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2017年1月5日(木)
日本外交2017の針路は秒読み!トランプ時代

ゲスト

高村正彦
自由民主党副総裁 元外務大臣 衆議院議員
岡本行夫
外交評論家

高村正彦×岡本行夫 日本外交の針路2017
秋元キャスター
「2017年、日本を取り巻く環境がどうなっていくのか。主要なリーダーとの関係性について見ていきたいと思います。まず米中ですけれど、アメリカがトランプ大統領の就任を前に、トランプ氏の経済面や台湾に対する姿勢について、アメリカと中国の間では緊張感が高まっています。一方、米露ですけれど、トランプ氏がプーチン大統領を洗練された人物だと賞賛するなど、オバマ政権とは一転、関係回復の兆しも見られます。中国とロシアですけれど、ロシアのプーチン大統領は昨年末の日露首脳会談に先立って、中国を戦略的パートナーと発言をしています。両国の友好的な関係をあらためて強調しています。こういったパワーバランスの下で2017年の安倍外交スタートするわけですけれど、まずは2017年の世界の大きな潮流をゲストの2人がどのように見ているかということから聞いていきます。2017年、世界にとってどんな年になるのかということから聞きます。2017年、世界にとってどんな年になると見通されるのか。2人に事前にキーワードを聞きました。高村さんは『不確実・不透明』ということですけれども、どういうことでしょうか?」
高村議員
「よくわからないということです。よくわからないからこそ日本の安定政権が価値を増すと。せっかく安定政権なのだから、原則だとか、戦略をコロコロ変えていたら、何の意味もないので、自らの原則とか、あるいは戦略をしっかり持って、不確実・不透明な世界の現実がどうなるかをしっかり見極めて、それに対する対応を原則戦略に基づいてしっかりやっていくと。そういうことだと思います」
秋元キャスター
「続いて岡本さんのキーワードですけれども、『揺り戻し時代の始まり』。これはどういうことでしょう?」
岡本氏
「僕は、世界がこの20年、25年ぐらい、まあまあいい方向へ向かって歩んできたと思うんです。それが元へ戻ってしまうのではないかという意味で、そこに書いてあることは単に今年ということだけではなくて、これから20年、25年ぐらい続く、大時代の始まりにいるのだという、そういう意味です。これまでずっと続いていた、ここ20年、25年ぐらいの歴史がいったんサイクルを閉じてこれから新しい時代。しかし、今度は悪い方向、悪い方向というと言い過ぎですけれども、少なくとも閉塞的な時代がまた長い期間やってくるのではないか、そんなふうに思うんです」
秋元キャスター
「安倍総理は、昨日の年頭会見でこのように話をしています。『2017年は変化の1年となることが予想され、先が見えない時代』『世界地図全体を俯瞰しながら積極的な外交を展開する』と話をしていますけれども、岡本さん、安倍総理の外交の基本姿勢、どのように見ていますか?」
岡本氏
「ここ1年を見れば、そういうことだと思います。さっきから僕が言いたかったのは今、大時代の入口に立っている。これから、20年、25年ぐらいは、中国とロシアの拡張主義が続いていく。だいたい世界というのは4つの国がこれまで動かしてきたわけですね。アメリカと中国とロシアと欧州ですよね。日本にとっては味方というのか、日本の利益と近いのはアメリカと欧州。欧州が現在バラバラになっちゃうかもしれない瀬戸際にある。それから、アメリカがどうも頼りないことになるかもしれない。と言うのは、アメリカのメディアでも一部そういう意見が出てきていますけれども、トランプ大統領というのは、アメリカにとって史上最弱の、最も弱い大統領ではないかという見方もあるんです。それはもともと人物像ということから言えば、彼は泡沫候補だったわけですね。17人の、共和党の候補者の中で。それが非常に巧みなキャンペーン戦術でドンドン勢いを増してきた。では、トランプさん自身が変わってきたのかと。それはどうもあまり…、キャンペーンのレトリックは非常にうまくなっているし、それから、人心を掴むのはうまいけれど、経験がまったくないのはそのまま。それから、今度の閣僚人事を見ていますと、議論する時間があるのかどうかわかりませんが、壊し屋さんばかりを周りに置いてね。壊し屋さんが…」
反町キャスター
「あとでじっくり聞きますけれども、皆さん、壊し屋さんに見えますか?」
岡本氏
