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2016年10月10日(月)
北朝鮮祝賀日に何が? 訪朝教授が見た金体制

ゲスト

佐藤正久
前参院外交防衛委員長 自由民主党参議院議員
田中均
日本総研国際戦略研究所理事長 元外務審議官
武貞秀士
拓殖大学海外事情研究所特任教授

北朝鮮『核の暴走』は今…党記念日『静けさ』の背景は?
秋元キャスター
「10月6日、北朝鮮メディアは外務省報道官の談話として『オバマ政権が敵視政策を捨てず、核と軍事的な脅しで圧力を加えてきたことが、我々を核の強国にする結果を招いた。近い将来、我が国を狙った矛先が米国自身に向けられ、身震いするような現実に直面することになる』と声明を発表しています。週末から北朝鮮のミサイル基地周辺や核実験場と見られています坑道付近で、人や車両の動きが慌ただしくなっているとの情報が伝えられています。今日は、特に動きがないということですけれども、佐藤さん、現状をどのように見ていますか?」
佐藤議員
「そもそもこれまでの創建記念日というのを見てみますと、昨年のパレードのような大きなパレードをやっているのは5年に1回なんですね。今回は71周年ということなので、そもそもこれまでの流れから見ても大きな行動は起こさないということはたぶんあり得る選択肢の1つだと思います。一方で、今回もいろいろ言われた中で、挑発行為を起こさなかった1つの理由は、米韓が10日から15日までの間で軍事演習を始めたんですね。それも日本海と、済州島付近と、黄海と、朝鮮半島を巻くような形でやっている。このような中で挑発行為としてミサイルを撃ったとしても、西にも、東にも、南にも米韓がいますから。そうすると、それはミサイルも発射しにくいという状況でないかなとは思います」
反町キャスター
「米韓合同軍事演習は、黄海、済州島周辺、日本海というこの3つの海域で、事実上、朝鮮半島を囲う全ての海域で合同演習を行うと。これは過去における米韓合同軍事演習ではよくあったことですか?」
佐藤議員
「これまでも大きな演習はあったとは思いますけれど、記念日に合わせた形で大規模なものをやる、しかも、横須賀にいる原子力空母ロナルド・レーガンまで投入すると。さらに、韓国の方は海軍40隻の艦艇が出ている。かなりレベルが高い、規模の大きいものだと思います」
秋元キャスター
「米韓軍事合同演習というのは、この10日を狙って、このタイミングでやろうということに?」
佐藤議員
「考えていると思いますよ。10日から15日という、この時期にぶつけていったという、これは定期的な軍事演習ではないですよ。いつもはやっていない演習ですから。しかも、今回は狙いが、北朝鮮が韓国に攻め入った時に、どうやって報復をするかという部分。どちらかと言うと止めるというよりも、いかにして報復をするかというのを重点に置いた演習と言われています。抑止力というのはやったら、もっとやられるか。やっても意味がないと相手が思わないと抑止できませんから。特に1番の抑止力は報復力ですから。やったら、もっとやられるという部分が今回の演習で1つの眼目だとすれば、なかなか手を出しづらいとは思います」
反町キャスター
「5年おきぐらいしか大きいことはやらないんだよと。確かに65周年、70周年には大軍事パレードを行ったんだけれども、今年はこれまでに核実験やら、ミサイル実験やら、いろいろやってきている中で、今年の創建記念日には何かあるのではないかと思って皆、緊張をして見ていたし、その通りだとすれば、アメリカや韓国も何かあるかもしれないということの抑止としての大海上合同軍演習の展開をしたという見方というのは北朝鮮は、持っていますか?」
武貞特任教授
