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2016年12月9日(金)
朴大統領弾劾か否決か 韓国人『3論客』激突

ゲスト

洪熒
統一日報論説主幹
金慶珠
東海大学教授
李泳采
恵泉女学園大学准教授
古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員
髙初輔
弁護士

朴大統領『弾劾』可決 五里霧中…韓国の『運命』
松村キャスター
「朴大統領の発言、今日の夕方の閣僚会合での発言をまとめてみました」
反町キャスター
「今日の閣僚会合での発言、ポイントとして『私の不徳と不覚により国家的混乱を引き起こし、国民の皆さんに大変申し訳ないことをしました。国会と国民の声を重く受け止めており、今の混乱が収束するよう心から望む。憲法裁判所の弾劾審判と特別検察官の捜査に淡々と対応していく』と、こういうのが今日の閣僚会合における朴大統領の発言要旨であります」
洪氏
「私はもともと朴槿恵大統領がそんなに好きではなかったのですが、一言で自業自得。憲法が大統領に命令をしている責務の優先順位を知らなかった大統領で、ポピュリズム政治で失敗になったということですね、結果的に無能で。憲法が命令するのは大統領に憲法体制を守ることと、大事な安保です。でも、これまでポピュリズム政治で、安保を無視して、くだらないところにこだわったのが、結局、自分に対して好感を持っていない国民が多数ということを知らなかった。そこで嫌悪が爆発するような事態を自ら招いたことですから。大統領の無能が招いた惨事だと、そう思います」
髙氏
「政治的にはこういう国政壟断事件というのを引き起こしてしまったわけですから。それに対しては、政治的な、大統領である立場として謝罪をするというのは当然、必要なことだと思うんですね。それとは別に、私が1番、ハイライトで聞こえた言葉というのは、憲法と法律に従ってという言葉が、非常にピンポイントで聞こえましたけれども、それに従って、憲法裁判所の弾劾審判と特別検察官の捜査に淡々と応じていくと。対処していくと。ここが法律的には、こういう立場でいくのだなと感じました。そこが1番のポイントになっていくのかなということですよね」
反町キャスター
「弁護士として、たとえば、今日の大統領の発言を聞いていると、罪を犯してすみませんと言うのではなく…、違いますよね?」
髙氏
「まったく違います」
反町キャスター
「混乱をさせていることについては申し訳ないと。ただし、私はそんなことをやっていないとまでは言っていないけれど、今日の談話とかでは。でも、これまでの発言からすると、そうだし、憲法裁判所の決定が下るまで、皆さん、がんばってくれということは(決定が)下って、もしシロとなったら、私は胸を張って戻ってきますよと。こう聞こえちゃうんですよ」
髙氏
「そうですね。そのように受け止めます。この場合、こういう形で弾劾訴追の議決書が大統領に渡った段階、手渡しされた段階で、大統領は辞任することはできないというのが…」
反町キャスター
「職務権限停止」
髙氏
「停止になって」
反町キャスター
「辞めることすらできないと」
髙氏
「辞めることができないのが、学会の立場だと思うんですね。だから、退陣を政治的には要求するでしょうけれども、憲法及び法律の側からすると退陣はできませんということになると思います」
金教授
「いや、1点だけ、その弾劾審判がいったん始まってしまえば、その裁きの対象であるのは、辞職ができないというのは国務総理以下の高官であれば、その通りですけれど、大統領に関しては、これは意見が正直言って分かれるところです」
髙氏
「分かれるとは思いますけれども」
金教授
