プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2017年1月13日(金)
トランプ×一つの中国 論戦…金美齢VS朱建榮

ゲスト

金美齢
評論家 JET日本語学校名誉理事長
朱建榮
東洋学園大学教授
古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員

トランプと『一つの中国』 『米中新時代』台湾の行方
松村キャスター
「アメリカのトランプ次期大統領は、国防長官に指名したジェームス・マティス元中央軍司令官、指名承認の公聴会で、中国の南シナ海進出を非難したうえで、アジア太平洋地域の軍事的体制を維持すべきだと日本などとの同盟の重要性を強調しました。さらにトランプ氏は昨日の会見で、アメリカの貿易不均衡の問題を論じる中で、中国との貿易では何千億ドルもの不均衡を被っていると発言。また、国会ぐるみのハッキングに関しては、この国の2200万件の個人情報が中国によりハッキングされている。さらに中国による南シナ海での人工島造成を念頭に、中国は南シナ海でも人工島を建設し、アメリカに対し優位な立場に立とうとしている。このような発言がありました。古森さん、トランプ氏の発言、マティス氏の発言、どのように見ていますか?」
古森氏
「近く登場するトランプ政権が中国に対してどのような政策をとるのか。これは日本を含めて、全世界中の、非常に関心の的だったわけですけれども、つい最近までは、トランプ政権は意外とこれまでと違って、中国に対して正面から対決をしないのではないかと。貿易、経済面は米中の現在のあり方は不均衡。アメリカに不公正であるから、これは変えなければいけないと。ところが、彼は肝心の軍事・安全保障・防衛・政治・人権と、国際社会一般がよく気にしているようなことについてはほとんど選挙中、発言しなかったと。そこから生まれてきた推測の1つは、経済問題ではバンバンやるけれども、肝心の、政治・安全保障・国防に関してはひょっとして甘いのではないのかという推測があったのだけれど、この推測が全然事実と違っていたということが今の段階で確認されたと思うんですね。その1つはトランプさん自身が強い発言をした。南シナ海の問題で中国を叩いた。本日の主題である一つの中国という原則にチャレンジするような構えを見せ始めたと」
松村キャスター
「朱さん、中国は、トランプ氏、マティス氏の発言をどのように捉えているのでしょうか?」
朱教授
「私は現時点で、間もなく登場するトランプ政権に関して、中国政策、おそらく現在2つの軌道で進んでいると思うんです。国防総省、国務省などこれから就任するだろうというトップは、それは各省庁の、これまでの政権を引き継いで、中国に対していろいろ軍事的な面で強硬にあたると。そのような部分を引きずって、マティス、次の国防長官とか、発言をしたりする。そのことが1つ。一方、トランプさん本人はまだ決まっていないと。それに対して中国は裏でいろんな働きかけをして、同時にこの問題の深刻さというところを警告したりしてやっているわけですね。少なくとも今日の話の重点である、この台湾を含めて一つの中国であるということに関して、トランプさんは、最初は取引の対象のように軽く使ったのですけれど、Twitterで。昨日の記者会見で触れましたか。言わなくなった。すなわちその重みというものをわかってきた。彼はまだ学習の途中です。中国も現時点で彼を怒らせて真っ向から、この人の性格というのはCNNをこのように敵にまわして言うということは中国の…」
反町キャスター
「ああいうのを見ると、中国してみたら、付き合い方が見えてくるものもありますよね?」
朱教授
「そうですね」
松村キャスター
「ここからはトランプ氏の一つの中国に関する言動から、トランプ氏の対中姿勢を読み解いていきます。12月2日ですけれども、アメリカの次期大統領としては初めて台湾の蔡英文総統と電話で会談を行った日ですが。トランプ氏はTwitterでこのようにつぶやいています。『台湾のプレジデントが私の大統領選勝利を祝って電話をかけてきた。サンキュー』。これまでアメリカ政府は主権国家リーダーという意味を含む、プレジデントという言葉を使わずにきていました。ですが、トランプ氏は、プレジデントとツイートしています。また、11日のインタビューで台湾を中国の一部とみなしてきたアメリカの長年の立場を堅持すべきかという問いに対して『なぜ一つの中国政策に縛られなければいけないのか』とこのように回答しています。古森さん、トランプ氏が蔡英文総統をプレジデントと呼んでいますけれども、どう見ますか?知らなかったのですか?」
