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2016年11月1日(火)
『介護保険』はどこへ 高齢化社会と制度改革

ゲスト

鴨下一郎
自由民主党社会保障制度に関する特命委員長代理 衆議院議員
鈴木知幸
日本スポーツ法学会理事(前半)
田﨑史郎
時事通信社特別解説委員(前半)
服部万里子
日本ケアマネジメント学会副理事長(後半)
土居丈朗
慶応義塾大学経済学部教授(後半)


前編

五輪会場見直し最終案 都調査チームが提示
秋元キャスター
「東京都の都政改革本部の会合が今日開かれまして、競技会場の見直し案について調査チームの最終報告が示されました。その最終見直し案はこのようになっています。都の調査チームは、ボート・カヌー会場に関して、東京臨海部の海の森水上競技場、現在の恒久的な施設としてつくる計画のほかに、仮設施設として整備する案、宮城県の長沼ボート場に変更する案、この3つを提言しています。バレーボール会場については、現在、整備予定の有明アリーナの新設と共に、既存施設の横浜アリーナへの変更を有力な選択肢としてあげた他、水泳会場についてはアクアティクスセンターを新設し、座席数を減らしたり、大会後に縮小する減築を取りやめるなどして、100億円以上のコストを削減する案というのを提示しました」
反町キャスター
「鈴木さん、ボート・カヌー会場の話から聞いていきたいですけれども、ボート・カヌー会場、海の森はもともとお金がかかり過ぎて、東京都はここにつくるのは嫌だと言って、海の森の恒久施設というのを選択肢として残し、そこに仮設ということでつくり直すというか、つくるという手もあれば、宮城県の長沼に持っていくという3択という形にしたのですけれど、海の森、恒久という1番、都が嫌がったフルスケールで金が1番かかるパターン。これを残したというのはこの選択肢はあるということですか?」
鈴木氏
「最初は69億円という数字が出ていながら、1000億円超して、491億円まで落ちたと。ところが、今回また努力をして300億円に下げたと。だから、これならば仮設であっても、常設であっても、大きな差にならないので、両方併記で、どちらかを議論していただきたいと出したのだと思います」
反町キャスター
「村井知事は番組にも来られて是非長沼にと、アジェンダ2020ですか、あれを見ると、経費を抑えなくてはいけない、都市にはこだわる必要がない。アジェンダ2020を見ると、これは長沼でやるという以外には読めないとまで言って帰られましたけど、長沼の可能性はまだ残っているのですか?」
鈴木氏
「あれだけ小池知事があそこを煽ったわけですから、この案から削ります、とは言えませんよね。あそこを提示することによって、国民に、都民に、あるいはIOC(国際オリンピック委員会)に対して、復興五輪だと。復興のために五輪を開きたいのだということの最初のメッセージを皆さん、忘れていませんでしたかと言ったわけです。ある意味、これを使うことによってある程度、成功を得たわけですよ。それが知れ渡ったことで」
反町キャスター
「それだと口だけになってしまいますよ」
鈴木氏
「ええ。でも、もう1つ言えるのは、あちらに行った時の経費は150(億円)から200(億円)という向こうの積算。でも、それでは済まないということはだいたい専門家だとわかってきていますね。それと、あれを常設として残しますね。常設として、特に宿舎は相当デラックスな宿舎がたくさん残るわけです。あれを維持・管理すれば、年間に2億円を超えますね、僕の見方では。それで、現在でも、あのシンプルな形であっても6000万円近くのお金が税金として出ているんですよね。仮設ではなくて、現在の状態です。長沼ボート場の維持費だけでも6000万円近くのお金がかかるような施設ですよ。それに、ああいうデラックスな設備の宿泊施設。それから、オリンピック仕様の電気系統だとか、全部セットすると2億円ではもたないと思います、年間。そうすると、それをちゃんと説明して県民の理解を得られるのかということと、それから、復興基金の一部、寄付金を使いたいみたいなことを言いましたよね。そうしたら、県議会の方で議論になっていくということからすると無理に行くことが本当にいいのかということと、それから、IOC、IF、いわゆる国際競技団体、それから、国内の競技団体も含め、全員が一斉にダメだと言っているわけですよね。その反対を押し切ってやるだけのメリットがあるのかというバランスを考えると…」
