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2017年1月20日(金)
トランプ大統領就任へ あと6時間…緊急検証

ゲスト

山本一太
自由民主党参議院議員
古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員
渡辺靖
慶應義塾大学環境情報学部教授

『トランプ大統領』史上最低支持率で『船出』
松村キャスター
「いろいろな発言が注目されてきたトランプ氏ですが、いよいよ今日の深夜、アメリカ大統領に就任します。気になるデータから見ていきましょう。大統領就任直前の支持率ですが40%と不支持の52%を12ポイントも下回っています。オバマ大統領、ブッシュ、クリントンの歴代の大統領はいずれも就任前は支持が不支持を大きく上回っていたのですけれども、オバマ大統領は84%もありました。それに対してトランプ政権は出だしから世論の厳しい視線にさらされているとも言えます。古森さん、この低い支持率でのトランプ政権の船出をどう見ていますか?」
古森氏
「目の前に出てきた1つの、あるいは2つぐらいの世論調査の数字をもってして、これからの4年間、あるいは最初の1年間のトランプ政権のあり方を、ほぼ断定的にしてしまうというようなアプローチは間違っていると思うんです。今度のCNN、それから、NBCの不支持率が高い、支持率が低いと。世論調査の結果を研究する機関があって、デイリーコーラーという、すぐに調べているのだけれども、CNNの調査は対象となった人の32%が民主党、24%が共和党。そうしたら、アメリカ全体でこの比率がどうなっているかと言うと、共和党の方が多くて28%で、民主党が21%と。かなり偏りがあるわけですよ。だから、細かいことかもしれないけれども、1つ1つの世論調査は瞬間風速であって、それだけではわからないという」
松村キャスター
「渡辺さん、いかがですか?」
渡辺教授
「選挙の直前に、トランプさんがわいせつ発言をしているところが撮られて、映像が流れましたね。あの直後というのが、実は不支持率が60%ぐらいあったんですね。それを考えれば、当選してからトランプさんの支持率は上がっているという見方ができるわけですね。とは言え、低いというのは認めざるを得ない。数字云々ということで言えば、そもそも当選した時の得票率というのは46%で、50%を切ったというのは、2000年以降、初めてですので、そういう面では弱いというのと。私自身もう少し深刻に考えているのは、たとえば、今回就任式で民主党員が60人以上、下院が欠席をしているということで、これは下院の約3分の1、民主党の下院の3分の1にあたる。非常に大きいということと、それから、選挙で共和党の議員からすると、結局、上院も下院もトランプさんが候補になったこともあるのか、議席を減らしているんですね。つまり、議会からすると、トランプさんに対してそれほど恩も感じなければ義理も感じていないことからすると、結構、議会との関係というのが今後ねじれなどいろいろ上手くいかないかもしれないと。そこを私は気にしますね」
反町キャスター
「数字よりも議会との関係性。結果的に、それがボディーブローとして政権の足腰を弱めていく、そういう意味ですか?」
渡辺教授
「そうですね。いくら大きなことを言っても、実際には議会の協力がなければ何も進めることができないと。現在のように国民からの人気もそれほど大きくないということが、もし真実であれば、共和党からしてもある程度、成果がなければ、言ってみれば、見捨てようという動きが出てくるかもしれないと」
松村キャスター
「山本さん、これだけ不支持が多い中で、トランプ政権が誕生するアメリカをどう見ていますか?」
山本議員