「大統領は辞任する可能性はあるわけですけれども、その前に、強調したいのは、今日の事態は何なのかと言うのと、結局、民主主義国家において、合法的な、大統領に対して法的責任を問う方法として弾劾という仕組みが大統領制ではあるわけですね。それを国民が要求し、国会が受け入れて、その法的手続きに則って弾劾訴追案を議決したというのが今日の状況です。ですから、これからも憲法に従って、憲法審判が始まるでしょう。今、民主主義の根幹において、誤解しないでいただきたいのは、非常に政治的な混乱。これは誰の目にも明らかですけれども、今望んでいるのは結局、憲法の範囲内で、法の手続きに従って問題を解決していくと。これが一時期、政治的な野合によって任期を短縮して、与野党で合意してという、それに対して反対という明確な国民の意思を示したのは、12月3日のろうそく集会であると。そういう状況もちょっと冷静に見ないと、うわべだけで見ていると、皆で騒いで、大統領を引きずり降ろすというようなその三流ドラマにしか見えないのだろうなと思います」
反町キャスター
「李さん、いかがですか?民主主義は、日本と韓国の民主主義は違うというのはこの番組でもずっとやってきて。法治なのか、情治なのか、人治なのかという話をずっとやってきましたよ。今回は民主的な手続きがきちん踏まれていると感じますか?」
李准教授
「国民が社会の矛盾を感じた時に、もちろん、最初は政治家に期待をします。これができなかった時、自分の矛盾が解決できなかった時は何かの突破口を考えるときに、韓国の人々は声を上げるわけです。それで町に出て、それをいろんな形で訴えるわけで、最初から町に出るわけではない。しかし、これが1人だけではなくて、次の次の人に連帯を広げることで、だから、社会的世論を変える力にまでなっているんですね。今回も12月3日にあった、230万人が集まった集会ですけれど。29日、大統領声明で、これで弾劾が全部流れて与党も全部、それで大統領の4 月辞任、6月大統領選挙にいきましょうということをお互いに妥協したということです。国民がそれを許せなかった。要するに、私達が民主主義というものを、国民の世論、意見とかをどういう形で政治が受け入れるかという観点から見ると、韓国の人々は町に出ているものではなくて、現在、見ている問題は、検察、企業、社会、全ての問題に関しての、私達のつくってきた国に対しての大きな問題を実は人々が訴えるわけです。しかし、そのエネルギーは国会も大統領も、救助してくれない。だから、直接民主主義というもので社会をどこまで変えられるかは本当に疑問なのですが。しかし、情熱を持って社会が動くことは、1つの社会のエネルギーが実はあるわけです」

憲法裁判所の判断は?
松村キャスター
「国会に野党が提出した朴大統領に対する弾劾訴追案の理由、要旨が5項目あります。まず機密文書漏洩では、憲法で定められた、国民主権や代議制民主主義。刑法で定められた公務上機密漏洩に違反。財閥へ巨額資金強要では憲法で定められた財産権の保護、市場経済の秩序維持に違反し、刑法の職権濫用罪。第三者供賄罪。これにあたるとしていますね。特定犯罪加重処罰法違反、セウォル号沈没事故の空白の7時間については憲法に定められた、国民の生命保護義務違反があるとし、大統領府などの人事では、法の下の平等、公務員任免権に違反。崔被告らの国政介入疑惑を伝えた報道機関への圧力では、憲法で定めた言論の自由。これを侵害したとしています。髙さん、野党が提出した弾劾訴追案をどのように見ていますか?」
髙氏
「2004年に盧武鉉大統領が、憲法裁判所の、この場合だと、弾劾審判において憲法裁判所の判断で2つの重要な弾劾事由というのが明らかになっているんです。1つは憲法秩序を守ると。こういう観点から、自由民主的な、この秩序に違反をする、逆行する大統領の行為があったか、なかったか。それから、もう1つは具体的な選挙を通じて、国民の信任を得て、直接選挙された大統領としての国民の信任を裏切る。そういった行為がなかったかどうか。その信任を裏切る行為の1つの具体例として賄賂罪というのを具体的に、憲法裁判所は言っているんですね。そこで今回の弾劾訴追を見ますと、第三者供賄罪というのと、特定犯罪加重処罰法というのがあります。この第三者供賄罪というのは公務員の犯罪ですけれども、賄賂罪ですけれども、これについては特定犯罪加重処罰法によって、賄賂の金額で、非常に重要な刑の加重処罰が規定されているんです」
反町キャスター
「これは、職権濫用の罪からの延長線上で出てくる話なのですか?」
髙氏
