プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2016年12月15日(木)
ついに動く?北方領土 総力検証『日露首脳会談』

ゲスト

小野寺五典
自由民主党政務調査会長代理 元防衛大臣 衆議院議員
コンスタンチン・サルキソフ
山梨学院大学名誉教授
石郷岡建
ジャーナリスト

総力検証『日露首脳会談』 ついに動く?北方領土
反町キャスター
「6時30分から始まった首脳会談、いわゆる最初の首脳会談は外務大臣や経産大臣を交えての首脳会談ですけれども、その内容、速報が入ってきました」
秋元キャスター
「国連の枠内での協力、谷内氏らと行った安全保障協議、北朝鮮の脅威に対するアメリカの反応というのがテーマだったということですね。これから平和条約について両首脳が1対1で話し合うということを、ラブロフ外相がブリーフしたという内容が入ってきました」
反町キャスター
「小野寺さん、この話、まさに小野寺さんが防衛大臣で担当されていた、これに加え、さらに時事通信によりますと、ロシアのラブロフ外相によると、日露両首脳は、日露の2プラス2、外務大臣、防衛大臣の閣僚協議の再開が必要という立場で一致したという、こういう安全保障に向けた、日露の共同歩調をとるような話というのが、情報が出ています。こういう話が閣僚を交えた場によって話し合われたそうです。どんな印象を持ちますか?」
小野寺議員
「まず日露の外務大臣、防衛大臣の2プラス2というのは第1回目、確か3年ぐらい前、私が防衛大臣の時に日本で開かれました。2回目は、次はロシアで開くことになっているのですが、ウクライナ問題を巡って、それが止まっています。ですから、これを再開したいというのは、おそらくロシア側もメッセージを持っていると思うですが、これは、ただ、1つ、国際世論から見ると、まだウクライナの問題で制裁をかけている中で、簡単に防衛大臣、外務大臣がロシアで、しかも、軍同士の協議をするというのは、どうなのかというのが、たぶん国内で相当これから揉んでやる必要があるのではないかと思います」
反町キャスター
「ラブロフ外務大臣によると、再開が必要という立場で一致した。日本側の情報がまだ出ていないので、ラブロフさんにしてみたら、1対1になったところで、出されるわけではないですか。そこで記者団に対して、2プラス2やろうということで一致したのだよと、ロシア側としては、第1弾を撃ってきたのですけれども、日本は、簡単にそれに乗れるかどうかは、ちょっと悩ましいのではないかと、こういう意味ですよね?」
小野寺議員
「ええ。ただ、日本としてウクライナの問題についてロシアがちゃんとした対応をとれば、それは喜んで2プラス2をやるので、今のままで、たとえば、クリミアをああいう形で実効支配する中で、やれと言うと、おそらく国際社会からはどう見られることになるので、そこは日本とロシア側の多少、これはたぶん考え方のずれがあるのだと思います。ポイントは平和条約について1対1で話し合うと、これを明確に言っていますので当然、平和条約の前提は領土問題についての話し合いですから」
反町キャスター
「小野寺さん、向こうの防衛大臣と1対1でやったりすることがあったと思うのですけれど、1対1で通訳だけ入れてやり続けて1時間経つとだいぶ煮詰まりますよね?そうでもないのですか?政治家の議論というのはそういうものではないですか?」
小野寺議員
「もう、この2人の議論というのはお互いに何がほしいかわかっていますので。そこはフォーカスを絞った形でやっていますし、たとえば、私どもも大臣の話というのは、そうは言っても、政府と総理がいますけれども、今回は両首脳ですから、2人で合意すれば、それが最高決定になります。ただ、両方とも背中に国益と国民の意見を背負っていますので、そこは易々とはいかない中で妥協点を見つける。相当、努力を両首脳がしているのだと思います」
反町キャスター
「石郷岡さん、全体会合というか、大人数会合というか、それにおけるこの内容、どう感じますか?これは要するに、1対1で話し合いをするための前捌きとしてやったのか?ないしはもっと別の意味があるのかどうか。どんな印象ですか?」
石郷岡氏
「中身を知らないのでよくわかりませんけれども、パッと見て、ちょっと気になるのは2番目の安全保障協議ですね。その時に領土絡みの話をしたのかどうかですよね。返還したならば、そこでアメリカ軍の基地がくるかどうかというような話がありますよね。たぶん、そこまでは入らなかったと思いますけれども、腹の中ではそれを思っていたのではないかなという気はします」