反町キャスター
「そうすると、海の森ボート・カヌー会場は、海の森の仮設施設として整備するというのが落としどころになりそうなのですか?」
鈴木氏
「それで、仮設にしても、常設とそんなに変わらなければ、個人的には仮設と常設の部分をバランスよく分けて、維持管理費を、2億円と言われていますよね、東京都が試算した。2億円をいかにして維持管理費を低くするかというのは仮設部分を取っ払って、できるだけシンプルな必要部分だけ残すということにすれば、2億円はかからないと思いますので、何とかそういうように持ち込もうとしているのではないかと、僕は読んでいるのですけれど」
反町キャスター
「バレーボールの会場は、有明アリーナ、恒久施設として新設か、横浜アリーナに持っていくかという話になっているようですけれども、有明アリーナのここで言っているものというのも完全に仮設ではなくて、フルスケールの立派なものをつくろうということですか?」
鈴木氏
「有明アリーナはもともと床面のやつは、いろんな多目的に使えるんですよね。コンサートもできるし、歌謡ショーもできる、何でもできると。だいたい日本のスポーツ施設の中で黒字になっているのは、日本武道館と代々木第一体育館、それから、大阪府立体育館の3つだけですよ。僕が携わっていた東京体育館は、収支比率70%です。それでも優良な施設ですね、公共施設としては。それほど、床施設は結構、多目的に使えますから、ですから、残してほしいということを言っているわけだけれども」
反町キャスター
「バレーボール会場が横浜アリーナだったら、既存で金がかからないのではないですか?」
鈴木氏
「ですから、オリンピックだけを考えれば、横浜に行っても経費は安くなります。でも、東京に何も残らないではないかと現在のスポーツ界が言っているわけなので。ただ、3つの施設の中で、唯一動かせることができる可能性の高いのがアリーナだと思うんですね」
反町キャスター
「バレーボール会場を有明につくらずに、何百億という経費がそのまま、まるまる経費が浮くわけではないですか。それがこのまま行ったら東京都が負担する可能性が高い話になってきますね?恒久施設は都が負担するという話にもなりますよね?」
鈴木氏
「そうですね」
反町キャスター
「それを、要するに、小池さんは、横浜を使ってくださいと、もし決着できれば、その分はセーブしたということを都民にアピールできる?」
鈴木氏
「こういう言い方が善いか悪いか別にして、3つとも残すというのは、最初の勢いからして、ちょっとおかしくないかという意見が出てくる」
反町キャスター
「当初案のままでいくということですね?」
鈴木氏
「そうなれば、ちょっとここだけは犠牲になってもらおう、言葉が悪いですけど、あちらに行っていただくということの選択肢は残してるんだろうという気はしないではないですけれども」
反町キャスター
「最後に水泳のアクアティクスセンター。最初は、辰巳の国際水泳場を使うような話もあったのだけれども、いろいろな理由や何やらということで、これは選択肢でも、決めということになっているのですか?」
鈴木氏
「もう、決めですね」
反町キャスター
「700億円、600億円とか、すごく金がかかる建物ですよね?」
鈴木氏
「そうですね」
反町キャスター
「この部分はどうなるのですか?」
鈴木氏
「ですから、2万席というのはあまりに大き過ぎますよ。オリンピックの時は2万席であっても仕方ないですけれども、要するに、ロンドンが1万8000ですね。リオが1万7000です。日本は水泳の人口というか、視聴率いいものだから、2万席と出したのだけど、後利用が全く効かないですよね、2万席なんて。それで5000席落とそうとするのですが、大会終了後に。5000席に落とすために73億円かかると言っているんですよ。そんなバカなこと、73億円をかけるのだったらもう1つ体育館できちゃうだろうということで、では、最初から1万5000席に落として、それで常設化するシンプルにするのはどうかということを、1つの提案の中に入っているわけですね。それで小池知事が例の水泳の事務総長が来た時に、耳打ちをして、シートは1万5000でいいかと耳打ちしたのが話題になったではないですか。ですから、席と落として、ここで常設にするしか仕方がない。それと、もう1つ、日本のプールというのは2mしかないです、水深。現在の水準は3mが1番いいと言われているんです。ほとんど世界的には3mが増えているんですね。4年後に2mで泳がせるのかよということになると、ちょっときついかなということで、3mを新たにつくるとすれば、もう1回、新設以外にないなという結論を持ったと思います」
