プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2016年12月1日(木)
駆けつけ警護のリアル PKOのリスクと大義

ゲスト

柴山昌彦
首相補佐官 自由民主党衆議院議員
伊勢﨑賢治
東京外国語大学教授

新任務『駆けつけ警護』 現場の『リアル』と『リスク』
秋元キャスター
「先月15日に付与された自衛隊の新たな任務について聞いていきます。新たな任務はこの2つですけれども、まず駆けつけ警護です。こちらは自衛隊が海外でPKO(国連平和維持活動)の活動をしている際に、その近くで働く国連スタッフや日本人NGO(非政府組織)などが武装集団などに襲われた場合に、要請を受けて警護するという任務です。もう1つ、この宿営地の共同防護というのは、自衛隊と他国の部隊の共同宿営地が武装集団などに襲われた場合に、自衛隊と、この他国の部隊が連携して防護を行うという任務です。柴山さん、今回なぜ自衛隊にこのような新しい任務を付与したのでしょうか?」
柴山議員
「図にもある通り、現地には日本のNGOなど、現場の文民職員が、まだ20人程度在住をしているわけですね。国連スタッフとしてもいらっしゃいますし、そういった方々をしっかりといざという時、守れるのに、これまでは守る法的な根拠もなかったですし、その帰結として、そういった人達を守るための訓練も行えてこなかったわけですね。ですので、今回、法律で新たに正面からこうしたことができるように定めることによって、これまでもそういったミッションの実績はあるのですけれども、そうした準備等を十全にするというのが駆けつけ警護の、今回の閣議決定の主旨であります」
秋元キャスター
「伊勢﨑さん、新たな任務が付与されたことについてどう考えますか?」
伊勢﨑教授
「駆けつけ警護に関しては、そこに書いてあるように、日本のNGOがいて助けを求めた、国連に助けを求めますよね、日本の自衛隊に来てくれと言って、国連の本部は、自衛隊を送れません、送りません。なぜかと言うと、自衛隊はPKF(国連平和維持軍)であり、国連の統合司令下にあるわけですね。それを決めるのは、送るのかを決めるのは、国連の統合司令部です。だから、日本人だから、日本人を助けなければいけないという前提は国連にはありません。勝手なことはできません、そんなことは。自分の母国の人間だけを優先して助けるということは、統合司令下の行動ではあり得ませんので」
柴山議員
「実際、自衛隊に今回のミッションを付与されたからと言って、それが現実のものとなる可能性は極めて低いと思っています。他国の歩兵部隊ですとか、あるいは現地の警察、こういうところが守るのが、そもそも想定されているわけでして。にもかかわらず、国連のスタッフ、日本のNGOが自衛隊、PKO部隊に保護を要請するというのはよっぽどそういう人達が近くにいないで、たまたま日本が近くにいたと。だから、駆けつけ警護という、実は用語自体が非常にミスリーディングなんですね。だから、日本はUNMISS(国連南スーダン派遣団)のコントロール下に指揮を受けているわけですから、自衛隊がそういう要請を受けても、当然のことながらUNMISSとの間でやりとりをする中で、違う部隊の方が適切ならば、そちらが行くということを想定しているわけです。ただ、私はそのことをUNMISSのロイ事務総長特別代表にお話をしたら、当然UNMISSは日本のそういう限界というか、どういう形で実力を持っているのかということも十分承知をしたうえで、ただ、そんな自衛隊であっても、まったく何も動けないとなれば、よその部隊を連れてこなくてはいけないわけです、そういう限界事例でも。だから、勢力のアロケーション、配分の面で、自衛隊にそういうミッションが可能になっているということは有意義であるということでご理解をいただきました」

南スーダン情勢の『今』
秋元キャスター
「柴山さん、先月、現地を視察されたそうですけれども、南スーダンの現状はいかがでしたか?」
柴山議員
