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2016年10月12日(水)
加藤担当相×連合会長 級友が語る働き方改革

ゲスト

加藤勝信
働き方改革担当大臣 自由民主党衆議院議員
神津里季生
連合会長

加藤担当相×神津連合会長 政治主導の『働き方改革』
秋元キャスター
「2人は小中学校の同級生と聞いているのですが、今回、働き方改革を推進する大臣と労働者の代表である連合の会長ということで、ライバル関係みたいな立場にありますけれども、互いにそのあたりはどのように感じていますか?」
加藤働き方改革担当相
「ライバルではなく、どう実現をしていくのか。いや、もちろん、いろいろ見るべき視点は違うけれども、しかし、行くべき方向はそんなに私は違っているわけではないと思います。そこはもちろん、労働界の意見があり、経済界の意見もある。それをうまく政府としての考え方の中で、どう持っていくのかということにはなりますが、ただ、向かうべき方向は、私は同じ方向に向かっているのではないか。という意味では、一緒にやる同志だと思います」
秋元キャスター
「安倍総理は、働き方改革はアベノミクス第三の矢、構造改革の柱となる改革として、もはや先送りは許されないと改革に強い決意を示しています。まず加藤さん、アベノミクス始めて3年半以上が経ちましたけれども、なぜ安倍政権は働き方改革に舵を切っているのでしょうか?」
加藤働き方改革担当相
「その前に、今年6月に日本1億総活躍プランというのをまとめさせていただきました。アベノミクス、スタートして最初の三本の矢で、強い経済にし、それを使って介護や、あるいは育児の基盤を強くしていく。1つの好循環をつくっていこうという、背景にあるのは日本の現状、もちろん、海外のいろんな要因もありますけれども、今ひとつ、消費や投資が拡大し、成長がうまく路線に乗っているとは言い難い。その背景には日本の少子高齢化、あるいは人口が減少していくという構造的な問題があるわけですね。それに対してどう対応していくのかということにおいて、まさにそれぞれの方々が持っている力を、その思いを十分に発揮をしていく、それが1億総活躍社会。そのプランを、いろいろつくらせていただきましたけれど、その中で横断的に、構造改革でもありますが、強い経済においても、そうでありますし、それから、働きながら育児をする。働きながら介護をするという、第二、第三の矢にもかかる横断的な課題として働き方改革があると。プランの中にも位置づけさせていただいた。それをしっかりこれから取り組んでいこうと。こういう流れになっているということですね」
反町キャスター
「働き方改革というのは、よく年金では夫婦、夫が働いていて奥さんが専業主婦で子供2人のモデルケースとか、そういうものがよくあるではないですか。加藤さんが今回やられている働き方改革というのは、家庭を1つのコマとして見た場合、どういう家庭を、そもそも論ですよ、どういう家庭をモデルケースとして考えているのか。共働きなのか、それとも働く夫と専業主婦なのか。それは、たとえば、先般、ずっと議論になっている配偶者控除の廃止が見送られるのではないかと言われる中、夫婦共働きなら、それは廃止の方向でしょう、ないしはこれまでの形というものを政府として重視しているのであれば、それはそのまま残すのではないですかということも含め、政府が考えている働き方改革を考えるうえでの家庭のモデルケース、これは何を前提に考えていますか?」
加藤働き方改革担当相
「だから、むしろ確かにこれまでは主人が働きに行き、奥さんが家事や育児をし、子供が2人という、1つの標準世帯というか、モデル世帯。しかし、現在、圧倒的に共働きで働いている家庭の方が多いのと、さらには単身、たとえば、生涯結婚をしていない人が男性で50歳の段階で二十数パーセントいらっしゃるという。様々な形態になってきているわけですね。ですから、その状況の中でそれぞれ皆さん方の、まさに人生が違うように、働き方も違っているわけですから。それに対応できるような形にしていくことが必要であり、また、そういうことにすることによって、その方々に、実際に働いてもらえるという、そういう状況がつくられていくと」
反町キャスター
「神津さん、確認させてください。加藤さんの話だと、要するに、特定の家庭の形態を念頭に入れているわけではなくて、共働きもあれば、単身者世帯もある、様々な、多様なニーズに対応できるような働き方改革を模索しているのだと。横から見ていて、そういう方向性は感じますか?」
神津氏