小野寺議員
「通常こういう首脳会談と言っても、お付きがズラッといますよね。こちらは外務大臣がいますし、ラブロフ氏がいますし、そういう中で話し合う時には、だいたい用意したことをお互い言い合って、それぞれ認識をまとめると。今おっしゃったように、本当に首脳間で最終的にどう腹の底に納めながら、お互いがその方向でいこうということをするのかというのは、本当に2人同士の信頼関係でしか、おそらく決められない。ですから、現在やっていることが実は本当の交渉だと思います」
反町キャスター
「石郷岡さん、2人はどんな話し合いをしていると想像しますか?」
石郷岡氏
「安倍さんというのは結構、そういうのにズバズバと入っていく人ではないかという、そういう感じがして、他の人みたいに、そういうプロトコルを守るような人ではないと思いますね。だから、結構、お前、そこまで言うのか、みたいな感じがあるのではないかという気は、僕はしますけれど。外部だからよくわかりません」
反町キャスター
「サルキソフさん、1対1になった時、プーチン大統領というのは相手に対してどう迫るタイプの政治家ですか?」
サルキソフ名誉教授
「それは、基本的にはWin-Winという方式ですよ。かなり複雑だと、プーチン氏も何回も言っていたのですけれども、その例は少ないと思いますよ。ただ、我々2人ならできるかもしれない。心証ですけれど、できるかもしれない。まだ第2のポイントは、彼は現実的です。日本の日米安保条約もあるし、いろいろG7のメンバーシップもあるので、だから、日米安保条約、日米同盟に関しては、彼は、我々その立場を尊重しているのだということを言っていたんですよ。尊重をするんですよ。だから、無視はしないし、全然いいのだという、いいというのは歓迎するわけではなく、ただ、いいのだと。それは日本の都合だと。ただ、その枠内で日本はいろいろ義務があるから、その枠内でどういう、どの程度、接近できるか、その1対1の話だと」

首相の『意地』 プーチンの『策略』
秋元キャスター
「今回のプーチン大統領来日のスケジュール。確認しておきます。今日、午後5時頃に予定より2時間ほど遅れて、プーチン大統領が来日しました。午後6時過ぎから安倍総理の地元山口県長門市で閣僚なども参加する1回目の首脳会談が行われました。7時30分頃から、安倍総理、プーチン大統領、2人だけでの会談が行われていて、これは現在も続いている模様ですけれども、このあとワーキングディナーを挟んで、そのあと、また2人だけの会談があるのかどうか。ここはまだちょっとわからないということですが、1日目は北方領土問題について話し合われています。明日、午前中に東京に移動しまして、ワーキングランチ、官邸でその後3回目となるのでしょうか、首脳会談をまた行いまして、文書交換式、共同記者会見を行う予定。その後、経団連で行われます日露ビジネス対話で、プーチン大統領が挨拶をしまして、講道館でプーチン大統領と親交があります全日本柔道連盟副会長の山下泰弘さんとの懇談も予定されているという、こういうスケジュールですけれども、小野寺さん、今回の安倍総理とプーチン大統領との首脳会談2日間でまだあるかはわかりませんけれども、これだけたくさん行われるというのは、これは異例のことと見ていいのでしょうか?」
小野寺議員
「明日のワーキングランチの首脳会談というのは、むしろ大人数が入ってのランチが中心ですので、2人で大きな話をするということは、普通はあまり考えられません。ですから、今日このあと、ディナーですから、皆、食事に多くの方を呼んでいますので、あまり待たせられないということで食事は一定の時間に始まると思います。問題はその後、終わったあとに再延長して2人で話すか、あるいは泊まっていますので明日の朝、出発前にも会談ができるわけですから、そこでどれだけ2人で話し合うか、時間はたっぷりありますので、どれだけ話し合う時間をお互いにとるかということで、今回の成果というのは、ある程度、見えてくると思います」
反町キャスター
「サルキソフさん、プーチン大統領の外交のスタンス、やり方というのは、日本は普通、積み上げていって、最後に大将同士がサインしてというのが多いような印象を僕は持っているのですけれども、だいたいプーチン大統領の外交というのは、本人、大統領自らがドンと行って、自分で決めて、あとはおおまかなラインを大将同士で決めた、大統領同士とか、首脳同士で決めたあとに事務方で細かいことはフォローしてと、こんなやり方が多いのですか?」
