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2016年11月18日(金)
安倍×トランプ初会談 総力検証…相性と未来

ゲスト

萩生田光一
内閣官房副長官 自由民主党衆議院議員
岡本三成
公明党衆議院議員 党国際局次長
田中均
日本総研国際戦略研究所理事長 元外務審議官

総力検証『安倍×トランプ会談』 両者の相性&日米同盟の未来
松村キャスター
「まずはこちら、安倍総理とトランプ氏が対面した時の写真なのですが、萩生田さん、初対面の2人のこの表情をどのように見ていますか?」
萩生田議員
「いい笑顔ですね。大変あたたかい雰囲気の中で、本当に良い会談ができたということは、総理ご自身もおっしゃっていたことですので、それが表情に出ているのではないですかね」
松村キャスター
「岡本さん、ファーストコンタクトが、この表情で、岡本さんは実際にトランプ氏に会ったことがあるということですが、いかがですか?2人の表情は」
岡本議員
「典型的に気持ちが顔に、表情に出る方だと思うんですね。ですから、この写真を拝見する限り、これ以上の成功はないと思います」
反町キャスター
「ビジネス的なミーティングと、政治家の場合、多少違うと思うのですが、たとえば、トランプさんと初めて会う時に、彼がトランプタワーに来なさいよ、しかも、自分が普段、事務所ないしは、重要なミーティングないしは、居住空間として使っているペントハウスまで上がってきてくれという、これはどう見たらいいですか?」
岡本議員
「最大級のもてなしだと思いますね。ご自分の自宅に招き入れる。しかも、そこで家族も一緒に伴って面談をするというのは最上級のもてなしだと思います」
反町キャスター
「田中さん、この写真の雰囲気をどう感じましたか?」
田中氏
「いや、私はとても良かったと思います。何よりも絶大な宣伝効果があるということですよ。日本がいちばん最初に、こういう形で、選挙終わった直後に日本国総理大臣が会うということ自体が、世界、いろんなところに新聞に書かれるわけですし、大変良かったと私は思います。それから、こんなことはこれまでなかった。過去に大統領が選ばれ、通常、大統領に電話をするとか、受けるわけです。そうすると、それは国務省のスイッチボードを通じてやるんですよ。だいたいそのプロトコールがあって、これが第1番にここだ、2番目はここだということとかね。それから、通訳提供とか。たぶんトランプさんはそういうものを、したがってないと思う。要するに、まったく新しい大統領なんですね。だから、過去と比べてどうだとか、そういうことが言えないですよね。まったく未知の大統領ですね」
反町キャスター
「それは発言の内容云々を抜きして、ここまで来た外形的な現象を見ても既に未知の領域に入っている、こういうことですね?」
田中氏
「これはわかりませんけれど、アメリカ(側)の通訳という人がいるのかどうか」
反町キャスター
「この写真ですけれど、日本側の通訳がいるのだけれども、反対側は、要するに、娘さん夫婦と本人とマイケル・フリン氏。次期、安全保障担当補佐官になるのではないかと。写真に入っているのはこの人達だけですよね?」
田中氏
「ですから、これはまさにプライベートな会合だと。通常、大統領にしても次期大統領にしても自分達の通訳がなくて会談するなんてことはありませんから。だから、その形を、大統領との会談だと捉えない方がいいと思いますよ」

次期大統領の『素顔』と『才覚』
松村キャスター
「会談後、安倍総理は『共に信頼関係を築いていくことができると確信が持てる会談だった。2人の都合のよい時に再び会って、より広い範囲について、より深く話をしようということで一致した』と話をしています。一方、トランプ氏は『安倍総理が我が家に来てくれて素晴らしい友情が始まることをうれしく思った』と、フェイスブックに寄せています。萩生田さん、このように信頼関係ですとか、友情、こういう言葉で表現していることをどのように感じますか?」
萩生田議員
「歓迎すべきことだと思いますね」
反町キャスター
「でも、すぐに僕ら言ってしまうのですけれども、TPPとか、駐留米軍経費とか、こういう話も含め、信頼できるのですか、確信できるのですか。そういう問題ではないですよね、おそらく。どこまでの話をしているのかという、その領域は、我々はどんなイメージで受け取ったらいいのですか?」
萩生田議員
「脈々と積み上げてきた日米の信頼関係の延長に2人が立てるという確認がとれたということだと思いますよ。それはトランプさん、電話でも言いましたけれども、日米同盟は卓越したパートナーシップだと。こんなことは選挙中に言ったことはないですからね。そういう意味では、価値観を共有することができたということで、顔を見合わせても、このことは再び確認ができたということだと思います」