「CNNの支持率は明らかに、実際より低いと思いますよ。いつもそうだから。でも、全体を見て5割いっているか、いっていないかというのは間違いない。それはもともとトランプを半分の人が支持をしたんですけど、半分はヒラリーに入れたので、これは普通で言えば、当たり前のことであって、トランプに投票した人の中でもトランプの政策実現が本当に望んで投票した人もいれば、オバマ大統領というのか、オバマ政権に対する反発、特に保守の人達の反発もある、あるいはヒラリーが嫌いだからと。ただ、トランプの政策はすごく危ないけれども、結局、大統領になれば、かなりバランス良く修正されるだろうと思ったら、この間の記者会見も含めて、大統領になってもそのままなのだなと思っている人達がおそらく少し不安だという方にいったというだけであって、想定の範囲内だと思うんです」

ツイッター『指先介入』
松村キャスター
「メディア批判なのですが、Twitterも含めて、トランプ氏とCNNとの確執ですが、翌日、保守系のトランプ氏に近いと見られていたFOXニュースのキャスターがCNNの記者はジャーナリストの規範に沿っており、彼らだけでなく他のジャーナリストもアメリカの次期大統領による誹謗中傷に屈するべきではないと発言をしました。17日、トランプ氏の大統領就任前の支持率が歴史的に低いという世論調査をメディアが発表したことに対して、大外れの結果に終わったインキチ選挙世論調査をしたのと同じ人々が今度は支持率調査をしている、以前と同じように不正なものだとTwitterで反発しました。翌日18日にはFOXテレビのインタビューで、トランプ氏は、Twitter、本当は好きではないが、嘘ばかり報道するメディアへの唯一の対抗手段だと発言をしているんですね」
反町キャスター
「Twitterを使って、オバマさんもやっていたことはやっていたわけで、ただ、トランプさんの場合にはそれを主たるメインエンジンに置きかねないみたいなことを考えた時に、国民に対する情報提供ツールとして、ホワイトハウスとメディアの関係に大きな力の変化が起きるかどうか。どう見ていますか?」
古森氏
「いや、起きると思いますよ。既に起きつつある。これからやっていこうとする大きな部分の1つがメディア戦略で、これは構造的、政治の基盤の部分で、メディアに対する位置づけを変えちゃうということを、彼は考えていると思う。たとえば、ホワイトハウスの中の、反町さんもご存知の記者室、ブリーフィングルームがありますよね」
反町キャスター
「動かそうという話もありますよね」
古森氏
「大統領の執務しているところからすごく近いではないですか。僕らがバーッと走っていけば、すぐに入れちゃうような。そういうことはしないけれども、あまりに近くて、最初行った時びっくりしたよね。ただ、小さいし。これを移そうと。本当の合理的な基準から言ったら、移したらいいのではないかという気はするけれども、これまでの伝統から見たら、すごいことをやろうとしていると。だから、戦っているわけですよ」
松村キャスター
「トランプ氏はメディア攻撃だけにとどまりません。発信された企業への名指しの攻撃をまとめました。自動車メーカーフォードのメキシコへの工場進出計画に対しては、まったく恥知らずだと批判して、フォードは計画を取りやめています。自動車メーカーでは他に日本のトヨタ、GMも攻撃して、トヨタ、GMはそれぞれアメリカ国内への巨額の投資を発表しました。自動車メーカー以外でアメリカの空調大手のキャリアですとか、ロッキード、ボーイングといった航空機メーカー、さらに名指しはしていませんが、製薬会社全般などをTwitterで攻撃をし、企業側はそれに対応するかのような方針を打ち出しているんですね。渡辺さん、こうしたトランプ氏の企業を名指しして攻撃をするという手法はどうですか?」
渡辺教授
「小難しい専門用語を振りかざして語るよりははるかにわかりやすいし、アピールにはなりますよね。ただ、大統領が、政府の人間が、特定の企業、民間の活動に対して、ここまで介入をしていくというのは絶対君主、悪く言えば、共産主義のようなやり方とも言えなくもないわけですね。実際に共和党の中でも、サラ・ペイリンという人は反発していますから。だから、この手法をいつまで続けていくのかということがまず1つと、それから、大統領が特定の企業に対して、こういうことをやらなければ、関税、税金を上げるというのは、こういうことをやられるとWTO(世界貿易機関)違反にもなると思いますし、実際に関税をかける云々というのは、議会マターなので、大統領の権限ではないので今後、どこまで手法が通用するのかはちょっとわからないですね。特にアメリカ時間の明日以降は、現在トランプさんがつぶやいているTwitterのアカウントは、これは個人のアカウントから公式のアカウントに残って、一応、公式文書としてずっと残っていくわけですから。これまでのように本当にやっていくのかどうかは疑問ですね」
