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2016年11月23日(水)
女性の活躍阻む『壁』 配偶者控除を見直しへ

ゲスト

野田毅
自由民主党税制調査会最高顧問 衆議院議員
伊藤元重
学習院大学教授 政府税制調査会委員
佐々木かをり
イー・ウーマン社長

『配偶者控除』見直し議論 どうなる?『103万円の壁』
秋元キャスター
「与党の税制調査会で本格化しています、配偶者控除の見直し案はどういったものなのかをこちらにまとめました。現在の配偶者控除とは、給与収入が103万円以下の配偶者、多くは妻ですけれども、がいる世帯を対象に世帯主夫の所得から38万円を差し引きまして、所得税を減額するという仕組みです。しかし、この103万円を超えますと、配偶者特別控除で段階的に控除額が減額されていきます。103万円が境目になっていることから103万円の壁と言われているわけですけれども、そのため、収入を103万円以下に抑えている人が多いと言われています。そこで主に検討されている案は2つありまして、1つは103万円を130万円に引き上げる案ですね。ただし、この場合、夫の年収は1320万円以下の世帯となります。もう1つは150万円に引き上げて、夫の年収を1120万円以下とする案です。安倍政権はこうした見直しを来年度から行って、女性の就労を促進しようということですけれども、伊藤さん、今回のこの配偶者控除の見直しの議論をどのように見ていますか?」
伊藤教授
「私は、個人的にはもうちょっと本格的な、たとえば、夫婦控除みたいなのをやるべきだと思うのですけれども、あとで議論になると思うのですけれども、税制改正は、誰が何をやっても必ず利益と損失の行動があって、夫婦控除の場合にはたぶんかなり所得の、それなりのところまで、この控除の対象から外れちゃうことに反対があったのだろうと思うんですね。ですから、そういう意味では、個人的にはとれなかったことは残念ではあるのですけれど、そういう中で、働き方改革でもうちょっと壁を意識してもらうというためには1つの考え方としてこういうことはあるし、それによって結果的にかなり高い夫の年収ではあるのですけれども、年収の高い人に関しては申し訳ないけれども、控除から外れていただくと、1つの方向性ができたのかなと思います」
反町キャスター
「130万円に27万円、壁を上げる、ないし夫の年収が1320万円。でも、これは効果的なプランになるのか?僕はイメージわかないのですけれども」
伊藤教授
「あとで議論になる、いろんな考え方がありますから。これはどこまで効くかは別として、ただ、現実問題で、よくスーパーとか、コンビニに聞くと従業員さん12月になるとこなくなるんです。と言うことは考えてみると、現在は特に労働力が不足している中で、ちょっと働く余地がある人に対して働いてもらう環境をつくるという意味では、103万円と、たとえば、130万円、150万円だと十分に違うのかなという気がしますよね。130万円に上げていくと1320万円以上の年収がある方については控除から外れるというのですけれども、世間的に見れば、1320万円というのはかなり高額所得者ですから、こういうのに乗ってもらえないかということだと思います」
反町キャスター
「野田さん、配偶者控除の今回の見直し議論をどんな感じで見ているのですか?」
野田議員
「103万円というのは、図の右側に階段がありますね。ですから、実際には配偶者控除が仇になって阻害しているということでは、税金の上では働いたから手取りが減るという逆転現象にはないです。ただ、問題はあとで出るかもしれませんけれども、企業が配偶者手当を出しているんですよ。その配偶者手当を支給する時の基準が103万円を軸にして考えている。結果的に配偶者手当も含めての手取りで考えると損をするというのが、現在の働き止めになっているわけです」
秋元キャスター
