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2016年10月14日(金)
日米同盟『方向転換』 暴言と力と世界の針路

ゲスト

森本敏
拓殖大学総長 元防衛大臣
ケビン・メア
元米国務省東アジア・太平洋局日本部長
古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員

森本敏×ケビン・メア×古森義久 トランプの窮地と『日米同盟』
松村キャスター
「まずは今後の日米同盟を左右し得る最初のキーマン、アメリカ大統領候補ドナルド・トランプ氏です。いよいよ投票日まで1か月を切った大統領選ですが、両候補の最新の支持率を見てみましょう。今日の時点でクリントン候補は48.0%。トランプ候補は41.8%となっています。両候補の支持率は接近していたのですが、トランプ候補のテレビ番組収録における移動中のバスでの女性蔑視発言が公開されたことなどを受けてクリントン候補がリードを広げているという状況。トランプ氏はさらに支持率を下げています。ワシントンポストが報じたこのトランプ氏のスキャンダルが両陣営の非難合戦に油を注ぎました。トランプ氏、
「有名人になれば女性は何でもしてくれるとの発言はロッカールームでのお喋りのようなものだ」
。クリントン氏は、
「トランプ氏は女性だけではなく、移民、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系、体の不自由な人達、戦争捕虜、イスラム系の人などを攻撃してきた」
と。トランプ氏は、
「ビル・クリントン氏はもっと悪い。私は言葉だけだが彼は行動をした」
と。このように発言しましたが、討論会後に、2人の女性に対する不適切な身体接触やトランプ氏自身が主催するミスコンテストの出演者の控室に乱入したことが報道されています。メアさん、今日時点の支持率48%と41.8%、この点に関してはどうですか?」
メア氏
「だいたい7%差があるから、選挙人の差がかなり大きいです。いくつかの州でトランプ氏が勝つことはほぼ不可能になっていると思います。でも、あと3週間半ですから、何が起こるかわからないです」
松村キャスター
「古森さん、ワシントンポストやニューヨークタイムスなど有力紙が、クリントン候補を推す中で、決定的な差がつけられないと。未だにトランプ候補が一定の支持率を得ていますよね。支持層集めているというアメリカ社会の背景をどのように見ていますか?」
古森氏
「アメリカの世論、主流派とされる人達、良識派とされる人達が言っていることが、トランプ氏がとにかく悪くてダメだということになっているけれども、私はそれほど、懸念ごとではないと思うんです。たとえば、この時期にワシントンポストがああいう報道をなぜしたかと。これは、実はNBCテレビにこの情報のテープがいっていて、実際には、この発言をトランプ氏がどうしたかというと、11年前にNBCテレビのブッシュ前大統領の甥のテレビキャスターと雑談をしている時に入っていた。そのテープがNBCテレビに来たわけですよ。どうしようか、どうしようかと4日間、弁護士を呼んで検討している間にワシントンポストの方にボンと出したと。どういうことを意味するかと言うと、非常に党派性の強い政治、選挙だから党派性はあるのは当然だけれども、そこで中立を保つべき大手メディアが、完全に民主党クリントン候補についているわけですよ。キャンペーンをやっていて、10月というのはオクトーバーサプライズという言葉があって、11月8日にやる投票の前に、直前にとにかくボンとあっと驚くことを、相手が不利になることを出しておくというのは、慣例みたいなものだけれども、オクトーバーサプライズで、トランプさんは、国政に入ってきていないから本当に実質がある爆弾みたいなものというのはないわけですよね。政治やっていないのだから。でも、こういう種類のスキャンダルはいっぱいあるわけですよね。天下の、世界のメディアの代表みたいな顔をしているワシントンポストがこういうことを出してきているということ自体が、私は全体のレベルの低下を感じさせられてね」
反町キャスター
「たとえば、あの時点、直前まで5、6ポイントの差ぐらいです。いくらこれだけスキャンダルがあって、叩いても、叩いても、しがみついてくるものに対して、このカードをいつ出すのかという段階だったのかなとすら思ってしまうんですよ。取っておいて、取っておいて最後の最後、どうしても食いついて離れないようだったら、これでとどめを刺してやろうという、そんなものすら感じてしまうのですけれども」