「そうですね、ただ、今年、1月6日に核実験をしまして、もう1度、9月9日に核実験を行った。他にミサイル発射も何回もしておりますけれども、北朝鮮の核兵器は軍事目的の武器ですからね。軍事的な動機、考え、ロードマップがあって、こういうタイミングでこのミサイルの射程を確認しようとか、核実験であれば、混合型の弾頭実験をしようとかというロードマップがある中で、いつ頃実験をしようかという時に、西側陣営のこういう体制の時にやったら、きっと驚くだろうと。こういうところに着水、着弾したら、きっと日本はこういう反応をするだろうと計算をするだろうとか、まず軍事的な狙い、目的、自分達の軍事力、権勢をロードマップの中でタイミングを決めていっているわけですよ。今回は核実験もミサイル発射をしてもおかしくなかったと思います。報道によりますと、そういう動きがあちらこちらに見られたものの、何か起こりそうな雰囲気だった。それは間違いないと思いますけれども、なぜしなかったか考えますと、自信を持ったんですね。北朝鮮は最近、自分の軍事力に自信を持って、大事な核実験のいろいろな材料も、そんなに使う必要もないと。大事なもう1回のミサイルを10月10日にするのはちょっともったいないと金正恩委員長が思った結果、今日、発射をしなかったに過ぎないのではないですか」
田中氏
「以前の金正日の時と明らかに違うのは、核戦力を完成させようと明々白々に世の中に打って出て、そういう準備をしているということだと思うんですよ。ですから、金正恩氏の4年間に3回核実験をして、それで35回弾道ミサイルの実験をしているわけですよね。彼らが見せているのは、自分は核戦力として本当に実践配備できるような形で突き進んでいるよということを世の中の示しているということだと思うんです。以前は政治的な目的のために、核実験とか、ミサイル実験を使っていたのですが、これは軍事的な要請からやってきていると。どこで次の実験があるか、政治的な意味はもちろんあるのだけれども、彼はもう少し長い目で見ているのではないかと思うんですね。たとえば、国連安保理の制裁決議がどうなっていくかとか。それから、11月8日に米国大統領選挙もある。だからたぶん年末に至る中で、どういう形で何をやれば、1番効果的かということも見ているのだと思いますね」
反町キャスター
「そもそも軍事的な技術はある程度完成している?」
田中氏
「かなり完成しているのではないかと」

何を狙う?金正恩体制
反町キャスター
「北朝鮮は、たとえば、今回の軍事演習も守るということよりも北が南進してきた時からの反撃を念頭に置いた訓練だと、そういうようなことまで考えた時に平壌は(米国が)自分のところに空爆をかけてくる可能性をどう考えているのですか?」
武貞特任教授
「空爆をかけてくる可能性があるので、北は守るためにいろいろと軍事力を強化していかなければならないと毎日のように報道をしています。公式報道ではそうでしょうね。ただ、私は、北朝鮮は1948年9月9日の建国以来、あまり防衛ということを考えたことがないかもしれないと最近思うんですよ。攻めることはずっと考えてきたけれど、守ることはあまり考えていない。実際に歴史的な事実を見ても攻められるかなと向こうの公式報道には出てきますけれど、実際の戦力の配置も38度線のすぐ北側に攻撃用の戦車とかを置いて。平壌の街を車で走ると、高射砲とか、地対空ミサイルの基地がどこかにあるかという雰囲気もあまりない。見せてくれるわけもありませんけど、高層ビルに行ってどうぞ1時間、2時間ビデオカメラで撮ってくださいと。韓国は守ることばかり考えてきたから、ホテルの何階以上ではカメラで写真を市内で撮らないでくださいと言います。守るために一生懸命にいろんなことを考えているのが韓国。いつ攻めることができるのだろうかとずっと建国以来考えてきたのが北朝鮮。しかし、守ることは考えていませんと北朝鮮が公式報道で言わないのは、言った瞬間に脆弱性を示すことになりますから言わないだけで、実態は攻めることだけを考えてきた。つまり、アメリカがそういう体制をとったとしても北朝鮮は本当に恐れおののいているかと言えば、私はそうではないと思います」
佐藤議員
