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2016年11月2日(水)
朴大統領は操り人形? 政権弱体どうなる日韓

ゲスト

河村建夫
元内閣官房長官 自由民主党衆議院議員
黒田勝弘
産経新聞ソウル駐在客員論説委員
木宮正史
東京大学大学院総合文化研究科教授

韓国・朴大統領『最大の危機』 『機密情報漏洩疑惑』の波紋
秋元キャスター
「政権発足以来、最大の危機を迎えていると言われる朴槿恵政権ですが、その発端となったのが大統領の40年来の友人であります崔順実氏を巡る疑惑です。こちらにその主な疑惑をまとめました。朴大統領が演説原稿など機密性の高い情報を崔氏に提供したのではないか。また、崔氏が国政や大統領府の人事に関与したのではないか。崔氏が大企業などからの巨額出資で設立された2つの財団を私物化したのではないか。さらに、財団の設立の際に大統領府が関与をしたのではないかという、これらの疑惑ですけれども、黒田さん、今日、ソウルから東京に戻られたばかりということで、今回の問題について、ソウルではどのような雰囲気、どのような空気でしたか?」
黒田氏
「問題の女性と朴槿恵さんとの関係がいったいどうだったのかと。なぜそこまで朴槿恵さんは彼女の横暴というか、青瓦台、大統領官邸に自由に出入りしていたという話もあるぐらいに、なぜそういう、いかがわしい女性を許したのかと。国政介入を許したのかと。朴槿恵さん、どうなのですか、と。ここですよ」
反町キャスター
「その説明がなされていないですね。謝罪はしましたよね」
黒田氏
「まだないと。この前はね謝罪の会見というか、2分足らずで一方的だったわけですよ。それは別に中身ないですから、基本的に。謝ったことはあるんだけれども、その状況を超えちゃってるんですね問題は。朴槿恵さんが最初、謝ったのは、昔、私が難しい時にお世話になった女性で、お付き合いがあったということだけれども、政権をスタートさせる時に整っていない時だったから、アドバイスを受けたとだけで。それだけではないわけでしょう。そのあと、政権を獲ったあと、政権運営の中でどうも彼女が介入していたのではないかとなっているわけだから、もうちょっとはっきりと実態、真実を告白してくれと。これが今、国民世論の大多数ですね」

『40年来の友人』 表と裏
秋元キャスター
「朴槿恵政権の影の実力者と言われています、朴大統領の友人の崔順実氏と朴大統領の関係を簡単にこちらで振り返っていきます。1974年、朴槿恵大統領の母親であります陸英修氏が、朴正煕大統領暗殺未遂事件の流れ弾にあたって亡くなったあと、宗教家の崔太敏氏が朴槿恵氏と面会をしまして、そこから精神的な支えに崔太敏氏がなっていったと言われています。この崔太敏氏の娘であります崔順実氏とも、朴槿恵大統領は親しくなりまして、40年来の友人という関係を築いてきました。朴大統領は、崔順実氏との関係を、過去に私が苦しかった時に助けてくれた縁と、先日の謝罪会見で語っています。韓国メディアは最近、崔順実氏の姉でありますチェスンドゥク氏がもう1人の黒幕ではないかとも報じているのですけれど、黒田さん、朴槿恵大統領と崔順実氏の関係、単なる友人だったのか。どういう関係だったのか。どのように見ていますか?」
黒田氏
「朴槿恵大統領が崔順実氏に対して、家族に対して、私が非常に困った状況の時にお世話になったという精神的に支えたということですけれども、困った、支えられた状況というのが2つあって、1つは、お母さんが流れ弾で死んだとおっしゃったけれども、これはある種のテロですよね。テロで亡くなった。そのあと今度、お父さんが権力内部の暗殺で亡くなった。両親を亡くしたわけですね。彼女は非常に孤独な状態になったわけですよ。そこに彼女の親父の崔太敏という宗教家が入り、その娘の影響も受けたのですけれども、韓国は家族社会であって、過去の大統領も血縁関係、お兄さんだったり、息子だったり、そういうものとのいろんな問題があって、だいたい不正、腐敗につながったのだけれども、今回、崔太敏という牧師、それから、その娘の彼女、それからお話に出たお姉さんとか、家族ではないですか。これは、僕は疑似家族だったのだと思います、朴槿恵さんにとっては。彼らが家族になったんですよ。あるいはマインドコントロールをされていたとは思うのだけれども、だから、家族と同じような雰囲気というのか。だから、要するに、大統領官邸にも出入りを許してたという話もあるではないですか。だから、疑似家族になって、家族と同じような関係、つまり、韓国で1番強い関係というのは、人脈というのは家族、肉親でしょう。そこで初めて信頼できて、心が開ける社会ですよ。彼女はそこが唯一、だから、開ける。信頼できる世界になっちゃったのでしょうということだと思いますよ」
