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2017年1月30日(月)
剛腕!トランプ流外交 米英首脳会談の通信簿

ゲスト

城内実
元外務副大臣 自由民主党衆議院議員
岡本行夫
外交評論家
中島厚志
経済産業研究所理事長

『トランプ外交』本格出動
秋元キャスター
「まずアメリカ、トランプ大統領による外交政策の主な動き振り返っていきます。先週1週間で世界に波紋を広げるような、新たな動きが次々と展開されたわけですが、城内さん、まずこのトランプ外交、どのように見ていますか?」
城内議員
「これは、トランプ大統領、わざとやっているように見ています。ある意味、ポピュリストですから果敢にこれまでできなかったことにチャレンジし続ける、そういう姿勢を示していると私は思いますし、世界の首脳が注目しているわけですから、手強い人だよと、自分は手強いぞという印象を与えることによって、利益をこちらの方に、自分の方に持ってくると。現に、まさに自動車会社に圧力をかけて、メキシコに行かないようにさせたりとか、そういうことをやってある程度、うまくいっているわけですよね。だから、そこらへんを見ると、私は最初のタイミングで、トランプ大統領がわざとこういう型破り的な手強い印象を与えていると思います。他方で、私は、比較的、楽観的ですけれども、共和党のまともな人達、穏健派、これが中国とか、ロシアと違うのですけれど、民主主義国家ですから、議会にある程度、権限ありますので、そこはうまくバランスを取りながらやっていくということと、あとはトランプ氏が指名している閣僚、補佐官を非常に、ある意味、交渉で、話せばわかるという方が多いと思うので、私はそんなに心配はしていない」
岡本氏
「城内さんがおっしゃったことに私も賛成ですけれど。手強い印象を与えようとしているだけではなく、本当に手強いです。1番問題になっている移民の受け入れ停止で、あれは、大統領令に署名するところ、背景がホワイトハウスではないですよね。どこかと思って調べてみたら国防省ですよ。国防省は移民受け入れと関係ないんですよ。だから、ホワイトハウスでやらないのであれば国家安全保障省でやるべきで、なぜ国防省でやっているか。これは僕の深読みですけれども、城内さんが言った通り、まともな閣僚達が任命されている。その中でも1番大統領と違った姿勢を見せているのがマティス国防長官ですよね。マティス国防長官は指名公聴会でも、移民を制限することは適当ではない、というようなことを言っているわけです。そのマティス氏の管轄外なのに、本拠地に乗り込んでいって、そこでマティス氏を後ろに立たせて署名しているわけです。あれでマティス氏は動けないですよね。というようなところまで。周りの補佐官連中が仕組んでいることでしょうけれども、俺は断固として思ったことはやるのだという、本当に日本は相当な覚悟を持たないと負けてしまいますね」
反町キャスター
「移民の問題は、入国制限はあちらこちらで混乱をきたしているのですけれども、見ていて長続きすると思いますか?」
岡本氏
「それはできないでしょう。だって7か国からの入国者全てを停止するわけですよね。飛行場だって大混乱を起こしましょうし。それから、世界の世論から袋叩き、特に欧州は苦労して移民を受け入れている時に、アメリカだけこんな勝手なことをする。それは欧州との亀裂も深まりますよね」

世界を揺らす『米国第一主義』
岡本氏
「歴代のアメリカ大統領で、就任演説で自由とか、民主主義とか、法の支配とか触れなかった人って1人もいないんですよ。トランプ大統領が初めてですよね。もう自由も、民主主義も関係ないですよ、彼は。とにかく人民の手に政府を取り戻したということと、それから、アメリカ第一主義ということだけ言うわけでしょう。本当にがっかりしたのは、アメリカ第一主義というのに加えて、世界中の国の皆、そうすべきだと言うわけですよね、就任演説で。アメリカがその模範を見せしょうと。これだったら、要するに、人権とか、法の支配とか、民主主義とか、自由とか、そういった、あるいは弱者に対する救済、経済協力、貧困国への支援、こういった世界の公共財を守るところはどこもいなくなっちゃうんですよね。皆、自分のことだけ考えろと彼は言っているでしょう。本当に早く代わってくれないと、世界は暗いところへ行ってしまいますね」
反町キャスター
「これまでアメリカが振りかざしていたものを掲げなくなった時に、言われたみたいに、世界というのは完全に弱肉強食の世界になっていく、これは誰も新しい秩序をたてる国がないですよね?」
岡本氏
「そうなるでしょうね」
反町キャスター