「ちょっと一覧表を見てみると、場所的な感覚がよくわからないと思うんですね。この7月の武力衝突というのは、まさしく当時、第一副大統領だったマシャール氏が謀叛を起こしたということでありまして、それこそジュバ、首都のド真ん中で政府軍との間で本当に熾烈な銃撃戦を行ったわけです。ただ、結果、鎮圧されて、現在マシャール氏は国外逃亡をしている。南アフリカにいる状態です。そのあとUNMISSの部隊がジュバ市内を警護していることもありまして、その後も散発的に部族間の衝突などの事案が確認できるものの、少なくともそうした諸外国の、軍隊が集中的に集まっているジュバ市内は、私が実際に視察した時にも、比較的平穏というか、私が行った時にはまったく普段通りに市民の方々が外に出て、子供が遊び、女性は買い物をし、市場に行っても和気あいあいとした平和な雰囲気を見てとることができました」
反町キャスター
「伊勢﨑さん、潘基文国連事務総長、『南スーダンで大規模な残虐行為が発生する、非常に現実的な危険がある』と事務総長がこう言っているわけです。この発言を踏まえたうえで、伊勢﨑さんの目から見た時に南スーダンの現状はどう見えますか?」
伊勢﨑教授
「ここで国連関係者の頭をよぎるのは、1994年に南スーダンのすぐ近くで起きた、ルワンダの虐殺ですね。あれは本当に数日で、最初の銃声で戦闘状態に、いわゆる内戦、戦争。気をつけなければいけないのは、それは一般の民衆が暮らしているわけですから日常生活があるわけですね。でも、国際法上、と言うよりも、国連がその状況をどう見て、どういう国際法の運営を、運用をして、部隊の準備をさせるのかと言うと、現在の状態というのは交戦状態です。7月に交戦が起きましたね。いわゆる交戦というのは国際人道法、戦時国際法上の戦争の定義でありますね。1回、武力衝突が起きて双方の軍事組織同士が戦った」
反町キャスター
「政府、反政府という意味ですね?」
伊勢﨑教授
「国連軍も1つの、つまり、交戦主体として対処したわけです。その時点で、国連の行動基準は、いわゆる防犯から戦争、交戦に切り替わっている。7月のこの事件を受けて国連が新たな決議を出しましたでしょう。つまり、4000名の増員ですね。あの決議は繰り返し繰り返し国際人道法の遵守をうたっているわけです。これは、つまり、交戦の時に遵守するものが国際人道法ですから、国際社会は明確に交戦状態とみなしているわけですよ。もともとのPKOの理念というのは、あくまで国連も武力の介入はするのですけれど、それを使うことを前提としなかったわけですね。どちらかと言うと、国連PKOというのは必ず受け入れ国の同意のもとに入っていくわけですから。喧嘩はできません、政府とは。ところが、ルワンダというのは、まさに政府側の勢力が住民を虐殺しちゃったわけです。今回の南スーダンも同じですよね。ここで国連の考え方が、あとで説明をしますけれども、ガラッと変わって、住民の保護ということ、中立の立場で、停戦監視ではなく、住民の、つまり、国民の保護です。国民の保護というのは普通当たり前でしょう。国家の主権責任なわけです。でも、国家がそれをやっちゃっているという場合は、国連はどうするのかという話にずっとジレンマがあって、そこでそういう時には、これは政治的な決断がすごく重要ですよ。だって、本当に国連が侵略もしていない国家と交戦状態になるということは、本当に政治的に難しいですよ。でも、国連のマンデート。つまり、権限と武器の使用基準上は、それが住民に危害を及ぼす主体が何であっても、それに応戦するというようになってしまったんです。これは幸か不幸かなっちゃっている。7月も、それをするか、どうか、皆、びっくり、固唾を飲んで…」
反町キャスター
「300人死亡の時ですね?」
伊勢﨑教授
「そうです。2人中国兵が犠牲になったではないですか。あの時、政治判断が働いて、交戦にまでいかなかったんです。でも、しかし、交戦はしたわけです。だって、実際に殺されているわけですから」
反町キャスター
「PKO部隊に参加していた中国兵が2名死んだという意味ですね?」
伊勢﨑教授
「自分の兵を2人失ったわけです、交戦で。これを受けて国連がどう追加の決議を出したかというと、ご存知のように地域防御部隊という先制攻撃ですよ。先制攻撃が許されている。先制攻撃…」
反町キャスター
「PKO部隊による先制攻撃?」
伊勢﨑教授
「そうです。つまり、もし悪さをするような武力勢力がいたとして、だいたい軍事諜報をやっていますから、それが行動を起こす前に、起こしそうだなと見たら…」
