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2017年1月17日(火)
2017年の政治展望 『安倍一強』は続くか

ゲスト

竹中治堅
政策研究大学院大学教授
吉田徹
北海道大学法学研究科教授
先﨑彰容
日本大学危機管理学部教授

安倍政権 今年の課題は
秋元キャスター
「まず昨年暮れに5年目に入りました安倍政権の今年1番の政治課題について皆さんに、事前にフリップに書いていただきましたので、1つ1つ紹介していただきたいと思います」
竹中教授
「私はトランプ政権への対応が1番の課題になるのではないかと思っています。それは経済面でも既にいろいろなことを言っているわけですね。国境税とか、あと企業にもっとアメリカの中に投資せよとか。おそらく日本の企業も対応をしなければならないかもしれない。貿易赤字のたくさんある国として中国と日本とメキシコが挙げられ、おそらく確かに中国が圧倒的に多いので、中国だけ挙げるとまずいよなということで、日本とメキシコも挙げられたと思うのですが、しかし、何か言ってくるかもしれないと。トランプさんはメンタリティとして1980年代の頃のブッシュ、レーガン政権のメンタリティで日本に臨んできているのではないかなと。貿易赤字は、日本はアメリカの貿易赤字を出し過ぎていると。それから、防衛はタダ乗りしていると。なので、経済のみならず安全保障面でも、もうちょっと応分の負担をというのは、これは政権に入るだろう人達が皆、言っていることなので、両方ともそれなりの対応をしなければならないので、政権としてはかなりの時間とエネルギーをそこに使わなくてはならないのではないかと思っています」
吉田教授
「私は、成長一本槍からの離脱としました。もちろん、トランプファクター、これは非常に日本外交にとって、あるいは世界中の国にとって大事な問題になってくるのですが、内政のことを考えた場合、安倍政権を考えた場合、政策としてもアベノミクスが息切れしている状況だと思うんですね。2つの意味で、離脱というのが必要で、1つは皆の消費水準を維持するというような形のアベノミクスです。これがやや息切れしてしまっている。なので、違うところに、軸足を移さないといけないと思うんですね。これが様々な現在の働き方改革みたいな、そういった形にシフトしていくという形で成長だけではなく、様々な社会政策が、労働政策を含めて、軸足を移していくというのと、それから、選挙というのを考えた場合、もはやアベノミクスでは戦えないわけですね。アベノミクスをまた吹かします。またもう1回やるのですかと。いつまで吹かしているのですかという話で、そんな燃費の悪い政権はないだろうということになるのでたぶん違うものを持ってこないといけないというので、成長だけを唱えているわけにはいかないだろうということですね」
先﨑教授
「変化です。安倍総理も変化の1年といいましたけれども、たとえば、変化でも新しさでも良かったのですけれども、我々日本人はこの言葉をだいたい、いい意味で、選挙の時とかも変えるのだ、変えるのだと言ってきたわけですけれども、今回のトランプさんで初めて変化するということには、悪い側面、マイナスの側面があるのだということに漠然と言葉にならないものを感じたはずですね。と言うことは、この変化、我々の社会が変わっていくということは良い意味、良い側面と必ず悪い側面があるのだという。この2つを考えながら今日はお喋りしてみようかなと思っていますけれども」
反町キャスター
「安倍さんは今年、たとえば、働き方改革とか、昨年の暮れで言うと、いわゆる年金法改正とか、要するに、変化を仕かけてきているわけです。しかも、明らかにこれまでで言うと、いわゆる野党側が提案するであろうところまでウイングを伸ばし、いろいろ変化を野党ではなくて、与党から変化を仕かけている。これはどう見ていますか?」
先﨑教授
「それは吉田先生がおっしゃったように、政治というものは、たとえば、特に選挙がある場合ですけれど、ネタがなければならないですよね。たとえば、これから議論になると思うのですが、果たして今回もまた野党が、いわゆる政治的な立憲主義とか、そういうのをネタにして本当に戦えるのかというのがありますよね。では、今度、自民党がまたそういうのを出すとノイズがあるので、経済的側面でアベノミクスをもう1回出すのかと、両方手詰まりな可能性があるではないですか」

衆院解散の時期は?