木宮教授
「私もそうだと思いますけれど、さらに加えると朴槿恵さんの孤独。お母さんが殺され、お父さんも殺されて、しかも、もちろん、彼女は兄弟、妹さんと弟さんがいたわけですけれども、弟さんは陸軍士官学校には入ったのだけれど、あまりうまくいかずに後には麻薬中毒みたいにもなったりもしましたし、それから、妹さんとはお父様、大統領が残した財産をある種、管理するような財団があったのですけれども、その財団の運営を巡って、仲違いをして、兄弟がいたのだけれども、ほとんどまったく絶縁というか、そういう状況で余計に孤独が深まると。もちろん、1970年代と最近とはまたちょっと違いますけれども、ただ、ある種の権力に近い座にいて、孤独であると。そこにこの一族というのですか、この家族が彼女の心の闇の部分にサッと入り込んでいると。まさに朴槿恵大統領からすると、おそらくご本人も言っているようにおそらく唯一、気の許せる、そういう人であると、そういう間柄だったのではないかなと推測はいたします」
河村議員
「日本の政治の世界ではちょっと考えられない状況ですが、確かに大統領就任式に行くと家族の一座がちゃんとおられますもの。ああいう特殊な社会。それが原因で、歴代大統領がその問題で悩み、苦しみ、失脚していく現状、ここにも出たかという思いが、しますね」
反町キャスター
「家族関係を表に出すやり方というのは、日本の政治と全然違いますか?」
河村議員
「そうでしょうね。日本でしたらもし大事な人だったら秘書官にしちゃうとか、補佐官にしちゃうとか、そういうことはありますが、最近そういうことも言われますけども、家族2人も秘書にするなと言いますけれども、そういう公式な立場をとらなければ出さないというのが大原則でしょう。選挙の時だけ出ていればいいという感じですからね」
木宮教授
「私が非常に面白いと思うのは、ところが、韓国では国会議員が自分の身内を秘書にするというのはダメなんですよ。遠縁を秘書にしたことがわかるといろいろと批判されて、辞めさせなければいけない、そうですよ」
反町キャスター
「家族主義だけれど、法的な、見える家族主義はダメなの。そうすると、かえって潜るではないですか?」
木宮教授
「だから、まさに、いわゆる日本流に言えば、本音と建前が結構ずれているんですよね」
秋元キャスター
「朴槿恵大統領から崔順実氏に渡ったとされる機密文書ですけれども、大統領演説の草案だけでなく、2012年に韓国と北朝鮮の軍が秘密接触をしたという情報や、2013年に訪韓をした安倍総理の特使団への対応方針に関する資料というのもありました。この資料には、日本側が独島(竹島)問題に言及した場合、微笑で応える。慰安婦問題は大きな歴史認識として話すようになどと書かれていました。さらには2014年に朴大統領がカナダ、アメリカを歴訪した時などの外交日程表というのも渡っていました。この時、崔氏は、朴大統領に洋服ですとか、アクセサリーに関する指示もしていたとされています。ファッションですとか、軍や外交の情報まで様々なわけですけれども、崔氏は問題が発覚した2日後に韓国メディアの取材に対して、自分は機密文書だとは知らなかったと語っています。河村さん、日本からの特使団に関する資料というのも含まれているということですけれども、日本政府としては当時から崔氏の存在の大きさや、影響力というのは認識していたのですか?」
河村議員
「いやいや、少なくとも我々はまったく知りませんでした」
反町キャスター
「たとえば、ここに書いてあるように、竹島の話をした時に、向こうは微笑で応えたのですかと聞きたくなる。このマニュアル通りに朴さんが応えたのですかという、ここですよ」
河村議員
