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2016年10月31日(月)
六中総会のウラを読む 習近平『核心』の狙い

ゲスト

髙初輔
弁護士(前半)
平井久志
ジャーナリスト(前半)
古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員(後半)
朱建榮
東洋学園大学教授(後半)
興梠一郎
神田外語大学教授(後半)

揺れる韓国 朴政権 大統領の『親友』崔氏を事情聴取
反町キャスター
「韓国の崔順実氏の事件、全体の印象をどう見ているのかというところから聞いていきたいのですけれども、髙さん、どんなふうにこの事件を見ていますか?」
髙氏
「最初にこの情報に接した時には大きな政治的な被害になるだろうと思いました。どれぐらいの広がりあるのかというのは具体的な事実を見ないとわかりませんので。でも、見ている限りでは、結構、広いなという感じはします」
反町キャスター
「広いとは、要するに、大統領と親友という関係の話だけではなくて、たとえば、大統領府、青瓦台のスタッフもたくさんとか、民間人にしてもたくさんとか、ドンドン広がってくる。そういう意味で言っていますか?」
髙氏
「そうですね。ちょっと事実関係よくわかりませんけれども、印象としてはそんな印象はあるような感じはします」

『疑惑の親友』崔氏とは? 国政介入、機密流出、財団私物化
反町キャスター
「平井さん、崔順実さん、今日、検察に呼び出された人。一応、人脈図、こういうふうではないかなと思っているのですけれども、この人はどういう人ですか?何をもって朴大統領と接近し、これまでどういう噂があがっていた人なのですか?」
平井氏
「もともとお父さんの崔太敏さんが朴槿恵大統領のお母さんの陸英修さんが狙撃されて亡くなったあと、朴槿恵さんに慰労のお手紙を出したり…」
反町キャスター
「お母さんが暗殺された。暗殺と言っても、でも、大統領を狙った弾が流れて当たったのですよね?」
平井氏
「狙撃事件ですね」
反町キャスター
「そういうことで母親を亡くされた朴槿恵さん、当時、大統領になる前の朴槿恵さんに対して慰めの言葉を送った?」
平井氏
「朴正熙大統領は、セマウル運動というのをやっていたのですけれども、それを受け継ぐような形で、このお父さんが新しい心運動という似たような運動を始めて、それの名誉的な役職として、朴槿恵さんを担いだ。その方の娘さんが何人かいるのですけれども、問題になっている崔順実さんは60歳、大統領は64歳。実は崔順実さんのお姉さんもいらっしゃるのですけれども、このお姉さんは、朴槿恵大統領と同じ1952年生まれで、高等学校も同じですね。ですから、この家庭との付き合いがずっと四十年来、続いているということですね」
反町キャスター
「それは、つまり、僕ら、今回、取り調べを受けている崔順実さんの話ばかりしているんですけれども、実は、この人のお姉さんも、要するに、父親から引き継いだ、崔一家と朴大統領の、その長年の関係が、そこに、たまたま、一部として噴出している。こういう理解になりますか」
平井氏
「そうですね。それで現在、離婚をしていますけれども、元夫だった鄭さん。朴さんが国会議員で、政界に進出した時の秘書だったんですね。しかも、彼が朴槿恵さんの、青瓦台で門番3人組と言われている側近が3人いるのですけれども、それも鄭さんが採用して、その側近達を配置して、鄭さんを含めたその人達が国会議員としての朴さんの秘書陣を形成していったわけですね」
反町キャスター
「そうすると、崔太敏さんは、母を亡くした朴槿恵さん、当時、朴槿恵さんの心の支えとなり、娘はその様々な社会運動の中でのパートナーとなり、夫は政界に出た時の秘書で、かつ様々な人事においてもアドバイスをするような関係であった?」
平井氏
「国会議員時代」
反町キャスター
「それが大統領になったあともずっと続いていたと見ているのですか?」
平井氏