秋元キャスター
「5年目の安倍政権どうなっていくか。当面の政治日程ですが、今月20日に通常国会が召集されます。同じ日、アメリカでトランプ大統領の就任式が行われます。安倍総理、今月下旬にもトランプ氏との日米首脳会談を行いたい考えです。大型連休前後には、天皇陛下の退位に関する法案を政府が国会に提出する見通しです。こうした中で、前回の衆議院選挙から2年が経過しまして、安倍総理がいつ解散総選挙に踏み切るのかが焦点となるわけですけれど、安倍総理は年頭の記者会見で『解散はまったく考えていない』と語りましたけれども、衆議院解散総選挙、年内にあるのか。あるとすればいつなのかということなのですが、竹中さん、いかがですか?」
竹中教授
「私は、1月はないかもしれないけれども、2月の補正予算が成立した頃に解散総選挙というのあり得るのではないかと、まだ思っています」
反町キャスター
「本予算審議前?」
竹中教授
「本予算審議前、そう」
反町キャスター
「その与党側の打算というか、皮算用は何ですか?」
竹中教授
「だって、内閣支持率は高いですしね。放って置けば、放って置くほど、小池新党は準備ができるわけですよ。小池新党が立ち上がった場合に、かなりの議席を東京は獲ると思いますよね。そうすると、この3分の2で憲法改正の一応、手を持っておきたいわけで、3分の2はほしいということを考えるのであれば、解散は早ければ早い方がいいということですね」
反町キャスター
「時が経てば経つほど、3分の2の維持、もともと、でも、解散、さらに現在ここから次の解散で3分の2の維持、自公でこれは難しいのではないか。維新をどう取り込むかという。維新も足し上げて、さらに民進のどこかの、他の党の改憲に賛成する人を足し上げていくと。そういう積み上げしかないような気もするのですが、安倍さんはがっちり3分の2という憲法の改正を意識した解散戦略を打ってくると見ているわけですか?」
竹中教授
「解散、安倍さん自身はそんなに憲法改正には、それほど優先順位は高くないのではないかなと、私は密かに思っているのですが、しかし、いや、3分の2ではなくてもいいんですよ。要は、このあとトランプさんとか、不確定要素が多いので、勝てるうちに勝っておこうという。それは政権が発足した時も皆さん、おっしゃっていましたけれども、この政権は勝てる時に勝とうという、そういう政権だと。そのメンタリティで、現在ほど良い条件の時はないと思うんですよね。このあと待っていても良くならないと思いますよ。だから、やっちゃおうと。そこまで考えて昨年、大型補正をちゃんと、いつもは2次補正しかやらないのに2次補正を早めにつくって、そこにかなりの金額を積んでいるわけですよ。公共事業が出ているので、今、解散総選挙をしても、景気への負担というのは、ほとんどないと思います。ですから、そこまで考えてやっていて、それで解散のかの字もないというのが、1月5日ですか。2月に解散したら、1か月経っていますからね。二階さんはいつでも解散できるように準備はしてあると言っているわけですから、まだまだ2月解散というのは、その可能性はあると、私は思っています」
反町キャスター
「吉田さん、いかがですか?選挙のタイミング。どう見ていますか?」
吉田教授
「解散権というのは首相の専権事項だし、先進国標準から言えば、いつでも好きなように、いつ何時、解散できるということ自体がおかしいと思うんです。それで一喜一憂…。研究者もマスコミも政治家はもちろんですけれども、振りまわされる。これ自体どうかなと思ったりするのですけれど、ただ、竹中先生がおっしゃったこと、ギャンブルは避けたいということだと思うんですね。そう考えると、自民党の総裁任期延長して2021年の9月までですね。そうすると、それまでなるべく解散の回数は少なくしたいと考えるのが合理的だと思うですね。そう考えると、逆算すると2017年、今年の秋以降ではないかと。そうしたら1回で済むので。それはそれまで総裁任期を睨んで、どこがベストタイミングかを探っていくというのが合理的かなと考えたりもします」

次期衆院選の争点は?
