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2017年1月11日(水)
櫻井よしこ×三浦瑠麗 『少女像』&トランプ

ゲスト

櫻井よしこ
ジャーナリスト
三浦瑠麗
国際政治学者

『少女像』と日韓の行方
秋元キャスター
「トランプ政権誕生による世界情勢の変化について聞く前に、まず韓国釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦問題を象徴する少女像を巡って揺らいでいます日韓関係について聞いていきたいと思います。まず昨年の12月28日に韓国の市民団体が釜山の日本に総領事館前に新たな少女像を設置したのですけれど、道路を管理する地元の自治体は撤去をしました。しかし、抗議が殺到したことから、自治体は一転、容認します。30日に、日本総領事館前に再び少女像が設置されました。対抗措置として日本政府は1月6日に駐韓大使と釜山の総領事を一時帰国させることや、日韓通貨スワップを巡る協議中断などを発表しました。この日本の対抗措置に関連して、大統領代行を務めています黄教安首相は昨日、状況悪化を招く言動は自制することが望ましいと、日韓双方に自制を求めています。まず櫻井さん、駐韓大使と釜山総領事を一時帰国させるなど日本政府の対抗措置については、どう考えていますか?」
櫻井氏
「その中身をよく見てみますと、非常によく考えたやり方ですよね。確かに大使と総領事を帰国させましたけれども、これは一時的な帰国ということですよね。それから、スワップ協議も中断、中休みをしますよということで、やめたということではないですよね。ですから、いつでも戻せる状況にしているということは、日本側もきちんと考えたと思いますね」
三浦氏
「日本は現在のところ冷静に対応をしていますけれども、私が今後、気をつける点として1つ挙げるとすると、韓国の中でそもそも現在、慰安婦問題の優先度は高くないけれども、でも、その総意としては、日本に対して慰安婦問題では絶対に譲りたくないという気持ちはある。ただ、物事の優先度は低いと。その優先度の低い問題を、日本が何らかの形で働きかけをすることによって、韓国でもトップイシューにもってくると問題はさらに悪化をしてしまうと。だから、仲良くしたいのだけれども、慰安婦問題については日本と永遠に折り合えないぞと思っている市民とか、もしくは政治家というものをある種、追いやってはいけないということですね。ですから、その期待値を非常に低く持つ必要があると思いますし、期待値というのは、市民団体というのはこれからもずっとこういうことをするぞと。時に朴槿恵さんは弾劾までされているという非常に死に体政権なわけで、あの朴槿恵さんが慰安婦合意を結べたことも私には驚きですが、そのあと、たとえば、もっと早くこういう事態が起きていたとしても弾劾を受ける前でさえ防げなかったかもしれないということをわかっておく必要があると。わかっておくというのは、それがいいねとすることではなくて、予測しておくと。だから、時代を遡ると、日本というのは昔、李氏朝鮮に対してくずおれるような無力感を感じていたわけですよ。改革派を推していたけれども、改革派は、その朝鮮の中では城を築けないという中で、日本は間違った道を行ったわけですね。と言うのは、統治できない相手を統治したわけですよ。結果的に朝鮮はある程度、統治はできましたけれども、最終的に戦争に負けたと。これは日本が折り合えない相手がいた時に、それを屈服させることはできないのだなということがわかる。歴史問題を、歴史の1ページに戻して、我々は先に進むと。そこらへんは若手、中堅、もしくは普通の市民は、合意できる点だと思うんですよ。特に経済人は日本との関係が大事だと思っていますから、経済人が最も日本に対して利益を持っている存在なので、そこは重視をしていくべきだと。進歩派を、つまり、進歩派というのは左派のことですけれど、進歩派を見誤らないことが必要で、進歩派というのは左派に見えるんですよ、日本から見ると。ただ、誰に対して戦っているのかと言うと圧倒的な不平等とか、朴さんが批判された汚職の問題であるとかという、そこを現在、ターゲットに話しているのだと、向こうに行って話をするとわかってくるんですね。こちらは反日だろう、もしくは親北朝鮮だろうと思って話をすると、確かにそういったものもおっしゃるのだけれども、彼らの、1番の情熱のありかというのは国内の経済問題だと、もしくは不平等問題だと考えていくのが正しい道かなと思いますね」
