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2016年12月16日(金)
北方領土の全てを語る 総力検証プーチン会見

ゲスト

鈴木宗男
新党大地代表
佐藤優
作家 元外務省主任分析官
山内昌之
東京大学名誉教授

鈴木宗男×佐藤優×山内昌之 総力検証『北方領土の運命』
松村キャスター
「今日発表されました日露共同声明ですが、主な合意事項はこちらです。共同経済活動に関して・北方四島における『共同経済活動』の協議を開始することが平和条約締結に向けた重要な一歩・合意や実施に関し両国の立場を害するものではない。元島民の自由往来について・人道上の理由に立脚し、追加的な一時的通過点の設置や手続きの簡素化を含むあり得べき策を迅速に検討 などが盛り込まれています。まず鈴木さん、今回の日露首脳会談の成果、合意内容をどのように見ていますか?」
鈴木氏
「私は、この共同経済活動で合意したということは、平和条約締結の一部になるものだと、こう思っています。あるいは、元島民の自由往来にしても、新しいスタート台というか、平和条約締結に向けての大きな前進だと、こう思っています」
反町キャスター
「国民の期待値から見た時の、共同経済活動発足に向けての合意と自由往来の検討というもので、十分な成果だったと考えますか?」
鈴木氏
「間違いなく新しいスタートラインに立ったことは事実だと思います。全て平和条約締結に関わる事項ですね。共同経済活動も、元島民の自由往来も。お互いの立場を害さない、特に北方領土を実効支配するのはロシアです。そのロシアの主権も飛び越えて新しい枠組みをつくるというのですから、これは画期的な、私は合意だと思っていますね。安倍首相は、これでがんばったと評価していいと思います」
佐藤氏
「プロの外交専門家や外交官、外交官だった人から見て成功したと思う交渉は、マスメディアは失敗と書くんです。それは、たとえば、1960年の岸元首相が結んだ安保条約がいい例ですよ。国益のため、あれはすごく重要な条約だった。その観点からすると、実は共同経済活動を、平和条約に向けたということで合意をするのは、現在の安倍政権がやろうとしていることは1956年宣言をベースにしていますから、歯舞群島、色丹島のところでフックを引っかけるよという意味ですよ。フックを引っかけて引っ張れるかどうかという、それはこれからやってみようと、こういう話ですよね。逆に、一言も1956年宣言とか、歯舞群島、色丹島の引き渡し協議を始めるとは言わない。現在フックをかけるためには、そこのところで、フックかけた先に領土がグッと出てくるぞと言ったら、ロシアの世論はどう反応をしますか。渡す必要ないではないかということで逆行しちゃうではないですか。しかし、そこのところで共同経済活動だけしか言わなかったら、日本は食い逃げされたと。しかし、平和条約締結に向けた一歩だからフックはかかっていますよと。では、引っ張れるかどうかと言うのは、これからの腕だねという、フックかかったんです、今回」
反町キャスター
「プーチン大統領も、日本側が入っていくということは当然、わかっているわけですよね?」
佐藤氏
「もちろん」
反町キャスター
「すると、これは安倍首相とプーチン大統領との間で、よく仕組まれた、日露双方の世論を意識したうえでの第一歩と見ていいのですか?」
佐藤氏
「そう見ていいと思いますね。ですから、90分間の2人だけでの話は表に出てこないと思うんです。ここで何があったのか。あともう1つ、元島民の人が手紙を渡したでしょう。僕はあの手紙が大きなしかけだと思う。あの手紙に、仮に私は元島民だと、よくも追い出しやがったな。四島を即時、一括返還をやれと書いてあったら、プーチン氏は何だとなる。あの手紙の内容は、ここのところでプーチン氏は見て、日本政府のシグナルだなと。1番、厳しいのは元島民でしょう。おそらく元島民の人達というのは自費でも往来をしたいのだと。政府を信頼しているという雰囲気。プーチンさんを信頼しているという雰囲気が出た。と言うことは、日本側も譲歩する用意があるなと。だから、手紙を渡したのだろうと読んでいますよ」
反町キャスター
