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2016年10月24日(月)
激論『年金制度改革』 安心につながる改革は

ゲスト

橋本岳
厚生労働副大臣 自由民主党衆議院議員
大串博志
民進党政務調査会長 衆議院議員
土居丈朗
慶應義塾大学経済学部教授

複雑な年金制度を読み解く 年金『新ルール』の狙いは?
石本キャスター
「今国会に政府が提出しています年金改革に関する法案を見ておきます。まずは毎年の年金の支給額を決める際に計算に用いられる2つの指数があります。賃金・物価スライドとマクロ経済スライド。この2つに、新たなルールを設けるというのが1番の争点になっている項目ですね。このあとじっくりとこちらの中身を検証していくところです。きちんと細かく数字を見ていきたいと思います。その他ですが、パートなど短時間労働の人々への厚生年金、こちらの拡大や、自営業者や非正規社員に対して、産前産後の保険料を免除する政策なども網羅しています。さらに並行して審議されている別の法案では、これまで25年だった年金の受給資格を10年に短縮するという改定案も提出されています。まずは1つ1つ聞いていきたいと思うんですけれども、賃金・物価スライドの方から見ていきます。まず基本的な考えですけれども、物価が上がったら年金額もアップと。高齢者の方々の生活が困らないために調整をするという仕組みですけれども、ただし、上げ幅に関しては現役世代の負担も考慮しまして、前年からの賃金の上昇率、こちらに合わせるというのが現行制度になっています。今回の法案では新たなルールとしまして、物価と賃金、両方、前年に比べて下がった場合、現役世代の賃金の下落に合わせ、年金の支給額も引き下げるように調整をするというのが新ルールです。もう1つは、世の中の物価は上がっているのですが、現役世代の賃金が下がっているという、上がっているけど、下がっているという場合も、こちら賃金に合わせて年金額も引き下げるという形で調整するというのが新ルールに盛り込まれています。どちらも伸びは抑えて、下げる時にはグンと下げるイメージがあるのですけれども、この3番目のケースは高齢者の年金生活が苦しくなるのかなと感じますけれども、橋本さん、この改革案の狙いというのはどういうところにあるのでしょうか?」
橋本議員
「年金制度というものが、まず総額というのは、実はだいたい予測ができるものになっています。ですから、100年ということを言うわけですけれども、結局、いただいている保険料、現役世代の方に負担していただける保険料、税金、積立金の運用益、その3つが収入になりまして、支出は年金の給付ということになります。それがだいたいずっと100年間計算するとこのぐらいというのが、だいたい1600兆円、そのぐらいになるわけですよ、100年分で言うと。そのぐらいになるわけですが、それをどの世代の方にどういう形で給付をしていくかということを、私達は5年ごとに財政の検証ということをして見ていくということになります。その時に収入を決めるのは何かと言うと、もちろん、税金だとか、運用益とかもありますが、大部分は保険料ですね。保険料は何で決まるかと言うと、現役世代の方の所得が高いと保険料もいっぱい払っていただける。所得が低い、賃金が低いと保険料も減るということになります。ですから、大雑把に言って、賃金が下がってしまった時に給付が変わらないでいると、それだけ保険料が財政的には現在の世代の人に多くお渡しをする。若い世代の先の給付が減っていくという仕組みになっています。ですから、今回の制度によって物価が上がっている、上がっていないでも、賃金がもっと落ちてしまったという時にはまず現役世代の方も生活が苦しくなるわけですね。その方々に保険料をご負担いただいて、年金の給付をしていることを考えれば、年金の痛みを現在年金受給しておられる高齢者の方々にも分かち合っていただきたいと。年金制度は、世代間の分かち合いの制度だと思っていますが、もちろん、喜びも分かち合っていただければいいのですが、痛い時についても分かち合っていただきたいなと。それによって将来世代の給付水準を保てるようにしたい。これが私達の想いです」
大串議員
