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2016年10月11日(火)
働き方改革と高齢社会 『下流老人』はどこへ

ゲスト

鴨下一郎
自由民主党社会保障制度に関する特命委員長代理 衆議院議員
長妻昭
元厚生労働大臣 民進党衆議院議員
藤田孝典
NPO法人ほっとプラス代表理事

働き方改革と『下流老人』 高齢者の就労促進の背景
秋元キャスター
「安倍総理が腕まくりをして、この課題に取り組んでいくという働き方改革のポイント、3つですね。長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現、高齢者の就労促進。今夜はこの高齢者の就労促進について、詳しく話を聞いていくのですが、まずは鴨下さん、政府としてはなぜ高齢者の就労を促進しようとしているのでしょうか?」
鴨下議員
「1つは、高齢者といっても、60歳過ぎて70歳ぐらいまでの方というのは本当に元気な方が多いですから、そういう意味で、働きたいというような方もおいでになるのだけれども、それぞれ健康の状態とか、様々なところで、多様な方々が多いので、若い方は皆、元気ですけれど、少し働きたい、それから、フルに働きたい。こういうようなことで、就労の条件が整えば皆働きたいという方がおいでになるので、そういう意味で、そういう環境を整えていこうというのが1番重要だと思います。それとアベノミクスの中では、労働力というような意味においても相当いろんな意味で、たとえば、雇用したいと言ってもなかなかそうはならないということがありますので、高齢者の皆さんでもいろんな特技を持っている人、あるいはそれぞれこれまでのキャリアを活かしたい人、こういう人達は大いに働いていただいて日本経済を支えていただく、こういうような2面があるのだろうと思いますけれども、私ももう65歳を過ぎましたけれども、まだまだ元気で働けているという意味においては70歳ぐらいまではどなたも働ける。様々な条件さえ整えば働きたいという、こういうようなことをきちんと準備をしましょうというのが安倍総理の考えなのだろうと思います」
秋元キャスター
「藤田さんは多くの生活に困窮される高齢者の方と向き合われていますけれど、実際政府が進めようとしている政府の高齢者の就労促進をどのように見ていますか?」
藤田氏
「率直なところは、助かる人もいれば、もしかしたら不安を抱えて、働く先も得られないのではないかという方もいらっしゃるのだろうと思います。これは私達のもとには年間500件、たくさんの相談の方がきていますけれど、多くの方達が貧困と隣合わせで、身体的な疾患を抱えていたりだとか、病気を抱えている、あるいは物忘れ等、認知症も発症している方もいらっしゃるので、よくよく見ながら誰がどのようなことができるのかということを考えていかないと、単純に仕事がありますからこれを提供しましょうということではうまくいかないのかなと思います」
秋元キャスター
「先ほど、鴨下さんからも、高齢者の中にも元気な人が多いという話がありました。政府は高齢者の就労促進について、日本にはアクティブシニアとも言われる、元気で就労の意欲にあふれ、豊かな経験と知恵を持っている高齢者がたくさんおられる。他方、高齢者の7割近くが、65歳を超えても働きたいと願っているのに対して、実際に働いている人は2割にとどまっているとしています。内閣府の調査によりますと、何歳まで働きたいかという質問に対して、高齢者とされる65歳まで働きたいと答えた人の合計が65.9%にのぼっているんです。藤田さん、65歳を超えても働きたいという方、政府の言うようにポジティブな志向の方が多いのでしょうか?」
藤田氏
「そうですね。65歳以上の方でなぜ働きたいのかということを、まず丁寧に見ていかないといけないと思います。私達のもとに相談に来られる方達は所得が低い、年金が低い、あるいは現在の収入だと暮らせないから働きたいと、ポジティブなことを言わざるを得ないです。だから、ポジティブがなぜ、そういった発言、ポジティブな発言になっているのかということを分析せざるを得ないかなと思います。私達は少なくとも働かなくても暮らせるのか、働かないと暮らせないのか。多様なことを考えなくてはいけなくて。1つは年金が少ないから働かなければいけないとか。でも、体の調子が悪いのだけれども、働かなければいけないとか。そうなると、ほとんど強制労働に近い、苦しい状態の、苦役に近いという形になってきますので、このあたりは年金と社会保障を合わせて、セットで考えないといけない問題があるのかなと思います」