「あとで話をしますけれども。それはアメリカの国力は圧倒的ですから。そこにもしアメリカのメディアが言うように、最弱の大統領が最弱の側近達を従えてアメリカを動かすということになれば、これは大変に心配ですね。それから、一方、中国の方は国家目標が非常にはっきりしているんです。目標として置いているのは2030年代ですよ。この時までに西太平洋で完全な軍事覇権を持つということですけど。だから、オーストラリアの国防白書などをずっと見ていますと、彼らは、オーストラリア海軍は2030年に焦点を置いていますよね。この時に太平洋が中国に支配されているのではないかと。では、自分達はこれから海軍の増強計画をどうするのだというふうに。要するに、1980年代に鄧小平が劉華清という有名な海軍提督に命じてつくらせた海軍戦略があるのですが、それは明らかにそういう超長期の目標を、あの時から見据えてつくられた戦略で、現在、中国は着々と実現してきているんですね。南シナ海を掌握しようとしているのもその一環なので。ですから、これまでの中国がやってきたことを見るとこのまま2030年代までに行っちまうんだな。つまり、これから20年、25年先までに行っちまうんだなという心配が僕にはあります」
反町キャスター
「高村さん、いかがですか?総理の年頭会見における外交のポイント。先が見えない時代である。そう言いながら、一方で、積極的な外交を展開するのだという、この話」
高村議員
「先が見えなくとも、地球儀を俯瞰する外交というのは基本的な戦略ですからね、日本の。それは世界の国と首脳外交をやって、信頼を得ていく。とても大切なことだと思いますよ。その前提として日米同盟、外交の基軸として自由だとか、民主主義だとか、基本的人権だとか、力で現状を変更しないとか、そういった原則をしっかり守ってやっていく。トランプさんはアメリカ第一。国益重視。国益も経済重視、こういうことになっていますが、アメリカ自身が自由民主主義、基本的人権、力で現状を変更してはいけないと。そういった理念を持った国であることはまったく変わっていないですよね。だから、トランプ次期大統領がどこに重点を置いてやっていくかということはともかくとして、お互いに同じ価値観を持った国同士が、それも、その国が伝統的友好関係にあって、最も経済的にも、軍事的にも強い国であるということであれば、同盟を基本に置いてやっていくというのは当たり前のことだと、こう思うんですよね。先ほど、岡本さんがおっしゃった(中国は)着々と海軍力を増強して出て行っていると。これまでそのまま、着々とやってきた。その通りだと思うのですが、着々とやってきたのは着々と経済力が伸びてきたから、その裏打ちがあって初めてできたことであって、そこが現在そうではなくなってきているのではないかなと、こう思いますので、これからこれまでのように着々と海軍力を伸ばしていくということはなかなか難しいのではないかなと。私は全て不確定だと言っているのだから、わかりませんけれども、私はわからない人だけれども、そんな感じを持っています」

『米・トランプ時代』と安倍外交
秋元キャスター
「2017年の安倍外交の針路、トランプ次期大統領の誕生によって、アメリカの外交がどのように変わっていくかを見ていきます。まずトランプ次期大統領の外交姿勢、これまでの発言から見ていきます。日本について、選挙中は在日米軍の撤退を示唆していましたけれども、当選後は特別な関係を強化すると。同盟関係強化の意向を示しています。中国については、経済面でWin-Winの関係を実現すると発言しつつも、中国が一方的な貿易で、アメリカから巨額の金と富を奪っていると発言して非難しています。ロシアについては、プーチン大統領との電話会談で両国関係の改善に向けて努力すると合意をした一方で、核戦力の増強を打ちだしました。北朝鮮については、選挙中、金正恩委員長との直接対話を言及しています。一方、北朝鮮がICBM、大陸間弾道ミサイルの発射実験の準備が最終段階に入ったとの声明を出しますと、アメリカ本土に到達することは起こり得ないという見方を示しました。また、オバマ大統領と同様に世界の警察官を辞めるということは繰り返し発言しています。こういった発言から見るトランプ氏の外交センスをどのように見ていますか?」
岡本氏
「まだわからないですよね。ちょっと心配なのは先ほど、周りにいるのは壊し屋だと言いましたけれども…」
反町キャスター
「国務、商務、財務みたい話になっていますけれども」
岡本氏
