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2016年11月11日(金)
石破茂×前原誠司 ポスト安倍の政治力学

ゲスト

石破茂
元防衛大臣 自由民主党衆議院議員
前原誠司
元外務大臣 民進党衆議院議員

石破茂×前原誠司 日米同盟と駐留米軍
松村キャスター
「トランプ氏ですが、大統領選挙終盤のテレビ討論会でこのように日米関係について発言をしています。『私達は、日本などの国々を防衛している。彼らは対価を払っていない。相応の負担をしなければ、日本を守ることはできない』と9月26日、発言をしましたが、昨日、安倍総理との電話会談では『日米関係は卓越したパートナーシップであり、特別な関係。日米同盟を強化したい』と日米関係強化を強調していますが、石破さん、このトランプ氏の2つの発言をどのように見ていますか?」
石破議員
「政治家ですからね。その場、その場で言うことが違うのは、そんなに驚くには値しないと思いますよ。だから、要するに、ファーストレディであり、国務長官であり、上院議員であったヒラリー・クリントンさんに勝つためには、そういうエッジの効いたというのか、詳しいことを知らない人達が拍手喝采するような、そういうことを言わないと支持は上がらないという現実があったのだと思いますね。だから、日米同盟って何でしょうと言って、知っている人は、アメリカ人の100人に1人いないですよね。1000人に1人もいないと思うな。だから、日本は安保にタダ乗りしていると。アメリカの若者が、日本防衛のために血を流すのに日本はこれだけの金しか払っていないじゃないか、そうだと。こういうことになるわけですね。アメリカの政治家もそんなに知らないと思うけれども、たとえば、広島に貯蔵している弾薬だけで、これだけで自衛隊全部の弾薬に匹敵するわけですよ。日本に貯蔵している艦船、船の燃料だけで、海上自衛隊の燃料の2年ぶんぐらいあるわけですよね。という燃料があって、初めてアメリカは展開できるわけですよね。つまり、ハワイがあって、日本があって、その次にスービックはあるが、基本的にインド洋まで補給基地はないわけですよ。日本に大量の弾薬を備蓄し、大量の燃料を置くことによってアメリカの戦略というものが可能になる、などということを知っているアメリカ人はほとんどいない。日本が横須賀に持っている艦船の修理ドックですね。アメリカの航空母艦が修理できるのは世界で、アメリカ以外、横須賀だけですからね。だから、そういう補給基地としての日本の役割、あるいは陸、海、空自衛隊が米軍とともに果たしている、この地域における抑止力。そういうものは、皆さん、日本は応分の負担をしているんですよ、日本の役割を評価しましょうと、そうだ、そうだと票が増えるか。それは皆さん、けしからんでしょう。もっと金を取りますよと言った方が、票は増えますよ。だけども、大統領になった以上は、そんなことは言っていられない。日米同盟というものをきちんと理解をし、発言をしなければ、大統領の職責を果たすことはできないわけですね」
反町キャスター
「前原さん、いかがですか?許される範囲の話なのですか?同じ質問になっちゃうのですけれども、どう感じますか?」
前原議員
「今日、インターネットのニュースを見ると、トランプ氏の公式ホームページから2つのことが削除されているということが載っていたんです。1つは、イスラムの入国禁止。これが削除をされていたと。もう1つは、これはある方に教えてもらったのですが、批准したから、4年間、批准して撤退できないので、いわゆるパリ協定から離脱。これについてもホームページから削除されていたということですね。と言うことは、彼は何を残して、何を変えるかということは見極めなければならないですけれども、そこは、我々はあまり期待だけで物事を考えてはいけないと私は思っているんです。私は底流に、トランプさんの考え方、会ったことがないですからわからないですけれど、1年半ずっとテレビ、あるいは新聞、インターネットで彼の言動を見てきていて貫いているものがあるなと思うのは反グローバリゼーションですよ。つまりはアメリカ第一ということは、セットバックすることだと、アメリカに。