反町キャスター
「先﨑さん、次の総選挙、問われるべきものは何であると感じますか?まだ早いですか、そういうことを考えるのは」
先﨑教授
「それは言おうとしていたのですけれども、選挙をするからには、他党との関わりの中で、他党が強かった時、弱い時を見て、機を見るとなると思うのですけれども。もう1つは解散をする以上、大義名分がなければ、何かを問わなければいけないですよね。その中で先ほど来、経済というのが、弾を込めて、何回撃ってもねというので、では今度、政治的なニュアンスが強いものになるとすると、おそらく憲法のような問題というのは、彼の祖父がそうであるように、実際、成立してもすごく大きな政治的な混乱を招いた場合には退陣も辞さずというか、そこである一定の身を処すぐらいでやる可能性もあるのかなと。そうすると、その前に大義名分というよりも、自身が何か高いパフォーマンスをしたことを国民に見せるというのが、首相としてどこの国であってもやるはずなので、それで経済を抜かすのだとしたら、外交なのかなと思うんですよね。だから、ロシアとの間ですぐ何かができるとは到底思いませんが、その他の事柄であったとしても、何か外交的なパフォーマンスでこの人がやはりいないと、国内で、民進党、前に名前が違う(民主党が)政権を獲った時は毎日テレビの中で党の内部での駆け引きを輿石さんが必死になって何かやっているという、ああいうところから国民はイメージを膨らませていきますから、そうすると、この人がいないと、海外でちょっと戦えないかなとか、そういうような案件を打ちだしてくることによって、社会に無言の信頼を醸成して、選挙に打って出るということはあるかなと思います」

足踏みの野党共闘
秋元キャスター
「15日の共産党大会に出席しました民進党の安住代表代行が、来るべき選挙でできる限りの協力を行うための話し合いを積極的かつ具体的に進めていくと挨拶をしました。一方で、同じ日、蓮舫代表は、安倍政権を倒すことに全力を注ぐと。そこから先の話は、残念ながら共産党と考え方が違うと、野党連合政権構想に否定的な考え方を強調しています。吉田さん、民進党内だけでもこれだけ温度差があるわけですけれども、野党の共闘というのは可能なのでしょうか?」
吉田教授
「これは役割分担みたいなところもあると思うんですよね。二枚舌というより、二枚腰でやっているというところはあるのだろうと思うのですけど、これは誰が考えても自公ブロック、自公政権が、完璧な守りを、選挙協力の中でやっていて、その中で、野党が3つ、4つ、場合によっては5つも分裂をしていたら勝てる選挙も勝てないわけですね。なので、何らかの形で選挙協力はやっていくというのは、これは非常に誰が考えてもやらざるを得ないことだと思うんですね。その中で、どういう共通項をつくっていくかと。何かを実現するというポジティブなメッセージを野党ブロックが出せるかどうか。これが非常に重要だと思うんです」
反町キャスター
「勝つための手法と勝ったあとの展望というのが食い違っても、そこは、我々有権者は仕方ないと思うしかないのですか?」
吉田教授
「そこはどう信頼感を持ってもらうかということだと思うんですね。共産党は、果たして政権に入るのか入らないのか。おそらく入れないという選択しかないと思いますが、その場合、閣外協力をするのかどうかとか、政権構想、ロードマップをある程度きっちり示さないと有権者に対して不誠実だと思います。なので、それをオープンな場で、野党の党首同士、議論をしてもらうというのは重要だと思います」
反町キャスター
「参議院選挙の時に、民進党は共産党との選挙協力について、政権選択選挙ではないからということを、あらゆる場で、この番組でも皆さん、言っていましたよ。衆議院は政権選択選挙ですよ。そこにおいて、小選挙区制において共産党との選挙協力、候補者調整を行うこと。ここの部分における、僕は矛盾を感じるのですけれども、それはどう感じになりますか?」
吉田教授
「だからこそ現在それが問われているのだと思います。政権選択なので、どういう政策体系のもとで、何のためにどういう構成でつくられるのか。どういう連立があり得るのかということをオープンにディスカッションをしなければいけなくて、ヨーロッパに比べると、やや日本の政治のビハインドなところで。日本というのは2000年代、ずっと連立政治をやってきたわけです。ところが、民主党の2009年の政権交代時もそうですけど、どういう連立で、どういう政策協定をつくって、政権を進めるかということをあまり議論されないですね。これはマスコミもあまり報道しない、注目をしないところはありますが、連立を前提とした政治とか、政策の見方とか、解釈とか、報道というのは、これからますます重要になってくると思います」