「実は韓国の首都ソウルとか、仁川とか、その間の京畿道、ここに韓国人口の約半分の2500万人ぐらいいると。それは国境線、分離地帯、DNEから60km、70km圏内です。仮にアメリカから先制攻撃にあったとしても全部の長射程砲兵を全滅はできませんから、間違いなく反撃を北朝鮮がします。そうすると、かなりの犠牲がソウルとか、仁川、京畿道から出る。人口の半分の2500万人もいるのですから。相当なリスクをアメリカも、韓国も覚悟しなければいけないので、そういうことを考えるとするのは簡単ではないと思います」

米国に打つ手はあるのか
反町キャスター
「アメリカの軍事力行使の可能性をどのように見ていますか?」
田中氏
「現実にアメリカは先制攻撃をやるということを研究したんですよね、1990年代の半ば頃に。国務長官だったペリーさんです。それで研究をして本当にやろうとした。ところが、佐藤さんがおっしゃったように先制攻撃だけで終ればいいけれども、そうではないわけですから。明らかに反撃を受ける。その結果のコストはすごく大きい。それから、北朝鮮施設は地下に潜っているわけですよね。その地下を全部叩くというのは、ほとんど無理だと。だから、先制攻撃を諦めたという経緯があるので、先制攻撃以外の方法で核問題を扱おうということをやった。それがペリー・プロセスと言われているやつですね。現在アメリカで先制攻撃の話が出ているのは事実ですよ。だけど、それに直接飛びつくとは、私は到底思えない。その前にやるべきことがある。これは先制攻撃に至らなくて、核開発を止めさせるためにやるべきことはあると思うんですよ。そちらの方にいくと思いますね」
反町キャスター
「話し合い路線という言い方ではなく?」
田中氏
「話し合いではないと思うんです。要するに、選択を迫らなければいけないわけですね、どこかで。彼らは併進路線と言っている。我々は併進ではなくて、あなた方は、体制を守りたいのか、核兵器の開発を続けたいのか。どちらかしかとれないよという一種の迫り方をどこかでしなければいけないですね」

半島情勢『有事』の想定は…
武貞特任教授
「田中さんがおっしゃったことに付け加えれば、アメリカが外科的手術をするという意味で北朝鮮の核施設を破壊することができない理由は2つあると思うんですけれども、1つは、韓国というのは常に北朝鮮に対して武力で何か迫ってはいけないのだと。だいたい世論調査をすれば49%ぐらい。51%は押さえ込めと。保守的なグループですが。だいたい大統領選挙でも北とは結局、話し合えるのではないのという候補者が49%ぐらい獲るのですが、現在でもそうですよ」
反町キャスター
「だいぶ北に対する見方は変わってきていませんか?」
武貞特任教授
「それでも北とは話し合うという人達が49%いますね。つまり、アメリカが北朝鮮に対して軍事力で解決を迫ろうとした途端に、米韓同盟に傷がつくということをアメリカは知っているんですね。もう1つは、中国は1961年の中朝友好協力総合援助条約がありますから、アメリカが明らかに北を攻撃したとなれば、条約上も中国が北朝鮮を助けるために軍事介入しなければならないし、北朝鮮はそのように望むでしょうし、どういう形で介入するかわかりませんけれども、米中衝突の可能性はあると、中国は恐れるでしょうね。中国というファクターと韓国の世論、この2つを考えに考えた末、時々軍事的に解決する用意はあるよと、アメリカのシンクタンクが出したりし、しっかりしているねと国際世論が安心するような話が出てくるのだけれども、最後はゲームですよ。本音は、アメリカは軍事力で解決は難しいねということを知っているから、1994年の米朝合意以降、何の進展もなかったんですよ」
反町キャスター
「その意味で言うと、北朝鮮に国家としての体制維持か、核開発か、どちらをとるのかと迫ると。北に通用するロジックですか?ゲームですか?」
武貞特任教授