「配偶者手当についても、企業が支給する配偶者手当ということですが、これも見直しの動きが広がっていまして、経団連は来年の春闘で配偶者手当の廃止や縮小を企業に要請する方向で検討しています。大手自動車メーカーのホンダは来年の4月から配偶者手当を廃止し介護が必要な家族や子供に1人あたり2万円を支給するとしています。国会公務員も配偶者手当の減額を盛り込んだ改正給与法が成立が、今月16日に成立したと。こういった流れはあります」
野田議員
「配偶者手当を支給している会社と支給していない会社があるわけですけど、支給している会社の9割近くが103万円を基準にして打ち切ったりしているんですよ」
反町キャスター
「103万円で割っちゃうんですね」
野田議員
「だから、それがあるので、なぜ103万円というのを決めたかと言うと、配偶者控除を参考にしてやっていると。だから、配偶者控除という、税の上では損はないようになっているのだけれども、配偶者手当まで入れると、込みこみでいくと手当てが減ると。だから、そのことが一応頭になって、それなりにまったく無関係ではないものですから、そこで配偶者特別控除を含めて、全体を少し高いところまで女性がパートでいらっしゃる時に、そういうことにならないようにしようというのが、現在のそれを130万円までいくのか、150万円までいくのかという議論をしているということですね」
反町キャスター
「野田さん、103万円で低すぎるというので、なぜ130万とか、150万円という数字、この根拠というのは?どういう数字なのですか?」
野田議員
「1つは、なぜ130万円になるかと言うと、社会保険料のこれが130万円ですよ。だから、税の過程では、それがまだあるんですよ。だから、それに合わせようというのが1つはあるんです。だけど、それだとさらに衝撃が大き過ぎるんですよ」
反町キャスター
「130万円の巨大な壁がここにできちゃいますよね」
野田議員
「それをさらに乗り越えて、持っていければ、150万円ぐらいまでということになると。その時の、だいたいなぜそんな150万円という数字になるかと言うと、それは、たとえば、時給1000円で、1日6時間、週5日というと週30時間。だいたい年間収入が144万円ぐらい。だから、それで150万円なら十分にいくと」
反町キャスター
「月12万円まではパートだったらセーフということですね?」
野田議員
「だから、それはパートの収入ですよ。旦那の収入は別です、そこは。だから、そういうことまで入れて、両方入れるならもう少し大きな収入になるはずですね。だから、どこまでそういうパート収入に家計を依存するかということとも連動し、ある程度、それ以上、たくさん働いている人はもともとご本人自身に配偶者控除ではなくて、基礎控除という、本人に、自身が納税者になっていくわけですから。基本的には。そういう議論から卒業をしていくということになっていくのだろうと思うんですね」
反町キャスター
「150万円にもしするならば150万円の壁のあとに、今回あるみたいな配偶者特別控除みたいな階段状になっていて、そこから先も、要するに、さらに働いて、給与が増えていっても、収入が増えていっても、行って来いで損にならないような…」
野田議員
「多少の、そういう段階的なことは考える余地はあると思います」
佐々木氏
「まず配偶者控除というものに対して、私の個人的な意見としては、廃止した方がいいのではないかと、基本的に、そう思っているんですね。ただ、不勉強であるので教えていただきたいのですけれども、そもそもこれはいったい何のために生まれたのかというところに戻っていきたくて、日本を建て直そうと。ちゃんと経済成長をしていこうと。追いつけ追い越せというところで、国民全体が役割分担をしようという感じになって、男の人は一生懸命に長時間でもとにかく働こうぜと。女の人は、家にいて、家を守ったり、子供を育てたり、自治体を守ろうよという暗黙の役割分担ができ、これは想像ですけれど、その中でこの夫婦セットというか、世帯で税金を考えるということが、もしかしたら目的だったのかなと、それをちょっと知りたいのですけれども」
反町キャスター
