プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2016年11月25日(金)
朴大統領と韓国の運命 検察VS官邸…宣戦布告

ゲスト

白眞勲
民進党参議院議員
黒田勝弘
産経新聞ソウル駐在客員論説委員
浅羽祐樹
新潟県立大学大学院国際地域学研究科教授

朴政権&韓国の『運命』 大統領『共謀』の真相と波紋
松村キャスター
「今週、起訴された崔順実被告ら3人が絡む事件の構図をおさらいしていきます。韓国の検察の発表では、大きくは巨額資金出資と機密漏洩、この2つに分れます。巨額資金出資に関しては、朴大統領と崔被告、首席秘書官だった安被告の3人が共謀して、安被告がサムスンやLGなど、財閥企業に出資を強要して、事実上、崔被告が支配しているミル財団、Kスポーツ財団に72億円が渡ったということです。機密漏洩に関しては朴大統領と崔被告、大統領府にいたチョン被告が共謀してチョン被告から崔被告へ機密文書が流出しています。このような構図ですけれど、白さん、検察が明らかにした構図をどのように見ていますか?」
白議員
「韓国の検察の場合には比較的、証拠に基づいて、きちんとやっていると、私は思っているんですよね。ですから、そういう面で言うと、この事実、と同時に、朴大統領が今回、容疑者、共謀ということを認定したというのは相当、バックグラウンドとして証拠に基づいて、しっかりとした発表をしたのではないのかなと思っています」
松村キャスター
「黒田さん、いかがですか?朴大統領が共謀関係にあるということですが」
黒田氏
「白眞勲先生がそうおっしゃったのだけれども、僕は、若干違う見方があって、今回の検察の発表は、事前には大統領の関与という程度の表現ではないかと予想したんですけれども、共謀と言っちゃった。犯人扱いだし、韓国の左翼メディアは首謀者だと認定、と報道しているぐらいですけれども。非常に強い表現で大統領を非難したということですよね。だから、これは証拠があるのでしょうが、これから、また、捜査の過程があるのでしょうが、世論を意識した検察のポピュリズムだと思いますよ。世論への迎合と言いますか、世論の方に身を寄せるという、その方が検察の威信が高まるというのか、大統領への忠誠よりも、そちらの方だと思いますよ」
反町キャスター
「検察のポピュリズムと言いましたけれども、ポピュリズムは、白さんの前で失礼ですけれども、たとえば、政治家がやるというのならわかるんです。人気取りの商売で、票を集めなければいけないですから。検察は別に選挙に出るわけでもないし、彼らがポピュリズムをとらなくてはいけない理由というのは、どういう背景で検察がポピュリズムをやるのか?」
黒田氏
「短期的には、韓国の検察は非常に信用をされていないというのがあって、国民に。直近では、要するに、検察幹部が皆、汚職でドンドン逮捕されたという歴史があって、最近もあるんです。だから、検察は何しているのだという不信が強いので、この際、検察は大統領でさえ捕まえるのだというような、そういう強い検察の権威回復を目指しているというのが、直近の彼らの意図だと思います」
反町キャスター
「出資を強要という部分ですけれども、黒田さん、たとえば、財団を建てます。財団を建てるにあたって政府側が、国の意向にも沿う形で、たとえば、スポーツ関係の財団をつくります。文化関係の財団をつくりますという時に、それが、たとえば、政府側が各企業に対して出資をしませんかと働きかける。僕はどの国でもあることだと思うんです。それが強要ということになるというところの、出資を要請と出資を強要の違い、強要と検察が言い切る背景というのはあこぎなことをしたのかなという、これはどういう、何があったと思いますか?」
黒田氏
「これも先ほどと同じ理屈で、あまりにも僕は強すぎると思いますね。反町さんがおっしゃった、そのことは朴槿恵さんもそう思っていると思いますよ。この財団のプロジェクト自体は良い話であって、スポーツ振興ということですから、別に問題がないのであって、それに必要な基金を財閥に求めるということはあり得ることで、良い話であれば、当然、財閥も乗ってくるというのは一応の理屈です。そこは犯罪ではないのだけども、韓国の場合は財閥企業が政府に弱いということがあるので、政権に睨まれると損をするということが日常的にあるものだから、なんか言われたら、いつも、はいはいと応じておくというのが慣例、通例ですよね。そこを暗黙の強要と見るかどうか。法的には随分、論争になると思いますよ」
