったのは辰年、巳年、だから、辰巳天井で株価が上がりやすいんです。それから、申年は全部円高です。昨年は干支のジンクス通りになりました。酉年は円安になりやすい。アメリカの大統領の就任1年目は過去5回連続して円安ドル高です。なので、今年の終わりまでということで言えば。そういう意味では、ちゃんとこのジンクスが最終的には当たりやすいのでしょうし、株価の方もちゃんと上がっていきやすいと。最後に見ると上がっていたなということになるのではないかと思っています」

宅森昭吉 三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミストの提言 『対トランプ 神色自若』
宅森氏
「トランプさんになって大変だという話になりましたけれども、神色自若という言葉があるんです。内面も外見も落ち着いていて、ものごとに動じない、そういうのが大事なので、トランプさんだとか、ヨーロッパの問題だとか、いろいろあるとは思うんですけれども、そういったことに対してしっかり対応できるかどうか、たとえば、日銀の金融政策にしても何か言われたからと言って、いちいち動いているととんでもないことになってしまうので、しっかりとデフレから脱出して、物価がプラス圏に入るまで、金融緩和を続けるとか、そういうようなことをしっかりやっていく必要があると思って、こういうことにしました」

松野利彦 SMBCフレンド証券チーフストラテジストの提言 『挑発に乗らず 毅然とした態度』
松野氏
「経済のところでだいぶ日米通商交渉みたいな話にたぶんなってくると思いますので、そこで高めのボールがドンドン投げられてくるので、そういった挑発には乗らず、裏に入って、こっそり言いくるめて、ハンコを押させるみたいな話になりかねないので、そこは毅然とした態度をとることによって通商交渉で日本に不利にならないような格好で対応するのが大事かなと思っています」

永濱利廣 第一生命経済研究所首席エコノミストの提言 『アンラッキー7を克服できるか』
永濱氏
「先ほど、宅森さんから干支の格言の話があったのですけれど、もう1つ、市場で囁かれているのが、過去を振り返ると下ひとケタが7の年というのは必ずアンラッキーなことが起きて、景気が悪くなるというのがあって。1987年はブラックマンデーですよね。1997年はアジア通貨危機ですね、2007年はサブプライムローン問題が発覚していますよね。となると、過去のジンクスで考えると、今年もアンラッキーなことが起きれば日本経済が良くても海外の要因で悪くなってしまう可能性もあるので、今回はなんとかそういうことが起きないで、これまでのアンラッキー7というものを克服してほしいなと、ここに注目したいなと。ただ、アンラッキーになる要素はありますよね。欧米政治を中心に。だから、ここに注目したいなと思います」