山本議員
「1番危惧するのは、まさに事実を、正確に掴んでいないままトランプ大統領が発信するということです。たとえば、フォードについては、トランプ次期大統領が、ビル・フォードから電話があって、とにかくケンタッキーの工場はそのまま動かすと言ったと。メキシコの工場をつくらないと言ったと。加えてミシガン州に7億ドル投資をし、さらに、700人か800人(雇用)をつくるのだと。フォードの方は、ある意味で言うと、トランプ次期大統領に対する応援だみたいな感じであると言ったのですが、いろんな反応があったんですけれど。GMは結局、メキシコに工場をつくることについては撤回しなかった。その時にトランプ次期大統領が何と言ったかというとTwitter上で、GMはメキシコにある工場で、シボレークルーズをつくって、無関税でアメリカのディーラーに渡そうとしていると。そんなことをするのだったらアメリカの中でつくれと。でないと関税をかけるぞと言ったのですけれども、その時にGMのマネージャーが反論したのは、シボレークルーズのメキシコでつくるやつは全部世界市場向けですと。つまり、アメリカ向けのシボレークルーズはオハイオでつくっていると。たとえば、トヨタ、覚えていますか、トヨタがメキシコに工場をつくる場所が間違っていたわけですよね。つくっている場所も間違っていた。それについて、だから、トヨタは、いや、実はアメリカの雇用、生産には全然関係ありませんと。これまでもすごく投資をしていて、10か所に工場があって、1500ぐらい販売店があって、14万人ぐらい雇用していますと。しかも、それに加えて、さすがビジネスマンだから5年間で1兆円ぐらい投資をしますと言ったのですけれども、つまり、事実に基づかない発信というところが非常に危険だなと思います。もうこれ以上は言いませんが、少なくとも、しかし、こういうやり方でTwitterという手法を使うかどうかともかく、大統領が企業に対して、いわゆる経済合理性を無視して、自分のところへ工場をつくれと。これはもちろん、良くないし、あとでいろいろと経済の議論で出てくると思いますが、明らかにアメリカにとって、アメリカの企業、いわゆるアメリカ企業の競争力にとっても良くないし、消費者にとっては結局、そういうことをやっていくと、高くて、品質の悪い製品を使わなければいけないということになるので、マイナスだと思います」
反町キャスター
「合理性とか、正しいデータに基づいているのかということとは、また別の意味で権力というものの行使の仕方として、良いのか悪いのかという、これは政治家でないと聞けないので、権力というのは抑制的に行使するものだと、自民党の政治家の方に、よく何人かの方から僕も聞いたことがあるのですけれど、そういう哲学、考え方からすると、このトランプさんの手の振り回し方、どう感じますか?」
山本議員
「まだ十二分に大統領になる準備がなかったのかもしれないと。もしかすると、勝ったこと自体、想定外とは言わないけれど、ちょっとシナリオが違ったのかもしれないので、まだそこらへんの準備ができていないところはあるのかと、失礼ながら思うところはあります」
古森氏
「アメリカの民主主義というのがあって、三権分立というのがあるわけで大統領だって悪いことをすれば、弾劾措置で消されてしまうわけだからね。消されてというのは比喩的な意味だけれども。だから、そんなに心配をすることはないのではないですか」
渡辺教授
「敢えて前向きな解釈をすれば、大統領に正式になる前なので、結構、強気のスタンスを前面に出し、今後、起こり得るいろんな交渉事に対する水準をドンドン上げておくと。自分はここまでのことはやるという気構え、そういうことを示しておいて、実際に大統領になったら、穏健なところにいくといく。1年前にこちらの番組でお話をしたかもしれませんけれども、そういうふうにもとれますね」