「物価が上がっても賃金が下がれば、年金が減る制度になりますね。もともと年金は年金支給を受け始める時、最低時の賃金に合わせて改定をしていく。年金を受け始めたら、そのあとは物価の上昇に合わせて改定していくという、こういうルールでした。なぜかと言うと、ご高齢の方々が年金を受け始めて、物価が上がった時にそれに合わせて年金額を上げてもらえると購買力が担保されると。そういうことでやってきたわけですけれども、今回そのルールをかなぐり捨て、賃金が下がれば、ご高齢の皆様の年金(給付)が下がってしまうと、そういう方法で、かつ金額的に言っても私達の計算で過去10年間の経済状況に合わせてみると、国民年金の方で年間4万円程度下がり得る、厚生年金の皆さんで年間14万円程度下がり得る、という計算になると見込むほどのものを、小手先、場当たり的に、しかも、何ら背景の説明もしっかりしたものなく出してきているところが非常に問題だと思っているのです。これは現役世代の皆様に少々我慢していただきながら、将来世代の皆様がしっかり年金をもらえるようにという説明が総理からありましたけれど、果たして本当にそうかと思っていることが多々あって、であれば、16年の年金改定の時にこれから5年ごとに財政検証をやって、年金は100年安心かどうか見ていきましょうねということになっていたのです。それは非常にいいことだと。これまで2回、財政検証が行われました。その都度、その都度、賃金の上がる見込みというのは毎回2%、3%、こういったレベルで、上がっていくものとして財政再検証が行われ、よって年金財政は100年もちますと言われてきているのですね。ところが、過去12年間を見てみると、それだけの賃金上昇があった年はほとんどないです。そういう状況であるにもかかわらず毎回、財政検証の時に賃金は上がりますと。2年前の財政検証の時にも、これからずっと賃金は2%、3%、4%台で上がりますという前提で、だから、年金は100年安心だと言ってきているんですよ。場当たり的で、小手先的だからダメだと言っているのです」
橋本議員
「デフレ経済が続いている、その状態の中で、年金制度をどうしていくのかというのは大変難しい問題です。ですから、抜本改革を言われるのであれば前向きなご提案をいただければありがたいと思うけれども。リーマンショックが過去にあった。だから、備えなければいけないですね。ただ、状況として日本経済を運用する者としてはそういう経済をつくらないようにしようと、だから、デフレ経済から脱却しようと、アベノミクス等々、取り組んでいるわけですから、効果があるかないかは別に議論があると思いますが、将来ずっとデフレが続くと想定をして、年金の将来の安定を考えることは、それはそれで後ろ向き過ぎると思います」
土居教授
「場当たり的という批判は的を射ていると思います。ただ、場当たり的だと言っても、抜本改革と言って、これから3年、5年、改革の成案を得るまでに時間がかかってしまう間に若い人達はもっと不利になり、高齢者の給付は伸び続けるということになってしまうことでいいのかという、かなり追い込まれた状況にあると。それは年金財政が破綻するからということではなくて、現在の高齢者と、今後の高齢者、現在の若い人の間の不公平が拡大する。若い人は所得代替率が低くなるという問題を解決する1つの方法としては高齢者の上がっていく所得代替率を抑えるという仕組みがあったらよかったのだけれども、仕組みがなかった。だから、付け焼刃と批判があるかもしれないけれども、せめてもう少し上がらない、下げさせてくれる仕組みがないと若い人はもっとかわいそうだよというのがまず1つあるんですね。ただし、もう1つの問題は、高齢者の中でも多く年金をもらっている人とあまり年金をもらっていないという世代内の所得格差の問題があるわけです。残念ながら、現在の年金給付の仕組みは、マクロ経済で物価が上がった、賃金が上がった、物価が下がった、賃金が下がったということで、十把一絡げで、おしなべて全員同じ率で給付を下げさせてくださいという仕組みになっているものですから、高齢者同士で考えれば、たくさん年金をもらっている人がもうちょっと多く給付を下げ、貧しい高齢者はあまり給付を下げないでトータルとしては全体が下がっているような工夫ができればいいと思うのですけれど、それは抜本改革というところまでいかないとなかなか…。2019年に5年に1回の財政検証がある時に政府の覚悟がわかると」
反町キャスター
「急場しのぎにこれをやらなくてはいけない、こういう理解でよろしいですか?」
橋本議員
