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2017年1月31日(火)
『教育無償化』の裏側 与野党主張を徹底検証

ゲスト

下村博文
自由民主党幹事長代行 衆議院議員
大串博志
民進党政務調査会長 衆議院議員
小林雅之
東京大学大学総合教育研究センター教授

奨学金制度の現状は?
秋元キャスター
「主要各党の高等教育に関する政策から見ていきたいと思います。概ねどの党も返済の必要のない給付型奨学金制度の創設、それから、貸与型でも無利子の奨学金の拡充を掲げていまして、高等教育無償化に前向きな姿勢を示しています。各党が無償化に前向きな中、文部科学省は今年4月からスタートします返済の必要のない給付型奨学金制度を創設しました。なぜ現在、奨学金制度の充実が叫ばれているかと言いますと、1985年には、年間平均でおよそ25万円だった国立大学の授業料が、2014年には53万円と。私立大学については47万円だったのが86万円と授業料がおよそ2倍に上昇しているにもかかわらず、平均年収ですけれど、世帯年収は1994年をピークに減少し続けていて、授業料を負担する親にとってかなり苦しい現状が続いているというのが現状なんですね。そうした状況もあってか、現在、全国の大学の学生、およそ253万人のうち、2人に1人。130万人弱が奨学金を利用しているというのですが、小林さん、奨学金制度の現状はどうなっているのでしょうか?」
小林教授
「だいたい2人に1人が借りているんですね、全体の数字です。この中で1番大きなのは日本学生支援奨学金なのですが、これがだいたい2.6人に1人。4割程度が借りています。非常に現在たくさんの人が借りているというのが現状です。日本学生支援奨学金は全て貸与制です。返済しなくてはいけないということです。ですから、一種、無利子というのと、二種、有利子という2つの制度があります。これは基準が若干違いまして、一種の方が学力基準、あるいは所得基準が厳しくなっている」
反町キャスター
「無利子の方が厳しい、それはそうでしょうね」
小林教授
「実際の利子は現在、マイナス金利ですから、0.1%とか、あまり変わらないのですけれども、上限でも3%に抑えられている、そういうことになっています」
反町キャスター
「奨学金の利用者50%ですよね、学生の。ちょっと僕の頃と比べると、こんなに現在はたくさんいるのかという、変化というか、説明していただけませんか?」
小林教授
「日本学生支援機構だけのものを見たものですけれど、長い間、奨学生というのは非常に少なかったわけです。それが1984年に有利子制度ができます。第二種制度ですね。それも長い間、あまり増加しなかったのですけれども、1998年から大幅に増加をしています。特に第二種奨学金というのを利用する方が増えてきたんです。これは先ほど申しました学力基準、所得基準を大幅に緩めたということになります。これによって非常に借りやすくなったと。そういうことで7倍近く増えているのが現状です」
反町キャスター
「その増えている背景というのは借りやすくなったということと、一方、学生の側からは、学生を取り巻く生活環境というものが、1998年から急に苦しくなったとは言いませんけれども、近年、環境が厳しくなっているということにもなるのですか?」
小林教授
「その問題もあります。借りるということはあとで返さなければいけないわけですから、その問題もありますし、借りたあとどうするかということまで考えて借りなければいけないのですけれども、情報の周知というのがなかなかうまくいっていなかったというのがあったというのもあると思うんですよ。つまり、非常に借りやすくなった。とにかく借りましょうというような形が続いたというのもあります」
反町キャスター
「借りやすくなって、まさか借りる側も返すことを知らずに借りているわけではないですよね?」
小林教授
「それは、日本学生支援機構の調査があるのですけれど、意外と借りたら返すというのを知らない人も結構いるんですよ。督促が来て、初めて返すものだと知ったとか、そういう方もかなりの割合でいらっしゃいます」
反町キャスター
「大串さん、奨学金の利用者が増えてきている背景をどう見ていますか?」
大串議員