「そういうことは私も覚えていませんけれど、そんな突っ込んだ話はしませんでした」
反町キャスター
「慰安婦問題は、これは大きな歴史認識と私は考えていると、朴さんが言ったとか」
河村議員
「それは、歴史はちゃんと直視してと、絶えず言っていましたね」
反町キャスター
「黒田さん、機密漏洩の認識はなかったと崔さんは言っているわけで、これは情報の重要性を理解していなかったのか。家族の間だからいいのではないか。どういう理論建てで彼女はそういう言い方になるのですか?」
黒田氏
「大統領は最初の謝罪スピーチの時に、初期にお世話になったと言っていますね。それは事実。だけれども、どうもそのあともいろんな情報と言いますか、文書、機密が出ているようだということですね。その場合、朴槿恵大統領が進んでやったのか、あるいは問題の彼女が、私は大統領の懐刀という存在なのだから、秘書官達にあれはどうなっているのと。今度の演説の内容はどんな内容なのと聞く。それでその草案があったら、ちょっと送ってよとか、そういうレベルだったのか、どうか。僕は大統領がいちいち全部、事前に直接FAXか何かで送ったとは思えないですけれど。彼女が、自分は大統領をバックにということを誇示して、そういうスタッフ、参謀達を誑かしたと。そちらの方が強いと思います」
反町キャスター
「人事に介入したという話もあったではないですか、大統領周辺の。秘書官ないしは補佐官とか、そのへんの人達はそういうことを…。この仕事に関わっていると言われているのは、こちらの元夫の方ですかね。この2人、両方とも、たとえば、人事で、大統領の秘書官人事に介入していたという情報もある。こういうことがもしあるとすれば、当然、押し込まれた秘書官は、忠誠を誓うのはこの人達に忠誠を誓うことになるわけですか?」
黒田氏
「そうですね。そうなっちゃいますね。何か重要な人事がある時に問題の女性が秘書官に電話をして、あの人はいいよとか、あの人はダメよとか。それは当然、そういう影響力の行使というのは十分あり得ますね」
反町キャスター
「そうすると、大統領の周辺にいる秘書官の人達、ないしは周辺の人間はこの人の覚えをめでたくしてもらわないといけないという力関係が自然に発生したのではないかと?」
黒田氏
「そうですね。そういうことですね。これはよくあること。当然、秘書官というのは絶対的ですからね。大臣よりはるかに権限がありますからね」

『機密情報漏洩疑惑』の波紋
反町キャスター
「韓国における大統領秘書官というのは、いわゆる日本でいうと大臣と同じようなイメージでいいものなのですか?」
黒田氏
「もっと上ですね。大臣の任命権があるぐらいと見ていいですね」
木宮教授
「要するに、大統領との距離ですね。もちろん、最近ちょっと話題になったのは、主席秘書官をやった女性が、実は政務ですから、大統領と緊密な連絡をとるべきであるにもかかわらず、国会に出て、自分が在任中に大統領と一対一で会ったことは1度もないと。そういうことを言って、皆が驚いていたのですけれども、要するに、私が思うのは、秘書官はもちろん、重要だけれども、問題なのは、朴槿恵大統領自身があまり秘書官とも本当にコミュニケーションをとらないと。そうすると、秘書官の方は余計に忖度をする。もしくは場合によっては、大統領に影響力のあるような崔順実一族を通して大統領に何か働きかけるとか、ご機嫌を伺うとか、そういう行動を私は結構、朴槿恵大統領自身のいろんな行動を、いわゆる政権運営スタイルとか、人事のスタイル自身にかなり崔順実一族が入り込む。原因の一端はかなりあったのではないのかなと思います」
反町キャスター
「そうすると、不通大統領とか言われた、通らない、情報のやりとりができない大統領と言われるではないですか。たとえば、秘書官がここにいるとしたなら、この秘書官は大統領とのやりとりがないから、結局、このルートで情報をとろうと思って、崔さんへの忠誠というのか、アプローチを強くするという、朴大統領、自分のボスは何を考えているのかを崔さんから聞こうとしていたという可能性もあるという意味ですか?」
木宮教授
「それは十分あり得ると思いますね」

2つの財団をめぐる疑惑
秋元キャスター
