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2017年1月27日(金)
日韓『氷河期』の深層 少女像乱立背景と思惑

ゲスト

黒田勝弘
産経新聞ソウル駐在客員論説委員
浅羽祐樹
新潟県立大学大学院国際地域学研究科教授

朴大統領 『ネット発言』の真意
松村キャスター
「政治スキャンダルで弾劾裁判にかけられている朴大統領は、一昨日、インターネットの動画サイトで身の潔白を訴えました。発言のポイントをまとめました。大統領府で向精神薬を服用したり、儀式をした事実はない。弾劾の根拠は弱い。崔被告が国政介入し、機密を漏えいしたという事実もない。陰謀は、随分前から企画されていたという感はぬぐえない、このような発言がありました。黒田さん、朴大統領の発言をどう見ましたか?」
黒田氏
「僕は、3点指摘されている中で、特に1番はまったくその通りだと思いますよ。現在、韓国のメディアは、当初からある種、魔女狩り的に、ある事、ない事を面白おかしく報道をしてきましたからね。日本のメディアも、それをいただいたというのはあるのですけど。特に大統領官邸で向精神薬、麻薬ということではないですか。それから、大統領官邸で儀式というのは霊媒儀式と言うのですか、そういうのはまさにその通りだと思います、彼女の言っている通りだと思いますけど、ただ、2番目の、おそらく弾劾の際の法的争点になると思いますよね。だから、この部分は裁判を見るしかないと思いますけれど。それから、彼女の心情からすると陰謀があるのではないかと思っちゃうでしょうね。これだけめちゃくちゃ叩かれて。彼女からすると1回、言いたかったということなので、相当、彼女の不満、怒りが出ていると思います」
松村キャスター
「かなり冷静に落ち着いて話をしている印象もありましたけれども」
黒田氏
「もちろん、インタビューですからそういう感じになったのですけれど。だけど、彼女は大統領になって以来、単独インタビューは初めてですよ、これが。だから、僕は最初から付き合っている人間からすると、こういうインタビューを最初からもっとメディア、つまり、国民向け、世論向けにやっておれば、彼女も少し救われたのではないかと思うのだけれども、今になって、ちょっと遅いなと」
松村キャスター
「これは韓国では大きな話題にはなっているのですか?」
黒田氏
「相当なっています、当然ですね。だけど、この間、ろうそくデモ、朴槿恵弾劾、退陣を、先導と言いますか、リードしていたのがメディアですから、今更これを出せないというわけではないですか」
浅羽教授
「メディアはフレームのもと、否定的なフレームのもとでこれを報じています。どういうことかと言うと、憲法裁判所の審理が進んでいて、ほぼ確実に罷免だろうという、敗戦色、負ける色が濃厚になってきたので、今日から韓国は旧正月ですけれども、世論が大きく動く期間なわけですね。その前に打って出たというのが1つと、また、陰謀論に陥っていると。彼女の世界からはそう見えるのだけれども、大勢を知らない、依然として、世論の大勢をまったく理解をしていないという見方ですよね。検察の取り調べをまったく受けませんでしたし、特別検察の取り調べ、いつでも応じると言いつつ未だ応じていないわけですよね。憲法裁の審議の場にも出てこない。発言するのであれば、そこに出てきて釈明するべきであって、職務停止に追い込まれている大統領が単独インタビューに応じるというのは、不適切ではないかという見方が大勢です」
反町キャスター
「話の内容よりも、そういう形で初めてメディアに出てきたこと自体に、その姿勢に対する批判の声が高い、こういうことになるわけですね?中身以前の問題で弾かれている感じですか?」
浅羽教授