古森氏
「だから、トランプさんが、人間的に欠陥がある、政治家としても欠陥がある。欠陥、欠陥と言えば、これは誰でもある程度はわかっているわけ。しかし、それでも支持率がある程度以上には下がらない。しかも、もっと遡れば、共和党の指名候補になって、立派な政治家、全部16人を倒してきたという、この実績。これはドナルド・トランプ氏が体現しているものが、アメリカの中の多くの人にアピールとなる部分というのは間違いなくあるわけですよ。それが正しいか、正しくないかというのは別な議論だけれどもね。強いアメリカとか、白人の恵まれない、あまり恵まれない層がますます恵まれなくなっていくというような認識とか、だから、貿易だってそうですね。アメリカ自由貿易。現在起きていることは、一種のグローバル化への反発とも共通しているけれども、アメリカの中でも、全部オープンにして、いらっしゃい、いらっしゃい、とやっていたらとんでもないことになっちゃうよという、それをトランプさんという人はうまくすくい上げて、怒りを込めてぶつける。プレゼンテーションの仕方があまりにも粗雑だし、乱雑だし、中身は薄いということでなっているわけだから。これはくだらない、ばかげているということで、スパッと切っていくことは簡単だけれども、そこで切ることのできない、アメリカの現在の変化、流れというものが、マイノリティの白人の中の一部だとしても、それがあるということは、我々は日米同盟のあり方に対して、アメリカがどう見ているかという本音の部分というのは出てきているわけだから。ちょっと複雑に見た方が私はいいと思います」
森本氏
「ヒラリー・クリントンは同盟を重視する。特に日本と韓国との同盟関係を引き続き重視し、保障し、強化すると言っておられますから。それはそうだと思います。一方、トランプ氏がずっと言い続けてきたことは、日本や韓国やサウジアラビアやドイツのように、同盟国をアメリカが犠牲を払って助けているのに正当な対価を払っていないと言っているので、これはアメリカの国民が持っている共通の意識であるとすれば、おそらくヒラリー政権はその基本的な考え方を一部、取り入れざるを得ない。そこはこれからの日米同盟をする我々の非常に大きな問題意識ですね。経費の分担を要求してこないですよ。同盟で、もう少し同盟国として必要な対価を払えと言ってこられた時にどのようなことができるのか。」
反町キャスター
「アメリカは何を求めているのですか?」
森本氏
「いや、いろんなことがあり得ると思います。同盟国としては。たぶん対中政策の中で、いわゆるリバランスを進めている時にリバランスに貢献をしてくれというようなことは当然我々は考えておかないと。ヒラリーがなったから、現在の延長でいいのだと。決して、そう思ってはいけないし、そうはならないと思います」

稲田防衛相の涙と『日米同盟』
松村キャスター
「今後の日米同盟を左右し得る、続いてのキーマンは今回の内閣改造で就任した稲田防衛相です。臨時国会では民進党の辻元議員から厳しい質問を受けて、涙ぐむという場面がありました。古森さんはどのように見ていましたか?」
古森氏
「この問題でおそらく稲田さんは正直な人だから、おどおどしたという理由は本当は靖国参拝のはずですよ。無名戦士のお墓だから誰だということがわからないが、稲田さんが一貫して多数派ではない時でもずっとやってきたことというのは靖国参拝ですよ、8月15日の。それができなかったということの想いがおそらくあったんでね。だから、この問題は靖国のことを一言も言わないで、千鳥ヶ淵だけの皆が何となく来るという追悼式にすり替えて、この問題を論じることの入り口に部分で、ちょっと欠けている部分というのは、私はあると思うんですよね。なぜ行けないのだと。公務があったのだと言えば、済んだことなのかもしれないけど。この方の長所というのは、日本という国家に対する認識、日本を守ろうというような概念が非常に明確であって、これは非常に国際スタンダードですよ。どこの国の防衛大臣だって、国防長官だって、自分の国を守ると。そこには国家という概念がバチッとあるという。防衛大臣としての、基本の国家認識、防衛認識が非常に強い人だから。そこのところをもうちょっと活かしてもらってね。ただ、これまで技術的なことで思うけれども、身の処し方、立ち振る舞いがもっと毅然としてもらわないとダメだね。」