高官・閣僚候補の狙い
松村キャスター
「ここからはトランプ政権の人事をもとにトランプ大統領が掲げる政策の行方について話を聞いていきます。まずはホワイトハウスの陣容ですが、トランプ氏は大統領上級顧問に長女イバンカさんの夫で実業家であるチャレッド・クシュナー氏を起用しようとしています。古森さん、大統領上級顧問にチャレッド・クシュナーさんですが、どう見ていますか?」
古森氏
「これはアメリカのいわゆる政治の世界では全然知られていなかった人だけれど、実業の世界、あるいはメディアの世界では著名な若者です。若い人ですけれど。36歳かな。有名な人ですね。既に報道はされているように、非常に豊かな不動産業の嫡子に生まれて、父親がいろいろ問題を起こして捕まったんだね。刑務所に1年か2年ぐらいいて、その後、彼が継いでずっとやってきたと。たとえば、高級なマンションをいっぱい買い、安くつくって、高く売って、うまく管理をしていく。2万5000ユニットぐらいのコンドミニアムと言って、アパートですよね、ニューヨークとか、ニュージャージーのあのへんで持っているということと、それから、ニューヨークオブザーバーというのかな、新聞を買って、自分がかなり入っていって、ずっとやっていたんです。文化とか、ファッション、軽い方のことを扱う。昨年から、インターネットだけに、ネット版だけになったという。だから、ジャーナリズムも経験している人で、才能というか、IQというのが出てきていたけれど。人間をIQで判断をしてはいけないけれども、総合的に優れた人物だと思いますよ。ただ、娘婿ということで、反縁故法…」
反町キャスター
「どうなのですか?法律に触れるのですか?今回の彼の起用というのは」
古森氏
「これは、だから、彼の弁護士は触れないとはっきり言っているけれども、この反縁故法というのも、山本先生はよくご存知だと思うけれども、この法律も非常にカーブのついた法律で、もともとなぜできたかと言うと、昔の話だけれど、1967年、ジョンソン大統領、ジョン・F・ケネディ暗殺(時)の副大統領だった。その時ジョン・F・ケネディは、弟のロバート・ケネディを全然、体験がなかったです。35歳で、弁護士で全然やったことがなくても、スパッと持ってきてやったということですごく良くないと思ったらしく、それでつくった法律。その次に、表面で反縁故法というのが問題になったのは、確かビル・クリントンが大統領になり、奥さんのヒラリー・クリントンがファーストレディで初めて閣議に参加させろと言ってきて、ホワイトハウスの中に自分用のオフィスをつくれということになって、そうすると政策面で完全に政権の一員になるわけではないですか。これは反縁故法に触れるのではないかということが出てきたけど、その時、お金を貰わなければいいとか、いろいろ逃げ道があって。だから、これがこれからあまり問題になるとは、彼らも考えていることだから、でも、議会を見ても、奥さんを、トーマス・フォーリーという下院議長をやったことのある奥さんなんて、チーフ・オブ・スタッフ、首席補佐官は奥さんですよね。これずっと。大使をやっていた時も、奥さんが全部特別補佐官をやって、これはもちろん、大統領とは違うけれども、そのへんはあまり細かく気にして、これはトランプ政権の大きな問題になって、これから波紋を広げていくという感じは、私はしていませんね」
反町キャスター
「渡辺さん、クシュナー氏の上級顧問起用をどう見ていますか?」
渡辺教授
「クシュナーさんは、不動産業で成功したというのは古森先生がおっしゃった通りですけれども、もう1つは、非常にIT(情報技術)関係に関して詳しくて、トランプさんの熱狂的な支持者、トランプさんのTwitterをフォローしているから、ある程度、安心なのですけれども、それ以外の人達に対して、どういうメッセージを発して、それがどう伝わるとか、そこはかなり精緻な分析が必要で、これは民主党が一時、共和党より勝っていたのですけれど、今回の選挙では圧倒的に共和党の方が強かったんですね。それを主導したのがクシュナーさんということで、今後より広いアメリカ人に対し、いろんなアウトリーチ戦略を練っていくという上で、非常に有能な人物でもあるということ。それから、もう1つは、ポーランドからのユダヤ系移民の3世ということで、お父さんはネタニヤフ首相とも交流関係があるということで、トランプ政権は、かなりイスラエルに近いのではじないかと。一説にはイスラエルにあるアメリカ大使館を…」