「野田さん、配偶者控除の設立の背景は?」
野田議員
「いや、もともと配偶者控除が独立したのは新しい方で、扶養控除、つまり、一緒ですね。いわゆる負担能力、家計としての所得税の負担能力を世帯として考えていたわけです。だから、最初の頃は夫婦子3人だったんですよ。現在は、標準家庭夫婦子2人だけれども、昔は夫婦子3人で、だいたい生計費全体がいくらぐらいだろうということを、課税最低限というか、それを目安にして課税最低限を計算していたわけ。つまり、世帯としての、トータルとしての担税力ですよね。その影響ですね」
佐々木氏
「1人1人で課税するのではなくて、世帯でという発想ができたというのは経済発展…、そういう見直しをどう考えるかという時に、そういう、そもそも目的が何だったのかという、目標が何だったのかということを1回おさらいしたいなと思ったんですね。それがある程度、発展させるためだということであれば、それから、先ほどおっしゃったように、時代背景とか、そういう中で生まれたのであれば、50年ぐらい経って、ある程度、日本も経済的に豊かになり、IT(情報技術)も生まれ、国際交流も当時よりか頻繁に行き来、情報も人も行き来するようになったと、これは目標を達成したと。この配偶者控除というもので、日本国の経済活性をさせる目標は1度終了したのだというような、いったんゴールに着いたねということを全員で確認したえで、新しくどういう税制がいいのだろうかと考えた方が、昔つくったものの目標とか、目的をあまり探らないで、その名前がいいのかとか、いじるといろんな意見が出てきてしまうとか、先ほどから、常に出る利益を被っている人と不利益の人ということでの争いになりますが、1度も目標達成したということを確認したのがいいのかなと」
反町キャスター
「佐々木さんの話、配偶者控除というのは、社会的使命を終えたという主旨ですよね?」
佐々木氏
「はい」
反町キャスター
「配偶者控除の社会的な使命は1回終わって、リセットして、ご破算にして、別の形を考えた方がいいのではないかという、この提言はいかがですか?」
伊藤教授
「基本的に賛成ですけれども、ただ、おそらく現在の税制改革の議論にはそういう大きな、家族構成が変わってきて時代に合わせた形にしなければいけないという議論があるのですけれども、たぶんそれだけでは動かなかったのだと思うんです。そこに働き方改革みたいなものが加わってきて、パワーアップしてきて、だから、たとえば、103万円を130万円とか、150万円にするという話はむしろ後者を何とか生かすために出てきて、それで終わりではないですよ。佐々木さんがおっしゃったような新しい時代に合った形でやらなければいけないと思うのですけれども、ただ、なかなかおそらく、いったんできた税制というのはいろんなこともあるんですよ、そう簡単に変えられないと」
佐々木氏
「働き方改革で言うならば、男性の長時間労働に頼る形で、夫が働き、妻が家だったので、むしろ女性というよりも、働き方改革と合体して考えれば考えるほど、この配偶者控除撤廃というのか、方向にいく方が、筋が通ると思ったので、そのへんを教えていただきたいのですが」
野田議員
「それは、方向は確かにウェイトがドンドン変わっていると。そんなに8割も変わっているわけではないの。現在でも、たとえば、家庭において介護をしなければいけない方々もいるわけね。だから、フルタイムで皆が働けるような時代では全部が全部そうではないね。あるいは保育園に子供達を送って行ったり、出迎えたり、フルタイムを前提とする。全部がフルタイムで働くということを前提として全てを仕組むというには、まだ、その途中がたくさんいろいろなバリエーションがあるんです。だから、現在ここで配偶者控除をすぐになくすということになると、すごく大きなハレーションが起きますよ。ですから、それを頭に置きながら、だけど、流れとしては、今おっしゃったような、そういう方向は頭に置かなければいけません。そういう意味で、夫婦控除もこれから勉強していく、1つの課題ですね。だけど、一気にそこにいくには、また、別の大きな課題があるわけね。特に税収の基本の1つですからね、この所得税は。だから、減税で皆いいんだよという話なら気楽ですよ。だけど、そういう中で、どこかでバランスをとろうというのであれば、どこかで痛みの出る人、どこかで喜ぶ人が必ず出るんですね。それをどういうバランスでいくのかと。どういうような分野の人にそれがいくのかということを、かなりきめ細かくやりませんと、乱暴には引ききれませんねというのが現在やっている議論ですね」
