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2016年11月30日(水)
去る朴に来るトランプ 東アジア情勢の未来は

ゲスト

中谷元
前防衛大臣 自由民主党安全保障調査会顧問 衆議院議員
奥薗秀樹
静岡県立大学大学院国際関係学研究科准教授(前半)
渡部恒雄
笹川平和財団安全保障事業企画室特任研究員(後半)
小原凡司
東京財団政策研究調整ディレクター兼研究員(後半)

朴大統領『条件付き辞意』 どうなる?韓国の政局
秋元キャスター
「昨日、朴槿恵大統領が条件付き辞意を表明しました。進退問題が韓国の国会に委ねられたわけですけれども、まず朴大統領の弾劾を強力に進めたい野党の反応を見ていきます。最大野党、共に民主党の秋美愛代表は、何の反省もなく、弾劾を控えてのかく乱策で、見せかけだと批判をしました。今日午前、韓国の野党3党は協議を行い、大統領の任期短縮の与野党間の交渉はないとしたうえで、来月2日に、弾劾訴追案の可決を目指すことで一致しました。今後、辞任の時期や今後の体制がどうなっていくのか、先行きがなかなか見通せない状況となっていますけれども、まず中谷さん、朴大統領の辞意表明、どう受け止められましたか?」
中谷議員
「大統領はすごく権限が大きいので、まさに権限争い、その主導権争いということで、大統領個人だけではなくて、与党のセヌリ党ですね。これも運命共同体ですから、何とか現在の事態を収拾するために国会も絡めて、非常に巧妙な作戦で、合意すればいいのだけれど、合意をしなければ、混乱が収まらなくなったら辞めなくてもいいというようなことで、どうなるのかはわからない状況になっています。従って、時間が多少稼げるわけですから、局面が変わるということを狙っているのではないかなと思います」
反町キャスター
「弾劾、弾劾と言っている、その弾劾についての数の事情、ここで簡単に説明すると、韓国の議会、定数300ですけれども、弾劾をするためには200は必要だと。200必要だけれども、セヌリ党は128あるので、200に届くためには、朴大統領の与党のセヌリ党から少なくとも28人が弾劾に賛成する議員、つまり、造反が必要です。与党セヌリ党から何人造反するのかということが、これまでの議論になっているのですけれど、その与党の状況は現在どうなっているのですか?」
秋元キャスター
「与党セヌリ党、朴大統領と距離を置く、非主流派が今日午前、会合を開きました。その中で朴大統領に退陣の時期を明言するよう要求することで一致し、遅くとも来年4月末までの辞任を求めるとしています。また、朴大統領の退陣に向けた野党との協議が来月9日までにまとまらなければ、野党が推進する弾劾訴追案に賛成するという方針も確認しました。与党の非主流派の動きというのをどのように見ていますか?」
奥園准教授
「既に朴槿恵大統領の談話の前に、非主流派の人達は弾劾訴追案というものが出た場合には自分達もそれに加担をするということを明確に表明をしていましたので、この談話が出たからといって、その方針をひっくり返すようなことになると、彼らの政治的なポジションというのが非常に弱くなってしまうんですよね。ただし、やはり与党ですので、大統領ご自身が任期満了を待たずして退く可能性について言及されたわけですから。それを受けて弾劾訴追案を発議して、可決していくという、そのプロセスの日程について野党側ともう1回、再検討をすべきであって、再交渉を提起すべきであるという動きも実際に出たんですね。それはある意味、朴さんの談話が与党に対して揺さぶりをかけて、それで若干、与党が動揺したというところがあったんです」
反町キャスター
「そうすると、今、与党が揺れているのは、弾劾に賛成したいセヌリ党などの非主流派と言われる、この人達ですよね?」
奥園准教授
「はい」
反町キャスター
「何もなければ2日に、野党側が弾劾をかければ、200を軽く超えるのではないかと言われている中で、昨日の大統領のスピーチで、この人達が9日まで待とうと言い出しているではないですか。1週間、少なくともぐちゃぐちゃにさせるだけのパワーが、昨日のスピーチにはあった?こういう理解になりますか?」