反町キャスター
「本当なのですか?現在、テルアビブにあるやつをエルサレムに移すというのは。どういう政治的なインパクトがあるのですか?」
渡辺教授
「もともとビル・クリントン大統領も、それを1992年かな、選挙の時に公約に掲げ、1995年にはアメリカの議会も、それを承認しているのですけれども、ただ、実際はいろいろな他の国との関係も考えて、それぞれの大統領は延期をしてきたわけですよね。それはオバマさんもそうだし、ブッシュ大統領もそうだったんですね。だから、トランプさんが延期をするかどうかというのは結構微妙なところで、前回延期されたのが12月1日ですから、半年後なので5月1日かな。その時点でトランプさんが本当に移したら、これは中東情勢、それから、アメリカに対するテロ攻撃とか、諸々考えると、相当大きなことですね」

『外交・安全保障』の行方
松村キャスター
「続いてトランプ政権の人事からアメリカの外交・安全保障政策がどこに向かうかを見ていきます。国家安全保障担当の大統領補佐官には、元国防情報局のマイケル・フリン氏。国防長官は、元中央軍司令官ジェームズ・マティス氏。外交の要となる国務長官は前エクソンモービル会長レックス・ティラーソン氏が候補に指名されています。古森さん、このティラーソン氏の国務長官起用。これに関して、トランプ氏の狙いというのはどこにあると思われますか?」
古森氏
「これまでのトランプ陣営をサポートしてきた人の中にナショナルセキュリティというか、国家安全保障、あるいは外交という分野で専門知識を有する、国際経験、国際体験、見識というものが、なければいけないということで、最初の出発点では、この人材見つけるのに苦労したと思うんですよ。共和党の基本的にはトランプさんとイデオロギーをシェアしているように見える人との間でも、たとえば、リチャード・アーミテージとか、マイケル・グリーンとか。我々が知っているような人達が何人も集まって、50人も集まって、我々、共和党だけれども、トランプ氏が大統領になったら絶対にそこでは働かないという声明をしてしまったわけです。そうすると、国務長官、国防長官、トップシークレットの、秘密の身分証明みたいなのが必要なわけでね。すぐ今日、何もない人が行って今日、明日、アメリカ国民だというだけでとれないし、非常に人間が限られていたということ。それから、ワシントンの官僚とか、学者というのは、元官僚。いろんな研究所とか、政府をグルグル回転ドアのように行ったり来たりしている、アーミテージとか、グリーンとか、ああいう人もほぼそれですよね。そういう人を選んでいない。反ワシントンという部分があって、エクソンの超大企業のトップを選ぶというのは、彼なりの、あとで全体の人事の基本方針というか、基本的な特徴を見ていくと、いくつかあるわけだけれど、その中に企業の一流の人を選ぶというのがあって、そこで、ピタッといって、国際、ロシアとの関わりが強いということも、これからのアメリカの新政権の外交にとっては非常に必要なことであるということで、いくつかの要件があったのではないでしょうか」
松村キャスター
「そのティラーソン氏ですが、公聴会ではロシアや中国に対して、トランプ氏と異なる発言をしているんです。まずロシアについてですが、トランプ氏は『もしプーチン大統領がドナルド・トランプを好きならば不利益ではなく財産』。ティラーソン氏は『今日のロシアの危険をはらむ、NATO(北太平洋条約機構)同盟国はロシアに危機感を覚えて当然だ』と、このように発言をしています。中国については、トランプ氏は『なぜ一つの中国政策に縛られないといけないのか』と。ティラーソン氏は『一つの中国の原則に関しては変更の予定は承知していない』と。この食い違いというのを、古森さん、どう見ていますか?」