竹中教授
「共産党は、何が問題かと言うと、綱領ですよ。綱領。こちらが求愛しているのに民進党は振り向いてくれないと、この間、共産党が言っていましたけれども、いや、それはちょっと待ってくれと。皆さん、資本主義をどう考えているのですか。綱領をまず変えてから、そういうことを言えと僕は思いますね。だから、民進党も言えばいいですよ。いや、綱領を本当に抜本的に変えて、資本主義を受け入れると。その中で再分配の問題とかをより重視していくぐらいに変えるのだったら、我々もちゃんと考えますよと、今の民進党はそこらへんをもにょもにょと全然はっきりしていなくて民進党は果たして共産党の綱領を逆に読んだことがあるのかと私は聞きたいです」
先﨑教授
「まず1つ前提になっているのは、我々の間で暗黙の、民進党が主導をしながら共産党と共闘するかという話ですけれども、前回の選挙におけるイメージというのはむしろ共産党が民進党の力を乗っとるぐらいのイケイケドンドンな感じという共産党の元気さが目立ったわけです。実際、民進党の方が大きいのは事実ですけれど、そういう意味で言うと、この国は滑稽なことに昔、自社さということもやってはいるのですけれど、連立政権で野党、社会党が政権に入るということをやったのですけれども、国民の、普通の感覚からすると、共産党と野合していると、まさに思うような雰囲気、声にならない声というのは大事にしなければいけなくて、国民はそこまで節操なくないですから、共産党と組んでいるのは、確かにパフォーマンスなのだろうなと思いつつも、それをやっていることによる一種のしらけというのか。しかも、それが本当に政権をもし組んだ場合、前回、1回目にあれだけ、実際に政権を担ったら内部が混乱をしているところが外にまで見えた中で、さらに、この水と油の政策もあるようなところが入ってできるのかというのは、普通に考えた時、もしかしたら、なってみたら社会党を受け入れてしまったこの国の政治のように、1回やれば慣れる可能性はあるのですけれども、最初としてはかなり難しいのではないかなと。だから、野党というのは、民進党であるの有無にかかわらず、本来チェック機能として必要ですよね、野党という存在は。ただ、それを現勢力でどうつくるかということで、選挙協力を、共産党とすることについては、民進党に利がないのではないかと思います」

都議選と『小池劇場』
秋元キャスター
「小池都知事、10日にプライムニュースで『過半数を目指すのは当たり前。私と方向性が一緒の方を確保することが都政の安定につながる』と話されまして小池氏を支持する勢力で過半数を目指すという考えを示されたのですけれど、竹中さん、この小池都知事の動きをどう見ていますか?」
竹中教授
「いや、仕かけてきていますよね。完全に仕かけてきている。私はそこまで思っていなかったのですが、これはやる気満々で、小池新党を立ち上げて、それで都議選で、かなり獲って、都議選の意味はこれまで国政選挙を占うということの意味があるとずっと言われてきましたが、まさに今回の都議選の意味は、小池新党というのが次期衆議院選挙に向けてどこまで伸びるポテンシャルを持っているのかを判断するのが、今度の、都議選の最大の意義だなと思うに至りました」
反町キャスター
「自民党の中の人達なんかは、要するに、小池さんは熱いから触らない方がいいよと、放って置いて、そのまま冷めるの待っていれば、都議選ぐらいまでには、要するに、いい加減、いい具合に落ちてきて、そこから先は伸びしろがないよというような様子見の感じがすごく出ている人が多いのですけれども。見ていて、賞味期限というのも変ですけれども、小池さんの推進力、持続力をどう見ていますか?」
竹中教授
「いや、オリンピックに加えて、豊洲問題があるので、2枚看板ですよね。これはなかなか強いのではないかなと。豊洲で暫く引っ張って、オリンピックは2020年なので、それはまだ日がある、伸びしろがあるわけですね。なので、小池劇場は少なくとも都議選までは引っ張れるし、年内に解散総選挙があったら、そこまではいけるのではないですか」
吉田教授