奥園准教授
「そういう理解ができると思いますね。さらに言うと、1週間ぐちゃぐちゃな状態で引きずると、これは決して彼らが1枚岩ではないのだということが露呈する可能性十分あると思いますね」
反町キャスター
「そうなると、もしかしたら1週間後9日まで弾劾を待とう、それまでは、要するに、与野党の間で、朴大統領が昨日言ったような、納得するような状況を整えてくれたら、私は辞めますよと言っている。朴大統領が納得する条件が何かよくわからない部分もあるのですけれども、その条件をとりあえず与野党で話し合いましょうという流れになりつつあると見ていいですね?」
奥園准教授
「ただ、今日のニュース、いくつか拝見しますと、弾劾に賛成すると言っていた人達のグループが会合を持ったうえで、やはり自分達は野党2党と共に、弾劾訴追案が提出されれば、予定通りにそれに加担をするということで、少なくとも3分の2を確保できる人数は確保されているということを会見で言ったりしていますので」
反町キャスター
「野党がそう言うということは、9日の中で、待ってくれと言っていた人達も弾劾に賛成するだろうと見越しているという意味ですか?」
奥園准教授
「それは与党の非主流派が言ったんですね。実際にそうなのかどうなのかというのはわからないので、駆け引きで言っていることだと思います」
反町キャスター
「中谷さん、この政局は非常にわかりづらくて、議連でいろいろ韓国側の議員ともお付き合いがあったと思うのですけれども、こういう時は何もせずに見ているしかないですよね?日本側としても」
中谷議員
「これは韓国の政治で、韓国の国民が決めることなのですが、1つ国民向けに、私が辞めてもいいですと言うことで、国民の感情を和らげるということと、28人に対して、しっかりあなた方が考えてくれれば、辞めるけれど、弾劾なんかで野党と一緒になったら、大変混乱をするので、そう言った最悪の政治混乱を避けるために、この28人の人に向けて与党としてちゃんと責任ある対応をとってくださいということで。まさに混乱なく退陣するということは腹に決めて、混乱を起こしたくないという意思だと思います」
反町キャスター
「奥園さん、今後の日程的な話を聞きたいですけれど、今後の流れの大きな柱として3つがあると思うのですけれど、辞任するのではないか。弾劾決議の可能性があるのではないか。もう1 つは、今日、任命されましたけれども、任命でいいですよね、特別検察官の捜査がいよいよこれから始まります。こういう3つのものが同時並行で進んでいく、今後の日程の中で、実際に、本当に大統領が辞めるタイミング、どのへんのところに落としどころがくるのではないかという見立てですけれども、どう感じていますか?」
奥園准教授
「野党の本音は、この3つで言うと、辞任ですね。即刻、辞任をして、一刻も早く、60日以内の次の大統領選挙をしたいと」
反町キャスター
「野党が、ですか?」
奥園准教授
「野党が」
反町キャスター
「ただ、野党も大統領候補は絞り切れていないので、すぐにやられても困るという話はないのですか?」
奥園准教授
「今のこういう韓国社会の流れは、とにかく、朴槿恵さんを引きずり下ろすということになっていますので、その流れが途切れる前に早く大統領選挙をやってしまいたいと。それはもちろん、野党の中の候補によって、いろいろな思惑があると思います。ただ、1番有力と言われている文在寅候補ですとか、という場合は即刻辞任をしてもらったうえで一刻も早く大統領選挙したいというのが本音だと思うのですけれども」
反町キャスター
「それは、でも、辞任に追い込むまでどうしろとは言いませんけれども、そこから先のビジョンまでは、野党第1党、第2党、第3党の皆さんというのはそこまで腹合わせできているのですかね。何とかなるよ、辞任させてしまえば、あとは野党の間で何とかなるよというぐらいと見ていますか?」
奥園准教授