「たとえば、中国に対してこれまでアメリカが言ってきたような、お宅の国は人権を守っていないとか言わなくなったら、中国との間というのは何の問題があるかと言ったら、力の問題であったり、貿易の問題であったり、いわゆるディールだけ、こういうことになるわけですか?」
岡本氏
「その通りですね。トランプ大統領は自分の著書にも、自分のやり方というのは、押して、押して、押して、目標を高く設定して、相手をそこへ追い込むのだということを書いていますよね。反町さんが言われたように、理念とか、それから、価値とか、彼には関係ないですから。中国との間でもアメリカが取るべき実利を追求し、それを取るために中国を押し込んで、押し込んで。だから、最初から中国に対して、きつい先制パンチを食らわしていますよね。蔡英文氏と電話会談をする。それから、一つの中国というのに疑問を挟んでみる。それから、通商面で、国家通商会議を新設して、そこの議長に、ピーター・ナバロン氏という名うての中国嫌いを置き、USTR(アメリカ合衆国通商代表部)のライト・ハウザー氏にしても、司法長官のウィルバー・ロス氏にしても対中強硬派ばかりをずらりと並べているわけでしょう。今度の電話会談の中に中国を入れていないのも、それは友好国とまずかためるということに加えて、中国に対する明確なメッセージを込めているわけですよね。これまでは逆だったわけです。中国がアメリカに先制パンチを食らわしてきたんですよ。新しい大統領が就任する度にね。ブッシュ大統領が就任した時にはEP3という、アメリカの偵察機、海南島の傍を飛んでいたら、これに中国戦闘機が体当たりをしてきたわけですね。それで乗員と機体を海南島に連れて行ってしまった。オバマ大統領が就任をした時はインペッカブルとビクトリアスという2隻の、アメリカの調査船に航行妨害して、これもアメリカを大変困らせて、さあ、中国という国と付き合う時には気をつけて付き合わないといけないなとアメリカの大統領に出発点で思わせる政策をとってきたわけです。ところが、トランプ氏の場合、逆です。最初に彼の方からドーンとやってきて、ちょっと中国はどう対応していいかわからないと思います。その結果、ディールができれば、彼はサッと降りる可能性はありますね。その時は、日本のことも考えないでしょう」
反町キャスター
「米中の間のアメリカが中国から得られる利益だけに目が行ってしまう可能性があると。そういうことですよね?台湾の人達はもっと大変ではないですか。ワンチャイナだ、蔡英文だと言って、彼らが喜んでいるかどうか、僕は知りませんけれども、ワーッと本当にアメリカが台湾のことを思ってくれているように思って見たら、メインランドと握ったら、見捨てられちゃうというリスクがあるという意味で言っているのですよね?」
岡本氏
「見捨てるところまでいかないでしょうけれども、サッと姿勢を転換するという可能性はあると思いますよ」

米英会談『双方の思惑』は? 経済連携強化で欧州は…
秋元キャスター
「さて、本格的に動き出しましたトランプ外交の検証。ここからは先週28日にアメリカ・ワシントンで行われた米英首脳会談について詳しく見ていきます。2国間の貿易協定など、今後も協議を重ねることが首脳間で合意されました。あらためてアメリカとイギリスの貿易について実情を見てみますと、アメリカからは自動車以外の機械類の他、金融、観光などサービス貿易が多くなっています。イギリスからは、家電や衣料品、機械類などとなっています。両国の貿易収支を見ますと、アメリカ側が1.4兆円の貿易黒字というのが現状です。中島さん、トランプ政権、一貫してアメリカの貿易赤字というものを問題視してきましたけれども、そういう意味で言いますと、イギリスというのは付き合い易い相手、アメリカにとっては?」
中島氏
「そうですね。雇用を守る、輸入を抑制するという視点から言えば、イギリスは対象にならないというわけですね。しかも、もっといいのは、イギリスもEU(欧州連合)から離脱をしましたから、EUから離脱したことによって、新たな貿易協定を結ばなくてはいけないという立場にいるわけですね。ですから、イギリスはまだまだこれから離脱交渉をやりますので、まだ出ていないですけれども、出た暁には、それはアメリカがイギリスと結ぼうと思ったら2国間になるという意味では、大国ですし、アメリカにとっては大変いいということですね。あと金融面でアメリカのサービス収支が黒字という、輸出が多いという話があったのですけれども、これも大事な点で、イギリスの稼ぎ頭は金融センターのシティなわけですね。これがEUの中でどこでも取引ができると。イギリスで免許を取れば、こういうことになっているわけですが、EUから出てしまったら、その免許、基本的には取り上げと見られますので、そうなった時には、じゃあ、シティにある機能の一部を、ヨーロッパの国、特にドイツとか、フランスは虎視眈々とフランクフルトに持ってこようとかやっているんですね。