メア氏
「外から見ると、大臣が涙出すこと自体は別に弱く見られるわけがないです。国のために亡くなられた方に敬意を表したいという、感動したこと。でも、辻元代議士に言われたくないでしょう。自衛隊自体を反対している代議士ですからね」
反町キャスター
「でも、アメリカ政府はかつて、たとえば、総理や重要閣僚の靖国参拝については、千鳥ヶ淵に行った方がいいのではないかということを、間接的に意向を表明されたことがあるではないですか。その意味において、現職閣僚の稲田さんが、安倍内閣の重要閣僚の稲田さんが靖国にもし行って、そこで何か中韓の問題を起こした時、アメリカは行ってほしくなかったという意向は何らかの形で政府に言わない?」
メア氏
「たぶん政府は事前に言っていないので。前、安倍首相自身が参拝をした時に残念ながらアメリカ政府が批判をしました。私はそのアメリカ政府を批判した、そのあとで。だから、靖国は否定しないのだけれど、でも安倍首相は現実的な方ですから。鋭い政治家だから、中国の脅威とか、北朝鮮の脅威を解消するためにいろいろな他の国の協力が必要であるとよく認識をしているから、できるだけそういう問題を避ける方向がいいと考えているのではないですか」
森本氏
「そうです。そのような個人の、政治家としての所信、哲学というものと、公務として閣僚の任務を果たすということとはきちんと分け隔てて、自分で処理をしていくということができなければ閣僚ではないのです。その思いをきちんと隠して閣僚として振る舞うということをずっとやってこられたので、それを、あなたが前に言ったこと、あるいは前に書いたことと違うのではないかというのは質問としてナンセンス」
反町キャスター
「当選4回で防衛大臣、すごく異例とは言わないですけれども。でも、早いです。この稲田さんが政治家としての今後の伸びしろというのは、これから先の稲田さんにどのような期待をされていますか?」
森本氏
「現在の与野党、現在の衆参両院議員七百三十数十名の中で防衛通、安全保障通なんてそんなにおいでにならないです。失礼な言い方だけだけれど。わかっている人がなるなら、それは個人名を挙げてはいけないけれども、石破さんがなり、中谷さんがなり、いろんな人がなればいいです。でも、そんな人をグルグルとたらいまわししているのではいくら経っても、日本の防衛とか、安全保障というのは裾野が広がらないんです。ああいうふうにして苦労をしながら、自分で勉強して、大臣として、多少周りから見たらいじめられているように見えるが、おそらく少し経つと自民党の中で有数の防衛通の国会議員になられると思っています」

ドゥテルテ暴言と『日米同盟』
松村キャスター
「日米同盟を左右し得る、続いてのキーマンはフィリピンのドゥテルテ大統領です。ドゥテルテさんについて話を聞いていきます。アメリカへの暴言で注目を集めているドゥテルテ大統領ですが、メアさん、どのような人物と見ていますか?」
メア氏
「まずアメリカとフィリピンの歴史はすごく複雑です。植民地だったから、そういう嫌がる気持ちもあるし、でも、同時に劣等感があるのではないですか。アメリカに頼っているから、防衛の面だけではなくて、経済とかも。そういう背景があるからアメリカ政府に人権問題を批判されて反発したのではないですか。でも、彼がそういう発言をして、直後に防衛の関係者とか、外交の関係者とかがすぐそうではないよという説明をしているから。心配していること、懸念していることは中国に騙されちゃうかもしれないこと。中国の方がいろいろお金を出して、もし南シナ海の問題に協力をしたら、アメリカを追い出したら、いろいろ経済援助をやるよと騙されちゃう可能性があるから、懸念しています」
古森氏