反町キャスター
「それは政府軍でも反政府軍でもどちらでも?」
伊勢﨑教授
「そうです。国連決議がそうなっていますからね」
反町キャスター
「先ほど、皆さんに伝えたように、潘基文さんが先月、11月16日に国連事務総長として『南スーダンで大規模な残虐行為が発生する、非常に現実的な危険がある』と、こう発言しました。この発言を受けて、先ほど、伊勢﨑さんにいろいろ説明を聞いたところですけれども、その問題となっていた7月の出来事。今年の7月に300名の犠牲者が出た。南スーダンの首都ジュバ周辺における動きは何があったのかということだったのですけれども、まずイギリス、ドイツが安全確保のため、大統領派と前副大統領派の間の武力衝突を受けて、その鎮圧に向けてPKO部隊が動けるかどうかという議論になった時、イギリス、ドイツの部隊が安全確保のために退避してしまいました。その後、中国部隊の一部が任務放棄をして、武器を捨てて、職場放棄というか、逃げたという話もあります。ごたごたの中で2名犠牲者が出ているということですね。その後、政府軍とされる、先日、稲田さんに出演いただいた時も、南スーダン政府軍の兵士が、と言っていたら、そこは調査中ですという話だったので
「される」
と敢えて書きましたけれど、南スーダン政府軍とされる兵士が国連職員などを襲撃。中には女性もいて様々な暴行事件もあったという話もあります。南スーダンPKO部隊の司令官、ケニア出身の司令官がいたのですけれど、その襲撃に対して適切な対応をとらなかったと。暴徒となった政府軍とされる兵士の鎮圧に対応しなかったということで更迭されました。国連によって更迭された結果、ケニア軍、ケニア政府の方がこの更迭に異を唱えまして、ケニア軍歩兵部隊の撤退が決まるという。こういう経緯になっているのですけれども、いかがですか、先ほどの伊勢﨑さんの説明は?」
柴山議員
「整理をさせていただきたいと思います。先ほど、伊勢﨑さんがおっしゃったように7月において、当時、第一副大統領という政権の中枢にありながら、クーデターというか、大統領に対して転覆をはかったマシャール氏が大々的な衝突をしたというのは、これは事実です。ただ、お話が出たようにPKOというのはそもそもそういった事態を想定していないわけですね。だからこそ、イギリスやドイツは安全確保のために、結局、戦時当事者国が戦時当事者の間に割って入ることを想定していなかったものですから。だから、退避をしたわけですね。だから、これは別にケニアの司令官を国連の方では更迭しましたけれども、ケニアとしてはちょっとかわいそうなんですよ。もともとそういうことを想定していなかったわけですから。イギリスやドイツは安全確保のために退避をしたと言っても、その後、部隊を撤収させてはいないんです。この7月の衝突のあとを検討した結果、要するに、これは一時的な事象だということで、これだけの大規模な衝突が。と言うことで、現在に至るまでケニアは、先ほど、言ったように抗議の意を込めて一部部隊を撤収させていますが、その後もケニアは引き続き、この南スーダンの治安、あるいは復興のために尽力をするということまでちゃんと言っているわけです。ですので、この7月の衝突があったからと言って、今、伊勢﨑さんがおっしゃったように、大規模な交戦状態が継続しているという状態ではないです、現地では。ですから、法的概念。たとえば、そこで働いている軍隊の方々にどういう国際法が適用されるかというのは、これは別の話です。戦時国際法が適用されるかどうかというのは、これは概念的なものですから。ただ実態として言えば、これは一時退避であり、中国部隊は確かに2名が殺されましたけれども、その場を一時的に任務放棄したと。この政府軍とされる兵士が国連職員などを襲撃したということについても、稲田大臣がおっしゃったように、また、私はキール大統領に直に確かめましたけれど、それは政府軍として国連職員に対して敵対行為を行うという主旨のものではなく、現場の跳ねっ返りが仮にやったとしても、やったことであるというような報告を受けているんです。ですから、そういったことを総合的に考慮すれば、7月には確かにおっしゃったような形の衝突があったことは事実ですし、自衛隊もその時には自分達の安全を守ることが精いっぱいだったです。