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2016年12月8日(木)
陸海空元3将官に聞く 真珠湾75年の同盟論

ゲスト

古庄幸一
元海上幕僚長
火箱芳文
元陸上幕僚長
織田邦男
元空将 元航空支援集団司令官

陸・海・空 元3将官に聞く 『真珠湾75年』の国防論
秋元キャスター
「今日12月8日は、太平洋戦争の発端となりました真珠湾攻撃から75年目の節目の日です。安倍総理は、今週月曜日、26日からの真珠湾訪問を発表しました。安倍総理は、訪問について『犠牲者の慰霊のための訪問だ。日米の和解の価値を発信する機会にしたい』と説明しました。一方、ホワイトハウスも『かつての敵国同士がもっとも親密な同盟国となり、結束しているという、和解の力を示す場となるだろう』と。両国共に戦いの末に築いた日米関係の意義を強調する形ですけれども」
反町キャスター
「古庄さん、オバマ大統領が広島に来て、安倍さんがパールハーバーに行く。これはどういう流れに見えますか?」
古庄氏
「オバマさんが最初に広島でああいう祈りをしてくれた。そのお返し的なところも、流れとしてはとれます。だけど、それだけではないということで、きちんと犠牲者を弔うということに私は意義があると思います」
火箱氏
「安倍総理が行かれるのは、いわゆる日米というものに対する総決算と言いますか、これで、また、基本的に未来志向に向かって行こうという、日本の政府としての意思表示と、私は捉えています」
織田氏
「私は1ソルジャーの立場からするとちょっと割り切れないものがある。と言うのは、広島の原爆と真珠湾を同列に報道している。それは安倍さんはわかっておられると思いますけれども、大きな違いですね。真珠湾というのは戦争行為の中の1戦闘局面ですよね。ですから、先人達は非常に難しい作戦を立てて、軍事目標だったわけですね。一方で、広島というのは、まさに無辜の民、ジュネーブ条約で禁止をされている一般の民衆を含む不特定多数の国民を爆撃しているわけですね。そこは、私は一緒に捉えてもらいたくない。しかしながら和解の、心の棘をとるということは日米で意義のあることだろうなと」
反町キャスター
「今日は12月8日、真珠湾攻撃の日です。今日は、外交的なところではなく、作戦として、オペレーションとして、当時の日本の国力をもって、国力の中のどのくらいのものを割いて、真珠湾に向かったのか。立案して、実際行った作戦の結果というものが、日本の当時、正規空母の中でも大半ですよね。残ったのは翔鶴、瑞鶴ぐらいですか。空母6隻を使って、それで354機の飛行機をもって、ハワイを攻撃し、戦艦9隻撃沈。中、大破は15隻。航空機300機撃破して、特殊潜航艇の活躍もあったのですけれど、こういう大きな絵図を描いて、アメリカに対してチャレンジしたというこの作戦の立案、並びに内容、戦果について、軍事的な側面にだけに絞って聞きたいのですけれど、真珠湾攻撃の日に敢えて聞きます。古庄さん、この作戦をどう評価されますか?」
古庄氏
「作戦の目的、山本(五十六)さんが考えていたことは、日本の国力と言いますか、たとえば、油の備蓄量ですとか、いろんなことからして、長期の戦は到底できない。ましてやアメリカとはできないという、山本さんは立場に立っていた。それで自分が連合艦隊司令官になった瞬間に、国が決心して戦うとしたらどうすべきかという目的を考えたわけですね。短期間にアメリカと講和に持ち込むためには全力を挙げ、しかも、これまでやったことのない空母機動部隊をもって主力部隊を全部そこにつぎ込んだ。これは非常に作戦目的としては、私は正しかったと。ただ、目的を達したかと言うと空母をまったく捉えられなかった。それから、向こうの備蓄している燃料をまったくやらなかった。だから、現場の指揮官と連合艦隊司令部の作戦目的に、達成をどうするのかというところに乖離があったのではないかなと思います。だから、結果としては、私は失敗だったと」
火箱氏
「空母と燃料タンク、私は現地に行きまして、燃料タンクをやっていないということを明確に米軍の人達も認識をしていました。これがダメだということですね」