「メアさんが言われたようにアメリカに頼る依存過剰みたいなところ。それから、この人は、もう1つは国内でとにかくタフだと。思ったことをドンドン言うということできていて。アメリカの反応はどうかなとちょっと見たら、東アジア担当のラッセルさんが喋っていて、言葉だけではないか、何もまだ行動をとっていないではないかという、バカだ、何だとオバマ大統領の罵ったりするけれども、行動を伴っていないではないかと。だから、アメリカは最小限にまあまあと、ドゥテルテ効果を抑えるという、悪効果を抑えるという立場だけれども。ただ、私がちょっとな、と思い始めたのは彼が18日から、日本に来る前に、中国に行くわけですよ。それで習近平氏と李克強氏のトップ2人と会う。その時に中国、フィリピンの合同演習も将来はやると言ったりしているという報道があります。だから、これは何か気になってね。だから、日本にとってどういう影響があるかと言うと、日本が海上保安庁的な船を供与して、中国という共通の海洋上の脅威に対応するということを始めて、これはすごく歓迎されることだけれど、だから、これは安倍外交の正念場で、反米は反米でいいけれども、こういうのもあるのだよということを、うまく日本に来た時に、こちら側の陣営に留めておくということを安倍外交でできればいいのだけれども。ちょっとわからないところが多いですね。何でここまで言うのかなというのはある」
反町キャスター
「古森さん、中国はドゥテルテ大統領を大歓待、もう大サービスと」
古森氏
「そうですね。だから、フィリピンに対してはご存知の通りアキノ氏の時はすごく陰湿ないじわるをやり続けたわけですよね。フィリピンからくる果物を検疫のところで押さえちゃって、腐らせちゃって。それから、中国人の観光客にフィリピンへ行くなというように、海洋問題での恨みを経済で返すというようなやり方をアメリカの識者達は経済恫喝外交なんてけしからんということで、だいぶ言っていたけれども。そこまでやられていたのに、その中国にちょっとすり寄っていく姿を見せるというのは国内政治上、そういうことをするとウケる状況があるのかどうかわからないけれども、気になりますね」
森本氏
「地図にスカボロー礁が映っていますが、南シナ海、九段線の中を中国が支配するためには、西沙諸島、パラセルは事実上、既に実効支配し、南沙諸島には7つの人工島をつくって軍事力を配備しているのですが、スカボロー礁を人工島にしてしまうと3つの大きな戦略拠点ができて、海南島にある原子力潜水艦の戦域として南シナ海を位置づけているために、スカボロー礁に人工島をきちんとつくるということはとても重要です。これをつくられるとアメリカ空母も入りにくくなり、日本の海上輸送路も通りにくくなるというの中で、スカボロー礁につくられるかどうかと非常に重要です。スカボロー礁というのは、単独で礁があって周りに土がないですから、この人工島、南北が12、13km、東西が13、14kmぐらいで、これを全部埋め立てて島にすると、3000m級の滑走路が2本以上できます。そういう人工島をつくられると非常に大変ですが、たぶん本土から土砂を持ってこないといけないので、これを阻止するために海上封鎖をしないといけないのですが、できる能力を持っているのはアメリカだけです。これをやると戦闘が起こるかもしれないけれどもそれを覚悟してやらないと、フィリピンの基地が眼の前にあるものですから。フィリピンにも非常に影響を与えて、もしアメリカが協定にもかかわらず、フィリピンになかなか停泊したりできなくなれば、再び力の空白ができる。つまり、米比協定が批准されずにいた1991年から1992年、アメリカ軍が引いていったあと、南シナ海に中国が入ってきたわけです。まさに力の真空を埋めるように入ってきた、その15年後に同じような状況ができることはどうしても防ぎたいと。アメリカはそう考えていると思います。日本もそう考えています。(ドゥテルテ大統領が)日本に来た時に総理がどこまでアメリカに代わって大統領を説得できるか。これは非常に日本の大きな役割がそこにあるのだろうと」
メア氏
「確かにそうです。安倍首相ははっきりとやるべきだと思います。残念ながら、オバマ政権の責任だと思います。2012年から今年まで、航行の自由活動を1回もやらなかった。中国に配慮し過ぎた。たぶん中国から見ると、アメリカ側が基本的な戦略、航行の自由、航海の自由、そういう活動をやらなかったからアメリカがあんまり反発をしないのではないかという解釈であったのではないですか。危ないこと」
反町キャスター
「フィリピンが軍事的な重要性をアメリカが認識していたのだとすれば、ドゥテルテ氏が新しい大統領になりました。彼は地方の市長をやっている時に、麻薬との戦いで、それで国民の支持を得て大統領になりました。その人が大統領になった時に麻薬関係の人間は構わない、何でも殺ってしまえという指示をやったことに関して、人権を錦の御旗に掲げて、これはけしからんと言うことが、植民地支配をしていた国から人権問題を言われることに関してすごくフィリピンの人達が苛立つというのは、僕は少しわかる気がするんですよ。あなたに言われたくない、人権問題をと。その部分のドゥテルテ大統領に対する配慮が欠けていたということを言っていいですか?言ってはいけないですか?」