「朴大統領と友人崔順実氏を巡る疑惑ですけれども、政府の機密文書の流出や国政介入疑惑に加えて、財団を巡る資金流用疑惑、その財団の設立に絡む大統領府の関与疑惑というのも報じられています。その疑惑の財団ですけれど、韓国食など文化の普及を目的とするミル財団、スポーツの普及を目的とするKスポーツ財団です。財団設立の際に、大企業などが800億ウォン、日本円にしておよそ73億円という巨額の資金を出資しています。この財団の活動資金を崔氏が私的に流用したのではないか。財団設立の際に大統領府が関与したのではないかなど様々な疑惑が取り沙汰されているのですけれども、黒田さん、崔氏が資金流用したのではないかという財団をどのように見ていますか?そもそも実際に活動あったのかどうか?」
黒田氏
「大統領が自分の政権と言うのですか、自分の業績として、いろんな新しいことをしようとするわけではないですか。それで彼女は経済活性化と言って、その大きな目的は、要するに、失業が多いし、若い人達は遊んでいるから、就職先をつくろうということです。雇用創出が1番の彼女の看板になっていたのですよ。その一環として、文化振興、文化とか、スポーツ、そういうものをビジネスにつなげて、そこで雇用創出し、もちろん、金銭的にも利益が上がるということで、そういうアイデアを持って、それを推進しようとしていたわけですよ。そこに崔順実氏なる疑似家族が、大統領はあれかと思って、これはいけると思って、ああいう財団を構想したのかもしれないし、そういう財団を構想して、大統領が積極的に何かを推進なさるそうですと財閥に言えば、ああ、そうですかと言って、皆、ははーと言って、100億、200億、全部出資するという」
反町キャスター
「そんな簡単な感じ?大統領はそんなに権限がある?」
黒田氏
「ええ。断ると企業はいじめられると思って、断れないでしょう。だから、そういう構図だと思います。財団をつくる。それから、つくる過程で、財閥からお金を集める。そのお金を本来の美しい雇用創出とか、文化振興ではなく、プラスアルファ、自分の個人的な利益と言うのですか。個人的な別の事業に利用していたとか、何とかそういう疑惑はあり得るということですね」
反町キャスター
「日本でも何とか財団がいろいろある中で、どこから、いろんなところからお金を集めて、何か運営するにしても、何に使ったかという透明性の部分というのがある程度担保されていれば、自分達の一族のために73億円のうちのどのぐらいの部分を私物化したのかということなどについてはどこかでもっと早くわかるのかなと思うのですけれども、韓国の場合はこういう財団に対する財政の透明性みたいなものというのは?」
黒田氏
「まだ、この財団自体が、公式に、正式に展開されているという状況ではなくて、むしろ財団をつくる過程と言いますか、そういうプロセスの段階だったと思いますけれど。財界、財閥が資金を出したのも、たくさん出したところもあれば、少ししか出せなかったところもあって、いろいろバラつきはあるのですけれども、お金が全部集まったという話も必ずしもないらしいのだけれども、要するに、財団というのは、日本でも何とか財団というと、だいたいちょっと使い道というか、非常に不透明になりがちなものではないですか。韓国のような特に今回それを主導している崔順実氏という女性が、大統領がバックにあるということであれば、そこを誰が追及しますか?使い方を」
反町キャスター
「金の集め方に関係しているのではないかと言われているのが、今日、検察に出頭した前首席秘書官、2、3日前まで首席秘書官だったはずですね。安鍾範前首席秘書官は、検察に出頭する際に、メディアに対して検察に全てを話すということをマイクオンで喋って、入っていて、中に何を喋っているかはわからないのですけれども、この人が財団に向けて資金提供を、大統領の代役として、名代として財界に働きかけたのではないかという噂が流れています」
黒田氏
「そうですね。その可能性は十分にあると思います」
反町キャスター
「それは、この首席秘書官が、もしそれをやるとすると、これは韓国の法律に触れることになるのですか?」
黒田氏
「ただ財閥から金を集めて財団をつくるということ自体は、それ自体は別に悪くない、むしろ良い話ではないですかね」
反町キャスター
「要するに、秘書官は大統領がこういうことを考えていると。どうか、皆さん、金を頂戴と?」