ただ、大きな候補がいて、それがアメリカなんです。基本的には英語が通じる。金融センターとしてウォールストリートがある。しかも、金融、いわゆる装置ですね、密集しているとか、そこに人材がいるとか、そういうものが、はっきり言えば、ヨーロッパの大陸のどの都市よりウォールストリートに圧倒的にあるわけです。ですから、一緒にやれば、アメリカは、むしろ2国間の貿易で、さらにお金の流れも自由にしようよとやると、結構イギリスから移るとすると、大陸よりは、アメリカに移ってくるものがあるのではないか、こういう期待もあるのだと思いますね」
反町キャスター
「首脳会談の相手として最初にイギリスを選んだのも、言われたものの他に、たとえば、人種的な問題。アングロサクソン同士だからと言う人もいるのですけど、そういう理由もあるものですか?」
中島氏
「人種的というより、むしろ同じようなところで言えば、EUから離脱をするのがイギリスであり、かつ移民、EUの中での移民ですけれども、イギリスへの移民流入がEUからの離脱を、国民が国民投票で決めた1つの大きな理由ですから。そこらへんは移民がメキシコから来るのを止めたいとするアメリカとはダブって見えるというのがあります」
反町キャスター
「そうすると、たとえば、ヨーロッパの本土では、各都市でまだ大きくなっているとは思えないのですけれども、フランスにしても、ドイツにしても、他の国にしても右派勢力が台頭していて、移民に反対する、移民排斥の動きというのがいろいろな国にできているわけではないですか。彼らにしてみたら、トランプさんの今回のEU離脱OK、移民反対、そこは協調できるねという話というのは、ヨーロッパ本土の右派勢力に対する、応援というか、メッセージというか、そういう政治的な狙いもあるのですか?」
中島氏
「もちろん、EUから離脱したら、アメリカと2国間貿易が、比較的自由にできるというのはあると思います。ただ、気を付けなければいけないのは、イギリス自体は別に反グローバルとか、イギリス自体もEUとの輸入を抑えようとか全然なくて、グローバル化をもっと進めようと。特にEUから出てしまったら大変なことになるので、経済的に。グローバル化をもっと進めて。たとえば、金融センターであればタックスヘイブンにして、法人税もそうですけれども、ともかく海外企業が喜んでイギリスに本社を置く、こういうことすらイギリスの財務大臣は言っているんですね。ですから、それはもちろん、EU離脱に際して、まずトランプ氏ではないですけれど、1番高めの、考えにくいとは思うのですけれども、とりあえず玉を投げて、相手に対して1つ、平手打ちを食らわすというような作戦もあると思うのですけれども、ただ、こういうことを考えると、むしろ他の国が全部、イギリスと同じようになるかと言うと、確かに移民とか、難民が大量に来て、困っている、あるいは困っていると考える人達が結構いるとしても、グローバル化をイギリスのように勧められるのかとか。価値観として、金融センターもない中で、たとえば、モノの輸出をするという、あるいはアメリカにとっては、たとえば、ドイツとは貿易赤字、アメリカは貿易赤字ですから。そのドイツがいくら2国間で自由なモノの取引をやろうと言ったって、これは、アメリカとしてはちょっとイギリスと全然条件違いますよね」
反町キャスター
「アメリカとイギリスで、あたかも話を聞いていると同じ方向に向いているように、僕は見えてしまうのですが、そうではなくて、アメリカはどちらかと言うと保護主義で、内側を見ているのだけれども、イギリスはEU離脱後の生き残り策として外に出ようと思っていると。この違いがあるということですね?」
中島氏
「そこの違いをうまくこの会見ではオブラートにしているといいますかね」
反町キャスター
「どうも格別な信頼関係が両国にあるみたいな。あまりそこは言葉通りに受けとってはいけない?」
中島氏
「ええ。そこは同じところと、全然違うところはありますね」
城内議員
「問題は日本企業ですよね。イギリスに1000社ぐらいですか。日本企業が出ていて、対欧州の投資の4割ぐらい。車も出ていますよね。ですから、イギリスだってバカではないですから。そう言った日本の直接投資についてはしっかりとサポートして、欧州大陸に逃げないようにやると思いますので、まったく心配はありません」
反町キャスター
「でも、EU側は明らかに単一市場からのイギリスの締め出しというのはやる方向ですよね?」
城内議員
「やるでしょうね」
反町キャスター
「無課税で大陸に輸出ができたのが確実になくなるわけですよね?」
城内議員