「今は、文在寅さんという方が野党陣営では支持率がトップです。文在寅さんにしてみれば、とにかく大統領を辞めさせて、一刻も早い選挙に持ち込めれば、自分が1番有利ですから、前回の選挙も戦った方ですから経験もありますので。ですから、彼にしてみれば早くやることが1番有利であると思っているんですけれども、ただ、これは辞任ということが前提ですから。大統領ご自身が、私、わかりました。もう辞めますと言わない限りは、制度的に辞任に追い込むということはできないですから」
反町キャスター
「一方、与党はどうするのかというと、与党は短い時間でなく、なるべく時間をかけて、時間を稼ぎたいと与党は思っているのですか?」
奥園准教授
「与党側は正直申し上げまして、国連事務総長の潘基文さんを除いて有力な候補が見当たらないというのが現状でして、潘基文さんは12月末までは事務総長としての任期が残っていますので、それまでは身動きがとれないですね」
反町キャスター
「潘基文さん待ちなのですか。国連事務総長の任期切れ待ち?」
奥園准教授
「現状では、悲しいかな、それが現実だと思いますね。それ以外に、有力な候補、何人か名前は挙がっていますけれど、たとえば、元ソウル市長ですとか、あるいは元京畿道知事ですとか、あるいは現職の京畿道知事とか、済州道知事とかが挙がっていますけれども、彼らは次の次と目されていた人達であるとか、あるいは4月の総選挙で落選をした人達という面々ですので、非常に弱いですね」

日韓関係への影響
秋元キャスター
「さて、朴槿恵大統領の辞意表明で改善が進んでいた日韓関係にも影響が必死と見られています。中でも来月、東京で開催が予定されています、日中韓首脳会談、昨年末の日韓合意に基づいたソウルの日本大使館前にある少女像移転問題が今後どうなっていくのか。不透明さが増してきました。中谷さん、まずは日中韓首脳会談ですけれど、朴大統領の来日、これでちょっと難しくなったのですか?」
中谷議員
「いや、日本は議長国ですから、お呼びする側としては日中韓。これは懸案がたくさんありますので、日本でこういった会議を開催してより緊密に両国関係を良くするということに努めるので、是非いらしていただきたいという立場です」
秋元キャスター
「奥園さん、日中韓首脳会談はどのようなると思いますか?」
奥園准教授
「これはこれだけ政局が韓国の国内で混乱をして、朴槿恵大統領のリーダーシップが地に落ちているわけですから、マイナスはあってもプラスはないですね。それは、もう否定できないと思います。ただ、韓国の内政の問題について、日本がどうこうできることはないわけですから。それは中谷先生がおっしゃったようにホスト国として淡々と、粛々と準備を進めていって、お迎えする。いつお迎えしても構わないという準備を進めることが大事ではないかと思いますね」
中谷議員
「ただ、今回の混乱の中で、韓国はGSOMIAという日韓の(軍事)情報(包括)保護協定、それを敢えて結びました。非常に、ただでさえ批判があるのに、こういう中でも結んだということは、韓国の安全保障、外交、これはいかなる場合でもしっかりするということで、大統領が主導権を握っていく。もう1つは、THAAD(地上配備型迎撃システム)。これもアメリカと韓国のミサイル防衛、これもアメリカの話は予定通り、早くやりたいと、今の大統領は支持していますので。安全保障を通じて、政治の安定をはかりたいという意味では、敢えて日本に来て、日中韓の会談を通じて韓国の安全、外交、これをアピールするという意味では、(日本に)来る可能性は大きいと思います」
反町キャスター
「GSOMIA、THAADの話が出たのですけれど、大統領、朴さんとしては、国内ではこれほどごちゃごちゃになっているのだけれど、せめて安全保障、外交においては、最後までグリップを持っていたい。これは彼女の気持ちにあると思いますか?」
奥園准教授