「その譲歩というのは、2つでいいよという譲歩ですよね?」
佐藤氏
「2つでいいという譲歩までは言ってはいないけれど。あれだけ強調していた東京宣言、あるいは4島の帰属に関する問題を解決して、平和条約を締結すると。本当に、耳にタコができるほど聞かされた話、今回、1回でも出てきました?」
反町キャスター
「東京宣言ですよね、4島の帰属の問題を解決して平和条約という発言は、今回、出ていませんよね」
佐藤氏
「1回も出ていないでしょう。何でいつも出てくることが出てこないのか。外交の世界ではいつも出てくることが出てこないというところに意味があるんですよ。だから、日本はこれで東京宣言至上主義を離脱したということですよね。ある意味では、保守陣営の方からすると何だこれは、4島一括返還の旗を降ろしているのではないかと、批判が起きるかもしれない」
反町キャスター
「安倍首相に対してですね?」
佐藤氏
「そうです。だから、そういうところに関しては、日本はわかりやすく言わない。そうすると、日本が譲歩しているのだけれども、ロシアも譲歩して、フックが引かかって、そんなに長い期間ではなく、安倍政権の間ぐらいに歯舞群島を色丹島が戻ってくるかもしれないという、こういう仕かけを始めている」
鈴木氏
「手紙の話で重要なのは、元島民の皆さん方が友好と親善と共同の島にしましょうというメッセージを手紙に託しているんですよ」
反町キャスター
「ロシア語の手紙も、そうではない手紙も全部同じですか?」
鈴木氏
「だいたいいつも元島民の皆さん方の想いは現実的ですよ。1島でも、2島でもいいから、還してもらえるものは還していただきたい、が想いですね」
反町キャスター
「それを書き込んでいるのですか?」
鈴木氏
「入っていないです」
反町キャスター
「1島でも、2島でも還してくれとは書いていない?」
鈴木氏
「書いていない。要は、友好、親善、共同の島と。安倍首相が元島民の想いに胸を打たれたと、記者会見で言われましたよね、冒頭に」
反町キャスター
「プーチン大統領も言っていました」
鈴木氏
「プーチン大統領もその手紙を見て、元島民の想いを知ったということで、これは非常に噛み合って」
佐藤氏
「反町さん、ケースオフィサーという業界用語があるんですよ。スパイの世界の用語です。スパイの世界で協力者を運営する仕事をケースオフィサーと言うんです。プーチン氏はケースオフィサーです。だから、協力者を運営するような人だから、ああいう手紙を渡された時は絶対、素直にとらない。この手紙は、安倍首相がやりたいと思うことをそこににじませて書いたなと。そうかこういう流れだなと、こう深読みをするんです」
反町キャスター
「そうすると、島民からの手紙で、1つ、2つの島を還してくださいと書かないで…」
佐藤氏
「要するに、島民の手紙に書いていないことが重要ですよ。四島即時還せということが書いていないと思うんですよ。これが重要です。だって、島民の手紙だったら4島をすぐに還せ、よくも追い出しやがったなと…」
反町キャスター
「基本的に、僕はそういう印象で思っていますよ」
佐藤氏
「それで、プーチン氏も考えているでしょう。意外な手紙をもらったなと。ここまでの仕かけをするというのは本気だなと。きっと深読みしていると思う」
山内名誉教授
「2人がおっしゃったことは島の名前、あるいは島に言及がなかったというのはなぜかと。されなかったのはおかしいと考えるか。されなかったことがそこに意味があると考えるかという問題の捉え方。言っちゃうとシャーロック・ホームズの推理小説の中に犬がなぜ鳴かなかったのかという、それが不思議だと言うのですが、鳴かなかったのは、鳴くのが当然で、皆考えるけれど、鳴かなかったことに意味がある。そこはなぜなのかという、こういう考え方をするわけですよ。ですから、今回はある意味では、そういう北方領土、あるいは島というようなことがなぜ出てこなかったのかという、その問題を手繰って考えていくということが現在の段階では我々が少し考えるべきところ」
反町キャスター
「山内さんの話は、両方ともプロだから、日本側はわざと出さないと。プーチン大統領も出さかったところに、これは何かあると思ったという見立てでよろしいですか?」