「結果として方向が一致する可能性はあるなというところがあって、いまさらネーミングにケチをつけるのもどうかと思いますが、1億総活躍というのは、まだちょっと馴染まないところがあるんですね。だから、皆が、働きたい人がしっかり働けて、収入を得て、それで自分の力が高まってと。そういう展開を持つことができるのだと。それは男であろうと、女であろうと、あるいは年齢がどうであろうと、そういう働き方ができるんだと。そういう姿をつくるというのは働く者の立場からしても、これはあり得べしと思いますね」

『長時間労働』と労働生産性
秋元キャスター
「働き方改革の3本柱の1つ、長時間労働の是正について、その課題や問題点について聞いていきます。神津さん、連合としては、政府が示している残業などの長時間労働を減らしていこうという、方向性については賛成ということなのでしょうか?」
神津氏
「そうですね。長時間労働是正というのは、連合こそかねてよりずっと主張してきたことですし、いろんな問題を、これが阻んでいるということは間違いないと思います。生活設計を持って、家庭を持って、子育てをしてという時に、女性の活躍ということを、長時間労働ということがかなり阻んでいる。これは間違いないです。それと連合としての主張をかねてからしているのは、過労死ということが、世界を見渡しても、先進国の中で、こんな言葉があるのは日本ぐらいではないかということで、オックスフォード大辞典にもKAROSHIという言葉が載っちゃっているわけです。これは津波と同じで、日本発の言葉になっちゃっているという、大変不名誉なことであって、認定ベースだけでも年間100人を超える方が働き過ぎで亡くなる。こんなことは絶対にあっちゃいけないことですから。まずこれをなくすという、そこを求めたいと思います」
反町キャスター
「ただ時間を減らせばいいかと言うと、そこに、たとえば、いろいろな懸念を神津さんとしても持っていると思うんですけれど、長時間労働を減らすにあたって、こういう問題を前提としてクリアをしたうえで、前提として減らしていかないといけない。ただ、いたずらに減らせばいいだけではない?どういう懸念を持っていますか?」
神津氏
「基本は上司と部下がどういうふうに問題意識をきちんと持って、どういう課題があって、それを解決していくためには、どういう仕事をどれだけのことをやらなければいけないかという、そういう認識共有というものが、私は、最も大事だと思っていますよ。それがどうも疎かになっているのではないかというのは、長時間労働の問題の、実は背景に根深くあるということだと思いますね。ですから、これを取り上げて、前に進めていこうというのは大事なことであって、そこにまで入っていかないと、本当の意味での問題解決ということになかなかならない」
秋元キャスター
「安倍総理は長時間労働是正のメリットについて、このように話をしています。長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性、高齢者も、仕事に就きやすくなる。経営者はどのように働いてもらうかに関心を高め、労働生産性が向上していくということですけれども、この労働生産性というのはどういうものなのか。生産量を労働者数と労働時間をかけたもので割ったもので、投入した労働量に対してどれぐらいの生産量が得られたかを示す指標です。普通に、この公式を見ますと、労働時間を減らす。その分、生産量も減ると思うんですけれど、加藤さん、なぜ労働時間を減らしても労働生産性が向上することになるのでしょうか?」
加藤働き方改革担当相
「ですから、ある意味、日本の労働生産性が低い背景には確かにIT(情報技術)の投資が十分でないとか、人的投資が十分ではないということもあります。そういう意味で、形になっていないものに対する投資が低いということが今言った生産性の向上につながっていない。それに加えて長時間労働が生産性を低くしているという指摘があるわけで、ある意味では、長くだらだらとやるのではなく、短い時間で、いかに成果を出していくのかということが非常に大事だと思うんですね。総理もそういった視点から言われています。もちろん、長時間労働というのは神津会長がおっしゃったように過労死の問題があり、働く人の心や体をぼろぼろにしてしまうという問題がもちろん、あります。加えて、たとえば、ワーク・ライフ・バランスがとれないとか、それは少子化に影響し、あるいは女性の活躍にも、ある意味では妨げる要因になっている。そういったものを1つずつ外していくということも、この長時間労働の是正につながっていくと思っています」
反町キャスター
「神津さんが先ほど言われた生活設計の話ですけれど、基本給が、たとえば、生活費とローンに充てて、残業が小遣いなんだよねと、非常にわかる部分だと思うんですけれど、その部分を削り込むことによって給料が減るのかどうか。どう説明されますか?」