高齢者の就労促進と年金
反町キャスター
「年金世帯の家計簿、総務省が出している1つのモデルケースですが、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯のモデルケースとしては、こういうのがありますと。収入としては厚生年金などとして21万なんぼ。支出を見ていただくと、いろいろなものを積み上げていくと結局、不足分6万2000円が足りないということが出てきますよと。そういう、1つのモデルケースの表示が出ているのですけれども、鴨下さん、このモデルケースというのは、あとで国民年金の人だけのケースもやるのですが、それに比べればはるかに恵まれた家庭だと思いますよ。それでも、このモデルケースで足りないという総務省のデータからきているのですけれども」
鴨下議員
「この6万円分というのは、私は比較的恵まれている方々のパターンで、場合によると、もしこれで配偶者のどちらかが病気になられた時には貯金を取り崩すか、それとも家族がある程度がサポートするか、それでも本当にうまくいかない場合には今度は国が何らかの形、あるいは行政が何らかの形でサポートせざるを得ないという事態にいずれなるかもわからないけれども。いわばフローと全体のバランスから言うと、私はこういう方は6万円を切り詰めるか、働いて、その分余裕を持って、いわばリタイヤ後を楽しむか。こういうようなことで、私は働かれた方がより豊かな生活をするというような選択をこの方々はするのではないかと思います」
反町キャスター
「そういう意味で言うと、厚生年金というのはイメージとして所得代替率、だいたい50%と言われているではないですか。リタイヤ直前の所得の半分ぐらいでしたか、そのぐらいを保障するという前提で組まれているというイメージだと思うのですが」
鴨下議員
「年金制度から言うと、それを支えている人達というのは現役世代ですから。現役世代の方々が負担をして、そういう方を支える。それはお互いに、世代間の扶養ですから、そういう制度ですけれども、ただ、厚生年金は全部、リタイヤしたあとは海外旅行に時々お出でになったりとか、それから、いろいろな温泉に春、夏、行ったりとか、こういう分は現役世代にその負担をお願いするというよりは、むしろ自分達で稼ぎ出したお金でやっていただかないと、4000万人、年金を給付している方々がいるわけで、支えている側が約6000万人ですから、そういう人達は住宅ローンも払って、子育ての負担もして、日々の生活をして、なおかつ社会保険料を払ってと。こういうようなことですから、お互いの助け合いからいうと、高齢者もできるだけ、場合によって人生を楽しむ分のお金は働いて稼いでもらいたいと、こう思います」
反町キャスター
「長妻さんは、このケースというのはかなり恵まれた人達のケースだと思いますか?」
長妻議員
「実際、家計調査ではご夫婦での厚生年金受給者の、無職と限定するとだいたい平均ですね、これが、厚生年金の。ただ、問題は1人暮らしの高齢者、現在65歳以上の1人暮らしの高齢者が6人に1人。東京は3人に1人が1人暮らしなので、そこは相当、困窮しています。これで厚生年金は恵まれていると言われているのですら、6万円の不足があると。そうすると、たとえば、貯金で取り崩すわけですが、たとえば、1000万円の貯金があっても、15年でなくなっちゃうわけですね。鴨下先生がおっしゃったように、じゃあ働こうと。働ける人はいいですよ、それは。働こうと。働けると。政治が着目しなければいけないのは働こうと思えば、働ける方ではなく、働こうと思っても、働けるけれど、本当に腰痛で、もう本当に半日しか働けないとか、あるいは全然働けないとか、そういう方に相当しわ寄せがのしかかっているから、そこをどうしようかということが本当に重要ですね」

年金生活の実態は?