メア氏
「だから、おっしゃったような背景もあると、よく認めています。だからこそ、たぶんアメリカ政府は現在の段階でちょっと人権問題に静かになってた」
森本氏
「オバマ政権、あと1か月もないですけれども、この政権としては言わざるを得ないですよ。ただ、今回新しくできた協定に基づいて、アメリカはきちんとフィリピンの基地を使ったり、新たに施設を建設したりして我々が懸念するようなことは起きないと思います。ただ、古森さんがおっしゃるように、中国がこの比大統領が反米感情を持っているということを知っていて、おそらく華僑のお金を使って引き寄せようとして、今回も訪日する前に中国に引き寄せたあとで中国が手を出してきます。ただ、フィリピン政府は何度も日本政府に申し訳ない、本当に申し訳ないと。日本に最初に行くことになっていたのだけれど、いろいろな理由で中国に最初に行かざるを得なかったのを本当に申し訳ないと。それはよく知っていて、ドゥテルテさんは大統領に当選した時に最初に会ったのは、石川大使、日本大使ですね。だから、日本との関係がベストですよ。その次が中国です。アメリカとは会わなかったんですね。自分がダワオの市長の時に、アメリカ人といざこざが起きて、アメリカ大使館が場合によっては彼を連れて、何かをして、非常に大統領の信用を壊した行動をアメリカがしたのだろうと。それをずっと現在でも引きずっているということだと思うんですよね」
反町キャスター
「中国に先に行くのは申し訳ないと、フィリピン政府が言っていると。たとえば、フィリピンの外務省とか、官邸の人かもしれないけれど、でも、本人はそこをあまり気にしていなくて。本人も日本に対して申し訳ないの気持ちがあって、それでも中国の誘引力に負けてスルスル行ってしまうのではなくて?」
森本氏
「誘引力だけではなくて、実際に、たとえば、鉄道を敷くとか、道路を敷くとか、おいしい話をいっぱい出してきているので、それは大統領としては、日本もありがたいし、中国もありがたい。したたかな方ですから。それは両方から利益を獲れるだけ、獲るのか。しかしアメリカとの関係は大変大事なので、米比防衛協力をしっかり実行すると思います」
反町キャスター
「鉄道、道路の建設援助を中国から引きずり出す。ドゥテルテ大統領としては結構ですよ。スカボロー礁の方で、何か中国が組み立てを始めることになるのかどうか。ここは線をきちんと引ける大統領かどうか、この見方はいかがですか?」
森本氏
「フィリピンは、これを阻止する海軍力は全然ありません。空軍力も戦闘機1機もありません。艦艇も4隻ぐらいのフリゲートで、中国の船が1隻来ただけで沈められるぐらいのもの。だから、今回フィリピンの大統領が来た時に日本はTC-90という海上自衛隊の練習機を供与したり、哨戒艇を供与したりして、フィリピンの防衛能力を向上するため、日本とアメリカが協力して能力向上をはかるという努力をこれからするので、それは非常に高く評価するところです。ただ、中国はどこかの県のすぐやる課みたいに、すぐやりますから、手続きを踏まないで。だから、なかなか容易ならぬ日中の戦いがフィリピンを巡って起こるだろうと」

金正恩の暴走と『日米同盟』
松村キャスター
「続いてのキーマンは北朝鮮の金正恩委員長です。朝鮮労働党の機関紙・労働新聞は『米韓海上合同演習は重大な軍事的挑発だ。我々の強力な核抑止力の前に韓国大統領府とアメリカのホワイトハウスが地図上から2度と見つけられないようになる』と発言をしています。金正恩委員長はアメリカに対して強硬な姿勢を見せていますが、このような発言は戦略的に言っているのですか?」
メア氏
「こういう人が言っていることは、どのくらい危ない話だかわかっていないかもしれない。アメリカを攻撃したら、日本を攻撃したら、韓国を攻撃したら、北朝鮮はなくなるとわかるはずだけれど、何か子供が大人のゲームをやろうとしている感じがします。だからこそ危ないと思います。まずは日米両国が日本と韓国のミサイル防衛能力を加速しなければならない。単純な話ではない。迎撃ミサイルのコストは攻撃ミサイルの10倍ぐらいになります。それは数が圧倒的に攻撃ミサイルの方が多いから。日本は攻撃能力、いわゆる敵基地攻撃能力を早く導入するべきだと思います。全ては迎撃できないから、1点を攻撃しないとならない。それは憲法上、第9条はまったく問題ないと思います、防衛ですから。国連憲章も認めている。先制攻撃も認めている。防衛のため必要であれば。こういう防衛能力を早く拡大・導入すべきだと」