反町キャスター
「いわゆる職務権限と関連するような話で、要するに、財団に対し出資を要請しましたと。断った時に許認可とか、予算分配とか、その報復ですよね。仕返しが怖いからお金を払った。何かそうしないと痛くもない腹に独禁法の絡みだかわかりませんがいろんな形で政府関係機関の操作が入るかも知れないから、その危険を回避するために、金を払ったという、ここの立証は非常に難しいですよね?」
黒田氏
「そのことよりもこの財団の中心に、崔順実というのが入っていますから、妙な女が絡んでいるということでしょう。大統領がいかがわしい女に取り込まれたというか、協力した関係があるので、そこに対する世論の不満というのがあるわけで、個々の細かい法的な問題というのは、あまり世論は現在のところ関心がないですね」
浅羽教授
「黒田さんがそうおっしゃったのですけれども、韓国世論、もっと強烈な要求があって、これでも生ぬるい、収賄罪だと。第三者に対する収賄罪で、この財閥は見返りを期待して、資金を提供して…」
反町キャスター
「収賄とは誰を、崔順実氏が賄賂を?でも、彼女は公職に就いていないから、収賄の対象にはなりませんよね?」
浅羽教授
「第三者供賄罪というのがあって、それに該当するのであると。サムスンですとか、ロッテに対する取り調べが進んでいますけれども、家宅捜索を行って。とりあえず安全パイで強要までで、世論は第三者供賄罪というところを求めてて。韓国検察、それに向けて、証拠を集めているという話ですね。少し先走りますけれど、国会の弾劾訴追の事由、理由ですね、事由にそこまで書き込まれるのではないかという話が出ています」
白議員
「今回、起訴状も支配をしているのだと。崔順実氏がこの2つの財団を完全に支配をしているのだと。そういうことで、反町さんがおっしゃったように、国家、国民のために、公共のためにやっていたのではないのではないかと。この崔順実氏の、そのためにやったのではないかというところで、起訴状にそう書いてあるわけですね」
反町キャスター
「大統領自身もこの2つの財団というのは、そういう公的な目的でなくて、完全に崔氏の財布に入るということがわかったうえで、指示していたという?」
白議員
「そうですね。知人も、皆この中に入っているような状況ではないかと、崔さんのですね。そういったことから、共謀が成り立つのではないのかと。そう起訴状に書いてあるわけですね。ですから、それに対して国民の怒りというのが爆発したと」
反町キャスター
「そこの証拠はなかなか立てにくいですよね?」
白議員
「ただ、今回の、私もずっと見ていると、相当メールとか、あるいは録音とか、あるいは様々な物的証拠も結構、出てきているのではないだろうかということが言えると思うんですよね。コンピューター自体からも、あるテレビ局が、そのコンピューターの中にあったメール、指示したメールから何から皆出てきているというところを見ると、なかなかそれを立証するだけの自信が検察は逆にあるのではないのかなと、私なんか思います」
黒田氏
「公判維持できるかどうかという、心配は、我々がしなくてもいいのではないかと思うのだけれども、たとえば、韓国の検察というのはあまり結果を考えないですよね。たとえば、産経新聞の加藤元支局長の名誉棄損問題だって、起訴して法廷に立たせたわけだけれども、だいたいあの時の関係者と言いますか、メディアサイドもそうだけれども、これはだいだい無罪だろうと言っていたわけです。結果的に無罪になったのだけれども、それは検察とすれば、起訴自体がおかしいということになるわけでしょう。ところが、そういうことを世論があまり言わない。あの案件を起訴して罰を与えようとしたと言いますか、法廷に立たせたという、そのことの一種の見せしめ的な効果というのがあるわけで、韓国の検察が、一種の刑罰思想的に、そういうものを求めるというところがありますよ」