山内名誉教授
「結局、戦略。それでもう1つ、先に進みますと、これは日露間の問題を領土という問題だけで考えるのは、いわば非常に冷戦的、かつ前冷戦的な発想の1つですね。ところが、現在は脱冷戦、あるいはポスト冷戦、さらに新しい21世紀という段階に入って、最も重要な懸案である領土問題を大きな戦略的な観点、戦略的思考の中でどのようにこの問題を組み入れていくのか。その考え方が単に領土を巡って、島を巡って、その帰属を巡ってロシアと正面から争うという、こういう古典的な手法だけではこの問題、ひいては日露関係を打開できないということ。これは歴史が絡んでいますけれども、特に島民という実在の人々がいるわけです。この島民は高齢化し、世代は変わろうとしている人達。この歴史の当事者達である歴史の証人達、この人達にどのように納得してもらえる答えを出すべきかという、こういう考えをするのが政治家の最大の仕事で戦略的な思考だということです。今回ある意味で、プーチン氏と安倍首相は戦後の日本のこの問題にある種、欠けていた、ロシアも十分に出せなかった戦略的思考という、その範囲、枠で考えようと。つまり、両国それぞれ世論がある、国民というものが存在していると。また、与党幹事長までがあのようなことをおっしゃるような構造がある。その中で、この4島問題について、正面から理論的なことばかりやりあっても、学者・評論家の議論とは別ですが、しかし、政治家や外交官はそこから成果を引き出さなければなりませんから」
反町キャスター
「山内さん、そうだとすれば、安倍首相とプーチン大統領はその戦略的思考の方向性を感じ、一致し、両方が腹を合わせて戦略的思考はそれぞれの国内対策として向けられているという意味で言っていますか?それともお互いに戦略的思考で向き合っていると見ている?」
山内名誉教授
「基本的には2つでしょう。2つだと思います。簡単に言うと、プーチン氏はユーラシア大陸で、西に方に動いて、大変大きな困難を抱えているわけですよ。クリミア問題であり、かつ中東におけるシリア問題である。こういうユーラシア大陸の中で、1番不安定で混乱している西に対して、東は日本との関係がこの領土問題を巡って、冷たい関係にあるとは言え、両首脳の間の信頼関係と、新しいものがともかく動き得る、一種の安定した基盤があるんですよ。つまり、平和状態ですよ、両国は。実際には条約が結ばれていないけれども、そういう状態にある。このことを逃すというのは、プーチン氏にとってはこの関係を壊すというのは得策ではないわけです。これが戦略的思考の、基本の1つ。それから、もう1つ、中国という関数が入ってくる。これはまた別の問題で議論をしますけれども、日本にとっては何かと。日本にとっては確かにG7の一員として重要な日米関係、それから、ウクライナに対する制裁をロシアに加えていると。この問題、非常に重要なファクターです。先進国、伊勢志摩サミットの主催国として。しかし、どの国にもそこにある重要な国益というものがあって、その国益を全体的な大国のリーダーシップのもと、つまり、日本のリーダーシップのもとで、どう位置づけて、打開をしていくかということも大事である。つまり、ある意味では、問題は2国間の関係で、現実的な意味での脅威、あるいはテロ、あるいは内戦を通したなどは2国間の関係の中にはない状態ですよね。こういう状態の中で信頼関係をどう醸成していくか。信頼関係を醸成する中でこの問題を解決しようという、仕かけを今回新しくつくったということではないですか」

プーチン大統領『本音と建前』
松村キャスター
「今日の共同記者会見で、プーチン大統領が記者の質問に答える形で語っています。『あの島の歴史的なピンポンに終止符を打った方がいいと思う』という、この部分はいかがですか?」
鈴木氏
「まさにお互いの一方的な主張だけでは解決できない。外交はそれぞれの主張があったとしも折り合わなければならない。それがまた現実的な判断、知恵の結集ではないかということをプーチンさんは暗に言っているのだと、こう思っています」
佐藤氏