「なくなるでしょうね」
反町キャスター
「そうすると、イギリスに進出した日本企業というのは、これからアメリカとイギリスの間で、バイで、FTA(自由貿易協定)の交渉とかが始まる場合に、イギリスがどういう立場になるのかわからないですけれども、明らかに、イギリスに進出している日本企業というのは、苦しくなるというのははっきりしているのではないですか?」
城内議員
「ただ、昔のようにすごく高い関税をかけるなんてことはできる時代ではないですから。自由貿易の時代ですから。何らかの形で、2国間で協定を結んでいくということではないですかね」

欧州諸国と対ロシア政策
秋元キャスター
「メイ首相によれば、トランプ大統領は、NATO(北大西洋条約機構)を100%支持すると会談で述べていたということですけれど、実は1月半ばのインタビューで、トランプ大統領はこのような発言をしています。『テロの脅威などの対応策になっていないNATOは時代遅れの遺物』と。『加盟国が支払うべきコストを支払っていないことも問題』だと発言もしています。これに対してフランスのオランド大統領は『脅威がなくならない限り、NATOは時代遅れにならない。対米協力は追求していく構えだが、道のりは欧州の利益と価値観に基づき決める』と発言がありました。岡本さん、NATOの中心メンバーであります、イギリス、フランスとアメリカの今後の関係をどう見ていますか?」
岡本氏
「イギリスはNATOの中ではロシアに対して最もきついグループの1つですね。それがEUから出たというのは、ロシアにとってみれば大変に歓迎すべきことですよ、NATOから出ていないけれど、EUから出たことによってEU全体の力が削がれてしまう。イギリスにしてみればこれから、さあ、NATOの中でEUのメンバーではないのだけれど、欧州の中での発言権を確保していくためにはNATOのリーダーとして、欧州側のリーダーとしてアメリカとやっていかなければいけない。しかし、それを他の欧州各国が許容するのかどうかということですよね。プーチン氏はとにかく勢いづいていますね。クリミアを獲ったあと、ウクライナ東部、ドネツクというところとルガンスクというところ。これをまた虎視眈々と狙っていますね。さらには、バルト三国のうちのエストニアという、1番北の国ですけれども、ここを彼らは獲りたいということで、いろいろと工作を仕かけてくるでしょうという見方が欧州の専門家の間では一般的ですよ。欧州は非常にロシアに対して恐れている。警戒心を緩めない。その中でイギリスが1番強くこれまでも制裁をロシアに対して科すべきだという態度を崩してきていない。それと、こんなにも軟化してしまったトランプ大統領との間はどうなるのかというのは、これからどうなるのですかね。イギリスとしては、しかし、EUという拠り所を失って。EUはこれまで、経済的な連合体であるだけでなくて、政治的にも発言権を持っていたわけですね。たとえば、イランとの核合意はEUとしてやったわけですね。そういうEUというのが政治体として弱まる中で、そこから出てしまったイギリスがどのように欧州の安全保障に対する責任を果たしていくのか。ここは本当にイギリスにしっかりやってもらわなければいけません。だから、意図的に、それは強くやるでしょう。だからこそメイさんも強い態度を記者会見でとっていたのだと思いますね」
反町キャスター
「岡本さん、この発言の比較でいくと、トランプ大統領はテロの脅威に対してNATOは対応できない、時代遅れの遺物だと言っているわけですよね。一方、オランド大統領は、脅威がなくならない限り、NATOは時代遅れにならない、ここでオランドさんが言っている脅威というのはIS(イスラム国)のことではなく、ロシアのことですか?」
岡本氏
「それはそうです。明らかでしょうね」
反町キャスター
「つまり、アメリカとフランス、ないしアメリカとドイツでも結構ですけれども、プーチン氏が脅威かどうか、ロシアが脅威かどうかという見方と、それとISの対応策として協力できる、ISを叩くパートナーとなり得るのかどうかという点において、全然見方が違っているわけではないですか?」
岡本氏