「そうでしょうね。今回、演説文を持っていたことが物証でありますし、側近3人組というのは国会議員の秘書をしていたスタッフ達が、そのまま青瓦台に入っているわけですね。青瓦台の秘書になっていますから、彼女にコンタクトをとろうとすれば、彼らを通さないとコンタクトがとれないということが、これまで随分、側近政治の弊害として言われ続けてきたわけですね」
反町キャスター
「先ほど、髙さんがいろいろな広がりがあるのではないかと話されたのですけれども、ここで見ているだけでも、要するに、崔順実さんと朴大統領の関係だけではなく、前の夫、つまり、前の秘書、父親、この方は亡くなっているのですよね」
平井氏
「はい」
反町キャスター
「諸々の一族、前の夫も含めて、この皆さんと朴一家との、家族の癒着とは言いませんけれども、密接な関係というのが背景にあると見ていますか?」
平井氏
「それとむしろ朴槿恵大統領が結婚をなさっていない、独身であると。実は妹さんとも仲が悪いですね。弟さんとも、いろいろ問題を起こしたこともあって、いろんな問題を抱えていると。ですから、普通の大統領であれば、奥さんを相手に、たとえば、相談するというのが可能であったわけですね。たとえば、金泳三大統領は自分の奥さんとの対話というのが非常に国政に参考になったと。お父さんの朴正煕にしても、陸英修夫人によっていろんなアドバイスを受けた。ところが、朴槿恵さんとしては、そういう意味では、非常に孤独なわけですよね。夜になって青瓦台の中にいて、誰もいないわけですね。その中で、おそらく自分が相談する相手というのを四十年来の友人である崔順実さんに求めた。そういう構造はあるのではないかなという気はしますね」
反町キャスター
「大統領が、大統領府が関与したという財団を設立の話があって、その財団を崔順実氏が私物化していたのではないかという話があるのですが、これはどういう疑惑なのですか?」
平井氏
「実はミル財団というのとKスポーツ財団という2つの財団が問題になっているのですけれども、そこに総額で800億ウォン以上ですから、日本円で80億円以上の資金が集められているのですけれども、そこに財閥を含めた、財界からのお金が入っているわけですね。青瓦台が財界に対して圧力をかけたのではないかと。そこの2つの財団にお金を出せという、そういう圧力をかけたのではないかという疑惑と、この財団で実は崔さんは公式的にはポストに就いていないですね。ですけど、その財団の中では、会長、会長と呼ばれていて、ドイツに会社をつくっていて、それが、たとえば、スポーツ選手が海外に行った場合のお金を使ったりする時に、そのドイツの会社にお金が流れるような仕組みになっているんですね。その集めたお金がドイツのペーパーカンパニーを通じて、崔さんにいったのではないのかという疑惑が持たれていると。最初は、ですから、この財団の正体がわからなかったんですね。それをテレビ朝鮮というところが疑惑の財団だというので、テレビ局が報じて、その後ハンギョレ新聞が2か月ほどあとになった頃に崔さんが絡んでいるという報道をして、そうなってくると、今度、固有名詞が出たものですから、過去とのつながり等が明らかになって、そのあと崔さんが急いでドイツへ行っちゃったわけですね。各メディアは彼女の事務所に取材に行って…」
反町キャスター
「ドイツの?」
平井氏
「いやいや、ソウルの。だから、急いで行っちゃったために、ある事務所の守衛のおじさんに荷物が残っているけれども、あなたが適当に処分をして、と言って、崔さんがドイツに行っちゃったんですね。TBCでしたかのテレビ局の記者がそこに行って、捨てられているゴミの中からタブレットを見つけて、その守衛さんにお金を払ったのか、了解を得て借りてきたのか、そのへんはわかりませんけれども、それを入手して、ファイルを開けてみると、驚きのファイルで、200以上の文書が入っている。演説文の40以上の文章が入っている。しかも、本人が開いて見た時間が大統領が発表した時間よりも前であると。だから、逆に言えば、そのタブレットに入った時間はもっと前かもわからない。そういう疑惑が物証として出てきたわけですね。そんなことを言われて、もはやそのこと自身については逃れなくなったので…」

崔氏の『疑惑』法的な問題は?