白議員
「最初にこの崔順実氏を起訴する前に、1回、大統領に会いたいということを検察が言っているわけですけれども、でも、結局、大統領側がそれをちょっと間に合わないということになったところから、この動きが、共謀というような話になった可能性というのが、僕はあるような気がするんですね。つまり、起訴をするが故に、そこに共謀という大統領が共謀をしているのだということを相当強く出してきたというのが、そういったところもあるのではないかと。それに関して、また朴槿恵大統領側も反発を強くし、という部分で非常に距離感が出てきちゃったと、検察との関係で。最初は、朴大統領は検察の取り調べというのか、参考人としては受けますよということをはっきり国民に約束をしていたにも関わらず、それに対して結局、未だもって、取り調べというか、受けていないわけですよね。そういったことに対しての、両者、お互いに反目し合っているというのが出てきているような感じはしますよね」
反町キャスター
「23日に、検察組織トップの金賢雄法務大臣と検察を監督する立場の崔在卿民政首席秘書官、共に辞表を提出していたことが明らかになったのですけれど、検察が生き残りをかけて、これは溺れる犬だから、石をぶつけてやってしまえ、というような流れで、なぜそれぞれ検察トップの立場の人達が辞表を提出するのか。これはどう見たらいいのですか?」
浅羽教授
「これも船が沈む時に、ねずみが逃げるのと一緒で、本来、最後まで残るべき、最後まで守るべきような人が、特に崔氏、検察を監督というか、人事権を完全にコントロールできる立場なわけですよ。任命をされて、任命状をもらって、わずか5日ですか、辞意を表明ということで、朴が特別検察官の取り調べを受ける時に、本当は私選の弁護団に委ねられないといけないのですけれども、個人の不正ですので。でも、大統領府を挙げてサポートしている時に、先頭に立っていないといけないような人物です。この人が辞めてしまうということは、朴の周りで最後まで味方になるような人が一抜けたと言っていると。そう言っている状況ですね」
白議員
「右の人というのは、特に私が申し上げましたように、検察との対立が、非常に確定的になった時点で、自分としては朴大統領をこれ以上守りきることができないのだということで、お辞めになるという部分があるのではないかとも言われているんですよね。ただ、本人は自分からこうした、こうするのだということを言っているわけでありませんから。本音はわかりませんけれども、そう言う人もいますね。要するに、検察を監督する立場ですから。大統領は日本の総理大臣に比べて非常に権限が強いですから、ですから、そういった面で、その下に検察があるのにもかかわらず、その検察と大統領が完全に離反してしまっている中では、守りきれないよね、大統領を、という部分だと思います」

若者『怒り』の理由
松村キャスター
「疑惑発覚後の朴大統領の世代別支持率推移をまとめました。今日発表された世論調査では、全体では4%と、民主化以降、歴代政権では過去最低を更新しました。特に若い世代の反発が強くて、20代、30代両方では、何と0%となっています。崔被告の娘のチョン・ユラ氏が有名女子大学に不正入学をしたとされる問題が、若者の怒りの矛先のようです。韓国教育省の監査報告では、チョン・ユラ氏が名門梨花女子大学への入学時に、一部の面接官が書類選考の評価を不正に調整したり、在学中にも8つの講義に1回も出席せず、試験も受けずに単位を取得していたことが明らかになりました。さらにチョン・ユラ氏が2014年にSNSに『能力がないならお前の親を恨め。私の親のことでつべこべいうな。金も実力だよ』と投稿したと韓国のマスコミが報道しているんです。黒田さん、多くの学生がこの不正入学に不満を持っているようですけれども、この不正入学問題と今回の若者の反発、どう関連していると思いますか?」
黒田氏
「教育問題に関心が強い社会ですから、韓国は教育大国、受験大国ですし、そういう不正入学には、1番頭にくるということですよね。ただ、僕は、韓国に長いせいで、妙なことを言いますけれども、たとえば、インタビューで、自分達は一生懸命勉強をしているのに裏口があってけしからんということですけれども、韓国の皆さん、自分の不幸は他人のせいというところがありますよね。日常的に」