反町キャスター
「向こう側にしてみれば、日本、失敗したよねという意味で言っている?」
火箱氏
「そうですね。ですから、ここをやられなかったというのは、本当に良かったと言っていますね。ですから、どういう目標を示して、何をやるのかというのが徹底されていなかったのかなと思うんですね。ある意味では、軍事目標だけということになると燃料タンクに民間人もいるかもしれないから、遠慮したのかもわかりませんけれども、日本の武士道としてね。そういうことがあるかもしれませんけれども、開戦ということになると、そこを叩いておかないと結局、一撃を入れて、太平洋艦隊が出てくるのを遅らせるということになると、戦艦だけだとすぐに修理だと。結果的に成果は少なかったのではないかという思いがありますね」
織田氏
「お二方とは違って、作戦というのは、100%完遂というのは相手がいる話だから、あり得ないと見ておかなければいけないと。だいたい80%で良しとしなければいけないという諺がありますよね。それで、そう見ますと、戦術的には大成功、戦術的には。戦略的には大失敗ですよ。アメリカ、チャーチルの言葉を借りて言うと、アメリカという大きなボイラーに火を点けた。結局、騙し討ちになっちゃって、しかも、戦艦をあれだけ潰して、面子を失ったアメリカ国民が立ち上がったわけですよね。そこまで考えていなかったと思うんですよ、誰も。結局それがアメリカを本格的に第二次世界大戦に介入する。1番喜んだのはチャーチルですよね。そういう意味では、戦術的には大成功。しかしながら戦略的には大失敗。最初の計画の80%は達成していると思うんですよ」
秋元キャスター
「ここからは、アメリカの次期大統領がトランプ氏に決まったことで、今後の日米同盟どうなっていくのかということを聞いていきます。まず日本の安全保障に関連して気になるトランプ氏の発言。選挙期間中のテレビ討論会で、トランプ氏は『私達は日本などの国を防衛している。彼らは対価を払っていない。相応の負担をしなければ、日本を守ることはできない』と日米同盟を疑問視するような発言がありました。一方で、昨日の発言では『我々は軍を再建し、同盟関係を再構築し、敵に直面しテロリストを壊滅させ、アメリカを再び安全にする』と話していて、少しニュアンスが変わってきているんですけれども、古庄さん、これらの発言から考えましてトランプ次期政権の姿勢、日本の安全保障にどう影響すると考えますか?」
古庄氏
「これからトランプ(次期)大統領としては外交、政治、これまでまったくないわけですね。未経験だということで。現実とか、真実をたぶん知らないまま発言をされていると思います。これからいろんなスタッフが、特に今回ドンドン人事が決まっていって、軍人がすごく採用されていますね。現実をきちんと認識されれば、変わってくるのではないかと思いますし、日本も現実を認識させられるいいチャンスではないかなと思いますね」
反町キャスター
「現実を認識させられるというのはどういう意味ですか?」
古庄氏
「今、周辺のことすらきちんと国会議員の先生方でもどう認識をされているか。疑問な発言がたくさんありますね。それから、周辺だけではなく、地球、宇宙、サイバー、全部含んで、これだけ厳しいんですよということをなぜ素直に認めないのかなというのが、現実だと言いたいですね」
火箱氏
「トランプさんが最初に言われた安保タダ乗り論みたいな、そういうような考えというのは米国民にもあると思うんですね、本音として。ですから、今度、新しい発言にもありましたけれども、日米同盟というものを再構築する。これはいろんな人から聞いて、重要性、安倍総理もたぶんいろんな話をされたと思うんですね。そういう話をして、日本は大事だと、こういうことを示唆しているのだと思います。だから、ある意味で、そこの部分はホッとしている部分もあるのですけれど、しかし、アメリカの中にはそういう考えもあるのだということで、私はトランプショックと言いますか、そういう部分の、日本の、片務性とは言いませんけれど、その部分を自立すると言いますか、そういう形の安全保障の考えに、少し考え方を見直すような時期ではないかなと思います。それを1つの起爆剤にしてもう少し安全保障について、自分のところの、自分の安全保障、議論をしてもらうという機会にしてもらいたいと、トランプ発言を。前後変わりましたけれども、本音でもあるのだということをやってもらいたいと思います」