「職務停止中の大統領に何ができるかというのが、2004年の盧武鉉大統領の例があるわけですけれど、青瓦台の裏の山に登って記者団と非公式に話をし、でも、それは公の場に出ていないですね。朴大統領の場合は特定の、自分の政治的性向の近いメディアにのみインタビューに応じて、正月の1月1日、元旦も突然、記者団を呼んで、懇談会という形で言いたいことを言うと。言いたいことを言うのであれば、場があるわけですから、そこに出て喋るのが筋ではないかというのが一般的な見方ですね」
反町キャスター
「陰謀の話で随分前から企画されていたという感はぬぐえないと。企画されていた感情は消えませんという話をしているのは、黒田さん、こういう言い方するということ、その背景、狙いは何があると見たらいいのですか?」
黒田氏
「彼女のところには保守派と言いますか、右派のサイドから、いろいろな情報が当然入っているわけで、こういう状況になれば当然、陰謀論というか、誰かが何かを考えて最初からやったのではないかというのは出がちですけれど。どうでしょう、何か具体的にあるとは思えませんけれど」
反町キャスター
「具体的に耳にされた、こういう陰謀で今回、朴大統領、崔順実被告との関係が仕込まれたものだという話ありますか?」
黒田氏
「わからないですけれども、一般論的に言うと、北朝鮮になっちゃいますよね」
反町キャスター
「そういう話ですよね?」

韓国世論とメディア
松村キャスター
「さて、朴大統領はインタビューの中で、今回の弾劾議決を後押しした韓国世論、メディアの動きについても発言しています。韓国世論についてまとめています。 『韓国には話がつくられてあおられると修正するよう報道に要請したり、記者会見をしたりしても、決めつけられたフレームから外れる話は受け付けられない風潮がある。何を言っても否定される、そういう風潮がわが国では強い』と大統領自ら批判する韓国の世論、メディアの風潮、黒田さん、どう感じていますか?」
黒田氏
「いや、その通りですよ。僕も30年いますけれど、こういうことはしょっちゅうあるわけで、彼女、狂牛病デモ、前の李明博大統領の時もそうですけれども、あの大統領の初期に、アメリカの輸入牛肉は狂牛病の恐れがあると。だから、韓国人は狂牛病に罹りやすい体質であるというテレビの報道ですよ、企画番組で。すごいことですから。それが特に、女子高校生にパニックを起こして、ローソクデモが始まる。それがその後何十万の反米、反政府デモになりましたけれども」
反町キャスター
「訂正とか、謝罪とかをメディアはしないのですか?違っていました、すみませんとは言わない?」
黒田氏
「その件の場合は、MBCという放送、テレビですけれども、その場合は、あとで政府の大臣が名誉棄損だと言って、テレビ会社のプロデューサーですか、それを訴えたのですが、無罪でしたけれども。名誉棄損はなかなか難しいですから。無罪になりましたが、だから、こういう言い方はちょっと問題あるかもわからないけれど、韓国の皆さん、自分達が言うのだけれども、熱しやすく冷めやすいと言うので、ある期間は熱が下がりませんね。時間が過ぎると狂牛病デモもだいたい4か月ぐらいかな、春から始まって初夏ぐらいまでだったんですけれども、そういう時期が過ぎると冷静に考えるようになる。今回も朴槿恵大統領の場合は現在3か月ではないですか。だから、ある意味、弾劾という裁判、弾劾裁判が始まっているのもあるのだけれども、そろそろあることないことの虚偽報道、つまり、フレームアップによる興奮というのは少しですが下がる時期ではないのかと。それで、彼女はそれにうまくタイミングを合わせて言ったと思いますね」
浅羽教授