古森氏
「まずロシアについてですけれども、トランプさんが言っていることは、非常に次元の低いと言っちゃっていいのかな。個人的なプーチン氏は何となく感じのいい男だよという範囲をあまり出ていない言明だと思うんです。だから、仲良くやっていけるのではないかと言ってる。これは、だから、ロシアがクリミアを武力で盗って、国連やあるいは西欧諸国の経済制裁、厳しい対象になっているとか、あるいはプーチンさんがロシアの国内で自分に刃向ってくるジャーナリストを殺してしまったと言われるような人権問題。そういうことまで、それがアメリカ全体としてロシアとどう向き合うかということを考えた場合にはロシアの対外行動。国内での人権の扱い方とか、いくつか他にもあるけれど、そういう高い次元の問題ですよね。ここの部分に入ってきて、トランプさん自身がロシアについて言っていることはほとんどないわけですよ、これまで。だから、だんだんティラーソンさんが言っているのは、もうちょっと低いところを言ってきているわけで。だから、ティラーソンさんの、公聴会でマルコ・ルビオという上院議員がロシア国内の人権問題についてのティラーソンさんの見解をドンドン聞いてきて、ここのところがたじたじになって答えられなかった。だから、ロシアはNATOを破壊しようとしていると。ティラーソンさんが言ったのかな。マティスさんかな。ティラーソンさんですよね。マティスさんかな。ロシアの対外行動については、ティラーソンさんは非難をしている。だから、そこのところはコンセンサスの方に近い。そこのコンセンサスを否定するところまで、プーチン大好きよと言うトランプさんも言ってはいないと。だから、そんなにギャップがあるとは思わないですね」
反町キャスター
「渡辺さん、いかがですか?この2人の中国・ロシアに対する見解の相違…」
渡辺教授
「現在の段階で、承認されなければ話にならないわけですから。特に共和党の上院には、ティラーソンさんに対し、古森さんがおっしゃったように、懸念を覚えている議員が、たとえば、ルビオさんとか、マケインさん、あるいはグラハムさんというような人が、もう3人既にいるわけですよ」
反町キャスター
「それは共和党の保守派の超本流、ド本命の真ん中と、ややちょっと右寄りの方々からすると、このティラーソンさんという石油会社のボスだった人をロシアから勲章を貰った人を国務長官に据えるということに対しては何が心配なのですか?」
渡辺教授
「どこかに利益相反があるのではないかということと、それから、たとえば、クリミア併合に対する経済制裁を緩和するのではないかとか、そういったことでしょうね」
反町キャスター
「そういう中でこのティラーソンさんが言ったロシアに対する見方とか、中国に対する見方というのは、トランプさんよりはややちょっと安全運転というか、そこの部分というのはやむを得ない?」
渡辺教授
「だと思います。他の閣僚でも、ロシアに対する発言で、中国もそうですけれども、トランプさんと必ずしも一致していないですけれども、ただ私もちょっとトランプさんを理解しようと思って、いろいろ評伝を読んだのですけれど、トランプさんの手法というのは、水と油のような人を同じチームに入れてしまって、徹底的に競わせると。皆がへとへとになったところで最後に自分が判断を下すということで、なので、現在の段階で閣僚に指名をしている人が、自分と異なる考えを持っていても、あるいは互いに矛盾をしているようなことをペンタゴンと国務省で言っていても気にしないと。もう1つすごいのはその結果、結局、自分が当初抱いていた考えが変わったとしても、恥ずかしい、いわゆる政治的変節ではなく、それは進化だと本人が言っているんです。レーガン大統領も偉大な大統領も皆そういうふうに進化をしてきたと。だから、自分もそれに従っていると。だから、何ら恥ずることはない。だから、今後、トランプさんがマティスさんとか、フリンさんとか、諸々の人達の影響を受けて、ロシアに対する考え方を変えたとしても、それは彼にとっては、皆はびっくりするのでしょうけれど、トランプさんにとっては全然」