「この言葉というのは、元島民の手紙を渡したことによって出てきたわけですよね。これは安倍首相がプーチン氏から引き出したわけですよ。歴史的なピンポンに終止符を打つというのはプーチン氏の引き出しにもともとあった言葉ではない。あの手紙を見て、これは歴史的なピンポンに終止符を打った方がいいと決めさせたから、あの手紙の効果は大きいですよ。歴史的なピンポンというのは、役人がつくっている言葉ではないわけです。政治家の言葉です」
反町キャスター
「その気持ちというのは、プーチン大統領は今回、手紙によって、心境が劇的に変化するのかどうか?」
佐藤氏
「これは長年、外交をやっていた時の自分の経験ですけれども、最後のひと押しは意外なものがなるんですよ。ですから、今回の歴史的なピンポンというのは大きな意味がありますよね」
反町キャスター
「記者の質問に対して、柔軟性がないのか、という質問に対して、柔軟にすべきは日本だというその展開のために、いわゆる千島・樺太交換条約とか、歴史的にずっと紐解いて、大演説をぶった」
佐藤氏
「しかし、スタートを1945年、あそこのヤルタ協定にしなかった。スタートを1855年にした。すなわち4島にしたという、この歴史認識というのは、私は重要だと思う。読売新聞のところでも、日本側の方が戦後70年だという形の話をしている。もっと古いと。160年の、我々の歴史があるという形で、スタートは4島から始まっているだけでも、いろいろ動いたでしょうという話をしているというのは、国後島、択捉島に関しては日本人が特別な想いというものを歴史的、それから、心情的に持っているのはわかります、ということです。ところが、プーチン氏が言っているのは、法的には1951年に日本はサンフランシスコ平和条約で国後島、択捉島を放棄したでしょう。千島列島、南千島は入っていると言ったでしょう。国会でも、吉田元首相の前で西村熊雄条約局長が言っているでしょう。1956年に答弁変更したでしょう。1956年の日ソ共同宣言では、事前の交渉においては領土問題を含む、平和条約交渉の継続適用と言っていたのも、最後の段階で文書を詰めるところで、領土問題を含むということを落とすということに合意したでしょう。我々は公表したけれど、日本側もちゃんと記録を見て。我々は公表をしたけれど、皆さん、まだ公表をしていないよねと。歯舞群島、色丹島となっているから、これは法的には、我々は2島以上還すという責任を負っていないよと、こういうメッセージを出しているわけですよね。だから、我々の柔軟性というのは国後島、択捉島ということに対する日本の想い、元島民の想い。4島のところで、ロシアはロシアの主権という立場だけれど、日本は日本の立場がある。すなわち主権という立場でいる共同経済活動とか、あとは自由訪問をやりましょうと言っているのは、明らかにプーチン氏の柔軟性の発揮ですよね」
反町キャスター
「鈴木さん、政権側とした場合、今回プーチン大統領といろんな形で話をしても、いや、国民がわかった、がんばったという結論は出ないだろうなというような、事前にある程度、肌触りとしてわかっていたのではないかと当然、思うわけですよ。思っていながら突入していくというのは、これは高い支持率なのか。長期政権だからなのか。そういうリスクを敢えてとったと見た方がいいのか。それとも何年もやっていくうちに必ずこれは高利まわりで返ってくると思ってやっているのか、どう見ていますか?」
鈴木氏
「安倍首相が11月20日のリマでの記者会見で、71年も解決してこなかった問題、それが一挙に解決するとは思えない。一山、一山乗り越えていくという思いでやらなくてはいけない、と。これは明解です。ウラジオストックでもそれを言っているんですね。簡単なことではないけれども、我々の世代で責任と決意を持って、解決しようではないかと。これは自分に言い聞かせながらも、外に向けて鼓舞している話ですね。一貫してると思う、安倍首相の話は。そういった意味では、今回の首脳会談は私自身としては満足のいく、間違いなく平和条約締結に向けての一歩につながる、一部につながっている共同経済活動であるし、自由往来だと、こう受け止めていますね」
反町キャスター