反町キャスター
「日本独自で?」
メア氏
「独自というよりも情報収集、監視、偵察能力も協力しなければならない。日米同盟の枠組み内で、日本が独自の攻撃能力を導入する必要があると思います」
松村キャスター
「アメリカは、北朝鮮の脅威をどのように見ているのでしょうか?」
メア氏
「日本でよく言われていることは、北朝鮮の持っている弾道ミサイルはアメリカにまだ届かないからアメリカは心配しないと言うのだけれども、在日米軍、在韓米軍も北朝鮮の射程内にいるから、心配はしていますよ。だから両国のミサイル防衛能力を早く向上しないとならない。軍事面だけではなく制裁措置も厳しくすべきだけれど、中国が協力しないと意味がないから、これから中国が制裁措置を実行しないのだったら、中国に対する金融措置を日本とアメリカは導入すべきだと思います。政治的に難しいと言っても、そうしないと時間が経てば北朝鮮が核兵器を弾道ミサイルに搭載できるようになるから、大変な問題になります」
森本氏
「拒否的抑止というのは、あくまで相手が挑発的な行動をした場合にそれを阻止、排除できるというやり方で、わかりやすく言うとミサイル防衛みたいなもの。撃っても撃っても排除されるのであれば、撃った方は損ですから、だからキチッと拒否ができるということです。懲罰的抑止というのは、先制攻撃があった場合、あるいは挑発行動があった場合、それに対して懲罰を与えるということ。ですから策源地攻撃というやり方もその1つかもしれません。報復ではなくて、第2撃が撃てないようにするというやり方もあるわけです。半島事態における協力というのは、北朝鮮の体制がおかしくなって、朝鮮半島自体が危機的な状態になった時に、周りの国々がどういう協力をしながら、危機管理ができるか。つまり、半島の安定をどのように維持することができるか。そのためにどういう協力があり得るかが目に見える形でキチッとあるということが抑止になるということですね」
反町キャスター
「アメリカが武力行使をする可能性についてはどのように見ていますか?」
森本氏
「アメリカは手を出されたら確実に攻撃すると思います。在日米軍基地が直接攻撃を受ける、あるいはグアムに弾道ミサイルが近づいてくるような事態があったなら、アメリカは基地そのものを攻撃してくるという可能性はあると思います」
メア氏
「米軍基地が攻撃されている場合だけではない、同盟国が攻撃されても反撃する」
反町キャスター
「今回3発撃って、1発がEEZ(排他的経済水域)に堕ちました」
森本氏
「管轄権しかありませんから、領海ではありませんけれど、そのEEZの中に日本の船舶、航空機があって、日本人の生命・財産が危うくなる時は当然、日本は個別的自衛権を行使できるということですから、そこは法的に担保されていると思います」

プーチンの深謀と『日米同盟』
松村キャスター
「安倍首相は、プーチン大統領との距離を急速に縮めているのですが、プーチン大統領は信頼できる人物ですか?」
メア氏
「信頼はまったくできない。でも安倍政権は、憶測ですけれども、中国の脅威を見ると、できるだけ中国とロシアの亀裂を生じたいのでしょう。あと日本はロシアが持っているエネルギー、資源が必要であるし、ロシアの目から見ると日本の技術、医療が必要。そういう意味で戦略的に考えているのではないですか。私の解釈です」
反町キャスター
「日露が接近することに対して、アメリカは理解する?」
メア氏
「まず安倍政権がロシアに騙されないように気をつけないといけない。北方領土の返還はあまり期待できない。プーチン大統領の傾向は領土を返すのではなくて、領土を獲る傾向です、クリミア、ウクライナとか。でも、何らかの形で北方領土問題が進展したと言えるようなことを期待しているのでしょう。共同使用とか、ビザなしで行けるようなことであれば、ある程度成功したと言える。でも、戦略的に考える必要があるので。アメリカ政府が懸念していることはクリミア、ウクライナに対する制裁措置をなくしたら反発する。でも、安倍政権は制裁措置をそのまま実行すると期待したいと思います」
森本氏