「バブルが崩壊して以降、デフレ経済の中でよく言われるのが、中間層が非常に弱くなったと、言われます。昔は多くの方々が、私は中流かなと、まあまあの世帯だなということで、家族で暮らしていたのが、家族というものに単身世帯が増え、非常に厚みのある中間層がなくなってきている。家計の平均的な所得が非常に下がっていること自体、相当若い世代の学習に向けた、費用が困難になっているのかなと思うんですね。こういう状況に対し、ここで国が手をこまねいている状況ではいけないところぐらいまできていると思うのです。ですから、もう一歩、国が踏み込んで人材を育てるという観点から、あるいは若い世代を元気づける。将来がんばろうという意味で元気づけるという意味においても、国が相当なことを中等教育から高等教育に向けてやっていくべき時にきているのではないかなという感じがするものですから、我が党においても、大学も含め、教育の無償化を目指そうという方向に展開しています」
反町キャスター
「大串さん、日本の大学の進学率は55%ちょっとぐらいですよね。これを上げるべきだということなのですか?」
大串議員
「いや、これを上げるというのは、個人の選択もあるんですね。私達は教育の無償化を推し進めた場合には(進学率は)54%ぐらいが6割になるかなという読みもしていますけれども、ただ、ここは個人の選択がある世界であるべき話であって、たとえば、自分は大学に行こうという人もいれば、自分は専門の高校に行こうという方もいますし、あるいは高専に行こうという方もいらっしゃる。そこは、むしろ中等教育、後期中等教育のあたりから自分の人生設計をどうしていこうかというのを、積極的に選べるようにする教育も、ある意味、もっともっと推していくべきだと思うんです。もう1つは、大学に行ったあと、社会人になったあとの学び直しですね。もう1回、私は人生をこうしたいと、再構築したいというような方々がもう1回、大学に行ける。あるいはもう1回、専門的教育を受ける。こういったこともできるような社会にしていくべき時にきているのではないかという感じがしますね」

広がる『教育無償化』は 日本に何をもたらすのか
反町キャスター
「下村さん、今回の教育の無償化というものが、皆が大学に行けるようにするということ、希望する人ですけれども。大学への進学率を上げるということが目的なのか。機会の均等と言うか、要するに、皆に同じようにチャンスを与えるような社会にしたいんだよという意味なのか。ないしは皆が行くようにするのだという結果の平等を求めているのか。これは全然、意味が違ってくるのですけれども、どう我々は受け止めたらいいのですか?」
下村議員
「大串さんも言われていましたが、日本は18歳で大学。しかし、ヨーロッパは、いったん社会にでて、社会に適応するためにより高度な教育力をつけるのだ。それが大学に入るとか、日本であれば専修、専門学校に入ると。だから、実際は25歳から30歳で、大学生は相当いるんですよ、ヨーロッパでは。ですから、もう1度、いくつになっても…」
反町キャスター
「オーストラリアの例は別にしても、ノルウェーだとか、アメリカとか、こういうところは高いというのも、これは生涯進学率の話であって、日本の場合には51%、ちょっと前のデータですけれど、まさに、これは18歳で51%というデータにほぼ近いではないですか。だから、広げていくという、30代、40代になっても(大学に)行くような、こういう意味?でも、奨学金の考え方とまた違うイメージのもの?」
下村議員
「いや、一緒です。たとえば、ドイツがなぜ低いのかは、ドイツは職業教育をしっかりするから、マイスターで、それはそれで相当高額で処遇されるという部分があるから、必ずしも一般教養としての大学に行く必要がないから低いだけの話で、他の受け皿があるわけですね。他の国は高度な教育力をつけないと、そもそも就職することができないと。高度な社会の中で適応することができないという意味では、大学進学率を上げると。高等教育の進学率を上げるということは大変重要なことです」

所得間格差と教育格差 『貧困の連鎖』断ち切るには
秋元キャスター
「2012年の所得階層別の大学進学率ですけれども、私立大学の進学率は、年収400万円以下の世帯では20.4%、年収が1050万円以上では42.5%となっています。国立大学の進学率については、年収400万円以下で7.4%、1050万円以上では20.4%で、いずれも2倍以上の差があるわけですけれど、所得に比例するこの進学の格差をどう見ていますか?」
下村議員