古森氏
「これは次期のアメリカ大統領の言葉として直接、彼の口から出た言葉として、公の場に流れていくという、その意味では、オフィシャルというか、公式な意味でもあるわけですよね。だから、公式な意味でアメリカの大統領がプレジデントと言う、台湾だと総統という言葉を使ったことはほとんどないでしょう。だから、独立国家があってそれの行政部門の長である元首と言われていることは認めちゃうと、一つの中国政策に反すると。だから、トランプさんがそういうことを知っていて、敢えてその言葉を使ったかと言うと、これはまだわからないけれど、わからないで言っちゃったのではないのと。皆、見ていたんですよ。そうしたら9日間経った12月11日、いや、私はよく知っていて言っているのだと今度は言ったわけですよ。それも本当かどうかわからないよね、それは。だけれども、本人が言うのだから。なぜこれに縛られて、一つの中国に縛られるのかという。だから、非常にアッと驚く米中関係の現実とか、歴史を知っていれば、知っている人ほど驚く、斬新、衝撃的なインパクトのある言葉だったわけですよ。何でこんなことを言うかというと、1つは単なるカードで、中国に対しても圧力をかける、こういうことをしないでくれと言ったら、しないでもらいたいという時にいろんなやり方の1つとして使っているのか、あるいはこれからの対中政策は本当に基本部分で、一つの中国という基本部分も動かし得るのだということの前兆なのか。これはまだわからないけれども、両方あるかもしれないね。だから、重大なことですよ」
反町キャスター
「プレジデントという言葉をトランプ次期大統領が使ったことについて、金さん、ないしは台湾の友達とのやりとりの中で、プレジデントと言ったわよ、と言って盛り上がると言ったら悪いけれども。盛り上がったの?」
金氏
「盛り上がった。私達、だって蔡英文さんを総統と言っていますから。それをアメリカの次期大統領、もうすぐ大統領になる人が認めたわけです、現実を。これがあるべき姿ですよ」
反町キャスター
「国威発揚みたいな、オーッという感じになるのですか?」
金氏
「別に国威発揚と言っても、台湾は小さい国ですからね。どうやって、中国と平和的に。平和というのは言葉だけではないですよ。実はオバマさんが世界の警察をやめますと言った途端にゴチャゴチャになっちゃったわけです。だから、日本人も平和という言葉が大好きですけれども、平和的に付き合おうというのは、後ろに、背景に力がいるんですよ。その力が何ぞやということですよね。だから、台湾は軍事的にも、人口のうえでも、いろんな意味でも強大な中国には勝ち目がないわけ。だから、台湾は民主主義で戦う以外にないです。私達は民主主義の国なのだと。もう1つ、後ろに誰が控えているのか。それはアメリカであり、日本でありね。そういう民主主義の国々なんですよ。それでしかあの覇権主義の国には立ち向かえない」
反町キャスター
「台湾が極端な話、もう1回、中国に逆上陸をして、全てを中華民国にするというような、そういうことを考えていないでしょうから。その意味で言うのならば、たとえば、トランプ次期大統領が、プレジデントが何だかんだ、主権国家がとか、あまり言うことが、たとえば、蔡英文さんだって選挙戦の時とは違って現在になると、どちらかと言うと現状維持のニュアンスを強めているではないですか。贔屓の引き倒しというのも変な言い方だけれども、そんな煽るなよと。こちらは、台湾は台湾で中国と静かに向き合おうとしているのに、あんたの利害関係で勝手に言われては困ると。そういう感覚を台湾の人は持っているのではないか?そういうことはないのですか?」
金氏
「そんなことはありません。それはありません。台湾問題は皆、忘れかけていますので。この際、台湾がそこに存在するのだ。しかも、立派な国として民主主義で、自由で人権を尊重している立派な国として存在しているのだと。もう1度、皆が。無関心というのが1番怖い。だから、存在感を示すという意味で良かったと思います」
朱教授