サルキソフ名誉教授
「いや、プーチン外交というのはまず結果主義です。結果があればいいのだという。だから、実務的な話し合いで、最初は、東京にも行かないということになっていたんですよ。東京に行くというようになったんです。彼はあまり気にしていないですよ」
反町キャスター
「でも、ロシアが、東京に来たがったという話もありますよね?」
サルキソフ名誉教授
「もちろん、あったのですけれども、何回も聞かれていて、侮辱的ではないですかね。日本に裏口から入って、都に行かないというのは、首都に行かないというのはとんでもない話と、そう答えていたんですよ。プーチン氏の外交とか、プーチン氏の政策、理解するためにキーワードが2つあります。プラグマチズムと結果主義。一緒であるかもしれないですけれども、ただ、こういうことですよ。あのやり方というのは、領土問題に関しては1度、聞かれたのですけれども、赤い線というのは超えてはいけないという、領土的な情報には。あるかどうか。かなり怒っていたんですよ。とんでもない話だと。なぜかと言うと、結果が1番大事だと。そういうことを言っていたんです。すごくプラグマチックで、そのプラグマチズムという言葉は彼が1番好きな言葉で、また、中国とロシアのいろいろ協約、協定もあるのですけれども、そのプラグマチズムという言葉がそのまま入っているんですよ。それが特徴であると思います、彼の外交の。だから、どういうやり方でやるかというのは別に意味がないですよ。1番意味があるのは、結果です」
反町キャスター
「石郷岡さん、いかがですか?積み上げ式か、ないしはトップダウンか。明らかにトップダウンで話が進んでいると、まず見られますかというところから聞いた方がいいかもしれません、どうですか?」
石郷岡氏
「世耕さんの経済協議の話は明らかに進んでいた。しかし、領土問題をやっている外務省レベルではほとんど進んでいないと。だから、トップレベルという以上に政府の中が2つに分かれて、連携がまったくとれていないと感じましたけれど、それについてはいろいろ反論があると思います」
反町キャスター
「それは一応、用意してみたのですけれども、官邸側の流れと外務省側の流れ。官邸側は、要するに、世耕さんを対露経済協力相として新設しました。世耕さんがロシアに行きました。日露の閣僚級委員会もドンドン動かしています。一方、外務省はどうなのかということでいうと、次官級協議も行って、岸田さんがロシアを訪問しているのだけれども、官邸並びに経産省、世耕さんは官房副長官から経産大臣になられているので、官邸と位置づけてよろしいですよね?」
石郷岡氏
「ええ」
反町キャスター
「その官邸側の対露戦略と、外務省の対露戦略というものに、きれいに調整しているというか、シンクロしているのか?ここはどう見ているのですか?」
石郷岡建氏
「僕はなかったと思います。明らかに双方のスピードが違っていた。それで、もう1つ出たのは今年の夏から秋にかけて非常に大きなリークというのか、2島返還になるとか、そういうのがいっぱい出てきたわけですね。新聞記者が先走ったのかもしれませんけれども、どう見ても誰かがリークをしていたと思いますよね。そのリークはどう見ても外務省ではなくて、官邸側ではないかと思いました」
反町キャスター
「官邸側が情報をリークすることによって狙うのは外務省の何ですか」
石郷岡氏
「簡単に言えば、官邸側はうまくいくのではないかと、そういう雰囲気が強く、外務省はこんなのダメであるということではなかったかと」
サルキソフ名誉教授
「実は、私は、官邸とか、外務省という定義を変えた方がいいと思います。官邸は新しいアプローチ。ここは古いアプローチにすればいいのではないですか。官邸はなるべく安倍さんのことを考えなくてはならない。彼が新しいアプローチでやるのだと。外務省を批判しているわけではないですよ、外務省は外務省ですよ。だから、自分なりの路線をとっているのですから。ただ、外務省は前のことにかなりこだわりがあって、だから、いつもあまりにも行き過ぎはダメだと考えているから。だから、私は新しいと古いアプローチに分けた方がいいと思います」
小野寺議員