反町キャスター
「藤田さんから見ている中で、比較的、厚生年金できちんと二十何万円を貰っている人達ですよね。もらっていない人達の状況で言うと藤田さんの見ていたものを説明いただけますか?」
藤田氏
「まず先ほどのものは厚生年金を受給されているご夫婦ですけれども、こちらは国民年金ですかね。国民年金で2人暮らしをするという場合には、国民年金は1人あたり平均すると5万円ぐらいしか支給されていないのですが、ご夫婦2人だと約10万円ぐらいですね。埼玉で住まわれているご夫婦ですけれど、家賃が5万円ぐらいかかるということ、食費、医療・介護費、あとは通信費等、いろいろかかってきて、少なくとも年金だけでは暮らせないので」
反町キャスター
「実際にこういう方はたくさんいるのですか?」
藤田氏
「たくさんいますね。これは膨大な数と言っていいぐらい」
反町キャスター
「夫婦で、国民年金だけで暮らせるのですか?暮らしている、足りないですけれども」
藤田氏
「なので、食費を切り詰めるとか、いずれにしてもいろんな必要なものを縮めながら、減らして、暮らしている方が多いですね」
反町キャスター
「藤田さん、僕らが昔、教わった限りで言うと、国民年金というのは個人事業主とか、商店主とか、そういう人達が入ってくる年金であって、一生涯店は続くし、商売はできるから、高齢、リタイヤというか、65歳過ぎたあとの、言葉は悪いけどある方はお小遣いとおっしゃいましたよ。生活にある程度、余裕を持たせるための、そういうものであると。でも、そういう形で、2人で10万円、カチッと、そこに生活の基盤を置くという人達は、つまり、商売もやっていなければ、個人事業主でもない、そういう皆さんがいると。そういう意味ですよね?」
藤田氏
「そうです。だから、まず個人商店とか、自営業自体が減っていますので、それこそ都内、首都圏、都市部はショッピングセンターとか大型の店舗がありますので。だから、軒並み自営ができないというのですか、想定していた若い時期は死ぬまで自営をしながら働けるだろうと、年金は働く自営の収入と、それを補填するようなそういう役割しかないのだろうということで老後の設計をされていたという方がいらっしゃるのですが、これは後継者不足ということもありますし。そもそも自営自体が成り立たなくなっているという背景もありますので、だから、予想していたよりもはるかに老後が大変だという、元自営業者であるとか、農業の方とか、漁業の方という方達が非常に多く出てきていますね」

高齢者就労と社会保障
秋元キャスター
「高齢者の就業率と社会保障等の負担率を表した国民負担率の国際比較です。青い棒線が就業率、赤い線が国民負担率です。日本は現状で他の先進国に比べて、高齢者の就業率が最も高くなっています。国民負担率が同じぐらいのカナダと比べましても8ポイント近く高くなっているんですね。鴨下さん、この現状どう捉えられていますか?」
鴨下議員
「日本はよくやっていると思います。それは高齢者の皆さんも元気な方は一生懸命に働いてくれるし、現役世代との助け合いですから、社会保障というのは。だから、現役世代にこれ以上過剰な負担をかけないと。こういうような意味においては、高齢者の皆さんで働ける方はがんばっていただくというのが、私は大原則だと思います。たとえば、北欧諸国のようにある程度リタイヤしたあとは年金生活で人生を謳歌するという話というのは必ずしも、私は国家として健全だとも思わない。むしろお互いに皆が、働ける人間は働いてお互いに支え合うと。これは世代を超えてそうやるべきですし、むしろ現役世代に負担がかかり過ぎているので、特に我々日本は、特殊に団塊の世代のような、1つの世代の塊が、これから、75歳を迎えて、医療費もたくさんかかるし、年金もある意味、厚生年金でフルペンションの人が増えるわけですから、そういう人達が皆、海外旅行に行くとか、人生を謳歌されるだけだとしたら困って。むしろ働ける人は働く、キャリアを持っている人はそのキャリアを活かしてもらわないといけない。こうしてできるだけ現役世代の人がこれ以上、社会保障で負担がかからないようにというのが、安倍総理が1億総活躍と言うのでしたら、現役世代の6000万人が本当にこのストレスで倒れないような、こういうような意味で、私は元気な高齢者はもっとがんばってもらいたいと思います」