反町キャスター
「財団への出資要請とか、機密情報の漏洩とはちょっと質が違うではないですか。そのマグニチュードとか、響きの度合から言うと、どちらがどうだという数値化ができないのですか。どうなのですか?」
黒田氏
「それは、後者の方が大きいと思いますよ」
反町キャスター
「この問題の方が…」
黒田氏
「はるかに大きいと思いますね。特に、デモに女子高生とか、中学生とか、小学生までいますけれども、それはお母さん方が連れて行くとか、中高の場合は、韓国の場合は韓国版日教組が強いですから、デモに行ってこいというのがあるわけですけれども、彼らの間はそういうある種の感情論が強いと思いますね」
反町キャスター
「韓国版日教組というのは、韓国における教職員組合というのは、左派政党が非常に強い影響力を持っている?」
黒田氏
「野党系ですからね」
反町キャスター
「そうすると、朴政権打倒の方向性において、野党の政治色の強い教組が中学校や高校の生徒に対して、お前、行ってこいと、今こそ朴政権を打倒する時だと」
黒田氏
「民主主義のために行ってこいと言うでしょう。民主主義を実現するために行きましょうと。こういうわけですから。それは大変な名分になるでしょう」
浅羽教授
「20代、30代からすると、50代、60代は別の人達ですよね。まったく文化の違う、別の人と。こういう事態にならなくても、20代の朴政権支持率は10%台だったわけです。それがゼロになったというのは衝撃ですけれども、そもそも話の通じない人だと、不通と言われたやつで、ごく一部の周りの人だけで相談して、広く議論を募らないというのは、SNS世代とまったく違うコミュニケーションなわけです。わかりやすいと。1番むかつく、こんなに自分が苦労をしているのにと。自分の能力の問題かもしれないけれども、様々なものがあるのだけれども、全部を投影できるわけですよね、ここが悪いと。金のスプーン、銀のスプーン、土のスプーンとわかりやすい言葉で韓国では言いますけど、銀のスプーンをくわえてきた人は悠々とできが悪くても名門女子大学に入れるし、土のスプーンをくわえてきた自分達はこんなに一生懸命にやっているのに大学に入れないという部分は不正である、不公正であると。それが憲法の価値とも合致しないというふうに理解して、それで一気に膨らむわけですね」
黒田氏
「朴槿恵さんを支えて当選させたのは中高年層ですよ。これは親父さんの朴正熙時代への郷愁がある人達ですから、現在の20代、30代にはまったくそれはないですから。昔の人達ですから。教科書に出てくるぐらいの存在の人ですからね。朴槿恵さんに対するお父さんからくる郷愁とか、あるいは悲劇のヒロインだとか、あるいは御姫様だとか、そういう我々が持つ思いがまったくないです。だから、浅羽さんがおっしゃったように、ドライに判断しますから。まったく支持はゼロだということですね」
白議員
「日本で報道されている、外国の受験事情というのは韓国ぐらいしかないわけで、それぐらい韓国というのは大変な、おっしゃったように、一生が決まるような、つまり、大学が全部一緒になってセンター試験を受けますから、そうすると、ランクが全部、大学によって決まってしまうんですよね。点数が何点、何点…」
反町キャスター
「2次試験はないのですか?」
白議員
「2次試験はあるのだけれども、まずそこのところで確かやっているはずですよ。ですから、大学のレベルから何からという、就職から結婚から皆決まってしまうような。だから、そこに不正に入ったと言うと、本当に頭にきちゃうんですね、何だと。それだけではなくて、それプラス社会の不条理というか、よく韓流ドラマでも出てくるけれども、財閥の息子さんとか、お子さんは非常に優遇されるという。そういったものが、ナッツ姫みたいなのがありましたよね、大韓航空の。ああいったものとコラボして今回こういった現象になってしまったのではないか。つまり、その発火点になってしまったのではないのかなと。何をやっているのだという、つまり、徴兵忌避と、この不正入学というのは韓国人が絶対に許さない。そういう部分が、僕はあるのではないかと思いますね」