アメリカの利益を守ると。これまでのアメリカだったら、パックスアメリカーナ。アメリカによる世界平和。アメリカが世界のリーダーとなって、我々は犠牲を払ってでも平和を守っていくのだというものから、反グローバリゼーションということはアメリカ第一に戻りますということを言っているわけですね、まずは経済において。それは、安全保障においてもその考え方は根底にあると思っておいた方がいいと思います。つまり、あまり楽観的な考え方ばかりで、大統領になったら変わるだろうと。勉強をしたら、ある程度はわかってくれるのではないか。わかってくれるかもしれませんけれども、その根底にある、いわゆるアメリカ中心主義、もっと言うと、アメリカは別にトランプ氏が特別ではなくて、もともと持っていた孤立主義的な考え方、こういうものに反動で戻ってきているのだという前提に、私は立った方がいいと思うんですね」
反町キャスター
「たとえば、在日米軍の駐留費の負担増を求めてくるのか、日本独自の防衛努力の拡大を求めてくるのか。何を求めてくるのではないかという想像はあるのですか?」
前原議員
「まず政権が代わったとしても、これまで日本とアメリカの間で結んだ様々な条約、協定、こういうものは大事にしてもらわなければいけないわけです。1番大事な協定、条約というのは、当然ながら日米安保条約と言われるものですね。もともと冷戦時代には、ソ連を仮想敵国として、いわゆる日本の共産主義化というものを防ぐということの中で、アメリカが片務的に防衛義務を負う。日本はアメリカに対して防衛義務は負わない。その代り、基地提供義務を負うという非対称的な双務性という。防衛に関しては片務的な条約を結んできて、1996年にこれは橋本・クリントンの間で再定義をやったわけです。アジア太平洋地域の平和と安定のための公共財として日米同盟関係を活用するということ、これをあらためて我々は確認をしたことですね。これについてトランプさんにまず認識をしてもらうということが、我々がやらなければいけない大きなポイントだと思うんですね」

米露関係と北方領土
反町キャスター
「総理は今度、APEC(アジア太平洋経済協力)、ペルーに行って、日露をやって、12月、また、プーチンさんが日本に来て、山口で会ったりする、この年末に向けての外交の焦点、僕らの関心もそこに集中しがちになるのですけれど、日露交渉をどう見ていますか?」
前原議員
「領土問題と経済協力。これが車の両輪であるわけですけれど、この間、世耕担当大臣が日露議連で話をされたのを聞いていて、かなり弾込めとか、あるいはロシアとの話し合いが進んでいるように思えました。私はそれはそれとして、否定したり、非難をするものではまったくないですけれども、つまりは、いいところ取りをされないかという心配があるわけですね。これはそもそも論になりますけれど、これまでの長い60年間の、この日露、日ソの問題でいうと入口論、中間論、出口論というのがあったわけです。つまりは、経済協力というものは領土問題が解決しなければ入らないという入口問題があって、少し先に入った中間論があって、セットで解決をしたらいいのではないかという出口論というのがあったわけですけれども、出口があればいいですよ。出口がなく、経済協力だけが進んで、領土の問題、ロシアのこれは学者ですから、外務省に近い、プーチンさんは政治決断するので、これはあくまでもご参考としてお話をしますと、二島以外はあり得ないというわけですね、二島以外は。しかも、その二島については、日米安保条約の適用除外を求めるとか、そういった様々な条件をつけてくるのではないかと。つまり、択捉、国後に言及はないと。では、森総理の時の二島先行返還、二島継続協議。これなら国民の多くは、二島還ってくるならいいのではないか。二島のことについては継続協議でいいではないかということなのですが、継続協議がない場合にどう国民が判断するか。同時にトランプさんになりますから、どういう議論になるかはわかりませんけれど、おそらく現在のままでいくと、オバマ政権でも尖閣を日米安保第5条の、いわゆる適用範囲だということはかなりの時間が経ってから、これは私が外務大臣の時ですけれど、そこまで言わなかったわけですね。