「争点をどう設定をするのかを巡る政治なわけで、そこで負けると政治の失敗なわけですね。それが良いとか、悪いと言っても。有能か、無能かとか、効果的か、そうではないかという問いで、それによって民意とか、韓国では時代精神という言葉をよく使いますけれど、今の時代を象徴する精神はこれだというようなのが毎回、大統領選ごとにフレームアップされるわけです。それをいかに自らの陣営に有利に設定するのかという部分が最初のゲームで、そこで負けちゃうともう敵わないわけですよ。朴大統領の場合は、メディアとの関係が、記者会見に応じないということが、政権発足初期からだったので、そこの部分は保守であれ、革新であれ、右派であれ、左派であれ、批判的なわけですよね。だから、友好的なメディア環境の醸成に最初から躓いたと。この弾劾の件も、JTBCというケーブルテレビのタブレットの暴露がきっかけになったと知られていますけれど、本当は違っていて、テレビ朝鮮という、朝鮮日報系のケーブルテレビが最初に、崔順実の名前を挙げて疑惑を報道をしたんですね。朝鮮日報系だと。大統領府は朝鮮日報の幹部のスキャンダルを暴露して、それでその幹部は辞任したわけですけれども、朝鮮日報と全面戦争を始めたわけです。それは夏ぐらいで、その頃から何かおかしいと、あのへんでビビッときていて、JTBCにタブレットが出たと。朝鮮日報とか東亜日報、中央日報のような保守系メディアも含めて、JTBCは、中央日報系、サムスングループ系列ですので、友好的な勢力。あるいは中間地帯にとどめおくことに失敗して、反政府系、左派系のつくったフレームが支配的になったということなので、当初からメディアとの関係の設定、フレーム設定に巧みでなかった、という側面はあると思います」
反町キャスター
「浅羽さん、朴大統領は、要するに、韓国というのは1回その話の流れができてしまうと、それから外れたことを言っても誰も受けてくれない、いわばメディア批判でもあり、韓国の国民性というか、文化に対する批判のようにも聞こえるのですけど、彼女が大統領に当選した時に、彼女の選挙戦略というのは、逆に言うと、こういう流れを自分でつくって、それに乗って勝ったのとは違うのですか?」
浅羽教授
「そうですよ。経済民主化と左派の側から格差社会が広がって、現在の、共に民主党系が争点にしてもおかしくなかったのを、彼女の側から左に旋回することで、保守層に危機の色だった、ためらいのある色の赤、共産主義の色を、セヌリ党の色にしたわけです。それぐらい大胆に争点潰しに当初は成功したわけです。良い、悪いと言っても始まらないので、政治とはそういうものなので、そこに彼女からすると、負けてしまったわけですよ、そういう指導者」
反町キャスター
「勝つ時には利用できた韓国の政治風土というのか、メディアの特性というものが、逆に自分に向かってきていることに対応できていない、愚痴に聞こえるんですよ」
浅羽教授
「歴代政権、フレーム設定に勝てば政権が獲れ、負けると最後追い込まれるわけです。そういうゲームだとわかってゲームに参加し、1度、勝って、負けてしまったと」
黒田氏
「愚痴ですよ。我々ジャーナリストからすると、こういう話を、では、なぜ最初からメディアに対して、あるいはしょっちゅう国民との対話とか、国民と議論をするとか、記者会見もそうですけれど、そういうのを彼女はずっとやってきたうえで、これだったら、同情するのだけれども、今になって何を言っているのという感じがあって。だから、フレームをつくられて、そこから彼女は今、被害を受けているわけだけれど、こういうのをつくらせないような国民向けのアピール、つまり、いろんな噂があるけれど、それは違うのだよと、その都度、彼女は国民にアピールをしなければいけないのを、メディアでなく。それをしてこなかったので、ちょっと愚痴だなと思いましたね」

韓国司法と国民世論
松村キャスター
「続いては日韓関係を見ていきたいと思いますが、今週2つの司法判断がありました。まずは朴裕河教授の著書『帝国の慰安婦』をめぐる刑事裁判ですが、著書の中で元慰安婦の名誉を傷つけたとして起訴されていた、朴裕河教授に対し、ソウル東部地裁は、本の内容の大半は、朴教授の意見表明で故意に名誉を傷つけたとは言えないとし、無罪判決となりました。それに対して検察が控訴しています。一方、長崎対馬市から盗まれた仏像をめぐり韓国の寺が所有権を主張し、引き渡しを求めていた裁判。昨日、仏像は寺のものと十分推測できる。過去に正常ではない方法で対馬に保管されたとして、仏像を韓国の寺に引き渡すよう命じる判決を言い渡しました。これに対して保管する韓国政府が控訴しています。黒田さん、これらの司法判断、どう見ましたか?」