櫻井氏
「三浦さんがおっしゃったことは面白い問題を提起していると思うんですよ。李氏朝鮮の歴史まで遡って考えると、朝鮮半島の日本にとっての意味は何ですかということを私たちは問わなければいけないですよ。日本国の安全保障であり、日本国全体が、国際情勢の中で生き延びることができるかどうかということです。なぜ日本が朝鮮半島に行ったかと言ったら、この朝鮮半島がロシアなどによって席巻されるのではないかと。日本国の存立危機ということで、私達の国は行ったわけですね。だから、間違ったとおっしゃったけれども、歴史を見て、あの時、間違ったとしたら、他に何ができたのかということも、私達は考えなくてはいけないと思うんですね。その意味では、一昨年か、日韓合意を振り返って見るとそれまでは国際社会の中では、日本が悪者だったんですよ」
反町キャスター
「そうそう、そこを聞きたいですよ。国際世論は変わりましたよね?」
櫻井氏
「国際世論は、13歳、14歳の女の子まで連れて行って、慰安婦にして酷いことをしたではないかと。だから、その国連のクマラスワミ報告だって、マクドゥーダル報告だって、凄まじい嘘を書いています。でも、それが国際社会の真実になって広がってしまったわけでしょう。その中で、日本が本当に悪い国だと言われて、同盟国のアメリカでさえもそういう目で見ていたわけでしょう。でも、この合意で変わりましたね。非常に変わって、ボールはまさに韓国側に投げられた。だから、韓国が今度、投げ返してくる番ですよと。投げ返すということは慰安婦の像の撤去も含め、2度と繰り返さないことですということで決めたわけですよね。だから、朝鮮半島問題だけではなく、私達、あとでその話になると思いますけれども、世界秩序が大きく変わる中で、2国間の問題を、国際社会がすごく複雑になってきた、この方程式の中で捉え直さないといけないわけで、朝鮮半島問題こそ日本にとってはいつの時代も、日清戦争も、日露戦争も、朝鮮半島ですから、肝は。それは、日本にとっての国際政治の、まさに中心軸ですよ。その意味で、私は韓国の左派の人達が相手で、本当にその通りですよね、韓国の左派だけが相手であるはずないですね。それから、その後ろにいる、北朝鮮、中国、ロシア、アメリカ、ヨーロッパ。いろいろな国のことを考えなければいけない中で、私は日本がやったことは戦略的に考えて良かったことだと」

『慰安婦問題』と日韓の行方
反町キャスター
「櫻井さん、中国の動きが気になります。日韓が、釜山の慰安婦像を巡ってぎくしゃくしている時に、中国の報道局長は『日本はなぜ慰安婦問題が終わらないのかを深刻に反省する必要がある』と。この姿勢を我々どう見たらいいですか?」
櫻井氏
「中国の姿勢はそっくり言葉をお返ししますというようなものです。中国と韓国というのは、歴史問題、慰安婦を含めての歴史問題についてはまったく連携していると思っていいと思うんですね。三菱マテリアルという会社がありますね。あそこが中国で訴訟を起こされたことで、中国本土での訴訟を回避するために妥協をして、和解をして、80億円の基金。それから、記念碑を建てて謝ると。これからもずっと皆さん方を日本にお招きして、慰霊の旅か、日本をお見せする。本当に向こう側から模範的な解答だと言われたぐらいの、こちらから見ると妥協をしてしまったんですね。その中国がなぜ勝ち得たかというのは、中国側の弁護士が言っているのは、我々は韓国の例に学んだと言うんですよ。韓国の例というのは、いくら日本で裁判を起こしても勝てないと。だから、韓国本土で起こして、有罪でドンドンやっちゃうと日本企業は困る。それで中国本土で、北京で裁判を起こしたんですね。だから、中国のこの弁護団の人達が言っているのは、三菱マテリアルの件は、朝鮮半島にも適用して広げていくのだと。その全ての分野の企業に広げていくのだと。これが七十何社への訴訟と関連していると思うのですけれど。最終的に日本国政府の謝罪と賠償を勝ちとるのだというようなことを言っているわけですね。だから、中国と韓国、北朝鮮というのは、対日歴史問題については常に連携をしていると見ていいわけで、だから、中国がこのようなことを言うのは当たり前の話ですよね」