「そうすると、安倍首相が来年3月の自民党党大会で、任期3年延長しますよ。途中、総選挙をやらなければいけないのだけれど、プーチン大統領は次の大統領選挙が2018年。プーチン大統領も支持率が高いとは言いながらも、そんなに鉄板ではないという人もいますよ。お互いに、2018年を過ぎたあたりでないとこの話は目に見える形では決着ができないなと、腹合わせをしていると思いますか?」
鈴木氏
「2018年の9月まで安倍首相は任期を持っている。2018年3月まではプーチン大統領が任期を持っている。これから雑談をするなら、来年が1つの大きな節目になってくる可能性がある、こう思いますよね」
佐藤氏
「私は、スパンとして3年から5年ぐらいという感じが非常に重要になってくると。それで動かしているのは、安倍晋三という名前を借りた日本国家の意思ですよ。日本国家自体が動かしていると。ちょっと衒学的になりますけれどもね。へーゲルという昔の哲学者がいるのですけれど、『歴史哲学講義』を書いているのですけれど、歴史をまわしていくというのは歴史の知恵だけれども、自分のお財布からお金を払わないと言うんですよ。お財布は、政治家の情熱から払う。それで、これをやる政治家は、傷ついて、ぼろぼろになると。しかし、それで国家が動いていくのだよと、へーゲルが言っているのですけれど、安倍首相はその意味では、日本国家のためにロシアとの関係を調整しないと、今日、1度も名前が出てこない、私も名前を出さない、日本の西の方にあるとんでもない大国、大変でしょう。そういうことを考える。タイムスパンからすると3年から5年ぐらいあとで反町さんの話だと利まわりが戻ってくる。そういうことも裏返すと、1、2年は苦しいですよ。何も出ないのではないかと思いますよ」
松村キャスター
「安倍首相ですけれども、今日の午後9時過ぎのテレビ番組で、1年とか、2年という簡単な問題ではないと発言をしています、つい先ほどですね」
佐藤氏
「そうすると、3年に、1本にできるということですね」
鈴木氏
「ただ、安倍首相は1年、2年で解決しない、簡単な問題ではないというのは従前から言っているんです。これはステップバイステップでやっていくしかない。それは信頼醸成だと言っているんですよ。今年4回も首脳会談をやっている。来年も春にはロシアに来てくださいと言われました。9月も東方経済フォーラムにも出席してくださいと言われまして、会う度にお互いの信頼が深まっていく。その都度、解決に向けて前進をしていくと、そういうことですね」
佐藤氏
「私は、自由訪問で、目に見える成果で簡単に出せるもの1個あると思うんです。飛行機での訪問をやるんです」
反町キャスター
「島にですか?」
佐藤氏
「そうです。要するに、国後島と択捉島は飛行場がありますから。中標津空港から飛ぶのです。これは1回だけやったことがあるんです。ですから、その時の交渉実績はあるんです。それで飛行機で行けるようになると、現在はこの季節は行けないです。波が荒くて。それが通年で行けるようになる。だから、自由訪問で、飛行機訪問の自由の枠をつくれば、飛躍的に雰囲気が変わりますよ。頻度も増す。だから、来年の春まで、首脳会談をやると言っても、それまで自由訪問を動かせないですよ。船の物理的な状況で。そういうところを突破するという知恵を外務省の人たちがこの報道を聴いているのだったら、昔のファイルを出してきて、飛行機を使えばいいのよ」
反町キャスター
「鈴木さん、この自由訪問はどうですか?」
鈴木氏
「それは私がやったんですね。国後島に中標津空港から。自由訪問でも、墓参でも、5月から9月までですよ。10月の早めのうちに、ロシア側の島に人を呼ぶくらいが関の山で。7か月ぐらいは交流ないですよ。佐藤さんが言っていたように、ヘリコプターにしろ、飛行機を使うにしろ、そのアクセスがあれば、さらに交流が深まっていくんです」
佐藤氏
「空も1つの解。そういうところで、通年で往来できると、雰囲気が変わります」

『北方領土』と『安全保障』
松村キャスター
「プーチン大統領の会見の中身ですけれども、気になる発言は『ロシア極東には大きな港が2つある。我々の船は太平洋に出たりする。領土問題解決への柔軟性のためには、ロシア側の全ての懸念を考慮してほしい』と、どういうことでしょうか?」
鈴木氏