反町キャスター
「そうすると、たとえば、日本側は、もっと金を払え、払わないのなら撤退するという、あの話というのを、僕らはあまり深刻に受け止めなくてもいいのかなという、その期待感がだんだん芽生えてくるのですけれども、そこは我々どう受け止めればよろしいのですか?」
萩生田議員
「大事なことは、大統領に当選してからの発言、就任してからの発言に注目をするべきであって、選挙期間中の、言うならば演説の一節、一節をとって、そこは、私はクリントンさんがこの日米の防衛費についてもし発言をしたとして、それを翻すということになれば、大変なことですけれども、トランプさんは、政治家ではありませんでした。民間人から大統領を目指していました。ですから、大統領になって、様々なレクチャーを受けて、ブリーフィングを受け、事実関係の知見が高まってきた時に、あの時の発言と、今の考えは違うなというのが出てくることはたぶんにあることと思います。それは1期目の大統領に関しては、批判も否定もするものではないと思いますから。私は、そういう意味では、日本の現状を正しく、いろんなチャンネルを通じて、トランプ政権側に伝えていく必要があると思いますね」
岡本議員
「基本的にトランプさんと安倍さんはすごく馬が合うと思うんです。なぜかと言うと、両方とも天国も地獄も見ています。トランプさんは1980年代に大成功をして、1990年代に会社を倒産させて、それでも諦めず投資を続けて、大成功していると。ビジネスの世界でずっと成功をした人には比較的、光が当たるのですけれど、トランプさんは地獄も見ているわけです。安倍総理もいっぺんトップまで登りつめて、首相を辞められて、だから、今回の会談の1番ポイントは何かあった時に本音で腹を割って話せる相手かどうかということを確かめたかったのだと思うんです。ですから、第1回目の会談で、そういうことが確認できたと。もっと言えば、今回、実際の発言が今後変わっていくということにおいては目的が大事ですね。トランプさんは実質、キャンペーンは1年半しかなかったわけです。仕事で失敗をした時に人が周りから離れていきましたから負けるのが絶対に嫌。やるからには勝つ。そうすると、1年半での勝利を考え、逆算してやらなければならないキャンペーンと、5年、時間があった時とはまったく違いますよね。1年半で勝たないといけないです。そうすると、国民が思っている気持ちを刺激的な言葉で代弁して、共感を得て、票にしていくということを考えてると1年半で勝てる、相手は過去、国務長官もされたわけですから、勝てる方法はこれしかなかったのだと思うんです。ただ、キャンペーン中に言っていることのほとんどというのは手段ですよね。アメリカは手段はころころ変えていいです。目的はコミットしたら変えてはダメです。手段を変えないというのは環境が変わった時に柔軟性がないのと一緒ですよね。ですから、これまで目的としてコミットしたことは変えない。ただ、手段は変えますと言っているのだと思うんです。典型的なのがメキシコとの壁。あれはただの手段ですよね。トランプさんが国民に約束したのは違法移民を絶対に許しません、違法移民が犯罪を持ち込んだり、正当なビジネスの機会、雇用をアメリカ人から奪うことも許しませんと。象徴的な例として大きな壁はわかりやすいですからね。ただ、あれは、たとえば、国境警備隊の人数を倍にすればいいだけですよね。皆さんと約束したのはこの目的だと。現在、実際にできる手段はこれですと言えばいいわけですから。ですから、ころころ変わっているわけではなくて、約束を守るために最適な手段を新たに考えて提供をするという」
反町キャスター
「そうすると、今回のトランプさんの選挙戦における約束というのは、メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン。これだけですよ。そのためだったら選挙期間中に、他に言ったことは全部チャラにしてもいい、そういう意味ですよね」
萩生議員
「岡本さんの解説はすごくわかりやすいのではないですか」
岡本議員
「これは、たぶんバイアス、だいぶ偏見があるんですよ。普通の人が言うと、普通に聞こえるけれども、トランプさんが言うとちょっと変に聞こえる。たとえば、アメリカ・ファーストと言うと、皆さん、独善的だとか、閉鎖的だとか言うでしょう。ただ、アメリカの大統領がアメリカ・ファーストは当然ですよね。日本の総理大臣がジャパン・セカンドですと言ったら大変でしょう。なので、当然のことを言っても、トランプさんが言うとちょっと変な色メガネで見てしまうというところがあると思うんです。実際はあそこに続いているのは、彼は何と言っているかというと、アメリカに対してアンフェアなことは許さないと。