「そういう気持ち持っておられるでしょうし、そのことを重要視されているということは間違いないと思います。だから、朴槿恵さんとしては、これだけ北朝鮮の軍事的挑発が続いて、アメリカにトランプ政権というものが誕生することになって、韓国の安全保障環境というものが非常に不透明な状況にありますので、やるべきことはこういう混乱した状況の中でも、きっちりやらないといけないと。朴槿恵さんの強い意志というのは、GSOMIAをこの混乱の中で署名にまでこぎ着けましたので、これは非常に強いものがあるのだろうと思いましたね」
反町キャスター
「朴大統領が在任中にせっかくGSOMIAもTHAADも受け入れた大統領で、中国から日米に舵を切った大統領なのだから在任中にできるだけのことをやっておきたい、そういう気持ちがするのですけれども、そこはいかがですか?」
中谷議員
「そうです。長年かけて、外務省をはじめ、日本政府は日韓関係改善のために努力をして、昨年末ですね、共同発表をして日韓関係非常に良くなってきていますので、是非この路線を継続していくということが大事なことだ思います。それから、安全保障もガラッと変わってまして、昨年、私が韓国に行った時には、GSOMIAについては非難轟々でした」
反町キャスター
「1年でそんなに変わるものですか?」
中谷議員
「ええ、この前半の北朝鮮の動きに対して、むしろ韓国の新聞の社説などから、GSOMIA結ぶべきだというようなことで、韓国政府もそれに力を得て、結びましたので、ここまで日韓関係が非常に良好になっていますので、できる限り日韓で協力できるところはやっていくべきだと思います」

『トランプ時代』の日米安保 カギを握るキーマンは?
秋元キャスター
「まずはトランプ次期政権の安全保障政策の鍵を握る閣僚人事について聞いていきます。トランプ氏は既に国家安全保障担当大統領補佐官に元国防情報局長官のマイケル・フリン氏を指名しています。トランプ氏の外交顧問を務めていたフリン氏ですけれど、非常に激しい気性の持ち主として知られていて、過去には問題発言もありました。国防長官の最有力候補とされているのが、元中央軍司令官のジェームズ・マティス氏です。海兵隊出身の軍歴44年という軍人で、激しいもの言いから狂犬という異名をとる人物で、たとえば、2005年のアフガニスタンでの戦闘を巡り、敵を撃つのは楽しいことなどを発言して物議を醸した人物でもあります。まずは渡部さん、既に決まっています大統領補佐官のフリン氏ですけれども、どういう人物なのでしょうか?」
渡部氏
「軍に長くいて、しかも、情報畑。最後の国防情報局長官は国防総省の情報機関のトップですよ。日本だとCIA(中央情報局)という軍ではないところの情報機関の方が、とかくいろんな意味で扱われるのですけれど、実はアメリカのインテリジェンスに関しての予算の7、8割は軍の関係であって、だから、すごく重要な役割を果たしている。でも、オバマ政権とちょっと不具合があって辞めさせられた形ですよね。そういう意味では、歯に衣着せぬ、まさにそういう方ですね」
中谷議員
「私もサイバーの関係で来日された時にお話をしたような記憶がありますけど、情報通で、国際戦略とか、また、日米同盟も非常に重要で、トランプ氏が決まったあとも日本に来て、非常に橋渡し役のようなこともしてくれていますし、先だって、安倍総理が訪米した時に、トランプ氏と面会した時に同席しているんですね。非常に若い時から空挺部隊、また、ハワイの25師団。そういった特殊部隊で経験をしていますので、安全保障の専門家でありますので、こういう点では熟知していますので、信頼のおける有能な補佐官だと思います」
秋元キャスター
「一方、国防長官マティス氏ですけれど、こちらも狂犬と言われていて、ちょっと心配な気もするんですけれども」
中谷議員
「沖縄に第3海兵師団というのが駐留していますけれど、そこに所属していたんです。沖縄を含む、日本防衛にも関与、理解をしているということで、一言で言いますと、非常に勉強家で、知的将軍と言われています」
反町キャスター
「知的将軍に、マッドドッグ、狂犬という名前がつくのですか?」
中谷議員
「そういう意味では、非常に能力のあることでしょうね。命名したのがどなたかは知りませんけれども、軍人の中では非常に知的将軍と言われています」
反町キャスター