「たとえば、最低賃金は引き上げに絶対に反対だというレストランチェーンのCEOを、こともあろうに労働長官に据えた。それから、EPA、環境保護局をぶっ潰せと言っている人をEPAの長官にしてみたり、エネルギー省なんか要らんと言っている人をエネルギー長官にしてみたり。とにかくそれを潰すということを最初に掲げて国内をやるのではないか。オバマケアをぶっ潰すというのを厚生長官にしてみたり、ちょっとどうかと思うような。だから、最初のうちは国内でいろんな破壊が進むんでしょう。その間、外交が疎かになってしまうと困るんですね。外交の方を見ると、これは壊し屋じゃなくて、ディールメーカーだと思うんですよ。このティラーソン氏もそうですよね。エクソンの。いろいろなところで次々にディールを成立させてきている。それから、マティスさんは、この人は狂犬なんて日本のプレスに訳されてちょっとかわいそうですけれど。Mad dog。英語のMad dogには狂ったというニュアンスはないですよ。とにかく猪突猛進に突っ込むという、そういう意味ですけれども。それもいい意味で使われるのが多いのですが、しかし、全体的な戦略を考えてやっていく人なのかなと。特に中東は大変に大事な地域です。そこは国務長官よりも国防長官に任される部分が多いと思いますね。そこへ局地戦の指揮、軍隊の統率には、非常に長けているけれども、全体的な、中東をどうやって安定化させるのだという、そういうビジョンがあるのかなとちょっと心配をしますね。それから、フリンさんもそうですね。そういうことを考えていきますと、たとえば、北朝鮮のこと。あれなんかは典型なのですが、ディールだけを結んでしまって、全体的なことを考えないで、金正恩氏がアメリカに対して、我々はもうテポドンの開発はやめますと、そこで握手をされ、代わりにアメリカはこれまで北朝鮮が開発した核兵器、核弾頭については不問に付す、そのまま認めてやるということになれば、日本はこれまで開発してきたノドンなどで完全にカバーされるわけですね。それでアメリカ本土には飛んでこないぞということでディールをされると、今度は日米がそこで分断される格好になってくるんですね。だから、アメリカにとっては利益であっても、同盟国にとってはそうではないという、そういうディールを結ばれると非常に困る。だから、早いうちに、日本はトランプ政権の頭づくりをして、安全保障面では、日本とアメリカの利益というのは、まったく一致をしているのだということを、わかってもらわないといけないですね」
反町キャスター
「高村さんは、トランプ大統領の外交というのをどう想定?不確実だと言われてしまうと、そこまでなのですけれども、どういう方向性、懸念されているのか、それともそんなに大きく外れないだろうとある意味、安心感を持って見ているのか。これからのワシントンはどう見ていますか?」
高村議員
「ですから、岡本さんがおっしゃったようにね、アメリカに届くICBMはダメだけれども、それ以外ならいいよというディールをされたら大変だというのは、その通りですよ。その可能性は少ないと思いますが、少しでもあるのであれば、その懸念をなくすように日本外交としてやらなければいけないと、こう思います。国防長官、安全保障担当の補佐官、両方とも軍人ですよね。軍人というのは同盟の意義はよくわかっているんですよ。同盟というものの意義というは本当によくわかっているんです」
反町キャスター
「ご自身も防衛長官を務めたので…」
高村議員
「私は30年近く前ですが、防衛政務次官の時にアメリカの基地を視察したことがあったのですが、その時、まさに安保タダ乗り論。アメリカの上院議員が…」
反町キャスター
「トランプさんが選挙期間中に言っていた話ですよね?」
高村議員
「アメリカの上院議員がトヨタの車をハンマー打ち壊すとか、あるいは、イージスシステムを売ってやるのはいいけれども、船ごとではないとダメだとか。ワシントンで真面目に議論をしていた頃ですよ。それをきっちりとさせた時に案内をしてくれた大佐ぐらいだったと思いますが、軍人に聞いたんです。ワシントンではタダ乗り論というのをやっているけれど、どう思うのかと。まさに吐き捨てるように言いましたよ、ワシントンのやつらは何もわかっていないと。自分は沖縄にいたことがあるからよくわかるけれども、独立国家、主権国家の中に他国の基地を置くのがどんなに大変なことなのか。あいつらは何もわかっていないと。軍人は意外と健全ですよ、と私は思っているんです」
反町キャスター
「僕らは(表に)意図的に元軍人、元軍人と書いたわけではないのですが、何も心配をしていない?そこは」