「日本のトップの大学と言われる東大。東大の親の所得が、日本の大学の中では1番高いと。それは今の受験そのもののテクニック的な問題があって、つまり、地頭がいいから合格できると。大串さんはそうだったかもしれないけれども、現在は小学生の頃から塾とか、予備校とか、家庭教師がついて勉強して、6年間の私立の、いわゆる名門校と言われる進学校と言われる、一貫性の私立の学校に行って、それで、大学受験する方が、はるかにチャンス、可能性があるんです。そうすると、地理的な部分というのは、つまり、経済的な部分という問題があって、地方で、そんな高校、中学、私立学校がそうあるわけではないし、塾とか、予備校があるわけではないし、そうすると、首都圏でそういう環境があって、親がきちんと小学生の頃からきちんと教育投資をする。だから、目に見えない部分で子供の教育費が相当かかっているんです。その部分というのをこれまでは親の収入によってカバーしてきた部分があるけれども、それがトータル的に所得が減ってきているという中でそれについていけない。結果的に、それに対応できない家庭が相当増えてきたということですね。結果的には学歴の差がその後の収入の差につながってくる部分があると。これは厚労省が調べたのですけれども、高卒と大卒で生涯獲得収入が9000万円も開きがあるんですね、平均すると。しかし、実際に大学4年間で、9000万円も開きがあるわけではないから。そうすると、勉強をしたいという人に対しては、できるだけバックアップしてやるということが、年収の確保にもつながるという部分もあって、そういう家庭における親の収入格差がこういう問題で出ていると。1番顕著でしょうね。収入400万円だと、国立、それから、私学を含めて大学進学率30%行っていませんよね。1000万円を超えると両方足して60%、倍の開きがあります。これは是正する必要があると思います」
大串議員
「このグラフに表れている数字はよく知られている数字で、もう1つ、よく言われるのが成績ですね。これも年収等々と比例するというのもあるんですね。教育の支出、公の支出、国ごとに公の支出をとって見ると、公の支出の教育に対する支出が多い国の方が、生産性が高いというような研究結果もあるんです。だから、格差が固定化するというリスクをつくってしまいかねないのが教育というもののある意味、大事さだと私は思うんですね。ここで格差が再生産しないようなものをつくっていくためにも教育の無償化を目指していくというのが、特に高等教育において、非常に大切になっていると思います。いろんな現在、研究があって、格差が経済成長とどういう関係を持つのかと、いろいろ研究がなされていたんですね。これまでは関係ないという説が多かったのですが、2014年ぐらいから、OECD(経済協力開発機構)も、あるいはIMF(世界通貨基金)も変わってきて、格差の少ない国の方が経済成長率は高いし、持続力もあるという、こういう研究結果がたくさん出てきているんですよ。スタンダード&プアーズという格付け会社。こういうところも教育を通じて格差をなくしていくことがその国の生産性を高め、強さにつながっていくと、こういう結果を出しているんですね。これも踏まえて現代的な課題として教育に取り組むというのは大事だと思います」
秋元キャスター
「小林さん、この格差と学力の差をどう見ていますか?」
小林教授
「これは、私達の調査ですけれども、これだけ大きな格差があるということは、非常に大きな問題だというのは言うまでもないことなのですが、ただ、下村先生が先ほど言われましたけれども、一方で、東京大学の上の所得が高いというのは事実ですけれども、450万円以下の低所得層も1割台はいるんですよ。それは授業料減免ですとか、給付奨学金とか、いろいろなものがあって、そういうことができていると。親の負担だけではとてもできないわけです。ですから、それでいいというわけではなくて、これがあまりにも足りないので、こういう状況になっているわけでありまして、ですから、これをもっと広げていかなければいけないわけですね」

公的負担か本人負担か
秋元キャスター
「教育費を誰が負担するかということを考えていく中で、3つ考えられます。公的負担、それから、本人負担、親負担。日本は親負担の比重が大きいわけですけれども、小林さん、海外では教育費の負担というのはどのようになっているのでしょうか?」
小林教授
「まず公的負担ですけれども、これは北欧とか、フランスのような福祉国家と言われる国の政策ですね。これは、たとえば、スウェーデンで言いますと公立大学はもちろん、私立大学も全て無償で授業料をとっていません。完全な助成です。こういった考え方に対しまして、イギリスとか、アメリカ、オーストラリアというような国は、個人主義的な考え方です。学生が自分で払うべきだと。ただし、学生がもちろん、在学中に払えるわけありませんので、卒業してから払うと。イギリスの場合で言いますと、授業料だけではなくて、生活費も全てローンで借りて、在学中は一切、費用がかかりません。しかし、卒業をしてから、それを返していくという、そういう方式になります。日本や韓国の場合は、親が子供の責任を持つという、その考え方が非常に強いんですよ。ですから、お金を出すのが責任だと思っているというところがあるわけですね」