「私は、一緒に動いている両輪だと思っています。特に安倍総理は、ロシア関係を進めたいという気持ちがあったので、従前、私も内閣にいた時に感じていましたのは、外務省は外務省で領土問題をしっかりとする。経済関係の協力については、従前から、官房副長官、世耕さんがかなり総理の意向を受けて、いろんな調査をしたので、そういう意味で、総理がトップで両方がまわっていっていると思います。だから、問題は経済関係についてはロシア側も、これは逆に言えば、ウェルカムですので、逆にこちらは比較的、両方が合意しやすい内容を、こちらは本当の領土問題になりますから、これは本当にギリギリの戦いの中で詰めていく内容ですので、そういう意味では、進め方とすれば、こちらは比較的まわりやすいタイヤだけれども、こちらはなかなかまわりにくいタイヤを一生懸命にまわすために、総理がゴリゴリ力を入れてやっている。そういう印象を持っています」

領土交渉…日本の『誤算』
秋元キャスター
「続いて、北方領土問題についてですけれども、これに関する安倍総理の発言の推移を見ていきます。9月のラジオストックでの会談のあとに、交渉を具体的に進めていく道筋が見えてくるような手応えを強く感じることができたと。12月の会談では、平和条約締結交渉を前進させると、北方領土問題を進展させることを感じさせるような言い方をされています。しかし、今月7日の党首討論では、1回の会談で解決するほど簡単な問題ではないと発言が後退した印象を受けます。今週月曜日、北方領土の元島民との懇談では、私の世代でこの問題で終止符を打つ、その決意で首脳会談に臨みたいと問題解決に強いこだわりを見せていますけれども」
反町キャスター
「安倍さんの発言が、先ほど、紹介したみたいにだんだんトーンダウンしていくというのは、これは小野寺さんから見たら、ある意味、普通のことと見たらいいのか?実際にうまくいっていないなと、どう受け止めていますか?」
小野寺議員
「たとえば、一定のゴールが12月にあるとして、9月で、ここでしっかりと話し合いをしましょうねということで、合意をした場合には、まだ、何か月もありますよね。そうすると、よし、この先、話をしていけばうまくいくかもしれないといろんな期待もあると思います。ただ、日1日、1日と、その締切りに近づくにつれて当然、具体的に、どうギリギリやるかということになっていくと難しい問題、現実に戻る問題、そういうのが次々と出てきます。特に安全保障の問題とか、主権の問題になると相当、これは簡単ではない。しかも、トップが合意して、はい、という話ではなくて、そこから、法的な整理も必要になります。いろんなことがあるのがいろいろわかってくると、これはすぐに握手して、お互いに素晴らしい、ハラショーの世界ではないというところになれば、こういうトーンになってくるのは普通だと思います」
反町キャスター
「サルキソフさん、いかがですか?総理の言葉が元気がなくなっていく。これをどう思いますか?」
サルキソフ名誉教授
「私は、小野寺先生の見解に非常に近いのですけれども、私は、3つの段階で、ソチ、ウラジオストック、現在。ソチとウラジオストックは総論的に合意していたのですが、総論ですよ。だから、手応えがあるとか、道筋が見えてきたとか。ただ、現在は各論に入っちゃったんです。各論に入るといかにも難しくあるかという、ようやくやっとわかったんですよ。だから、トーンダウンというのは悲観的になったわけではなく、いかに難しいかということをよく理解をしていたんですよ。これに関連して現在の話には経済協力とか、領土というのは平行、進まないとダメだという、それは古い考え方です。それはなぜかと言うと、一体にして不可分。これが同じという基本的にはその道筋の、1つのやり方だという意味で。つまり、これは鶏と卵、どちらが先かという話になってしまうんですよ」
反町キャスター
「それは、我々はこだわるんですよ。よく食い逃げ、食い逃げと言ってしまうではないですか。そこのところですよね?現在の鶏か卵かという話は」
サルキソフ名誉教授
「そういうことですよ。だから、そうではなくて、私、覚えているのは車の二輪という説もあったのですけれども、私の大先輩、残念ですが、亡くなられたプリマコフという元総理が、車ではなく、自転車にしましょうという。つまり、行く先はこれにして、これも動くようになるのではないか。つまり、同じように動くものにするのですから。ただ、どちらが先か、どちらをあとにするかということ。この話はあまり効果的ではないという話で、つまり、だから、プーチン氏のインタビューで明らかに出てきたんですよ。つまり、まず雰囲気をつくりまして、ロシア人にも納得させるような根拠を出し、こういうことを日本とロシアの友好は大変な実りを生み出しているから、そのために領土を全然つまらない問題だという、そういう雰囲気にしないと結局、2島でも、1956年の共同宣言では義務ですけれども、ただ、引き渡すことが難しいという、その論理ですよ」