「職権濫用罪、裏と表の関係に。つまり、金を出させるのに強要したのが職権濫用罪。金を出させるのに職務行為で、そう誘導したのが第三者供賄罪ということですから。同じ行為です、実は。それを強要でやったか、あるいは職務行為で便宜をはかってやったかと、こうことになるのです。もし職務行為で便宜をはかってやったということになると、これについては第三者供賄罪。刑法上は、5年以下の懲役ですけれども、特定犯罪加重処罰法によると、これは1億ウォン以上の収賄額がありますので、無期、または10年以上の懲役と」
反町キャスター
「特定犯罪加重処罰法というのはどういう法律なのですか?」
髙氏
「これは今回、問題になるのは賄賂罪ですけれど、ある特定の事件について、これは重く罰する必要があると」
反町キャスター
「それは誰が決めるのですか?」
髙氏
「国会。国会が決めて、前から決まっている法律です。そういうことです」
反町キャスター
「このケースにおいて、加重処罰法を適用するか、しないかというのは誰かが決めるのでしょう?全てのケースにおいて加重処罰法が決まるのですか?」
髙氏
「だから、公務員犯罪で、1つは、賄賂罪については金額によって。一般的には賄賂罪ということになると5年以下の懲役です。だから、具体的に言うと、3000万ウォン以下、日本円で言ったら300万円以下の賄賂の場合は刑法が適用されます。それを超えると特定犯罪加重処罰法が適用されるんです」
反町キャスター
「たとえば、今回のケース、スポーツ何ちゃらとか、文化何ちゃらとか、財団が各企業から集めたカネというのは、その額をはるかに超えていて、一応、1億ウォン、つまり、1000万円を超えているではないですか。そうすると、金額だけにおいて既に特定犯罪加重処罰法の適用要件は満たしているのですか?」
髙氏
「金額の範囲ではそうです」
反町キャスター
「この金額の範囲で満たしているということは、あとはそこに賄賂性があったかどうか。強要がそこにあったかどうかを検証していくと。そこに賄賂性があった、第3者の。賄賂性があったかとか、青瓦台の方が、秘書を通じたか、本人かはいずれかの形で、財界、企業に対してやりなさいと圧力をかけたということが、証明をされたら、1億ウォンを超えている時点で、すでに、無期という可能性が出てくるという理解でよろしいのですか?」
髙氏
「法定刑の。ただ、ここで間違えてはいけないのは、強要しただけではダメです、職務行為がないと」
反町キャスター
「職務行為とは何ですか?」
髙氏
「職務行為とは対価となる職務行為です。たとえば、税務調査で手心を加えるとか。こういう職務行為が現在、はっきり言って、具体的には出ていない段階ですよ。これについて果たして立証可能なのかという問題があるわけですね。だから、この訴追、議決はされたけれども、まだそういった証拠がきちんと揃った段階での議決ではないと」
反町キャスター
「この話というのは、弾劾を受けて、これから憲法裁判所で審理が進むと思うのだけれども、審査が進むのだけれども、この憲法裁判所自体が、言われたような、賄賂性とか、見返りがあったのかどうかというところの、いわゆる職務権限が、あるのかどうかを調べる能力については、多少問題もあるから、こちらで特別検察官がやった結果というのは、ここはまったく別の組織ですよね?ここで調べた結果というのはそのままこちらの判断に反映されるのですか?」
髙氏
「訴追者が誰かと言いますと、国会の司法委員会ですね。国会の司法委員会の委員長が、いわば請求人となって、憲法裁判所に訴追するわけです。それに対して、大統領側が弁論で反論するという格好になるわけですけれども、訴追側は検察、既存の検察の証拠ですとか、あるいは特別検事による捜査の結果を活用はするだろうと思います」
反町キャスター
「これからいろいろ調べていかなくてはいけない。しかも、主体になるのは、特別検察官になる気もするのですけれども、言われた職務権限の問題とか、賄賂性があったのかどうかということをきちんと証明できるかどうか、ここですよね?」
髙氏
「そこです」
反町キャスター
「それを、要するに、できますか、どう思いますかという質問をするのも無茶なんですけれども」
髙氏
「何日か前、国政調査における各企業の総帥達の対価性の否認というのがありましたよね。つまり、見返りに職務行為を要求したことはありません、と述べているところからすると、対価性とか、職務行為を具体的に想定していたかということに関しては、かなり証拠の面から言うと、まだまだはっきりしないなという点がありますので」