トランプ氏がそれをどう言及するのか、しないのか。たとえば、仮に二島について、歯舞、色丹について、安保条約の適用除外というものを言ってきた時、それはアメリカとの関係も踏まえて、どう考えるのか。様々な、複雑な考える問題があって、12月15日に劇的に…進めばいいなと、進んだら拍手喝采ですけれども、私は、安倍さんのアプローチというのは正しいと思っているんですよ。つまりは、首脳同士の信頼関係を高めていって、政治決着をし、信頼醸成のための様々な取り組みをされているということで、これまでについては、私は敬意を表します。だけれど、その結論がどうなるかということについては、私はなかなか、うまくいけばいいけれども、いろいろ考えることがあるのではないかと、私は頭の中で体操をしています」
反町キャスター
「石破さん、前原さんの話、いいところ取りされる心配がないのかと。もう1つ、たとえば、二島先行返還になった時に、ロシアはそこに日米安保の適用除外を求めてきた時などはどうするのか。問題点いくつか指摘されました。北方領土の四島返還交渉、どう見ていますか?」
石破議員
「それは、外交は内閣の専権事項で、我々自民党の議員達も外交部会で、どうなっているのだと聞いても、それは言えません、ということがいっぱいあるので、ご披瀝された懸念事項はまったく私は同じものを共有します。それはそうです。二島で済むのだったらとっくに済んでいるんです、そんな話は」
反町キャスター
「それは、日本側の問題という意味ですか?日本側が二島で満足すると言えば…」
石破議員
「何十年前に片づいていますよ。そうではないので。特に国後、択捉というものと歯舞、色丹は全然違うので、国後、択捉はそのままオホーツク海に面しているわけですよね。と言うことは、ロシアはソ連の時代から、オホーツク海の海中に、原子力潜水艦を沈めておいて常にアメリカを核攻撃できる位置に潜水艦を沈めておくというのが最大の核戦略です。アメリカから核攻撃を受け、モスクワがやられようが、サンクトペテルブルグがやられようが、オホーツク海に潜んでいる潜水艦からアメリカを攻撃できるぞということが、アメリカの攻撃を思いとどまらせる、抑止力ですからね。中国が南シナ海にこだわるのもそういうことですよ。同じ話ですから。そうすると、国後、択捉というのを、軍事的に考えた時に、ロシアがこれを日本に返還し、日本の施政下に入り、日米安全保障条約が適用されるというのは、いかにオバマ氏からトランプ氏に代わろうが、何をしようが、それはトランプさん分かったよという話ではないでしょうね。だから、もちろん、政府はそういうのを百もわかったうえで、交渉に臨んでいる。では、歯舞、色丹はどうなのだという話になって、これは日本の施政の下にありますと。日本の主権が全面的に及び、日本の郵便が届き、日本のお巡りさんがいて、ということになるとすれば、これはいいのかもしれない。だけど、残り二島はどうなのですか。領土として放棄しますということであるとすれば、かなり歴史の中で珍しい領土を譲った国ということになるのでしょうね」
反町キャスター
「日本が譲ったという意味で言っていますか?」
石破議員
「そうなったらとしたら。つまり、国後、択捉をどうするかということですよ。この二島をね。つまり、なぜプーチンがあんなに支持が高いかというと、クリミアを力で獲ったということですね。つまり、ロシアにとって領土というのは強い指導者の証みたいなものですよ。それを力で獲ったということで。力で獲った北方四島、樺太も。それを手放すということがあり得るかという政治的な面もあるわけですよね。私達は専権事項だから伺い知る余地がありません。それは内閣に対して、あれこれ言う立場にいないので。そういうことを全部織り込み済みで、厳しい交渉を重ねているのであり、その結果が、政権が誠心誠意、全身全霊臨んだ結果として決して日本の国益にならない回答しか返ってこなければ、それは領土の問題ですから、これから先もやるということで、結果がゼロであったとしても、それは日本の国益になる場合はあるのでしょうね」
反町キャスター