反町キャスター
「田﨑さん、この3つの建物に関する、小池都庁の改革案というのか、見直し案、どう感じていますか?」
田﨑氏
「経緯を見ていて、オリンピックおよび小池さん自身に注目を集める。そこで国民の目のチェックが働いたという意味で意義があったと思うんです。でも、小池さんが大風呂敷を広げて、でも、これかよという感情を持つんです。だから、鈴木さんのお話を伺っていて、バレーボール会場をせいぜい横浜に変えるぐらいということをやっても。それなら、なぜ調査チームをわざわざつくってやる必要があったのか、大風呂敷を広げ過ぎではないのと。また、組織委員会との関係において、東京都は監査権限が強い管理団体にしようとしましたけれども。それは全然、進んでいませんね。組織委員会を東京都の下につけようとしたわけですね。でも、それがうまくいかなくて、組織委員会は、IOCのバッハ会長が来た途端、IOCと組織委員会が一緒に動いて、それに安倍総理も乗っかるような形ができてしまったわけですよ。そうしてかえって小池さんは孤立をするという形になってしまって、だから、こういう既存にすれば、やりたいことがかえってできなくなっていると。ただ、たとえば、長沼に持っていけない時、それはIOCの決定のせいにできますから、責任転嫁は可能になると。逃げ道はできたけれど、小池さんがやりたいことの半分以下しかできていないのではないかと思います」
鈴木氏
「それで、小池さんは得るものを得ているんです、3つ。と言うのは、長沼を主張することによって、復興五輪を思い起こさせたわけですね。それで復興五輪というのは、私が知らしめたのよと。それから、オリンピックを招致することに成功したのは復興五輪を主張したからでしょう、皆さん、ということになったわけですね。心に染みたわけですよね。もう1つは、バッハさんと直接交渉することによって組織委員会を通じなくても、直接的に、トップ同士で話ができるようになったということ。これからのことを全てこうやりますよというメッセージになったと思いますね。もう1つは、私がこういうことを言い出さなければ、この3つの施設でさえ、これだけのお金がかかるのに、400億円下がることがわかったわけです、合計で。これは私の成果でしょうと。そうすると、3つ合わせると、ある程度得るものは得たと。だとすれば、別に、これを動かすことが目的ではなくて、その3つの成果も、1つの目的だったと考えれば、決して撤退することではないと認識してもおかしくないと思います」

盛り土なし決定 8人に責任 豊洲市場問題で小池知事会見
秋元キャスター
「今日午後4時半から東京都庁で豊洲問題について、小池都知事の臨時会見が開かれました」
反町キャスター
「今日の小池さんの臨時会見にあった発表は、ある程度、都の職員の中における責任者がわかりました、しかも、現職の人達にはこういうペナルティを科します、OBの皆さんについてはなかなか処分ができないですと。こういう話がいろいろありました。これで終わりかどうか、まだ続くのだろうと思うのですけれども、なぜかすっきりした感じを受けない。なぜですかね?」
田﨑氏
「なぜかと考えますと、1つは、これは実務決定者は特定できたみたいですけれど、誰が何をどうしたかという詳しい説明が一切ないですね。誰の責任が重いのかという説明がないということ。もう1つは、市場長で処分を止めていますけれど、市場長を監督する立場の知事なり、副知事の責任、監督責任というのはまったく触れていないわけですよ。だから、その2つの意味で、小池さんの処分というのは果たしてこれで幕引きしてしまうのかという思いを持ちますよね」
反町キャスター