反町キャスター
「そうすると、その時点で、財団の私物化の疑惑から今度は大統領府、青瓦台から、大統領から一民間人に対する情報漏洩疑惑に話が広がったということになるわけですか?」
平井氏
「ええ」
反町キャスター
「タブレットを入手した形は警備員のおじさんからもらったのですか?」
平井氏
「警備員の了解を得て入手したと、そのテレビ局はちゃんとアンカーが報道していますね」
反町キャスター
「この情報入手、取材のやり方はたぶん法には触れないですよね?」
髙氏
「たぶん触れないんでしょうね。問題はあると思いますけれども」
反町キャスター
「それは、たとえば、崔順実さんにしてみたら、処分をして、と言っていたにもかかわらず、その人が何らかの代償をもってメディアに売却をしたわけでしょう。ないしは譲渡した、タダかもしれませんよ。ここで崔順実さんが戦う余地というのは今やまったく残されていないという感じなのですか?出たものが出たものだけに」
髙氏
「そこで戦っても意味がないでしょうね」
反町キャスター
「そうすると、結果的に今回、明らかになった大統領が民間人に対して、親友とは言え、民間人に対して、自分の演説文を読み上げる、はるか前の段階、ないしは外遊日程、はるか前の段階でそういうものを渡していたということは、韓国の法律にどういう形で、これは抵触することになるのですか?」
髙氏
「法律としては、2つ問題になりまして、1つは、大統領記録物管理法という法律があります。もう1つは、刑法、いわゆる一般の刑法。これで公務上、秘密漏洩罪というのがあるんです。まず大統領記録物管理法によると、大統領記録物という記録物があって、要するに、大統領官邸に保管している、大統領、あるいはその側近の方々が、いわば大統領の職務執行の過程においてつくった、そういう記録、書面等の。それから、その過程において入手した記録、こういったものを言うのですけれども、それについて、いわば流出してはいけない。あるいは破棄しちゃいけないという罰則がついているんですね。流出をさせてしまった場合には確か7年以下の懲役という罰則が決められています」
反町キャスター
「この場合、崔順実さんに誰が情報を送ったのか、原稿を送ったのかというのが大変問題になりますよね?大統領本人がもしメールで送っていたら、その罪に、直接、本人が問われることになるではないですか」
髙氏
「問題としてはもっと深く問題になりまして、大統領記録物というのは何なのだと。つまり、何が大統領記録物と言えるのかという問題があるんです。韓国の最高裁判所、大法院での判断はないですけど、下級審の判断はありまして、完成した原本でなければダメだと」
反町キャスター
「要するに、草稿だからちょっと見てというのはセーフということになるのではないですか?」
髙氏
「だから、そういうふうに構成要件を認識、あるいは解釈した場合は…」
反町キャスター
「外遊日程は?完成した外遊日程に、記録を書き加えているというのになると、それは完成していないからセーフのなるのですか?」
髙氏
「可能性があるんです。だから、ここで問題は大統領記録物の、いわゆる解釈ですね。この解釈について裁判所は、非常に厳格な、あくまで下級審の判断ですけれども、厳格な解釈をとっています。決裁権者が決裁をしたあとでなければダメだとか、あるいはそうふうに完成をしていなければダメだというようなことを2011年と2014年の下級審の判断もあって」
反町キャスター
「もう1つの話は何ですか?大統領記録物保管法違反でなく、もう1つというのは」
髙氏
「もう1つは、公務上秘密漏洩罪という、確か刑法127条でしたかね。2年以下の懲役、または禁固という刑に当たる罪ですけれども、公務上の秘密を他に漏らしてしまうという場合には、これは犯罪にあたる」
反町キャスター
「今回のケースはこれに当てはまるのですか?」
髙氏
「今回は、だから、公務上の秘密にあたる可能性は高いと思います。思いますが、争いどころとしては公務上の秘密かどうか、大統領の原稿が」
反町キャスター
「どう見ても秘密ではないのですか?日程にしても、演説原稿という、これは外交上の秘密ですよね?どう見てもそうですよね?」
平井氏
「と思いますが」
髙氏
「でも、公開するものですよね、前提は。あとで大統領が、いわばそれに基づいて読み上げる原稿だということですから。だから、果たして公務上の秘密になるのかどうか。このへんがちょっと微妙なところがあると思います」

日韓関係への影響は?