「小原さん、いかがですか?マティス国防長官候補、どう見ていますか?」
小原氏
「優秀な軍人だからこそ、狂犬と呼ばれるのだろうなと思いますけれども、軍の指揮官を務めた人間というのは戦闘がどういうものかを知っている。特にアメリカ軍は知っているわけですね。そういった戦闘を知っている人間が、そうした合理性に基づいて、国防政策をちゃんと立案するトップにいるというところは信頼のおける政策をアメリカがとってくれるのではないかと。また、トランプ氏は外交安全保障、ほとんど知見がないように聞いていますから、知見や経験がない大統領であればまさに国防政策に関しては、国防長官の合理的な政策というものは影響力を持ってくるのだろうと思います」

在日米軍と『感謝の念』
秋元キャスター
「ここからはトランプ次期政権になって、日米同盟がどう変わっていくのか考えていきますけれど、大統領選挙中の、トランプ氏の在日米軍駐留経費の負担増額発言や、日米安全保障条約の片務性に対する批判などを念頭に今月21日、中谷さん、このような発言をされていまして、ニュースになりました。『日本国民はアメリカの存在にどれだけ関心を持っているのか。感謝の念は非常に希薄だ。そういうことがトランプ氏に伝わり、アメリカが日本を守るなら、もっと感謝しろ、カネを出せという発言につながる』と言っているのですけれども、中谷さん、この発言の真意というのは?」
中谷議員
「日米安保条約に基づいて在日米軍が存在をしていますけれども、米軍の働きというのは、日本の防衛に寄与してまして、当たり前ではないですね。本国から離れて、若者が来て、いざという時には日本のために命をかけて行動をするという中で仕事をしています。そういう中で、実際、北朝鮮からミサイルが撃たれたり、また、核実験があるという時には、真っ先に米軍が行動をして、いろいろ情報収集とか、警戒監視とか、また、日本と連携したりとか、相当なことをやってくれていますけれど、一般の皆さんはこういった米軍の存在が非常に日本の安全保障に大きな影響を与えているということをどれだけ認識しているか。それはぞれぞれの皆さんの感じ方ですけれど、やはり日本とアメリカの同盟関係は、お互いが感謝して、お互いに敬意を表し合うという中でないと続かないですね。そういう意味で、日本のために非常に貢献をしているということに対して、そういう気持ちをもっと持たなければ続かないよという、そういう意味で、そういうことを申し上げました」
反町キャスター
「たとえば、辺野古の問題とか、在日米軍基地に対する住民の反対運動とか、そういうものももしかしたら、この感謝の念の範疇に入ってくるのですか?」
中谷議員
「はい。米軍が果たしている役割というのは、私も再三再四沖縄に行きまして、関係者の方にもお話をしています。そういう意味において、基地問題は基地問題として、沖縄に過度に集中している基地を縮小しましょうということで、日本政府もアメリカとも話し合いをしながら米軍の再編プラン、これを立てていますので、それが1日も早く実現するように努力していますので、そういうことに対して、まだまだダメだよという声を出されているわけですけれど、そういう気持ちも念頭に、少しでも早く沖縄の基地問題、これらが縮小できるように政府は努力をしているということなんです」
反町キャスター
「一方で、トランプ次期大統領、選挙期間中にこういうことを言っています。『日米安保条約は不公平だ。もし日本は攻撃されたら、我々が直ちに助けに行かなければならないが、我々が攻撃されても、日本にはそうする必要がない』と。俗に言われる片務性という部分を発言されていると思うのですけれども、こうした発言が出てくること自体が、たとえば、在日米軍、米軍基地が日本にあることにおける、アメリカの国益を守っている部分とか、そこの部分。双務性の話の前に日本に米軍が駐留していることの意義というものが国益にかなっているということを次の大統領は理解していないのではないかなと僕は思ってしまうのですけれど、そこはどう感じますか?」
中谷議員