長妻議員
「働きたい人はもう働いていますよね。この図は非常に興味深いんですけれど、この通りだと思います。つまり、国民負担率というのはおっしゃるように国民の負担そのものではなく、国民の所得に占める税と社会保障の負担の比率です。当たり前ですけれど、国民負担率が低い国は自助努力と家族の負担、これが増えるわけですね、当たり前ですね。ですから、自助努力が増えていると就業率はちょうど比例しているということはその通りですし、あと家族の負担も増えるわけです。社会保障が薄くなるということですから。その場合は働ける人はいいですよ。ところが、働けない人と働ける人の格差が開いてくる。今や日本は先進国ではアメリカに次いで格差が2番目に大きくなったと。ですから、こういう問題をどうするのかと。日本の場合、国民負担率が上げるととんでもないという議論は多いのですが、ただ、国民負担率を一定程度上げると家族の負担と自己負担が下がってくると。トレードオフ関係にあるものですから、そういうメリットを見ないといけない。たとえば、国民負担率を下げると言ったら明日、医療は窓口負担、全員5割だと言えば、国民負担率が下がります。でも、うれしいかというと、うれしくないわけですから、国民の皆さんは。ですから、その国民負担率と、自助努力、家族の負担、これをどうトレードオフを勘案していくかということは、議論をしていく必要があるんですね。もう少しお金に余裕がある方にはご負担いただくという議論も始める必要があると思うんですよね」
鴨下議員
「最後は私も賛同しますけれども、ただ、国民負担率は普通に自然体でいけば増えていきますよ。たとえば、消費税も増えますし、介護保険料だとか、自動的に上がりますし。ですから、そういう意味で、可処分所得が減ってなおかつ負担率が上がっていく。だけど、それをある程度のところで収めていかないと今度は全体で活力を失ってしまうので、活力ある高齢社会をつくっていくという意味においては、長妻さんはおっしゃるけれど、自助努力できる人は自助努力をするし、それから、お互いに助け合う、共助、公助とのベストミックスをつくっていくというのが、3党合意時の社会保障改革推進基本法というのを一緒に共同提案をしてつくってきたけれども、その中にも、自助、共助、公助、3つがちゃんとバランスよくないとダメだと。公助だけだと、それは結果的に税金か、保険料で賄うしかないのですから、それを負担している人は本当につらくなっちゃうし。ただでさえ高齢者が増えていく、こういう時においては自助努力というキーワードというのは、私は高齢者にとって考えていただけなければいけないこと。ただ、働けない人は別ですよ」

高齢者就労の現状と課題
秋元キャスター
「高齢者の就労と現状と課題について働く方を取り巻く環境を見ていきますが、有効求人倍率はリーマンショック以降、年々上がっています。また、この2年は月間求人数、月間求職者数も上まわっていて、高齢者に関しても職は増えているというのが現状を見てもわかるのですけれど、藤田さん、これはアベノミクスの効果と見ていいのでしょうか?」
藤田氏
「そうですね。まず1つは求人数が伸びていますし、高齢者の方の中でも働ける人は働いているという状況があるのかなと思いますね。問題はどういう雇用形態で働いているかでして、高齢者の方で働いている方達の7割が非正規です。パート、アルバイト、派遣社員等。なので、低賃金で、あるいは過酷な労働をしている可能性が非常に高い状況ですので、だから、単純に求人倍率が高くなって高齢者の就労者数が増えればいいという話ではなく、雇用の中身を丁寧に見ていく必要があるのかなと思います。ただ、何も収入がないという方もいらっしゃるし、どこも働く場所がなければ年金だけだと暮らせないという方もいらっしゃるので、就労の機会が増えることは非常に良いことだとは思います」