反町キャスター
「議会証言を踏まえての話ですよね、この間の9財閥が来た時の?」
髙氏
「はい」
反町キャスター
「それを、今度、たとえば、この人達に同じように、また特別検察官が聴取して、聞いて、実は国会ではそう言ったけれども、対価があったと言いますか?」
髙氏
「ただ、今回の起訴状の中に、朴槿恵大統領と共謀してという言葉を入れたんですよね、起訴状に。と言うことは、共謀してという言葉を入れたということは、それなりの証拠があっての話でないかと考えるのが普通ですよね。そこで、安鐘範被告の手帳というのが話題になっていますけれども、あの中に具体的に、どのような指示の記載が、内容があるのか。そこに職務行為を特定するような何か記載があるのかどうか。このへんも証拠を見てみないとわからない」
反町キャスター
「では、証拠を見てみないとわからない。捜査の結果きちんとした証拠を裏づけできるかどうかがわからない前提で、この憲法裁判所の、審理の話ですけれども、9人裁判官がいて6人以上が、これは弾劾だと決めなければ弾劾にならないという段取りになっていますよね。途中で任期が切れるので、2人ぐらい欠ける可能性が(あって)、最終的には7人になるかもしれない。7人の中の6人が弾劾に賛成と言わなければならないという、こういう中で、7分の6、ないしは9分の6という高いハードルで、弾劾が可決されるのかどうか。ここは過去において盧武鉉さんの時には数が足りなくて棄却されていますよね。要するに、棄却の可能性と弾劾を決定する可能性というのは、言われたように証拠だけできちんと決まるのか。きつい質問だと思いますけれども、韓国の司法制度において、証拠だけできちんと決まると、我々は信じていいのかどうかという根本的な疑問から聞きたい。どうなのですか?」
髙氏
「私は決まると思います。証拠がなければ、弾劾は棄却されると」
反町キャスター
「そうなると、言われたみたいに見返りがあるかどうかの話、職務権限があるのかどうかということを、きちんと証明できなければ、朴大統領は今日の談話でも言っていたように、憲法裁判所が終わるまで、皆がんばってくれと言っているわけですよ。つまり、憲法裁判が終わってシロだったら、戻ってくると言っているようなものではないですか?そういう主旨だということですよね?」
髙氏
「そうだと思います」
反町キャスター
「勘で聞くのも変ですけれども、メディアの情報だけでシロ、クロどうですかというのは無茶な質問だとは思っていますよ。でも、髙さん、これだけの材料の中で、はっきりとクロまで持っていけるかどうか。どう思いますか?」
髙氏
「かなり難しいと思います、私は。少なくとも特定犯罪加重処罰法に関する、この第三者供賄罪を立証するのはなかなか難しいのではないかなと感じています。だから、果たして弾劾が認められて、罷免決定が出るかどうかはなかなか難しいなと」
反町キャスター
「もしかしたら、朴大統領はそこまで見越して…」
髙氏
「おそらく朴大統領としては、そこまで考えて対応しているのだと思います」
反町キャスター
「その時に、たとえば、また今度は、韓国の裁判所の周りを230万人が囲む可能性があるわけですよ、これまでの経緯を見れば。国民の世論なるものが大統領、韓国の議会を動かした、国民世論なるものが司法制度の判断に影響を及ぼさないと、そう思っていいのですか?」
髙氏
「私は思いますけれども。ただ、国会をデモで囲むのはいいと思うのですが、裁判所をデモで囲むのは好ましくないと」
反町キャスター
「でも、やっていましたよね?産経の時だってやっていましたよね?」
古森氏
「やっていました。暴力まで振るわれたじゃない」
反町キャスター
「止めなかったですよね?裁判所の、担当の人達は」
金教授
「いわゆる市民団体の政治運動の話と、それから、いわゆる今回の弾劾を求める国民のデモ、若干、質的に違うと考えた方がいいと思います。問題は何らかの政治的な目的を持って裁判所の前で、あるいは国会の前で何らかのデモを行うということは、法に則って違法性をきちんと判断をしていけばいい問題ですが、今回の、ろうそく集会の1番の特徴と言えば、なぜあれで暴力的な衝突が起こらなかったのかと言うと、これは右、左の違いもなく、政党支持も関係なく…」