反町キャスター
「高等教育の負担割合、公的な負担という話で、国なのか、家族なのか、個人なのかということで言うと、公的な負担というのが、フィンランドではほとんど国がやっていて、国が公的な負担を。日本や韓国というのは親負担になっているのですけれど、このバランスはどうあるべきだと感じますか?」
下村議員
「これだとそんなに違いがないような感じがするけれども、OECDの調査ですよね。実際は34か国の中で私的負担が1番高いのは韓国。公的負担が1番低いと。日本が2番目です。実は34か国の中で32番目。だから、世界の中で実際、公的負担を最もしていない国が日本なんですね」
大串議員
「義務教育は、日本の場合、公的負担でやっているわけですよね。大学というものをどう考えるかということですけれども、時代の変遷と共に、私は親負担、あるいはアメリカのような本人負担が、世界から高等教育に関しても、公的負担で行うべきというような時代の大きな流れにきていると思うんです。だから、その考え方の違いを、殊更、あげつらうのではなくて、時代の流れの1つとして、大学教育に関しても公的負担でやっていくのだというような流れがかなり出来つつあるような気がしていますね。これは高等教育の話ですけれども、高等教育だけではなくて、もともとの教育に関する公の支出という観点からしても、日本はOECDの中で平均の半分ぐらいですね。だから、それからしてももうちょっと日本は人に投資をしていくということが非常に大切だと思います」

『給付型奨学金』の創設
秋元キャスター
「給付型奨学金制度設立の目的について教えてください」
下村議員
「今年から始まるのは大学ですよね。高校では既にあるんです。民主党政権の時の最大に評価する点は、私からすると、高校の無償化だと思います。約4000億円の財源を使ったんですね。それは公立高校の無償化、11万8000円相当の授業料が無償化になりますよと、私立の場合はその部分だけ引いたものですから、私立は別に無償化になっているわけではない。政権交代をして、私が文部科学大臣の時に最初に進めたのは、所得制限をして910万円まで、それは無償化。910万円以上の家庭についての子供は無償化対象から外して、財源を確保して。私立高校に通っている子供は、金持ちの子供だから私立高校に通っているわけではないですね。私立高校に通っている子供達についてはさらに上乗せしたり、それから、給付型の奨学金を導入したという経緯があります。今年からは今度は大学から始めましょうと。ただ、ご指摘の通り、今年はまずは私立の下宿している子供達を対象に限定をしてやると。来年以降は、平成30年からは、住民税の非課税世帯で一定の学力・資質要件を満たしている、住民税非課税世帯の、一学年の対象の子供で言うと、4.5万人ぐらいいる。これは2万人だから半分ぐらいしか対象にならないです。残りの子供達に対しては、無利子奨学金について3.5以上という高校時代の成績基準、この基準をなしにして、非課税世帯の学生の残りの人達に対しても無利子奨学金の対象にするということを始めます。しかし、これを始めるだけで財源に210億円が必要ですね。この210億円については他の予算を削減してそこから持ってくると、最大限これぐらいしか取れなかったのですが、いずれは財源問題になってくると思いますけれども、当然全ての住民税非課税世帯の子供達に対して給付型奨学金を広めていきたいと思いますが、まずは小さくでも産もうと。先行的に今年からやろうというのが、この給付型奨学金制度のスタートです」
反町キャスター
「大学生だけですか?専門学生とかは?」
下村議員
「入ります。今度は高校生以上ですね」
小林教授
「1番、大きいのは、誰に給付するかというのが1番大きな問題で、これは公平性の問題もありますから、非常に大きな問題です。様々な議論がありました。結局、高校長が推薦するということで決着しました。これは評定平均値だけでやりますと数字で客観的に見えますけれども、2年までの成績で決まってしまうんですね。3年生になって伸びた子とか、1科目だけ非常に優れているとか、スポーツができる子とか、芸術ができる子とかは対象にならないんです。高校が自信を持って推薦してくださいと、そういう方式に変えたということが1つの大きなこと」