反町キャスター
「2つありまして、藤田さん、まずその意味で言うと、表を見る限りにおいては、全世代の平均と高齢者の平均でだいたいほぼ平行しているということは、日本の景気がアベノミクスの効果によってか、人口が減少しているせいかわからないけれども、雇用が、労働市場がタイトになっていることに従って、高齢者の働き口も確実に数的な条件は良くなっている、これはあるんですよね?」
藤田氏
「そうですね。はい」
反町キャスター
「そのうえで、7割が非正規と言いましたけれども、敢えて聞くと、たとえば、高齢者の方がフルタイムで正規労働になって、厚生年金、企業負担が半分でとか、社会保険料を企業が負担をしてとか、必要ですか?」
藤田氏
「そうですね」
反町キャスター
「要らないのではないかという。その意味においてはそれこそ怒られるのを覚悟で聞くと、高齢者である程度、基本的に国民年金、ないしは厚生年金がある人は生活費の補助としての労働を求める皆さんにとっては、非正規の方が働きやすい可能性、これはないのですか?」
藤田氏
「そうですね。だから、自由な時間を使って、パート、アルバイトという形態が非常に多いということですね。それはいいと思いますね。ただ、問題は正社員的に長時間、なるべく働きたいというニーズもあります。様々な方がいらっしゃるので、その中で実際には、高齢者の雇用を是非見ていただけたならと思いますけれども、実際、パート、アルバイトしかないという状況ですね、ほとんどは。選択肢の余地がないという実態がありますので、このあたりは、たとえば、国民年金だけでは暮らせないという方はやむにやまれず非正規で働いているという状況がありますので、その分は様々な条件を加味して正社員の道とか、そういった安定雇用を考えてもいいのかなと思います」
鴨下議員
「正規で働くのがベストかどうかというのは、私は疑問があります。むしろ非正規で弾力的に、あるいは派遣で必要な企業に都度派遣されるとか、こういうような形で、弾力的な働き方が1番、高齢者にとってはいいのではないかと思います。それはなぜかと言うと、年齢的にも65歳を超えていくと、かなり同じ世代でも体力にも差が出てきますし、それから、労働の仕方にも単純肉体労働と、それから、ある程度これまでのキャリアを活かした働き方と、そうではなくて高齢者の老老介護がありましたけれども、高齢者の方が、たとえば、介護の高齢者に対して手厚いコミュニケーションが出来たり、こういうので若者にはない、いわばメリットというか、能力というのを持っている方がいるので、そういう人がうまくミスマッチにならないように、そういうところで働いていただく。そういう工夫というのをしていくのが必要なのであって。企業にとって、65歳以上の人を正規でお願いするというのは少し重た過ぎるかなと思いますし、本人も正規になったら朝9時に行って、タイムカードを押してと。いや、ちょっとだるいから今日は…という、そういうわけにはいかないので、ご都合のいい時にご都合のいい時間だけ上手に働ける。こういうような仕かけをもっと社会が工夫すると。こういうことだろうと思います」
秋元キャスター
「藤田さん、実際、高齢の方というのはどういうところで働いているのかは?」
藤田氏
「先ほどから、年金が足りないから働かざるを得ないというのが非常に多いので、なので、週5日、8時間働いている方も非常に多いですね」
反町キャスター
「週5日フルタイムで8時間働くのならば、非正規より正規の方が賃金は上ですよね?」
藤田氏
「そうです。だから、そういった意味で、年金が少ないために働かざるを得ないという方達は多くの場合、こういった産業ですか、ビルメンテナンスの業界とか、運送業とか、警備業とか、新聞の販売とか、輸送とかですかね。そういうもので働いていますけれども、軒並み60歳以上の労災発生率が非常に高い状況で、なので、これも十分企業側が配慮して、労災が起こりやすい業種というのがありますので、働き方改革を進めるのであれば、サービスの質とか、あるいは労働者の安全とか、そういう面も考慮しながら検討する必要はあると思いますね」