反町キャスター
「デモの質的な問題ではないですよ。司法や政治の決定に影響を及ぼすかどうかと言っているんです」
金教授
「反町さんの質問自体が、韓国は結局、弾劾裁判所でどんな判断が出されても、国民がまたそこを囲むのではないのですか、そこをどうやって担保するのですか、ということですよ」
反町キャスター
「担保ではないですよ。囲まれた時に司法がどういう判断を下すのか。その時に法と…」
金教授
「その過程に意味があるか、私はよくわからない、現時点での質問で。明らかにすべきは憲法裁判所がどういう判断を…」
反町キャスター
「韓国の司法制度に対する信頼性を議論しているんですよ。韓国の司法制度が、本当に信頼に足るものかどうかということを、僕はここで聞いているだけですよ」
金教授
「だったら、裁判所の判断を仰ぐべきであって」
古森氏
「事の本質ですよ。デモをしたのは何なのかと」
李准教授
「国民あっての国会であり、大統領であり、憲法裁判所です。それがいくらでも法律的な解釈はできるのですが、先ほどの髙先生の話ではないですけれども、聴聞会をずっと見ていた時に、たとえば、コ・ヨンケとか、チャン・テクとか、検察の調書の中には実はいろいろ認めているものがあったのですが、聴聞会は実は全部否定していました。だから、聴聞会というものは国民に対しての政治的な、意見を述べる場であって、実はサムソンとか、ロッテとかは既に報道されている、あるいは事実確認だけでも、当時、サムソンとか、次の後継者のために合併する、この手続き。また、ロッテが置かれている場所が、短期的な利益には見えないかもしれませんが、何らかの目的によって、当然、大統領と対面していますし、その結果が出ること自体を検察は様々な判断をしたのですが、時間が足りなかったので、起訴状には入れませんでした。そういうような事実は現在の韓国検察なのですが、この3年以上、李明博大統領を見れば、8年間、保守政権を守ってきた検察官です。その人々が全部、大統領を守っています。しかし、その検察が自ら大統領は共犯であり、主犯であるまで入れるという判断は相当、検察の中にそのような証拠があるから、そういう判断をされたということだと思います」
洪氏
「まず今日、国会での起訴。これはとても法律的無理だと思いますね。群集心理、それを利用して、だから、私は憲法裁判所の方に行けば、落ち着いて、冷静に法律専門家として判断を出すことを期待しています。ただ、ここで問題は今度、致命的な、決定的な、国政壟断の証拠として出された、いわゆるタブレットPCの存在は、疑わしくなりました。どこからどう得たのか、それが本当に崔氏が使ったものなのかもはっきりしていないですね。だんだん怪しくなっています。それから、先ほど、権力が無理やりお金を出させたのか、財閥に。それは、私はないと思います。と言うのは、たとえば、財閥はオリンピックにもスポンサーとして企業のイメージなどを広告するものですから、文化事業はやります。金大中政権の時には、今度問題になった金額の7倍を募集しています。盧武鉉政権は25倍以上募集して、全部費やしているんです。だから、これは問題にならないし、致命的でも…。先週ソウルで取材をしたら、これを集めたと言う韓経連、日本の経団連ですね。それの内部の関係者の話では、圧力ではなくて、経団連が進んでやったという証言まで出ています。新聞、メディアの報道ばかりを集めて起訴状をつくるのがまともなことなのかと私は申し上げたのですが、国民の怒りでの弾劾の訴追はいい。でも、憲法裁判所が冷静に、証拠を見て判断をすればいいと」
古森氏