「これは選挙中に出た言葉でトランプ氏が勝利してから、まったく一言も日米同盟関係について意見を言っていません。鳩山元総理ではありませんが、学べば学ぶほど日米同盟の関係の重要性というのは理解できてきているのだと思います。これから大統領として今いろんな情報が入っているところですから、私は心配をしていません」
反町キャスター
「渡部さん、いかがですか?確かに中谷さんが言われた通り、劇的に言わなくなった。どう見ていますか?」
渡部氏
「ちゃんと説明が入ったということも1つですけれども、あとは言う必要はないでしょう。選挙終わっているのだから。選挙中は、ターゲットは本当に米国民の、しかも、今回トランプ氏が最後に勝利したのはどこかというと、それは中西部のラストベルトと言われる、元の工業地帯で、しかも、そこの白人で、労働者クラスで苦しいなと思っている人達。そういう人達にとって、日本は、まだまだトランプ氏の発想も古いのですけれども、1980年代、1990年代の発想があるのですけれども、日本車にやられたなと思っているわけですよ。しかも、残念ながら日本も生産拠点をアメリカに移しているのだけれど、ラストベルトに移していないので、南部の方に移しているので、ちょっとずれがあるので、でも、それは選挙が終わっているからもう言わなくてもいいわけです。だから、学んでもらったということで、いいことではないですかね」
反町キャスター
「中谷さん、それでこの発言のもう1つのところ、いわゆる、双務性という部分です。アメリカが攻められた時に、日本は守らなくてはいけないかどうかという話になるのですけれども、こういうことを言わなくなったということに関してはアメリカというか、トランプ政権です。トランプ政権は日本に対して日米安全保障関係の双務性を求めてくる可能性というのはあるのですか?どう見ていますか?」
中谷議員
「これは、日本の憲法とか、法律がありますので、できること、できないことはあります。その意味では、昨年、日米防衛協力のための指針、ガイドライン。これを改定しまして、平時から有事に至るまで世界における日米協力ということで、既に国際的にも日米が協力しましょうとなっていますので、そんなに日本が何もしないという状況ではないので、そういう点は、よく理解をされると思いますし、また、安倍首相も世界で、真っ先にトランプさんと会って、いろいろな話をしていますので、そういう中で日本への理解も広がるのではないかと思いますが、相当、日米関係は幅広く、お互いの利益のために機能するような、そういう状況になっているわけです」

尖閣防衛と在日米軍
秋元キャスター
「日本にとって現実的な問題が尖閣諸島の防衛です。この問題について、トランプ次期政権がどういうスタンスで臨んでくるかということですけれども、今月9日、元国務長官のキッシンジャー氏が名誉会長を努めるアメリカの外交専門誌『ナショナル・インタレスト』が、予測記事を掲載しています。『オバマ大統領は尖閣諸島が日米安全保障条約の適用範囲内であることを明言した。トランプ次期大統領は、これを覆し、もし尖閣諸島をめぐり日中が衝突したら、自動的に日本側につくのではなく、状況を判断する権利を留保するだろう』と書いています。この見方はいかがですか?」
渡部氏
「そもそも『ナショナル・インタレスト』というところは、センター・フォー・ザ・ナショナル・インタレストというシンクタンクですけれども、キッシンジャー氏も関わっていますけれども、トランプ氏が最初にスピーチをしたところだから、でも別に近くないし。シンクタンクが出しているものだから、頭の体操なので、だから、シンクタンクが言っているからというのは関係ないと。ただ、頭の体操としてやってもいいと思います。なぜかと言うと、同じことをトランプ氏が日米ではなく、NATO(北大西洋条約機構)にも言っているんですよ。バルト諸国、NATOのメンバーですけれど、これに対して攻撃された時に、自動的にではなくて、条件付きで考えると言ったことを、ただ、そのままここに引用してつくっているだけですけれども。頭の体操としては考えておいた方がいいというですね」