「石破さんは先ほど言われた、このまま二島で満足をしてしまったら、日本が領土を譲るという珍しい国となるというような話をされましたが、と言うことは、四島一括にしなければいけない主旨でもないですよね?二島をとりあえず還してもらう。残りの二島は、たとえば、継続みたいな。向こうから見たら終わりだけど、こちらから見たら継続だよみたいな決着の仕方も、法律上は、条約上の文面としてはあり得るという話もあるのではないですか?」
石破議員
「ないとは言いませんが、向こうにしてみれば、おしまいだと。それは違うのだと、そういう立場を最低でも留保をしなければいけない、こちらが」
反町キャスター
「そう考えると、たとえば、1951年のサンフランシスコ講和条約の結果がどうだったのか。千島を放棄したというのは、千島にどこまで入るのかといった議論。それにロシアが入っていないとか。1956年の日ソ共同宣言においては平和条約の後の二島返還になっていると。それは共同宣言とはなっているけれども、あれは立派な当時の日本とソ連の間の条約ですよね」
石破議員
「条約的なものでしょうね」
反町キャスター
「サインをして、批准もして。それをチャラにするのか。ロシア側に立った話を敢えて言わせてもらっているんですけれども。向こうにして見たら、石破さんが言われたようなスタンスというのを見せた時点で話がとまってしまうという可能性は?」
石破議員
「ですから、領土というものは、そういうものなのであって、それは国家主権なんだから。足して2で割ると、そういうものではないと私は思っているんです。そこは一歩でも前進だが、それはそれで大変よろしいことですよ。ですけれど、これまで固有の領土であるといってきた二島について、もうこれから先、日本は一切主張をいたしませんと。そこで手を打ったと仮にしたならば、そんなことはあるはずがないと思いますが。では、尖閣は何だと、竹島は何だということに必ず波及しやしませんか」
反町キャスター
「ロシア人が住んでいるわけですよね?」
石破議員
「住んでいますとも」
反町キャスター
「3世代とか、2世代と言われているではないですか。その人達のことというのは尖閣とか、竹島とは事情が違う。その部分、彼らも、ロシア側もそれにこだわるのではないかという、その部分というのは、別の条件にはならないのですか?」
石破議員
「ですから、そこは、実効支配とは何なのだ。施政の下にある領域とは何なのかということで、そこで国民が暮していれば、それは実効支配ですよ。だけども、竹島を日本が実効支配していると思う人は誰もいませんから。尖閣はどうなのだと。国有化をしました。民主党政権のもとで。そのことについての議論はともかくとして、国有化をしましたが、それは実効支配をしていると評価されますか、法的にということですよね。私達は、常にあれが実効支配のもとにあると。日本国の施政のもとにあると、国際社会に理解をさせる。そういう努力はしていかなければいけないし、尖閣の問題というのは常に我々の主権が及んでいる状態。日本の施政の下にある領域。第一義的に日本の自衛隊で守るべきものですが、だけど、日米安全保障条約適用の中にありますよということだけはアメリカが常に普遍であるという状況はキープしなければいかんですね」

アベノミクスの『次』
松村キャスター
「ここからは日本経済にはどのような影響があるのかですが、トランプ氏は安倍政権が進める経済対策について『日本の安倍はアメリカ経済にとって殺人者だが、やつはすごい。地獄の円安で、アメリカが日本と競争とできないようにした』と、2015年に話をしています。昨日の安倍総理との電話会談では『首相の経済政策を高く評価する』と発言しています。石破さん、トランプ氏のアベノミクスに対する発言をどう見ていますか?」
石破議員