「街頭で起きたこと。これが国民の声だと言うのだけれど、国民なるもの、街頭に出てきている人は一体どういう人なのかと言うと、私のよく知っている人がろうそくデモというのに出て帰ってきて教えてくれたのだけれど、ビラがあって、そのデモに入って歌を歌うと。この歌の作詞・作曲をやった人が、ユ・ミンクスといかいう人で、有名な北朝鮮シンパで、金日成さんは人類の太陽だという歌をつくった人の歌を、また、今回使ってデモをやっている。2番目は、この1番大きなデモを組織している中心にいる1つの全国民主労働組合総連盟という、これはこれまでは非常に北朝鮮に同情を持った政策を唱えて、たとえば、在韓米軍は撤退せよとか、北朝鮮が求めるような形で韓国は統一した方がいいというようなことを言っている団体で、北朝鮮のシンパと思われるような人達が非常に強く動いているという。非常に政治性が強い。だから、現在、韓国の普通の国民で、北朝鮮、金日成を称える歌が1番いいと思って、一緒になって歌いたい人が何パーセントかはわからないですけれども、過激な政治性を持った動きが、いわゆる街頭デモと言われる現象の中に強烈にあるのだということは、この問題の事実関係だけを争うだけではなくて、政治の戦いで、イデオロギーとか、場合によったら大韓民国という政治の体制そのものに挑戦している人達が、このデモに入って、煽って、民主的に選ばれた、それこそ成熟したような民主主義で選ばれた、現在の大統領を引きずり降ろそうと。北朝鮮に有利に物事を運んでいこうという動きがあったとしたって何もおかしくないですよ。だから、そういう部分も見ないで、民衆、民衆と、一枚岩で皆、無邪気で、悪いことはいけないですよと言っている人達の集まりだと見るというのはあまりにも非現実的だと思いますね」
金教授
「そういう見方がまず、あるわけでもないし、古森さんがおっしゃったような、そういう、いわゆる親北朝鮮的な、シンパの人達が主催しているというのはその通りです。初期からそういった批判を言うのは随分ありました。主催者側である民主総決起本部かな、全国の1500ぐらいの市民団体を束ねて、集会をやっていると。なので、これは当然、極左の、北朝鮮のシンパであるという政治的な攻撃があったのは事実です。最初だいたい1万人から2万人集まった段階であった話ですね。ところが、これがみるみるうちに10万人、20万人となっていく。それから、100万人となって、さらには人数、不正確ですけれども、200万人前後の数字までなっていくと。今回、1番大きな特徴は、政治的な対立やお互いの闘争がなく、実際、老若男女が出てきたと。主催者側がどのような意図で主催をしたのでれ、そこに多くの国民が賛同した。これは否定できないです。問題はこれまでそれで弾劾まで持ち込むことができたと思います。しかし、これからはいったん弾劾が終わって、韓国の政治、政局、次の大統領選挙、こういったものに動いていくに連れ、たぶんこの民衆というものもそれぞれの政党、それぞれのイデオロギーに従って分化していく可能性は十分あります」

『次期大統領』行方
松村キャスター
「ポスト朴の話ですが、韓国世論調査機関リアルメーターが行った最新の調査ですけれども、トップに盧武鉉元大統領の側近で前回の大統領選で朴氏に惜敗しました野党、共に民主党の文在寅前代表です。今月、国連事務総長の任期を終え、来年1月中旬に帰国すると伝えられている潘基文氏。また、日本は敵性国家とSNSに書き込むなど、過激な言説から、韓国のトランプとも呼ばれている李在明城南市長が3位となっています。このような世論調査ですけれど、次期大統領選の行方、洪さん、どのように見ていますか?」
洪氏
「私は全部これは外れると思います。と言うのは、これまで韓国では文在寅氏よりはるかに高い支持率を持っていた候補が予備候補を降りたケースが何度もあります。出馬もできなかったこともあります。それから、文在寅氏の基盤は、これは盧武鉉政権の基盤を受け継いでいるのですが、文在寅氏が、たとえば、強力な別の候補に苦戦すると思う時は、彼はすぐ降ろされます。そういう構図ですから、先ほど、李在明氏を韓国のトランプと言っているのですけれど、これはとんでもない。トランプに対して名誉の問題です。李在明はそういう人ではないです」
反町キャスター
「どちらに対して失礼なの?」
洪氏
「トランプに失礼です」
反町キャスター
「洪さん、この5人の中から次の大統領が出てこない?本命は誰だと見ているのですか?」
洪氏
「国民は、有権者の多数は本当に新しい人を望んでいると思います」
松村キャスター
「ここにいない人ですか?」
洪氏
「そうです。だから、結論的に、韓国で、朴槿恵大統領になったのは、朴槿恵氏が有能だと、朴槿恵氏を選んだわけではないんですよ。朴槿恵氏より文在寅氏が恐ろしいということで仕方なく朴氏を選んだ。現在この中で、そういう現象がこれから起きるかもしれませんよ。この半年の間に何が起きるかわかりませんよ。もし何かのきっかけで、新しい国民が納得できる人物が出るのだったら、ここに出ている人はその人に負けます」