「日本の、ポピュリズムの1つの特徴というのはですね、トランプとは違っていて、ネオリベ型の新自由主義的な改革志向のポピュリズムですね。しかも、それが首長であるというんですね。特徴である。石原慎太郎さんもそうだったし、田中康夫さんもそうだった、あるいは宮崎県の東国原さんもそうだったというところがあって、つまり、二元代表制の下で議会を敵にし、それを常に議会というのは、政治不信というのが日本の場合は非常に高いので、そもそも敵なわけです。そこで強いリーダーとして乗り込んでいって、いろいろなものを開けて、ほら、こんなに悪いことがありましたよ、こんなに無駄使いがされましたよというのが、日本のポピュリズムの典型ですよね。そこを小池さんは狙っていっているというところはあるのだろうと思います。ただ、おそらく彼女の成功体験でもあるわけですけれども、1993年の時の日本新党ですよね、あれで当時、細川さんが知事から中央に乗り込んでいって首相にまでなるわけですけれど、ある種の刷り込みがあるかもしれないとは思うのですけれども、当時とは政治状況が違う、選挙制度も違うし、有権者が政治に期待していることも違うと思うので、もしそのシナリオが小池さんにあるとしたら、その通り進むのかどうかというのはちょっとわからないところではあります」
反町キャスター
「ポピュリズムとは何だろう。いけないことと思った方がいいのですか?それとも大衆迎合という言葉が、翻訳が正しいのであれば、迎合するのは良くないのかもしれないけれども、調子のいいことばっかり言っているというのがあるのですけれども」
吉田教授
「既得権益に切り込むということだと思うんです。言い換えれば、それは政治、経済、文化的なエリートに対する異議申し立てでもあるんですね」
反町キャスター
「トランプの話に聞こえてきたのだけれども」
吉田教授
「両方、ポピュリズムというのはそういうものであるわけですけれども、強いものを叩くということではあるわけです。強いものというのは伏魔殿なので、都議会にはたくさんいる。なので、蓋をずっと開け続ける。蓋というのはたくさん出てくると思いますね」
反町キャスター
「小池さんがやっていることというのは、既得権益への切り込みというのは決して悪いことではないですよね?」
吉田教授
「考え方にもよりますね」
反町キャスター
「ないしは既得権益の切り込みを、人々に見せることによって支持を高めるというのは、破壊のあとのビジョンがないままに、ただ単に切り崩しているだけみたいに見るのがいいのか?ここはどう評価されるのですか?」
吉田教授
「それは無駄、行政の無駄を省くということ自体は悪くないのだけれど、それだけにリソースを割くわけにはいかないですよねということで、小池都政というものが何を目指しているのか。もちろん、オリンピックを成功させる。それは誰だって、おそらく言うでしょう。誰が知事になっても言うわけで、そうではなくて、小池都政というものはこういう東京をつくるんですという、都民ファーストって、何か言っているようで、言っていないので、アメリカファーストみたいな話で、都民ファーストで何を実現したいのかという、そのビジョンですね。そのビジョンがないと単に既得権益を壊してお終いとなってしまうのだと思います」

退位めぐる法整備は?
秋元キャスター
「続いて天皇陛下の退位について聞いていきます。衆参両院の正副議長が昨日、国会内で会談をしまして天皇陛下の退位を巡る法整備について衆参合同で与野党の議論を進めることを決めました。大島衆院議長は、記者会見で、『通常国会で最終的な結論を出さなければならないとの思いは各会派にもあると思う』と語っています。与野党で合意をはかることはできると思いますか?」
竹中教授
「最終的にはできると思いますけれども、通常国会でそこまできっちりいけばいいなと私は一国民としては思いますが、しかし、そこははっきりしないなと思っています」
反町キャスター
「時間かかりそうだなと思いますか?」
竹中教授
「いや、民進党がどこまで突っ張るかというか、結局、彼らは皇室典範を改正すべきだと言っていますので。彼らが折れると決めたら、すぐにまとまりますけれども、彼らが引っ張ると決めたら、国会を跨いでしまうかもしれないですよね」
反町キャスター
「野田さんも先日、この番組に来た時に『皇室典範改正しかないんだ。ただし、政争の具にはしないんだ』と。皇室典範改正しかない。野党4党、この方向で足並み揃っていますよね。そうなった時に、これを政争の具にしないとは言いながらも、野党4党がまとまるためには皇室典範改正しかなかったのかとか、いろんなことが思い浮かんでしまうのですけれども、ここへのこだわりをどう見ていますか?」
竹中教授
「なぜそこまで皇室典範改正にこだわっているのかなと。不思議ですね。ですから、結局まとまるかどうかは、これは結構、重要なのは新聞とテレビの論調だと思うんですよね、世論。そこで野党は何をやっているのだというのが各主要紙の社説がそうなる。あとはテレビのニュース、ワイドショーでも何でこんなに野党が反対をしているのですかねというのが盛り上がってきたら、すぐまとまると思います。結局、だから、世論がどう判断をするかということではないかなと思います。協議が長引いた場合」