反町キャスター
「平井さん、今後、日韓関係はどうなるのか?この秋、順調なら日中韓サミットで初めて日本に朴大統領が来るかもしれない。日韓情報交換協定、GSOMIAに関しても韓国側はこの間でやりましょうと言っているし、そもそも慰安婦の問題。いわゆる慰安婦像をいつ撤去するのだろうか、こういう話を含めて、どう見ていますか?」
平井氏
「私は、日韓関係は悪化しないというか、このムードが続くのではないか。来年の大統領選挙で野党が勝てば、これは見直される可能性がかなりありますけれど。少なくとも大統領選の間までと言えば、それほど大きく変化する可能性は低いと思います」
反町キャスター
「日本に来られますか?」
平井氏
「これから内政が流動的になりますから、年内に3国首脳会談ができるのかは極めて疑問ですね」
秋元キャスター
「こういう状況で慰安婦像を動かすというのはなかなか国内的には…」
平井氏
「それはできないでしょう。事実上、国内的にはリーダーシップを失いますから、非常にリーダーシップのある人ではないと普通の状態でも困難な事業なのだから、それは常識的に考えて無理だと思いますね」
反町キャスター
「10億円を出して、その分け方も、何もかも全部、基本的に向こうの言いなりで配って、1人1000万円でしたか。結局、日本国内としては努力事項ではあったのだけれども、慰安婦像の撤去に向けて努力するという、その言葉をよすがに、ここまで待ってきたのですけれども、結果こういうケースで全部チャラになる。こういう理解ですか?」
平井氏
「その合意のおかげで日韓関係は相対的には良くなりましたから。少女像、小さい範囲で言えば、それは不満足かもしれないですけれども、それは日韓関係全体の協調ムードや他の、たとえば、安保の日本との協力関係で言えば、大きい意味があったと思いますね。ただ、もう1つ、心配なのは南北関係ですよ。朴槿恵さんはこれまで強行路線を堅持して、今回の外交文書の中でも開城工業団地というのが本当に官僚システムの中で決まったことなのか。これも崔さんが関与しているのではないかという話が出始めていますので。そうなってくると、開城工業団地の実は稼働中断が起こったあと、崔さんが北の政権が2年以内に潰れるわよと、いろいろなところで言っていたというような話が出ていたりして、そうなってくると、朴槿恵さんは自分の正当性を、おそらく維持をするために使えるカードはほとんどないですね。ただ、北との関係、こういう緊張関係の中で、私の政権が揺るいでしまったら、北の思うようになってしまうではないかということを、朴槿恵さんが使ってくる可能性があります。その場合、北朝鮮が数日、この問題を連日のようにプロパガンダを続けているんですね。ですから、南北間で、もし思わない衝突があった場合に、これにどうリアクションをするかというのは非常に難しくなるというか、管理、コントロールというのが非常に難しくなってくるというのは非常に南北関係、北朝鮮問題が心配ですね」

習近平主席『核心』に 中国共産党の内情は
秋元キャスター
「先週、中国共産党の重要会議であります第18回中央委員会第6回総会が行われましたけれど、中国共産党が重視する総会、年に1回から2回行われていまして、執行部の幹部が集まって議論するものと位置づけられています。過去5回の議題も含めて、習近平体制のもと、どのような総会が行われたのか、このようになっています。2012年の年末、中国共産党の最高位、総書記に就任した習近平氏ですけど、年明けには国のトップであります国家主席に就任しました。その時、平行して行われた総会では党、政府の主要人事が行われまして、体制の基盤固めを進めるとともに、翌年には、トラもハエも叩くと腐敗撤廃の姿勢を掲げています。体制固めに続いて、その年の後半から政策方針を具体化していく段階に入っているのですけれども、関係諸国との連携を強める一帯一路構想ですとか、アジアインフラ投資銀行、AIIBの設立などが提唱され、3中総会の議題も民間企業の発展を促す経済構造改革でした。スプラトリー諸島の大規模な埋め立てが、国際社会の注目を集めた2014年ですけれども、中国国内の法治体制の徹底というのがメインテーマとなりました。経済成長の鈍化が懸念される中、開催された5中総会では今後の経済政策の目標となります5か年計画が発表されています。先週、習近平体制での6回目となります、総会の議題が厳格な党内統治だったわけですけれども、まずは朱さん、任期5年目の目前にして行われた今回の総会、テーマが厳格な党内統治という、このテーマになった背景をどのように見ていますか?」