「3党合意に基づく、税と社会保障の一体改革というもので、できたものがあるわけですけれども、そこでは2段階で議論しようということになっていますね。抜本改革というのは課題として考えなければいけないことはあり得るねと。ただ、現在の年金制度は当時の野田総理だって、岡田副総理だって、すぐに破綻するようなものではないというようなご答弁いただいています。そのうえで現在の法律に基づく年金制度を所管している厚生労働省としては、現在の年金制度で、土居先生のお話にあったような課題が手つかずに残っていると。急場しのぎという表現があったから、それはそうかもしれませんけれど、できるだけ早くやらないとドンドン傷が深くなっていく問題だねと。そういうことで今回、出させていただいています」
大串議員
「年金は基本的に多くの国民の皆さんがこれで安心になったと、将来に対して安心感を持てることが極めて大切だと思うんですよ。そのためにはこれがどういう効果を生むのかと。試算とかがまったく示されない中で今回のようにやられるのは、国民の信頼を生むものではないと思うんです。今回の法案が効力を発揮するのは33年度で、先ですまだ、と総理も国会で答弁しています。2年後には次の財政検証の時期がくるわけです。その時は見通しを含め、所得代替率5割を確保するにはこうならなければならないと、できているのか、できていないのか、何が必要かともう1回、キチッと見ないといけないわけです。そこを含めて、その時点でキチッとしたものを見てやるのがスジだと思います」

『100年安心』改革の実情
石本キャスター
「現役世代の収入のだいたい半分くらいというのが適正の年金額だろうということですね。1979年生まれが65歳になる2044年に50.6%になる。2004年に導入されたマクロ経済スライドは既に進んでいると言っていいのでしょうか?」
土居教授
「マクロ経済スライドという仕組みということだけをとると、残念ながら、2004年に導入されたのですけれど、2015年に初めて1回だけこれまで実施されていて、仕組みとしては大事で、年金の専門家もこの仕組みがあるからこそ、年金の財政は安定したと。これがなかったら日本の年金はとてもではないけれど、安心できないのではないかというぐらい非常にカギを握っている。本来はもう少し多くの国民の方々に理解していただいて、こういう仕組みがあるから、年金が破綻することまでにならずに済むのかなと、ご理解があるといいと思うのですけれども、残念ながらそもそも物価スライドを止めてしまった2000年頃のツケをまずなくすことをしないと、マクロ経済スライドは適用できないという状況だったものですから、ようやく2015年にそれが解消したということで、初めて2015年に発動できたという。そういうことなので、今後も引き続き、このマクロ経済スライドは機会があれば発動するようにやっていく必要があると思います」
反町キャスター
「このマクロ経済スライドというのは、どういう減額の仕方を年金の総支出にかけるものなのですか?」
土居教授
「一言で言ってしまうと、少子化で若い人が減るという分の給付を減らさせてくださいと、ざっくりと言うと。2004年の改革で若い人の保険料がとめどなく上がって、これは負担増でかわいそうだと。まず現役世代が払う保険料の収入を確定させる。だから、その収入の範囲内で給付ができれば、年金財政は安心だとなるわけですね。その代わりにどうやって給付を調整するのですかと言うと、年金収入は入る額が決まっていますから、あとは物価と賃金で調整していけばいいですよと言ったって、本当にちゃんと収入と支出がぴったり一致するという保証はないわけですね。賃金や物価がドンドン上がっていく。だけれど、保険料収入はあまり上がらないということだと年金財政が破綻してしまいますから、申し訳ないけれども、お財布の紐を締めさせてくださいと。それがマクロ経済スライドということで、若い人達の払う年金保険料収入が減る分ぐらいは、申し訳ないけれど、物価・賃金とは別にもう一段調整をかけさせてくださいと」

新ルール法案の狙いと副作用
石本キャスター
「今回の法案による新たなルールは例外措置の部分を変えるということなのですけれど、除外した部分をその後、仮に景気が回復して賃金や物価も大幅にアップしましたという年に、繰り越して減額分をさらに持ち越しという形で、とにかく年金支出を抑えようという新ルールですけれど、大串さん、この改定ルールをどう見ていますか?」
大串議員