私は現地の自衛隊の隊長をはじめ、皆さんにヒアリングしました。ただ、そのあとの展開等も見て、どこの国もそこから、要するに、撤収という形にしていない。少なくともジュバ周辺は、反乱の親玉のマシャール氏が国外へ逃亡しましたし、そのあとで同じ部族の、少数部族のヌエル族ですけれど、代表のタバンメンという、この人はユニティ州という、南スーダンの、別の州の知事までやった人ですけれども、とても有能な方で、他の、たとえば、逃亡した人達、あるいはそういう人達が潜伏している国にいち早く外交的な働きかけを行い、そういった人達を支援するなという形で外交的にも治安を守るための努力をしているわけですね」
反町キャスター
「現場は、南スーダンのジュバ周辺を含め、比較的治安は…。先ほど、伊勢﨑さんが言うほど危険な状態ではないということをおっしゃりたい?」
柴山議員
「そうなんです。その結果、潘基文さんは先ほど、伊勢﨑さんがおっしゃったような、要は、これまで周辺国の経験も踏まえて、南スーダンで大規模な残虐な行為が発生する、非常に現実的な危険があるとおっしゃったのですけれども、実は私達の政府が実際に国連に対して、その真意を確認したんです。そうしたところUNMISS自体は、現場の認識というのは私達と基本的には同じです」
反町キャスター
「もしかして国連事務総長が事態を把握していないという、この人がちょっとおかしいよねと、こういう話になりますよ?」
柴山議員
「だから、結局、我々がその真意を国連に照会したところ安保理が適切な行動を今後もしとらなければ、こういった事態が深刻になると、そういう主旨だよと。当然、安保理がきちんとやっているわけですから、だから、こういった差し迫った危険があるという、そういう主旨ではないよということをわざわざ弁解してきました」
反町キャスター
「伊勢﨑さん、いかがですか?あくまで柴山さんの話だと、人権法に基づいた展開が想定されるとか、あくまで法的概念の話であって、実態は、潘基文さんが言うようなことは起きていないと、こういうような主旨の話でした」
伊勢﨑教授
「だから、どちらも正しいわけですよ。どの観点で見るかですね。僕はまだ自分の部下がミッションの中で働いていますから、守秘義務があるから名前を明かせませんが。日本人ではありませんよ。だけど、つまり、軍事と民事、警察。犯罪者をね、つまり、普通の準平和事態、準戦闘時だったら、こういうものを裁くのは警察の仕事ですよ。国連で言えば、文民警察の仕事ですよね。でも、戦闘が1回起きました。これは国際法での戦闘です、7月の話です。そこから国連のPKF部隊ですね。たぶん1番話さなければいけないのは、更迭になっちゃいましたけれども、副司令官ですね。軍の話をしなければいけないけれども、国連の中でもちょっと特殊な部署ですから、PKF部隊というのは。つまり、軍は何を考えているかと言うと、たとえば、昔であれば、能動的な警備業務。パトロールがそうですね。これは武力による威嚇行為ですから。町中のパトロールというのは文民警察の仕事。でも、これを受けて軍の仕事になっているはずです」
反町キャスター
「7月以降は軍がパトロールをしている?」
伊勢﨑教授
「軍の仕事があるということは、これは国連による武力の行使なんですよ。威嚇行為なのですから、これは。異国において武力でもってパトロールをしているんですよ。これは明確な、国際法上の武力の威嚇行為ですね。武力の行使と同じですよ。ここで1発撃たれたら、その時点から交戦中とみなします。事実そういうふうに起きているんです。これまでの虐殺とか、そういう行為というのは。だから、国連の体制が法的な理解に基づいて法的にこの状態を定義して、軍事で扱うのか、それとも警察力で扱うのかということを明確に決めているわけです」
反町キャスター
「それは、要するに、7月の、先ほどの、ジュバで300人が亡くなった、大きな武力衝突を受けて、国連本体として今後、ジュバ市内の治安活動は警察ではなくて、軍がやるということを、国連が決めたから、それ以降は軍による治安活動ということになっている以上、いつでも交戦状態に入るべきだと。そういう前提に立っていればこういう発言は入っているような気がする」