「トランプさんは当選の前、当選のあと1か月余りでも型破りの、皆からエーッと思うような話をいっぱいやっているではないですか。それを1つ1つ真剣に受け止めたら、これから付き合いができないわけです。そういう意味で、これが本当に大統領になる前のその発言が、彼はこのような今後、実現不可能な話をいっぱいやっているわけですね。その話がこれから本当に、大統領に、1月20日過ぎにこういうような政策をやるかどうか。そこを当然、見ないといけないけれど、Twitterで言うぐらいで、アメリカも元国務長官の数人が一緒に参加したワシントンDCでのシンポジウムがあった。オルブライト氏など、女性の元国務長官は現時点で中国は大人の態度で、これについて過敏に怒らないというのが大人の態度と。トランプさんはいずれ一つの中国というところを、その微妙さ、それを本当に壊したら、パンドラの箱のように出てきて、アメリカにとって本当にそれがどうなるかということを十分に理解しているかと。少し適応の時期を与えようと。現在の中国の対応は正しいというようなことを言っているわけですね。そういう意味で、私は、この発言を過大に評価をするべきではない。先ほども申し上げたように昨日の1番重要な最初の記者会見では言わなくなったわけですね。それで、一方、ロシアについてこれまであんなに弁護したのが、いろいろCIA(中央情報局)やいろいろな情報を受けて、ハッキングをやったということを認めざるを得ない。ですから、プロセスに変化が、学習のプロセスだと思います」
反町キャスター
「朱さん、空母遼寧の航路をこうやって見ると、昨年の暮れに、沖縄と宮古島の間でしたか抜けて行って、そのまま海南島に寄って、つまり、台湾の周りを1周したという、それが大人の対応にあたるのか。これは要するに、2日のトランプ大統領の発言のあとですよね。11日でしたか、グルッと1周をまわっていったのは。そういう意味においては今回、空母遼寧の航跡を見てみると、少なくとも中国の軍部は、これは大人の対応をしているとはあまり思えない。これはどう見たらいいのですか?」
朱教授
「大人の対応というのは、相手が現在やっている話は、子供みたいな話ですから、これから大人になれと。待とうということではあるのですけれども、中国の空母の1周というのは当然、早い段階で決めたもので。私は、当然、台湾の牽制の一面はあると。ただ、それはトランプさんへの牽制というより、台湾が、トランプさんがこれから自分にとって支えてくれると。それで、台湾が変に動くということを牽制する。その一面はあると思いますよ。ちょうど蔡英文さんがアメリカ経由で中米に行く。その間にまさにアメリカのどういう人と接触をするか。外でどういうような発言をするか。また、中国としてこの1年近くですけれど、蔡英文さんが正式に、1992年のコンセンサスというところを認めるというのは言っていない。それについて1つの圧力を加える。それは対話に対してはやっていると思います」
反町キャスター
「中国は、正規空母をクルッと(台湾の)周りをまわすということが、台湾に対して軍事的な威圧というか、力を見せつける行動になるという、こういう判断だということですよね?」
朱教授
「現時点でそのまま軍事的な圧力とは、私は思いません」
反町キャスター
「でも、そうではなかったら、何のためにこんなことをやっているのですか?」
朱教授
「将来的に我々はそのような軍事力をますます持っていくのだと。いきなり現在だって、この遼寧号というのが訓練用のもので、台湾の軍事専門家も実際の能力として、まだ現在でもそれは3割ぐらいしか出せていない。中国は至急にいろいろ、まさにそれを太平洋、海での訓練ということをやろうとしているわけですね。次の、本格的に運用をする空母のためにですね。そういう意味で、中長期的に軍事面で、アメリカに、そして台湾に対して、それはあるのですけれども、そのまま今回、一つの中国を破るなら、我々は軍事的にやるのだと、私は現時点で、中国は全般的にトランプ政権に対してはなるべく軍事的にできる緊張に持っていかないで」
反町キャスター
「思っていて、これをやるの?」
朱教授
「いや、持っていかないで、経済のところで外交交渉をしようと。そこが重点なので、私が言いたいのは、これ自体がアメリカへの軍事的なデモンストレーションではない」
金美齢氏
「これはデモンストレーションであることは間違いないでしょう?」
反町キャスター
「台湾の人達は、この周りを遼寧がグルッと回ったことで、怖いと思うのですか?」
金氏