反町キャスター
「佐々木さん、フルタイムで働く女性から見た時に配偶者控除というのはどう見えるのですか?」
佐々木氏
「フルタイムで働いている人は何も考えていないで、一生懸命に働いているので、あまりこういうことが話題にならないような気がするのですけれど。もう1つ、この考え方で疑問かなと私が思っているのは、生計を一にしているというよく用語が出てきて、これは私もこういうことを勉強するまでは聞いたことがない言葉だったのですけれども、一世帯で、1つの生計を、一にしているということなのですが、このテレビを観ている方も含め、どれだけの家庭で、ご主人というか、もし配偶者控除を受けている家庭、あるいは共働きも含めて、どれだけの家庭が夫婦ともに収入を全て、つまびらかにお互いが知っていて、ポケットが1つになっていて、誰でも2人が自由に働けるのかと。生計を一にしているという考え方は、たぶん昭和35年、36年の時に、夫が働き、給料袋を渡す、妻にこういうふうに家計をやろうよ。はい、わかりました、という、こういう家庭を想像していたのかなと思うのですけれども、少なくとも私の周りの共働き夫婦で、夫、妻の収入を1円単位とは言いませんが、お互いに知っているという家庭にまだ出会ったことがありません。なので、生計を一にしているということがそもそももしかすると、その前提が崩れて、少なくともそういうのが増えているかもしれないということ。改革をする時には、考慮していただいた方がいいのかなと思っていて」
伊藤教授
「だから、先ほど、私はいわゆる夫婦控除と言ったのですけれども、他にも案が出ていたんですね。これからも出てくると思うのですけれども、つまり、配偶者控除を少し減らしていくという時に、もともとの発想が家庭の中で、いろんな活動が行われるということで、1番、その中で社会的貢献が大きいのが子育てだというんです。だから、これは子育てに対する、これは税でやるのか、支出でやるのか別にして、という方向にシフトしていくのがもう1つあり得るわけで、ただ、本当にそこは決して夫婦合体するだけが解ではないと思うんです。ただ、いずれにしても配偶者控除も含め、子育て含め、もう1回見直す必要はある。ただ、先ほど、野田先生がおっしゃったように、それを実際にやろうとすると、なかなか方程式が複雑で、政治的におそらくなかなか難しいのかなと」

『女性の活躍』と税制改革
反町キャスター
「配偶者控除は、働く女性から見たら、専業主婦である、ないしは103万円以上働かないことによって、明らかに、あちらの、いわゆる旦那が働いて、奥さんが専業主婦で、パートでやっている人達はお得よね。私達は何か損をしているわよね。そういう不公平感みたいなものは感じるものなのですか?」
佐々木氏
「まずそういうことを考えましょうと言われれば、考えるかもしれませんが、日常生活の中で、働いている女の人が、専業主婦の人が良いわよね、と思っている人は、あまり聞いたことがないですね。どちらにしても、私はどういう生活でも本人が選択して、選んでいる生活スタイルですから、どちらを比較するとか、何がいいとか、私も、全員、女の人は働けとは思っていません。ただ自分が選択しているということを自覚しなければいけない。それから、そもそもこの配偶者控除が、今日も女性と働きということで、私をきっと呼んでいただいたと思うのですけれども、あまり本当は女の人に関係ないものではないかと。つまり、これが女性の働き方とかかわって議論されていること自体がちょっと、私には不思議にも思える。