「通用するというか、解決の方法はあると思いますよね。体制を温存してあげますよ、核兵器を使ってはいけないし、できれば放棄して、と言うのは彼らは北朝鮮主導で統一をするために、アメリカの核の傘を無力化しようとしているわけだから、ワシントン、ニューヨークに爆弾を落としたら、あなた方、焼け野原ですよ、と言うことによって、核の傘を無力化しようとしているわけだから。つまり、アメリカは北朝鮮主導で韓国を統一しようということでがんばってきたけれども、北朝鮮を満足させるためには統一させてあげればいいではないですか。統一してしまえばいいではないですか。韓国主導で統一ということも統一の中にもあり得るわけで、ドイツの統一もそうです。だから、我々としては別に介入する必要はないわけで、南と北で話し合って早く統一してください、核兵器だってスクラップにするように両者で話し合ってくださいと」
反町キャスター
「それは平和的な統一という意味で言っています?」
武貞特任教授
「そうではないです。我々は戦争による、軍事的な、どちらかによる統一。我々は望みたくないです。そうすると、ノドンが東京に届きますから」
反町キャスター
「平和的な統一をやる場合には、東西ドイツの例を出されましたけれど、当時の東西ドイツの経済格差をはるかに上まわる経済格差が南北にありますね。僕が言うよりも田中さんに聞いた方がいい話ですが、韓国がそのリスクを負いたくないから嫌だ、嫌だと言っているのではないですか?」
武貞特任教授
「嫌だというのはやめてくださいと申し上げたいですよ。韓国の人は自分達の同じ民族のことで分断して、これだけ長い歴史の中で、韓国が対立しているから、私達の国民が拉致をされたこともあるし、また、EEZ(排他的経済水域)の中にミサイルが飛び込んできたりするわけですから。これも含めて、南と北で話し合って望むようなタイプの統一コリアをつくってくださいと」
反町キャスター
「望むというのは誰が?」
武貞特任教授
「南北だけです。私達が望むものをやってくださいというのは、それはよその国のことですから、よその民族のことですから。韓国大統領が北朝鮮の副大統領になるのか、北朝鮮大統領が韓国副大統領になるのか、それはどうぞ両者で決めてくださいと。統一した時にはアメリカの軍事介入はないですから、統一コリアに対して。核兵器はどうぞスクラップにしてくださいねということを南北にお願いすると。実現することの可能性がどれだけあるかというのは別の問題として、私達が言えることはそれだけですよね」
田中氏
「そういう道筋もあるのですけれども、より現実的に考えていけば、アメリカがやっているのは国内で先制攻撃があるかもしれないと。もう1つ言えるのは、情報戦があるということですよ。北朝鮮の国内で外からいろんなものを入れて、国民の不満が爆発するような形で物事を進めていくと。こういうことをやっている。このアメリカの軍事演習を見ても、北朝鮮の脅威の性質が変わったと思うんですよ。日本自身が認識しなければいけないことだと思うんですね。アメリカも相当、軍事的な対応をエスカレートさせて、これから何をやっていくかということを真剣に考えている。間違いなくですね。大統領選挙の前ですから動きにくいけれどもね。そういうことを考えていれば、私達がやるべきことはいくつかあるんですね。1つは備えを万全にしなければいけない。これは以前からアメリカと韓国と日本で万全な危機管理計画を持っていないと、何かボタンのかけ違いできた時に危ないですからね。これは完全な危機管理計画を持つということと、もう1つは中国です。武貞さんがいわれたシナリオも中国は首を縦に振らないといけないわけですよね。そうでなければ、中国が介入してくるということになるからね。中国が首を縦に振るというのはどういう状況かと言うと南北統一の時、アメリカが軍事介入、韓国が軍事介入することはないと。それから私は韓国が主導する統一しかないと思っていますが、その時に米韓防衛条約がどうなるかですね。中国というのは、米軍が上まで上がってくることが嫌ですね。だから、中国には統一に関わる心配というのがいっぱいあるんですね。この心配に対して、いや、大丈夫だよと、そういう話し合いをして、中国の首を縦にする事態に持っていかなければならない。だからいくつかのことをやらないと直ちにということにならない」
反町キャスター
「中国が納得する形でやると、いわゆる38度線が対馬海峡になるのではないのですか?」
田中氏