加藤働き方改革担当相
「反町さんは、残業代を小遣いと言う、むしろ、そこが生活費に入っているという人がたくさんおられると思います。こういった改革をする時に雇用情勢が良好な状況になっている。経済が上向きつつあるという時でなければなかなかできないということは、1つあると思います。それから、当然これをする時に、今申し上げたように単に時間を短くするということももちろん、必要な部分もあるのかもしれませんが、その中でしっかり成果を上げていく。労働生産性を上げていくということにつながっていけば、当然、売上げが増えますから、それはしっかりと働いた人にも還元しなければまわらないわけですね。ですから、そういった意味で、今回のテーマの中にも賃金引上げと労働生産性の向上というのをテーマの中にもちろん、入れさせていただいています」
反町キャスター
「生産性を上げるというのは簡単にいかないですよね。生産量を増やすこと自体が時短をするわけではないですか。これまで10時間働いていたのを8時間にしたら、単純な例でいうと、車10台をつくっていたのが8台になるかもしれない。その部分の、それだけ、なおかつ給料が下がらないためには8時間で10時間でやっていた分と同じ車をつくらなければならない、こういう話になりますよね?」
加藤働き方改革担当相
「確かに製造業はそういう部分はあるかもしれませんけれども、今は圧倒的にサービス業が大きいですよね。そうすると、先ほどの生産量ではなくて、たぶんそれは生産額になってくるんです。価値になってくるわけです。価値をつくる時に、長く考えたらいいアイデアが出るかというと、ある意味では短い時間で答えを出して、他のところでまったく違うことをする。リフレッシュすることもあるかもしれません。あるいは自分で自己研鑚する、それが、またこの仕事に帰ってくるという意味でも生産性を上げていくことにつながると思いますね」
秋元キャスター
「長時間労働は無駄が結構多いということになるのですか?」
加藤働き方改革担当相
「働いていることが無駄とはなかなか言いづらいのもありますが、本当にそれだけの長い時間が必要なのかと。それぞれ問い直してみれば、随分短くしていけることもあると思いますし、そうすることによって集中力が高まるとか、そういった意味で、よりいいアウトプットが出てくることにもつながると思います」
神津氏
「先ほど、加藤大臣が言われように、製造業、物的生産性のものですよね。たとえば、サービス産業ですと、付加価値、どれだけのサービス、対価を得たかということが、この分母にくるわけですよ。確かに労働時間の問題もあるんですけれども、これも大事だと思います。一方の、たとえば、中小企業の生産性が低いだとか、あるいはサービス産業の生産性が低いと言われるではないですか。これは確かにそうですね。はっきり分かれるんですね。私は、公正取引ということも今回のテーマに上がっていまして、これと密接に絡んでいると思うんです。どうも日本の企業風土といいますか、何か大企業が上であって、中小企業が下で、そういう変なヒエラルキーみたいな感覚がこれも根強くあるんですよ。ドイツはそういうのが全然ないと言いますから。これは変えていかなければならないですよ。だから、取引慣行の問題もありますし、いや、何か長いものには巻かれろで、そうは言ったって取引先うるさいからなということで、本当は得られる対価を得ていないのではないかとか、働く側も本当は給料を上げてほしいのにということが、どうも得られていないのではないかみたいなことがあるのではないかなと思うんです。ですから、そこのところは中小企業なりサービス産業は立派なものを世の中に送り出したのであれば、それに応答する対価を得ると。堂々と胸を張って。もし不公正な取引があれば、そういうことはスポットが当たっていますから。政府もスポットを当てているし、我々もそういう相談にも乗りますということをやっているんです。これだけスポットが当たっていますから、この機会に取るものは取る。長い物には巻かれないみたいなことを進めるということも生産性の向上の実は大きな要素だと私は思っています」
反町キャスター
「順番をつけられるのですか?それは。神津さんの話を聞いていると、時短をやる前に、たとえば、中小企業、もしかしたらパートサプライヤーと言ってもいいかもしれない。もちろん、メーカー、完成品をつくっている中小企業もたくさんいますよ。そのパートサプライヤーだったらパートサプライヤーでキチッとある程度の連携をもって、一本釣りされないとか、系列に組み込まれても、そこはがんばるとか、そういうような形をまずそういう、これまできちんとした対価を得られていないと思われる人達がきちんと連帯をして、強固な連携地盤をつくることが先で、その先が時短ではないかなと。時短を先にやることによって、一本釣りされる、切り崩しにあうだけではないですか」