反町キャスター
「吉田さん、この退位の問題、どう見ていますか?」
吉田教授
「皇室典範の改正というのは、与党が特例法でやるということなので、その逆張りでやるということだと思うんですね。もちろん、それであまりに抵抗すると、これは何だと逆に世論の批判を浴びるので、どこかで譲歩をしますと与党が言ったので、ということになるんだと思うんです。ただ、そういうのを聞いていると本当に誰も天皇制のことを真剣に考えてこなかったのだなと思うわけですよ。現人神として、あられた天皇が象徴として戦後の日本国憲法の中で定められて、象徴というのは、あるだけでなく、行為する天皇ですからね。と言うことは、遅かれ、早かれ、この高齢化に伴う問題は必ず出てきたわけですよ。そうでなくても国事行為が、憲法で定められているので、高齢化の問題は抜き差しならない問題だったわけですね。ところが皆、原発と似ているような感じがするのですけれども、まあどうにかなるだろうと思って、ずっと問題を先送りして。そこでいよいよですよ、天皇自らがずっと内閣と相談して、こういうことにしたいと思いますと、意を決し、自らテレビの前で言うわけですよ。いったい政治家とか、議会政治家は何をやっていたのだと思いますよね、怒りを覚えます」
反町キャスター
「ただ、吉田さん、8月の8日でしたか、陛下がお言葉を発せられ、それを受けて、いろんな政治性の動き、ないしはその前に有識者会議、それも含めて政治的な動きですよ。いわゆる陛下の政治的な権能。政治的な影響力。政治的なことをやっているかどうかという、ここの部分。そこに対する疑義というのは、陛下が言われたから動いて、法律も動き、政治が動き、法制化が進みという、ここの部分をどう我々、納得したらいいのかというのは皆、疑問に思う部分があると思うんですよ。ここはいかがですか?」
吉田教授
「うん、だから、それを天皇の、言ってみれば、個人の行為に甘えてしまったということだと思うんですね。ボールは向こうから投げられたわけですよね。それが我々に投げられているということだと思うんですけれども、1つ言えるのは、万世一系と言われるわけですね。その天皇制の長い歴史の中で持っている時間軸ととりあえず特例法で、数十年先に問題を先送りしちゃえという、このとんでもないギャップ、コントラスト。私はやや眩暈を覚えるのですけれども」
反町キャスター
「一応、3つのパターンが考えられるのですけれども」
吉田教授
「特例法でね」
反町キャスター
「1番というのは…。これは眩暈を覚える感じですか?」
吉田教授
「そうですね。万世一系の天皇と言っておきながら、とりあえず今のことは特例法で終らせよう、なかったことにしちゃおうと言うこと自体が、天皇制を巡る問題を先送りするということですから、誰も結果的に天皇制について本気で考えていないのかなと思うんです。そのうえで申し上げるとすれば、憲法に何が書いてあるか。国民の総意として天皇は象徴としてあるのだと書いてあるんですね。ということは国民的な議論が、有識者とか、野党の政治家だけではなくて、国民を交えてマスコミがタブー視しないということを含めてですけれども、天皇制についてちゃんと議論をしなければいけない。でないと、象徴としての天皇というのは権能しないと思います」
反町キャスター
「先﨑さん、この退位を巡る様々な世論の動き、政治の動きをどう見ていますか?」
先﨑教授
「先生がおっしゃったこと、僕も賛成で、この問題というのは、僕は文芸春秋スペシャルにちょっと書かせていただいたのですけれども、ともすれば、どういう形で、法律で対応していくかということに終始しがちなのですが、テレビに出られるような方、そういう人が多いのですけれども、これ自体は大げさに言えば、僕を含めて、国民一般は一指も触れることができないわけですよね。それを見ているだけですね。今回、何が1番大事かと言うと、吉田先生がおっしゃられたように、国民に対してメッセージを出されて、国民、我々自身がこれをどう考えるかということが1番大事ですよ。たとえば、和辻哲郎とか坂本多加雄って人が象徴天皇をどう考えてきたとかというのを読んでいたものですから、それを読んだ頭で、陛下のお言葉を聞いた時に、ある部分が非常に気になって、それは何だろうということを考えてみたんです。そうすると、たとえば、この問題を憲法の問題と結びつけて考えようとする人がリベラル派の中に非常にいらっしゃるんですね。天皇というのは、擁護する人というのはよく右寄り、あるいは保守だと思われているのだけれど、天皇陛下ほど、リベラルで、今の憲法を守ろうとしている人はいないのだと。