高村議員
「こういう元軍人が、こういうポストに就いていることは、私にとっては安心材料の1つです。トランプさんみたいな経験のない頭のいい人というのはスペシャリストを大事にするんです。本当に戦略をわかっているゼネラリストはあまり大事にしないことはあるのだけれど。スペシャリストは意外と大事にする。だから、軍人の意見を聞きますよ、と私は思っているんです。トランプさんはすごく頭のいい人ですから。これしかないという方法で選挙に勝ったでしょう。選挙に勝つ能力と統治をする能力は違います。全然違いますよ。経験がまったくない。だけど、頭のいい人だから政治の素人で統治はできないことをよくわかって現在、必死に勉強をしていますよ。勉強をしたうえでそれぞれの閣僚候補。岡本さんほど私は知らないから、いちいちどういう人だということ言えないのですが、ともかく安全保障関係に軍人を置いたということは、スペシャリストを、素人であれば素人であるほど大事にします。意見を聞きますよ」
反町キャスター
「そうなると、トランプ大統領は暫くの間は、こうした専門家の意見を聞きながら、たとえば、選挙期間中に言っていた、日本に対して基地のどうのこうのと…」
高村議員
「それは、安心ですよ」
反町キャスター
「そういう心配はない?」
高村議員
「ないですよ。まさに選挙戦術として、それはずっと1980年代の終わり頃から今日まで根強くある、安保タダ乗り論者に対する1つのメッセージですよね。メッセージだけれども。私はよく言うのですけれども、日米同盟というのは、近江商人が昔言った、三方良し、の同盟だと。日本良し、アメリカ良し、国際社会良し。アメリカ良しというところをよくアメリカの専門家が、トランプ大統領に説明をし、日本側もそういうことで働きかければ、そこはあまり心配はないでしょう、と思っています」
反町キャスター
「総理の外交日程ですけれども、とりあえず決まっているのは、今月の12日から15日でベトナム、インドネシア、フィリピン、オーストラリアを訪問して、今月27日と書いてありますけれども、ここは、予定はまだ決まっていなくて、なるべく早めに安倍さんはトランプ大統領に20日の就任式終了後の、トランプ大統領との首脳会談をやりたいということで、現在、調整中ということですけれども、高村さん、総理の、ベトナム、フィリピン、オーストラリア、インドネシアを訪問したうえでのアメリカ行き。外交的なオペレーションというのか、流れとしてはどう評価をされますか?狙いは?当然何かしらの目的があって、ここに行って、その材料を持ってトランプさんに会いに行くと見ていいんですよね?」
高村議員
「フィリピンはASEAN(東南アジア諸国連合)の議長国ですよね。それから、ベトナムはAPEC(アジア太平洋経済協力)の議長国ですよ。インドネシアはASEANの盟主と言われていますよね。オーストラリアはアメリカの同盟国、フィリピンもアメリカの同盟国。それでアジアはまさに世界の成長センターでありますから、東アジアは、東南アジアを含め。ですから、ビジネスマンのトランプ次期大統領が大切にしないわけがないですよ。わけがない。そういう中、それでもアメリカの安全保障に関する経費を少しでもどこかが負担してくれればいいなと。経費だけではなくて、いろんな点を。そういう意味で、オーストラリアだとか、フィリピンだとか、アメリカの同盟国と、日本がそれなりに、いわゆる同盟国ではないとしても、安全保障の面でもいい関係を持つとアメリカの負担が少しは減るかなとか。あるいはフィリピンとオバマ大統領のアメリカはいいとは決して言えなかった。聞いた話だとトランプ次期大統領とドゥテルテさんが電話をした時に、麻薬対策を褒めあげたみたいですよ。麻薬対策自体は大切ですよ。やり過ぎの面があるかどうか、これは別問題として、麻薬対策自体はあの国にとって死活的に大切なことです。そういうことを褒めたということも聞いていますし、麻薬対策自体はアメリカにとっても大切なことで、そういうことをした方がいいですよと。日本のどこからかトランプ大統領の移行チームに伝わっているかもしれない。伝わっていると思います。総理が、トランプさんに言ったかどうかは別として。それは誰もわからないわけですから。中身は誰もわからないです。他のレベルではそんなことも言っているんですよ。だから、フィリピンとアメリカを取り持つということは日本にはできるのではないですか」
反町キャスター