神津氏
「同時並行だと思います。だから、それは労働時間の削減ということで、36協定をどうするかという話につながっていきますから。これは、だけど、業界、産業によって、随分労働時間の実態は違うわけです。ですから、私が先読みしてものを言うつもりはないけれど、産業ごとにちょっと本当に上限を設けられるのか、みたいなところはたぶんあると思うのですが」
反町キャスター
「そうすると、加藤さん、時短、労働総時間の短縮と言っても、一律、どこの産業も全部やるのではなくて、先行産業、あと遅行とは言わないけれど、あとからいく産業はあるのですか?やりやすい、やりにくいとか」
加藤働き方改革担当相
「それぞれ実態というのがありますし、働き方はそれぞれ違います。たとえば、製造業とサービス業とは違うと思いますから。それぞれに配慮をしなければいけないと思いますが、ただ大事なことは基本設計をどうするかということがまずあって。今の話でありますけれども、36協定の話、あとで出てくると思いますが、いわば労働基準法の中には、週40時間、1日8時間と決まっているのですけれど、それを超えて残業する、その場合にいろいろありますけれども、一言で言ってしまえば、青天井になってしまっているんですね。しかも、それが先ほど、中小企業の話されましたけれども、どこが1番、青天井の労使協定で、青天井にしているか。大企業ですね。中小企業の場合、労働組合があまりないという事情もあるのかもしれません。まずそこを変えていくということが1つ、どうしていくかという問題が1つあります」
反町キャスター
「大企業からというイメージ?業種別ではなくて?」
加藤働き方改革担当相
「制度の問題として見ると36協定の話になってきます。そうすると、それが、ほとんど大企業がある意味では使っているということですから、大企業に絡んでくる割合は非常に高いのではないかなと。ただ、実態ということになると違ってくるので、そこは先ほど言われたように、1つは中小企業の生産性をどう高めていくのかということで経産省中心に様々な補正の中にも入れさせていただいています。もう1つは、下請との関係ですね。これがあるとどうしても中小企業側から見ると、自由な経営ができないというのがあって、そこからいかに脱皮をしてがんばっている企業さんもあるのですが、なかなか全部はそういうわけにはいきませんから。下請関係をしっかりとやってほしいということで、産業界に働きかけをし、その中でも、要するに、しっかりした対価を払ってもらうというのと、もう1つは働き方にかかるのですけれども、急な無理な注文をされると、言われた方は必死でつくらなければいけないわけですから、そういうことも含めて」
反町キャスター
「やっちゃいけないことですか?日本の中小企業のパートサプライヤーはそれが生命線ではないですか?急な注文にパッと応え、これですと持っていくみたいな」
加藤働き方改革担当相
「いや、だから、急な注文に応えられる、幅があると思うんですね。だから、全員が、しかも、毎日残業をしなければ対応できないというようなことではまずいのだろうと思いますね」
反町キャスター
「そこは一律、全部ダメ? 特色ですよ、そこは」
神津氏
「そこは非常に大事なところですよ。だけれど、中小企業の中でしっかりやっているところは、そういう理不尽な要求、いや、本当、この会議に出ておられる方も、それを言っておられましたけれどもね。それはある一線のところを超えてはいけないんですよ。超えて、背伸びをして、無理をして注文をとってくるとか、無理な要求に応えてしまうとそれが当たり前、前例になるではないですか。だから、そこはある意味、必死に堪えて、それでも、うちの企業やっていけるのだということが、そこが広がっていかないと日本の社会全体が良くならないですよ、理想論にね」
反町キャスター
「皆、同じ覚悟でやる。抜け駆けなしですよね」
神津氏
「そうですね。そこは、ですから、先ほど、大臣が言われたように、中小企業は労働組合が組織率が低いんですよ。これは日本の歴史的な経緯もあるんですけれども。そうすると、うんと端折って言うと、労使関係があって、労働条件の交渉。私らは横で手を組んでやりますから。労働条件は談合を許されている世界ですから。だから、同じ業界の中で、皆で手をつないでやりましょうということで力を発揮できるんですよ。ところが、中小企業の世界はそこがなかなかベースにないものですから、これを新しくつくるのだぐらいのそういう社会構造のある意味、変革みたいなことにつなげていかないといけない。そういう話だと思いますね」

『長時間労働の是正』課題は?