織田氏
「今日ある有識者の文章を読んで、こういったのがあったのですが、誤った情報が溢れ、偏見が正当化し、世論は怒りに満ちている。トランプ氏が、あれほど、選挙キャンペーンで言ったこと。中間層の、いわゆる白人の低所得者層は皆、怒っていると。だから、先ほど、火箱君が言ったようにある程度、選挙キャンペーンで言ったトランプ氏の発言というのは、意外とマジョリティかもしれない。だからこそ私はいいチャンスだと思うんですね、説明をするのに。日本はパックスアメリカーナを支えるために、在日米軍基地の約70%の金を支払っている。知らないと思いますよ、アメリカの大多数の国民は。だから、ちょうどクローズアップして、タダ乗りだと、世論が怒り狂っているからこそ説明のチャンスだと。ほとんど知らないのですから。怒りに満ちているのですから、と思います」
反町キャスター
「織田さん、そういう関係で一般国民の話をされましたけれども、では、たとえば、アメリカの軍部というか、軍人の人達がトランプ発言をどう受け止めているのか。たとえば、トランプさんが日本は対価を払っていないと言った時に、アメリカの軍人、たとえば、アメリカ空軍の人達が、いや、俺もそう思っているんだよと思っているのか。いや、わかっていないと思っているのか、そこはどう感じていますか」
織田氏
「少なくともアジアに勤務した人はよくわかっていると思います。だいたい中将以上はアジアに勤務していますよね。そうしますと、ほとんどがわかっています」
秋元キャスター
「トランプ氏が国防長官に選んだのが、ジェームズ・マティス氏です。エリートである士官学校の出身ではなく、一般の大学に通いながら、予備役将校訓練課程、ROTCと呼ばれる訓練を受けて、卒業後、海兵隊に士官として入隊しています。軍歴44年で、沖縄にも一時、駐留経験があるということですね。アメリカ中央軍司令官などを歴任し、アフガニスタンやイラクで指揮を執り、Mad Dog、狂犬の異名を持つということですが、古庄さん、トランプ氏は将軍の中の将軍とマティス氏を評価しているようですけれど、このジェームズ・マティス氏とはどういう人物なのでしょうか?」
古庄氏
「私はもちろん、お会いしたこともないのですけれども、いろいろな人が言っていること、書いてあることを見ますと、海兵隊の大将になって、しかも、中央軍の指揮官までやる。司令官をやられる。単なる日本のメディアが言っているような狂犬というような日本語訳した一言では言い表せない人物だと思います。非常に彼を評価している、いろいろな言葉がある。実行力がすごくあるとか、部下思いだとか、彼を、非常に評価をしていますね」
反町キャスター
「火箱さんの見立てとして実行力がある。軍人として非常に優秀だったという人が国防長官、大臣になるということが好戦的な対応をとるのではないかという人もいれば、いや、現場を知っていた人だからこそ、命にかかわることかどうかを非常に慎重に考えるのではないかという、この両方の話が出てくる中で、火箱さんだったら、どういう評価をされますか?」
火箱氏
「国の大きな国益に適う話であれば、軍を使うということは当然考えるでしょうけれども、大義というか、そういうものがなければ、軍人というのは簡単に自分の部下を死に投じるようなことは基本的にはしない。ちょっと私が気になったのは、中央軍司令官だし、イラクの司令官もやっていたということで、心の中には当然、残るんですね、印象に残ってしまう。アジア太平洋地域におけるリバランスにおいて、日本とアメリカは依存していますよね。それを今度、重点が、気になるというところがあれば中東の方にのめり込み過ぎるとなると、ちょっとアジア太平洋地域におけるリバランス、バランスが崩れるという懸念も少ししているところであります」