三浦氏
「中国という国は、韓国を自分達が取り込む必要があると思っている国ですね。それはおそらく成功するんですよ。成功をするというのは地政学上そういうことになっているんです。ただ、それを我々はなるべく食い止めなければいけないという運命にあるわけです。そうした時に1番やってはいけないのは、韓国を中国の方に追いやることだということはプライムニュースでもこれまで申し上げてきましたけれど。先ほどからのお話を伺いながら考えていた時、世代交代が必要だなと」
反町キャスター
「どこの?」
三浦氏
「つまり、韓国と日本の間でこれまでの感覚で言えば、安倍さんがプレッシャーをかける。そうした時に、韓国というのは嫌がりながらも、言うことを聞いてきた部分もあるんですよ。それはなぜかと言うと、韓国の経済セクターというものが、政府に対して、それなりに圧力をかけられるぐらいに、日本に対して利益を持っているからでもあるし、スワップもそうですけれども、日本のお世話になっている部分があるからですよ。でも、これからはその綱をどれだけがんばって引いても、最終的には日本の保守は保守で、それなりに居丈高ですから。1965年の基本条約の時には外交官のものの言い方というのが」
櫻井氏
「あの頃ね」
反町キャスター
「日韓交渉の、ね」
三浦氏
「と言うのが、韓国のプライドというものを傷つけるところがあったというのは、韓国側から見てそうですね。そうした時に、韓国は確かにルールを破るんです。確かに、ズルイのですが、日本というのは、韓国から見て強い国であるが故により頭を垂れてくる部分と、裏で脅すという部分を使いこなしてきたわけです。裏で脅しながら、理解をするという、その保守派のロジックでは韓国の交渉相手がもたなくなってきているというのが、私が、1番申し上げたいことで」
反町キャスター
「要するに、日本の保守派のカウンターパートを務めてきた韓国の中の、ある意味、意が通じる保守勢力かもしれない。そういう人達に政権を担当する力がなくなってきている?」
三浦氏
「なくなってきているというのが歴史的な流れとしてあるんです。つまり、韓国というのが民主化をしましたと。だけど、民主化したけれども、経済セクターの中での民主化が行われていない。自由化を進め、その時に自分達の通貨が危うくなったので、IMF(国際通貨基金)の介入があったあとすぐに財閥が拡大してしまったと。要は、自分達の国の中で本来、日本が敗戦後にできたことが、できていないですね。あらゆる法律、税制は日本を真似している部分があるのに、日本の方が平等な国だと。なぜかと言うと、朝鮮戦争が終わったあとにもずっと朝鮮戦争に備えながらきたからです。だから、政府が兵士を搾取すると。政府が国民を搾取するという構造であるとか、財閥主導の経済であるという構造が変わらないままにきているので、我々の日韓関係とは違うロジックで進歩派が台頭しているんですよ。日韓関係とは違うロジックで進歩派が台頭しているのだということをわからないと、進歩派というものは、この人達はある種、外交音痴だと思えばいい。外交がわかっていない。のこのこと中国の方にすり寄ってしまう可能性があるわけですよ。なぜなら外交の厳しさがわかっていないから。でも、内政重視の政治家にですよ、外交こちらがわかっているからと言って、いきなり居丈高になったり、もしくは変に妥協してみたりすると、まずいことが起きるわけです。だから、交渉相手にするやり方というのを変えていかないといけないというのが…」
反町キャスター