反町キャスター
「36協定というのは、つまり、残業を制限するのではなくて、残業を青天井にする協定なのですか?」
神津氏
「本来は制限を持つためのものですね。ですから、特別条項というものがあって、月45時間、年間360時間という天井をいったんは設けているんですよ。だけれども、そのトラブル対応ですとか、クレーム処理とか、何かそういうことがあった時にはそれをまた上まわることができますみたいなことになっていて、結果として事実上、無制限になってしまっているんですよ。これは戦後すぐの労働基準法を、敗戦後、日本が新しい法律をどうつくるかの検討の過程には1回上限を設けるという案もあったんですよ。ところが、なぜそうならなかったのかと言うと、戦後すぐですから賃金はまだ低い。残業がないとやっていけませんねというのがあるとか、荒廃した国土を建て直すという時に、そんな上限を設けていいのかみたいな、たぶんそんなことだったのではないかと思うんですけれど、それが結局、36協定という仕組みで何とか限度を持ちましょうということになってきたのですが、その骨格が戦後70年の中で変わらないままずっと来てしまっているんです。だから、変えていかないと本当ダメだと思います」
反町キャスター
「加藤さん、この36協定の変更というか、見直しの中で、協定を結べば青天井というところがありました。たとえば、数値で上限をという話、神津さんから出ていましたけれども、たとえば、80とか、100とか、いろいろ言われるではないですか。巷では80を超えたら黄色信号、赤信号で100超えたら本当にまずよみたいな。具体的な数値を入れる可能性についてはどういう状況、どういう考えですか?」
加藤働き方改革担当相
「ですから、現在は8時間、40時間、これが決まっていて、あとの話は大臣告示という形で、もちろん、根拠は法律にありますけれども、実態は大臣告示でやられているわけですね。さらに、そこに36条の特別条項というのがあって、いわば青天井になっている。これは先ほど申し上げましたけれど、労使協定ですね。と言うことは、労働組合がないと、なかなか労使協定がつくりにくいわけですが、大企業がこういう形でつくっておられるということが1つあるということ。ですから、そこを含めて、しっかり議論していかなければいけないと思っています」
反町キャスター
「それは労働組合のある大企業から、労働時間の短縮をしていこうと聞こえます。そういうことでよろしいのですか?」
加藤働き方改革担当相
「労働時間というか、まず制度としては、ですから、制度と運用というのがあるのだと思います。この青天井というのは1つの制度の話ですから、これはかなり大企業が使われている。80時間超、100時間超の協定を結んでいる企業も中にはありますから、そこも含めて。単に制度ですから、ここまでやれますよというのと実際やっていますよというのは違うかもしれませんが、もしかしたらやれますよということになると、実際はそれでいく、ベクトルはそちらに行きがちですから。そこを含めて、どうしていくのか。それはこれからの議論です」
反町キャスター
「数値目標はつくると、話を聞いていると、たとえば、80と設定したら80でいいのだなと。既得権になってしまう」
加藤働き方改革担当相
「逆にそうなると思いますね」
反町キャスター
「そうすると、つくらない方がいいのですか?」
加藤働き方改革担当相
「いやいや、だから…」
反町キャスター
「つくらないと青天井だという批判がありますよね?」
加藤働き方改革担当相
「だから、80時間というのが2か月続くと、かなり厳しいということですから、それは論外だと思いますけれども、ただ、いずれにしてもそのへんをどう設定していくのか。一方で、青天井は引き下げなければいけない。しかし、そこまでいいですねということになると、最初の労働基準法の8時間、40時間とは何ですかということにもなるのだろうと思いますが、そこを含め、この会議でしっかりと議論をしていきたいなと思います」

『同一労働同一賃金』の課題
秋元キャスター
「ここからは働き方改革のもう1つの柱であります、同一労働同一賃金の実現について聞いていきます。大きな社会問題ともなっています正規社員、非正規社員の賃金格差ですけれども、正規社員の賃金が平均で321.1万円なのに対して、非正規社員は約201万円と、およそ1.5倍の差があります。年齢別に見ても、最大で200万円の差があるわけですけれど、この賃金格差を同一労働同一賃金によって縮めようということですが、加藤さん、なぜ政府は同一労働同一賃金を目指すことにしたのでしょうか?」
加藤働き方改革担当相