黒田氏
「将来の話で、お金の流用があったとか、あるいは財閥は出すの嫌がっているのに、出さないと不利益があるよと脅かしたとか、あるいは大統領がお怒りになって、お宅の財閥に税務調査に入りますよとか、そういう圧力をかけるとなると、そういうのは業務妨害になったり、不法で犯罪になりますから。それはこれから調べて出てくるでしょうね」
反町キャスター
「そう考えると、前首席秘書官が検察に入って全てを話すということだとすれば、この人は、私は大統領に言われた通りにより社会を良くする目的のために財界に資金の提供をお願いしたのだと。そこまでが私の仕事で、何ら悪いことをしていないのだと言って、自己弁護をはかる可能性が当然ありますよね?」
黒田氏
「当然、あるでしょう」
反町キャスター
「悪意はそこになかった。そこから先の使い道に関しては、それは崔氏がどう使ったかわからないけれども」
黒田氏
「そういって逃げる可能性は十分あると思います」
反町キャスター
「一方、この首席秘書官が何か罪に問われるとしたら、そこはどういう可能性があるのですか?これはいかがですか?」
黒田氏
「それは職権濫用とか」
反町キャスター
「首席秘書官の立場を利用して、各企業に対してこういう財団をつくるので金を出してくださいというのは、これは職権濫用とか、詐欺未遂にあたるのですか?」
木宮教授
「ただ、要するに、そこに大統領の威光を嵩に着て、いわゆる財閥に対して、要するに、募金を強要をしたと。これは、私は立証が難しいと思うんですけれども、一応、検察としては、そこに1つの照準を合わせて、何とか有罪に持っていきたいと。その中でもう少し真実にアプローチをするということを考えているのではないかと思いますけれど、ただ、私は本当にびっくりしたのは、崔順実さんがイギリスから帰ってきたのですけれど、私は当然ながら、これだけ大騒ぎになっているのだから、逮捕状とかが出て、空港で逮捕されるのかなと思ったのだけれども、全然そうではなくて、するっと入って、1泊ホテルだと言われているのですけれど、1泊したわけですね。検察としてもこれだけ大騒ぎになっているのだけれども、どこから攻めていっていいのかということがなかなか絞り切れない。そういう状況があったのではないかと思いますね。だから、今回の2つも、なかなか立証するのは易しいことではない。むしろ大統領の威光というものをいったいそれをどう立証していくのか。そんなに簡単な問題ではないと思いますね」

政権弱体化と今後の政局
秋元キャスター
「ここからは韓国の朴槿恵大統領が政権発足以来、最大の危機を乗り切れるのか、朴政権の今後について話を聞いていきますけれども、今回の疑惑に対するこれまでの朴大統領周辺の動きまとめました。木宮さん、ここまでの対応ですけれど、これで世論は納得するのでしょうか」
木宮教授
「今のままだと納得は難しいと思います。ただ、日本では、とかく下野とか、そういうことを言われているのですけれども、少なくとも今の段階では野党は必ずしもそこまでは要求はしていないと。もちろん、国民にそういうことを言っている声があるということを前の大統領候補である文在寅さんが言って、若干いろいろ問題にはなりましたけれども、野党は現在のところ、そこまでは要求していない」
反町キャスター
「木宮さん、下野という言葉が出たので、ここに出しますけれど、下野、朴大統領に対して、いろんな手段がある中で、弾劾はあとで聞きますけれども、下野と言いました。下野というのは具体的にどういうケースなのですか?」
木宮教授
「これは本人が辞めると」
反町キャスター
「辞任することをこの場合の下野と?」
木宮教授
「言うんですね。もちろん、それは国民の、いわゆる批判とか、運動が高まって、もうこれ以上、本当に政権運営がとてもではないけれども、できないと。本当に辞任するしか、打開策がないというところに追い込まれるということですけれども。それが下野になるかと思います」
反町キャスター
「アメリカだったら辞めると副大統領が大統領に昇格しますけれども」
木宮教授
「韓国は一応、今の首相ですね。国務総理と言いますけれど、が一応暫定的に大統領になるということですけれども、それが実質的には選挙管理内閣をまた構成して」