「三浦さん、たとえば、今度の大統領選挙で左派政権が誕生する可能性があるという前提に立った場合に、左派政権に対して、日本がとるべき姿勢というのは、対立とか、批判とか、圧力ではなくて、彼らが、要するに、内政における改革を進めることを日本側が積極的に協力をして、日本は実はいい国だ、彼らのマインドチェンジをこちら側から働きかける、そんな意味ですか?」
三浦氏
「ある程度、仲が悪いことを前提としながら、ある種、英語で会話をする。要は、日本語を喋られる韓国人としゃべるのではなくて、英語で会話をすることによってある種、アメリカ人同士みたいな会話になると、ビジネスライクにいけるということです。私が韓国に年末…」
反町キャスター
「彼らはそれで歴史的なものを捨て去って英語の会話で普通にビジネスライクに会話ができる?」
三浦氏
「私の世代はそうですよ。つまり、30代、40代の世代というのは、そういう組になってきて、その人達が省庁の中でも、ビジネス界の中でも、影響力を持ってきているんですね。そうすると、私は年末、韓国に行ったんですよ。たまたま若手の交流があって、そうした時に向こうで偉い外交官の、親日の叔父様が出てきたと。その方のなかにも、反と言いますか、日本に対しての恨みの感情であるとか、もしくはちょっと消え去らない傷みたいなのがあるわけですよ。でも、若手の中にはないわけです。つまり、日本に対して決して妥協的ではないし、中国と日本を天秤にかけるような人達だけど、そこはビジネスライクにいける。だから、ある種、関係を仕切り直さないといけないのではないかというのが、私が常々、日韓関係について思ってきたことで、たぶん進歩派の政権になった時に、日本は間違えるんですよ、押すボタンを。間違えたボタンを押したときの効果というのが明らかに、予言の自己実現ができて、あの人達が親北だとか。あの人達が親中とか。反韓、反日だという予言が自己実現しちゃうわけです、より。だから、自己実現をさせないために、歴史問題はお上的と言うのですか、これは終わっているからと。それは向こうに努力義務があるから、言うけれども、努力義務だからがんばってねと。しょうがないなという態度に出ることによって付いてくるものは付いてくると」
反町キャスター
「櫻井さん、いかがですか?そこまで寛容に韓国左派政権が誕生した時に変化を待てるものですかねと思いながら聞いているのですけれども」
櫻井氏
「左派政権ができた時に、実際に起きることは、日本にとっては厳しいことだと私は思うんですね。行ってみればお感じになると思いますけれども、その時に、どうするかということ。彼女が言ったことですごく皆、覚えておかなければいけないのは、朝鮮半島はいつも中国に巻き取られるんですよね。歴史をずっと振り返っても、日本と良い関係を結んだ時期は本当に短いですよ。本当に長い歴史から見ると一瞬ぐらいにしかないですね。常に私達は、韓国が親日ではなくて、むしろ親中、中国を恐れる存在で、私達が少しでも良い関係を築ければ、ラッキーという感じで見ていなければいけない」
反町キャスター
「期待値を下げる?」
櫻井氏
「期待値を下げつつも、韓国に何とか自分達の幸せの道というものを実感してほしいと思う。それは何かと言うと、中国的な価値観ではなく、日本やアメリカのような価値観の中で、皆がちょっとばかり身勝手なことをするかもしれないけれども、自由と言論の自由、それから、民主主義で生きて、問題を抱えながらも、解決をしながら生きていくのが1番いいと思っているんですね。だから、そのような仲間がこちらなのだよと。むしろ海洋国家としての韓国の位置づけ、いわゆる大陸国家ではなくて。そういう意識をもっと育ててほしいと思って、私達の交流の中では、そういったことをいつも言っているのですけれども、そういう働きかけとか、インカレッジメントというものをいつもやりながら、でも、もしかして難しいかもしれないねということは、最悪のことはいつも国家として考えておくべき相手が朝鮮半島だと思いますよ。これからもっと難しくなりますよ」

トランプ『指先介入』
秋元キャスター