織田氏
「私の親友で、中央軍司令官、マティス氏が中央軍司令官だった時の直属の部下ですね。空軍の中将ですけれど、どういう人間なんだと話題になりまして、私が彼から聞いたのは、国防長官にノミネートされる前ですよ、だから、白紙の状態で聞いていたのですけれども、まずMad Dogというのはレッテル貼りですね。むしろロッカールームトークでの褒め言葉ですね、彼の。学究肌で極めて知的。仕事はめちゃくちゃ厳しいと。彼曰くこの4月に、トランプはダメ、クリントンはダメと、共和党から第3の候補者を出そうという時の話の、1人の候補者だそうですから。4月に。名前が挙がったと。それで過半数を獲られないようにして、再選に持ち込むという州がありましたね。その時の、1人の候補者に挙がったと言っていました。だから、日本で、いわゆる流している、マスメディアで流しているのと私が聞いたのでは全然違うと思います。ただ、先ほど、火箱君から聞いたように専門というのがあるんです。彼は中東ですよ、アフガンであり、イラクである。マイケル・フリン氏も、残念ながら、中東ですね。だから、私はピポッド・トゥ・アジアではなくて、ピボッド・トゥ・ミドルイーストになったら怖いなと。一方、これはトランプ氏次第だと思うのですが、トランプ氏とネタニアフ氏はすごく仲がいい。ネタニアフ氏は、イランは核をつくる。だから、合意を破棄しろと。今でも空爆しろみたいなことをやっている。そういう文脈にあって、ちょっと不安なところがありますね。だから、南シナ海の重要性とか、あるいは中国の台頭に対する牽制をインフォームしていかなければならないと思うんですね」
秋元キャスター
「ここからは安倍総理の外交を、安全保障の観点から見ていきたいと思います。来週以降、外交日程が目白押しですけれども、来週はまずロシアのプーチン大統領との首脳会談があります。再来週には、日本で行われる日中韓首脳会談の予定なのですが、朴槿恵大統領のスキャンダルによる混乱で調整中となっています。26日からハワイ真珠湾を訪問し、慰霊を行うとともに、オバマ大統領と最後の首脳会談が予定されています。この中でまず昨年3年半ぶりに再会されました日中韓首脳会談ですけれども、韓国国内の混乱で、今もなお調整中なわけですが、この状況で1つ不安なのが長い停滞の末、先日、日韓で取り交わしました、軍事上の機密情報を共有するための協定。GSOMIA(軍事情報包括保護協定)です。まず火箱さん、現役時代に締結に向けた調整に携わってこられたということなのですが、この協定というのは具体的にどういう意義があるのでしょうか?」
火箱氏
「GSOMIAというのが締結する直前まで、陸幕長でおったのですけれど、その後、大統領が行ったということで、崩れてしまったと。こういう状況ですけれども、私は日韓の関係を考える時に、慰安婦の問題とか、それから、竹島の問題とか、大変、私どもも心を痛めるというか、面白くないところをたくさん感じます。ただ、防衛というか、国の安全保障というのを考える時には、韓国というのはどうしても支えてあげないといけない国だと思います。それは米韓の連携ということと、日米という関係、日米韓という1つのトライアングルがきちんと成り立たないと朝鮮半島の対応というのは非常に難しいと」
古庄氏
「情報共有する、その裏返しでは保護をし合うということが絶対ですよね。だから、その2つはやらなければ、協力もできないので、今回のこの協定は、たまたま韓国の将官OBと日本の将官OBとの交流を今やっているのですけれども、その最中にこれが決まったというのが、電話で入って来まして、そこで皆、手を叩いて喜んだのですが、共有する反面、いかに守るかという、この2つが、これで形として整っていくのではないかなと思います。でなければ、共有もできませんから。だから、評価はしたいと思います」

日本防衛の死角と現実
秋元キャスター