ですから、アメリカ・ファーストと言ったあとに、日本や中国は、アメリカの雇用を奪っているので、私はそれを取り戻すのだと言っていますけれど、トランプさんというのは、ビジネスに対しては負けたくないので、判断するまでは事実や数字に対してはすごく謙虚です。ですから、まだ1年半しかキャンペーン戦っていらっしゃらないので、事実を共有できればわかっていただけると思うんです。たとえば、アメリカの国内において最も雇用をつくっている企業体は、日本の企業体ですから。昨年1年間で84万人雇っています。トヨタ1社で2万人を雇っていますからね。そうすると、日本の企業と仲良くした方が、アメリカ・ファーストだし、アメリカ・グレイト・アゲインではないかというところで、問題意識を共有できれば、いろんな誤解が解けると思います」
反町キャスター
「田中さん、岡本理論はどうなのですか?」
田中氏
「自分のプロフェッショナルな外交という観点から見れば、ものすごく懸念がありますね。トランプ氏が言っていること、各論は別ですよ、おっしゃったようなことは。だけど、いくつかのコアの部分、中心的概念というのは、これまでのアメリカのリーダーシップに真逆に、反している。と言うのは、アメリカのリーダーシップというのは、1つは軍事大国であると。自国の防衛だけではなくて、国際公共財として軍事力を使ってきたわけ、秩序の維持のため。それから、2番目に経済。世界で最大の経済大国としてリベラルな経済秩序、TPPをはじめとして、自由貿易、最初走っていたのはアメリカですよ。こういうこと。3番目に課題設定能力があるんですよね。たとえば、反テロとか、それから、不核散とか、CO2(二酸化炭素)の排出規制とか、皆、アメリカが課題をつくってやってきたと。それから、4つ目にアメリカのデモクラシーというアメリカの大きさと言うのですか、自由民主主義体制の力みたいな。トランプさんが言っていることは申し訳ないけれども、全部否定しているわけです。要するに、軍事力というのは、アメリカが軍事力を提供するためにはお金を払いなさいよということを言い、リベラルな経済体制は、これはアメリカの利益にならないから、自由貿易というのは嫌だよと言い、それから、課題設定、パリ協定からは引き上げるかもしれないと。なおかつイランの合意はチャラよということも言っている。それから、アメリカ的な民主主義。もしそれが諸外国に与える影響から考えれば、あんな差別的な発言はしませんよ。だから、ある意味、いやいや、これはキャンペーンのレトリックだと、全て…」
反町キャスター
「勝つためには全て正当化される?」
田中氏
「であれば、まだしもコアな部分ね。それはどうも私は日米関係の前に、アメリカのリーダーシップのあり方。と言うのは、ロシアだって、中国だって、アメリカの秩序というものに挑戦するということなので、今ここでアメリカのリーダーシップを崩すと、私達の国の未来は相当深刻になりますよ。だから、私は、そういう以前の共和党も、民主党も守ってきたアメリカのリーダーシップ。これは是非とも守ってもらいたいと」
反町キャスター
「政治の経験がないから、これから変わっていくのだよという、期待感を持つのは、ここは危険度が高いものなのですか?」
田中氏
「そうではなくて、私は思うんですよ。先ほど、申し上げた通り、既成の概念ではないところに、新しくトランプ氏という人がやっていく、我々だって、日本だって環境がすごく変わっているから、日本の安全保障のあり方とか、何とか、これまで変えてきているけれど、変えなければいかんと私は思っているんです。だけど、大切なのは人事ですよね。まさにトランジションチームは、いろんな人事が出ていますけれども、極端な人がいるわけです、名前が挙がっている中で。私のカウンターパートナーだった人も入っていますけれど、ジョン・ボルトン氏という。イランとの話し合いなんかしてはいかんのだという基本なんですね。それから、キャンペーン・マネージャーをやっていたスティーブン・バノン氏。あれもアメリカの評判を聞くとまったく極端な民族主義者ですよね。一方において、保守、本当の主流派という人達も並列的に置いている、だけど、本当にそれがうまくいくのか。いわゆる共和党の本流、主流派の人達はだんだんひいてくるのではないかと。そうすると、アメリカの議会も、アメリカの社会も、ものすごく分断をされたことになる。だから、おっしゃるように現実的な政策を大統領になったらとるんだと。それが最初に表れてくるのが人事なのではないかなという気が私はします」
反町キャスター
「トランプさんの人物像について聞いていきたいのですけれども、岡本さん、政界に入る前に、金融界にいた時にトランプさんと何回か仕事をされたことがある。出会いから聞きたいのですが、どういう出会いから始まったのですか?」
岡本議員