松村キャスター
「国務長官候補のティラーソンさんですが、尖閣諸島問題への対応を問われまして、日本や韓国とは長年の同盟の合意がある。中国の尖閣諸島への軍事力行使には、こうした合意に従って対応すると、日米安保条約を適用するとの認識を示していますが、山本さん、この発言はいかがですか?」
山本議員
「これは日本政府全体、国会全体、特に与党はほっとしたと思うんですよね。ちゃんとトランプ次期大統領はこういうことを一切言わなかったので、あまり言いたくないと。ティラーソン国務長官がこれをしっかりと、はっきりと言ってくれたことは大きかった。マルコ・ルビオ議員の質問だったと記憶しています。中国の南シナ海の問題についても、これまでトランプ次期大統領がはっきり言っていないところ。南シナ海の人工島の軍事化、これは違法だと、なおかつアメリカとしては違法だというのと同時に、そこに近づくことについても、それはまずいということを言うべきだと言ってくれたということはすごく良かった。もう1つ言えば、マティス国防長官がアジア太平洋のプレゼンスは落とさない。だから、この2人の、ある意味で言うと、公聴会は、日米安保という観点からいうと非常に心強いというか、ほっとしたというのが正直なところです」

『経済・通商政策』の行方
松村キャスター
「新設される国家通商会議のトップに対中強硬派で知られるカリフォルニア大学教授のピーター・ナバロ氏。通商政策の舵取りをする商務長官には知日家で投資家のウィルバー・ロス氏。通商代表部代表には、レーガン政権時代の通商代表部次席代表のロバート・ライトハイザー氏が起用される予定です。ナバロ氏、ライトハイザー氏が対中強硬派です。米中の経済関係はどのようになっていくと思いますか」
渡辺教授
「今回の人事を見て対中強硬派が非常に大きいと。トランプさんにとっては、そもそも自分の支持基盤であった、労働者から雇用を奪ったのは、外国であり、中国だと。そことの間の不公正貿易の是正というのは、相当力を入れていると。そのために、現在の段階としてはカードをたくさん用意している段階で、為替操作国に指定するかもしれないとか、あるいは関税を45%にするとか、台湾カードというのですかね、一つの中国もそうだし、台湾にもっと武器を売るかもしれないと、いろいろなことを言って交渉のハードルを高くしていっている時だと思うんですね。ただ、実際に関税を45%とか、こんなことになるとアメリカにとってマイナス面があるので、私は実際には保護貿易になる直前までにとどめておいて、もう少し穏健な、たとえば、特定の品目に対してのセーフカード、緊急輸入制限をかけるとか、そのあたりで当面スタートして、それでも中国が応じなければ、だんだんエスカレートしていくという、いきなりドンといくよりは少しずつ圧力を加えていくという方向にいくのではないかと思います」
反町キャスター
「具体的に、中国に対する要求はどういうことになっていくのですか、対米輸出自主規制ですか、対米投資の拡大?」
渡辺教授
「たとえば、鉄鋼ダンピングをやめてくれとか、そういったことでしょうね」
反町キャスター
「そういった場合、中国がアメリカの鉄を買いますよとか、一帯一路にアメリカも参加してくださいよと言ったら、一帯一路に参加するとか、そういった形での対中傾斜みたいな可能性はあると思いますか?」
渡辺教授
「AIIB(アジアインフラ投資銀行)に関しては側近がそれに入る可能性を排除すべきではないということも言っているので、よくわからないところがありますね。私が懸念していたのは、カードの1枚として、南シナ海のカードを使って、何か取引をするのではないかと思っていたのですけれども、そのへんに関しては、マティス氏らも安全保障に関しては現実的な見方をして、南シナ海におけるプレゼンスということは協調していたので、少し安心していいかなと思いますけれど、いずれにしても、現在のところカードをドンドン並べて少しずつ小出しにしていくのではないかというのが、私の見立てです」
山本議員