「続いて日米を見ていきます。あと9日でトランプ氏が大統領に就任をするわけですけれども、選挙戦ではTwitterによる選挙戦略が注目されました。当選後も、引き続きツイートを繰り返し、世界に波紋を広げているわけですが、まず中国を名指しで、中国は自国通貨を切り下げること、南シナ海のド真ん中に巨大軍事施設を建設することに関して我々に了承を求めただろうかと批判していまして、それから、世界が核兵器に良識を持つまで、アメリカは大幅に核戦力を強化し、拡大しなければならないと、核戦力強化にも触れています。その他にも、ロシアのプーチン大統領について、プーチン大統領がCIA(中央情報局)への報復を見送ったのは素晴らしい対応だ。私は常に彼がとても賢いと知っていたと称賛していたりですとか、最近はトヨタを名指しで、トヨタ自動車はメキシコに新工場をつくり、アメリカ向けのカローラを生産しようとしているがとんでもないことだと批判していまして、このツイートを受けて、トヨタの株価は一時、3%超下落するなどしました。三浦さん、Twitterでこういった発信をしていくトランプさんの手法、どう見ていますか?」
三浦氏
「オバマ大統領もよくTwitterを活用するということで、逆に言うとヒラリーさんに対して8年前に勝った最大の理由は、そういった意味で新しい大統領候補だったからというのがありますよね。ただ、その時には何となくメッセージを時々使うということであって、そのほかは運動の支持者がやるわけですよね、様々につぶやくのは。現在の大統領選及び次期大統領としてのやり方というのは、新たな次元に入っていったと見ることができるんですよね。つまり、Twitterというのはあとで訂正も可能だし、もしくは切り取ったものが永遠とループのように、拡散していくと。それにフェイスブックを加えてという話ですが、このやり方というのは全てのものが見える化をされてしまうわけです。だから、トランプさんよりもお行儀のいい候補がなぜ敗れていったかと言うと、共和党の中で。私のお気に入りだったルビオさんが、ロボットルビオと言われて、散々コケにされて、ダメになったんですよね。ジェフ・ブッシュさんみたいなつまらない人はダメだったんです。そういう意味では、トランプさんというのはお年は召していますけれど、非常に新しい感覚の持ち主として、こういった候補、口先ではなくて、指先介入ですよね、をしていくんですね。これがなぜ効果があるかというと、つまり、我々は情報化時代に生きているので、物事が早く動くことに慣れてしまったわけですね。従って、トヨタについてつぶやいた、その次の日にはトヨタは決断ができていなければいけないわけですよ。という、これまでみたいに書類ができるのを待っているというのでは、とても無理になってきて。これは典型的には、経営者があまりにも巨大な企業、巨大な工場群を統率する時には、ある工場に行って、ひとりの工員を見せしめにすると。この人は衛生物を扱うような仕事をしているはずなのにこんなに前髪が出てだらしないと。そこで吊るし上げをしたら、次の日には全ての工場で、工場長が同じようなことをちゃんとがんばってやるわけですよね。といった、この効果というのが、オバマさんがやってこられなかった新たな次元の見せしめを含めた、介入ですよね。だから、とてもこの時代というのはメディアにとっては生きにくい。なぜなら後追いしかできないからですよ。つまり、ニュースがあるのに後追いしないなんてないですよね。後追いは当然するのだけれども、自分達がその間に新しい切り口を見つけられるかと言うと、トランプさんの周りを囲む参謀達というものが予め計算してやっているわけだから、それ以上の切り口が、情報をより少なくしか持っていないメディアにできるわけがないですよ」
櫻井氏