「ここからは現在の自衛隊が向き合う、最大の懸念であります中国への対応、問題点について聞いていきます。ここ数年、右肩上がりに増えているのが中国機に対する緊急発進の推移です。2016年度も、上半期だけで407回と過去最多を更新した昨年度を上回る可能性があります。まずは織田さん、この状況というのはどう見ていますか?」
織田氏
「緊急発進回数だけではなくて、オーバーオールに捉えなければいけないと思うのですが、中国の思惑、中国というのは力の信奉者ですから、アメリカとやっても絶対に勝てませんから、アメリカとは事を構えたくないという原則があるんです。それでオバマ氏が来日した時、尖閣が5条の適用範囲だということを言っちゃうんですね。それは、言わせたというのは外交の勝利だと思いますが、これで、いわゆる軍事的に尖閣に出てくるということはなくなったと。では、中国は諦めたのかと言うと、尖閣は核心的利益だと言っているから諦めるわけがないですね。そうすると、米軍が介入しないような形で、要は、実効支配を狙っていくと。事実上の領有権を獲っていくということですよね。だからこそ海ではホワイトシップストレラテジーWhite Ship Strategyと言っていますけれども、軍艦を出さずに海警。海警もいまや1万2000トンです。軍艦と一緒ですね。軍艦を白いペンキで塗っているからWhite Ship Strategy。それで人民解放軍を出さずに、民兵を出してくるんですね。そこで問題は空には航空警察がないんですよ。最初から軍と軍がガチンコ勝負ですよね。それで、要は、尖閣の領空の実効支配をいかに獲るか、こういう話です。心配しているのは、海の世界では332フォーミュラとか言われていまして、1か月に3隻、3回、2時間居座って、これが現在442らしいです。ちょっとずつサラミをスライスするように。同様に上空でもちょっとずつ尖閣に近づいてきている。しかも、機数が多いということで、その表れがこのスクランブル回数ですね」
反町キャスター
「先月25日、中国機に対する緊急発進という事案がありました。爆撃機が南から入ってくる一方、宮古島と那覇の間を行ったり来たりしている戦闘機スホーイもあったと言うんですね。こういう事案というのはこれまでにもよくあったのですか?」
織田氏
「いや、それはないです。9月25日ですね。初めて戦闘機が宮古島海峡を渡って、いわゆる第一列島線ですね、先島諸島から台湾、フィリピンに至る第一列島線を初めて超えたということでニュースになったんですね。台湾を1周して」
反町キャスター
「下まわりですか?上まわりですか?」
織田氏
「バシー海峡から来ているんですよ、下から。バシー海峡を越えて、太平洋側に出て、いわゆる宮古島の太平洋側で戦闘機とジョインナップ(集合)しているんですね。だから、まったく地上のレーダーの支援が得られない時に、太平洋上でジョインナップできるというレベルまできたということですね」
反町キャスター
「それは、航空オペレーションの練度としてはかなり高いのですか?」
織田氏
「かなり上がっているなと」
反町キャスター
「つまり、中国本土のレーダーの誘導ガイドなしに、この海域において、こちらから来たり、あちらから来たりで(合流が)うまくできた」
織田氏
「それから、情報収集機がY-8というのがあるのですが、航空自衛隊が撮った写真を見ると、どうもE-2Cのような、いわゆる早期警戒機の能力を持っていなさそうな感じがするのですが、ちょっとそれはわかりません。どのようにジョインナップしたのか、あるいはランデブーしたかというのはわかりませんが、相当な、いわゆる洋上を飛ぶ能力が出てきているかなと」
反町キャスター
「この時、空自はどういう対応をしているのですか?」
織田氏
「それは特定秘密ですから、私は、聞く立場にありません」
反町キャスター
「当然、スクランブルはかけますよね?」
織田氏