反町キャスター
「それはビルメンテナンスとか、そういう仕事で高齢者が働くケースが多いというのは、それは20代、30代の人達が行かないからですか?それとも慢性的に人手不足で、ここが高齢者を吸収する力になっている、吸収しているという、そういう理解でよろしいのですか?」
藤田氏
「そうです。まさに常時、労働力不足というところがある業界が非常に多いかなと思いますね。人手不足が常にあって、若い方達は正規で入ることが難しいとか、正規の仕事だと続けられないという方があって、高齢者の方達が非正規雇用でその部分を担っているという状況ですかね。いずれにしても今日ここで挙げているような業界の方たちはなかなか60歳以上の高齢者の労働者に依存をしているという傾向もあって、ですから、高齢者の方がいないとまわらないという業界自体があるんですよね」
反町キャスター
「この労災の発生件数を見てみると、シニアになればなるほど、事故が起きるのだと考えた時に、たとえば、ビルメンテナンスなどの仕事に高齢者の求職が集中している、偏っている。ここの部分というのは、これは有効求人倍率が1を超えたからいいのだという割切りができない部分がありますよね?」
鴨下議員
「そうです」
反町キャスター
「高齢者にも選択の幅が当然あっていいわけだし、もしかしたら、ここでミスマッチが生まれているかもしれないし、そういうところについてはどう取り組まれていくのですか?」
鴨下議員
「でも、これ見ますと、たとえば、ビルメンテナンス、それから、土木工事はどうかわかりませんけれども、警備業、こういうようなことを考えてみますと、これ縦軸は絶対数で出ていますよね。1800人。そうすると、ビルメンテナンスというのは、たぶんトータルの人数が多いのだと思います。こう言ってはなんですけれども、床を磨いたり、トイレの掃除をしたり、そういうようなことは若い人達はあまり好まないけれども、比較的、体力的な負荷が少なくて、なおかつご高齢の人でも働きやすいという意味で、比較的、高齢者の就労形態とビルメンテナンスは親和性が高いのだろうと、こういうふうに私は、話を聞きながら絶対数が多いというので。これあれですよね、労災の発生頻度という意味では、果たしてビルメンテナンスが多いかと言うと、もしかすると土木作業をやっている人の方が足場で踏み外して骨折するとか、こういうようなことで言うと発生頻度はもしかすると他の業態の方が多いかもわからない」
長妻議員
「高齢者が希望するのは事務職が多いですね。若い頃、事務職をしていたから。ただ、ミスマッチということで今みたいな職がほとんどになってしまうのと、セーフティネットがあるということなのですが、私が会った高齢者の方々は生活保護は考えていないと。国の世話にはならないということで、働けるまで働こうと。自分が働けなくなったら、本当に家計が破綻してしまうから、そういう強迫観念を持って、本当に一生懸命に、体が壊れても働く。そういう方もたくさんいらっしゃるので、そういう方に対する手立てを、国がちゃんと示すということが必要だと思いますね」

高齢者就労の展望
秋元キャスター
「藤田さん、高齢者が必ずしも自分が就きたい仕事に就いているとは限らないという話を先ほどしたと思うのですが、そういう現状の中で高齢者にはどういった仕事が望ましいのかということですけれども」
藤田議員
「そうですね。まず年金だけでは足りなくて、働かざるを得ないという方達が非常に多いという実態は見えてきたかと思いますし、その方達がどんな仕事をしているかというと、本人が望まない仕事もせざるを得ない状況にあるのではないかということですね。できれば、働き方改革ということであれば、本人達が意欲を持って働けるような場所が増えていくといいかなと思います。どうしても働くとなるとどこかの企業に雇用されるという形態を思い浮かべがちですけれども、農業もありますし、様々な働き方ということがあって然るべきだと思いますし、あと海外だとよくされているのが、協同労働という形なのですが、協同で皆がお金を支出して、自分達の仕事を自分達でつくっていくという」