「申し訳ないけれど、トランプさんはまったく物事をわかっていないですよね。先ほども言いましたけど、現在ロシアが虎視眈々とエストニアを狙っている。エストニアはNATOに入りましたから、現在は安全が保障されている。NATOが時代遅れの遺物だと言って、やめてしまったら、ロシアはエストニアに入りますよ。それから、リトアニアにもラトビアにも、バルト三国は風前の灯になってしまいますね。だから、戦後の秩序というのがガタガタと崩れていく。そういうことを知らないのですかね、トランプさんは。それから、ISとロシアと共同で戦うというのもちょっとおかしな話で、シリアにあってはロシアが現在、主導権をとっているわけですね。この間のカザフスタンでの会議、ロシアの影響の下に和平会議。メンバー誰かと言えば、ロシアとトルコとイランですよ。それは当然、アメリカとヨーロッパが入った形でなければ、和平のフレームワークなんてできないはずですね。もともとシリアに人工的な国境線を引いたのはフランスとイギリスですし。だから、ロシアが現在、アサド大統領を支援しながらロシア型の平和というのをシリアにつくろうとしていると。これは中東の混乱の元になりますよね」
反町キャスター
「プーチン大統領に対する見方が、トランプ大統領と、オランドさん、メルケルさんとの間で明らかに違っていると僕には見えるのですけれども、これはあまり心配はされないですか?今後をどう見ていますか?」
城内議員
「ウクライナですよね。私は、イギリスのメイ首相ともズレていると思います。ですから、ここらへんは最大の課題ではないですかね。こういうまさにクリミア半島の、こういう状況を放置するということは国際秩序の…、こんな前例を認めるととんでもないことになるわけですから、ここはトランプ大統領に理解してもらって、制裁もそうですが、支援をしてもらう必要があると思いますね」
反町キャスター
「中島さん、プーチン大統領に対する見方が食い違う中、イギリスなきあとのEUと言っても変ですけれども、要するに、大陸側がどういうように自分達の安全保障の面を、経済的な面も含めて、守っていくのか。プーチン氏に対する見方が食い違うことに対してEUはどう対応をしていけばいいのですか?」
中島氏
「これはいくつか、もちろん、選択肢があると思うのですけれど、これから次第ですけれども、少なくともアメリカの関与が減ってくると、しかも、イギリスも離れるとなると、まずは自分で守るということと、あと選択肢としてはロシアに近づくというのもなかなか難しいとすると、中国になるんですよね。これは一部の経済学者の中でも、経済学者に限らないのかもしれませんけれども、いわゆるトランプ氏の最初の発言等を聞いたうえで組み合わせが変わるとすると、ヨーロッパが浮くよね、それと中国が浮くよねと。すると、この2つが近づくというのはあり得るのかなと思うんです。ただし、これは単に組み合わせの話ですからもちろん、そこには新たなメリットが出てこなくてはいけないと思いますので、その意味では、新たなメリットが果たしてどれほど出るのかはわからないですけれど、ただ、アメリカが一気にヨーロッパとの関係を変えていく、あるいは離れていくとすれば、それはまた違う組み合わせが浮かび出てくることは十分あると思いますね」

戸惑う関係諸国の命運は…
秋元キャスター
「既に打ち出された政策を実例に、トランプ政権の戦略的な計算や狙いについて皆さんの分析を聞きたいと思うのですが、まず近隣諸国と関係するような政策について見ていきたいと思います。大統領選から一貫して主張している政策としてカナダとメキシコとの自由貿易協定、NAFTAの再交渉を実行するとしています。ホワイトハウス入りした直後、職員をこのように激励しまして、その後、相次いで大統領令に署名をしています。カナダからの原油パイプラインの建設について2万8000人の雇用と国内産の鉄鋼使用で経済政策としても期待できると宣言をしています。さらに、メキシコとの国境に壁を建設すると。これについては財源の一案としてメキシコからの輸入品に20%の課税強化をすると。こういった発言もありました。どちらも大規模な計画なわけですけれど、中島さん、この実行の可能性をどう見ていますか?」
中島氏
「これはある程度はあると思います。基本は雇用、弱者の雇用を守る。守り方が移民抑制とか、移民流入抑制ですけれど。その点から言うと、カナダからのパイプラインというのはアメリカのシェールオイルは軽質油ですね、同じ石油でも。カナダから入ってくるオイルというのは重質油です。ですから、分解すると違う成分が取れるんですね。従って、それだと補完的ですし、さらに、パイプラインの工事という意味では、そこに雇用が生まれる。ところが、メキシコとの間はむしろ輸入が多い。先ほど、アメリカの貿易赤字のうち、中国が半分ぐらいになりますが、ドイツ10%、日本9%だったのですが、対メキシコも8%ぐらいあるんですね。ですから、次いで大きいですよ。しかも、移民が1200万人、メキシコの移民が入っていて、しかも、そのぐらいの半分は不法移民だとも言われているわけですね。1番多いです。ですから、そういうところから、むしろターゲットとしては1番、どういう壁をつくるかというのがあるにしても、むしろメシコとの間では何か制約的なことを実行する。他方、カナダでは、同じNAFTAですけれども、見直しということを言っていますけれども、カナダとの間ではパイプラインで重質油を取る。それによって場合によっては、中東から輸入している重質油が減るということになるかもしれませんが、いずれにしても、アメリカはシェールオイルがいっぱいあっても重質油は必要ですから。そこはやるのではないかと思いますね」