黒田氏
「これは天と地、天国と地獄の判決になってしまいましたね。この慰安婦問題の朴裕河教授の、名誉棄損の判決は名判決ですね。これはすごく素晴らしい判決ですよ。要するに、はっきりと、もちろん、慰安婦問題で韓国の中には一定の公式史観というか、20万人の少女、日本軍が連れていってやらせたというのが、これが公式史観でしょう。彼女はそうではないと言っているわけ。20万人もおかしいし、全部少女を連れていったのではないのだと。そこには韓国人がやっていた業者もいっぱいあったのだとか、たとえばですよ。それから、具体的事実で彼女は批判的なことを言っているわけでしょう。その本の内容も非常にたくさんいろんな引用があって、すごく研究された深い中身ですが、裁判所が異なる、つまり、表向きの議論とは異なる意見であっても、そういう研究をして発表することが学問の発展につながるのだと言っているわけではないですか。まさに正論ではないですか。そこで無罪だというわけですよ。そんなもの刑罰だ、処罰だはおかしいとはっきり言いました。もちろん、韓国の裁判所だから慰安婦問題についてはいろいろな意見があると。だから、彼女の本の中でも、若干の問題はありと言っているのだけれども、だからと言って、名誉棄損はあり得ないと、こういう判断ですね」
反町キャスター
「その判断を司法が示したということは、これは、いわゆる国民情緒法の国だと考えた時にですよ、それは韓国の国民の中に慰安婦の問題というのはそういうものだという理解が徐々に広がっていると見た方がいいのか、ないしはこのソウル東部地方裁判所の判事、裁判官が特にそういうものにおもねらない判決をする人だったのか。これはどちらだと見たらいいのですか?」
黒田氏
「彼女の出版に対する評価というか、反応は、珍しくと言いますか、近年、韓国のメディアでも論説委員クラスが彼女の支援運動の中に入っていたりして、論説的にはそういうものが、異なる意見というのが当然、必要だという意見が結構あるんですよ。だから、必ずしも韓国が、一応、一般的には20万人の少女連行になっているけれども、個々の件については、そんなに処理を急ぐということでも必ずしもないということだと思いますね。それから、裁判所も裁判官、判事もいろいろいますからね。今回の、割と名誉棄損には当たらずという、まともな判断というのは例の、産経新聞の前支局長の名誉棄損事件もそうではないですか。あれも検察の無理な起訴に対してはっきりと記事には問題はあるけれど、だからと言って、その新聞記者を名誉棄損で処罰するというのはおかしいとはっきりと言っていますから。そういうことは、韓国社会には結構あると思いますよ」
反町キャスター
「仏像の方はどうなのですか?」
黒田氏
「これはまったく逆ですね。もともと日本が韓国から奪ってきたものだから、それを韓国人は奪ってきたら、それでいいではないかということでしょう。本来ならば、特に国際的なスタンダードから言えば、もし韓国のお寺がもともと所有と言うのだったら、いったん日本に返したあと、そのことを話し合いなさいとか、事実究明をして解決をしましょうと言えばいいのを、そのままお寺の所有にしなさいと言ったのですから。これこそ1番のポピュリズムでしょう。1番悪しき、反町さんがよくおっしゃる国民情緒法ですよ、これは明らかに」
浅羽教授