「岡本さん、今の高村さんの話を踏まえると、敢えて、ここの4か国を訪問、間に1枚かませてから行くというところによって、今回の総理のワシントン行き。日程はまだ決まっていない、調整中ということですけれども、重み、意味が増してくると。日米関係に寄与する部分をそう見てもいいのですか?」
岡本氏
「大きく寄与すると思いますね。非常によく考えられた日程だと思いますけれど、この4つの国。フィリピンは最近ちょっと毛色が変わってきましたけれども、ベトナム、インドネシア、オーストラリアというのは中国の海洋膨張に対して、最も懸念をしている国々です、南シナ海への拡張に対して。フィリピンは、高村さんがおっしゃられたような意義があるでしょうね。必ずドゥテルテ大統領から、トランプ大統領にお会いになるのだったら、是非こういうメッセージを伝えてくれと託されると思います。日本が、いわば海洋アジアと呼ばれる地域の重要な国との会談結果を踏まえて、それも、トランプさんにブリーフしながら、早期に会うというのは非常に大事なことです。27日に会えるとしたら、こんなに早くとれましたねと日本の外交努力は褒めてあげたいと思います。なぜこんなに早く会うことが大事かと言うと、首脳会談というのは、相手の首脳が言うことによって、その国への理解を深めるということはあまりないですよ。それは間に通訳が入って、会談時間も短いし。首脳会談の最大ポイントというのは信頼関係を打ちたてるということですね。こいつはきちんとこれから話をしていける相手かどうかということをね。それは、安倍さん上手だし、うまくいくと思いますね。では、何がその他に大事かと言うと、この間のトランプタワーへ訪ねたり、あるいは多国間会議の廊下で、ササッと話をする時は、日本とのことを十分に勉強はしていかないです。ところが、日米首脳会談をホワイトハウスでやるということになると、下の人達がブリーフをするわけです、徹底的に。大統領、こういう状況が現在ありますと。日本というのは、これこれこういうこと。安全保障についても、日本はこのぐらい駐留米軍経費を負担していますとか、これぐらい地域の安定に寄与していますねと、安倍首相は最近、新しく安保法制を変えて、そうしてより責任を取るようになってきていますとか。いいこと言うはずですよ。そういうブリーフィングノートをたくさんトランプ大統領が読んで、経済的にも日本との間で摩擦はありません。中国とは違います、と言うかどうかはわかりませんけれども。そういうことを通じて、トランプ大統領の、日本に対する頭づくりが行われるんですよ、安倍さんと会う前に。だから、ホワイトハウスで行う首脳会談というのはとても大事なんです。それを早くにやってくれるということは非常にいいことですね」

米・中の今後と安倍外交
秋元キャスター
「ここからは米中関係について聞いていきます。トランプ氏は当選直後の習近平国家主席との電話会談で、米中はWin-Winの関係を実現できると発言するなど、米中関係は良くなるとみられていたのですが、その後の発言は、中国に対しても厳しいのが多くなっています。経済面ではTwitterで、中国は一方的な貿易で、アメリカから巨額の金と富を奪っていると発言をしています。アメリカ通商代表部USTR代表に対中強硬派を指名するということもしています。外交安全保障面では、我々がなぜ1つの中国政策に縛られる必要があるのかわからないと。これまでアメリカがとってきた対中姿勢を否定しています。南シナ海への海洋進出・埋め立てを批判し、核兵器開発を進める北朝鮮に対して何もしないと北朝鮮との関係でも中国を批判しています。高村さん、トランプ氏の中国に対する外交姿勢の本音というのはどこにあるのでしょうか?」
高村議員
「1つの中国を否定して、台湾の独立を進めると見るのは早計だと思いますね。それをやると外交的に正面衝突ですからね。だから、そうではないのだろうと。軽い意味で受けてしまったというのか、その中間ぐらい。それを材料にして何かディールをするのか。どれだと言うことを、必ずしも断定はしませんけれども。少なくとも、中国が1つの中国に固執するのと同じぐらいのエネルギーを持って、そこで対峙しようとは思っていないと思いますよ」
反町キャスター
「そうすると、いわゆるOne Chinaポリシーにこだわる必要があるのかどうかということは、敢えてトランプさんがぶち上げたというのは?」
高村議員
「ぶち上げたというよりも…」
反町キャスター
「Twitterにチョロッと書いてあるのですけれど」
高村議員
「まず電話を受けて咎められたことに対する、それは反応ですからね」