伊勢﨑教授
「それは当たり前ですよ」
反町キャスター
「そうすると、いわゆる瞬間的なものかもしれないけれども、そういう安全性が担保されている一方、伊勢﨑さんがおっしゃるみたいに、緊張感はあるし、一触即発の状況であることも認めると思います?その状況と言うのは自衛隊が活動する必要性を十分に満たしているのかどうか、ここはどうなのですか?」
柴山議員
「このあとも突っ込んでお話をすることになろうかと思いますが、私は実益があると思うんです。と言うのは、あの7月の衝突以降、現場で自衛隊と共に、一緒に、たとえば、橋を架けるとか、いろいろ支援していた、いわゆるJICA(国際協力機構)。日本の文民の方々が、まだ残っている方もいらっしゃいますけど、多くが、たとえば、ケニアのナイロビとかに逃げちゃっているわけですね。その結果、どういうことになっているのか。ジュバの中のそういった経済的な支援がストップしちゃっているんです。橋が途中までつくってあるけれど、橋が架からないですとか、あるいは市内で水道事業をやっていたのだけれど、JICAの人がいなくなって、これが途中になって結局、衛生面も非常に不安が生じている。私は市内をグルグルとまわりましたけれども、本当に貧困地帯みたいなところがまだまだあるわけです。そういう方々をしっかりと支えていくための活動というものが必要になってくるわけです」
反町キャスター
「それが今、日本がその現状のリスクを踏まえてでも果たすべき役割だという話になるわけですか?」
柴山議員
「これは、だから、自衛隊がもし他国の歩兵部隊のような重装備をしなければ、たとえば、駆けつけ警護でも自衛隊が危険を伴ってしまうとか、そういう状況だったら、そういうことは想定できなかったと私は思います。ただ、申し上げたように、結局7月、それから、そのあとマシャール氏の国外退避ということを踏まえてみれば、お話があったように、他の国の、要するに、自衛隊が警察のような仕事をしているわけです。だから、法律的にちょっとイレギュラーと言えば、それはその通りです。だけど、私は見ましたけれども、いろんな国の、要するに、兵隊さん達が国内を、首都ジュバ市内を巡回しているわけですね。その中で、先ほど、申し上げたようにお母さんとか、子供が遊んだり、平気で水遊びをしたり。そういうような状況になっているわけなんです。こういうような中で、そういった文民がもう1度、国内でより経済的な復興とか、そういうことができるようになるためにはどうしたらいいのかという、そういうことなんです」

実施の『判断』と『境界線』
秋元キャスター
「こちらが駆けつけ警護の任務の実施の基準として、政府が示しているものです。自衛隊員の安全を確保しつつ対応できる範囲内であること。武力紛争当事者である国または国家に準ずる組織の存在がないことという、これが駆けつけ警護できる条件ですけれども、柴山さん、自衛隊の安全が確保できるかどうかというのはどう判断するのでしょうか?」
柴山議員
「これは現場の隊長が、実際に周囲の事情、あるいは先ほどおっしゃったように、たとえば、駆けつけ警護などが求められた時に、UNMISSですね。UNMISSとの間でいろいろと協議をし、迅速にということでありますけれども、そこで判断をするわけですね。安全、安定した形でそういったミッションができるのかどうかということを、現場の隊長が判断をすると」
反町キャスター
「日本人のNGOメンバーやら、国連職員が武装勢力、暴徒に包囲されて危険な状態にあるところから救援要請がきて、UNMISSからの指令として最初的に自衛隊の、いわゆる施設部隊ではない方が駆けつけるかどうかという判断になった時に、最初の条件、自衛隊の安全を確保しつつ、対応できる範囲内というのはあり得るのですか?」
柴山議員
「これは、実はこれまでもそういう先例がないわけではないんですよ」
反町キャスター
「救助要請がきているのだけれども、駆けつける自衛隊員の安全を確保できるという、そんな状況は?」
柴山議員
「あまり多くは語れませんけれども、当然、武装勢力ですから、武器を持っているわけです。ただ、その人数という要素がありますね。数名で、要するに、武装勢力が、たとえば、1人とか2人でも丸腰の職員を人質にとることができるわけです。だけれども、それがとても軽微な火器であるような時、たとえば、自衛隊の中も警護部隊が、警護部隊というのはもちろん、銃を持っているわけですけれども。それから、車両があるわけですね、自衛隊には。そこが、たとえば、大音量でワーッと」