「共同経済活動をさらに含めて、大陸、シベリアでやろうとしていますね。まさに8つのアプローチをもとにです。港の重要性が出てきますね。それと、ウラジオストックからLNG、液化天然ガスを来年から石狩港に運んで来て、新しい火力発電所が1つスタートするんです。60万キロワット。さらに3年以内に2基が動いて120万キロワットまで、この火力発電所が動くんですね。こういったことを見据えると、もっと日本が物流、人の往来もしてくれるという希望だと思いますね」
反町キャスター
「山内さん、いかがですか?ロシア側の全ての懸念を考慮してほしい。これはロシア側の全ての懸念とは安全保障の問題もかなと我々、思っていますけれども」
山内名誉教授
「ロシアの艦隊や民間船舶が外洋、日本海から、あるいはオホーツク海から外に出ようという時に国後島と択捉島の間、国後水道を出ていくことになる。そういうルート上の、いわばセキュリティという問題もあるし、それから、歯舞島、色丹島なり、あるいは他の2島もそうですが、それを日本側に、仮に引き渡すというシナリオが実現した場合、そこには日本の主権が確立され、施政権が敷かれるということは日米安保条約の対象になるわけで、引き渡した領土に、いわばアメリカの軍隊が防衛の義務を負う。もっと極端な場合には、アメリカの兵隊達、あるいは軍の施設ができるということになるというのは敵になぜ領土を渡したのかという、こういう理屈にロシア国民の側からすると、なり変わるわけですね。そういうことに関して、どのように最終的にロシア側の懸念を払拭してくれるのか。あるいは重要な2国間関係だから、日米間の関係に関してロシアは全部それを否定しろとは言わないけれども、どういう知恵を出してくれるのかということを日本側としても積極的に考えるべきではないかということで、ある意味で、非常におとなしい言いまわしですよ。つまり、ロシア国民を納得させる、そういう論理や説明をしていく筋道を考えるのは、私だけに任せてもらっては困るというので、あなた方も考えるべきだろう、こういうことでないと責任ある、政治的な取り決めはできないという、そういうメッセージ」
反町キャスター
「これは日本に宿題を出しています?」
山内名誉教授
「いたるところで出していますよ」
反町キャスター
「プーチン大統領のこの宿題は、日本はどう答えていく?」
佐藤氏
「まずちょっと固めに答えるんです。1956年の日ソ共同宣言ができた時に、既に我々は1951年に旧日米安保条約がありましたね。そうすると、当時、東西冷戦下です。となると、その状況で引き渡せば日米安保条約が発動することはあり得るとわかったうえでつくった文章ですね。それを言ったうえで、あなたの懸念もわかるよと。歯舞群島、色丹島を引き渡されたあと、日米安保条約の第5条でここは共同防衛の範囲だから米軍が展開できる、もしかしたら、適用除外にしてくれということを考えているのかもしれないけれども、それは申し訳ないのですけれどもできないですよねと。たとえば、仮に朝鮮半島の方の南ではないところに、不思議な国があると。もしそこが色丹島に向けてミサイルを撃ってくることがあった時に米軍は出動しない、こんな話はないし、ロシアだって困る話ではないでしょう、だから、安保条約の適用範囲というのは外せない。しかし、実際に米軍の基地、米軍が来るということは日米の合同委員会できちんと協議をしないとできないから、政治的な責任を持って、これは文章にしてもいいと。このところには日本政府の判断として、きちんとアメリカには、米軍は展開しませんと言う、それはアメリカを説得する自信はあるんです。なぜならば歯舞群島、色丹島には現在アメリカ軍はいない、日本の自衛隊もいないと。しかし、日本の安全保障上の脅威もないし、アメリカの安全保障上の脅威もない。そういう状況で歯舞群島、色丹島が日本に引き渡されても別にアメリカも日本も困らないというのが現実でしょう。ただ、安保条約の5条の適用除外で、条約を変えるとかはできない。だから、政治的な妥協は必要で、私はトランプ氏に話して、トランプ氏の内諾を得てくるから、そこのところで折り合いをつけられないかというような、私が外務官僚だったら、こういう振り方をします。こういうような歴史的、法的議論でカウンターの議論をすると、そのうえで折り合いをつけようと。譲れるところと譲れないところをはっきり言う、そうすれば折り合いがつきますよ」