反町キャスター
「ああ。なるほど、蔡英文と話したことについて」
高村議員
「そうそう、そういうことですよ」
反町キャスター
「岡本さん、トランプ大統領の中国に対するプライオリティは、どこらへんにあると思いますか?」
岡本氏
「僕はトランプさんがこれまでキャンペーン中も含めて、ずっと演説してきたのを聞いているのですけれども、最初のうちは偉くマイルドというか、優しい融和的な言い方でしたよ、南シナ海問題に対して。中国が南シナ海でやっていること。It’s Not Very Goodと、あまりいいことではないねと。僕はこんなに弱腰なのかなと思っていたら、それが段々ときつくなっていますね。南シナ海で中国が次々に島を埋め立てていることに対して直接批判することになっている。これはトランプさん自身も勉強をしている。誰が言っているのかな、側近か、それから、軍人グループです。この人達が、ミスタートランプ、これは深刻な問題ですよ、ということを言っているのだと思うんですね。もちろん、アメリカにとっての南シナ海における経済権益というのがもともとトランプさんの頭にはありますでしょうから、その2つが一緒になって非常にきつくなってきているという気がしますね。だから、中国はとてもやりにくくなると思いますよ、これから」
反町キャスター
「では、この1つの中国政策に対する疑問を投げかけているのは、どう感じていますか?」
岡本氏
「これは先ほど、高村さんがおっしゃっていたのだけれども、要するに、蔡英文氏と話をしたことに対する批判ですよね、あの時は、中国側は台湾に対して、この野郎と。何てことをしやがるんだと、小細工を弄しやがってと。このような言い方でしょう。だけども、アメリカに対しては、驚くほど、友好的ではないけれど、おとなしい言い方ですよ。アメリカが1つの中国政策を理解することを望むと。だから、まだトランプさんの政治的な信念に基づいた非常に強い意見だとは受け止めていないわけですよね。これはこれから変わると思っている。少しは変わっていくのではないでしょうか。と言うのは、先ほど、1月27日に安倍総理と会うかどうかは、まだわかりませんけれども」
反町キャスター
「まだ調整中らしいですね」
岡本氏
「でも、早く外交を始動させるということでしょう。その時に、トランプ大統領の頭づくりをするのは誰なのか。新任の閣僚達ではないですよ。まだ彼ら自身がブリーフを受けていないのだから。そうすると、その下の次官、次官補、次官補代理の人達というのは現在オバマ政権にいる人達ですよ。だって、就任式と同時に全部、こういう人達をクビにするわけではないですからね。徐々に入れ替えていくわけですから。そうすると、現在のオバマ政権の対中政策というのは、少し深みのある理性的なものですからね。1つの中国政策についても非常によくわかった人達がブリーフをするから、だんだんそういうところは現在のまま突っ走るということにはならないのだと思いますね」

日露交渉と『北方領土』
秋元キャスター
「日露首脳会談の成果と課題をどう見ていますか?」
岡本氏
「プーチン大統領は記者会見で日露間には領土問題は存在しないのだということまで言ってしまっている、まるで原理主義に立ち戻ったような対応で安倍さん自身はよくやられたと思いますよ。しかし、プーチン大統領は明らかに感じが変わってきてしまっている感じがしますね。難しいですね」
反町キャスター
「それは経済面における協力関係を拡大しようとも島の話の進展というのは期待できない?」
岡本氏
「ちょっとびっくりしたのですけれども、北方領土交渉というのは肝が2つあるわけですよね。1956年の日ソ共同宣言を現在も有効と認めるかどうか。もう1つは、領土交渉というのは、歯舞、色丹だけではなくて、国後、択捉も含めた四島が対象だと認めるかどうか。これまで日露間で何度も大事な交渉が行われてきた。海部さんとゴルバチョフの共同声明、1993年の東京宣言、これは細川さんとエリツィン。そのあとに橋本さんとエリツィンのクラスノヤルスク会談、川奈合意があった。2001年に森さんとプーチン氏のイルクーツク声明が出された。いずれも先に言った2つの内の1つは入っているんです。イルクーツク合意に関しては両方とも入っているんです。今度は初めてです、どちらも言及がないですね。これは僕の見方が誤っていることを希望しますけれども、まず両国で共同経済活動をやりましたと、そうすると、平和条約にいい影響があるのではないかと、信頼醸成をまずつくりましょうよと。平和条約の締結交渉というのは信頼醸成は大切だけれども、そんなものはあろうとなかろうと、日ソ間、日露間でやってきた話ですよね。クラスノヤルスクでは2000年までに日露の平和条約を締結しましょうと、そこまで合意されているんですね。今度はあたかも日本がうまくやってくれたら、我々が日本を信頼できるようになったら、平和条約を進めてもいいですよ、と言っているように、極端な受け止め方かもしれませんけれども、それを感じてしまうのですが」