「朴裕河さんの方は、韓国の大法院、最高裁が公的問題に関して、名誉棄損が争われた時に違法性阻却事由と。違法性を低く見るというのが一般的なラインで、産経の加藤支局長の場合もそのラインに沿って無罪判決が出ましたし、今回の問題も学問の自由、研究、思想の自由で、相互批判を通じて受容されるかどうかは決められるべき話であって、公的史観、公式史観で一律的に断罪する類の争点ではないのだという、真っ当な、韓国大法院、最高裁が示したラインに沿った判決だったんですね。他方、この仏像の方は、何を証明する責任が誰にあるかという話で、仮処分の段階から、対馬のお寺さんが正当に所有したことを証明しろという責任を、対馬のお寺さんの方に押しつけたわけです。その利益は今回、代表されていないわけです、韓国政府が間接的に被告になっているわけなので、代表するわけですけれども、韓国の寺の側が所有していたと実証しきれていないわけですよね。倭寇がその時期、盛んだったとか、どこかに譲渡する時は記録を残すというのに、その記録が残っていないのは盗られたからだというような、焼け焦げた跡があったとか、なかったとか。状況証拠的には薄い可能性でつながるかもしれないけれども、1本の線にはつながっていないですよね。14世紀、650年ぐらい前の話が。それにもかかわらず、所有していたということが実証されたと見なして返したと。ユネスコ条約違反なので、文化財が不正に売買されたとか、盗まれた時は1度、元あったところに返すという条約に日本も韓国も加盟していますので、それに違反をしているということは、韓国政府もわかっているので、即日控訴をしたわけですよね」
反町キャスター
「これは地方裁判所の判断においては現在の議論、ユネスコ条約の問題だとか、ないしは先ほど、うちのスタッフの会議でも出たのですけれども、世界中の博物館にある、いろんなところから持っていかれたのだって、それが正規な売買によるものなのか、帝国主義的な行動の中で、略奪とは言いませんけれども、略奪みたいなものですよ。持っていったかどうかがわからないもの、いっぱいあるわけではないですか?」
浅羽教授
「誰が持っていったのかははっきりしているものがいっぱいあるわけですよ。もっと最近で証拠がはっきりしてるもの。そうすると、それどうなったのかと。韓国で議論が出ているのは、日本に7万点弱の文化財が流出した、簒奪されたと、韓国ではそう言うわけですよね。それを、返還を要求する、その出発点になるというのを韓国のお寺はそういうことを言っていますね」
反町キャスター
「今回の判決というのは混乱のスタートではなく、正常化へのスタートだという位置づけで皆、見ているということですか?」
黒田氏
「ちょっと違うな。それも当然あるのだけれども。もう1つは、日本に文化財、いっぱい流出しているのだから、それをまた返してもらうには今回の判決ではまずいというのが結構、解説であったんですね」
反町キャスター
「そういう冷静な意見もあるわけですね?」
黒田氏
「そうそう。こんなことをしていると韓国人、韓国は信用されないと、たとえば、文化財返還運動においてもまずいというのは結構あるんですよ。それから、もともと文化財庁、韓国の政府機関は対馬に返せと言うんですよ。当然それ出しているんです。これは裁判所が突出していましたね、明らかに」
浅羽教授
「裁判所が突出していました。上級審で覆る可能性は…法理が非常に弱いので」
黒田氏
「ひっくり返りますよ、これは」

『慰安婦』と『竹島』
松村キャスター
「慰安婦問題で最近の動きをまとめています。昨年の年末、韓国釜山の日本総領事館前に、釜山の市民団体が新たな慰安婦少女像を設置したことを受けて、今月6日、日本政府は国際条約に違反するとして、対抗措置を表明しました。9日には長嶺駐韓大使らを一時帰国させました。その後、韓国では地方議員団が竹島に少女像を設置するための募金活動を開始。3日後には募金活動は中断されました。19日、安倍総理と岸田外務大臣は韓国政府が具体的な対応をとっていないとして、当面の駐韓大使帰任の見送りの方針を固めました。また、冬季平昌オリンピックのホームページに竹島を独島と記載されたとして韓国政府に抗議しています。未だホームページから独島の名前は削除はされていません。一昨日、慶尚北道知事が竹島に上陸しました。このような動きがあったのですけれども、黒田さん、最近のこうした日韓の動き、どう見ているのでしょうか?」