「それも1つの姿ですけれども、実際に働いている方の約4割、女性では5割を超える方が非正規という形で働いておられるわけです。背景にはもちろん、正規で働きたいのだけれども、そういう機会がないから非正規で働いている方、不本意な非正規だという言い方をしていますけれども、この人達は、でも、2割弱です。残りの8割超の方々はいろんな制約条件があるのでそういう働き方をしている。もちろん、もう1つ、正規があまりにも長時間労働でちょっとという部分もあると思いますけれど、そこは少し考えないといけないでしょうが、しかし、その中で働き方としてはあるけれども、十分に自分の仕事が評価されているのか、まさに処遇というものがなされているかという意味においては、それが1つであるし。ヨーロッパと比べるとフルタイムで働く、パートタイムで働く、これを時給換算するとヨーロッパの場合には、フルタイムが10とすれば、パートタイムが9とか8なのですが、日本の場合は6を切っているんですね。まったく同様に比較はできませんけれども、それはあまりにも差があり過ぎる。そこはしっかりと改善をしていく。そのことは働く方の、また処遇ということで。働き方の処遇がしっかりしていれば、その働き方をしたいのだけれども、処遇が良くないから違う働き方をしているという方も中にはいらっしゃると思うので、そういう意味では、多様な働き方につながっていくのだろうと思っています」
反町キャスター
「同一労働同一賃金の定義ですけれども、神津さんから見て、連合の言っている同一労働同一賃金と加藤さんが言う同一労働同一賃金はまったく同じものを想定されて、議論は進んでいるのですか?」
神津氏
「それもこれからだと思いますけれども、私ども連合がかねてから言っているのは均等待遇ということですよね。わかりやすいので同一労働同一賃金と言うことで、賃金にスポットをあてた言い方になっていますけれども、非正規という形態で働いている方々が非常に合理性を欠いた形で、ある種の差別を生んでしまっている。たとえば、社員食堂が使えないとか、通勤手当が出ないとか、こういうことは非合理的なので、そういう合理性を持たないことはとにかくダメよということだと思うんですね。賃金のところがどうかということになりますと、日本の賃金体系というのはご存知のように、職務給ではなくて、職能給が中心なわけですね。一定の賃金カーブがありますということですよね。そこでの働き方というのは一見、同じ職種、同じ職場で働いていたとしても、経験がどれだけあるか、技能がどれだけ高いものがあるか、従ってアウトプットもどれだけ高いものを出しているか、あるいは人を指導していくという、そういう立場にあるのかとか、いろんな要素があると思うんです。ヨーロッパの賃金制度とは違うので、どういう仕組みを日本で持つかというのはこの会議の中でもお互いに知恵を出し合いながら、法律にどう落とし込んでいくかが極めて大事ですから。そのことを会議のアウトプットを受けて、労政審として、具体的な制度設計、法律、そこにつなげていかないと、ということだと思います」
反町キャスター
「神津さん、年功賃金制、普通に、同じ仕事をしていても、毎年ちょっとずつ給料が上がっていくよねというのは先ほど、神津さんが何度か言われている、将来生活設計。そういうことから言うと必要なことになるのですか?」
神津氏
「そうですね。年功賃金という言い方は私らもどちらかと言うと、もう使わないというか、それは職能給ですよ」
反町キャスター
「ただ歳をとっているだけではなくて、歳を経るに比例した責任なり、能力なりというのが加わっているだろうという前提の賃金上昇ということですね?」
神津氏
「ええ。かつて確かに歳をとればというようなことが中心だったかもしれません。でも、それはいろんな工夫を労使ともにしながら、そこには能力が高まっているねと、そのことに応じて給料も上げていきましょう、あるいは生計費曲線というのがあります。それもある部分は担保しましょうと、そういう」
反町キャスター
「子育て費用がかかる時に手当を厚くするという話ですね?」
神津氏
「そうです。そういうことの合わせ技で、結果としての賃金カーブというものができているという…」
反町キャスター
「全然、今と変わらない。同じですよね、基本的に?」
神津氏
「ですから、そこは基本的に維持すべきだと思いますよ」
反町キャスター
「加藤さん、同一労働同一賃金の神津さんの説明、政府も同じ考えですか?」
加藤働き方改革担当相