反町キャスター
「現実味としてはどう見ていますか?」
渡部氏
「現実味としては、冷静に考えると、オバマ政権になってから相当踏み込む発言をしたけれど、その前の基本的な解釈は変わっていなくて、オバマ氏が自動的に日本側につくなんて言っていないですよ。だから、その都度その都度の解釈だし、最初から決まっているものではないんです。ただ、オバマ政権は相当踏み込んだ。これから日本が気をつけるべきは、変な発言をトランプ氏にさせないことでしょう。あるいは中国も逆に思っているでしょう。うまい発言をさせて、獲ってしまえばいいと。気をつけないと両方にとって危ないゲームですよ」
反町キャスター
「この『自動的に日本側につくのではなく、状況を判断する権利を留保するだろう』という、頭の体操と思いたいのだけれども」
中谷議員
「これはトランプ氏が言った言葉ではなくて、雑誌の記事なので、推測ですね。実際トランプ氏がどう言ったかというと、3月のワシントンポストのインタビューで、仮に中国が尖閣列島を支配した場合は、米国は何をするかという質問に対して、中国の行為が信じられないほど侵略であると、また、米国に対する信じられないほどの敬意を欠いていると。こういうことは断固許さないぞという考えを持っているんですよね。尖閣列島は魚釣島がありますけれど、その近くに大正島、久場島がありますが、これは米軍の射爆場になっていまして、昭和50年代までは米軍が管理して、射爆していたんですよ、沖縄返還のあとも。従って、米国は歴史的に日本の固有の領土であったというようなことも認めて、沖縄と一緒に考えていますので、そういう点で言っていくと確かに尖閣は日本の固有の領土で、これを守るのは日本自身の問題でありますが、そういう中で、日米同盟の意義を確認していく中で、米国も日本の領域を、尖閣を含む、防衛に対して適用すべきだという考え方は論理的に理解できると思います」
反町キャスター
「日米安保に対しての再評価、再検証が行われる可能性はありますね?」
中谷議員
「そうですね。政権が変わりましたらレビューは当然行われますが、東アジアの抑止体制をどうするのか、日米の役割分担、沖縄に関しても今問題がありますけれど、これを解決するチャンスになるのではないかと。と言うのは、米軍の基地においても共同使用とか、自衛隊が米軍基地を管理するとか、そういうことまで議論できる可能性がありますので、こういった沖縄の膠着状態を打開できるようなチャンスがあるのではないかと思います」
渡部氏
「結局トランプ大統領の周りにどういう人がつくかということなので、あまり、まずい方向の、ネガティブなことはあまり真剣には考えなくていいけれども、基本的に国と国の約束というのは非常に微妙なものであって、日本側がいったい何をするのかということをキチッと明確にしておかないと、信頼関係もつくれないしということを、中谷前大臣は担当だから言いにくいと思うけれども、平和安全保障法制をやろうと思った人達は、我々のような民間の専門家も含めて、ずっと20年ぐらい課題だったわけですよ。日本が集団的自衛権を行使するというのはシンボリックな意味もあるから。だから、やるべきとずっと言ってきたわけです。それを少しでもやれたということが重要であって、そういうふうに日本は真剣に考え続けるしかないですよ」

同盟の行方と国防の姿
秋元キャスター
「日米安全保障条約が発効してから来年で65年目を迎えるわけですが、時代と共に日米安保、米軍基地の存在意義が大きく変わってきました。かつての日米安保の存在意義を示しているのが、瓶のふた論です。1990年、在日米軍海兵隊のヘンリー・C・スタックポール司令官(当時)が米軍の日本駐留の理由について『もし米軍が撤退すれば、日本は既に相当な能力を持つ軍事力をさらに強化するだろう。誰も日本の再軍備は望んでいない。だから、我々は(日本の再軍備を防ぐ)瓶のふたなのだ』ということですけれど、中谷さん、この瓶のふた論は現在なくなっている?」
中谷議員