「本当に私達は新しい地平に立たされているんですよね。この世界最強の国の、最強のリーダーがですよ、ツイートで、いろんなメッセージを出していて、それによってトヨタだって1兆円以上投資する。それから、フィアットだって、フォードだって、ドンドン経営戦略を変えさせられて巨額のお金が動くわけですね。それはもちろん、国際関係にも及ぶわけでね。本当にここにスタッフの中で綿密に、戦略的に考えて、このツイートをしているのかどうかというのはわかりません。私にはわかりませんけれども、これまで出したものを見ると、彼は既に自分自身で問題を抱えてしまっているわけです。たとえば、台湾問題ね。蔡英文さんと電話で話をしたところまではいいですけれども、そのあと1つの中国を何で認めなければいけないのと言いました。台湾問題についての態度と、こんなことを言ってしまったがために、アメリカはこれまでより以上に台湾にコミットをしないと、これは台湾を見捨てることになりますね」
反町キャスター
「大統領の言葉が軽くなるだけですからね。言っておいてやらないのだと」
櫻井氏
「そうですね。言っておいて、やらないと言葉が軽くなるだけではなくて、中国は実際に行動をとりますよ。だって、もう空母を出してグルグル台湾を回るようなことをしたわけですからね。だから、私はアメリカの軍事戦略、安全保障戦略、その他のことも、ツイートのおかげで、その影響を受けている。もちろん、私たちの側も影響を受けていると、トヨタみたいにね。だけれども、アメリカもトランプ政権も既に影響を受けているということですね。だから、これは本当にいったいこの方が明日、記者会見ですよね、初めての記者会見で、何を言うのかというのが非常に重要ですね」

『トランプvs中国』
秋元キャスター
「ここからはトランプ政権の誕生で米中関係がどう変わっていくかを聞いていきますけれど、米中関係について昨年12月から新たな動きがありまして、先ほど、櫻井さんからも話がありましたけれども、12月2日にトランプ氏が台湾のプレジデント、総統が今日、大統領選勝利を祝うために、私に電話をかけてきた、ありがとうとTwitterでつぶやきました。11日にはアメリカのFOXのニュース番組で、私は完全に1つの中国政策を理解しているが、貿易などを巡る合意がない限り、どうしてそれに縛られなければならないのかわからないと発言しています。これまでアメリカがとってきた1つの中国政策に疑問を呈しているわけですけれど、そうすると、その後、中国の軍艦が南シナ海でアメリカの無人潜水機を奪うという事件がありました。一昨日、中国共産党系の環球時報が、トランプ氏が大統領就任後に1つの中国の原則に従わない場合、中国国民は必ず政府に報復を求めるだろう、交渉の余地はないと記事を掲載しています。今日台湾の国防部が先月、初めて太平洋に進出した中国の空母遼寧が台湾海峡を北上していると発表しました。年末からの一連の動きで台湾を1周したことになるわけですけれど、三浦さん、どのように見ていますか?」
三浦氏
「中国に関しては、選挙戦の、要は、有権者に訴えかける時に、トランプさんが言ったのはただ1つ。ダンピング批判ですよね。ダンピング批判以外の批判を使わなかったということはどういうことを意味するか。ひょっとすると、中国を敵視していた可能性はあるのだけれども、それが票になるとは思わなかったということですよね。中国を敵視しているか、していないかはわからないです。だけれども、明らかに中国に対する批判を使って当選をしたわけではない。むしろ共和党の中に存在する根強いロシア恐怖症であるとか、もしくは中国と、普通に考えたら対立していくよねと。それが基本的なゲームだよねと考えているルビオさんの言っていることを全部否定して、自分が考えるにはIS(イスラム国)のようなイスラム過激派が1番の脅威であり、他の人達はライバルに過ぎない。特に中国に関しては経済的なライバルに過ぎないと言っているんですよね。なぜそんなことをしたのかということですよ。それは、要は、アメリカ国民というのはもはや中国人というのを恐れの対象とは思っていないと。たとえば、異質だなとか、経済的にも、軍事的にも強くなってきて嫌だなと思っている部分があるのかもしれないけれども…」
反町キャスター
「国民はね。国家レベルの意識は別ですよね?」
三浦氏