「とにかく円を安くして、日本から輸入が増えて、それは困っちゃうねということを言っていたわけですね。それはわかりやすい話ですよ。だから、それを今度は高く評価する。これまた君子豹変と言うか、そういう感じですよね。それは、安倍さんと電話会談で、おまえは酷いやつだなんて言わないですよ、それはね。わが国がやっている経済政策というものがアメリカに対してどうなのかということを実際に議論するのはこれからですね。だから、日本の場合、大胆な金融緩和で円は安くなりました。株は上がりました。でも、輸出は、輸出企業は儲かったのだけれど、輸出はそんなに増えているわけではない。当たり前の話、円が安くなったので、輸入品は高くなって困っている人達もいるわけですよね。この円安、株高政策、アメリカにとってどうなのだろうねと分析をするのは、これからの話ですよ。だから、自動車をこんなに輸入して、アメリカの牛肉を買わないでと。そうであればみたいな、20年、30年前の議論はここで終わりですよ、よく考えてみれば。と言うことは、それが反グローバル経済ということとは別にトランプ大統領が考えていくことだと思います」
反町キャスター
「前原さん、いかがですか?昨年の7月の表現は、ちょっとえげつないけれども、アベノミクス。やられた側としては評価をしているようにも見えるんですよ。それが今日、総理に対しても、高く評価するという、このトランプさんの発言からすると、アベノミクスというのは、アメリカからきちんと認知をされている、その意味においては。いろいろ問題はあるけれど、それは日本のためには意味がある政策だねと評価されているようにも見えるのですけれども、いかがですか?」
前原議員
「野党ですのでポジショントークかもしれませんが、トランプ大統領になった時に、100日間の行動計画というのを彼は発表しているんですね。就任したらすぐやることの1つに、中国を為替操作国に認定すると言っているんです。つまり、元安に誘導しているということで、その文脈でこれも考えるべきだと私は思います。つまりは、地獄の円安でと言うことは、金融緩和、異次元の金融緩和によって円安にして、輸出競争力が増えるだろうと。実際には増えなかったのだけれども、Jカーブは出なかったですが、輸出が増えるだろうということで、それがトランプ氏にとっては、アメリカのモノが売れなくなった。そのことによってアメリカの雇用が減った。労働者の賃金が減ったと。だから、酷いやつだと。こういうことと私は見ているわけです。と言うことは、ポジショントークで言うと、敵ながらあっぱれだねと。だけれども、俺は、円安は、これ以上は認めないぞということを彼は言っているに等しいと私は思いますね。同時に、これはトランプ氏に言われるまでもなく、金融緩和というのはある程度必要なわけですよ。金融緩和と財政出動というのは景気刺激策として、これは誰がやっても必要な面はあるわけですけど、しかし、どうだったかという検証をできるだけの十分な時間が3年9か月、10か月が経ったんですね。金融緩和で求めたものは何だったのか。金利を下げます、金利が下がれば、貸し出しが増えるでしょう。貸し出しが増えれば設備投資が増える。貸し出しが増えれば住宅が売れる、車も売れる、耐久消費財が売れる。だから、実体経済が良くなるのではないかと言われたけれども、貸し出しは増えていないし、言われているように消費は、GDPの6割を占めている消費というのは、実質は、むしろマイナスですよ、この3年10か月、マイナス。実質賃金は4年間連続で下がり続けているということですよね。もう1つ、金利を下げることによって経済にプラスの効果があったのは、金利を下げます、そうすると、他国との金利差が開きます。そうなると、日本でお金を持っている人は、金利が高いところで運用をしようとしますから、円を売って、たとえば、ドルを買うようになって、それが円安になったということです。そうすると、為替効果で企業は儲かるということですから。株価は上がったわけです。企業の、いわゆる収入は上がったわけです。現実問題として2012年の第4四半期、これは経済の谷と言われているところですけれども、それを100とすると、企業の経常利益は135ぐらいですから、35%ぐらい増えているんですよ。それに対して、賃金はほとんど伸びていないです。名目もほとんど伸びていない。それは、大企業は若干伸びたかもしれませんけれど、中小零細企業、だいたい人数でいうと7割。企業数でいうと99.7%。これは伸びないどころか減っているという中、石破さんがおっしゃったように、円安になって、輸入物価が上がって、無理やり物価を上げて賃金が上がらない。実質賃金が下がる。そのことによって疲弊しているわけですよね。つまりは、トランプ氏がどうのこうのという以前に見直しの時期がきていると。しかも、400兆円も日銀は国債を買って、この間、政策変更をせざるを得ない。つまりは、量的緩和、量を目的とする。マネタリーベースを目的とする緩和から、長期国債の金利、10年ものですね、これにシフトをした。せざるを得なかったということで、しかも、自分の任期では2%の物価上昇は無理だということになったわけですから。トランプ氏がどうのこうのという以前に、見直しの時がきているということだと思います」