「鴨下さん、この手の問題、これはまず豊洲でなぜこんな問題が起きたのかという真相究明するということと、今後、豊洲の移転問題がどうなるかという、今後の対応を分けて当然、考えて、小池さんの会見では、今後の問題はこれからの話だとは言いながらも、真相究明はこの形でいいのか。この形で、終わりなのかということについてもやもやしたものを皆、持つと思うんですけれども、これはどう感じますか?」
鴨下議員
「皆、もやもやしているのでしょうけれども、ただ、それは都民がどう判断をするのかということにかかっているのだと思います。ですから、このぐらいにしておいてくれよという話の人だっているし、もっと徹底的に究明しろと言って、トップの責任まで問えという人だっているけれども、そこは小池さんが自分の判断として都民に問うということなのだろうと思いますよ。だから、8人で打ち止めにするのか。はたまた今後どうしていくのかは、今日の会見を見る限りはだいたいこのぐらいで着地かなという感じがします」
反町キャスター
「政治的な判断があったかのように、僕らには見えちゃうんですよね。それ以上やらないという判断をどこかでしたのかという」
鴨下議員
「政治的な判断は都民がどう受けるか。小池さんに投票をした300万人の方が、これでいいよ、と言うのか。もっとやれと言うのか。小池さんが敏感に察知してそれなりの対応をするべきだと思います」
反町キャスター
「田﨑さん、そういう小池さんが豊洲の問題とか、オリンピックの問題、こういうように非常にある意味、劇場型の対応をし、僕らもそれに引っ張られて対応しているという批判を受けるのですけれども、そういったものがある。先日、日曜日でしたか、政治塾を開いて、二千何百人の人を集めて塾をやりますよと。しかも、その時、集まった塾生に対して将来、選挙に立候補するつもりはありますか、ないですかというアンケートもとっているんですよ。非常に生臭いような動きに僕には見えるのですけれど、小池さんの政治的な志向、方向性、何を目指しているように見ていますか?」
田﨑氏
「僕は、政治塾は将来に備えた人材確保だと思うんです。すなわち候補者を確保していく。新党をつくる場合に備えて、それは新党をつくると決めたわけではなく、それに向けて備えておくということだと思うんです。都議会議員選挙をどう戦うかということを常に考えて、来年6月ですね。その時にいざとなったら候補者と立てるという構えを示し続けることが都議会自民党に対する大きな牽制になりますから。ただ、牽制だと見抜かれると、これでおしまいですから、本当につくるという構えを常に示していくのだろうと思います」
反町キャスター
「小池さんは今回のオリンピックの問題にしても、豊洲の問題にしても、その他諸々、都政改革や都議会自民党との関係も含め、自分に対して関心が集まっているエネルギーを少なくとも来年の都議選までは維持しないと…」
田﨑氏
「来年の都議選までは維持する可能性は高いと思いますよ」
反町キャスター
「そうすると、都議選に向けて、小池さんはかなり強いカードを持って、自民党と向き合うことになる?いざとなったら事を構えるよと」
田﨑氏
「ええ。でも、事を構えた途端、自民党を完全に敵にまわしますから、都議選が終わったあとの都議会対策の方が、かえって大変になりますよね。だから、それはいくつ、どれぐらい議席を獲れそうかということを冷徹に計算して、それで勝負を挑まれると思いますよ」
反町キャスター
「小池百合子という政治家は何を目指していると感じますか?」
鴨下議員
「現在のところは、都知事としての任務を果たしていくために、いかに都議会の中に味方を増やすかという、こういうような意味では、おおさか維新のように、新党をつくってもマジョリティは獲れないから、結果的には自民党の1部、あるいは小池印の無所属、こういう人達がある程度いてキャスティングボードを握るような、そういうような形でないと、小池さんそのものが自民党を乗り越えて、それ以上の人達で過半数を持って、都政を運営できるかと、そんなことは考えていないと思いますよ」
反町キャスター
「そうすると、おおさか維新みたいに、市議会、府議会で過半数、さぁどうだ、というところまでの勢いはなかなか難しい?」
鴨下議員
「勢いもそうですし、そういう風にしても結果的に、おおさか維新がある意味、あそこらあたりでだいたい収まってきたというのと同じ様なことを、小池さんだって見ているのでしょう。だから、今回の豊洲の問題、オリンピックの問題がいろいろと着地していけば、必ず支持しない人が増えていきますから。そうすると現在300万人の人が支持してくれていますけれども、その人達がバラバラと離れていくという、こういう中である程度、小池シンパを確定しておかないといけない時期というのが、たぶん都議会選挙だと思っています」