高村議員
「もし平和条約が締結できれば、両国の関係は飛躍的に高まりますねと。平和条約もない状況の中で両国の関係というのは潜在力がまったく発揮されていないですよ。中国、韓国と比べて、人の往来で言うと30分の1です。そのことによって両国が被っている損害というのはおびただしいものがある。(関係が)飛躍的に高まった場合に両国民がこれから受ける利益はまた膨大なものがあると我々はそう思っているんです。だけど、日露両国民とも本当にそうかなという気持ちがあるでしょう。だから、平和条約が締結されたら両国の関係が良くなって両国民が受ける利益、大ご馳走が食べられるんですよ。たとえば、8項目の経済協力、あるいは共同経済活動、こういうもので平和条約ができなくたって、こういうものを食べられるのだよと、試食用をつくって食べてみると、平和条約ができると大ご馳走が本当にあるぞと。基本的立場を主張しているだけでは平行線だから、その大きなご馳走に比べれば少しずつ譲ったっていいよと思えるかもしれない。どこに引くかというのは一歩ずつやっていてもダメですよ。両方とも基本的立場はゼロですね、4(島)かゼロなんだから。どこかの時点で両首脳が、えい、やっと決めて、それを両国民がいいねと思えるかどうか。そのための試食品をつくるのに今、一歩踏み出したと、私は勝手に理解しているんですね。外務省はそうは言いませんから、わかりませんけれども」

『安倍外交2017』の針路
反町キャスター
「高村さんは9日からイランに行って何を話してくるのですか?」
高村議員
「核合意は、イランの未来にとって大切な合意ができたのだから、間違ってもイランの側がそれを十分履行していないというようなことを言われ、これがなくならないようにしっかり守れるようにしなさいよ、というのが私のイランに対するアドバイスですね」
反町キャスター
「それはこのタイミングで行くと、アメリカが政権交代によってイランの核合意に対するスタンスが変わるかもしれないという中で、アメリカを睨んだ訪問なのではないですか?」
高村議員
「そうではないですね。私は、ロウハニ政権が誕生した直後に、総理特使としてイランに行って、ロウハニさんは誰だと多くの国が言っていたけれども、私は1998年ぐらいかな、最初に会ってから、それまで5回会っていたんですよ、外務省の記録にある限り、会っているんですよ、私は。それで是非、核協議を成功させるように進めてきたんですね。その時はアメリカ側からもメッセージをもらって、イランが一歩妥協すれば、我々もそれに応じた妥協をするというようなメッセージをもらって、向こうに伝えて、イランの側は、一歩一歩ではなく、一挙にやりたいのだというような話を持ってきて、アメリカ側に伝えたりしていたのですけれども。その時に、私が彼らに言ったことは、ともかく成功させれば、譲り過ぎるぐらい譲っても成功すれば、その100倍もイランにとって利益があるのだから何とかまとめなさいよ、と言ってきた。せっかくできたけれども、また、いろいろあって、これが崩れるということは決していいことではないと、そのことで私はイランに行って、イランの人達にこの核合意が崩れないようにイランの側としてもしっかりやってくださいと」
反町キャスター
「そのイランの雰囲気を安倍総理に伝えて、安倍総理がトランプ大統領に伝えるというオペレーションですよね?」
高村議員
「そこまできっちり考えていませんけれども」

高村正彦 自由民主党副総裁の提言『世界と共に平和である日本 世界と共に繁栄する日本 世界に尊敬される日本』
高村議員
「これは1998年に私が外務大臣になった時に、最初に言った言葉ですが、歴代全ての総理にこういうことを目指してやってもらいたいと思っているので、私の想いです」

外交評論家 岡本行夫氏の提言 『強い経済の復活』
岡本氏
「これに尽きると思います。日本が他の国から尊敬されるためにも、それから、トランプ政権とうまくやるためにも、日本は経済をまず強くする、日本の国力の源は経済だと思います」