「私が勤めていた会社がトランプさんがやっていらっしゃる不動産のビジネスに関して、プロジェクトをご一緒することがあって、プロジェクトのメンバーの1人で、私も…」
反町キャスター
「それは不動産ですか?」
岡本議員
「ちょっと詳しくは申し上げられないのですが、不動産です。不動産関係」
反町キャスター
「その時に、たとえば、ここにビルを建てるとか、建てないとか、そういう、賃貸をするとか、しないとか、どう開発をするのかみたいな話の時にトランプさんと向き合って、ビジネスパートナー、ないしはコンサルティングの立場だったら、相手がクライアントで、こちらがコンサルする?」
岡本議員
「その通りです。クライアントです」
反町キャスター
「どんな客だったのですか?」
岡本議員
「第一印象は、典型的な出来るビジネスリーダー。エネルギッシュです。もちろん、当時、有名人ですから」
反町キャスター
「何年前ぐらいですか?」
岡本議員
「2000年前後です。出来るビジネスリーダー、オーラもすごいですが、すごく人の話をよく聞かれます。それで相手が若くても、自分よりも知識がある分野に関してはいろんなことを質問されますし、判断をする時は、最後は自分で決められますけれども、判断を絶対に間違いたくもないのですごくファクト、トラックレコード、数字に強いです。地頭は間違いなくいいです」
反町キャスター
「そうすると、人柄的にはどんな印象ですか?」
岡本議員
「人柄はお目にかかった時に、先ほど申し上げたように、不動産のピークも、倒産も味わっていらっしゃいますので、バランス感覚がいいんですよ。要は、楽観的な理想主義者みたいな部分と冷静な現実主義者みたいな部分を経験上両方持っていらっしゃるんですね。ですから、すごくバランス感覚がいいと。もう1つ、大切だなと思っていることがあって、本質的に自分のクライアント、お客様が何を求めているか、相手が何を求めるのかというのがわかるのではないかと思うんですね。たとえば、今回も、トランプさんに投票をされたアメリカ国民の多くの方、いろんな期待があるのですけれども、州で勝った、負けたというのを表すと、ヒラリーさんが勝たれたところというのは、ニューヨークとか、カリフォルニアとか、イリノイだとか、要は、様々な自由貿易の恩恵を受けてきたところが勝っているけれども、トランプさんが勝っているところは、その恩恵の波に必ずしも乗れていない地域の方が、チェンジを望んで、トラップ、と書いているんですね。ですから、この方々にどう新しいチャンスをもたらすことができるか。たぶん彼が1番考えていらっしゃるのだと思うので、勝たれたすぐ直後にアメリカ国内でインフラのリフレッシュメントを1兆ドル、100兆円やると言ったのは、まさしく国民が何を期待して、トランプ氏と書いたかということの証左だと思うんです。つまり、ほとんど日本もそうです、アメリカもそうです。ほとんどの労働人口というのは、地域にいてドメスティックなビジネスをやっていらっしゃるわけです。この方々にアメリカ景気の向上の恩恵を起こそうと思ったら、どういうふうに内需のビジネスが伸びるかということにならないと雇用はわかないですね。1番典型的には公共投資です。公共投資をすれば、その地域で新しい雇用がわきますので、実はああいう全体のバランスを考えると自分が何を期待されているかというのがよくわかっていて、それを実際に政策に落としていらっしゃって、以前のリーダーシップのスキルセットが生きていらっしゃるのではないかという感じを持っています」
反町キャスター
「その延長線上に保護主義があるかどうかというのはどう想像します?」
岡本議員
「それはまったく別の話で、自由貿易がダメなわけではなく、自由貿易の中で、アメリカはこれまで経済が大きくなってきたわけですね。だから、自由貿易の中でもっと豊かになる人にはなってもらっていいわけです。よく格差と言われますけれども、格差が問題ではなく、ボトムの人がアップすることが大切なんです。格差が小さくなってもボトムの人の生活水準が悪くなったら、格差が縮んだけれど、ボトムの方の生活水準が悪くなったら元も子もありませんから、自由貿易の中で恩恵を受けて、大きくなる人には、もっと大きくなってほしいと。ただ、この恩恵を受けられない人に対しては別の形でそういう機会を与えなければいけないので、自由貿易とかグローバリズムをまったく否定しているわけではなくて…」
反町キャスター
「でも、言っていることはそう聞こえます」
岡本議員
「ただ、そこにある程度メスを入れるというのか、そこばかりにメッセージを送ってやるということは、これまでその波に乗れなかった方々を置いていくということと同様に聞こえてもいけないので、あのメッセージというのはその恩恵を受けられなかった方々を私はケアしていますよと、ちゃんとわかって政策をつくっていますよというメッセージの送り方だと思うんです」

日米同盟は『変質』するか?