反町キャスター
「会社をつくるのですか?」
藤田氏
「会社、組合みたいなものですかね。そういったものをつくって、皆が出資して、皆が働くというような、たとえば、道の駅は全国各地にありますけれど、道の駅に食品を出すとか、あれも高齢者の方達が出資してつくっているというケースもありますし、あと最近、介護は人手不足がありますので、協同組合の方達が介護事業所をつくって、自分達の介護、面倒を皆で担っていこうという形態もありますし。イタリアでも、フランスでも、どの国でも協同労働という形、雇われない形の働き方も1つ選択肢にあると」
反町キャスター
「それで、協同で、社長とかはいないの?」
藤田氏
「だから、皆が社長、皆が労働者というような形の働き方ですね。なので、なかなか日本だとしっくり、まだ理解がされないところもありますけれど、海外だと既に協同労働のための、促進するための法律とかができています。だから、雇われないでも自分達で仕事をつくりだしていくというのですか。特にアクティブシニアということであれば、自分達で起業するとか、自分達で出資をして働いていくというのですかね。そういうあり方も検討されていいのかなと思います」
長妻議員
「これは国会でも議論になっているところでありますが、いわゆる政府の言葉でいうアクティブシニア、そういう方々ではないかとも思わなくもないですけれど、つまり、2つに分けて考えなければいけないのは、お金のために必死に働かないと家計が破綻して、働かざるを得ない高齢者は収入も安定できるかどうかということもありますし、日本ではまだ定着していませんし。体がきつくても稼がないと家庭が破綻してしまうという高齢者の就労をどう考えるのか、あるいはセーフティネットをどう考えるか。そうではなくて、一定程度体力もお金もある程度余裕があって、社会で働いていこうという方々をどう社会が活用していくのかというような2つの観点があるのではないか」
反町キャスター
「協同労働は余裕のある人達の働き方であると?」
長妻議員
「日本だとまだ収入が安定的にキチッと得られるかどうかということもあると思うんですよ。ただ、地元の名産とか、あるいは福祉施設とか、そういうところの周辺を取り巻くような形で、そういう形態はこれからドンドン推し進める必要があると思いますが、今お金に困って破綻寸前で働こうという人がそこに行って十分お金を恒常的に稼げるかというとまだまだと思いますので、全体の仕組みを変えていかないといけないと思います」
鴨下議員
「私は大賛成ですけれども、同じ高齢者でもそれぞれ生きてきた道というのがありますから、あまり人に指図されて働くのが嫌だという人もたくさんいるんですよね。これまでは上司の指示に従って働いてきたけれど、歳をとってからも、同じようなことで指図されると嫌だとか、すごくプライドを傷つけられるという人達も多いものですから、それだったら、自主的に参画して働けるという環境があれば、同じトイレ掃除をするのであっても、自分達が決めてやるのだったら、積極的にやれるけれど、誰かに言われてここをきれいにしてくれと言われると、そんなのだったら、俺は働きたくない、私は働きたくないと思う方もたくさんいる。その環境を整えていくというのはある意味で高齢者就労の知恵の出しどころだと思います。働く意味や、主体的に参加している生きがいとか、こういうものも持てて、ついでにお金もきちんと稼げるというのが揃った方が、高齢者は働くことに対してのモチベーションが必ずしも高くない人もいますから、そういう人達が社会の中に参画していくという意味では、先ほどの協同労働というのはすごくいいアイデアだと思います」

高齢者就労のこれから
秋元キャスター
「年金の支給額が今後さらに減っていきそうですね。こうなってくると選択の余地があるのか?長妻さん、年金制度自体を維持するためのものになっていませんか?」