黒田氏
「韓国の中では、こういう問題ばかりが報道されているわけではないので、この案件、あるいは日韓関係の悪化とか、そんなに実感は皆していないのですけれど」
反町キャスター
「印象論で言うと、僕ら今日、表に取り上げて、騒いでいますけれども、韓国の、たとえば、テレビとか、新聞というのは、我々は日本に対してこうやっている。ないし日本は大使を引き上げて、それっきりだよと。それを報道していないのですか?」
黒田氏
「その件では今回、釜山の慰安婦像の件で、いわば安倍政権、安倍さんが怒ったわけではないですか。なぜだと合意にも反するし、国際法にも違反だということでしょう。それで強い態度を出して、一種の制裁報復措置をとりましたね。これは初めてのことですよ。日本政府が、日本が韓国にこういうことをしたのは歴史上、初めてですよ。それで、韓国側は非常にびっくりしてしまって、驚きと当惑ですよ。これは当局もそう。メディアがそうですよ、今回は。本来ならばそういう韓国に対する彼らからすると嫌がらせみたいなことをすると、韓国メディアは一緒になって、なぜ日本は居直って、とんでもないことしやがってみたいなことを言って、一斉に日本バッシングに走るのだけれど、今回、それがなかったんですよ」
反町キャスター
「それは想定以上の反応を日本がしたから?」
黒田氏
「その驚きと当惑は、なぜだということになったわけでしょう。これまでにない現象が、これはやっとなのだけれども、要するに、日本側の主張は、他の公園とか、他の学校とかの慰安婦像はともかく、大使館、領事館前、つまり、外国公館の前はけしからんということでしょう。許さないということで。当然ですが。これまでずっと言い続けてきたのだけれど、コリアのメディアとか、韓国社会にほとんどそれが伝わっていない。だから、日本がなぜあんなに一生懸命に反対しているのかというのがわからなかったんです。今回、日本が怒っている背景にはこういうことがあるらしいよと、特に国際的な観点、国際法上の問題とか、国際的にはこういうのはおかしいのだということが初めてメディアに出ましたね」
反町キャスター
「これまでウィーン条約とか、何とか、言っているようなものは?」
黒田氏
「出ませんよ、全然。一切」
反町キャスター
「では、なぜ置いて悪いのだというところで止まっていたわけですね?」
黒田氏
「そうそう」
反町キャスター
「韓国国内では。議論が…」
黒田氏
「何がおかしいということでしょう。それで、今回は、韓国の外務大臣が、国会答弁で初めてではないですか、国際的にこういうことは良くないということを、一般的な考え方だと言って。これも日本側の報復、制裁措置のせいですよ。驚きと当惑のせいですよ。だから、そういう意味では、あの日本の措置は良かったと思いますけれども。初めて韓国側を考えさせたと」
浅羽教授
「慰安婦問題で日韓合意までは一致した、昨年末。日本が押され気味だったわけですよね。それで完全に逆転したわけです。日本はそこで決着をつけ、義務を誠実に履行した。互恵主義なので、あとは韓国ですよと。ですので、前回、前々回出させていただいた時も、日本はモラルハイグラウンドをとったのだという言い方をしましたけれど、日本は、外交的には決着して義務を果たしたので、あとは問題が残るのは全て、韓国側のボールだと。コートにあるボールだと。大使館以外の慰安婦像を問題にすると、これはまた日本は別の問題になるのですけれども、外交問題としての慰安婦問題は完全に決着をしたという日本の主張が現在、通用しているわけですよ。その背後には国際的に取り決めて1度合意したものを、事情が変わった、大統領が危機だ、政権交代だなんだでひっくり返せないという、合意は拘束をする原則、ローマ以来の原則です、文明国の。大人の付き合いをしましょうねと言うメッセージを繰り返し、繰り返し行っているわけですね」
反町キャスター