松村キャスター
「今日の会談にはマイケル・フリン氏が加わっていたということですが」
反町キャスター
「フリンさんは10月に日本に来た時に、民進党の長島さんと話になっていました。長島さんが紹介している限りにおいてはフリンさんはこう発言をしています。『日本の防衛費はGDP(国内総生産)1%以下だ。中国や北朝鮮が脅威だという割に、20年間防衛費が変わらないのはちょっとおかしいのではないか』と長島さんのパーティの席上、マイケル・フリン氏は言っていたという話がありました。これは今後のアメリカの姿勢となるのか、田中さん、いかがですか?」
田中氏
「現在の国際関係を見れば、オバマ氏の時からそうですけど、アメリカ1人で秩序維持のために全てを担ぐという時代ではもうないです。だから、当然のことだけれど、その間隙を突くように中国とか、ロシアという国が、新興国ですから、軍事費も多いわけですよね、出てきている。そうすると、誰が考えても、日本が役割を増やすということ、別にアメリカ、トランプ氏に言われなくても、当然ですよね。でないと日本の安全は担保できない。だから、私は現在一連の安保法制とか、そういうことは既に日本はやっていると思うんですね。いかに実があるものにしていくかというのがこれから問われることであって、もちろん、防衛費を増やすことができればいいけど、防衛費を増やすというのは、それは、たとえば、NATO(北大西洋条約機構)の標準というのは、英国だけですよ2%を超えているのは。だから、なかなか先進国でそんな防衛費を倍増しようと言ってもそんなことはなり得ないので、だから、日本はもう少し外交的な役割を増やす、安保についても計画、そういうことについて役割を大きく果たすということが求められているし、それは自然な流れだと思いますよ。だから、トランプ氏が、日本は経費を多く負担をしろということに対して、いや、経費を負担するということではなくて、日本としての役割は当然、大きくしていきますというのは、皆さん、一生懸命にやっておられるわけではないですか。それは、私は基本的には正しい方向にきているのではないかなと思います」
反町キャスター
「萩生田さん、このマイケル・フリンさんの発言をどう感じますか?」
萩生田議員
「直接聞いていないので、コメントはしづらいのですが、そのうえで申し上げれば、複雑化をする安全保障環境の中で、日本が果たす役割というのは、今お話があったように、アメリカから言われたとか、言われないとかではなく、必然的にやるべきことはきちんとやっていかなければならないと思います。直ちに防衛費というカウントの仕方もありますし、たとえば、東シナ海については海上保安庁、海保の船や人を増やしています。これも、緩やかな安全保障、言うならば、セーフティネットを広げていることになるのだろうと思いますので、手持ちのツールの中でできる最大限のことを見直しながら、結果的に予算に反映されることも将来あるかもしれませんけれど、予算規模で決めるという、そういうやり方ではなくて、日本ならではの安全保障に対する対峙の仕方ということで、できることをきちんと広げていきます。やっていきます」
反町キャスター
「ただ、アメリカというか、トランプ新政権が日本を特別に、安全保障に対する負担が低くても許される国では、だんだんそういう見方ではなくなっているという印象は皆、僕らも持っているんですよ。田中さんが言われたように、NATOの基準はGDPの2%ですよね。それぞれの国民総生産の2%。日本(円)で言ったら10兆円、つまり、倍ですよ。日本は5兆円ですから。倍は払うというのは、普通のお付き合い費用だろうというロジックがくる中で、日本も、こういうことをフリンさんが、たとえば、メディアで、ないしは安全保障担当補佐官になって、同じことを言われるとは僕は思わないですけれど、こういう雰囲気というものをベースにアメリカは今後、日本に対峙してくるという、その部分、多少は覚悟を持って臨まなければいけないと思った方がいいのですか?」
萩生田議員
「だから、そこはお互いに、新しい政権ができた時に日米の役割のあり方というものをよく見直しをして、日本も守備範囲を広げなければいけない部分があるとすれば、結果として予算に反映されることはあるかもしれません」
反町キャスター
「岡本さん、この話の延長線上みたいに、トランプさん、こういう話をされました、タダ乗り論ですよね。1980年代ぐらいに日本に向かってきたような、『私達は日本などの国を防衛している。彼らは対価を払っていないので、相応の負担をしなければ、日本を守ることはできない』と。このトランプさんの、日本の安保タダ乗り論、どう感じましたか?」