朱教授
「6中全会というのは、だいたい次の党大会の前年ですね。となると、基本的には、権力の掌握。次の党大会で何をするかということですけれど、リーダーとして、指導者として自分のカラー、方針、政策を打ち出していく、人事固め。来年の党大会に向けて人事ということを仕上げていくと。そのような大会ではないかと思います」
興梠教授
「総会あとのコミュニケを見るとはっきりわかって、要するに、引き締めです。要するに、中央の権威を擁護しろとか、そういった言葉が出てくるし、要するに、規律を守れとか、中国語で規矩という言葉好きなので、習近平さん。要するに、しきたりみたいな感じ。俺の言うことを聞けという総会だったと思うんです」
反町キャスター
「必要ですか?そういうものが」
興梠教授
「これで核心という存在になることによって、さっそく始まっていますけれども、人事がやり易くなる、来年の党大会に向けての人事が、早速始まっています。いろんな情報が出始めていますけれども、総会が終わった途端に北京市の市長が誰になるかとか、党書記が誰になるのかとか。だいたいが習近平さんに近い人です。だいたい彼は浙江省とか、福建省、あと上海、それから、清華大学、あとは陝西省、お父さんの出身の。このあたりの人を連れてきているのですよ。ですから、こういったことを一挙にやる絶好のチャンスで、今やらないと間に合わない。来年もし7中全会をやった場合に、間に合わないですね。1年はかかりますので、これから中央委員の構成も変えていきたいし、地方のリーダーも自分の派閥で固めていきたいと、そういった決起集会みたいな」

歴代指導者との違い
秋元キャスター
「今回の6中総会で採択された声明の概要はこのようになっていまして、大きく注目されているポイントとして、全党同志が習近平同志を核心とする党中央の周囲に緊密に団結というものでした。その他にも、党内規律の引き締め、反腐敗運動を継続。集団指導体制は堅持というものですけれども、朱さん、核心というのは、これはどういう存在を指すものなのでしょうか?」
朱教授
「中国の政治的な表現ですけれども、独裁、あるいはリーダーとの意味がちょっと違うんですね。当然リーダーの部分も含まれますけれども、基本的には鄧小平時代のものを想定して、すなわち指導部、それに関して、皆の意見を集約して、集約する人。意見が分かれる時に最終的決定を出すことで、それを核心と。その前だったら結局、中核のない集団指導体制で決定が行われない。一方で、過ぎると独裁というところで、その真ん中で、どう位置づけるかというのが皆さん、両方ともで、どこにいくのか関心を持たれるわけですね」
興梠教授
「これは、毛沢東がやったことですよ。要するに、1938年に、第6期6中全会というのがあった。その時にソ連から帰ってきたスターリンの息がかかった王明という、毛沢東の最大のライバルですけれども、彼を追い落すために攻勢をかけ、この6中全会で実はソ連をバックにして、自分の路線というものに従えという規則をつくったんですよ。規律決定。今回そっくりで、目的は次の第7回党大会にあって。第7回党大会、1945年に開かれたのですが、その時に毛沢東思想をもとにして党の一切の業務はそれを指針としなさいと党規約に書き込む。これはすごいことで、だから、核心というのはそれに近い存在で、毛沢東の場合は、毛沢東同志を、頭とするという位置づけになっていましたけれども、普通の場合は、誰々同志を総書記とするという。総書記ではない存在ですよ。つまり、総書記の上です。ですから、へたをすれば辞めなくていい」
反町キャスター
「終身ですか?」
興梠教授
「毛沢東はそうでした。ですから、たぶん彼は任期をずっと延長していくことを考えているのではないかなと」
反町キャスター
「定年制はありますよね?それも関係なくなってしまうのですか?」
興梠教授