反町キャスター
「その話でいくと、現在の車の両輪という話でいくと先ほど、食い逃げの話になるのですけれども、ここに出てくると思うですけれども、経済協力が先に立って、ある程度いい雰囲気をつくれないとダメだよという、ここに出てくる。このプーチン大統領は、経済協力などをして、平和条約を締結し、それから、領土問題に入ろうという、こういう思いでいたということでよろしいですか?この順番」
サルキソフ名誉教授
「順番はそうですけれど、ただ、1つ、非常に大事なポイントがあります。確認をしなければならない。今回は経済協力で、経済支援ではないですよ。日本と対等な立場でその領土を開発しましょうと。ロシアにないことは日本にある。日本にないことはロシアにあるのだと。そういうことで、いわゆる補完で、自然的に補完性があるから、それ十分に発揮しましょうという意味ですよ。つまり、タダ乗りという意味はないです、今回はね。10年前の話でしょっちゅう出ていたのですけれども、ただ、時代は変わったんです。時代が変わりました。そうすると、いろいろ経済的にもGDP(国内総生産)を見ると、特に購買力で計算すると日本は3位ですけれども、ロシアは6位ですよ。落ち込んでいるのですけれども、ただ、かなりまだ経済(力)はあるんですよ。原油だけではない。原油は60%です。それはわかるのですけれども、ただ、だんだん強くなってくるんですよ」
小野寺議員
「ただ、日本の世論、私達の考えからすれば、当然、経済協力も大切ですが、領土問題が両方動かないと、たぶん国民は今回、日露の一定の方向の合意には納得しないと思うので、おそらく総理は当然、この領土問題が進まない限り、なかなか経済問題だけ先というのは、これも国民には説明しにくい。ですから、両方をうまくまわるように現在、一生懸命、領土問題の後押しをしていると思います」
石郷岡氏
「先ほど、食い逃げという話がありましたけれども、食い逃げとか、そういう話が出るようだったら領土問題は解決しません。基本的にプーチンさんの言い方をすれば、両国民の間で、ある種の信頼的関係、信頼的感情がなければ還さないですよ。特にロシア側は実効支配をしているわけですから、決裂しても構わないわけですよ。損はないですよ、島に関しては。だから、島に関してはそういうことを話すという場合には還したあと、お前、還したか、どこかに行け、というような態度をとられたら、ロシアとしては面目丸つぶれだし、そんなのだったら解決しないですよ」
反町キャスター
「そうすると、実効支配しているロシア、プーチン大統領が、2つにせよ。2プラスアルファにせよ。何らかの形で持っているものを、日本側に、彼らの言葉で言うと引き渡し、僕らの言葉で言うと返還するためには、その前提となるような経済協力ないし、信用を醸成する措置みたいなものをたっぷり長くじっくりやらないと平和条約にいかないし、島にもいかない。こういう話になるのですか?」
石郷岡氏
「そこは難しいですけれども、経済をいじれば、うまくいくということはないと思いますね」
反町キャスター
「2国間の信頼醸成のためには?」
石郷岡氏
「経済もあるし、それから、ある種、国際情勢もあるし、それから、領土問題に関しては新しいアプローチと言った場合には、4島返還をおりるかどうかですよ」
秋元キャスター
「日本側がね。諦めるかという意味ですよね?」
石郷岡氏
「ええ、そこでは日本の政府内部では一致点がなかったと見ますよね。新聞で出てきた2島返還はまとまっているのですかと僕は聞きたいです。でも、それが出てきて、テレビでガンガンやるわけですけれど、4島返還でなければダメだと言っていた人がなぜ黙っているのだろうと思いましたよね」
小野寺議員
「いずれにしても、結局、2島にしても、4島にしても、経済協力は先にしても、相当いろんな日本国内では圧力、あるいは非難、いろんなのがくると思います。ですから、これは乗り越えていけるということが前提ですので、この問題というのが、決して全員が拍手するような結論はたぶんありません。そうすると、これは仕方ない、あるいはこれはおかしい、そういう声を一身に受けて、それでも将来のことを考えたらここで1つの結論を出すべきだという、そういう腹を持って、安倍総理は話をしていますので、当然、100か0で勝つことはありませんし、100か0で負けることもない。そういう中でいずれにしても厳しいことを受けることを覚悟でこのまま、逆に言えば、放置すれば実効して支配しているロシアの方に時は有利になりますから。ここで手を打ちたいということですので、今回の交渉の結果にすごく期待が高くて、いきなり予想をしているよりも素晴らしいことが一気にくるということは当然、私どもは想定してはいけない。厳しい交渉の中、だけど、よく見れば、これは日本にとってもプラスになる。そういうことの決着ができるように、現在、一生懸命に交渉していると思います」