反町キャスター
「スピーカーで。あれは効くのですかと聞いては悪いのですが。伊勢﨑さん」
伊勢﨑教授
「冗談ですね」
柴山議員
「ただ、これまでも東ティモールですとか、コンゴ民主共和国。ザイールですか。かつてのですね。そうところで実際に警護、あるいは救出を要請され、自衛隊がそれに対して応えたという例があるわけですね」
伊勢﨑教授
「東ティモール」
反町キャスター
「それはどういうケース?駆けつけ警護の先例みたいな感じですか?」
柴山議員
「だから、これは正面から駆けつけ警護という法整備がなかったわけですから、たとえば、輸送とか、自衛隊の規律保持、よくわけのわからないような理由をくっつけて、危機に瀕している職員達を保護して、それで別の場所に移したという事例があるわけ。実績があるわけです」
伊勢﨑教授
「東ティモールの当時というのは、僕がいた時、僕もいたのですけれども、完全に平和だった時に、いわゆるデモ活動で国内の、いわゆる暴徒が暴れて、それがNGOとかを狙い出したんですね。自衛隊の施設部隊が、同じ日本人だということで電話番号の交換とかしているではないですか。これは1つの美談として伝わっているんです。つまり、自衛隊は能動的なことができないから、たまたまそこに行ったというような形で、それも武装を解いて、それでたまたま会って、たまたま会ったから車に乗せて、施設内に連れてきたという感じですね。美談として伝わっているんです。でも、美談でも何でもなくて、これがもし国連司令部が、当時の司令部が知ったら大変なことになるわけ。軍紀違反で、命令違反ですから。命令も何もないのに、国連の司令部が命令して動かなければいけないです。国連の部隊というのは特に中隊とかのレベルとか、国連が本当に日本人のグループを救わなければいけない時には、施設部隊なんかを送るわけがないではないですか、そんなもの。必要であれば。でしょう。それなしで、丸腰で行かせるわけないではないですか、軍隊を。だから、二重の意味でおかしいんです。これを例にするか。だから、これからの将来の例にするのはおかしいと思いますね」
反町キャスター
「そうすると、今回の駆けつけ警護、それを丸腰で行かせないためのと言うのはちょっと無理があるのですか?」
伊勢﨑教授
「先ほども言ったように、蓋然性のないシナリオはあまりディスカッションしても、やる気が起こらないのですけれど、敢えて言おうとすれば、駆けつけ警護をもしやるとしたら、蓋然性はありませんけれど、やるとしたら、通常の歩兵のパトロール業務以上のことをやるわけでしょう。救出活動でしょう。これは特殊部隊の仕事ですよ」

『指揮系統』と『権限』
反町キャスター
「南スーダンに自衛隊が行っています。この人達に対して、出動命令をくだすのはUNMISSからくるんですよね?行ってくださいと。それに対して南スーダンの派遣の、自衛隊の人達は現場が判断をする。現場のこの人達が判断するのですか?要請に参加をするのか?」
柴山議員
「これは先ほど、伊勢﨑さんがおっしゃったように、本来であれば、国連、PKOの司令官、あるいはUNMISSを通じて指示が降りてくるわけですね。ただ、日本国内の自衛隊の上官下士官の関係にあるわけではないので。ですので、その司令官から指示が降りてきますけれども、それは法的な意味での命令ではないと」
反町キャスター
「命令ではなくて何ですか?良かったら行ってくれないかみたいな」
柴山議員
「そういうことではないですね。だから、指示です、これは、要は、そういう意味かと言うと、我々の部隊展開は、あくまでも日本の憲法、日本の活動計画に基づいて行うということを、これは、私はわざわざロイさんに話をして確認しています。おそらくどこの国の部隊派遣も同じことです。ただ、日本があまりにも憲法9条という、他の国にはないコードを持っているが故に、だから、ここの司令官と、現場との間の乖離というのが他の国より、著しいのではないですかということを、伊勢﨑さんはおっしゃっているんですよ。だから、我々としては、日本の派遣計画、あるいは憲法9条に基づいて、現場の隊長が実際に、要するに、指令というか、指示ですね。指示を受けた時に、その通りに従うのかどうかという判断を迫られるわけですけれども、ロイさんが言っているのは、日本の軍隊にどういう限界があるのかとか、どういう装備をしているのかはわかっています。と言うことをおっしゃっていますので。先ほど、おっしゃったように事実上そういう危ないところに自衛隊を引っ張っていくことはあまりないです」