「スクランブルをかけます。写真を撮っていますから、それは航空自衛隊の提供ですね。それでスホーイも下から撮っていますから。それぐらいの距離まで行って、撮っていると。スクランブルかけて、上がっていると思います。要は、そういうことを繰り返しながら、少しずつアメリカの様子を見ながら。私は領空侵犯をされるのは時間の問題だと思います。トランプ氏がどう出るかを見ているんですね。だいたいブッシュ氏の時にAnything Bad Clintonと言って、前にやっていた人を全部否定をしてしまうんですね。今度は、Anything Bad Obamaになると、オバマ氏の、尖閣は5条の適用下にあるというのを否定されると、(中国は)力の信奉者だから、アメリカが軍事介入しないという確約が得られたら、必ず領空侵犯しますよ。領空侵犯をされる、いつでも領空侵犯し放題だとなると、それは施政下にあるとは言えないです。オバマ氏がなぜ5条の…」
反町キャスター
「それは言われているのは、この空域の話ではなく、尖閣の話ですよね?」
織田氏
「尖閣」
反町キャスター
「尖閣周辺における施政権が、日本は事実上ないと既成事実化しようとしている?」
織田氏
「オバマ氏が尖閣は5条の適用範囲にあると言うのは安保条約に書いてあるように、日本の施政下にあるところに攻撃をした場合は、アメリカがそれを対応しますよと。こういう話ですね。だから、施政下になければ、アメリカは出て行けないです。だから、竹島は施政下にないからアメリカは知らんぷりしているんです。北方四島もそうでしょう」
反町キャスター
「織田さん、このへんの海域ですね。このへんの海域に、もしトランプ新大統領が、いや、安保の5条に関しては、僕は白紙で考えたいのだみたいな話、言うか、言わないか別にしても、そういう雰囲気を中国が手探りで探り出した時に、このいわゆる領空のところに中国軍が飛ぶようになるという可能性があるという主旨で言っている?」
織田氏
「そういうことです」
反町キャスター
「そういう時に空自には何ができるのですか?」
織田氏
「だから、自由に飛べるようになったら、それは施政下にあるとは言えないです。だからこそ国際法、国際慣例に従って、断固として、領空を守ると、安倍さんは言われているのでしょう。それができるのですかというのが私の懸念ですよ」
反町キャスター
「それは、たとえば、現在の空自のスクランブルで、向かった時にどういう対応が可能なのですか?」
織田氏
「国際慣例では軍用機が領空に入ってきた場合に、領空というのは領海と違って排他的、かつ絶対的な、主権を譲る、つまり、無害通航というのはないですよ。だから、戦闘機が入ってきたら退去をさせる。それに応じなければ、強制着陸をさせるんですよ。それに応じなければ撃墜ですよ。だから、トルコはシリアの航空機を撃墜しました。昨年はロシアの航空機まで撃墜したでしょう。それで、国際社会で一切非難を受けないです。それは国際慣例だからです。それをやれるようになっていなければ断固として、領土領空を守るとは言えないです。ところが、これは安全保障法制の積み残しですね。まったく触らなかった。84条には、通常は自衛隊法を見ていただくとだいたいわかるのですけれども、6章に任務が書いてあるんです。7章にはその任務でどこまで武器の使用ができるかということが書いてあるわけですよ。それが84条だけないんです。それは過去の経緯を調べてみると、自衛隊法ができた時は、国際慣例及び国際法に従ってやればいいのだということで、国会答弁も佐藤首相なんかがいざという時は撃ち落とせますよと、つまり、領空侵犯機に対する対応でもって武器の使用可能ですということを言っているんですよ。ですが、ある時から、武器の使用については正当防衛、緊急避難以外はできませんと」
反町キャスター
「領空侵犯してきた飛行機に対して、出て行けと言っても出ていかない。強制着陸しろと言ってもしない飛行機に対して、それでもこちらからは何も撃てなくて、撃たれるまで、領空の中にきている無国籍、ないしは敵機ですね。それに対して撃たれるまで横にいろと、こういうことになるのですか?」
織田氏
「そういうことです。横にいろというよりも、追い掛けまわされますよ。こちらが危ないです。だから、領空侵犯」
反町キャスター
「それは織田さん、日本だけですか?そういう国は」
織田氏
「日本だけですよ。なぜかと言ったら、憲法9条で自衛隊というのは武力攻撃を受けるまでは警察なんですよ。警察ですから、警職法は正当防衛、緊急避難」