反町キャスター
「と言うことは、また、大統領選挙をやるのですか?」
木宮教授
「ええ。そうですね」
反町キャスター
「でも、それは、たとえば、与党にしてみたら下野をして、暫定大統領ができて、数十日以内に大統領選挙があるとしたら当然、今の与党、セヌリ党は負けるのが見えた戦いになりますよね?」
木宮教授
「そうですね。もちろん、組み合せがいろいろあって、今すぐは難しいですけど、与党は単独ではどうも勝ち目はないと、従って、現在の野党の第2党、国民の党とのある種の連合みたいなことを模索しているようです」
反町キャスター
「木宮さん、弾劾というのはどういうケースがあるのですか?」
木宮教授
「これは盧武鉉大統領の時に1回、韓国は弾劾訴追を国会が決議して、これは国会在籍議員の3分の2以上の賛成が必要で、しかも、そこで弾劾訴追されても憲法裁判所で、要するに、それを決めるわけですね。従って、盧武鉉大統領の時には、弾劾訴追はされたけれども、憲法裁判所ではそれは認めないということで免れたわけですね。現在の国会の状況を考えるともちろん、与党が過半数を獲ってなくて、いますけれど、与党から相当離反が起こらない限りは3分の2を確保できない。しかも、野党も果たして弾劾まで考えているかどうかということはかなり疑問ですね。野党としては、現在の状況をちょっと長引かせて、来年の12月の大統領選挙に持っていった方が野党としては得だという考え方の方があるので、従って、弾劾、国会の3分の2の弾劾訴追までいくかどうか。ここは、この間、朴槿恵大統領ご自身が国民に対し、本当にそれこそ情緒の問題であれば、国民の情緒に訴えかけるということをある種、する必要があるわけですね。そうすると、残念ながら、前回の謝罪はまったく国民の情緒には届かない謝罪だったんですね。今度はやるのであればもちろん、タイミング、それから、取り調べで事実がある程度は明らかになることが必要ですけれども、その時点で国民の情緒に訴えかけるような心からのお詫びとか、要するに、自分の何が悪かったか。前回の謝罪会見は実際、私も見ていて、あまりご自身は悪いことをやっていないという思いが割合感じられるような会見だったですね」
反町キャスター
「黒田さんはこの間の謝罪会見は、朴大統領は、自分はあまり悪いことはやっていないという印象に受けとられましたか?」
黒田氏
「朴槿恵さん、いつもやるやり方で、記者会見はしない、基本的には。年1回しかしないです。記者団と立ち話は一切ありません。それが普通。コミュニケーションがないという部分ですけれど、この前も、だから、一方的に自分が読んだわけです、1分ちょっと。それでもちろん、表情自体は深刻だし、相当深刻に受けとっているという印象はあったのですけど、中身が、政権スタートの初期にそういうことがありました、という程度だったので、本来もっと深かったのではないのかというのが国民の疑惑だから、そういう意味で、謝罪は軽かったということですね」
反町キャスター
「国民情緒法に訴えるようなタイミングというのか、謝罪の仕方というのは、黒田さん、何かイメージできますか?」
黒田氏
「世論の象徴というのは、割と韓国の場合、街頭デモですから。それがどういう展開になるのか」
反町キャスター
「それはテレビを通してやるべきものなのですか?たとえば、街頭デモの場に自分が自ら乗り込む?」
黒田氏
「それはもちろん、テレビで言うわけですね。本来、たとえば、まったく制度上、そういうことはなくてもいいのだけれども、国会で、国会がまったく大統領を追及する場ではないので、日本のように総理を追及することはないんですけれども」
反町キャスター
「本来なら弾劾制度があるのだから、やってもいいはずですよね?」
黒田氏
「そうではないです。与野党でやりあうわけで、だから、国会で何かを言うとか、あるいは場合によっては国会で質問も受けるとか、無理な話だけど、完全に彼女がオープンマインドになって国民の皆さんの意見を聞きますという姿勢をすれば、ある種の情緒的には訴えるところはあると思いますね」
反町キャスター
「逆の言い方をすると、その1点で勝負するしか、朴さんには起死回生の手はないと聞こえます」
黒田氏
「ないと思いますね」

朴政権弱体化で日韓は?