「1つは、同一労働同一賃金というと、何か賃金だけという印象があると思うのですけれども、これは今言われたように処遇全体の、たとえば、福祉施設を使えるか、さらに言えば、職能能力というか、OJTとかOFFJTのような、そういった機会もあるか、ないか。そういうのも含め、これは議論をしていく必要があるのだと思います。それから、ヨーロッパの同一労働同一賃金ですけれども、同じ仕事をしていたら、その人のキャリアとか、何やら関係なく一緒かと。それはそんなことはないですね。いろいろとフランスやドイツの判例を勉強させていただきましたけれども、そういったことにも配慮をした形での判例も出ているんですね。ですから、そこも見ながら、しかし、日本の特別の違う部分もありますから、そこも含めながら大事なことはどういう賃金差、あるいはそうした違いが合理的なのか、合理的ではないのかということが非常にポイントだと思うんですね」
反町キャスター
「合理的な賃金格差?」
加藤働き方改革担当相
「職歴が違っているから(賃金が)違っているのだということであれば、正規で働いている人は長く働いている。非正規の人はこの間、入社したばっかりと、同じ仕事をしても違ってくる。それ自体が不合理だとは直ちにはならないと思います。我々はガイドラインをつくって、どういうものであれば合理的で、どういう差が合理的でないのかということをつくりあげていって、これを年内にお示しをしていきたいと思っています」

『働き方改革』の本気度
秋元キャスター
「働き方改革、どのくらいのスピード感で実現すべきだと考えていますか?」
神津氏
「私どもの立場からすればかねてから言い続けてきたことが日の目をみたという感じです。ですから、これはステップを刻んで、然るべく、遅滞なく、実現をはかっていくべきだと思います。36協定、労働時間の問題は戦後初めてですよ。70年間この文化に浸かってきたので、鉄は熱いうちに打てで、こういう議論をあたたかいうちに結果に結びつけるということが求められると思います」
加藤働き方改革担当相
「今回の働き方改革というのは長時間労働の是正とか、同一労働同一賃金とか、ある意味では福祉的視点というものもありますけれども、もう1つ同時にそのこと自体が企業を変えていく、生産性が高いものになっていく。それが日本の活力を高めていく、こういったことにもつながっていくということをしっかり押えていかなければいけない。そういう意味も含めて、働き方改革実現会議で、来年の3月までにこのプランをつくって、その中で必要とされる、法律改正、労働基準法の改正もあるかもしれません、あるいはそれ以外の法律の改正もあるかもしれません。そういったことに対してスピード感を持って、躊躇なく、取り組んでいくと総理が明言されていますから、我々は、そういうことを1つ1つ進めていきたいと思います。先ほど、労働政策審議会のお話もありました。どういう結論が出るのかによって、労働政策審議会でどう議論していただくかというのは議論していなければいけないと思いますけれども、大きな流れというか、そこは実現会議の中ではっきりと示していけるように努力をしていきたいと思います」
反町キャスター
「1年や2年でバンとやるのではなくて、数十年かけて徐々にやっていく方が、意味があるのではないですかというのは、そんなことはないですか?スピードによる混乱をどう考えますか?」
加藤働き方改革担当相
「あるべき姿にまでどういう段取りで持っていくのかはあるのだと思いますけれども、それに向けての大きな方向性と、法律的なスキームというのはある程度の段階で出していく必要があるのではないかと思います。ドイツのシュレーダー改革というのがあります。状況が違って、失業者が多いとか、日本とは状況が違いますけれど、働く人を増やして経済の発展につなげていこうということで、かなり時間をかけてやっていますよね。ですから、具体的なステップはステップバイステップでやらなければ無理があると。無理があれば、そこで物事は終わってしまうわけですから、皆さんの理解を得ながら、具体的な成果を感じながら、一歩一歩やっていくというのが求められてくると思います」

神津里季生 連合会長の提言:『長いものにはまかれるな!』
神津氏
「長いものにまかれろという言葉がありますけれど、日本人は同質性で皆、同じことを阿吽の呼吸だとか、お互いに何も言わなくてもわかるよなということがある中で、長いものにまかれるということがあるのですけれども、それではダメだということです。アウトプットに対しては正当な対価を求める、そういう姿勢がないと本当の意味でものにならないという、労働組合の立場からの主張です」

加藤勝信 働き方改革担当大臣の提言:『多様な働き方の実現』
加藤働き方改革担当相
「少子高齢化という構造的な課題に日本が取り組んでいくためにも、1人1人それぞれの状況の中で、活躍できる環境をつくっていくと。そのために多様な働き方ということをしっかりと実現していく必要があると思いますし、そういう意味では、我々も働く人の視点や立場に立って、この議論を進めていきたいと思っています」