反町キャスター
「メキシコから移民が1200万人で、うち不法(移民)が600万人という話だとした場合に、トランプ大統領は不法移民の強制送還をやると言っていますね。その600万人は安価と言ってはいけないのかな、実際はそうですよね。安価な労働力がアメリカから引っこぬかれて、本国に送還をされた場合、アメリカ国内の製造はどうなってしまうのですか?」
中島氏
「立ち行かなくなります。計算してみたんです。計算してみたのですけれども、トランプ大統領は選挙期間中に1000万人不法移民がいて、もちろん、全部がメキシコからではないですが、そのうち犯罪歴のある200万人は送還するのだと言っているわけですね。仮に200万人がそのまま闇にしろ何にしろ働いているとすると、それは零細な製造業の現場であったりとか、農業であったりとか、小売りであったりとか、そういうところの可能性が強いのですが、そういうところから抜かれたりすると、アメリカ全体の雇用全体が引き締まってきていますので、賃金が、計算すると4%ぐらいポンと上がると。しかも、今、申し上げたような業種です。そこが明らかに人手不足になりますね。それは決してアメリカにとっても良くないし、一気に何百万人も送還することはできない」
反町キャスター
「できないということは、要するに、言っているだけであってやらないだろうと見ているのですか?」
中島氏
「部分的にしかやらないだろうし、しかも、時間をかけてもう少しトーンダウンした形でしかできないだろうと思います」
岡本氏
「たとえば、原油パイプライン建設の話にしてもキーストンパイプラインというのと、それから、ダゴタパイプラインと2本あるのですけれども、両方合わせても雇用は数万人。と言うのは、要するに、建設工事に従事する人達、その賄いとか、いろんな周辺の人達も含めて、全体でそれぐらい。しかも、建設が終わったらなくなっちゃうんですね。あとの保守要員は2本のパイプラインを合わせても数百人とか少ない数。一方、これまでは環境破壊につながるということで反対してきた。この環境破壊も、そう大した環境破壊にはつながらないという調査結果もある。要するに、シンボルの問題です。産業をとるか、それとも環境をとるのか。オバマ大統領は環境をとってきた。ところが、今度は、トランプ大統領は雇用をとる。ですから、これは実現するでしょう。やるでしょう。だけれども、それはカンフル注射的に最初の2年間ぐらい建設の期間だけ、そういう雇用が臨時的に生まれるということですよね。メキシコの話は建設費用がいくらかかるかですよね。トランプ大統領は100億ドルでできるとか、1兆円ちょい。そんなでは無理だろうと3兆円という、話はもっぱらですけれども。ですから、どこまでできるのかはわかりません。それでもトランプ大統領が言っていることを信じている人達は2年ぐらいは、その希望をつなぐのでしょうね。しかし、現在やっている手法ではアメリカに雇用が生まれるのかどうかはわかりません。その時に、失望した支持者達が、ラストベルトの人達がどう出るかということですね」
反町キャスター
「中島さん、先ほどのカナダとメキシコの、たとえば、カナダのパイプライン。アメリカ製の鉄鋼を使うと大統領は言っています。よく日本とアメリカにおける日米の協議でも公共事業に対する市場開放をよく言われていたような記憶があるのですが、これというのはまったく裏表の話ではないのですか?アメリカで公共事業をやりますと。使うのはアメリカの鉄鋼です。ないしはメキシコとの間の輸入品の20%の関税、課税強化。こういったものはそれぞれ皆、いわゆるパネルを建てられて、訴えられた時にアメリカはそれぞれ勝てるのですか?」
中島氏
「州別に見ると結構、バイアメリカン。アメリカ製品を買えというのは州の条例で決まったりしているんですね。むしろそういうことを促してきたんですよ。ですから、TPPの中で公共事業の開放があって、そこでアメリカが大きく困ったことは、実は州ごとに規制しているのを開放しなければいけない。開放すると公共事業は、日本はほとんどがアメリカとの対話の中で開放しましたから、アメリカが1番、大きく公共事業を外国企業に分け与えなければいけないということで大騒ぎになったんですね。ですから、TPPの話は脇に置きますので、そういう意味で言うと、州ごとではむしろアメリカ製品を優先するのだという条項がまだまだ生きていますね」