反町キャスター
「アベノミクスを見直すべき時期に来ている、限界だという話であれば、すぐにキャッチコピーを求めてしまうんですね。成長がダメだったら、次はスローガンというか、目指すべきものは、前原さんは何だと思っているのですか?」
前原議員
「いくつか思い浮かびますけれども、1つは、脱成長依存でしょうね。つまりは、成長を追い求めると、成長も追い求めて、これまでどうしてきたか。つまり、人を歯車に使った。成長が目的で、結果的に人を歯車に使って、1985年に非正規雇用は16%ちょっとだったのが現在4割ぐらいですよね。賃金は上がらない。ボーナスはない。退職金はない。いつクビが切られるかわからない。そういう人達が4割にもなっていて、結果的にこの20年間、バブルが崩壊してから、世帯収入は約2割下がっています。金額に直すと120万円の世帯収入が下がっているということから考えると、成長を追い求めて、人を駒のように使うのではなく、我々政治家の目的は人を豊かにすること、人に希望と安心と生きがいを与えることである。成長はその手段に過ぎない。成長と目的を大きく入れ替えることですよ。それが、私が申し上げる脱成長依存ということに変えるということと、実際問題それだけ所得が減っていって、3割以上の人達が貯蓄ゼロですよ。こういう状況を考えるならば、再分配政策をより厚くして、たとえば、結婚に対するハードルをもっと下げるとか、希望子供数を持てるための政策についてもっと下げるとか。特に家族向け支出、名目GDP比で、OECD(経済協力開発機構)は2.2%が平均。日本は1.38%しかない。他のヨーロッパの国々は3以上ある。こういうものに対して体質改善をするための予算の使い道に変えるということ。このことが私は大事なことだと思いますね」

『ポスト安倍』
松村キャスター
「石破さんは議員在職30年記念パーティーで『次の時代に何をやるか考えるのも、自民党が国家国民に果たすべき責任』と発言しました。石破さん自身は、次の時代に何をやっていると考えますか?」
石破議員
「再来年は明治150年なんです。我々日本人は50年に1回、国家を根本的につくり変えてきたと思うんですね。明治維新、廃藩置県、富国強兵、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦で最初の50年が終わるのですが、次の50年は、日中戦争、満州国、国際連盟脱退、大東亜戦争、敗戦、日本国憲法、高度経済成長。日本がGDP(国内総生産)で西ドイツを抜いた1968年が明治100年です。再来年で次の50年が終わるわけですね。私は何か新しい日本をつくってきたかというと、つくってこなかった気がする。私も含め、我が党は。ひたすら過去の遺産で食い、次の時代に負担を先送っているという反省があるんです。次の時代に負担を残してはいけないと。経済のあり方も、安全保障のあり方も、社会保障のあり方も、次の未来は過去の延長線上にはないんです。だって世の中はガッと変わったのですもの。だから、次の時代に何をやるのかというのは、次の時代にツケを残さないことだと思う。この国がインディペンデントでサスティナブルな国家であり続けることだと思う。つまり、資源でも、食料でも、あるいは為替もそうだけれど、トランプさんが大統領になったら、ガーンと円が上がって、ガーンと株が下がったかと思ったら、1日経ったら、また株が上がって、円が下がった。何なのだこれは。なぜ他立的に株も相場も動いていくのだ。それは国家を運営していくうえで必要な、食糧とか、エネルギーとか、そういうものをほとんど海外に依存しているから、こういうことが起こるんですよね。