「怖いと思いませんよ。だって現在、中国に戦争ができるとは思わないです。中国自身いろいろな問題を抱えているわけですよ。これは中国語で諺があるのですけれども、泥菩薩が川を渡るという、泥でつくった菩薩、これが川を渡るというんですよ。つまり、自分の安全でさえ問題である。つまり、泥というのは水の中に入れると溶けちゃうわけね。だから、現在の中国の状態というのは、こういう危険は冒せない。つまり、泥でつくった菩薩の像が川を渡る、海を渡るという、この危険というのは冒せないですよ。中国自体、どれだけ大変な問題を抱え込んでいるか。これで戦争したらどうなるか。ある意味では、全世界を敵にまわすことになりかねないですよ。現在、台湾が台湾として存在して、これだけの長い歴史の中、もし中国が武力でもって台湾に侵攻したら、世界を敵にまわすことになりますよ。そういうコストを中国はかけられない。あり得ないことです。だから、せいぜいデモンストレーションをするという、そこまでですよ」
古森氏
「軍事的にアメリカから見たら、遼寧という空母は性能が低いわけですよ。アメリカの軍人達は、これを優しいターゲットというか、沈没させるなら1発で一瞬にして沈没させるなんてことを。だから、いつまでも保持してくださいよということを言うぐらいの軍事的なレベルは低いと。ただし、地域的に見た場合に、それは政治心理的な中国の軍部を含め、共産党の威力、意思を誇示する、そういう効果はあるわけだから、それは威圧的な意味というのはあるのだと思いますよ」
松村キャスター
「これまでアメリカは一つの中国をどう見てきたのかをみていきます。アメリカは中国に対して1972年、一つの中国に異論を唱えないとしました。1979年には台湾と国交を断絶し、中国に対して兵員を撤収すると約束しています。その一方で、台湾に対しては兵器の提供や台湾を脅かす武力行使に適切な行動をとることを定めた台湾関係法を制定します。これは事実上の軍事同盟となっています。1982年、中国に対し台湾への武器売却を次第に減らしていくとしました。台湾に対してなのですが、武器供与の終了の期日を定めないですとか、台湾の主権に関する立場を変えないなど『六つの保証』を採択しています。古森さん、こうして見ますと中国、台湾、それぞれへの二枚舌のようにも見えますが、矛盾しているのではないかとも見えるのですけれども、これまでのアメリカの動きというのをどう分析されますか?」
古森氏
「これまでは、だから、一つの中国というよりも大まかな概念は認めてきたわけだけれど、たとえば、台湾は主権がないと。完全に国家とは違う、地域だというところまでははっきり認めない。それから、コミュニケの中の1つに台湾は中国の一部であるという、そこの部分をアメリカ政府が完全にそれを受け入れたのではなくて、中国側が言っていることをアメリカ側がそれを認知しましたという表現の形になってきたわけですよ。だから、いくつもいくつもその解釈のレベルがあって、曖昧さが残っていて、完全に台湾が主権国家ではなくて、中国、中華人民共和国に1つの反乱をしている、言うことを聞かない省であって、あとは一緒にしなければいけないのだという、それまでをアメリカが全部認めたということとは違うわけですよ。ただ、そういうことを中国側が言っているよと。それを、そういうことはわかりましたと。その前提で、国交を固めていきましょうということで出発をしたわけですから。だから、曖昧な部分というのはすごくあるんですよ。だから、台湾関係法、これも事実上、一つの中国に対し、一つの中国を認めながらも、ここで言っていることというのは、もし中国が台湾を自分達の国に引きこむ時には絶対に平和的な方法にしてくれということを言っているわけ。事実上の軍事同盟という見方が、表現があったけれども、これも台湾にとっては、そう解釈をしたいのだけれど、そうではないのだという解釈もあるわけです。と言うのは、中国が台湾を攻撃したと。この場合にアメリカが日米安保のように必ず米軍が出ていって、中国と戦うかというと、わからないですよ」
反町キャスター
「そこは保証されていないのですか?」
古森氏
「曖昧。台湾海峡の平和と安定は、アメリカにとっても非常に重大な懸念の対象であるとかね、それから、武器は売りますとか。そういうことを言っているわけで。完全にアメリカが行って戦いますよということは言っていないわけです。だから、本当に中国にとってアメリカが出てくるか、出てこないかというのは非常に大きな関心事で、これをアメリカは、いろんな表現で、いろんなことを言っているけれども、ある部分で戦略的な曖昧性という言葉を使って、やるか、やらないかはわからないよと」
金氏