反町キャスター
「石郷岡さんが言われた、決着に向けて、まず4つというのを諦めるというのが前提だという話でしたよね。それはどうなのですか?これまで」
石郷岡氏
「ちょっとそれは違うのですけれども、4島でずっとがんばるというのも1つの選択ですよ」
反町キャスター
「それは永遠に平行線を辿ってもいいという覚悟のうえですよね?」
石郷岡氏
「そう言う人もいますね。もうやめようではないかという人もいるし、そこはどちらにするかは国民、もしくは政府内で一致をしないと、それはなかなか交渉できないと思う」
反町キャスター
「事態を動かすためには、4つを丸々は諦めなさいという主旨の話ですよね。そうしないと事態は動かないよという意味ではないですか?」
石郷岡氏
「ちょっと先ほどの話になってしまうのですけれど、Win-Winの話ですけれど、ロシアは双方に受け入れられる解決案を出したんです。それを何年かは忘れましたけれど、それはそれで議題にあがって、首脳会談に文書で決まっちゃったわけですよ。皆、言っているわけですよ。そのことについて日本側が非常に鈍感で意味がわかっていないのですが、双方に受け入れられるというのは、双方が譲歩するということですよ。譲歩すると言っても、ロシア側から見ると、譲歩というのは4島(返還)から降りるしかないでしょうと。それを4島の主権とか言い始めたら、双方に受け入れられる解決案は、しないのだとなると、プーチンさんは少し引いて強硬派になりますよね。その状態だと思うんですね。だから、どちらでもいいと思いますけれども、どちらにするのかというのを国民的に議論をしないと。そちらの方が先だと思いますね」
反町キャスター
「その議論なくして、日露交渉に臨んでいる印象を受けますか?」
石郷岡氏
「受けますね。その前に共同宣言までいっちゃうんですよ」
反町キャスター
「でも、石郷岡さん、政府はこれまで戦後ずっと60年とか、70年。北方領土を取り返そうと、不法占拠だとずっと言ってきて、それをちょっとここにきて、急に、安倍政権になりました、ここは不法占拠と言っているけれども、実効支配はロシアがしているし、事態を動かすためには4つ丸々というのは無理だよと。誰が言い出すのですか。こういう話ですよね」
石郷岡氏
「ロシア側が、それを安倍さんが匂わせたととったと思いますよ」
反町キャスター
「サルキソフさん、先ほどの石郷岡さんの話。まず話をするのだったら、日本は4つ丸々とるというのは諦めるという選択肢も視野に入れながら、そこの協議に臨むかというのがポイントという話だったと思います。ロシアは、安倍さんはもしかしたら、そういう想いを持って、この交渉に臨んでいるのではないかという期待感を持って、安倍さんをお迎えした、迎えたかどうか。そのへんのロシアの、今回の交渉の入り口における安倍さんに対する見方というのはどうだったと感じますか?」
サルキソフ名誉教授
「安倍さんに対する見方というのは、日本の歴代総理大臣の中で、彼は初めて新しいアプローチを提案して、新しいアプローチというのは、価値観が違ってくるから。価値観というのは数量的なアプローチではなく、質的なアプローチですよ。つまり、関係が良ければ良いほど数字の問題も、たとえば、2島とか、3島とか、こういうことは解決されるのではないかということで。だから、7日のインタビューでは、彼が言っていた。もちろん、いろいろ苦労して、私もまとめていたのですけれども、彼なりの道筋というのは明らかにかなり単純です。1つは平和条約です。平和条約を締結しなければ、絶対に必要であるということを言っていたんですよ。ただ、平和条約を締結するためには、2島返還という問題もあるでしょう。だから、返還をするんですよ。これにいろいろ条件をつけているのですけれども、たとえば、条件とか、もうひとつは主権の問題。主権の問題は、急に出たのではないですか。ウラジオストックまではあまり出てこなかったのですけれども、どうして出てきたのかということを、私もあまり理解できないですけれども。おかしいと思いますよ。引き渡す場合は主権を引き渡す。それはあたり前のことだと思いますが。ただ、1956年の共同宣言に基づいて、平和条約を締結するための道筋があるわけですよ。そう簡単ではない。そのインタビューでも言っていたわけですけれど。ただ、努力すれば、一緒になれば、それはできるのだということ言っていたんです。そうすると、あとの2島は別の話だと。否定していないですから。だから、これは道筋でしょう」