『辞任』か『弾劾訴追』か
松村キャスター
「まず国民の多くが求めているのが辞任です。この場合には、即逮捕、起訴が可能になります。次に考えられるのは弾劾訴追の手続きです。野党は弾劾訴追案を来月9日までに採決するとしていますが、弾劾訴追案の決議には、国会議員の3分の2の賛成が必要で、決議した場合でも憲法裁判所での審査に最長で180日間かかります。一方、政府から独立して疑惑を捜査する特別検察官の捜査、これが来月にも始まる見込みです。これは最長120日間かかります。この特別検察官の捜査内容も憲法裁判所での判断に影響を与えるとみられます。裁判官9人中6人賛成で弾劾が決定すれば、即逮捕、起訴が可能になります。棄却されますと2017年12月の大統領選挙まで半年程度しか残っていないかもしれない。このようなシナリオがあるのですけれども、黒田さん、今後のシナリオ。どうなると思いますか?」
黒田氏
「難しいですよね。現在のところ、流れは弾劾ですけれども、先ほどのニュースにもありましたけれども、一応、与党内部でも弾劾賛成論が出てるんで、この弾劾案、決議案が国会で成立する可能性があるというのは、浅羽先生もそういう展望ですね。だから、そうなると、憲法裁判所ですけれども、これはちょっと微妙ですよね。だけど、憲法裁判所が弾劾をノーと言ってしまうと今度は憲法裁判所に対する何十万のデモになってしまいますね。とすると、憲法裁判所の判事達も世論の動向というのは、敏感に当然なると思いますから。憲法裁判所も世論の動向は無視できない。悪く言えば、ポピュリズムだけれども、そういうことを考えると憲法裁判所も弾劾OKかな、罷免もOKかなという流れではないですか、どうですか?」
浅羽教授
「憲法裁判所は2004年の盧武鉉大統領の審判をしたことがあって、当時は選挙法違反で、ただ、辞めさせるほど重大ではないので、もう1度、職務に復帰させる、これが一応基準ですね。重大な法令違反かどうか。今回は2004年に比べると事案は重いだろうということで、罷免される可能性が、そこがまず高いということ。罷免されない可能性を高く見るのは9名ですけれども、来年1月に所長、トップが辞めるんです。これは大統領の任命なので、もし弾劾訴追となると、職務執行停止なので、権限代行の首相が憲法裁判所の所長を、これを決めるのはたぶん難しいと言われています。1人欠員になると。3月にもう1人欠員になるんですよ。そうなると7名中6名の弾劾賛成を獲得しないといけない」
反町キャスター
「そうすると、9名から7名に減っても6名以上(の賛成)が必要なのは、これは変わらないのですか?」
浅羽教授
「ええ。もともとの9名のうち、相当の人は保守的な性向の裁判官であるというので、ここは朴に有利に働くだろうと。どちらを多く見るかですが、黒田さんがおっしゃったのと一緒で、基本的に韓国の憲法裁判所がどういうポジショニングをしてきたかと言うと、国民世論の1番多いところにしっかり合せてくるわけです。今回、圧倒的多数が弾劾賛成、ないしは即刻辞任ですので、それに背いて直接、選ばれてもいない、日本の最高裁判事と違う、国民審査も受けていない、民主的な正当性が極めて弱い9名の裁判官が国民の意向に背くことをするとデモも受けるでしょうし、憲法改正をして、憲法裁判所ぶっ潰せとか、権限を最高裁の方に取り戻せ、移管させろというような議論が出るので、憲法裁はそこまで見越してどうしようかなと考えると」
松村キャスター
「特別検察官ですけれども、これは政府から独立して捜査を行うのですが、今回、特別法で捜査機関が、最長110日から120日に延長されました。任命方法も、現行では専門委員推薦2人から1人を大統領が選ぶ形だったのですが、今回は共に民主党と国民の党が2人を推薦し、大統領が1人を任命するという形です。捜査体制も最大68人から最大105人に拡大されます。朴大統領は特別検察官の捜査を受けるとしているのですけれども、黒田さん、この新たな体制はどのような影響を与えますか?」
黒田氏