反町キャスター
「でも、本当にどん詰まりで困った時に声をかけることもあるわけですよね?」
柴山議員
「その時に、現場で実際に指示に従うかどうかというのは、現場の隊長の判断です」
秋元キャスター
「現場でそれを決めて、何かあった時に誰が責任をとるのですか?」
柴山議員
「隊長は緊急に行くか、従うか、従わないかという判断は現場でします。でも、それは、日本はあくまでも自衛隊の一員なわけですから、より大きな判断をする時に、たとえば、その後も引き続き指示がある時にどうするのか。あるいは場合によってはその地域からも移動して、次の展開、場合によってはさらにそのあとの撤退をどうするか。大きくなればなるほど防衛大臣、あるいは私も参加しているNSC(国家安全保障会議)とか、そういうところで判断するということになるわけです。そこは切れ目のない形で現場の隊長が判断する、あるいは現場にいる隊長にしか判断できないことと、そのあとのより大きな判断をすることの役割分担ということというのは、我々の中では整理をしているところです」
反町キャスター
「7月にNGO、国連職員が政府軍の兵士と見られる人達に囲まれて、殺される、暴行されるという時に…」
柴山議員
「実は自衛隊が7月において、自分達が宿営しているジュバのトンピン地区というところがあるのですが、そこでまさしく銃撃戦が始まってしまったわけですよ。だけれども、現場の隊長はその兆候をいち早く察知をして、そこで自衛隊の隊員達に退避措置を命令したと。具体的な退避措置の中身は言えませんけれども。基地の中にあってもより安全な場所に身を隠せと、そういうようなことです。そういうことすらできないのであれば、日本としては部隊を出すわけにはいかないわけです」

『交戦権』と『憲法9条』
反町キャスター
「99年のアナンさんの告示のポイントですが、目的は住民の保護であると。国際人道法に基づいて武器使用が可能になっているのであると。ただし前提として現場に派遣されている国連、この場合で言ったらPKO部隊が紛争の当事者になってしまうんですよという前提のもとでという…」
伊勢﨑教授
「そうです。国連は伝統的に紛争当事者にならないという前提があったわけですよ、以前は。ところが、そういう場面に遭遇したらどうするか。武力を持って行っているのに、武力を使うか、使わないか。使ったらその時点で紛争の当事者になってしまう。人道法を守らなければいけない。それで悲劇が起きてしまった。任務中にそういう場面に遭遇したら、つまり、紛争に遭遇したら、住民保護含む、国連の任務遂行のために武力の行使が必要である時はやりなさい、ただし、それは国際人道法に基づいてやりなさいということはどういうことかと言うと、国連自体が紛争の当事者になることです」
反町キャスター
「紛争の当事者として、第3者として立ち会うということ?」
伊勢﨑教授
「そうです。概念的にはそういうふうに決心したんです。だけど、政治的に受け入れてくれた政権と本当に交戦するかというのは政治的な判断ですよ。だけど、概念的には国際法の組み立て、解釈は、こういうふうになったわけです。それを前提として、この行使は全加盟国に対し、その時、僕は現場にいたのですけれども、全てのPKO要員に対してこれが伝わったわけです。これは命令書なんです、国連トップからの」
反町キャスター
「この国連トップからの命令書を受けると、9条の話で言うと交戦権ですよね、国の交戦権を認めていないということを書いている9条を持っている日本が、紛争の当事者になれるのかどうか?」
伊勢﨑教授
「なれませんよ」
柴山議員