反町キャスター
「そこは否定していないと受け止められるかどうかというのが、たぶん全然違うところで、総理、完全にダメよと拒否しているのではないですか?」
サルキソフ名誉教授
「それは1956年には2島だけ入っているから、だから、4島というのは1956年の共同宣言に入っていないのだと。その意味ですよ」
小野寺議員
「いずれにしても、4島がそのまま無傷で、何もせず還ってくるということは簡単ではない。おそらくないだろう。何をどう決めるか、どう譲って、どう何をとっていくかということを考えていく必要がありますし、たとえば、国民の皆さんにも聞いていって、どうでしょうかとやっていったら結局、国民合意を得ても、それは結局、手の内が相手にわかってしまうでしょう。交渉事ですから。そうすると、本当に話をまとめようと思えば、これはトップ同士の責任で、ここでお互いに話を決めましょうということを、内々、お互いに腹の中におさめて、それに向けて、どう雰囲気をつくっていくかということを、それぞれの国内の世論でまとめていくことだと思います。ロシアにしたって領土を還すのは反対だと。住んでいる方もいますし、当然、日本は4つもともと日本のものだと言っている方もいらっしゃる。そうすると、お互いにここで信頼醸成して、お互いにこの方向でいこうと話をおさめたあとに、今度はそれを表に出さなくても、それぞれの国に戻って、自分の国の信頼醸成をして、あと押しを受けないと、そういう問題は簡単にはいかない。非常に難しい問題です。安倍総理がどういう方と会っているか。たとえば、交渉に向かう前には旧島民の方、この方々は先ほど、先生がおっしゃいましたけれども、1つでも還してほしいという言葉があります。あるいは鈴木宗男さんともお会いになりました。いろんな方とお会いになっていますが、そういう方が総理に何と言っているかということをひとつひとつ見ていくと、なるほど、こういう方向で1つ落としどころをつくっていく。そういうことも考えているのかな。そういう雰囲気は、私は伝わってきます」
反町キャスター
「そうすると、石郷岡さんが先ほど言われたみたいに、交渉に入る前の国民的な議論、論議が足りないのではないのかという指摘、それはできないものであるという。こういう話ですよね?」
小野寺議員
「国民的な議論は、これはもともと日本としての主張は変わっていませんし、日ソ間、日露間で、ずっと交渉をした経緯もあります。ですから、私どもフルセットでの交渉だ、条件だと言いますが、それでは動かない。時間はどちらに有利かというと、そこを実効支配しているロシアの方に有利だ。これを前に進めるためにはどうしたらいいか。ここが最後は政治決断で、1つの方向に持っていくしかないのだと思います」
石郷岡氏
「その話はよくわかるのですけれども、交渉の経過をたどると、エリツィンの時の川奈会談というのがあるんですよね。秘密提案をするわけですね。国民に知らされてないわけですよ。秘密提案の中身は、鈴木宗男さんによると、4島の主権はもらうけれど、還す時期、その内容については何でもいいですよと。ここで主権が初めて出てきたんですよ。この時にロシア側はグラッと揺れて、その時の結果は受け入れないという話だったんですよ。そのあとにどうなったかと言うと、鈴木宗男さんを中心として、平行協議だとか、先行返還だとかが出てくるわけですよ。それは4島の主権が無理だとするとそういう形でするしかないと。その中には4島から降りるという雰囲気が出てきたために、鈴木さん達はパージされたわけですよね。そこのところに戻りつつあるわけですよ。4島に戻ると、もし言ったならば、プーチンさんはもっと強く私達は共同宣言の2島も還しませんという立場に戻ると思います。それをどうするかですね。2島プラスアルファのアルファは、マイナス2からプラス2まで何とでもとれるような感じではあります。だから、落としどころは何かをプーチンさんは考えているし、どうも日本側は落としどころを決めていないと、落としどころは4島返還かもしれませんけれども、それでは落ちないと思います」