秋元キャスター
「ここからは朴槿恵政権の弱体化が及ぼす影響について考えていきます。慰安婦問題を巡る日韓合意に基づいたソウルの日本大使館前に設置された少女像の撤去が実現するのかどうか。また、日韓が防衛情報を直接共有するための協定、GSOMIA、軍事情報包括保護協定の締結に向けた交渉ですけれども、まさに昨日から協定の締結に向けて協議が4年ぶりに再開されているのですけれども、これもどうなっていくのか。12月には朴槿恵氏が大統領として初の来日となります日中韓首脳会談が開催される予定ですけれど、これについてもどうなるのか。河村さん、まずこの日韓合意に基づく少女像の撤去の問題ですが」
河村議員
「これは合意の完全約束の中に入っているということではないのだけれども、しかし、あれだけの合意を、不可逆的に慰安婦問題は解決すると。10億円を出して財団をつくるとまで言った。当然、慰安婦像も撤去の方向になっていくという期待がありましたし、私は、朴槿恵大統領はやるのだとこう思っていましたから、この状態がどう影響出るか。非常に懸念材料にはなってきました。約束は、確かに慰安婦像も含めた形のものになっていくだろうということで、そこのところをきちんと詰めたわけではないのですけれども、朴大統領ならやるという思いであそこまで合意をはかったと」
反町キャスター
「そこは日韓合意の中で、10億円を渡し、いろいろなことがあったなら、少女像は撤去するということが書き込まれていないのは、わかっているのですけれども、皆、期待している部分は当然あるわけではないですか。これで韓国の政権のスキャンダルによって、慰安婦像の撤去ができなくなったということになると、これは韓国の問題だけではなく、日韓協定をとりまとめた日本政府の問題になりますか?それともこれは向こうの出来事でしょうがないのだからと逃げ切れるかどうか。そのへんの風向き、風合いを、どう見ていますか?」
河村議員
「朴槿恵大統領はあと1年ですから、この中で、できるか、できないか、我々はできるとの期待でやったわけです。しかし、国と国の約束ですから、次の政権がまた元に戻すのか、それについては日本はノーですよということは言えると。そういう形になっていると思っています。ただ、このことは日韓議連の総会をやりますけれども、4日にはやりますが。こういう話はちゃんとしておかないといかんと思いますね。我々議員同士としても確認をしたいと、こう思っています」
反町キャスター
「予定的には発表になっている部分として、公になっている部分で結構ですけれども、たとえば、青瓦台に行く予定はあるのですか?」
河村議員
「予定はあったんです。それでOKもとれている。しかし、こういう予期しない状況が起きたものですから。現在の状況ではということで、ストップがかかった状態ですね」
反町キャスター
「なくなるかもしれない?」
河村議員
「キャンセルの可能性が高いと見ていますが、こういう時だからこそ、むしろやるべきではないかと我々はそう思っていますので、行って、どういう状況か見たうえで…」
黒田氏
「日韓関係の象徴的なコアのイシューですけれども、朴槿恵大統領は、昨年末の慰安婦合意を機に対日政策は改善、友好に転換した、それは明らかに。せっかくそうなったのだけれども、現在の状態になってしまって非常に残念ですよね。朴さんは、慰安婦像を任期中に撤去したいという考えだと思いますよ。どういう状況で、どういう判断をするかという、タイミングの問題ですけれども。10万、20万の街頭デモになるかわからんという状況になれば、朴槿恵打倒とか、反政府を主導しているのは野党であり、反政府系ですよ。彼らは慰安婦合意に反対しているわけですよ。