岡本議員
「お時間あるならどこかでトランプ次期大統領にもご覧になっていただきたいと思うのですが、昨年、米国が、国家安全保障戦略というのをつくっているんですね。5年おきぐらいにつくります。この中で米国自身がどう言っているかというと今後5年ぐらいを考えると、アメリカが海外から得られる富の約半分はアジアからくるだろうと予想しているんです。アメリカの国家としての状況の大前提は地域の安全が保障されているということですよね。つまり、アメリカの利益にかなっているということをご理解いただければ、そのコメントに関しても、現実的な修正をしていただけるのではないかという期待をしています」
反町キャスター
「こういう発言の背景には、トランプさんが、新しい情報がインプットされていないということを除いた時、日米安保の片務性みたいなものがもしあるとしたら、アメリカは、トランプさんがいろいろな新しいデータをインプットされたあと、もしこの発言を続けるとすれば、アメリカというのは明らかに、日本に対して安保条約の片務性というものを、根本から変更を求めてくる時期に差しかかっていると思ったらよろしいですか?」
田中氏
「この議論というのは、安保タダ乗り論、要するに基本的な議論というのは、日本はアメリカを守る義務はない、アメリカは日本を守る義務がある。だけど、日本は極東の平和と安全のために日本の基地を米国に提供している。それでまさに双務性が保たれているではないかと。だから、なかなか難しい沖縄の問題とか、いろいろある中で、日本が苦労して米軍基地を維持している。その理由というのはアメリカとの関係で双務性を担保しようということだから。そのへんはよくわかってもらわなければいけない。ただ、安保タダ乗り論とか、日本の負担が小さくてアンフェアという議論はずっとあったんですよ、これは、1970年代、1980年代、1990年代、2000年代。それに対して、ずっと日本政府はまさに防衛費を増やし、それから、日本の1990年代のガイドラインとか、それなりに対応してきたんですね。だから、私は一定のところまできたのではないかなという気はするんですね。だから、日本がきちんと説明をされて、そのうえで日本と米国の役割分担を、きちんと新しい環境の中で話すということが大事だし、その中には沖縄の問題も含まれていると思いますよ。だから、もう少しトータルにものを考えるということなくして、防衛費のGDP1%は低すぎるとか、そういう議論はなかなか難しいのではないでしょうか」

TPP『漂流』の危険度
松村キャスター
「続いては、経済の話を聞いていきたいと思うのですけれども、今日の会談後の会見で、内容については明かせないとしながらも、安倍総理はこのように発言をしています。『私の基本的な考え方について話をさせていただいた。様々な課題について話をした』と発言をしていますが、萩生田さん、安倍総理の言うこの基本的な考え方、この中にTPPだったり、自由貿易の重要性が入っていたかについてはどのように見ていますか?」
萩生田議員
「総理が、内容については公にしないと言っているものを私が推測するのも、いささか僭越ですけれども、一方では、自由貿易の重要性についてはきちんと話をしたと思いますよ。また、日本がTPPの批准を目指したプロセスについてもきちんと話されたと思いますし、これは日本の国益のみならずアメリカの国益にもつながることだということは、きっと話をしたと思います」
反町キャスター
「岡本さん、ビジネスライクなマインドを持つトランプさんに対して、安倍さんがTPP(離脱)、ないしは保護主義というのはアメリカにとって損になるよというロジカルな、彼が納得する説明というのは可能かどうか。そのへんはどう思いますか?」
岡本議員