「最初の、検察の調べを断ったというのは特別検察官の調べがあるからだということで、2回も同じことで取り調べられるのはおかしいと。それはそれで一理あるのですが、この特別検察官というのは、基本的には国会で選ぶと言いますか、決めているわけですから、野党の意向が相当反映した検察官を、その捜査にということですから、大統領にとっては極めて厳しい捜査内容になると、捜査結果も厳しいと思いますね。時間の問題もありますけれども、先ほどから言っている、弾劾罷免と重なった場合には、この特別検察官の捜査結果として逮捕起訴ということになって、論理的にはありますよね」
反町キャスター
「弾劾された直後に、特別検察官によって起訴される?」
黒田氏
「いや、罷免のあと」
反町キャスター
「そういう形があり得るのですか?」
浅羽教授
「弾劾審判の材料に、今出ている検察のやつではなくて、特別検察官の取り調べのものが上増しされると、強要とか、職権乱用だけではなくて、第三者供賄罪、これは重いですね。15年とかですので、こうなってくるとほぼ確実に罷免だろうと。これは法律上これを重大ではないとはみなせない、いくら保守的な判事でも」
反町キャスター
「そうすると、この特別検察官というのは、いわゆる特別検察官が動き出したら、一般の普通の検察というのは機能が停止するわけですよね?」
浅羽教授
「停止はするのですが、事実上はスタッフだとか、そのままスライドします」
反町キャスター
「トップというか、キャップを、要するに、国会が推薦して、大統領が決めた人間が上にくるのと、この違いだけですか?」
浅羽教授
「まだ、大統領の息がかかっているかもしれない既存の検察、国民から信頼をされていない既存の検察ではなく、それなりに正当性のある国会、野党が推した…」
反町キャスター
「その特別検察官が最長120日間、調査した結果というのは、そこからすぐに起訴、逮捕にいくわけではなく、その結果を国民に公表する形で終わるんですか?」
浅羽教授
「公表すると言っています。ですので、特別検察官も国民世論から。それは公表すると言っています」

歴代大統領『末路』の悲哀
松村キャスター
「韓国の歴代の大統領を見てみますと、亡命、逮捕、自殺、暗殺など、それぞれですけれど、悲惨な末路を辿っていきました。黒田さん、こうなってしまう背景には何があるのでしょうか?」
黒田氏
「歴代大統領の最後というのは全部理由と言いますか、背景が違うので必ずしも全部が同じというわけではないですけれども、朴槿恵大統領の、今回の案件とつなげて言えば、僕は韓国固有の問題があるというのと、それと制度的な問題が2つあると思いますけれど。僕の関心事ですけれども、韓国社会、韓国人の固有の問題があると思いますね。よく僕は言うのだけれども、家族主義ですよ。それから、人脈社会というか、個人と個人の人脈の中で物事が動くということですよね。そういう家族主義が強い社会なので、僕の主張ですけれども、崔順実氏という一家は、朴槿恵さんにとっては疑似家族ですよね。家族と同様になっていたということですから。これも家族絡みの血縁疑惑、犯罪だということですよ、僕に言わせると。歴代にそれが多いということでしょう。これは、いわゆる民主化以降の金泳三大統領、金大中大統領、盧武鉉大統領、李明博大統領、皆その疑惑で最後傷ついているわけですから。これが終始繰り返されるというのは韓国人、あるいは韓国文化の問題があるというのが1つですよね。もう1つ、よく言われるのは権力の集中度が高いということですから、そこにこの血縁と言いますか、家族の人脈が絡んでしまうと全部、人々が群がるということになるのではないですか、利益を得ようとして。今回、崔順実氏はその通りで、権力に群がる、人脈を通じて、家族、血縁に群がれば、利益を得られるという社会になっている。この2つが韓国にずっとある意味、伝統的に弊害をもたらしているということですよね、僕に言わせると」
反町キャスター
「浅羽さん、いかがですか?どう感じました?韓国の大統領のこれまでの歴史」
浅羽教授