この人を我々は全面的に賛同をするんだという形で、いわばちょっと言い方を悪くすると、右寄りから天皇を奪還するような、それを錦の御旗にして憲法改正を防ごうとするような動きさえあるんです。ただ、それらを総括して言うと、天皇陛下に対して、我々、国民の中のある部分の人達は、これは2000年来続いてきた伝統なのだから、大喪の礼を含めた、一連の行事を、厳かに行ってということを要求する。戦後の天皇のあり方というのは、一般的に我々が見ている姿というのはある意味、写真をバシバシ撮っても構わないようなマスコミ的な天皇像。負の部分のない、煌びやかな、近代的な天皇像ですね。仲がよろしくて、非常に聡明であられて、そういう、いわば消毒されたような天皇像を我々は求めてきた。そして圧倒的多数の人はこれに加えて第三の極として無関心だったわけです。と考えた場合に、我々、国民がこれまで何をやってきたかと言うと、一方的に伝統を死守せよと。もう一方は、憲法を死守してみたり、ある時にはすごく煌びやかな、生きる、死ぬの死ぬですね。そういうことを一切排除したような煌びやかな天皇像を、皇室何とかという番組があるように映してきたわけです。そうすると、戦後のそういう価値観と古い価値観、両方を仕事としてやってくれと。ある時はマスコミ向けのことをやってくれと。ある時は、我々があずかり知らないような伝統を体現してくれと。圧倒的多数の人達、第3極として、それ自体に関心がない。そうした時、今回、陛下の言葉の中で気になったのが、そういった葬儀に関する行事が1年以上も続くのだと。そのような行事と新しい時代に関わる行事が同時に進行してきたから、行事に関わる人々、取りわけ、残される家族が非常に厳しくなると言ったんですね。これは皇室という数十人の家族の、家長としての天皇が、うちの家族は危機に瀕している。国民に対して開かれれば開かれるほど多くの業務に忙殺され、我々が陛下に対してこれだけの負荷をかけているから、もうやめてくれというふうに、少し大げさに言うのなら、国民からこの家族を守らなければならぬという、それぐらいの悲鳴に、この文章を読む時、聞こえたんですね。と言うことは、我々国民は、国民に対するメッセージですから、この言葉がもしかしたら、そういう意味での家族を守りたいというぐらいの悲鳴なのだとすれば、それに今回、耳を傾けなければ、この国民はいったい何だということになると思うんですね。だから、あるべき態度というのは、粛然とすべきだと思いますよ、この国民は、何かすごいことを言われてしまったんだと。それを今度、いきなり急に退位するには、どういう法律をしたらいいかとか、バーッと流されて、また、相変わらずアイドルのような天皇陛下像が、こんなに御苦労をなさっているという感じで続くわけですよね。この国民の立ち止まらなさ加減。何を自分達が突きつけられているかに対する無知というか、感受性のなさ。本当に今の日本の国民というのは、もう少し言葉を静かに聞くとか、伝統というのをもしかしたら体現してしまっているということに気づいてハッとするとか、そういうようなところが本当はほしかったというか。今回のこの発言で、我々国民が考えねばならないことだと思うんですよね。受け取らなければいけないこと。制度の問題も大事だけれども、と思います」

トランプ現象とポピュリズム
秋元キャスター
「続いては、アメリカのトランプ次期大統領について聞いていきます。いよいよ今月20日に就任式を迎えるわけですけれども、竹中さん、トランプ現象というのですか。これは何を物語るものと感じていますか?」
竹中教授
「グローバリーゼーションに取り残された人達が反乱を起こしたということでしょうね。面白いのは、イギリスがEU(欧州連合)離脱を決めたことと、アメリカでトランプさんを大統領にしたというのは、これは2つ共、アングロサクソンの国で起きていて、1番雇用法制が労働者にとって厳しい国で起こっているんですね。確かに経済学的には比較優位の原則があって、産業の競争力がなくなったら、他の国に行って、新しい産業が出てくるというのはおそらく理論的には正しいのですけれども、そこに働いている人たちをどう1つの産業から別の産業に移すかと言うことに対してはそんなに簡単な話ではないと思うんです。それまでずっと車をつくってきた人達がインターネット産業で、シェアリングエコノミーだと言われても、その人達は次の職にはそんなに移れないと思うんですね。そこへの手当ての弱い国、2国でこういう現象が起きているということで、日本は雇用を守り過ぎていて、けしからんとかいうことを言われることも多いのですが、結果として日本はそういう良い感じでやってきたのかなと」
反町キャスター