反町キャスター
「それは別に国際的に、国際貿易協定みたいなもので、WTO(世界貿易期間)ならWTOで、そこでおかしいと、他の国から攻められるようなルールの建て付けではないのですか?これは」
中島氏
「それは違いますね。むしろ国ベースでどうこうするですから。自治体ベースでどうこうするというのはまた別の話ですね」
反町キャスター
「でも、大統領令だというのはどうなのですか?」
中島氏
「いや、そうやるのはパイプラインですから。むしろ各地域を通して、環境等を、あるいはその地域の反対等を排除してやるということでの大統領令であるわけですね」
反町キャスター
「NAFTA、メキシコから20%の関税というのはどうなるのですか?」
中島氏
「それもWTO違反になる可能性が大変強いですね。と言うのは、基本的にWTOの場合は最恵国待遇ですから。他の国に対して税率が低い中で、1つだけメキシコに対してだけ狙いうちして20%の関税をかけるというのは、これはできないですね。やったら完全にWTO違反になるんです。あるいはそもそもが、それでは輸入したものに対して、輸入税をかけるのだということ、関税というよりは、むしろ輸入した企業が法人税を払う時に、輸入税をオンするということをやったら、それは関税ではないだろうという話なのですが、実態としては企業の間で大きく差をつけることになりますから。むしろそういうこと自体、やろうと思ったら煩瑣ですし、それ自体は実際には輸出の補助金と同じ話で国際的に見るとWTOでは違反ですね」
反町キャスター
「城内さん、今みたいな話、トランプ政権で乗り越えていくのですか?」
城内議員
「いや、なかなか難しい課題があります。何でも大統領が思ったことができるわけではないし、アメリカ自体がそうしたら、ならず者国家になり下がってしまいますし、国際社会における国家の品位というものがありますからね。そもそもメキシコからの輸入品に20%の関税をかけるなんてことは、WTO違反と言う前にそもそもそんなことをしたら、アメリカの消費者にとって非常にマイナスですよね。だから、そういう単純な経済学の理論すらわかっていないというか、はっきり言うと、ワンフレーズで、バイアメリカン、ハイアメリカンで、アメリカ製品を買いましょう、アメリカ人を雇用しましょうという、ポーズをとっているわけであって、実際にトランプ大統領というのは頭の悪い人だとは思っていないですし、頭のいい人ですから、こういうデメリットがありますよ、と聞けば、ポーズを続けますけれども、本当にそこに突っ込んで、バカなことをやるとは思わないし、信じたくないですね」

日本外交の課題と覚悟は?
秋元キャスター
「ここからはトランプ大統領の外交政策に日本はどう向き合うべきなのかを聞いていきます。28日電話会談を行った安倍総理は、このように発言をしています。トランプアメリカ大統領との電話会談で、日米同盟の重要性を確認した。2月10日に日米首脳会談を行うことで合意をした。経済・安全保障全般について率直な意見交換をしたいと思うということですが、岡本さん、この2月10日のタイミングで行われる日米首脳会談についてその課題、展望をどう見ていますか?」
岡本氏
「非常に重要な会談ですね。つまり、まだトランプ大統領の頭にはきちんとした、正確な情報が入っていない。だから、早い時期に正しい認識を日本に対して持ってもらうと。これは安倍さんが言うことによって認識が変わるというよりは、日米首脳会談をやらなければいけないということで、ブリーフィングを受けるわけです。アメリカの部内で、その時にブリーフィングペーパーを書く人達は、まだオバマ政権の人達ですよ。国務次官補とか、次官補代理とか、そういう人達、国防省もそうです。こういう人達が日本についてのきちんとしたものを書きますよ。それで、なるほど、日米安保関係というのは、日本にとって利益だけではなくて、アメリカにとってもなくてはならないものだと、彼がそこで思ってくれるはずですね。それから、自動車についてももう1つの大きなテーマでしょう。数字だけ見ると、日本からアメリカに輸出している完成車が160万台、アメリカから日本に輸出している完成車がわずか2万台、これは不公平ではないかと、こうなるけれども、では、実際に日本は何を悪いことしているのかと、それはほとんどないですよね。むしろアメリカの自動車メーカーの怠慢が、あけすけに言ってしまえば、真実なので、そのあたりはアメリカの役人達はわかっているはずです。ですから、そういう情報もいく。彼が頭で凝り固まってしまって変なことをツイートする前に早くやってほしいということで、日米首脳会談はとてもいいことです」
反町キャスター