北方領土と『共同経済活動』
秋元キャスター
「1対1会談のポイントですが、元島民の自由訪問、4島における特別な制度のもとでの共同経済活動、さらに平和条約について話し合ったということです。共同経済活動について、ロシアはロシアの主権下での経済活動を主張しています。日本は法的立場を害さないことが前提条件としていまして、対立があるわけですけれども、この両方を満たすということはあり得るのでしょうか?」
小野寺議員
「大変難しいことだと思います。ただ、例えば海のうえですと、この周辺で漁業の問題で、お互いに魚を獲りたいねと言うと、ここは主権の問題を置いておいて、法的立場をお互いに守っていきましょうと、ロシアの漁船に関してはロシアの監視船が取り締まるけれども、ロシアの監視船は日本の漁船は取り締まらないとか、あるいはそこには日本の海上保安庁の船は入っていかないとか、そういう形での海のうえでは一定の枠組みの中でこれまでも行われているんです。たとえば、これが北方四島の中で経済活動を仮に行って、工場をつくって、人が住むということがあった時に、そこでもし何か問題が起きて、警察はどちらの警察権のもとで動くのかとか、どちらの法律に従って活動するのかとか、とにかく1つ1つのことでとても複雑に難しくなります。実際は陸上のうえで、両方を満たすような経済活動というのはそうそうない。私どもが1番心配するのは、ロシアの主権下で日本の企業だけがドンドン進出して、投資をしていくことになると、逆に言えば、食い逃げされた形になりますので、どう落とし込んでいくかというのは相当難しいと思います」
サルキソフ名誉教授
「特別の制度がキーワードです。問題が警察権とか、それは特別な制度が充実すれば、それは特区になりますから、その特区を運営する合同委員会になってしまうから、私に言わせると、技術的な問題です」
反町キャスター
「できますか?」
サルキソフ名誉教授
「できないはずはないと思います」
小野寺議員
「ただ、ロシアの主権下の中で、合同委員会をつくって、お互いいろいろな整理をして、地位協定みたいなことをつくってやるとなれば、完全にロシアの島になってしまいますから、その中で日本が経済活動で経済投資をするというのは、正直言って、私ども日本の立場から言ったら、それはなかなか受け入れられないと。まずは主権の問題をしっかりしないと、地位協定をつくって、日本人がそこで一定の地位を持って活動するということにならないように主権の問題をしっかりしなければ何のための協議かわからなくなります」
石郷岡氏
「それ以前に、どんな経済活動をするのかと。そんなのはないのではないかと思います。あの島でどういう経済活動があり得るのかと。魚の工場ぐらいで、民間資本が一生懸命出てくるような場所ではないと思います。このことはこのことで話をしていけばいいと思いますけれども、ちゃんと腰を据えて領土問題をやるべきだと思うんです」
サルキソフ名誉教授
「基本的に主権の問題はロシアの主権のもとで共同経済活動をやるということは基本的に2島とあとの2島は違うでしょう。2島については引き渡す、あとの2島に関してロシアが主権を放棄するという見通しはなかったでしょう、そもそも。だから、がっかりする必要はない。ロシアの主権はそのまま残るのですけれど、その主権のもとで、ある意味で、主権を曖昧にして仲良く開発をするとか、共通の家をつくるとか、主権はそのまま残っていて、関係が豊かになればなるほど主権の問題はたいしたものではないと」
小野寺議員
「違いますよ。主権の問題は、私どもは日本の領土として交渉しているわけですから、主権の問題が重要であって、そこで経済的に豊かになって、いい島になって、それはロシアの島です、というのが1番困るわけですから。主権の問題は、明確にして、1つのステップとして、例えばこういう問題がありますというのであれば理解できますが、その先が見えない中で、主権の問題を棚上げにし、単なる共同経済活動となれば、国民は理解しないと思います」

櫻井よしこ氏の提言:『日本の意思と力』
櫻井氏
「宮家さんがおっしゃったように、安倍さんがおそらく世界で有力なリーダーになる年だと思います。だからこそ日本がまともな国として、意思と力を持てるような体制をつくらなければいけない。それはもっと踏み込んで言うと、憲法論議をきちんとやって、憲法改正にまできちんと結びつける努力をしなければいけないと思いますね」