「一応、党内の暫定規定というのが2006年にあって、2期までと実は党内でも決まっているんですよ。憲法だけではなく、国家主席だけでなく。でも、それは中央党校といういろんな党の研修機関がありますけれども、中央党校の論文を見ていると、どうもこの暫定規定、2006年の、これを変えたがっているみたいですね。これは3期、4期と、彼はプーチン氏をモデルにしているとよく言われるのですけれども」
朱教授
「1つの論文だけで、習近平さんが第3期、4期をやろうと、私は正直思わないのですが、毛沢東の時は正直言って、そのあと現在の核心というよりもリーダー、指導者、次の独裁というところにいったわけですね。それに対する反省で、鄧小平時代で集団指導体制。一方、ただ、集団指導体制だと皆、がやがやして決まらない。そこで1人集約する、決め手がいるというようなことで、私は、核心というのはこの時代のことだと思うのですね。ですから、そういう形で習近平さんがこれから第3期、4期があるのか。正直言って、私は見ていて、それはないと思っています。鄧小平さんが当時、核心をやっていたけれど、最終的にトップに、軍事委員会の主席にはなれたのですけれども、ならなかったんですね。中国ではおそらく習近平時代に、これからの5年間、6年間で、習近平さんがやろうとする路線が1つの軌道に乗り、それを実行する人事が決まれば、彼は降りていいわけですから」
反町キャスター
「降りたあと、院政を敷くのではないですか?」
朱教授
「ですから、そういう可能性がもる。鄧小平さんも院政を敷いていた」
古森氏
「国際的な視点で見た場合、中国共産党が置かれている危機感の、一種の裏返しの反映だと思うんですよ。もちろん、習近平さんという人の個人の野心で、全体的な権限を握りたいという動きはあるのでしょうけれど、おそらくそれ以上に大きな背景があって、こういうことをして引き締めて、体制を固めていかないと、独裁体制そのものがまずいのではないかという危機感があって、たとえば、経済の調子が悪くなっているから。国内でいろんな不満が増えているとか、対外的に見ても、対米関係が非常に悪くなっているし、国際的にも悪者ですよ。習近平さんは、アメリカの現在の感覚では、プーチンさんと並ぶような悪者ですよ。そういう言葉を使って申し訳ないけれども。だから、それをとにかく、そういう共産党が一党独裁という、世の中の、人類の歴史の流れで自由民主主義に向かっていくという中で、ここを貫いていることで、いろんなひずみが出てきているわけで、それをとにかく引き締めて、独裁体制を保っていかなければということの1つの手法であって、だから、毛沢東、鄧小平、これは誰が見ても偉大な業績を残したような人物がやっていたことをやる。トラという言葉が出てきたけれども、これはトラの威を借りるようなところがあって、私に歯向うやつはダメなのだよと。私が1番、最高指導者ということを言っているような感じがしますよね。だから、大きな流れとして中国共産主義の体制というのはどうなのだという、そういうことを感じさせる。穿った見方かもしれませんけれど、私は核心という言葉を今さら使って、何だと思いましたね」
反町キャスター
「核心となった習主席が何をやるかと言うと反腐敗運動継続ということになっていますよね。腐敗運動の、その数、処分を受けた数、人数、毎年、2013年、2014年、2015年、2016年と20万人前後の人間が処分されて、合計で101万人がこれまで党紀違反などで処分を受けたと。これをさらに強化をするということですけれども」
朱教授
「おそらく今回の6中全会の決議から見れば、このまま、ただトラやハエやいろんなところを叩くだけでは、もう片方で戦って、片方でまた出てきている。今回私は2つの新しい特徴が今回の決議で出ていると思うのですけれど、第一に強調しているのが中央委員、特に中央政治局以上の幹部にそれが厳しく、これが身を正し、国民、党員にとって模範になるようにと。それに対する牽制とか、これからはいずれやっていくのだと。一方、次はもっと下のレベルに対しては制度化。今回、主に2つの制度を。まだ全部が公表されていませんけれども、党内の政治生活のルールと、党員は何をして、何をしてはいけないかと。親戚がいて、たとえば、自分の便宜をはかったり、親戚の便宜をはかったり、親戚がビジネスをやったり、そういうことをしてはいけないというようなことと、もう1つ、党内の監督制度ですね。チェックの制度を導入すると。そういうようなことで見ればおそらくある程度の摘発は今後も続くのですけれども、しかし、摘発するだけではここ数年ここまでやって、根っこを取り除くことはできないし、むしろ多くの幹部は、次に私のところにくるのではないかということで多くの人の不作為の状況が、サボタージュが起きているという意味で、今回、来年、党大会に向けて、今回は首脳部に対してはこれから厳しく対応するのだと。一方、大半の幹部、中クラスの幹部や党員に対してはルールをつくって守っていくのだと」