なぜならこの配偶者控除というのは、簡単に言えば、男性の手取りが増えるという控除ですよね。なので、女の人の働き方というのとか、女性にとっては特に得も損もなくて、同じ男性と永遠に結婚し続けるという前提と、それから、先ほどの生計を一にしているという、男性の稼ぐものは全て2人が同じ権利を持って旦那様から奥様に、今月はこれでやれよ、と言われているのではなくて、男性の貯金通帳に、女性もアクセサブルでというぐらい平等な生計を一にしているという、この2つの条件があったならば、初めて控除というのが世帯ぐるみで役立つと思うのですが。たとえば、女の人が、夫を思い、家庭を思い、今度変わって103万円、150万円でセーブして働き続けたとしても、男性の手取りが増えているだけで、この男性が家庭に還元をしなければ意味がないというのが1つと、それから、ずっといった時に年金なんてことになった時に、この女性は別に個人の年金に、どういうふうに家庭に貢献をしてきたかは関係なく、女性は、103万円とか102万円というところに対しての年金を貰うわけですよ。男性は自分がずっと稼ぎ続けたもので年金を貰う。ここになると突然、個人になるんですよ」
反町キャスター
「厚生年金と国民年金みたいなですね?」
佐々木氏
「はい、みたいな、ですよね。ちょっと古い話なので、現在は法律が違うのかもしれなくて、間違っていたら教えていただきたいのですが、5年少し前に父が亡くなって、母が細々と仕事をしていた時に、私に語ったことが、自分は一応フルタイムで働いていたのですけれども、給料安かったから、年金はこのぐらい貰っていると。夫の方、若干、夫の半分で配偶者の年金をいただくと、自分個人の年金より少し高い。夫が亡くなったら、合算して貰えるのだから、これまで抑えてきた意味があるけれども、夫が亡くなった瞬間、夫の半分をとるのか、自分の100%の年金をとるのかは選べと言われた。これはおかしな話だと、私に語ったことがあるんですね。夫の年金を貰う方が若干高いけれど、そんなものを貰い続けたら、世の中がドンドン進んでいって自分のものではないものはもらえませんよと法律が変わったら、自分のを、放棄してしまうことになるから、怖いので、ちょっと少ないけれども、私は自分の年金を貰うのよということを何かの際に、私はこういうことに関心がなかったので、へーと言っていたのですが、現在になって考えると全ての仕組みがずっと夫婦が結婚し続ける。夫の、ご主人は40年間、同じ会社に働き続ける、長い時間働くみたいなことが前提でできているので、この配偶者控除を考えた時にこれを女の人の働き方という前に、男性の手取りの問題であるということと、もしかすると、妻を養っているという男のプライドみたいなものとか、意識とか、様々なものを脇に置いてもう1度、最初に申し上げた目的が何だったのか、日本経済に対しても、含めて、もう1度、ご破算にというか、きれいに並べて見直さないと。ちょっとだけいじるとか、これで女の人がという、皆が魔法のようにというと変ですが、思ってしまっているという気がするんです」
反町キャスター
「これからの日本の社会の方向性として、たとえば、女性の活躍とか、労働力が不足するので、女性にも働いてもらわなくてはいけない。その他、諸々の意識があるとすれば、誘導するような税制にしてほしいということから言うと配偶者控除というのは、それには全然なっていないという話ですね?」
佐々木氏
「なっていないと思います。私は1人1人、これから1人1人のマイナンバーもできましたし、1人1人の稼ぎに対して税金を納める。私は、税金をたくさん納められるようになることは誇りだと思いますからね。なので、ちゃんと稼いで、ちゃんと納めると。そういうことが1人1人の単位で行われればいいと思うし、夫婦がそれによってどういうふうに働こうとか、お互いの働き方をこういうふうに抑えようなどなのか、伸ばそうなのか、お金はこう家計をやろうとかというのは、それは各家庭が決める選択で良く、それは制度によってあまり誘導されるものではないのではないかと見ていますので。選択できる社会がいいわけで、1人1人が自分の働きに対して貢献をしたりするという方向がいいのではないかなと思います」