「いや、それはそういうことにはならないと思いますよ。韓国と中国の関係が10年前みたいな厳しい関係であればこんなことはないですよ。でも中韓関係というのは進んだわけですね。だから、韓国が主導する統一についても彼らが頭からそれを否定しているかというと、必ずしもそうではないと思います。と言うのは、中国というのは経済が最大のプライオリティですよ。朝鮮半島で戦乱が起こったら、彼らの経済に対する影響は大きいので。核兵器を持って暴走する北朝鮮。韓国の国内では核保有の議論が出てきた。日本だってそういう議論が出てくるかもしれないと。だから、彼らも選択があると思うんですね。戦争しないでやっていくのか、それともこのまま進めば北朝鮮を止められないかもしれない。だから、中国だってどこで止めるかということを真剣に考えざるを得ない」
佐藤議員
「まさに統一できたら、それはいいと思います。しかも、安定的な形で。ただ、中国が1番のキーワードで、朝鮮戦争の休戦時も、中国の義勇軍が入ってきて、押し戻して、38度線まで来たわけで。要は、中国にとっては、北朝鮮は緩衝地帯として絶対必要だと。今回の国連の制裁についても中国がいろんな形で抜け道を使いながら実質的に応援しているのは北朝鮮の崩壊を望んでいないからだと私は思います。実際に北朝鮮の国境から北京まで、たった700kmしかないです。仮に700km先に米軍の長射程の砲兵部隊がいれば、気持ち悪いです。人がいつでも狙われるという状況にはあるというのは絶対中国は認めませんし、いろんな面でいかにして緩衝地帯という部分を維持しながら統一できるかと。そうなるとアメリカ軍が朝鮮半島から出て行くというのがあれば、中国は飲むかもしれませんが、そうすると、日本の防衛に大きな影響が出ますよ。在韓米軍も在日米軍も両方が一体として、陸海空海兵隊が構成されていますから。かなりこの地域の安定が不安定となる。違う不安定要素の懸念を正直、持ってしまいますと」
反町キャスター
「その話を聞いていると、佐藤さんのイメージとしては朝鮮半島の南北統一というのはできないという前提で考えているという理解でよろしいですか?」
佐藤議員
「かなり現実的には厳しい。中国が納得する形の南北統一は相当、軍事的な面1つ考えても難しいし、経済的なことを考えてもかなり難しい部分ではあると。北朝鮮の主導での統一はあり得るかもしれませんけれども」
反町キャスター
「それは軍事的な話でしょう。北朝鮮主導の経済的な、平和的な統一というのはありませんでしょう?」
佐藤議員
「ですね。そうなると、それは我々にとっても、そこは望ましい関係にはならないと思います、北朝鮮主導の統一というのは。だから、考えたくないですね」

『核実験』当日の北朝鮮…訪朝団が見た『金体制の今』
秋元キャスター
「武貞さん、会談はどのような雰囲気でどういう話題がやりとりされたのでしょうか?」
武貞特任教授
「私がその会談に行ったというのは、もともと力道山が大好きで昔から力道山のテレビ中継を観ていたのですけれども、力道山の1番弟子がアントニオ猪木さんで、2年前に平壌で平壌国際レスリング大会をアントニオ猪木さんが開催されて、私はツアーで行ったんです。その時から猪木議員と何回かお会いする機会があって、今回、9月9日の建国記念日に行くけれども、行くかということで、連れてってくださいと。要人に会えるかもしれないと思いました。金正成演説集第25巻という日本にまだ入っていないレアものの資料も手に入れることができるのではないかと思って、研究者として参加したいと思って行ったら、向こうに到着してから、朝鮮労働党中央委員会の副委員長の李洙?さんがいて、向こうに行って初めてわかったのですが、朝日友好親善協会顧問になっておられる。前の外務大臣で、キューバの要人と会われ、あるいは習近平国家主席とこの春に会っておられる、外交の総責任者李洙?さんが、日朝関係は民間レベルでも、スポーツ分野で交流する必要があるねと、しきりに説いておられました。私もトータルで3時間余り懇談をする時間があったのですけれど、非常に柔軟な考えを持っておられたのと、北朝鮮の立場を日本でこういうふうに説明してくださいというのは一切なかったですよ。