「おっしゃった通り、これはあくまでもPKO、あるいはPKFに対する一般的なアナンさんのご発言です。発言の中に各国の関与の程度および期間においていろいろあるということは認めてくれているわけです。ですので、我々は今回の南スーダンについては、反町さんが言ったこととも違うのですけれども、まず政府がUNMISSを受け入れていますと。4000人の屈強な地域保護部隊もオフィシャルに受け入れている。では、反政府軍に対しては敵対的かと言うと、そうでもない。我々としてはあくまでも両方が衝突しないために見守り、見張りをしているわけです。当初の理想形に近いことを想定し、南スーダンの首都ジュバにおいてはそういう状況が厳守されているという判断のもと、我々はこういう事態だったら、紛争当事者という国連の状況ではないということで派遣をさせているわけです」
伊勢﨑教授
「だから、切実感がまだ伝わっていないですね。住民の保護が筆頭任務になっているというのはどういうことかと言うと、つまり、中立な立場を厳守して、停戦監視、割って入るという仲裁の立場で、それを押してまで他国の国民を保護しなければならない。つまり、主権国家の主権責任のところまで国連がそれを筆頭任務にしなければならない事情を理解しなくてはならない」
反町キャスター
「その事情とは?アナン事務総長の発言の背景にどういう窮状があって、それを打破するためには何があって、どういう判断だったのですか?」
伊勢﨑教授
「人道的危機ですよ。内戦という人道的危機です。戦争ではありませんよね。内戦不干渉の原則が国連ですから。別に侵略はしていないわけですよ、悪い国があっても。国境は超えていない。住民をいじめている脅威はその国の政府とか、その国の人間だったりするんですね。そういう時に国連としてどうするかというのは決心がつかなかったわけですよ、この時までは。それと同時進行で何百万人が死んでしまうんですよ。これは苦渋の決断ですね。とにかくそういう場面に遭遇したら国連というのは紛争当事者になれる。これを別の言葉で言うと、派兵国にとってはそれを前提にしなさいよということです。もちろん、こういう告知には、多国籍軍の話ですから、別に国連に部隊を派遣するのは命令でもないわけですよ。罰則もないわけですよ。だから、ノーとも言えるんです。でも、しかし、これは…」
柴山議員
「我々はノーと言えるということをちゃんと…」
伊勢﨑教授
「でも、これは国連の組合員としての義務ですね。だから、こういう言い方をしないと、こういう命令書がくると各国の事情があるからねという一文を挟むんですね。日本のためではなくて、全ての国です。でも、出すならばこれを前提にしてくださいよということが国連の告知の意味です。こうしないと困るんです」
反町キャスター
「このマックスの要望に対して日本は…」
伊勢﨑教授
「これはミニマムです。国際人道法を守るということがミニマム条件ですから」
反町キャスター
「このミニマムの国連からの要請に対して、わが国には憲法9条というものがありまして、交戦権の表記もありますので、できることとできないことがありますよと」
柴山議員
「だから、私がわざわざUNMISSのロイ代表に念押しに行ったんですよ。だから、先ほどおっしゃったように、結局、国連軍というのは日本の国内における上命下腹関係のような関係にはない。それは本質的に多国籍軍だからです。だから、本来であれば皆バラバラですよ。でもバラバラだと人道保護ということが本当にできるのかねという、特にルワンダのような大変な虐殺があったわけです。そういうようなところで、アナンさんがこういう告示を出さざるを得なかったという背景も、それは理解します。ただ、日本には憲法9条というものがあるわけですから、それに反するということはできない」

柴山昌彦 首相補佐官の提言:『・治安⇔支援 ・役割分担』
柴山議員
「日本は日本にできる治安維持活動をする。それが支援を可能にし、支援することによってそれが治安に結びつく。そのための役割分担を他の国と行っていかなければいけない、以上です」

伊勢﨑賢治 東京外国語大学教授の提言:『“交戦”権のギロンを!』
伊勢﨑教授
「憲法9条2項で否定している2つのうちの1つですね。戦力の問題だけに我々は目を奪われてきました。でも、戦力がなくても交戦は国家を構成します。だから、今こそ交戦権の議論を根本的に国民がしなければいけないと思います」