後編

サービス縮減?負担増? 『介護保険』はどこへ…
秋元キャスター
「まずは介護の総費用の推移を見ていきたいと思います。介護保険制度が始まりました2000年以降増え続けていまして、2015年度には10兆1000億円に達しています。この増え続ける介護費用の対策ですけれども、2018年度介護制度改革に向けて、社会保障審議会の介護保険部会で、7月の参議院選挙後から議論が続いているわけですけど、土居さん、まずはどういった議論が行われているのでしょうか?」
土居教授
「給付と負担、それぞれ見直そうということですけれど、私の印象で申しますと、なかなか給付の抑制というのはそう賛同が得られなくて、だけれど、そうは言っても給付は増えますので、それを負担でしっかり支えなければいけない。そうすると負担能力のある方には負担をお願いするというところについては、そこそこ賛同が広がっているのかなというのが現在の状況だと私は見ています」
鴨下議員
「土居先生がおっしゃったように、サービスを減らす、負担を増やすというのはそれぞれ政治的には非常に辛いことですから、なかなか進みにくいのですけど、しかし、サービスを落とすわけにはいきません。ただ現役世代の人達も平均すれば月5000円ぐらいの介護保険料を40歳以上の方は払っていますから。ですから、そういう人達がこれから6000円、7000円になっていくともう堪らんという話になりますので、ある程度資産のある人、それから、高齢者でも負担力のある人には応分の負担をより一層していただくという、こういうようなところから始められるのが1番重要だと、こう思います」
秋元キャスター
「給付と負担のバランスですけれども、社会保障審議会の介護保険部会で議論されている予算削減のポイントはこのようになっています。高額介護サービス費の基準引き上げ、自己負担を2割にする対象を拡大、2号被保険者の負担法に総報酬割を導入、要介護1・2の軽度者向け訪問介護のうちの、生活援助サービスの自治体への移行等となっているのですけれども、土居さん、まず高額介護サービス費の基準引き上げとはどういうことでしょうか」
土居教授
「中身ですけれども、医療でも、ある一定の月額負担を超えた部分については、それ以上のご負担をお願いしないよう、その部分は税金で肩代わりしているという仕組みが医療にもありますし、介護にもあります。介護の方は高額介護サービス費と呼ぶのですが、医療の方はもう少しご負担をお願いしますと、月4万4400円までの負担まではお願いをします。自己負担の部分でです。それ以上については、上限は超えないような形で税金の負担でカバーして、税金でそこは肩代わりしますと。それが実はもう1つの介護の方では、3万7200円止まりという、そういう所得の人がおられまして、せめて医療でも4万4400円の負担まで、月ですけれども、それが3万7200円で止まっているので、これを4万4400円まで上げていただけないかというのがここでの提案ということですね。実は自己負担2割ということで、高齢者の方で単身の方だと年収280万円以上の所得をお持ちの、この方というのは、だいたい高齢者のうち上位20%の所得を得られている方ですが、その方々には自己負担2割というのは昨年から始まっています。ところが、上限が低いので、すぐ上限に引っかかって、それ以上は税金で肩代わりしますという話になってしまったので、その肩代わりしている金額が4倍に急増してしまったという状況が現状です。なので、さすがにもともと2割のご負担をお願いして、もう少し若い人のご負担を軽くしてあげられないかということで、先ほど、鴨下先生がおっしゃいましたけれど、ということならば、上限を上げないと、実質的に2割にした意味がなではないかということで、これを医療の上限と同じ金額まで上げられないかというのが1番目の話ですね」
反町キャスター
「服部さん、まず高額介護サービス費の基準、限度額を引き上げること、これをどう思われますか?」
服部氏