反町キャスター
「今の話で中堅クラス以下の幹部の生活を守っていくことになるのですか?親族や家族に便宜をはかるなよ、ちゃんとルールを守りなさいよ、同じことではないですかね。ハエではなくて、大トラをこれからやるよと言っているみたいに聞こえるのですけれども」
朱教授
「要するに、1つのジレンマでもあるのですけれども、ずっと叩くだけで問題解決できるかと。来年以降はいよいよ習近平カラーを出さないといけないという時に、反腐敗闘争という旗は掲げて、党の高級幹部に対しては依然、厳しくするのだと。下に対しても、もちろん、追求はするのですけれども、制度化しながら、同時に経済改革、社会の問題に対処、そういうところにこれからもっと注意力、重きを持っていくと、そういうような意味もあるのではないかと」

反腐敗運動に絡む思惑
反町キャスター
「反腐敗の継続をどう見ますか?」
興梠教授
「今回の総会で決まったもう1つは、監督条例を改定すると、ところが、党内監督条例ですね。党外から監督してはいけない。つまり、共産党は自分で自分を監督する。コミュニケを読んでみますと、正直に書いてありまして、矛盾がはっきりわかるんですよ。たとえば、党内監督の重点的な対象、つまり、監督する対象は、党の指導機関と指導幹部ですね。要するに、指導者ですね。各地方にもいる。特に、主要な指導幹部、書記だとか、そういう人達ですね、地方で言えば。その監督の作業をするのは書記です。自分で自分を監督しろと言っているわけです。ですから、一党独裁体制というのは野党がないわけですから。メディアもチェックできないわけです。自分で自分を監督しなさいとコミュニケには書いてあるんですよ。この時点で難しい」
反町キャスター
「処分の数というのは、習近平さんが対立派閥の人間を皆、追い出していった、その数字の累計が101万人、この言い方はアリですか?」
興梠教授
「先頭に立ってやっているのは、習近平さんの盟友である王岐山中央規律検査委員会書記ですか、この人がいなければ習近平さん体制はないわけです。相当な切れ者で、知恵者で。この人が規律検査委員会の権力を握って、地方に巡視員を送って、お目付け役を送り込んでやったわけですよ。ですから、自分の派閥を切るわけがないですよ」

中国が担う次の一手
秋元キャスター
「習近平氏が核心となったことで海洋進出はどうなっていくのですか?」
朱教授
「ここ数年、習近平さんは中国で、最高で、国内を集約しているので、これから南シナ海の政策で核心になったから、大きく変わるということはないと思うんです」
反町キャスター
「スカボロー礁をどうするのか?核心になって、さらに権力を握った習政権としてはスカボロー礁には手を出さないのですか?」
朱教授
「核心になった習近平さんというのは、もっと全般的なことを考えてやらないといけない。内政でこれから13次5か年計画、すなわち経済構造の転換。外交では一帯一路、AIIBを含めて、そういうことをやっていく。南シナ海で摩擦などが続くと、しかも、スカボロー礁の埋め立てをすれば、もっと摩擦が起きて、せっかくドゥテルテ大統領が中国と当面は問題を棚上げすると…」
反町キャスター
「棚上げと本当にドゥテルテ大統領が言ったのですか?中国側ではそういう発表をしているのだけれども、フィリピン側ではそういう発表はないですよ」
朱教授
「事実上、今回は触れないということで。当面はこの問題を中心にしないと、習近平さんがこういう時期に埋め立てをして、ドゥテルテさんを含め、敵にまわして、孤立する道を選ぶということはないです」
興梠教授