反町キャスター
「ただ、1997年に共働きとその世帯数が逆転して、それ以降、共働きが半分を超えるようになりましたという前提で今日話を聞いてはいるのですけれども、たとえば、昨今の女性の意識とかを見ると、専業主婦志向の方が強いという数字が出ている、誰しも女性が皆、社会に出て、フルタイムで男性と伍し、私は配偶者控除も吹き飛ばして、きちんと貰って、自分の年金を厚生年金と個人年金も積み上げていくのと。そういう強いというのか、生存能力が高い女性がどのぐらいたくさんいるのだろうか。その人達がどれぐらいいるから、佐々木さんの意見が、女性のマジョリティの支持を得るかどうかというのは、僕にはわからないですよ」
佐々木氏
「私も別にマジョリティの代表でもないし、私個人のことを言っているのですが、ただ多少、データを申し上げると、たとえば、全世界のOECD(経済協力開発機構)の加盟国ですから、三十数か国ですが、の中で、いろいろ学力調査とかをやっていますね。同じように、成人力調査、大人、大学を出た社会人が、たとえば、IT能力とか、読解能力とか、解決能力とか、いろいろ調査をしているですが、日本は男性も、女性も、世界1位ですね。と言うことは、日本の女性は世界で1番、OECD諸国中では教育レベルも高く、女性はきちんとできているので。突然、社会に出て、皆、家にいて、仕事もしたくなくて、私はできないわと言っているかというと、そこは疑問があって、大きな社会の流れだったり、これまでの慣習だったり、という仕組みの中で社会に出たあとの女性達の意識があるものに誘導されているのか。なっている可能性が高くて、能力がないわけではないわけだし、意欲がないわけでもないです、大学の進学率を考えても。なので、そのあたりを思い込みや過去からできている制度をもう1回、丁寧に見直さないと。本当に女性が家にいることも大賛成ですよ。ただ、それは個人の自由なので、働けとは思ってはいないのですが、ただ、女の人が家にいるのがきっと好きだろうとか、働けない女の人がいるからこういう税制にしたら優しいのではないかという時代がきっと終わって、1人1人、個人がのびのびと働けるように、選べるように。どれを選んでも、自信を持ってとしていく必要があるのだろうと思うので、これは、むしろ配偶者控除は男性の意識改革というのが1番のネック、壁だと思っているんです」

『夫婦控除』を見送った訳
秋元キャスター
「与党の税制調査会では、配偶者控除の見直しの議論が本格化している中で、これに先立って開かれた政府税制調査会では多様な働き方に中立的な仕組みを必要とする安倍総理の方針を受けまして、この配偶者控除に代わる夫婦控除の創設を検討していました。その夫婦控除というのは、夫婦控除は妻の年収に関係なく、夫婦であれば一定額を夫の所得税から差し引けるという、新しい制度ですけれども、これなら女性も収入を気にすることなく働けるということになるのですが、夫婦控除の創設も見送られましたが、どう受け止められていますか?」
伊藤教授
「僕は、夫婦でいいと思うのですけれども、ただ、それをやるためには、税収中立を考えると、相当の年収の下がったところまで控除を外すという形になって、かなり大規模な改革になってくるので難しかったのだろうなと思いますね。ただ、個人的に言うと、そうは言っても所得の低い、比較的低い人のいろんな負担を下げながら、所得の高い、収入の高い人がそれをどうやって決めるかという仕組みが必要だと思うんですね。ただ、それは税率で調整するのはなかなか難しいとすると、控除の見直しのあり方が1つのあり方としてあったと思うし、結果として夫婦控除に入れば働き方に中立的になるという意味では、いいのかなと思ったのですけれども、政治的な壁が厚かったということですね」
反町キャスター
「夫婦控除はこの説明だけだとよくわからない部分があるのですけれど、現在の配偶者控除とどう変わると思えばいいのですか?税のかかり方というのは」