「とんでもないと思っています。なぜかと言いますと、医療と介護はほとんどの人が両方使っているんですよ。特に介護が必要な状態になった人は、医療の方でも病院に通ったり、リハビリを受けたりしなければいけないですし、また、介護がなければ生きていけないということもありますし、2割負担というのは2倍になるんです、その方にとっては。それは非常に…。介護保険を利用されている方は80歳以上の方が3分の2ですよね。しかも、女性が7割ですよ。その方達の収入というのはほとんどが年金ですから、それを見ると非常に負担が大きくなる。それと、医療費とか、介護保険の負担だけではなくて、たとえば、おむつ代も負担しなければいけないし、自分で行けなければ、タクシーを利用しなければいけないとか、そういう意味での保険外の負担というのも当然出てくるんですね。そういうものを見た時には、非常にその負担が、結果としては昨年2割負担になった人はサービスの利用率を落としているんですよ、実際。少なくしているんですね。それはそれが要らないからではなくて、負担が、その方に関しては継続できにくいという、こういうものとして私は見ていく必要があるのだろうと思います」
反町キャスター
「2割負担について、もう1回整理して聞いていきましょうか。2割負担についての部分というのは」
秋元キャスター
「高所得者に対しては既に利用時の1割負担が2割負担になってはいるのですけれども、この対象の拡大ということになるわけですね、土居さん」
土居教授
「そうです。いろいろな可能性があります。2割負担している人のうち、もっと高い所得を得ている人は3割負担にしたらどうだという話すら、介護保険部会では出たのですが、現在のところ、2割の人の対象者は上位20%の所得を得ている人しか対象ではないので、それをもう少し人数を多くするということにしてはどうかというのが、ここでの提案、厚生労働省からの」
反町キャスター
「倍になる。当然、1割負担が2割負担になれば倍になるのですけれども、その具体的な金額というのは、だいたい平均値、モデルケースとしていくらぐらい負担をしていた人が2割になると当然、倍になるというのは、たとえば、3万円が6万円ぐらいになるとか、ないしは10万円が20万円になるとか?」
土居教授
「高額介護サービス費がありますから、10万円の人が20万円になるというのはあり得ないわけです、月額としては。しかも、先ほど、服部先生がおっしゃいましたけど、一応、介護保険部会での厚生労働省が出してきた資料では、2割負担の方でもそこまで利用控えは起こっていないではないかという資料はあります」
服部氏
「介護保険利用状況報告というのがあるのですけれども、それで見た時には、2割負担とそれ以外の負担との間では利用率が下がっているんです2割の方が明確に。全ての介護度で下がっています。普通の生活をしている方と年金だけで生きている方と、しかも、介護が必要になった方は概してこれから先どうなるのかとすごく不安があるわけですよね。医療費の方も実質上がっているんですよ。来年になったらもっと後期高齢者の医療費の負担も上がってきます。こういう中で生活というのは継続していかなければならないので、その分の自費を減らそうという、こういうインパクトは間違いなく出てきている」
反町キャスター
「今回、増やそうとしているのは、土居さんの話だと比較的、上位20%という…」
服部氏
「でも、280万円以上の年収をもっと下げるということも考えられると思うんですよね。そうしないと2割負担の人が増えないわけですから。でも、280万円は月で言えば、20万円ちょっとですね。それがそんなに高額な所得なのかと。たとえば、アパートで家賃を払っていて、それが5、6万円となれば、それは残りの生活はギリギリぐらいだと思うんですよね。高額と、たとえば、年収500万円ぐらいなら言えるかもしれませんけれども、ちょっと高額とは言えないのではないかと、生活している者の実感からすれば感じます」

サービスの見直し? 介護保険改革の行方
秋元キャスター
「今回、介護保険制度の改革の中でも焦点と言われていました、4つ目、要介護1・2の軽度者向け訪問介護のうちの生活援助サービスの自治体への移行というのがあるのですけれども、これを巡っては社会保障制度審議会ではどういう意見が出たのでしょう?」
土居教授