「そうです。トランプさんというのは、自分がやるべきことというのが歴史を変えることだと思っているので、その歴史を変えることというのに対して、中国と衝突することがいい、それが1番の、自分が達成すべき果実だと思えばやるかもしれませんけれど、思わなければやらないわけですよね。だから、中国恐怖症という形での大統領にはなり得ない。自分は、恐怖症というのはロジカルな問題ではなくて、要は、もともとから根強く持っているものなので、それはないと。ロシアに対してもないということですよ。トランプさんは1番に何にパッションを持っているかなと考えた時には、明らかに経済、貿易摩擦であると。そこに、たとえば、トランプさんが使えるなと思ったら、人権問題であるとか、軍事、安全保障の問題を持ってくる。特に台湾が、中国の1番嫌がる問題だなとわかっているもので、利用をしているというのが現在のところだと思いますね」
反町キャスター
「とすると、1つの中国に縛られるのかどうかなんて言っていることも、これは別に台湾の問題とかを、中国の、いわゆる核心的利益に触れてみようと、そういう政治的な意図はまったくなくて、嫌がることを言ってみせて、経済的なディールにおける材料にしようと、そういう意味ですか?」
三浦氏
「国内で票を多少、そこに関するロビー票を稼ぐというのはありますよ。だけど、それ以外の観点に関してはおっしゃる通りで、まさにこういったところを通じてこれまでのディールがそのまま成立するとは思うなよと。要は、中国と台湾というのは違う統治で、それこそ李登輝さんが永遠に中国が台湾を併合できないような形で台湾を民主化し、自由化をしたわけですよね。そういった台湾をそのまま武力で併合することはできないので、時間が経てば経つほど、中共が変わらない限りは併合なんてできないのだということを、ある種、嫌味のように言っていくと。これは普通のアメリカ人だったら、わかりますよね。ああ、これ嫌味だなと。そこをトランプさんは最大限に利用していると私は思っているし、中国はある種、トランプ政権というものを理解できていない。つまり、既存の、自分達のゲームのルールを使って、台湾をグルッと1周してみたりしますけれど、正直こんな戦略手法は中国人にはできないですよ。なぜならば全てが経営論の国なので。経営論に則っていないとすると、どうしたらいいのだという話ですよね。だから、これからかなり中国は酷い経験をしていくのではないかなと、トランプ政権に対して」
櫻井氏
「いろいろな可能性を私達は考えておかなければいけませんよね。米中関係を考える時に現在、私達はトランプ氏の考えを中心に話していますけれど、もう一方の習近平さんのことも考えないといけないですね。なぜ彼が南シナ海でアメリカの船が見ていて、アメリカの人々が獲るなと言っている時に無人潜水機を獲っていったのか。こんなことはあり得ない、普通は。日本とアメリカがハワイである意味、和解を演出している時に空母を出して、ハワイに行くのかなと思ったら、曲がって南シナ海へ入るということをやっているということは台湾について触れられるということが我慢できないということですね。ここでこういう強硬策をとれば決して得なことがないのにもかかわらずとってしまった。とるだけの習近平さんのザワザワ感というものがあったのではないかと思うんです。習近平さんは2015年から軍の大改革をやりましたよね。この軍の大改革があまりにも大規模な改革なのでどうなることかと見ていたら、それに向かって進んでいて、これは中長期的に見れば、中国の人民解放軍をもう少しまともな軍にするとか、統合力を高めるとか、中国の力を強める方向にいくはずです。その中で彼は自分自身を核心と位置づけたでしょう、毛沢東と同じように。自分に権力が集中するように。そのような考え方の習近平主席がある意味、融通無碍で、実利に聡くて、変幻自在に、朝言ったことを夕方にツイートで変えるといったような芸当のできるトランプ氏とどう付き合えるのかということも、米中関係のもう一方の側から考えてみる必要があると思いますね」

トランプ時代の世界地図
秋元キャスター
「アメリカが世界の警察官でなくなる世界というのはどういう世界ですか?」
櫻井氏