反町キャスター
「各校で1人?」
小林教授
「1人とは限りません。最初に1は割り振るんです。そのあとはこれまでの日本学生支援機構の奨学金の実績から1人ずつ割り振っていく。だいたい少なくとも30%はいくという試算になっています。対象者のうち、非課税世帯のうちの30%には確実にいくと」
反町キャスター
「民進党は給付型奨学金制度のデザインとかはできているのですか?」
大串議員
「うちはありません。給付型奨学金制度はありません。授業料、公立50万円、私立80万円、この授業料を大幅に減免していくことから、段階的に始めて…」
反町キャスター
「給付ではない?」
大串議員
「現物です。大幅に減免していくところから始めて、教育の無償化に到達していこうという考え方です」
反町キャスター
「対象者には所得制限とかを設けるのですか?」
大串議員
「細かい議論をしていませんけれども、規模がね。給付型奨学金は財源210億から220億円ですね。私達は消費税8%から10%の1%分ですから2.7兆円、このぐらいのことをイメージしながらやっていくような大きな話だと思うんです」
反町キャスター
「何人を対象にというイメージはあるのですか?」
大串議員
「現在54%の大学就学者ですね、進学率。これが6割ぐらいには上がるのではないかと想定しながら、基本的には幅広く、所得制限とかで切るのではなく」
反町キャスター
「財源の話、民進党から聞いていきますが、先ほどの消費税の話、1%といいましたけれども、消費税は使い道が決まっていますよね?」
大串議員
「使い道が決まっているところもあります。決まっていないところもあります」
反町キャスター
「税と社会保障の一体改革の時に、5%上げる時の使い道の中に、うち1%を使って奨学金、ないしは学費を減免するというビジョンはなかったですよね?つまり、(消費税を)11%に上げてもいいから、これをやるべきだというところまで踏み込めるのですか?」
大串議員
「いえ、社会保障と税の一体改革の5%引き上げ、そのうちの1%は基礎年金の部分に充てようと、もう1%の部分は社会保障の充実分に充てようと。社会保障と子ども子育てですね。残り3%の部分に関して借金返し。私は当時担当していた政務官ですけれど、今思うと3%も借金返しに充てるということだと、消費税が上がっていく中で国民の皆さんの受益感を十分に持っていただけなくて反発だけが出てくる。結局、消費税を上げようとしても、上げられなくなってしまうと。こういう悪循環が生じると思う。もう少し受益感を持てる方向に考えていくと…」
反町キャスター
「それは党としての決定ですか?」
大串議員
「今のところは党として決定しました」
反町キャスター
「財政の健全化を先送りしてでも、2.7兆円を教育につぎ込むべきだと?」
大串議員
「財政の健全化に関しては遅れることになりますけれども、ただ、現在の状況でいっても8%から10%に上げられる状況にはならないと思うんですよ。今の国民の皆さんの消費税に対する納得感を考えると、このまま何もなしに、受益感なしにやっていけるかと言うと、私はなかなか難しいのではないかと」
反町キャスター
「その方針。敢えて転換と言わせてもらいますが、それはいつ決めたの?参議院選挙の時にそういう話されていました?」
大串議員
「12月です」
反町キャスター
「…終わってからだ」
大串議員
「参院選後、岡田代表が辞めて、新しい蓮舫代表のもと新執行部になりました。そういう中で、私達の政策をもう1回、考え直していこうということで、民進党の経済政策ということで、考え直して、今の経済政策では人への投資、これが1番大事だという考え方に立って、人への投資の中では若い世代の教育の無償化を大胆にやっていこうと」
反町キャスター
「下村さん、財源についてどのように考えていますか?」
下村議員