「まず生活援助サービスというのは何かと言うと、簡単に言ってしまうと掃除や調理等の、どうしても自分だけではできないという高齢者の方のために行うサービスです。もちろん、訪問介護、他にもいっぱい種類がありますけれども、特に掃除や調理はご自身でもおできになられるかもしれないけれど、そうかと言って、自分1人だけでは嫌だから、サービスを使えるからサービスを使おうという方もおられるのではないかと長年言われていて、家政婦さんを介護保険で雇っているのではないかと揶揄する人ですら世の中にはおられるということです。実際、介護保険部会でもこういう話題が出て、もともとは軽度者に対する生活援助支援は自立支援だ、ないしは重度化予防だと。ご本人がおできにならないから、それを助けているのではダメで、もしかしたらちゃんとヘルプをすれば、自分でもできるようになるかもしれない、そういう方々にサービスを提供すべきだけれど、実態はそうはなっていないと。つまり、ヘルパーさんが実際に要介護の方、軽度のですよ、軽度の、要介護の方のお宅に行かれると、もし自立を促すと言うのなら、お爺さん、ここをちょっと一緒に作業をやりましょうよ、掃除できるでしょう、ちょっとお手伝いしますよと。自分もやってみせて、うまくできれば自分でできますよね、とヘルパーさんが自立支援を促せればいいところを、要介護の方が、なぜ私に手伝わせるのだと。あなたは介護サービスをしに来たのではないのかと要介護の方がおっしゃるケースがあると。実は介護保険部会の議場で披露されて、それはあくまで一例に過ぎないですけれど、もうちょっと自立支援という側面がないと、なかなか単に家事手伝いをやっているだけの話になってしまうのではないのと。そのために税金や保険料を使っているのではないのという話になって」
反町キャスター
「それは、自治体に移行させるというのはどういう狙いなのですか?」
土居教授
「と言うのは、全国画一のサービスにはしないということです。自治体がそれぞれ自由にメニューをつくっていい。だから、これはちょっとやり過ぎなので、少し抑制しましょう。だけど、ここはとても大切だからもっとメリハリをつけて、他の自治体ではやれないところまでカバーしましょうということを許しますというのが自治体への移行ということですね。自治体に移行しないで介護保険でやるとなると当然、全国画一で決まりますから、その画一的な報酬体系、それから、要件、これを満たさないと給付できませんと。当然こうなるので、せめて軽度者に対する介護、生活援助ぐらいはそういうオーダーメイドでやったらいいのではないのと、そういうことです」
反町キャスター
「自治体への移行をどう感じていますか?」
服部氏
「サービスカットに持っていく以外の何ものでもないと思っています。なぜかと言うと、要支援のホームヘルプサービスとデイサービスが移行になっているんですよね。その中で、国の指導は介護保険の単価より下げなければいけないということを言っているわけです。と言うと、必ず下げるということと、それから、そこに払われる財源に関して市町村ごとに違うわけですよね。保険だったら、もし赤字になれば財政安定化基金というところから借りる。これは1号被保険者の中でプールしているので。だけれども、市町村事業になったら、もし途中で利用する方が多くて赤字になってもどこからも埋められないです。一般財源からも埋められない。そうすると、11月以降の人は、来年まわしにするということはできないわけですよね、生きていくために必要なものであれば。そうすると、とても批判が起きますよね。と言うことは、抑制的になる。市町村は足らなくなるといけないから、最初から抑えていこうということで、抑制的にならざるを得ない。現実的に、サービスの量を減らしたり、時間を短くしているのが現実です、要支援の方においても。ですから、これから介護度2までというイメージですよね。介護度1とか、2というのは決して軽度ではないですよ。介護度1とか、2になる原因は、1番は認知症です。2番が老衰ですよね。3番が脳溢血、脳梗塞ですけれど。たとえば、歩ける認知症の方とか、食べることができる認知症の方とか、お薬が飲める認知症の方は、つまり、まったく歩けませんとか、口から食べられませんという方よりも、その方は歩いてしまうけれども、どこに行ってしまうかはわからない、または食べられるけれど、食べられないものを口に入れてしまうかもしれない。