金教授
「ここに挙がっている候補者、全員が左派政権か野党系ですよね。そういう意味で、セヌリ党…」
反町キャスター
「潘基文さんも野党系?」
金教授
「潘基文さんは、どちらか怪しい」
洪氏
「どちらかと言えば、そちらに近い」
金教授
「ちょっとわからないです、潘基文さんは。ただ、いずれにせよ、セヌリ党が1番恐れているのは、何かと言うと、結局、支持者も含めて、韓国の保守がこのままでは崩壊してしまうと。その政治的な保守勢力を建て直さないといけない。今回、非主流派が弾劾に賛同した大きな理由もこれで約6か月の時間が稼げる。現在のままで選挙に突入すれば、野党が完全に勝利するのが目に見えているので、この間に朴槿恵大統領陣営を切り離して、もう1回、再創党なり、新しい党をつくるなりして、保守を建て直したいという思惑があります。そういった意味で見ると、今回の一連の状況において左派が反射利益を得て、保守が崩壊したという、この構図のように見えるのですが、洪先生がおっしゃったように、この建て直し、シナリオが変化する可能性というのがいくらでもあると」
反町キャスター
「誰が出てくるのですか?」
金教授
「問題は、文在寅さんがずっとトップと言うけれど、ずっと(支持率は)2割からそんなには出ないんです。一方、潘基文さんは本当に右か左かよくわからないし、1月に韓国に帰ってきたら、セヌリ党の非主流派と組むだろうとは読んでいるのですけれども、まったく具体的な行動を示していないにもかかわらず、現在2割近く、他の世論調査だと2人とも20%台で並んでいるんですね。なので、今後の大統領選挙というのはここにいる人達の戦いというより、まず大きく保守とリベラル、右と左の政治的なイデオロギーの対立の中で、リベラルはリベラルで候補者を挙げてくるでしょう。文在寅さんはダメだと思ったら、次の候補者が出てくる可能性があるし、保守も保守で、とりあえず現在、潘さんは支持率が高いので潘さんを担ぎ出すと思いますけれども、他の候補者を立ててくる可能性はいくらでもある」
李准教授
「昨日までは、実は今おっしゃったような、誰になるのかがわからなかったと思ったので。今日は歴史が変わった日です。まさに大統領が国会で弾劾が可決されたので、全部状況が変わっているんですね。しかし、この票決が202とか203ではなくて、234票まで引っ張り出したのは野党の力です。野党、民主党はその中心が、文在寅さんですね、だから、今回もしこれが否決とか、弱かったら、たぶん野党の力に疑いがあったし、非常に、そうすると、また、分裂する可能性があったんです。しかし、圧倒的に結果を出したのは、野党のある程度の評価です。それが、まさに文在寅さんの力が今回、発揮されたのですぐに大統領選挙をすると文在寅さんが有利です。1番人気もあります。しかし、先ほど、たとえば、李在明さんという人は、キャンドル集会の中で、民衆は、誰か英雄をつくるわけですね。その中で成長したのは、私は、李在明さんはトランプ氏ではなくて、バーニー・サンダース氏に近い人です。まさに民主党の中で、ヒラリー・クリントン氏とバーニー・サンダース氏の(対決の)時、誰が当選された方が良かったのか。クリントンさんは安定的ですね、カリスマが何パーセントか足りない。しかし、もともと現在の国民が要求する問題とは離れているんです。しかし、バーニー・サンダース氏は労働者から、あるいは白人中産層の人々の心を捉えているのに候補にならなかったので、逆に反発になったのですが、李在明さんはまさに韓国の庶民的な心を捉えている人です。だから、野党の中の候補選で、必ずしも文さんが勝つ、ある程度の可能性が低いのはハンジュという韓国の民主化運動の聖地だと言われる地域が4月13日の選挙で文さんを捨てたと言うんですね。今回もキャンドル集会で1回も舞台に上がらなかったんです。そうすると、韓国はハンジュの人々の支持が、野党民主党にある程度の正当性をくれるのだったら、その場合は内部の予想で国民の5割ぐらいが入る、世論選挙をすると、李在明さんの方が勝ってしまう可能性がある」

『慰安婦』合意への影響
反町キャスター