私自身は、拉致・核・ミサイルの問題で北朝鮮と日本の立場は違いますが、こういう形で直接対話をして、お互いの違いを確認する、知るというのはとても大事ですよねということで。たとえば、日朝で連絡事務所を設置して直接の協議をしていくということも大事ですねと。私は安倍政権の有識者懇談会で、拉致問題で助言する立場にありますと自己紹介で申し上げました。本当に拉致問題は終わった、はっきりさせたいと向こうが思っていたら、その話はやめてくださいとおっしゃったかもしれない。でもまったくそんなことはなくて、拉致問題については2回の小泉さんの訪朝で終わったと思っていたけれども、日本が政治的に活用したので、こういうことになっているとおっしゃっていましたね」
反町キャスター
「さらなる再調査、並びに今後の展開についてはそこから感じられるものはあったのですか?」
武貞特任教授
「再調査についての具体的な話を聞くことはなかったです。もともと猪木議員と松波議員は、スポーツの議員外交を通じて信頼を情勢していこうということで、他の国々ともスポーツ交流をしておられる。日朝のスポーツ交流を通じて、信頼醸成をしていこうということで行かれたわけですから、主にスポーツ交流の分野でいろいろとお互いにできることはあるかなという話が中心でしたね」
反町キャスター
「行っている間に、核実験がありましたね。その説明、安全保障上の議論をやらなかったわけはないですよね?」
武貞特任教授
「平壌にいる時に、核の実験があったという報道を知りましたね。核実験があると知って我々は行ったわけではないです。一部、核実験があることを知って平壌に行ってきましたねと質問する人がおられるのですが、そんなことは全然ないですね。向こうに9月8日に到着して、9月9日の朝に核実験があって、驚きましたね」
反町キャスター
「ミサイルの件については北朝鮮からどういう説明があったのですか?」
武貞特任教授
「ミサイルについて我々は質問したわけではないですね。安全保障対話をしたわけではありませんし、外交したわけではありませんし、日朝協議をしに行ったわけではないですから。ただ、核実験をされたということについて、その質問は出るだろうと思っていましたと。9月9日は我々が会った前の日ですけれども、核実験については特段の意味があるわけではないと。1つのロードマップ、工程というものがあって、その中で軽量化、小型化、運搬手段を完成するという目的、作業の中で行われた9月9日の核実験であったので、特段重要なものではないし、日本に脅威を与えるものではないと。我々が脅威だと思っても、向こうの人は脅威ではないと思うわけです。認識の違いというものがあるということを踏まえて、どこからその認識の違いあるかということを2国間で専門家同士だったら対話をすることになるのでしょうね。そういうことも含めて、対話というものは必要だなと私は思いましたね」
佐藤議員
「猪木議員は、議員になる前からスポーツ交流をやっているんですよ。自分で興業屋という言い方をされる時もありますけど。キューバでやったり、パラオでやったり、北朝鮮でやったり。その流れで今回もおそらく議員外交というよりも、スポーツ交流の延長で行ったと思うんですね。ただ、タイミング的にいくら国会が閉会中とは言え、9月5日に日本のEEZ(排他的経済水域)にミサイルを落として、そのあとですよね。タイミング的には政府としては渡航の自粛を国民に働きかけていて、かつ議員にも強い縛りをかけるわけですから、今回の訪問というのはタイミング的に問題があったと私は思います。本人もそこは非常に感じていて迷惑かけてごめんねということは言っていたようです」
武貞特任教授