「今デモで1番言われているのは、これが国か、これでも国なのか、ということで、民主化して、まっとうな国、近代国家、法治国家になったはずなのに。つらい時に支えてくれる家族、疑似家族的な人がいるというのがこれはわかる話ですよね。でも、公職に就いた時にそういう人を暫く置いておいてトランプ氏が大統領になった時に、家族のビジネスをどう管理するのかというのと、まったく一緒なわけですよ。韓国はそこができなかったということですね。そこに対する不満があって、これが国か、まともな国をつくりたいと。家族の情の部分をなくすとかではなくて、ドメインはこの範囲で留めておいて、仕事をする場合はラインで仕事をすると、組織をきっちり動かすと。ヒエラルキー、長官よりも下の秘書官とか、次官の人なのに、門番3人衆と言われたのは、局長、次官補とか、そのぐらいのランクの人ですよ。秘書室長、大臣クラスですよね、大臣は大統領にアクセスできなくて、局長クラスの人が大統領へのアクセスを全部管理しているというのは官僚組織としておかしい部分ですよね」
反町キャスター
「あまりにも今回、大統領を取り巻く部分が小さいので、そう大きくは分けられないのですけれども、勝ち組と負け組の戦いみたいに見たら、これは間違いですか?負け組が勝ち組を一気に流れによって弾劾しようとしていると見るのは間違いですか。利益にあずかれる人達、縁故主義とか、家族制度で利益にあずかれた人達と利益にあずかれない人達の、要するに、その争いで見たらこれは間違いですか?」
黒田氏
「いい指摘だと思います。僕はデモを見て感じるのもそうですけれど、ニュースで出る風景もそうなのだけれども、朴槿恵、辞めろ、それから、民主主義をやれと言っている人達。あの人達も状況が変われば朴槿恵氏、あるいは崔順実氏と同じことをするわけですよ、人脈社会ですから。地縁、血縁、学縁を頼って、特に、ある家族にアピールすれば、物事はスムーズに進むというのは日常的に経験しているし、皆やっていることですから。その部分の延長線上にこういうのがある、あるいは権力腐敗や権力不正というのがそこにつながっているのだということをデモしている皆さん、ほとんど意識していないですね。だから、僕は繰り返されると思いますよ、今後も」
反町キャスター
「また、同じことが起きる?」
黒田氏
「うん。そう思いますよ。制度的に、いかにチェックをするかどうかというのもあるのだけれども」
浅羽教授
「自制の声は出ていないわけではなく、我々の中の崔順実みたいなコラムが出ていないわけではない、それが広がるかどうかですね。あいつが悪いと指差している局面から、自分たちの中にも同じようなことがあると。立場が変われば、同じようなことをやってしまうかもしれないという時に自制すると。その自制が働かなくても、仕組みとして防ぐような。二段構えと言いますか」
白議員
「そういった物言いというのは韓国人自身も感じていることもあって、大統領の巨大な権力。以前は韓国でも日本みたいに議院内閣制にした方がいいのではないか、首相がいてやった方がいいのではないか、権力の分散をはかった方がいいのではないかという意見もあったけれども、1つは北朝鮮の問題もあって大統領という強い権力を持っていないと難しいのではないかという意見もあったと。私の出身の新聞社も社説で憲法を変えようではないか、権力を分散することも少し考えた方がいいのではないかと。毎回、毎回どうしても権力が強大な中で群がってくる人達がいると。特に親戚、縁戚、そういったものを排除しながらやるためにはどうしたらいいのだと、それを今やるタイミングではないのかという議論もしっかり出てきているのは確かですね」

『GSOMIA』&『慰安婦』影響は
反町キャスター
「GSOMIA(軍事情報包括保護協定)が署名されましたが、一方、韓国野党第1党の共に民主党の秋美愛代表は『わが党は、国民を裏切った屈辱的日韓軍事情報保護協定を決して容認できない』という話になっているのですけれども、署名した朴政権の狙い、反対を言い出してる野党第1党の動きをどう見ればいいのですか?」
黒田氏