「古森さん、だから、アメリカが言っているのは、ステータスコーなのよ。つまり、蔡英文さんが言ったのと同じことなの。現状維持。だから、どちら側でも現状ステータスコーを破壊することは認められないという言い方をしているんです。だから、蔡英文さんが現状維持という言葉を使っているのは、アメリカの台湾関係法がステータスコーという言葉を使っているわけ。現状という。だから、どちらか側からも現状を乱してはならない」
反町キャスター
「そうすると、金さん、台湾の立場からすると現在、アメリカが中国に対して、台湾に対して、両方にいい顔をしているのではないかという話をしていたのですが、これは台湾の方からすると、アメリカは両方にいい顔をしている。あの国は、不誠実とは言わないけれど、二枚舌だとか、ダブルスタンダードとか、そういう批判はアメリカに対してはしないのですか?」
金氏
「私は、そうは思わないです。だいたい中国は太平洋に出てきてアメリカと太平洋を折半しようと言っているわけではないですか。だけれど、そこを封じ込めているのは、それこそ封じ込みではないけれども、沖縄の諸島、それから、台湾ですよ。だから、台湾が中国の一部になってしまったら、もう目の前は太平洋です。だから、太平洋というのでアメリカとしては太平洋というのをわが海にしたいわけ。だから、そこへ中国が出てきて折半しましょうというような、それは絶対に嫌なわけ。もし台湾が中国の一部になったら、それこそ開放するのと同じですよ。太平洋に直に行けるということになりますから。だから、台湾は地政学上、絶対に渡しちゃいけないというか、中国の一部になってはいけませんよというところです。それは日本にとっても同じことですよ」
反町キャスター
「朱さん、中国はアメリカの戦略的曖昧さ。これはこれでしょうがないと思って受け入れているのですか?それとも折に触れてアメリカに対してもっとはっきりしろよとずっと言い続けているものなのですか?」
朱教授
「正直言って、私は、長い歴史の中で、力のバランスと、ギリギリで互いに妥協できるというところを求めてきたと思うんですね、1980年代まで、あるいは1990年代、アメリカ空母が台湾の近くまでくるというような時は、中国はどうしようもなかったわけですね。そういう時に一つの中国ということを認め、事実上アメリカが統治、これが台湾のことについて、軍事的に完全にコントロール下に置けたわけで、たとえば、軍事同盟的なものもやろうとすればできたわけですけれども、現在の中国がここまで伸びてきて軍事力を含めて、特に台湾に対して。そうすると、もちろん、中国が軍事的手段を使うことによって、よりマイナスが極めて大きいこと。何よりも同じ中国人。現実的にそういうところで、大戦争をやって、これは得というものがなにもない。じゃあ中国大陸が、台湾というところを失っていいのかと。第二次大戦後、これは中国の一部として返還をされ、国際社会でいろんな形ではあるのですけれども、台湾は中国の一部ということは認められていると。現在の中国の政権にとって台湾を完全に失ってしまったら、独立されてしまったら、現在の政権、持たないですよ。そういう時に、まさにいざという時に、そのために、仮にアメリカが軍事介入をしてきても、我々は対抗できるように、それがミサイルや現在の空母など、そういうところはやっていると思いますので」
反町キャスター
「でも、ところが、1996年の台湾海峡危機の時に、インディペンデンスやら、空母が通った時に収まってしまった中国と、現在、20年経って違ってきているのだとすれば、戦略的な曖昧さというのを中国側からしてみたら、はっきりさせた方がいいのではないかと、この判断にはならない?中国にとっても、まだ曖昧な方が現在でもいいのですか?」
朱教授
「現実的に言えば、私は、アメリカがこれ以上、プッシュして、そういうところを、変化というところは、たぶんまだないと。ただ、それで蔡英文さんが当選して、就任して1年。一つの中国を否定はしていないけれども、1992年コンセンサスも認めていない。中国もいろいろこれまでの台湾とここまで経済、いろんなことを一緒にやってきた。その前提がこのようなコンセンサスがあると。馬英九政権の時に。そこをプッシュしているわけですね。そういう意味で、トランプさんが台湾のことを、一つの中国というところをカードのように使うということは、言い換えれば、これがアメリカにとってカードになり得るし、捨石にもなり得るんです。捨石というのは、少なくとも現時点で言えば、蔡英文さんに対して、中国は別の面でアメリカといろいろ協力をするにしても、蔡英文さんに対して1992年のコンセンサスということを認めさせるように、アメリカに対して。そういうようなことを含めて、いろいろ駆け引きがあると思います」