利用者さんのお宅に行くと、半年前の卵とかが置いてあるわけですよね。そういうことだってあり得るわけですよ。また、薬も口から飲めるのだけれども、全部飲んでしまうかもしれないとか、そういう問題があるので、そういう人ほど、生活に対するサポートが必要です。贅沢に家政婦代わりに使っているなんて言うのは、介護の現場を知らないというのか、一面的に見て揶揄しているなという印象を持っているのですけれども、家族が一緒に住んでいる人はそもそも生活援助が利用できないですよ、日本の保険では。家族がいない1人の人、ないしは家族がいても障害があるとか、できない人しか生活援助はできないです。ヘルパーさんは家政婦ではないですから、何でもやりますとは言わないですよ。この人はここができないから、それをやってその人の生活を支える。一緒にやるということももちろん、あります。でも、一緒にやるとすごく時間がかかるんです。たとえば、一緒に買い物に行くと3倍以上時間がかかるんですよね。その時にはヘルパーさんは買い物だけではなく、生協から取り寄せるとか、お店に配達してもらうとか、いろいろな方法があるのですが、たとえば、お風呂に入る介助をして、洗濯物等が出ます、それを誰がやるのと。そのまま置いていくとはならないわけですよね」
鴨下議員
「要介護1・2という人は決して軽いわけではないですね。そういう人達が努力をして、場合によって介護度が改善した時に、その時にサービスの量が落ちるような形になっていくというのは、逆にインセンティブが働くと言いますか。努力をした人達がそれなりに報われるような制度設計になっていないといけないのだけれど、現在の要介護1・2の軽度者に、自治体への移行というのはそこのところに少し議論が、私でも逆転しているかなと思っていて、要支援のところは自治体に移行して多様なサービス主体が、たとえば、NPOとか、株式会社とか、いろいろな人達がサービスに参入できるという意味で、要支援はそういうことで制度設計がアリだったのでしょうけれども、こと要介護に関しては少し慎重になるべきだと私は思っています。もう党内の議論は始まっています。社保審の中でもそういう議論があるということを反映し、部会などでも勉強しているのですけど、まだどちらにと固まっている状況ではありません」

鴨下一郎 自由民主党社会保障制度に関する特命委員長代理の提言:『自助・共助・公助』
鴨下議員
「特に自助努力という中には、負担能力のある人はある程度負担を応分にしていただくという意味です。公助は、負担能力のない人にはしっかりシビルミニマムというか、ナショナルミニマムを提供すると、こういうような意味で、介護を含めて、社会保障はある程度がんばれる人にはお金の負担もしていただくし、健康を維持するための努力をしていただいて、そういうような場合はインセンティブで、何らかの形で保険料が下がるとか、こういうようなことも含めて、いろいろ工夫をすると。こういうことの組み合わせだろうと思います」

服部万里子 日本ケアマネジメント学会副理事長の提言:『介護をなりたい仕事にする』
服部氏
「介護を誰もがなりたい仕事にしたい、そうすべきだと思っています。そもそも人に向き合う仕事が好きで介護の勉強をした人達がその仕事では生きられないというのが誤りで、そういう人達が入ることによって、介護の質も高まりますし、そのことによって、家族も助かりますし、ご本人のやる気とか、こうしたら自分でできるのではないかという工夫も進みますし、そういう意味において介護を誰もがなりたい仕事にしたいと思います」

土居丈朗 慶応義塾大学経済学部教授の提言:『介護事業者にスケールメリットを』
土居教授
「介護事業者は非常に零細なところが多いですね。そうすると、人員のシフトも、給与計算もそれぞれの事業所でやっているとなると、それだけマンパワーが割かれてしまって、ヘルパーさんがヘルパーの仕事にだけ専念していればいいとか、本当に自分の好きな時間にきちんとシフトが組めるとか、そういうことがなかなかやりにくい。これがもっとフランチャイズ化するとか、業務提携をするとか、そういうような形で間接経費を抑えればヘルパーさん達の給料を増やせる。そういう意味で、合併とまでは強制的に言うべきではないけれども、少なくとも業務提携とか、そういう形でスケールメリットが発揮できるような経営をしていただきたいと思います」