「確かに今回の給付型奨学金は財源が200億円だから、小さく生んで大きく育てようという意味で、たいした額ではないかもしれないけれども、しかし、文部科学省の予算の他のところを削減して、切り詰めて、正確には220億円ですけれども、給付型奨学金、大学等の、を持ってきたという経緯があります。消費税の財源を使うというのは十分にあり得る話だと思いますけれど、しかし、3党合意からすれば、10%までについては使途が決まっているんですね。社会保障の問題と、少子化対策、子ども子育てでもう決まっていますから。10%は決まっている話なので、政府としてはそれを変えることはあり得ないだろう。そもそも10%に上げること自体、安倍政権で過去2回、現在の経済状況の中で、デフレ経済から脱却していくためには、消費税を上げたら、デフレに戻ってしまう、経済的にマイナスになるという部分で、2回先送りした経緯がありますから、消費税の中に教育予算を入れるということについては、いつになるかわからないというのは絵に描いた餅的な部分があると思うんですね。ただ、将来的に消費税は、他の国と比べると日本は確かに低率ですから、そこに教育費を入れるのは賛成です。でも、そうすると、いつになるかはわかりませんねということなので、自民党の中で今週からですけれども、教育国債、違う財布から探してくるしかないと。大串さんが言われたように、幼児教育の無償化から大学、私学まで含めた無償化を考えると5兆円ぐらい必要ですよ、年間。5兆円というのは現在の財務省的な予算の中では不可能な話なんですよ。そうすると、教育国債のような他のところから財源をしっかりと持ってこなければ教育の無償化というのは無理です。そういうことも含めて、もちろん、消費税は10%以降の話ですけどね、11%、12%という時の話ですが、そうすると。何年先になるかわからないから、その議論と、教育国債の議論を現在、党内の中では始めているというところです」

『教育無償化』への道 憲法改正は必要か
秋元キャスター
「安倍首相は『誰もが希望すれば、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければならない』と訴えました。下村さん、憲法改正して教育無償化の範囲を拡大する意義というのはどういったところにあるのでしょうか?」
下村議員
「本来、憲法というのは国の未来、あるべき形を憲法に書き込むことによって、その方向性を進めていくという意味で、憲法改正というのは必要なことだと思うんですね。この教育の無償化というのは、憲法を改正しなくてもできることではあると思うけれども、憲法に明確に位置づけることによって加速度をつけて、無償化に向かうという意味では、意味のあることだと思います。今後党内において、実際は国会における憲法審査会で議論することではありますが、その前の党内における憲法改正推進本部で発議の1つの項目として教育無償化というのも入れて議論をしてもらいたいなと私自身は個人的には思います」
反町キャスター
「今の話は憲法26条だと思うのですけれども、高等教育の無償化まで踏み込むとすれば『義務教育は、これを無償とする』に手を入れるイメージですか?」
下村議員
「憲法改正をしなくても無償化に、幼児教育から大学まで、私は可能だと思いますよ。でも、憲法はあるべきこの国の未来に対する理想を書き込むことによって加速度をつけていくと考えた時、それも1つの考え方だと、義務教育と限定しないで『我が国の教育については、これを無償とする』くらいの考え方だと思いますし、そもそもこの中で普通教育とは何なのかという意味もあるから、合わせて憲法改正について議論をしていく必要があると思います」
反町キャスター
「民進党では憲法改正と教育無償化のリンクした議論は行われているのですか?」
大串議員
「行っていないです。と言うのは、先ほど来、議論しましたけれども、私達は大学まで含め、教育の無償化を目指すべきだと言っています。今回、与党においては給付型奨学金という、私は規模が小さいのではないかと申し上げましたけれども、結局、行き着くところは財源なんですよ。苦しむところは財源ですね。どうやってこの財源を生み出すかが、皆、教育に投資をしなければいけないということには一定の理解はあるのだけれども、財源との兼ね合いで壁に行き着いているわけですね。と言うことを考えると、別に憲法に書かなくてもどうやって財源を生み出すのかという、そこにまず取り組むべきであって、それが先決だと思います。憲法を変えるということは、発議要件もあり、国民投票もあり、簡単なことではないというのは皆さん、ご理解していると思います。維新の皆さんは憲法改正をし、その後に一定の立法作業を行って、必要なことを行うように、政府に義務付けていくとすると、いったいどれだけ時間がかかるのか。これは教育無償化という言葉を言いながら、実態がついていかない、典型例ではないかなと。本当にやるのだったら、予算を確保して、いろいろな議論を経て、予算を確保してやるのがスジだと思います」
下村議員
「同時並行でやるのは可能であって、憲法で教育を無償化したら、初めて着手するということではないと思います」
反町キャスター
「同時にやれるかどうかは民進党次第ですが」