「アメリカがプーチン大統領を嫌っているのはクリミア、ウクライナ、現在はシリアで力を使って、国際法に基づく秩序を無視して力による現状変更をやってきて、全然アメリカの言うことを聞かない上に核兵器を持っているという嫌な感じを、アメリカは持っていると思います。だから、米ロ関係というのは、冷戦時代より悪いと思います。対話もできない状態なので、日本が近寄る時にはアメリカにキチッと理解を求め、日本がどういう利益を追求しようとしているのかということをアメリカに理解をさせて日ロ交渉をやっているので、アメリカは不快には思っていないと思います。ただ、ロシアに取り込まれるようなことは困るということなので、アメリカは戦略的に考えていると思いますよ。1つは、対中戦略ということもありますけれども。総理から見ると、次回、2018年の大統領選挙、たぶん再選されてさらに6年、それからさらに6年、さらに6年と物理的生命が続く中で独裁者となり続けるプーチン氏と総理が領土問題を一歩でも進めるということは歴代の総理にできなかった政治的なレガシーですから、これはどうしても成し遂げたいという気持ちが非常に強い。これこそが戦後に残った最後の大きな外交案件ですので、これは自分の手で実現したいと思っているに違いないと、そのことはよく理解していると思います。どこまでしたたかなプーチン氏をこちらに引き寄せることができるか、これはAPEC(アジア太平洋経済協力)の時の日ロ首脳会談、これが1つの大きなカギだと思います」
古森氏
「アメリカの出方を見ていると、安倍首相がプーチン氏に接近するとアメリカの不興を買って何か文句を言うのではないかと日本には懸念がありますよね。アメリカはそんなことはないよといろいろな人が言っているから、それはそれで日本側がうまく利用して。日本にとって深刻な問題、北方領土問題があるわけだから、それは見通しが難しくてもベストを尽くさなければいけないというのは国民の願望ですよね。それに対応して安倍政権が動いているのだから、そのへんはあたたかく見てよと」
メア氏
「アメリカが文句を言わない1つの理由は、安倍首相がワシントンに信頼されているから、強い安定している政権ですから。考えると、同盟国の中で1番安定し、指導力を発揮している政権です。だから、信頼されていますよ」
反町キャスター
「平和条約を日ロで結ぶということは、たとえば、クリミアの併合を、ウクライナにおけるロシアの介入というものを、現状の国境を認めることにはなりませんか?ここの部分は、日本はうまくクリアできるのですか?」
森本氏
「日ロの平和条約ですから、そこは合理的にできると思います。それは問題ない」

森本敏 拓殖大学総長の日本の目指すべき安全保障のかたち
森本氏
「日本は、自主防衛の道を現在の国際情勢の中で追求すべきではない。日米同盟を重視すべきで、アメリカ依存という言葉はおかしいのですけれど、依存するのではなく、日米同盟強化の考えです。日本の防衛外交は非常にダイナミックでうまくいっているのですけれども、防衛力については、外交と比べてみるとまだまだ努力の余地アリと考えているので、防衛力も強化し、同盟も強化すると」

ケビン・メア 元米国務省東アジア・太平洋局日本部長の日本の目指すべき安全保障のかたち
メア氏
「私は外交官でした、30年間。外交努力が必要なのはわかるけれど、でも、日本の周辺に中国、北朝鮮の脅威が切迫している問題ですから無視できない。だから、具体的に防衛能力を向上しないと、日本独自で。なぜかと言うと、日米同盟体制の意味はアメリカが日本を防衛するという意味ではなくて、日本とアメリカが一緒に日本を防衛するという意味ですから、日本の防衛能力を一刻も猶予すべきではない、向上しなければならない。でも予算が必要ですので、政策はいい方向ですから、これからは防衛予算も増やして、具体的な防衛能力も日米同盟の枠組み内で向上しなければならないと考えています」

古森義久 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の日本の目指すべき安全保障のかたち
古森氏
「現在よりは防衛力を重視し、実際の措置をとっていかなければならない。防衛予算を増やさなければならないと、それは強く思いますね。日米安保を破棄して自前でいくというのは現実的ではない。しかし、自分の国の防衛は自分で責任を持ってやるという大原則をもうちょっと徹底させていけばいいなと思っています」