古森氏
「蔡英文さんの考え方としては、1992年のコンセンスなどというものはないのだという解釈があるわけですよ。その文書があって、一つの中国を認めるとか、何とか言うのだけれども、また、何とかという付属の文書があって、そこだけを解釈をすれば、別にそれはコンセンサスがあったわけではないという、それが1つ。それから、もう1つ、朱さんが言われることでかなり重要な部分が欠けているのは、現状維持でいいのだという、でも、現状維持がいつまでも続いた場合には、そうはいかないよというのは台湾に対する見解として中国側にあるわけですよ。中国側の台湾政策には2つ大きなのがあって、2000年頃の、江沢民政権が出したのと、それから、2005年の反国家分裂法と言って、簡単に言うと台湾が中国から分離するような動きがあれば、軍事的な、単なる介入ではないですよ、軍事。最初は軍事的とはっきり言った、2000年は。2005年の反国家分裂法の時は、反平和主義という言い方をしてきたんですよ。だから、軍事要素というものは、この問題、一つの中国には大きいですよ」
反町キャスター
「中台が軍事的な紛争、緊張感が高まった時、台湾にアメリカ軍は駐屯していませんよね?」
古森氏
「まったくいないですよ、それは」
反町キャスター
「では、中国軍が台湾に対して何らかの軍事的な行動を仕かけた時に、それに反撃するアメリカ軍というのは、どこから行く部隊なのですか?」
古森氏
「だから、最初は第七艦隊が、そのへんを、横須賀を事実上の母港として動いているわけだから行きますよね。アメリカだけの希望であれば、それは当然、在日米軍が出てきますよ」
反町キャスター
「沖縄から行くのですか?」
古森氏
「沖縄からも行くし、岩国とか、三沢とか、それから、いろいろいるから。台湾有事というのは起こしてはいけないけれども起こりうる」
反町キャスター
「台湾有事の際には、在日米軍が台湾の応援のために駆けつける。こういうことになるのですか?」
古森氏
「いや、それは決めていない。だから、それは日本側の対応がわからないからですよ」
反町キャスター
「それは、安全保障上の建つけで、在日米軍が日本の防衛以外の目的に出る時には、日本政府と協議する話になっていますよね?」
古森氏
「はい。だから、その時に日本政府はNOと言うことができるわけですよ、理論的には。だけど、アメリカは、絶対にYESと言うとは思っていない。だから、国防総省は、我々も随分話を聞いたけれども、台湾有事の時に2つシナリオがあって、ジャパンインという、中のイン。ジャパンアウト。だから、日本が一緒にやってくれると」
反町キャスター
「一緒にやるというのは、つまり、在日米軍の出動を認めること。別に自衛隊が行くことではないわけですね?」
古森氏
「そこまで行かなくていいと。全部使わせてくれるということと、使わせないと両方あって、これまで両方のことを考えなければいけない。だから、日本は困るというのがあったのだけれども、安保法制でいくらか良くなったのではないかというのが、アメリカの見方」
金氏
「実は私、横須賀に駐留している第七艦隊の母艦にいるルテネンという中尉の女性に聞いたことがありますよ。実は私達はたまたま台湾海峡ではなくて、遼寧が走った、東海岸のところ。私達はたまたまそこを通ったんですよと言われたことがありますよ」
古森氏
「こちらから出てきたわけではないということね」
金氏
「わざわざ行ったわけではなくて、洒落ているの、言い方が。たまたまそこを通りましたという、総統選挙をやっている時に。そういう言い方をするんですよ」
古森氏
「それは日本に対してかなり高度な政治判断をしてくれて言っているのでは」
朱教授
「現時点でアメリカが日本から出動していくということは、中国は出動する米軍の基地を攻撃するのは当然、意味する。日本はそれを含めて判断する。そういう意味では、結果的にどちら側も戦争をしてはいけないということ。ですから、一つの中国という微妙な均衡を守らざるを得ないということです」
松村キャスター
「台湾の人々の本音は、現状維持なのでしょうか?」
金氏
「だから、現状を壊してしまったら、戦争が起こるかもしれない。だから、多くの人は現状維持、このままでいいと。ある種の曖昧性を残したままでいいけれど。既に台湾は立派な独立した国なんだという。そういう理解が台湾人自身にあるんですよね」