「まさに通商政策が日本としても最も気になるところですけれど、要は、誰が主導権を握るかというのが大事だと思うんですね。おそらくウィルバー・ロスさんという商務長官がいますけれども、国家通商会議が何をするところかがよくわからないですけれども、ピーター・ナバロ氏、あるいはライトハイザー氏、クリントン政権の時できたNECという国家経済会議というのがあって、ゲーリー・コーンというゴールドマンサックスの元会長がきているのですけれども、形骸化しているので、普通でいくと、ナバロさんが中心なのかなと。ピーター・ナバロ氏は人生の半分以上を全部、中国批判に費やしていきた人で、昨年かな、Netflixでやったドキュメンタリーを観ていたら、アカデミックというよりも、ジャーナリステックで、わかりやすいのですけれど、大丈夫かと。このピーター・ナバロさんはカリフォルニア大学の教授ですね。ハーバード大学で経済博士号を取っているのですけれども、論文を見てみたら、チャリティのことについて書いていて、こんなことを言っては申し訳ないのですけれど、あまり経済学の主流とは…。どうなってしまうのだろうなと。ライトハイザー氏はまさしく日米通商摩擦で、鉄鋼で活躍して、30代で次席だったんですよね。そのあとUSスティールか何かの弁護士をやって、日米鉄鋼交渉で俺は実績をあげたという昔の感覚で心配ではあるのですが、手強いのですが、この人が個別をやって、ピーター・ナバロ氏がまとめると思うのですが、ピーター・ナバロ氏の反応を見ながら、良い化学反応が起これば、残すけれども、そうでなければ、トランプ大統領はだんだんとナバロさんを重用するより、ライトハイザー氏にやらせていくのではないかと。中国に対してはもちろん、厳しいのですが、1月16日のイギリスの『タイムス』のインタビューの中ですぐにやらないとはっきり言いました。初日に中国を為替操作国に指定すると言って、最後にやったのは1994年です。暫くやらないと。つまり、様子を見て、状況を見て考えるということなので、対中強硬派は確かに多いのですが、最初から(関税を)45%をかけるみたいなアプローチではないだろうなと。それから、日本としても冷静に対応すればいいのですが、基本的にそういうのはWTO違反ですから、明らかに」

古森義久 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の提言 『潮流をみすえて』
古森氏
「現在の国際社会、国際秩序は、第二次世界大戦の終わりから、七十何年の間でも1つの大きな曲がり角にかかってきて、それは危険な方、悪い方に動いているのだと、そういう背景が、トランプさんという非常に型破りの政治家がワッと表に出てきたことの理由の1つであるという。現状の険しさですよ、現状の。これを日本も見て、少し性根を据えるというか、真剣に向かわなければいけないと」

渡辺靖 慶應義塾大学環境情報学部教授の提言 『やや静観』
渡辺教授
「政権が発足して、おそらくいろんな国に対して高い要求を投げかけてくると思うんですね。そうすることによって、ディールのハードルを高くしてくると思うのですけれども、まだまだブレ幅が非常に大きいと思いますし、それから、チーム内の力学には不透明なものがたくさんある。これからどうなるかわからない。なので、1年くらいかかるのではないかと思うんですね。そういう時はじっくり動向を見据えてということが大切かなと思います」

山本一太 自由民主党参議院議員の提言 『過剰反応しない』
山本議員
「トランプ(次期)大統領が台湾の蔡英文総統と電話協議をやって、世界を驚かせ、練りに練られた対中戦略ではないかという見方もあったのですが、いろいろ考えてみるに、トランプ次期大統領自身も数時間前まで知らなかったとか、実は移行チームも知らなかったとか、国務省も知らなかったみたいなのであまり深読みし過ぎない。過剰反応しない。安倍総理にできれば1月下旬にトランプ大統領に会っていただきたいですけれど、今度、会えなくても、キチッと陣容が固まって、潮流を見て、カウンターパートができてから、しっかり会っていただいてもいいのではないかと。過剰反応をいちいちしないことだと思います」