「野党が青瓦台を獲ったら、慰安婦合意を破棄しますか?」
李准教授
「大統領によりますが、李在明さんが当選されると白紙状態に戻ると思います。それはそうせざるを得ないですね。なぜかと言うと、李在明さんは現在、朴槿恵大統領が行った全てのことを否定しなければいけないということが、現在、韓国の1つの世論でもあるわけですね。慰安婦問題が正しいかどうかは別にして、李在明さんは民衆の中から生まれた人としては、全てを否定しないといけないことになる。文在寅さんの場合は、少し状況が違うんです。国家間同士の合意が守られるべきことは当たり前ですが、たとえば、日本だって日中国交正常化の時に尖閣の問題を棚上げにしようという合意が、時代によって、状況によって、それが領土問題になって、それが消えてしまったこともあるんです。合意と言うものが」
古森氏
「いや、尖閣問題で日本は棚上げしていませんよ」
李准教授
「それは、事実的に、日本だけが合意を守ってきているわけではないです。文在寅さんの場合は、金大中大統領から日本と友好関係をつくってきているわけではないですか。だから、その政策を継承している人でもあります。ただ、慰安婦問題に関しては最低限、1番韓国の国民が不安に思っているのは、謝罪のあり方ですね。首相が慰安婦の当事者達に何らかの手紙か、直接会って、謝罪する行為という形で、再交渉を要求することはあるかもしれませんが、民主党になったからと言って全て白紙に戻すことは、これまで外交能力をもってきている民主党としては、国民の世論とは、現実は違うということがくることがあると思います」
洪氏
「騙されてはいけないのは、文在明さんは、彼が言い切っているのは、民衆革命を煽動したんですね。それは韓国の検事が法律を的確に適用すると、内乱煽動です。文在寅さんは連邦制にすると言っていますよ。国際社会の敵の金正恩氏と。そういう政権の下で何が起きるのですか。開城工業団地を再開するとか、慰安婦問題ではないです。安全保障の問題です。この大きな安全保障の問題を見ないで、慰安婦を蒸し返すのか。こんな議論に集中するから、日本のメディアもおかしいです」
反町キャスター
「韓国国民が次の投票行動に、北の問題を重要な判断材料にしますか?」
洪氏
「だから、メディアの乱と言うのですよ。核武装などを敢えてメディアが徹底して封印して、こういう大統領のスキャンダルばかりをやるから問題です」

洪熒 統一日報論説主幹の提言:『煽動に騙されるな』
洪氏
「メディアの乱と申しましたが、このメディアの乱の中心が実は韓国で1番大きな新聞の朝鮮日報です。朝鮮日報の重要な幹部とオーナーが私的な恨みのために、喧嘩を始めたのが、このように発展したんですね。だから、そういうことを、これから韓国は、もっと大事なことがたくさん起きると思います。そういう時ほど、こういう煽動に騙されると冷静な議論ができなくなるし、収束ができなくなります。騙されるなと言いたいです」

金慶珠 東海大学教授の提言:『民主主義』
金教授
「何をもって先進国かと言うと、経済力だけではなくて、民主主義の成熟度だと思います。韓国はGDP(国内総生産)だと世界11位ですけれど、未だに先進国になっていないと国民が感じるのは、成熟した民主主義がまだ達成されていない。しかしながら、私は今回のことを機に、明らかに韓国はその方向に向かってまた一歩進むことになると思っています」

李泳采 恵泉女学園大学准教授の提言:『主権在民』
李准教授
「まさに権力は国民が持っていますし、いくら強い権力も国民との信頼性が崩れるとどういう目に遭うのかよく見えたと思います。日本はもちろん、韓国の慰安婦問題だとか、国家観で見ているかもしれません。日本も国民が権力を持っている視点から韓国を見ると、まさに国民同士の連帯感が出てくると思います」

古森義久 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の提言:『離れて、優しく』
古森氏
「離れて、優しくというのは、日本側は、韓国というのは大事な隣人であるけど、ウッと思うような違うところが出てくるのではないかと。ある程度、距離感を持っていた方がいいと。しかし、いろいろな共通点も多いから、優しい目、優しい態度で接していきたいと思います」