「首脳会談に先がけてのブリーフィングによってトランプさんの頭の中が更新されて、沈静化するだろうと?」
岡本氏
「うん。正しい認識を持って。そのうえで安倍さんとは個人的な友情、あの二人は馬が合うと思いますよ」
反町キャスター
「ロシアの話は日米首脳会談で話題になりますか?」
岡本氏
「今度はあまりならないのではないでしょうか。北方領土交渉が、残念ながら、ああいう形で終わってしまったし。すぐには扉が開かないでしょう。ウクライナについて、 ロシアの脅威、ヨーロッパ東部についてのロシアの脅威を日本が積極的に言う、そういう役割でもないと思います。トランプ大統領がプーチン大統領を一生懸命誉めそやすのを聞きたくもないですからね」
城内議員
「岡本先生がおっしゃった通りで、加えて、北朝鮮の問題とか、あるいは沖縄の米軍基地の問題、そこらへんも取り上げられると思います。安倍総理がニューヨークに行く前に、トランプ氏に近い人にコンタクトを取りまして、いろいろと教えてもらったのですが、これまでの発言の要綱を外務省がつくるのですが、変えないとダメだと思ったんです。相手に喧嘩を売ったってしょうがないですからね。たとえば、TPPの話題はあまり出さないで、ゴルフの話題とか、今度一緒にゴルフしようぜと。始球式で、日本に来たらやってくれよと。そういうノリの方がどうもいいらしいんですよ。クリントンさんとかオバマさんは頭で考える。トランプさんは直感とハートで考えるようなタイプらしいですよ。確かに言われてみたら、そうだと。まず個人的な、晋三、ドナルドという感じで、ファーストネームで呼び合う仲になれば、一歩前進だと思いますね」
中島氏
「経済面ですね。どれだけ日本が向こうの主張を受け入れられるかということで、基本的には弱みは、アメリカと中国がやった時に、中国の輸出の半分は、対米がいくらかはわからないのですけれども、基本的に中国の輸出の半分は外資系企業ですね。ですから、アメリカについてもIT(情報技術)などは外資系企業のウェイトが、中国のアメリカへの輸出が大きいと言われていますし、全体で見れば日本はそういうのがないんですね。ですから、アメリカ企業が日本に進出しているのがあっても基本的には国内向けてあるとか、日本に工場をつくって、生産して、アメリカに輸出するとか、世界に輸出するということはあまりないですよ。従って、日本の対内直接投資の残高というのは世界の中で見れば、GDP(国内総生産)比でみれば、199か国中の196位ですから。下にあるのは、ネパール、ブルンジ、アンゴラの、この3つだけです。要するに、そういう国の中に日本がいるので、あまりにも外資系企業が少な過ぎるわけですから、むしろ受け入れるという余地は、自動車でこういう規制する、ああいう規制するというのはなかなか厳しい交渉になると思うのですけれども、そういうところよりも、アメリカのように直接投資、もっと輸入を受け入れる余地はいろいろあるのだと、そういう拡大的な話を是非することができればなと思いますね」

城内実 自由民主党衆議院議員の提言 『トランプ占いから トランプ囲いめざせ ひるまず したたかに立ち向かう』
城内議員
「要するに、トランプさんは、ああじゃないか、こうじゃないか、と占ってもしょうがないから、トランプさんとぶつかって、ひるまず立ち向かってしたたかに。最後は囲い込むと、抱きついて、無理やりこちらの方向に持っていくぐらいのしたたかな外交をしないと厳しいと思います。これまでの日米同盟で惰性できていたような外交ではダメですから、外務省に真価が問われます。あらゆるオプションを考えて、まさに自国の国益を考えて、トランプさんとぶつかることが大事だと思います」

外交評論家 岡本行夫氏の提言 『(トランプに)ツイートさせない外交を』
岡本氏
「城内さんが言われたようなことですけれども、とにかく日本のことを先に彼の頭の中に入れる。それはトランプさんに直接ではなくても国務長官とか、国防長官とか、周りの閣僚を通じてでも、とにかく140文字のTwitterに日本の防衛費は少な過ぎるとか書かれると、あとがやりにくくなりますから、させないために事前の外交が必要だと」

中島厚志 経済産業研究所理事長の提言 『できるだけ拡大均衡で』
中島氏
「交渉になると、これをやめろとか、あるいはこういうのを飲めとか、どうしても縮小均衡的な話になりがちですけれど、そうではなく、せっかくの機会なので、できるだけ相手も受け入れるけれども、日本の国益、貿易も守ると。その代わり相手をもっと受け入れる。だけど、受け入れ方というのは輸入規制を受け入れるのではなくて、どちらかと言えば、対内直接投資とか、日本にとっても活性化できるようなプラスアルファの部分をできるだけ多く受け入れていくことが必要だと思うんですね」