「懸案になっていて、4年前か、調印寸前に韓国側が野党の反対で突然とりやめたという経緯があって、中身自体は合意ができたわけだから、すぐにできたのですけれども、今回の朴槿恵さんが決断したわけですよね。朴槿恵大統領は外交は責任を持つという強い意志がありますね。これは反対があってもやるということで、彼女からすると日米韓協力体制のシンボルですから、それははっきり自分の政権の時に保守政権として成果をあげたということを見せたかったと思いますね。これは評価していいと思いますけれども。野党は反対していますけれども、野党が政権を獲ったからといってこの協定の破棄はできないと思いますよ。日米韓の問題ですから、今回は日韓関係で批判をする韓国のメディアが基本的には大勢が了承ですね。左派のメディアは反対していますけれど、メディアの反対が少なかった。北朝鮮問題のこの状況下では必要なのだと。韓国にとってメリットがあるのだと、世論を説得というか、そんなに尾をひかないと思いますよ」
浅羽教授
「6割の国民が反対ですけれど。このタイミングで朴が進めたというタイミングの問題での反対も乗っているので、客観的に必要だという部分は、相当コンセンサスがあるのだろうと。左派メディアだけが反対しているところで、中道メディアも含めて。潜水艦に対する監視能力では日本の方がはるかに優れているので、協力してもらうことで韓国が1番不利なところですね、水中からミサイルを撃ったわけですよ、SLBMを撃つというのは第2撃を北は残せるとなる。アメリカの拡大核抑止が崩れる可能性があると、これを阻止するには潜水艦を止めないといけないです。ここは国民も切り分けて冷静に見ている。野党はこういうことを言っていますけれども。政権についた時に、1年単位で取り決めをやめるという協定にはなっていますが、アメリカからの強いプレッシャーがありますので、何より韓国が得する協定なので続くだろうと思います」
反町キャスター
「慰安婦問題はどうなると思いますか?慰安婦少女像の撤去はどうなるのかというところについては」
白議員
「なかなか難しいと思いますね。朴槿恵大統領はその気で、慰安婦少女像を撤去する気は少しあったと思うんです。世論の動向を見ながら、そこはやっていた部分はあるわけですけれども、朴槿恵さんはこういう状況ですから。次の大統領が誰になるにしても、ただ、慰安婦合意をひっくり返すことはあり得ないと思います。あったとしても、これは国際約束ですから、言葉で、いろいろと大きな声で言っても、昨年の慰安婦合意については大丈夫だと思うのですけれども、慰安婦少女像についてすぐどかしましょうということには、なかなか難しいと思いますね」
黒田氏
「同感です。この像の問題は韓国の国内問題になってしまっているわけでしょう、野党、反政府との間で。現在、野党、反政府側にがんがん押されているわけですからね、その中で彼らを刺激することができるかどうかですね。僕の期待だけれど、朴槿恵さんの最後の善政として、GSOMIAと同じですけれども、これを何とか押し切ってやってほしい」

白眞勲 民進党参議院議員の提言:『原則と情』
白議員
「原則を曲げない、日韓関係。原則は曲げないけれど、隣の国同士、情は持ってる。そういうことが重要なのではないかと思います」

黒田勝弘 産経新聞ソウル駐在客員論説委員の提言:『静観と余裕で』
黒田氏
「この案件自体は韓国のことで、韓国は今非常に苦労しているわけですけれど、これは静観するしかないということが1つと、日本には韓国けしからんという反韓、嫌韓というムードが非常に強くて、この番組にもいっぱい声がきていたわけですけれど。韓国の雰囲気を見ると、韓国も大変だなという感じではないですか。韓国では安倍さんはやはりすごいと皆、言っているわけですよ、トランプさんにすぐに会ったとか、長期政権で安定していると。だから、そういう雰囲気なので、日本の方も余裕を持って韓国を見てあげましょうということです」

浅羽祐樹 新潟県立大学大学院国際地域学研究科教授の提言:『この国のかたち』
浅羽教授
「韓国の、憲法と政治とか、大統領と腐敗とか、憲法裁判所と国民のデモする動きとか、我々の国と少し違うように見えるわけですね。違和感を覚える人もいるかもしれないのですが、それぞれの国に独自の憲政史があり、独自のロジック、ダイナミズムがあるので、それはそれとして冷徹に見たいなということです」