「新しい世界ですね、本当に。秩序というのか、枠組みを守る責任、それがアメリカだと言っていましたけれども、それがなくなりつつあるんですよね。だから、方程式が成り立たなくなっているので、そういったことを偏見なしに見つめ、事実を見つめてどうやって対処すればいいのかということを考えなければいけないわけで、日本は、五箇条の御誓文、広く会議を起こし万機公論に決すべしというところから始まった、極めて民主的、公正な、公平な価値観に基づく統治をやりなさいと言っているんです。日本人であることを大事にしなさいということを、最後の結論で、しかし、国際的になりなさいと。これは21世紀のモデル的な価値観になり得ると思う。アメリカみたいに介入はしないけれども、きちんとフォローアップしますよと。中国みたいに、ロシアみたいに、何だかわからないプロセスで一握りの人達が決めることはありませんよと。日本は良い政治をコンセプトとしてはやってきたと、もちろん、現実の政治の中ではいろいろな問題がありますから、100点満点ではないかもしれないけれども、日本ほど民主主義的に1人1人が自由に暮らせる国は珍しいです。だから、その意味で、トランプさんにも、たとえば、TPPをやめるとか、アメリカ第1と言いますけれど、たとえば、日本とアメリカの貿易は23兆円です。日本がアメリカに毎年投資しているお金は50兆円ですよ、大きいです。それから、TPPをやめた場合は、牛肉をもっと買えとか言いますけれども、(TPPを)やめたら牛肉の関税は4割近くですから、そのままかけられていくわけですよ、相互に。でも、日本はオーストラリアとFTA(自由貿易協定)を結んでいますから、すぐに2割ぐらいに下がる。日本の消費者がどちらを買うかとなると、アメリカのためにもならないですよと。数字を持って彼を説得して、アメリカを広い心で、アメリカファーストではなくて、皆ファーストにならないとダメですよというようなことを日本の安倍さん、政治家がやっていくべきだと思いますね」
三浦氏
「我々はトランプさんの貿易に対する態度を保護主義的なものとして警戒をしています。2国間でガチガチやる観点からすると、アメリカの国益を前に押し出してくることは確かだし、それを考えると、たとえば、ナフタのようにこれまで自分達より国力が劣るからある種、アメリカが譲ってきた部分も含めて、制度をつくっていこうよという枠組みも再交渉するということですね。これは確かに自己利益に基づくのだけれども、日本がどうだったかということですよね。つまり、トランプの政策で非難されることは、日本が既にやっていることですよ。こういった日本が既に保護主義的な部分があったし、自国の産業というものを保護してきたし、アメリカが市場を開いてくれなかったら我々は復興できなかったですよね。そういったこれまでのアメリカに対するある種の恩義と言うのがあるわけですね。では、日本が普遍的な価値、自由であったりとか、民主主義であったりとかだと思うのですけれども、それを押し出していく時に誰を相手にするのかと。私は東南アジアだと思うんですよ。それから、韓国であると。自分達が見る先というものが明らかにアメリカだった時代があるわけですね。アメリカに似せてきたと、アメリカと競争してきたと。これからはおそらく日本というのは、自分達が与えていく、ギバーになっていかなければいけないですよ。それができるのかどうかということは、私はこの国に関してかなり悲観しているところであって、なぜかと言うと、孤立主義的なところがあるんですね、日本は。だから、孤立主義的なところというのは、グローバリゼーションに対して嫌だという部分とか、原爆を落としたアメリカに対する何らかのナショナリズムとか、様々なものがあるんですよ。孤立主義的なところに振れてしまったら、日本の国際貢献もあり得ないので、それを避けるということですかね」

国際政治学者 三浦瑠麗氏の提言 『優先順位を洗いなおす』
三浦氏
「日本は優先順位を洗いなおす、経営論に引きずられないようにすることが必要だと思います」

ジャーナリスト 櫻井よしこ氏の提言 『いつも王道を行く』
櫻井氏
「トランプさんの失言で、経済に引っ張られたり、いろいろな動きがあるでしょうけれども、日本は日本なりのきちんとした外交をやっていくべきだと思います」