大串議員
「私達は、憲法改正に関しては国民の皆さんと新しい時代に応じた憲法を構想するというのが基本的な立場です。すなわち憲法というのは国民の皆さんの中から沸き起こるようにして動いていくというものだと思っているものですから、立憲主義の考え方に沿って。現在この条文に皆さんが不都合を感じていらっしゃるのかというところからまず問うべきだと思います。そういう意味からすると、教育の無償化の問題に関しては憲法が悪いから教育無償化になっていないから困るという議論ではおそらく世の中の皆さんはないと思うんです。何か具体的なことをしてほしいという気持ちはあられると思う。それは行き着くところは財源の問題で、そこにどれだけ真正面から取り組めるかという問題だと思いますね」
反町キャスター
「憲法を改正しなくては無償化できないという立場ではないですよね。これを直さないと進まないというものではないものかというと、憲法改正の最初の1つに持っていくのは難しいのかなと」
下村議員
「ただ、私はこういう議論をすることによって教育における無償化がなぜ必要なのかという意味での国民的な議論にはなってくると思うんですね。ヨーロッパ等では基本的に教育の無償化は達成しているんです。しかし、日本においては家計が、親が教育について責任を持つべきだという考え方があるけれども、実際のところ、全ての家庭の親が自分の子供の教育に対して経済的に責任を持てる状況ではないと、残念ながら。非正規雇用も40%近くいるわけだから。では、誰がやるのですかと言った時に、貧しいから諦めてくださいということでは、その人の未来の可能性も潰されてしまうし、1人1人の可能性が潰されることが多ければ多いほど日本全体が活性化しないということであるわけですから、これからもっと社会的に国なり、地方自治体もそうですけれども、教育における無償化については力を入れてやっていきましょうということが、憲法議論の中でも合わせてしていくという意味で、いろんな意味での加速度、相乗効果ですね。それから、我が国においては、そもそも教育については個人の負担が中心として家計があるから、そこまで税金が投入する必要はないのではないかと思っている人も一定数はいますよね。でも、これを議論することによって、これまでの延長線上でこれからもそういう考え方でいいのかという意味での国民世論喚起になってきますから。あとは憲法86条に、私学助成について厳密に読むと違憲的に見えるところがあるんです。それも合わせて、私学助成を違憲的に捉えているのだったら、私学に対して無償化なんてできませんよ。そういうことも合わせて憲法改正議論の中で(議論を)してほしいなと思いますね」

下村博文 自由民主党衆議院議員の提言 『教育投資が日本を変える』
下村議員
「先々週ダボス会議で、ダボス会議というのはある意味では、金融資本主義、株主資本主義のような、経営者の成功した人達がたくさん集まっているところですけれども、そういう人達がこれから先行き不透明で世界がどうなるかわからないという不安感の中で結構、言っていたのは、これからは教育ではないかと。その教育によって人類が生き残れるかもしれないし、滅びてしまうかもしれない。いかに教育が大切か、そういう本質的な教育をしていく前にはまず全ての人にチャンス、可能性が提供できるという意味で、教育投資によってまず教育の前提条件として皆がそこに並ぶことができると、チャンスを得ることができるという前提で、まずは教育投資が日本を変えるということを提案したいと思います」

大串博志 民進党衆議院議員の提言 『教育の無償化』
大串議員
「格差をなくすには教育の無償化と。本当の意味での無償化と、財源もかかります。私達は消費税の1%分ぐらいを使ってでも教育の無償化を本当に推し進めていこうというところまで大胆に橋を渡ったつもりなのです。今回の給付型奨学金も考え方は是としますけれども、いかんせん予算額が220億円、40人に1人、非常に規模が小さいものであって、本当の教育無償化にはなり得ていない。こういったことも考えると、本当の教育格差をなくす、不安をなくしていくという意味においてはドカンと今こそ踏み出していく時だと思います」

小林雅之 東京大学大学総合教育研究センター教授の提言 『正確な情報の周知』
小林教授
「これはアメリカでは給付型奨学金というのが非常に普及しているわけですが、受給資格がありながら、それを申請していないという人が、一説によると4分の1ぐらいいると言うんですね。ですから、正確な情報を十分に周知するというのが、私達研究者の努めだと思っています」