「黒田さん、大使を一時帰国させた後に、1、2週間で還すかなと思っていたら、安倍さんは還さずに、そのまま日本にずっと留め置きですね、このやり方をどう見ていますか?いつ戻したらいいかと思いますか?」
黒田氏
「普通、こういう引上げとか、召還をした場合、戻す時のことを考えてやるわけですよね、普通は。そうしないと、出口がなくなってしまうので。今回、安倍さん、あるいは日本の外務省を含み、どうなのか。そういう意味ではわからないですけれども、ある種の韓国側から、政府レベルでの何かのメッセージを待っているのではないのかな。そのメッセージが何だろうかはわからないですけれども、1つ、今日、竹島への慰安婦像というのがあるではないですか。これは話がバッと出て、非常に独島と慰安婦ですから、強烈、最強、韓国から言えば、最強、反日、愛国マターですから」
反町キャスター
「領土問題プラス歴史問題ですね」
黒田氏
「これはいつか誰かやらないかなと思っていたのだけれど、ついにやりましたね。だけど、無理な話で、もちろん、韓国政府は認める気はないし。この案件で、韓国政府は、それは認めませんよというメッセージを当然出せますよね、日本側に、当然ね。それから、釜山とソウルの慰安婦像ですけれども、韓国はソウル中心なので、シンボリックに、特に釜山の場合、大して関心もないし、いわば圧力が弱いです。だから、釜山の件で、何か説得を、要するに、場所を移すということですから。それはつくる前から釜山でそういう話があったわけで、当初は別のところという話があったぐらいですから。これの移転問題。特に釜山の。この2つ、何かメッセージがあるのではないかと思っています」
反町キャスター
「浅羽さん、いかがですか?大使の戻しどころをどう見ています?」
浅羽教授
「日韓関係のゲームのやり方がこれまでと違うということをはっきりと示したわけです。大使を戻したとしてもスワップ協議が止まったままとか、他は止まるわけですね。開いているのは安保協力の部分、これは岸田外相に喋らせているわけですが、戦略的利益の部分は依然としてあるんですよと。そこはメッセージを出していて、日本にとって重要なのは、そこだけであればそこはやると。国際法違反の部分は諸外国も見ていますよと。それこそ弾劾デモの時に、アメリカ大使館に向けてレーザービームでTHAAD反対というのをデモ隊が示したりするわけです。在外公館の、尊厳と安易の確保。接受国としてそれを守る義務というのは日本大使館だけでなく、アメリカ大使館もNO、THAADというのがレーザービームで、職員の目に入ったらどうするという話ですよね。アメリカ大使も日本大使も、テロで傷つけられているという国なので、そこは見ているぞということを、日本は普通に言っておけばいいわけですよ」
反町キャスター
「そうすると、暫く還さなくてもいいということになるのですか、大使は?」
浅羽教授
「安保協力の部分を実務的に粛々とやれればいいのではないですか」

大統領候補の対日姿勢
松村キャスター
「さて、韓国では年内に大統領選が行われ、新しい大統領が誕生します。候補者と現在の支持率を見てみましょう。最大野党の共に民主党の文在寅前代表の支持率が29.1%でトップ。潘基文前国連事務総長は19.8%。李在明城南市長が10.1%。第2野党国民の党の安哲秀前代表が7.4%の支持となっています。それぞれの大統領候補が、日本についてどのような発言をしているかですが、文在寅氏は『日韓合意は到底受け入れられず、無効だ』。潘基文氏は『日韓合意は間違ったものだ。それならいっそ金はかえしてやらねば』。李在明氏は『重要な隣国ではあるが、敵性国家と思う』。安哲秀氏は『慰安婦合意は大統領の独断と政府が引き起した外交上の惨事であり、被害者の意思を無視して強行した』と。このような発言が並んでいるのですが、いずれも日本に対してかなり厳しい視線を向けているようですね。浅羽さん、誰が大統領になっても、日韓関係悪化してしまうのではないかという印象なのですが」