伊藤教授
「たとえば、奥さんが50万円しか働かなくて、旦那さんの収入が高くて1500万円というと、夫婦配偶者控除は貰えるわけですよね。もう一方の家族は、2人とも残念ながら低所得で、200万円とか、250万円しかもらえない時には配偶者控除を貰えないわけですけれども、夫婦控除にしてやれば、どちらの所得だとしても。ところが、低ければ、多少はあるということですよね。そういう意味で言えば、働くことに関して中立になるのだろうと思うんですね」
反町キャスター
「これは話を聞いていると低所得者の共働き世帯に対しては優しい税制になっているはずなのですか?」
伊藤教授
「もしそうやればね。現在の形を見た時に子育て、夫婦一緒に働いて、しかし、残念ながら収入がそれほど多くなく、非常に苦しんでいる人が結構いるのだと思うんですね。そういう時代のある種、新しい大きな流れみたいなものに対して対応するという意味では、夫婦控除というのは、1つの解決になるのかなと思いますね」
反町キャスター
「野田さん、夫婦控除をどう感じていますか?」
野田議員
「夫婦控除の額によると思うんですね、基本的に。現在でも、共働きの場合はそれぞれ配偶者控除はないです。だけど、基礎控除という独立した個人個人としての所得税はかかっているわけ。だけれど、基礎控除は同額ですから。38万円プラス38万円。それぞれね。だから、夫婦控除という場合に両方合わせた76なら同じです。あまり変わらない。だから、低所得者に有利にするにはある程度、夫婦控除になった場合にはもうちょっと幅を広げるような格好をイメージしなければいけないのだけれど、そうすると、今度は高額所得者の方に対する適用をどうするかということでやらないと高額所得者の方により減収額が大きく出て逆の現象になると。だから、それをどう歯止めをかけるか。そうすると、また、そこで所得制限をどうかけるかという話が必ず伴う、現実問題。そうでないと税収が減税ばかりとはいかないので、そのへんは具体的にどこまでいけるのですかというのはなかなか悩ましいですね」

どうすべき? 配偶者手当
反町キャスター
「伊藤さん、具体的にそのいくらまで線を引かなければいけないというシミュレーションは出たのですか?」
伊藤教授
「私は知りませんけれども、おそらく政治の議論のところでは出てきて、どこまで下げなければいけないとか、なったのではないですか」
野田議員
「今回はそこにいく前に現在の働き方の前に目一杯調整が必要だし、夫婦控除にする時にどうするのか、これだけを議論するのか。配偶者控除を現在のような所得控除のままでいくのかどうかということも考えておく必要があるんです。トータルとして高額所得者の方から少し低いところへ所得再分配を、所得税全体を通じてやっていかなければいけない。その手法の中にどういうものを入れるかということだと思います」
佐々木氏
「婚姻という形を伴っていないLGBTの家族とか、あるいは事実婚のように籍は入れていないけれど一緒に暮らして子供を育てているという家庭もあるので、こういうものを導入する時に少しダイバーシティ、多様性ということで法律をつくらないと、また、一部のグループにあてたということになるだろうというのが1点。もう1つ、配偶者控除でも同じ気持ちなのですが、結局、夫婦だとか、一緒だとか言っている割に控除があるのは1人ですね。なので、夫婦控除というのをどういうものにするのかにしても、もし2人セットで収入を考えたりするのであれば、控除額が仮に40万円だとすると40万円を1人の人に控除するのではなくて、セットになった2人が20、20、控除されるなら、フェアだと思うのですけれども、常に収入の多い方に控除がいくというやり方だと…」
野田議員
「なかなか難しくて、配偶者手当をなくそうという話があるではないですか、企業の。これも手当てをなくすだけで、そのお金を何に使うのという裏打ちがないと、妙なところにいきます。だから、配偶者手当というよりも、むしろ家族手当というか、子供に対する手当てを増やすという方向にお金がまわっていくなら非常に大きなプラスになるわけね。これが理想的。同じように夫婦控除というものも夫婦だけで考えるのかを、そのへんをどうするかということも別途あるわけです。夫婦だけ、配偶者控除だけで所得税を論ずるのでしょうかと」