慰安婦像撤去はけしからんと、そのまま置いておけと。そういう状況で、果たして朴槿恵さんが決断できるのかどうか。彼女は、外交は信頼だと言って、彼女の口癖ですよ、それを守りたい。あの合意は日本との約束だから、絶対に守りたいという考えは間違いないですよ。だけど、現在の状況で今後、平時の状況かどうかということ。外交と安保は国内政治に左右されてはいけないと、本人もそう思っていると思います。そういうことを言えなくなるような状況だってあり得ると、危惧しますから。慰安婦像の撤去は非常に不透明だと」
木宮教授
「朴槿恵大統領は慰安婦合意で対日政策を転換し、おそらく像の移転もやろうとしていたと思います。その点に関しては朴槿恵大統領の真意を疑いませんけれど、ただ、そのためには当事者を青瓦台に呼んで、1人ずつ握手し、自分がなぜこういう選択をしたのか分かってくださいということを言って、そういうことがパフォーマンスとして必要なのかなと。その時期、いつやるのかというのはありますけれども。さらに移転する時期に関しても大統領選挙があれば、よく巷で言われてきたことは、大統領選挙と次の政権移行の間にそういう機会があるかもしれないと言われたのだけれど、現状では朴槿恵政権に、少女像の移転はすごく体力の要ることですから、その体力は残っていないというか、それには耐えられないと思います。そういう意味で言うと、残念ですけれど、朴槿恵政権の間に象を移転するということは難しくなったのではないかと。ただ、次の政権になってこれを覆すということは外交上、許されないことだと思いますので、それについては明確に日本政府はちゃんと念押しすることが必要だと思います」
河村議員
「韓国は、我々としては成熟した民主国家、議会制民主主義を持っているわけですから、当然外交の継続性は守ると思いますし、我々も強く求めますし、そうあるべきだと思いますから、そういう意味においても、こういう状況であっても、朴大統領は日本に来て、首脳会談をキチッとやったうえでそれを確認しあうことが必要だと我々は考えていますし、安倍総理はそういう考え方だし、こういう問題が起こる前は、韓国は必ず来るという話でしたから、これは履行してもらいたいと、今回向こうでも申し上げたいと思っています。申し入れはちゃんとしたいと思っています」

木宮正史 東京大学大学院総合文化研究科教授の提言:『日韓関係の重要性 再認識』
木宮教授
「要するに、今日の話では出なかったですけれども、朝鮮半島を巡る情勢、北朝鮮核ミサイル問題で大変な状況なわけです。そういう中で韓国の果たすべき役割は非常に重要だと。しかしながら韓国がこういう状況だと日本にとっても困る。今こそそういう問題に応えるために、日韓関係の助け合いと言うと変な言い方かもしれませんけれども、日韓関係の重要性をお互いに認識するべきだと思います」

黒田勝弘 産経新聞ソウル駐在客員論説委員の提言:『民主主義は透明性だ。』
黒田氏
「現在の朴槿恵さんの問題点はまさにこれで、権力が集中して大きくなると透明性がないと必ず腐敗、問題が起きるということです。日本の安倍さんも長期政権ですから、是非あらゆる面において透明性を維持した民主主義をやってください、ということですね」

河村建夫 元内閣官房長官の提言:『安心安全の国づくり』
河村議員
「強いて言えば、安心、安全、安定の国づくりということ。韓国の政治の状況、アメリカの大統領選挙、イギリスのEU(欧州連合)離脱、こういうことを見ますと、日本の国は安心、安全、安定した国だということを再認識して、それに向かってまっしぐらに我々がんばらなければいけないという想いを新たにしたところです」