「研究者として行った感想を申し上げますと、私自身は2月12日に以降に渡航自粛令があることは知っていますが、たとえば5月の労働党大会には多数のメディアの人が行っておられます。不要不急の取材ですから、取材陣に対してそれにはお咎めはなかったと思いますよ。4月10日、マラソン大会に行きました。マラソン大会はその日にありますので、間違ったことをしたとは私は思わないですね。今回の9月9日は建国記念日という行事があったわけですね。9月24日は国際航空ショーが行われました。日本の何社かも向こうに行って、映像を撮られた。それはとんでもないことをしたかと言えば、確かにいつ6回目の核実験をやるのか、ミサイルがいつ飛ぶのかと皆が見ている中で国際航空ショーは行われた。しかし、とんでもない行動をメディアの方々がしてきましたねという話にはなっていませんよね。という意味で、私自身については、研究者として要人に会って意見交換をして、たまたま核実験がありましたけれど、それについて向こうがどういう発言をするかということと、日本と北朝鮮の交渉について、誰が責任者であるかということがわからなかったんですよね、9月10日までは。そこに李洙?さんが出てこられた。しかも、前の外務大臣だということですよね。外交の総責任者が日朝の友好親善協会の顧問だということで、とても日朝関係、これからのことを大事にしているなということもわかったんですね。これは研究者としては収穫だったと私は思っています。いろいろ批判がありますけれども、良かったと思います」
田中氏
「私は武貞さんが行かれたことを批判するつもりはないですよ。それはいろいろな意味でコミュニケーションをしておくのはいいことかもしれない。だけど、北朝鮮は、日本に脅威を与えていないと、それはそう言うでしょう。公にもそう言うわけですね。どの国にも脅威を与えるものではないと。核実験だって、アメリカの核に対して、自分達を守るためだと、それもそう言うでしょう。だけど、我々全部そうではないとわかっているから。客観的に見て北朝鮮が日本全土を射程距離とするノドンをたくさん持っていて、場合によっては先端に小型化した核をつけるかもしれない。北朝鮮の善意を信じるわけにはいかないではないですか。やはり脅威ですよ。私も北朝鮮と何もコミュニケーションをしなかったわけではない。非常に長いコミュニケーションもして、この人達はいったいどういう人間かというのはよくわかっています。だから、彼らが言うことを、申し訳ないけれど、そのまま信じることはできない」
反町キャスター
「猪木訪朝団は北朝鮮の政治的謀略に乗った行動であると感じますか?」
佐藤議員
「そこまでは思いませんけど。猪木議員はスポーツ交流というのが主で行ったわけで。北朝鮮は猪木議員にそこまでのことを期待したかというと、疑問に思っています。彼も日本の方で発言するような議員ではありませんから、純粋にスポーツ交流で行ったと私は思います。会話の中でマスコミが取り上げるのは、スポーツ交流でやったということよりも北朝鮮の核実験が日本を意識したものではないという部分がクローズアップされていますけれども。それは猪木議員がもともと意図したものではないし、北朝鮮も猪木議員を使って、そこまで日本にメッセージを伝えたいというものではなかったと思います」

日本が今すぐ打つべき手は?
秋元キャスター
「暴走する隣国に対して、日本はどう対応していくべきですか?」
田中氏
「拉致の問題と核の問題、同じ政権がやっていて同梱の話ですよね。私は日本が何をやるべきかと言うと、1つは十分な準備をしておくこと。危機管理計画ですね、これをきちんと持っておく。米国と韓国と一緒なら、それに越したことはないというのが1つ。中国をいかにして説得をするかということですね。6者協議をやることはできないと思うんです、北朝鮮がこういう状況の中では。5者協議は呼びかけてもいいのではないか。北朝鮮抜きで。と言うのは、要するに、北朝鮮は勝手なことをやっているわけですよ。2005年の9月にまさに非核化で合意しているわけですよ。現在の体制の人も含めて、合意しているんですよ。にもかかわらず、一方的に破ってきたのが北朝鮮だから、私は5者協議はやっていいと思うんですね。その中でシナリオを相談する。そういうシナリオを相談したということが、北朝鮮がわかれば、それを北朝鮮は真剣に考えざるを得ないと。自分達はどうするのかということですね。そのように持っていかないと、私は北朝鮮と交渉し、知っているだけに怖いですよ。特に金正恩氏の恐怖政治が何ものでもない。なおかつ最近は先軍体制から党を中心になってきたわけで、脱北したり、亡命したりしている人が増えている。正直申し上げて、怖いですよ」