鈴木氏
「佐藤さんの話の続きで、日本の官僚の中にも日米同盟が1番だと、こう思っている人は歯舞島、色丹島が還ってきたら、即日米安保条約の適用範囲内と、こう言う人もいるんです。しかし、合同委員会で話し合いで決めるのですから、米軍が駐留するかどうか。ここは日本が明確にあそこは非軍事化いたしますと、ロシアも国後島、択捉島を非軍事化してください、こう言って、日露で話をつけて、それでアメリカに言うやり方もある」
反町キャスター
「そんなことができるのですか?」
鈴木氏
「合わせ技でできます」
反町キャスター
「今回プーチン大統領が来るのに3時間遅れました。この3時間の遅れをどう見たらいいのですか?」
佐藤氏
「シリア情勢が大変でしょう。戦争拡大するかどうか深刻な状況、そのところで彼は調整するキーパーソン、エルドアン氏と電話をしていた。日本政府に内報しているんですよ。この深刻な問題で遅れているからと。その結果、日本は最新情報を得られたわけでしょう。別に会談時間が短くなったわけではないから、いいですよ。要するに、外交の時間の遅れでも、その理由です。私は合理的な理由があったと思います。情報も日本は得られたから損はしていないと。シリアの最新の情報で、トランプ氏やオバマ氏よりも深くシリアに関するロシアの話を知っていますよ」
山内名誉教授
「まさにその通り。アレッポという、反政府派、反アサド派の拠点が陥落したと。これを実際に動かしたのはロシア軍ですから、そういう当事者であり、かつ日露関係の当事者である人間が、ユーラシア大陸の中で中東においては破壊者として出てきている。しかしながら、対日関係においてはある意味では建設者として出てきている。こういう両面を持っている人物でもあるわけです。安倍首相はそういう意味で言うと、表面的に平和条約を結ぶ相手ですから、平和的側面、交渉相手として見ていますが、もちろん、安倍首相はロシアがアレッポで、シリアで何をやっているかも百も承知なわけですよ。こういうことを俯瞰する、まさに地球儀から俯瞰したうえで見てやっているわけですから、3時間遅れたかどうかということは二義的な問題です。ただし、個人的に申しますと、今日も講道館に行かれたようですけれども、柔道がお得意ですよ。柔道は礼に始まって、礼に終わるわけですよ。ですから、柔道の奥義のように、こういう交渉に関して、時間は守るのが基本だということを日本人として申しておきたい」

鈴木宗男 新党大地代表の提言:『信頼関係を更に増進すること』
鈴木氏
「信頼関係をさらに増進することが平和条約締結へ向けての道だと思っています」

作家 佐藤優氏の提言:『安倍首相とプーチン大統領の職業的良心を信頼する』
佐藤氏
「ポイントは職業的良心。個人的良心ではなくて、お互いの国益観にもとづいた行動、これを信頼すれば道が開けます。だから、プーチン大統領としては、これは戦争で獲ったものだから還さないでいいと思っても、ロシアの国益のためにリスクをとって妥協してもらう。それから、安倍首相にしても、よくもやりやがったなと、千島列島全22島と南樺太を還せと腹の中では右派の政治家として思っているかもしれない。しかし、ここは1956年の日ソ共同宣言をベースにして、国後、択捉、特に国後には普通に行けると、こういうような枠をつくるとか、妥協しなければいけない。だから、それは国家のためにどうするかということで、良心的に活動してほしいと思うんです」

山内昌之 東京大学名誉教の提言:『戦略的思考におけるwin-win』
山内名誉教授
「ゼロサムではなくて、どちらかが全部獲れば、どちらかが負けであると、あるいはどちらかが100%、95%獲って、片方は0%、あるいは5%だと、こういうことではなくて、全てのことには妥協や譲歩が伴うと、私達にとってはロシアに妥協や譲歩を求めるというのは言うまでもないけれども、我々にとっても可能な範囲で、しなければいけないと。そういう意味では、信頼関係を増進すること、あるいは職業的良心というものに注視するという、そこにもつながると思います」