「日本には反グローバリゼーションの影響はないという考えですか?」
竹中教授
「そう。吉田先生がいらっしゃると聞いて、お伺いしたいのですけれど、日本とか、欧州でも雇用を大切にする資本主義と、いろいろ言われていますけれど、日本には反グローバリゼーション的なものは、そんなにこないのでは」
吉田教授
「ヨーロッパがポピュリズムの嵐から逃れるわけではないんですけれど、戦後の製造業を中心の工業型社会というのがあった。これがオイルショック以降、徐々にサービス産業化が進んできた。そうすると、二極分化するんです。高技能で、高付加価値の高学歴の人達、そういう人達が経済を牽引する、IT企業など。ローエンドの方は、対人サービスは移民に持っていかれる話ですね。その中で、かつて製造業の工業型社会の、質量ともに多数派だった、マジョリティだった、勝ち組だった、アメリカで言えば、白人の労働者ということになりますが、彼らのバックラッシュだと思うんですよね。戦後のデモクラシーの調整局面的なところが、今回のトランプさんの勝利があるのだと思います。その中で日本はグローバル化から善く悪くも2周遅れの国なので、リーマンショックの影響も無視できないわけですけれども、リーマンショックの衝撃度も他の国と比べたら、グローバル化が遅れていたからですが、相対的に少なかったので、まだ免れているのかなと思います。外交、通商関係で言えば(トランプ政権の)大きな影響はあると思います。変化に対する不安感、心理的な影響はあると思いますけれども日本の場合エリートが保守的なので。親グローバル、反グローバルがありますけれど、相対的には保守的なので、ポピュリズムの波が、トランプ型のものが出るとは思っていないです」
先﨑教授
「日米関係そのものというより一歩引いて文明論で論じたくなるので、それで言うならば、人間にとってのプライドとか、他人に対する差別とか、触れてはいけないけれど、根源的な問題というのが噴出して、少なくとも国際政治というのは、どれだけ力の世界であっても理念を言ってきた、これまでは。自由とか平等が大事だよと。今ここにきているのはあからさまに暴力であり、差別であり、寛容のない暴力的な現在になってしまっているということが国際社会の大きな転換点だと思うんです。理念を謳うということ自体が放棄されかけている社会。その時に日本という国が個別の改革ということではなく、あらためてどういう国家としてアメリカに対峙するかという国家観みたいなもの、自由が大切だとか、そういうことを言いながら国家として対応していくことを安倍さんができるなら、そこにこそ活路があると思うんですよね」

竹中治堅 政策研究大学院大学教授の提言 『成長戦略推進』
竹中教授
「今年は成長戦略を推進していただきたいということにつきます。これは2015年に安全保障関連法制を提出した頃から、安倍政権は、成長戦略はちょっとお休みということになっていて、これはちょっとまずいだろう。なので、昨年の秋はIR法案とかを、少し成立をさせましたけれども、今年はよりがんばって、経済を成長させないことには余裕がなくなってしまうので、そこを是非がんばっていただきたいなと思っています」

吉田徹 北海道大学法学研究科教授の提言 『"橋"をかけていく』
吉田教授
「考えてみると、民主主義が安定していた時期はそれほど長くないんですよね。たかだか70年ぐらいだったわけです。その背景にはいろいろあって、戦前の反省もあったし、冷戦構造もあったし、現象的に資本主義を修正していくという意志もあった。そういったものが、前提風景が変わってしまっているという状況ですね。なので、社会に分断線が走っているということだと思うのですけれども。アメリカの、19世紀の宣教師のジョセフ・ニュートンさんという人が言っているのですけれど、人間というのは壁をつくるのは得意なのだけれども、橋をかけるのは下手だという言葉を残しています。これから民主主義が痛んでいる時代に求められているのは、内政でも、外交においても橋をかけていく、そういう行為だと思います」

先﨑彰容 日本大学危機管理学部教授の提言 『デモクラシー』
先﨑教授
「これは今年という問題ではないのかもしれないですけれど、たとえば、イギリスの問題があった時に、次にフランスで選挙が起きるという時に、極右政党の話がすぐ出てくるように、今、世界中で極端に右にいったり、極端に左にいったり、極端に膨張したり、極端に国家を閉じようとしている。そういうような時に、最後に機能するのは現在のところはデモクラシーのはずですから、この言葉が持っている意味を、それぞれの国柄に合わせて作り変えるというのか、どう作っていったらいいかなと考えるのが、学者の役割の1つかなと思います」