「私達が問題にしているのは、最初に議論された賃金に合わせて年金支給額を下げるという方向であって、マクロ経済スライドをきちんと働くようにしていこうという自体は基本的な考え方に則っているんです。と言うのは、当時野党だった自民党さんとも、3党合意という話もありますが、過去にマクロ経済スライドを働かせられなかったので年金支給額が多く貯まってしまっていて、後世代の皆様にツケをまわしていた部分、つまり、特例水準と言われていた、そこを解消していこうというのは民主党政権の時も問題にして、提起して、3党合意の中で合意してやってきた経緯があります。ですから、マクロ経済スライドを通じて長い将来を経たうえで現世代と後世代を合わせ、年金のあり方を安定させていかなければならないという考え方を私達も持っています」
橋本議員
「この2つの話というのはそれぞれ違う仕組み、それを両方どうするかという話ですが、問題意識としては同じ、ここは同じ話をしていると思いますが、現在、年金を受給している方の水準と将来受給される方の水準がどのように世代感の公平を保つようにしていくのかという問題意識については同じだと思っています。それで、マクロ経済スライドが1回しか働かなかった、それは特例水準の話もあった。その時々の賃金物価の状態が特にデフレ経済だったということもあった。それでも問題意識というのは共有していたので、マクロ経済スライドというものもそういうこともあり得るという話もいただきましたし、必要なことだ私達も思っているわけです。マクロ経済スライドをちゃんと発動させるための前提条件として、賃金・物価スライドのルールが現行のままで改正できないでいたら、ドンドン高齢者の年金給付の水準、所得代替率が上がっていってしまう。現行の人の賃金が減っていく分、年金の給付額を変えないでいると、相対的に高齢者の方の所得代替率、年金の給付水準が上がっていくことになります。そうすると、マクロ経済スライドで減額をしていかないといけない。調整をする期間が伸びていってしまう。さらに言えば、現役世代の方の調整期間が終わった時の水準というものも下がっていくということになります。ですから、マクロ経済スライドをちゃんと機能させるための、前提条件として、先ほどの賃金スライドの仕組みを入れさせていただくことをできるだけ早くやらないといけないと思っていますし、そこは一体として是非考えていただきたいと私達は思っています」
反町キャスター
「賃金物価スライドという別の物差しを持ってきて、事態をさらに複雑にしているのはどういうことなのですか?」
橋本議員
「もともと年金の決め方、16年よりも前の話は物価にスライドしていたわけです。既に年金を受給されている方の年金額が、要するに昔は物価が上がっていくという状況でしたから、それで年金額が一定だと高齢者の方の生活がしんどいと。だから、物価にスライドさせましょうというのが年金のもともとの動きでした。ただ、それをやっていると、少子高齢化が現実になった時に、先ほど、土居先生がお話になりましたが、若い方が減っていく。それを維持するために保険料を上げていかないともたなくなっていくということが見えたので、そこでマクロ経済スライドを導入しようとしました。かつマクロ経済スライドの現行の制度で物価・賃金が上がっていく、条件が整えば、年金額も上がります。上がる時に、それを調整するのがマクロ経済スライドですけれども、賃金・物価があまり上がらなかった時、マクロ経済スライドが一部しか発動しないと活動しないという条件になるわけです。それは名目額、要するに、マクロ経済スライドにより物価が上がっているのに年金額が減るというのは、それは大変だよねと」
反町キャスター
「でも、物価・賃金スライドでそれをやろうとしているではないですか?」
橋本議員
「それは物価が下がっている時、賃金が下がった時の話です。今、賃金が上がっている時の話をしています。現役世代の方の賃金が上がっている、経済が良くなっている時、上り分をちょっと調整させてくださいというのがマクロ経済スライドの基本的な考え方です。だから、このマクロ経済スライドの見直しについては賃金・物価が上がっている時の話」
反町キャスター
「マクロ経済スライドというのはデフレ状態には対応しないのですか?」
土居教授
「物価も賃金も上がっていないのに、さらにマクロスライドだけは生き残って、下げさせてくださいというのが酷だというのが最初に設けられた時の議論だったんですね」
反町キャスター
「マクロ経済スライドの制度を改革する話ではなく、どうして賃金物価スライドという新しい物差しを持ってくるのか?」
土居教授