あるべき税制改革の姿
秋元キャスター
「野田さん、税制改革は今後どういう方向で議論されていくべきだと考えますか?」
野田議員
「基本的に、現在の日本の税制は相当、社会の動きと少しズレてきていると。だから、働き方もかつてのサラリーマンが主流だけではなく、だんだん事業所得者と給与所得者、サラリーマンの境界線、垣根が少しなくなってきている。給与所得控除のあり方自体も見直さなければいけません。それから、女性の働き方の話ももちろん、あるのですが、度々言っていますが、日本の大きな流れの中で所得の再分配効果が少し弱まっていると、そのことがいろいろなことに悪影響を及ぼしているということもあれば、再配分効果をどう高めるかということも大事な視点です。同時に、所得の種類ごとに、特に年金控除が現役に比べるとどうかという問題点もあると。いろんな角度から見直していかなければいけないということなので、所得税全体の抜本改革を数年かけて順次やっていかなければいけないと、我々はそう考えています」
反町キャスター
「今回の配偶者控除の話だけではなくて、税制全体のビジョンで言った時にも社会の変革に対して日本の税制というのが対応しきれているのかどうかという部分、そこも同じ話だと思っていいのですか?」
野田議員
「まったく同じです。もう1つ、現在の低迷は、先行き不透明。それは企業においても先行き不透明、なかなかお金を使わないということになっている。個人の世界でも非常に社会保障の先行き不安というものが非常にシビアになっています。子供の問題も教育費の問題も、目先の保育の問題だけではなくて、教育費に相当金がかかるということもネックの1つになっているわけですから、そういった意味で、社会保障の持続可能な形というのをどうつくるか、これは、消費税は絶対に避けて通れない課題です。これはどこかできちんと組み立てなければならない。特に来年は社会保険の診療報酬、医療の、介護の介護報酬、障害者の…これが同時にくるんですよ、改定が。ですから、それを給付抑制だけで、もちろん、合理的にいろいろやらなければならないことがたくさんあるとは思いますけれども、基本的な財源である消費税を避けて通れない。相当厳しい状況にあるので、それも含めて、税制の抜本改革と言えば、消費税の問題、所得税体系、これが車の両輪だと思います」

佐々木かをり イー・ウーマン社長の提言:『個人単位』
佐々木氏
「女性の活躍ということですけれども、個人単位と書きました。女性でも男性でも、これから1人1人が自分の選択で、人生、働き方、暮らし方を選んでいけるようになったらいいのだろうと思いますので、これからの税制も含めて、女性が輝くという意味では、個人単位でいろんなものが、制度が見直されるということが大切ではないかなと思います」

伊藤元重 学習院大学教授の提言:『ひたすら前進』
伊藤教授
「今日の議論の中でもいろんなアイデアとか、案が出てきているのですけれど、実際にそれが政治で実現するのは限られた部分であると。だから、諦めないで、来年も、再来年も一歩ずつ先に進めていくということで、結果的に世に望ましい仕組みをつくっていく、これしかないのかなと思います」

野田毅 自由民主党税制調査会最高顧問の提言:『現実に即して』
野田議員
「うんと先を見れば、佐々木さんの言うような個人単位型になっていくと思うんです。ただ、現在を見ると、男性だから、女性だからということで、税制上の不公平はないようになっているんですよ。配偶者と言っても女性だけが配偶者とは限らないので、男性の配偶者控除もある、同じですから。ですから、いろいろな議論が、パートタイマーと言うと皆、女性だという前提で議論をしてしまっているというのはちょっといかがかなというところもあるので、現在の税制でも男性、女性ということでの差別はありません」