「可能だと思います。さきほど言ったように大切な判断の前には人に意見をよく聞かれますので、今度、商務長官に名前に挙がっているロスさん、彼は公にTPPに大賛成だと言ってますから。いろいろなことをちゃんとご説明できる機会をいただけるとか、情報共有できればと思うんですね。たとえば、アメリカの経済を世界最強に、歴史上最強の経済にしますと勝利宣言をされました。最高だと思うんですね。日本にとって。ミクロで言うと、たとえば、アメリカと日本が何か同じものをつくっていて、アメリカの企業から何かを買えば、日本の企業のその商品は売れません、ミクロでは。ただ、マクロで言うと、歴史的にアメリカの経済が良い時は常に日本の経済も良いですね。アメリカが悪い時は、日本も悪いです、同様に経済はつながっていますから、この自由貿易圏内の他の地域が悪くても、アメリカだけいいことはなかなかマクロではないわけです。ですから、アメリカの景気を良くする、またはこの協定に参加している各国の経済を、より良いものにしていくという目的意識を共有できて、そのための手段として、アメリカのためにもこの協定というのは有用なのだと、ちゃんとご説明をさせていただき、その情報収集をしていただける時間があれば、きっと納得していただけると思います」
反町キャスター
「先に紹介した方がいいかな。トランプさんの発言で、ペンシルバニアで『来年1月20日の就任初日にTPPの枠組みからの離脱を表明する』と。僕らもこれに食いついて大騒ぎしたのですけれども、トランプさんのこの発言は、ないしは岡本さんと萩生田さんの想い、このへんのバランスは今後どのように展開すると見ていますか?」
田中氏
「もちろん、TPPが成立することが望ましいことは間違いないと思うのですが、少し心配しているのは、アメリカの経済はこれから良くなると思うんです。と言うのは、インフラでしょう。インフラに国内投資ですよね。インフラ投資。それから、減税、どう考えてもアメリカの経済というのがドンと浮揚する可能性が、だから、株が上がっているんですよね。どうなるかと言うと、たぶんアメリカの金利が上がるでしょう。そうすると、ドル高になると。そうすると、アメリカのトランプ政権が中国や日本に対して為替問題については極めて強く言ってくる可能性があると思うんですね。ですから、共和党というのは昔から、ある意味、自由貿易主義だったのですけれど、相手国のマーケット、あるいは為替に対してかなり強力なプレッシャーをかけてくるわけで、そういう面での摩擦が私は出てきそうな気がするんですね。それがTPPという枠組みの中にいればある程度緩和されるとは思いますけれども、そうでないということになれば、2国間のプレッシャーが強くなる可能性があると思います。それから、私はTPP、日本の議会が早期に批准をされることは望ましいと思うんですね。望ましいのはなぜかと言うと、日本の選択肢を増やすんですよ。まさにTPPの、日本は国会承認をしていないという状況においては、アジェンダというのはいつするのだということになる。ところが、承認をするとアメリカをもう1回巻き込もうではないか、日米のバイでやろうではないかとか、それから、アジアの中でRCEP(東アジア地域包括的経済連携)とか、諸々のやつでロードマップをつくっていこうではないかという、いろんな選択肢が出てくる。それが日本の外交の自主性だと思うんですね。だから、アメリカがノーと言っているから、こんなの批准してもしょうがないではないかというのは、私は間違いだと思うんですけれど。だから、是非やってもらいたいと思っています」
反町キャスター
「アメリカが参加しなければ空中分解の恐れもあるのに安倍政権はTPPを進めたがる、なぜ一生懸命にやるのですか?」
萩生田議員
「逆にアメリカの大統領によって、日本の経済政策が変わるということはあってはいけないと思うんです。自由貿易を目指す日本の国家としての意思を世界にきちんと示していく。たとえば、トランプ政権がTPPに対してネガティブで、もしもなかなか発効ができないという事態になったとしても、政府は同時に、日EU(欧州連合)のFTA(自由貿易協定)についても取り組みをしています。RCEPについても当然準備をしています。ですから、これはどういう形になっても、日本がぶれずに意志を貫くことで、カードは増えていくはずですよ。いろんな意味で経済のカードは増えていくと思いますから、国会で反対している人達が、アメリカの大統領候補が両方反対しているのに、と言うのですが、その割には普段アメリカのことを批判していて、こんな時にだけ追随されても困るのですけれど、世界全体の、相手がいてやることですから、もちろん、バランスを考えなければいけない、時期も必要ですけれども、日本の外交政策、経済政策を世界に示すという上では、アメリカの大統領が誰になってもTPPの旗は掲げて前に進もうというのは、政府としての強い意志です」
松村キャスター
「安倍総理は『TPPがなかなか進まないということになれば、重心は、軸足はRCEPに移っていくのは間違いない』と発言しています」
反町キャスター