浅羽教授
「日韓合意が覆されると、不可逆的に解決した慰安婦問題がもう1度、蒸し返されるのではないかという懸念ですよね。そういう意味では、いずれの候補も大差ないので、合意の不可逆性をいかに担保するのかというのが日本にとっての課題ですね。国際的にはあり得ないので、政権が変わろうが、事情がいくら変わっても、合意は拘束すると。次期政権も拘束するので、国際ルールに基づいて次期政権が動くかどうかを見ると。もう1つ見ないといけないのが、北朝鮮に対するインテリジェンス、軍事情報包括保護協定、日韓GSOMIAを見直すという候補も中にはいるわけですね。そうなってしまうとスワップがどうなろうが、少女像がいくら片づこうが、公館前でないところに立とうが、そうではない部分で、協力をしなければいけない部分で日韓関係がどうなるのか。だから、慰安婦合意だけではなくて、GSOMIA、安保協力の部分をそれぞれの候補がどう言っているのかという部分の方をより注視したいですね」
反町キャスター
「韓国の大統領選挙における外交カードの重要性とか、日韓関係とか、北朝鮮の軍事的脅威がどのくらいの要素をしめるのかという話ですが」
浅羽教授
「ほとんど争点にならないですね。慰安婦合意に関しては合意争点ですよ。ポジションに余り差がないので、そもそも外交は韓国大統領選の争点ではなく、とりわけ対日政策は合意争点なので、争点になりようがないですね」
反町キャスター
「争点は?格差とか?生活の…」
浅羽教授
「圧倒的に国内の問題になりますよ」

大統領候補と米韓関係
反町キャスター
「アメリカのトランプ大統領がどういう想いで韓国を見ているのか?」
浅羽教授
「マティス国防長官が2月上旬に日本と韓国に来るということで、それぞれの同盟に対する評価が出ると思うんですよね。日米同盟と米韓同盟は比重が違ったわけですよ、オバマ大統領までの間で。日本はアメリカとの同盟強化してやっていくというので、外交安保の戦略はビシッと決めているわけですよね。韓国は、アメリカと中国の間でフラフラしていて、アメリカの側に戻ってきて、ようやく先延ばしにしていたTHAADの配置を朴政権はフラフラになって最後に決めたということなので、重要度の相対的に低い同盟が揺らいでしまうと、日本にとっても由々しきことかもしれない。北朝鮮の脅威に対して、GSOMIAを結んで、韓国のイージス艦がキャッチした情報を、日本、アメリカのイージス艦で、公海でキャッチした情報をシームレスに協力しないと、オペレーションができないわけですよね。そこの部分、米韓が揺らいでしまうとシームレスにできなくなると。38度線が対馬に後退すると、敵性国家だと李在明さんが言っていますけれど、それは韓国が日米にとっての敵性国家に。戦略的に中国側に寄ってしまうと大きな事態なわけですよ。防衛ラインが対馬海峡になってしまうわけです」

黒田勝弘 産経新聞ソウル駐在客員論説委員の提言 『それでも訪日韓国人が500万人!!』
黒田氏
「昨年の韓国人の日本訪問、観光を中心に500万人を突破してる。一昨年が400万人、ここのところほぼ2、3割で急増していて。人口を考えれば、韓国人の日本訪問は中国よりはるかに、ある意味では多いということですよね。我々は、韓国は反日だと言うのだけれども、反日でなぜ500万人もの人が日本にくるかということなので。今、韓国は弱っているので、いろいろな意味で。あまり追い詰めるのも何かなという気がします」

浅羽祐樹 新潟県立大学大学院国際地域学研究科教授の提言 『基本的価値<戦略的利益』
浅羽教授
「基本的価値より戦略的利益を日本は考えたいと。韓国は相当、異質な国に見えていると思うんですね。あってはならないことですが、3回目の少女像が済州島の総領事館前に建ったとして、基本的価値を共有していないということなのですが、こと北朝鮮に関する安保協力は分離対応する覚悟が日本にあるか。それぐらい冷めた目で韓国を見ればいいのではないですかね」