反町キャスター
「でも、領空と言いましたけれども、領空は海でいったら、12海里の上ですよね。20kmですよね。海岸から20kmの上のところに入ってきた飛行機というのは、普通のスピードで来たら数十秒であっと言う間に陸地に届いちゃうわけではないですか」
織田氏
「それはそれまでに警告をするわけですよ。そのまま来ると領空侵犯するから、Change Your Headingとかいう、それはトルコもやっているんですよ。ロシアの飛行機に対して4回警告したとか、8回警告したとか言っています。それはやるんです。それでも入ってきた時に、トルコはロシアの飛行機でも撃ち落としているんですよ。ロシア、プーチン氏はしぶしぶ、まあ抗議はしましたけれども、それが国際慣例です。だから、国際慣例、国際法に従って行動ができなければ、いつの間にか実効支配が獲られちゃいますよと。それは法律を改正しなければダメですよと。昭和62年に同様の事例があったんです。Tu-16が沖縄上空に侵犯したんですよ、2回に渡って。その時に信号射撃をやりました。しかしながら、それ以後…」
反町キャスター
「Tu-16というのはロシアですか?」
織田氏
「ロシアの爆撃機ですね。その時、信号射撃をやりましたが、全然言うことを聞かない。それで自民党が議員立法で、昭和63年ですね、変えようとしたんです。その時、権限規定を入れようとした。そのうち案の定、政策の材料に使われちゃって、要は、上程までに至らなかった。そのうちに冷戦が終わっちゃいました。その必要性もなくなった。しかし、現在はもっと厳しいですよ。なぜか、私も何回もスクランブル上がりましたけどね。昔は爆撃機だったんです、出てくるのは。爆撃機に対して戦闘機が対応するというのは圧倒的にこちらが有利です。それが戦闘機ですよ。戦闘機が出てきて戦闘機が対応するのは最初からパリティ(均衡)です。しかも、向こうもミサイルを持っている。そうして、いくら警告をしたところで、馬耳東風で領空侵犯をされると、アメリカが安保条約5条の適用範囲であるということを言わなければ、アメリカの後ろ盾がないと我々の力ではどうしようもないと。だから、そこはある意味、悪い言い方をしますと、日本の政治はダブルスタンダードになっていますね。現場から見ますと、断固として守れ、よし、がんばるぞ、と言うけれども、その権限を与えてもらっていないわけでしょう。それはある裁判長経験者が書いた論文を見てみますと、それはどういうことかと言うと政治的不作為だ。つまり、領空侵犯をされた飛行機に対して、国際法に従って退去、あるいは強制着陸をさせるのに武器を使ってまでさせることを望んでいないという、政治的意思だということが書いてあるんです」
秋元キャスター
「日本の安全保障の体制を整備するために、今後どのような施策が必要なのですか?」
古庄氏
「憲法に尽きるのですけれども、先ほど、織田さんが言ったように、自衛隊法が発動にならなければ、なるまでは警察権しか行使できない。国家公務員と言われ。それで専守防衛だと言い、現場としては本当に大変な状況にあると思いますね。例えば領空侵犯に近い中国機が出ていると言っていますけれど、今年何回ありました、昨年より何回増えました、尖閣では船の数が毎月増えます、これで終わっているんですよね。相手は現状をドンドン打開して国際法を破って、レベルを高くしてきているのに、日本はそれだけで終わっているんですね。これはドンドン現実を壊されていって、日本としてはまったくそれに対応していないから、この乖離が大きくなっているわけですよ。国際法を破っているのなら、破っているぞと世界に向かって言わなければいけないし、現状が破壊されているのだったら、現状を維持するために国も努力しなければいけない。そこを法的にどうするのかという、憲法なんか変えなくてもそれができるような法律をつくって、行動できるような体制にもっていかなければ、気がついた時にはまったく何もできないという状況に追い込まれている」
火箱氏