「そうですね。20年ぐらい前の1970年代にアメリカの誰かが使い始めた言葉ですが、アジアの状況は変わっていまして、たとえば、東南アジアも経済力を持って世界最大の成長センターになってきています。日本に米軍が駐留しているということは、米国自身にもメリットがあって、この地域に関与できますから。そういう意味においては瓶のふただからいるのではなくて、お互いの国のメリットがあるという意識で続いてきているということですから、瓶のふた論が通用するような時期ではないと思います」
小原氏
「1970年代に米中国交正常化の際にキッシンジャー氏が、日米同盟は中国を対象にしているのではないかと言われ、いやいや、そうではないと。日本を押さえ込むためにあるのだと説明をしたのが最初だと思います」
反町キャスター
「瓶のふた論は、今の日米の安全保障関係を表現する言葉になっていないと思いますか?」
小原氏
「なっていないと思います。と言うのは、1990年代は、日本はまた軍事的に国際秩序に挑戦するのではないかと恐れられていたんです。経済発展する国は皆、その能力はつけると。ですから、あとは意図の問題で、日本にはまったくそんな意図はなかったので、日本国民はそんなことを言われてもちんぷんかんぷんだったのですけれども、周りの国は皆、心配していたんですよ。だから、押えなければいけないという発想もあったのだと思いますけれど、今や日本は安定成長に入って、安全保障面、国際社会への貢献という面でも十分に信頼を得られる段階まできていると思いますから、もはやアメリカの中で瓶のふた論は主流にはならないと思います」
中谷議員
「在日米軍の存在というのは、アジアの安全保障のバランサーになっています。中国から見ても、韓国から見ても、アメリカが日本にいるということで瓶のふたではないですけれども、一種の安心感も持っていると思いますし、昨年の法案も単にアメリカだけが同盟国ではなくて、第3の国も日本を防衛する際において支援できるというようなことで、アメリカ1国のみならず多国間の関係において、安全保障を維持していこうという時代になってきていると思います」

小原凡司 東京財団政策研究調整ディレクター兼研究員の提言:『米国の選択的関与をコントロールせよ』
小原氏
「アメリカのトランプ次期大統領が言っていることは、必ずしも新しいことではない。アメリカは実は世界の警察官はとうの昔にできないということを理解し、選択的に事象に関与するということをやってきているわけです。ただ、それが理想主義的な表現で覆い隠されていた部分もあった。トランプ次期大統領はそれをまったく抜きにして、米国の利益第一と言い始めた。と言うことは、日本も明確に、アメリカの選択的関与の選択を考えなければならない。日本がいかに重要であるのか、あるいは日本周辺の安全保障環境、アジアの安全保障環境がアメリカにとっていかに国益になるのかということを考えさせていかなければいけないと思います」

渡部恒雄 笹川平和財団安全保障事業企画室特任研究員の提言:『精神的自立』
渡部氏
「私もこの仕事をやっていますけれど、オバマ大統領になった時も結構、大騒ぎしていて、日本の中で。その度に大騒ぎするというのは、自分で考えていないからですよ。自分の国を守る、同盟国とどういう関係をつくるのか、そういうことを考えていれば、慌てずにやることは見えてくるし、そういう方が相手の方もこういう安定した人と付き合いたいと思うではないですか。もうちょっと精神的に自立しましょうよというのはずっと言っています」

中谷元 前防衛大臣の提言:『ともだち作戦』
中谷議員
「ともだち作戦ということで、東日本大震災や熊本地震の時も日本が非常に困った時に助けてくれました。日米安保条約というのは戦後、1番成功した2国間条約で、日本だけではなくて、両国、また、地域のためにも役に立っています。しかし、当たり前とか、何もせずにこれは続きません。選挙中に発言したことに一喜一憂するのではなくて、しっかりと日本の考え方を伝え、それから、日米同盟の意義、やるべきことを話し合えば、トランプ政権というのは日本にとってより強固な日米関係を結べる政権になるのではないかなと思います」