長妻議員
「物価が上がっても賃金が下がった場合、これまでプラマイゼロだったのですが、今度は賃金に連動して年金を下げるという、これは我々の時にはなかったのですが、今回、安倍内閣になって突然出てきたわけで。政府は木を見て、森を見ずというか、年金財政を100年安心と言っている手前、いかに100年もたせるのかということで、ドンドン削っていくと。結局、年金の役割を果たさなくなってしまうのではないかと。年金財政を守って、老後生活を守れないというような時期にきていて、たとえば、マクロスライドをドンドンかけていくと、基礎年金部分が所得代替率で30年後に3割減る、相当厳しい状況になって、先ほどの年金制度の平均像を見ても厚生年金でも赤字が6万円出ているという現状でありますから、ここはいったん立ち止まって抜本改革をもう1回きちんと議論して、本当に下支え機能をいったいどうしていくのか。基礎年金とは何ぞやということを、議論を始めて、最低保障機能を基礎年金に持たせるように。基礎年金にもマクロスライドをドンドンかけていくと全体の下支えの役割ができなくなってくると。そうすると、生活保護がドッと増えていくということがまったなしでくるので、しかも、社会保障費のピークが2025年ですよね。団塊の世代が全員75歳以上になる。昭和に換算すると、昭和100年問題と言われているのですが、あと9年経つと社会保障費がピークを迎えるわけですから、ここで全体像を議論して、下支え機能を提案、提示して、実行することが必要だと思います」
反町キャスター
「消費税が10%でも足りないスケールの話ですよね。10年後、20年後を見越した時に消費税をどう考えるのかをやる議論の場が与野党間にあるのですか?」
長妻議員
「ないですから。そこは内政の最大の問題だと思うんですね」
鴨下議員
「社会保障が2025年に胸突き八丁というのは確かです。ですから、そういう中で野党与党を超えて、しっかりと将来像を示していくというのは本当に重要なことです。特に年金はある程度数字計算でいけますけれども、医療は高い薬も出てきたりして、高齢者世代に3割の負担をお願いすることも必要かとか、そういう議論は必ず出てきますから、そういうところは対決的な話になってしまうと前に進まなくなるということがありますので、長妻さんがおっしゃっていることは建設的だと思います」

鴨下一郎 自由民主党社会保障制度に関する特命委員長代理の提言:『多様なメニューと選択』
鴨下議員
「高齢者はそれぞれ個別的だと思います。すごく元気な人もいるし、病弱で、働けない人もいます。そういう濃淡がある中で、政府、あるいは企業は多様な選択肢を示して、1日だけ働いてくださいという場合もあるし、正規でばっちり働いてくださいという、いろいろなメニューの中から高齢者の皆さんが選択できるという、こういう仕組みをどうつくっていくのかというのが行政と政治の知恵だと思います」

長妻昭 元厚生労働大臣の提言:『×強制労働』
長妻議員
「あえて刺激的な強勢労働は×という言葉を使ったのですが。望まないけれども、家計が破綻するから体がきついけれども、病気だけれども、働かざるを得ない。そういうところ追い込まれる高齢者を少しでも少なくするということで、高齢者の就労支援と言った時にそういう配慮もよく見ていただいて、全てがアクティブシニアと言われる人達ではないわけでありますから、そういうところが非常に気になります」

藤田孝典 NPO法人ほっとプラス代表理事の提言:『幅広い選択肢』
藤田氏
「健康寿命と平均寿命の差が10年ぐらいあるということが指摘されていますので、働ける方と働けない方、多様な方がいらっしゃるということですね。ですので、週1回働きたいという方もいらっしゃれば、週5日働きたいという方もいらっしゃるので、それに応じた多様なメニューですね。強制労働ということにならないように、いろんな選択肢を働き方改革で示していただけると非常に選びやすいかなと思っています」