「彼の個人的性格かもしれないですけれど、やたら権威に従えとか、強国とか、強いという言葉が頻繁に出てくるんですね。自信を持てとか。ある意味、それがないのかもしれない、と言う人もいるし、それを繰り返し言わなければいけないというのは、国内が相当まとまっていないという、危機感の裏返しかもしれない。過去を見てみると、鄧小平時代から江沢民、胡錦濤とずっと高度成長が続いているんですよね。天安門事件のあとを除いて。初めての低成長ではないですか。政権を受け継いだ時点で、リーマンショックが起きているし、大公共事業で何とか乗り切ったけれど、それが莫大な債務となって残ってしまったと。ある意味で、気の毒な方で、末期的状況の中で政権を引き継いだ。何が国民を統合する道具になるかなというと、マルクス主義とか、毛沢東思想ではもうダメだろうと。誰も聞いてくれないと、そこで出てきたのが中華民国の偉大なる復興、つまり、中華というナショナリズム、それによって統合していこうと。あとは中国の夢と。ですから、これは欧米から見れば、日本も含めて、ゲームチェンジャーなわけです。これまであった世界の秩序を変えていこうという、それが強い国であるのだと。国民は結構、それに拍手喝采しているところも実はあって、彼の最大のジレンマは強くあり続けなければいけないということ。経済的には日本と交流したいと思うんです。投資も減っていますし、AIIBでも日本に入ってくれと言っている。それが本音のところですが、しかし、こういうスタイルの外交を、内政をやってきた。強くあり続けなければいけないわけですよ、そうすると、外交的な柔軟性が失われていく可能性がある。自縄自縛になってしまっている」
朱教授
「前提である中国経済があたかも危なくて、それで中国は強硬論に出る。私は、日本に来て30年ですけれども、常に日本と矛盾があったら、中国国内が弱いから、外に敵を見つけようとしていると、その図式は今でも使われているのですけれども、今の中国のGDP6.5%の伸びが、10%の伸びよりも実際に伸びるボリュームは大きいです。母体が大きくなりましたから。中国は長くても10年、おそらくもう7、8年でアメリカに追いつく、これもパーセンテージを見ていても、それは変わらない。そういう意味では、自信を持ってと言うのは、中国は国内で多くの人が今までの遅れた鎖国というところに慣れてきて、外部を見る目がどこか歪んでいて、コンプレックスや、被害者意識、何かがあるとやられると。そのようなことでもっと大国らしく振る舞えと。そのような大国というのは全て悪いとは私は思わないですね」

古森義久 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の提言:『日本よ、したたかに』
古森氏
「習近平政権が続いて対日政策が厳しくなると。これは朱先生がおっしゃることと認識が違って、たとえば、習近平政権は、日本は悪魔化していると。我々が言っているのではなく、イギリスの雑誌が言っている、アメリカの識者が言っているという、非常に厳しい姿勢で日本に向かってくるので、日本もしたたかにやる。中国の嫌がることもドンドン言わなければいけない、そう思います」

朱建榮 東洋学園大学教授の提言:『長期政権同士の付き合い』
朱教授
「中国の習近平さんは確実に核心になり、長期政権になるということは決まっていますし、安倍首相もどうも任期の延長ということで、日中共に長期政権になってきて、そういう時にこそ、いろいろな難しい問題でお互いに話し合えるわけですね。今回のG20での日中首脳会談で、東シナ海で海空連絡システム、これまで日本は尖閣のところは除外せよというところから、これから全部含めて。一方、油田の共同開発を一緒にやっていくという可能性が出てきているので、両方とも前向きにリーダーシップを発揮してほしいと思います」

興梠一郎 神田外語大学教授の提言:『革新』
興梠教授
「私はこちらの革新の方が大事だと思います。権力を固めるという、これまでの中国の指導者はやってきましたが、現在の一党独裁体制は、つまり、自由がない。情報の流動も非常に悪い、市民社会を圧迫してしまう。当然、イノベーションが出てこない。民間企業も大きくならない、国有企業だけが支配する社会になりますよね。過剰生産もなくならない。ですから、大事なのは改革開放とか、革新とか、こういった言葉を習近平さんが前面に出して、やっていけば、中国の体制も徐々に変わるのだろうけれど、それがどうも見えてこないという気がします」