「一言で言うと、マクロ経済スライドはできるだけ早くかけて、できるだけ早くやめたいと思っている仕組みですよ、もともと。物価スライド、賃金スライドは恒久的な仕組みです。ずっと100年間なら100年間、物価と賃金の上がり方によってルールを決めて、それで上げたり、下げたりする。私なりの割り切った説明をすれば、さすがに62.7%という所得代替率は目が飛び出るほど高いというのが認識としてあるんです。これは予定していなかったんです。2004年の高齢者の所得代替率は、それでも59.3%だったんですよ。まさか60%超えるというのは。年金財政を高齢者の方にも、若い方にもバランスよく満足してもらおうというにしては…」
反町キャスター
「日本の年金は高過ぎるのですか?」
土居教授
「所得代替率が」
反町キャスター
「金額的に言うとそんなに高いものでもないのですか?」
土居教授
「問題は、モデル世帯は高いと思います。でも、単身高齢者になると、先ほどの話で、世代内の問題というのが起こっていて、世代内の問題を本当は解決したいけれど、残念ながら、今回の提示された政府の法案ではここまで痒いところに手が届かない」
反町キャスター
「世代内の問題は、マクロ経済スライド+賃金・物価スライドで解決策になっているのですか?なっていないでしょう」
土居教授
「それはなっていない。だから、他の仕組みと組み合わせて、低年金の人達を救うというものもパッケージにしなければいけないというのはあるんです。だから、受給資格の25年を10年に縮めるというのも無年金、低年金だった人が少しはもらえるようになるので、生活保護にいかなくて済むという仕組みなのですが、ただ、動機が不純なのは、パッケージでやるべきだと思うのだけれども、(年金額改定ルールの見直しの)法案は、前の通常国会に提出され、継続審議になって臨時国会にきている法案です。(公的年金の受給資格期間の短縮)法案は、安倍総理が消費税増税を2019年10月まで先送りすると決めてしまったものだから、これは消費税増税財源で、10%に上げた時にやると決めていたのに、2019年10月まで(全てを)先送りするのですかと。これぐらいはやらせてくださいという話になったので、臨時国会に初めてこれがちょっと出てきたものですから野党も何でこの2つの法案を一緒にするのだと、へそ曲げるのも、最初からパッケージしていれば、もう少し低年金の人達も救いたいという気持ちがはっきり出てよかったのかもしれない」

税・保険料・積立金…年金財源の収支バランスは?
石本キャスター
「年金財政の収入というのは3つの財源が基本となっています。保険料収入が33兆円、国庫負担、つまり、税金が12兆円、積立金運用が、2014年は5兆円と。この3つを合わせて年金給付50兆円を支えています。このあともだいたいこのぐらいのバランスで財政収支は維持されていくのでしょうか?」
橋本議員
「積立金の運用益、国庫負担、保険料収入で年金の給付を賄うという構造そのものは変わりません」
反町キャスター
「積立金の運用はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)で毎年毎年5兆円というのは、これは決まりきった金額になっているのですか?」
橋本議員
「ただ、今後の100年を見通した時に、積立金についてはここ数年は取り崩すかっこうになりますが、数年経ちますと保険料が上がりきります。ということもあって、実は積立金が積み上がっていくという期間もそれなりにあります。さらに、先になると、取り崩すということになりますので、単純に5兆円ずつ減らしていきます、という話にはなりません」
反町キャスター
「大串さん、この持続可能性をどう見ていますか?」
大串議員
「基礎年金のみを頼りに生活されている方がたくさんいらっしゃいます。この方々が生活できるレベルであったらいいですけれど、マクロ経済スライドが基礎年金にも、国民年金にもかかってくると将来、所得代替率が低くなってしまうと見通されています。さらに言うと、国民年金の現在の未納率、4割と言われていますけれども、現在の20代、30代、40代の方々は5割未納ですよ。つまり、この方々は6万5000円の国民年金を将来受け取るのではなく、3万3000円の国民年金しか受け取れないですね。これが見通される中、私達は最低保障機能の強化と呼んでいるのですが、このことに力を尽くさないままに安閑と年金の抜本改革をしないで送るのはよくないと思います」
反町キャスター