次の時代に先送っている債務も、国民の金融貯蓄が国債の発行額を下回った。逆に言えば、国債の発行額が金融資産を上回った時に何が起こるかということも極めて他立的なお話ですね。グローバリズム反対とは言うのだけれど、その中で生きていくうえにおいて、本当に自立の要素をどれだけ強めていくのかということだと思うんです。社会保障にしても、財政にしても、金融にしても、本当に次の時代にこれはありますか。あと80余年で日本人は半分になるんです。どうやってこの国の社会保障を、財政を、金融を維持するのですかということを考えた時、次の時代に持続可能な国家、なるべく外的要因に左右されないような自立的な国家、それをつくっていくのが、我々が国家国民に対する責任で、そこは自民党と敢えて言いましたけれども、そこは政治と言ったって構わないですよ。むしろそういうものかもしれません」
反町キャスター
「そのためのプランというか、ビジョンはまとまっているのですか?」
石破議員
「そんなに簡単にまとまるのだったら、苦労しません。それは漠たる方向性はあります。それは金融とか、財政とか、スタンダードな教科書以外もきちんと皆読まないと、こういう視点から批判されたらどうすんだということにきちんと答えられなければ、それは政策足り得ませんから。ですから、そこは半年、1年、もっとかかるかもしれません」
反町キャスター
「来年の今頃ぐらいまでには、そのビジョンを聞くことができるということでよろしいですか?」
石破議員
「それは聞いていただけるぐらいまでに仕上げないと、何のために苦労を共にする人達と一緒にやっているかがわからないですからね」
反町キャスター
「総裁任期の延長の話が出ている中で、そこは、党員、党友、国民に対してビジョンを示すということが、石破さんの気持ちという理解でよろしいですか?」
石破議員
「ですから、皆で選んだ総理・総裁なのだから総理・総裁が少しでもいい仕事をしていただけるように努力するのは、選んだ者の責任です。だから、持続可能性があり、自立可能な国家にするべく自分の立場から目いっぱいの仕事はします。だけれども、未来永劫続く政権なんて世の中にないですし。だって、昨年の今頃、トランプ氏が大統領になると誰が思いました。1年先に何が起こるかなんて誰もわからないです。その時に国家国民に責任を負うべき我々政権与党が、不測の事態が起こりました、誰も何の用意もしていません、そんな無責任な話があってたまりますか」
反町キャスター
「前原さんは未来に対して自身が果たすべき責任、ビジョンについて、どういう気持ちですか?」
前原議員
「これは私が代表選挙で示した、All for Allですよ。皆が皆で支えあう、つまりは、右肩上がりを前提とした勤労国家で、43.9%という国民負担の低い国で所得が下がり、現実の教育とか、保育とか、介護とか、就職支援とか、そういう現物サービスが手薄くなってきて、それが息苦しくなり、結婚しない人が増え、子供の数も減っていると。社会の根本ですね。皆が皆で助け合うということで、私のビジョンは今回の代表選挙で提示したつもりですから、これを今度は、私は蓮舫さんに負けましたから、負けた人間が偉そうに言ってはいけないのだけれども、負けた人間だけれども、自分は国家ビジョンを持っている。All for All。これをどう民進党の考え方にしていくか、私が今後、果たすべき役割ですね」

石破茂 元防衛大臣の提言:『誤魔かすこと無く 正面から臨む』
石破議員
「あれこれ策を弄しても仕方がないと。アメリカに言われるまでもなくということがいっぱいあるわけです。安全保障にしても、金融政策にしても、社会保障にしても。日本はこう思うのだということをきちんと整理し、誤魔かさずに正面から臨むということ以外にないと思います」

前原誠司 元外務大臣の提言:『原則論と柔軟性』
前原議員
「たとえば、力による現状変更は認めない、というのは原則論ですけれども、おそらく社会の変化の中で、トランプさんという大統領が出てきて、それに対して日本はとにかく、アメリカはジャイアンですから、ジャイアンにどう合わせるかという柔軟性を持たないといけないという意味で、原則論と柔軟性だと思います」