佐藤議員
「北朝鮮がこのままの路線では生きていけないということをわからせないといけないと思うんですよね。そのためには、まず日米韓の守りをしっかりと固めると同時に、中国との関係で、いかに中国に後ろ盾の部分の考え方をあらためさせるか。同時に、中国だけではなく周りに、この前、安倍首相がイランの大統領と、あるいはキューバの議長と会ったように北朝鮮と関係のある国に対しても働きかける。あるいは東南アジアに。今回、国連の制裁をやりましょうと言って、どれだけやったのかという報告を各加盟国が国連にやるのですけれども、実際に報告したのは加盟国の3分の1ですよ。意外と東南アジアでもタイとかマレーシアは報告もしていないし、北朝鮮との関係を持っているんですよね。日米韓で守りを固めると同時に中国、あるいは関係国と、多層的な包囲網を組むことが大事だ思います」
武貞特任教授
「安倍首相がおっしゃるように、対話と抑止が大事だと思います。対話という点では、拉致の問題、安全保障分野の対話も必要だと思うんです。脅威だ、脅威でない、これは第3者を通じて言うのではなくて、安保対話で。人道的な部分に限定した経済支援も考えた方がいいと思います。ただ、核実験をした、ミサイルを発射した直後は制裁はやむを得ないと思います。ここで制裁をやめた場合には、核実験に対するご褒美ということになります。間違ったシグナルになりますから、ワンクッションを置いて、人道的経済支援。もう1つは国交正常化交渉、1991年から始まったけれど、停滞しているわけです。この4つを同時に進めることによって、拉致の問題も私は少し動くような気がします。北朝鮮の対日政策を見れば、そういう感触を私は持っていますけれど、1人でも2人でも拉致されている人が残っているとしたら、すぐにチャーター便を派遣し、日本に帰国してもらうような手立てをとると。全ての拉致被害者及び拉致被害の可能性がある人達のレポートを完全な一括提出ということにこだわって、それ以前の交渉は無意味というのであれば、なかなか拉致問題も前進しない。4つの分野、安保と経済支援と国交正常化と拉致と、この4つを対話の中に盛り込んでいく。抑止という点で装備をキチッと日本は更新していく。早期警戒衛星を、アメリカの届かないものは補うという、日本も導入していく。当然ですけれど、ミサイル防衛システムというのはさらに近代化していく必要があると思います」

佐藤正久 自由民主党参議院議員の提言:『多層的な包囲網』
佐藤議員
「抑止力をしっかり高めると。軍事の制裁も外交の1つの手段ですから、敵がいくらミサイルを撃ってきても、日本の方では対処できると。何かあったら向こうの基地を叩けるという抑止力を高める、それは日米韓が主体になると思います。同時に国連や、イラン、あるいはキューバ、中国、東南アジアと多層的な形で包囲網をつくっていくということが、日本にとって大事だと思います」

田中均 日本総研国際戦略研究所理事長の提言:『選択:体制か 核か』
田中氏
「問題に向き合わなければいけないということですね。北朝鮮に選択を迫る。核なのか、体制なのかということですね。そのためには中国を動かすということが大事だし、 真剣にシナリオを考えてもいいのではないかなと思います」

武貞秀士 拓殖大学海外事情研究所特任教授の提言:『戦略的外交』
武貞特任教授
「外交をもっと戦略的に積極的な発想でやれば、プラス思考でやればいいと思います。対ロシア外交は優先順位の1番目だと思いますけれど、たとえば、日ロ関係をやる時も、日本も日ロ関係でロシアの方が譲ってくれなければ、打ち止めで、次は日朝交渉に進めますよと言ったら、ロシアもびっくりするかもしれない。日ロ外交、日朝外交を結びつけるくらいの、プラス思考で、戦略的な発想で日本の国益を考えた外交をやる、それも日朝というものを見据えてやると、私は両方うまくいくと思いますよ」