「民主党が政権を獲っている時に、7万円という話があって、結局消費税を4%上げなくてはならないとか、5%上げなくてはならないという話になって、消費税との絡みの中で、話が折れてしまった部分ですよね?」
大串議員
「継続的に議論している間に、私達は政権を失ったのですけれども、ああいう議論も真正面からしていかなければいけないと思うんですよ。国民年金の積立金は9兆円しかありません。相当深刻なレベルだと早くから認識した方がいいと思うんです」
反町キャスター
「最低保障年金を維持するためには消費税引き上げはやむを得ない?」
大串議員
「前回、私達が最低保障年金の導入を含め、当時は最低保障年金を導入すると消費税のさらなる引き上げが必要になってくるのではないかという論を呼びました。こういう議論を含めて、普通の方々が普通に生活できる年金を受け取るためにはどういう制度をつくるべきかということを虚心坦懐に、厳しいことも含めて、賃金上昇率が2%、3%、4%だから大丈夫です、ではなく、デフレということに真正面から向き合わなければならないと思うんですよ。そういったことも含め、正直に与野党で年金の抜本改革を話し合うべき時にきていると私は思います」
反町キャスター
「所得代替率69.2%は高くないじゃない、結構じゃないと。それを維持するために国民負担率を上げましょうよと。つまり、消費税やら保険料やらを上げましょうよという議論は、突飛で現在の選択肢には浮上しないものなのですか?」
橋本議員
「それは少子高齢化という中では、人口構造をどう考えるかという話で、もちろん、ピラミッド型でずっとなっているのであれば、できるだけ年金は多い方がいいし、社会保障の給付も多い方がいいし、それを支える現役世代ももっと増えていくのだから、それはできますねという話になります。私達が直面しているのは、逆ピラミッドとまでは言いませんが、なっていくというのは続いていくわけですから、その中で受給されている高齢者の世代の方、これから高齢者になっていく、現在は現役世代、もしくは若者の人達の中で、どういうふうに負担をし、それなりに生活できる給付ができるのかということを私達は日々考えなければいけない局面にいるのだと思います」

年金改革の課題と展望を問う
反町キャスター
「消費税の話は年金の話をする時にあまり触れない方がいい話なのですか?」
土居教授
「それは必要な時に財源は確保しなければならない。特に最低保障機能というのか、低年金、無年金の人達は現在のままの仕組みだと結局、生活保護給付にいかざるを得なくて、そこでもまた税がいると。ある試算では、2050年には現在より対GDP(国民総生産)比で1%もより多く高齢者のために、生活保護のための財源が必要になるという試算だってある。だけど、そのアテはないと。増税すると決めていないので。では、どこからそのお金を持ってくるのですかという話になると。それぐらいだったら、別に生活保護にいかないで、年金で出してあげる。その代わり、保険料を払わないとあげないというケチくさいことを言っていると、また生活保護にいくので、そうではなくて、税財源でという話になると、その時には消費税とか、いろんな税財源で支えるということはおおいにあり得ると」

橋本岳 厚生労働副大臣の提言:『喜びも痛みもわかちあう年金・社会保障』
橋本議員
「喜びも痛みもわかちあう年金、社会保障というものをこれまでつくってきていると思いますし、これからも守っていくと。今回の法改正はそのためのものだと思っています」

大串博志 民進党政務調査会長の提言:『正直な年金制度へ』
大串議員
「年金の財政検証、非常に楽観的な数字で将来は大丈夫というふうに、私に言わせると粉飾しているような状況だと思います。そうではなくて、正直に現実を見据えて、今回のような、場当たりの、その場限りの年金カット法案ではなくて、国民が本当に安心できる正直な年金制度をつくっていくべきだと思います」

土居丈朗 慶應義塾大学経済学部教授の提言:『老後の所得保障を確実に』
土居教授
「今回の法案は、私は支持しているのですけれども、問題はそこで浮き彫りになった。所得代替率が50%維持できているから、それでいいのだとは単純に言えないと。つまり、高齢者の中にも、夫婦で生活されている方もいれば、単身で生活されている方もいて、単身で生活している方でもそこそこいい年金がもらえる。ただ、年金だけではダメなので、自分でがんばってもらう。それも含め、やっていただくということをどうやって制度的に担保するかというのが大事だと思います」