「安保法制ができましたけれど、その時の議論が基本的に現在の憲法解釈の整合性と論理性を維持したうえで基本的に新しい法制を整備しろと。集団的自衛権を、今までできないものを限定的ながらできるとした。新しい法制で後方支援もできるようにしました。駆けつけ警護もできるようにしました。しかし、よく見てみますと、基本的にわが国の防衛、安保体制の法律体系が、自衛権が発動できるのは防衛出動がかかってからです。その間の平時からグレーゾーンと言われる事態、そこまでは、織田君が言うように、警察権の範囲の改正だけだったんです。平時においてはまったく手つかずのままの状況ですので、今、航空自衛隊が上がっていますけれども、警察権の範囲ですね。出ていけとしか言えない、国を守るという行為ではないですね。国を守る行為が発令されるのは国会の承認を得て武力事態を認定され、初めて自衛権が発動できるのですから、それ以外は全部正当防衛という警察権の範囲内ですよ。海外においても、駆けつけ警護も同じ、基本的に」
反町キャスター
「撃たれるまで撃てない?」
火箱氏
「だから、部隊はそういう任務をやる時に、自衛隊が軍隊ではないというところから全部派生しているわけです。ここをきちんと整理してもらわないと、パイロットもそうですが、非常に恐怖感の中でやらなければいけないと。憲法に書いてある、武力を行使しないという、そこに帰結するんです。憲法9条第2項の部分は本当に考えていかないと。我々が考える時間がないのなら、その前にそういうことをしっかりと法律で定めて(部隊を)送ってもらいたいですね」

古庄幸一 元海上幕僚長の提言:『現状を認識』
古庄氏
「現状を正しく認識して、それにいかに対応すべきかということをやらなければ、現場に出ている隊員の大変な状況を誰も認識しない。隊員の身分をどうしなければいけないだとか、中国は何をしようとしているのかとか、それをもっと具体的に認識したうえで、どう手を打つのだということが必ず次に出てくるわけで、是非正しく現状を認識してもらいたい、ということを今やるべきだと」

火箱芳文 元陸上幕僚長の提言:『集団安全保障への備えを!』
火箱氏
「1国だけで守れないし、相手の国も1国だけで守れないので、お互いを助け合うということをやらなければいけないと思う。戦後は自分のことだけ守ってくれればいいという風潮がアメリカに対してもありました。アメリカに対して、価値観を共有する各国に対して、何かをやりながら、お互いにやるという。それには憲法を改正しないとこの考えは出てこないと思います。ですから、そこの部分を現在からしっかりと備えをしてやっていくべきだと思います」

織田邦男 元空将の提言:『国際標準』
織田氏
「これからの不測事態としてグレーゾーンですね。グレーゾーンになった時、日本を守れるのかと言った時に、自衛隊法をご存知の方はあまりいないと思うのですが、防衛出動がかかる前、1番のグレーゾーンの時に権限規定がどうなっているかと、主語が自衛官なんです。主語が自衛隊の部隊は、というのが軍隊のあるべき姿なのですが、これは防衛出動時の行使だけですね。あとは弾道弾ミサイルの破壊措置、これは武力行使ではありませんからたぶんそうなっていると思うのですが、あとは海上警備行動にしろ、治安出動にしろ、警護出動にしろ、全て自衛官は、なんですよ。個人の判断で、警察と一緒なんですよ。だから、司令官が命令をする、安倍さんがそれを撃てと言っても撃てないです。撃てますよ、だけど、撃ったら刑事訴追を受けますよと、撃った隊員は、とまで元裁判長の論文に書いてあるんですね。そういうガラパゴス的な自衛隊法を見直さなければいけない。これは憲法に行き着くんですね。これからの世の中、集団安全保障といった観点から、世界の皆さんと協力して、平和な世界をつくっていく、その過程で日本の平和を保つと、そういう形ですよね。そういう形になった時に我々だけ、それはできません、これはできません、というようになっていますと、Self-Defense ForcesがSelfish-Defense Forcesになってしまうんです。だから、そこは国際標準でやらなければ国際社会で生きていきませんよということで国際標準」