松村キャスター
「蔡英文総統の発言の変化は?トーンダウンでは」
金氏
「変化とは思わないです。それは台湾が1つの国であるということを前提として話をしているわけだから、圧力に屈服することはないということは、要するに、国であるということを認めないということが屈服するという意味ですから。しかも、対立の古い道には戻りませんと言っているわけですよ。非常に聡明な方ですよ」
反町キャスター
「台湾が現状維持するためには、パワーバランスみたいなものを考えるかどうかという、ここを考えると、対中国でもっと強く出るべきだという議論はあるのですか?」
金氏
「中国に対してパワーという言葉は使えないですね。台湾というのは小さい国でから、パワーで相対するというのはあり得ないわけですから、軍事力にしても」
反町キャスター
「今後の日台関係、どういうことを機軸に考えていくべきかと」
古森氏
「もちろん、日本の国益、日本国民にとっての利益というのが大きな基準になるわけですけれども、この2つの次元で、台湾というのは特別なプラスの意味を持った存在であると、日本にとっては。だから、一つの中国ということに挑戦してきたと、アメリカの大統領になる人間が挑戦してきたと、これを機会にして、一つの中国も硬直したもの、原則ではなくて、そこには流動性があるのだということを、日本にとって有利な形で利用するような動きがあってもいい。たとえば、台湾関係法に匹敵するような、日本で軍事力はないけれども、台湾海峡の平和と安定は日本の安全保障にとっても非常に重要ですと。武力行使はやめてくださいということを法律であらわすのも1つ。もっと大きいことは、台湾の人ほど日本にとって、善意、好意、友好というものを自然に示して持ってくれる人達はいないということが、私の台湾での体験です」
反町キャスター
「日台関係に期待することは何ですか?」
金氏
「日本がちゃんとすることですよ。日本がちゃんとしていないんですよ。だらしない。でも今の総理大臣は大丈夫です」
朱教授
「日本自身の国益でいろいろと判断されるということですね。台湾はかつて日本が中国への侵略の延長で割譲して獲った、その後、中国に還した。その歴史を忘れないでほしいですね。現在の日本の中で一部、台湾と中国の合意は文化・経済に限るというころから少しずつ突破しようとする。日本は結局、大陸と台湾を、どちらを選ぶかということになると、大半の日本人もわかっていますので、できれば二者択一のところにいかないで、この地域で互いに最大公約数で共存できるようにと、そこが1番大事ではないかと」
金氏
「二者択一をいつも迫っているのは中国ではないですか。国際社会というのはいろいろな国があって、いろいろな国と外交があって当たり前の話でしょう。なぜそこで二者択一しなければいけないの」
朱教授
「もともと中国の一部ですから」

評論家 金美齢氏の提言 『一つの台湾 一つの中国』
金氏
「中国が1つであることは間違いありません。だけど、台湾が今そこに国として存在していることも確かな話です」

朱建榮 東洋学園大学教授の提言 『微妙な均衡 崩すリスク』
朱教授
「ある意味で一つの中国というのは、中国を含めて、国際社会、台湾の民衆もある程度、黙認する、1つの暗黙の了解が最大の公約数であって、それによって東アジアの平和が保たれてきた。その部分を壊すとどちら側も得することはない。そういう意味で、微妙な均衡を崩すというリスクを十分に考えること。トランプさんも昨日の記者会見でそれを言わなくなったというのは、学習してわかってきていると思います」

古森義久 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の提言 『日本も新鮮な発想を』
古森氏
「これはトランプさんという、いろいろ問題もあるけど、新鮮な人間が出てきて、新鮮なことを中国政策に対して言った。これを機会に日本もこれまでの一つの中国という、台湾が事実上の国であっても国としての扱いを一切してはいけないということで、たとえば、閣僚が行ってはいけないとか、総統と直接接触してはいけないとか、そういう硬直した枠を少し変えるぐらいのつもりで、日本にとって何が1番いいのかということで中国を牽制するとか、抑えるとか、武力は使わないでくれとか、いろいろなメッセージを日本が出す場合もあるわけですから、そういう時にこれまでの枠を超えて、新しい発想を政策に移していくべきだと思います」