「総理がRCEPを口にされたのは、これはどう考えればいいのですか?」
萩生田議員
「これは、日EUのEPA(経済連携協定)も、RCEPも、TPPも、全て包含して80%を超える自由貿易圏をつくろうというのが元々の政策ですから。たまたま順序がTPPが先だった。TPPが動かないのであればRCEPをやりますよということを世界に宣言することはそんなにおかしいことではないと思います」

次は『安倍×プーチン会談』 『北方領土』と『平和条約』
松村キャスター
「安倍総理はこのあとペルーに移動してロシアのプーチン大統領と会談をする予定なのですが、日露の会談のポイントはどこにあると思いますか?」
萩生田議員
「ペルーでの首脳会談は、来月15日にプーチン大統領が訪日されます。その前さばきの話し合いなので、そこで政策的なことを深く話し合うとは思いません。一方、8つの経済対策については世耕大臣を中心に動き始めていますので、進捗状況についてこちら側から報告できることはあると思います」
田中氏
「トランプ氏が登場したことによって、プーチン氏はロシアの立場が強くなったと思うかもしれませんね。と言うのは、クリントン氏であれば、米露関係というのはもっと緊張したと思われているわけです。現在のクリミアの問題、シリアの問題、サイバーテロですね。だから、米露関係は極めて緊張していただろうと言われている。その中で日本がロシアとやるというのはどうかという議論があるわけですよ、ヨーロッパとか、アメリカに。ところが、トランプ氏自身がプーチン氏と関係を改善したいと言っているわけです。そうすると、ロシアにとってはどうかと言うと、これまでロシアは孤立していると、だから、日米を分断するうえでも、アメリカはちょっと、と言うことで日本との関係を強化しようというインセンティブが働いたかもしれない。それが、アメリカが関係改善と言った時にロシアが果たして日本にどれだけ譲歩する意図があるか。そこは、私は心配です。と言うのは、私自身日露交渉を3年やった、固いですよ、これは。よほどのことがない限り岩盤を崩すわけにはいかない。戦略的環境はロシアが中国に依存するのは嫌だと、アメリカと日本を分断したい、これは相当大きな戦略的理由だった。それが、状況がちょっと変わってきたのではないかなというのが1つあるんです。もう1つの心配は、ロシアはアメリカの秩序に対する挑戦者だと思うんですね、引き続き。クリミアとか、ウクライナとかはロシアの一方的行動ですよね、国際法に反しているわけだから、それに対しては日本もヨーロッパサイドの問題についてはきちんとものを言う姿勢が必要だと思うんです。だけど、もしも北方四島で穴が開くのであれば、それは是非やるべきだと思いますね」

萩生田光一 内閣官房副長官の提言:『主張と行動』
萩生田議員
「今回のトランプさんとの世界一早い会談については、それぞれの国々も大きな期待を寄せています。3年以上に渡って、安倍内閣が続き、安倍総理がまさに地球儀を俯瞰する外交を続けてきた結果、もはや外交の舞台では、総理は世界を代表するリーダーの1人に皆さんは考えていただいているのだと思います。ですから、当然、日本国としての主張と共に行動が伴う、国際社会のリーダーとしての振る舞いというものも国を挙げてやっていきたいと思っています」

岡本三成 公明党衆議院議員の提言:『同志』
岡本議員
「志、目的や同じことを共有して、共に何かアクションを起こしていくということを是非やっていきたいと思っているんですね。総理に是非、プーチン大統領にも、トランプ大統領にもお願いしていただきたいのは日本に来た時には被爆地を訪問していただく、これはオバマ大統領に来ていただいたことを歴史的な1日に終わらせることなく、これから日本に来る各国首脳は基本的に広島、長崎を訪問されるのがスタンダードになるような、自分の目でご覧になっていただいて、核なき世界の実現を是非やっていただきたいと思っています。もう1つ大事だと思うのは次に総理がトランプさんに会った時にはハグしていただきたいですね。その映像が世界に流れた瞬間に日米同盟を世界は誰も疑いません」

田中均 日本総研国際戦略研究所理事長の提言:『覚悟をもって戦略的外交を!』
田中氏
「覚悟をもって戦略的外交を、だと思うんですね。煮詰まってきていると思うんですね。なおかつ1つ1つの関係、日米とか、日露とか、日中とかを切り離して考えられない時代になっているので、きちんとした総合的な戦略を持って、覚悟を持って外交を進めていただきたいなと思います」