プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2016年10月7日(金)
大阪万博の『夢』再び 松井知事 堺屋太一

ゲスト

松井一郎
大阪府知事 日本維新の会代表
堺屋太一
大阪府・市特別顧問 内閣官房参与
吉見俊哉
東京大学大学院情報学環教授

大阪万博の『夢』再び !?  1970『熱気』と『レガシー』
松村キャスター
「国際博覧会、万博ですけれども、どういうものなのかおさらいをしておきます。国際博覧会条約に基づき博覧会国際事務局に登録、または認定されたものです。国際博覧会には2種類あります。6週間以上6か月以内、一般的、総合的なテーマで少なくとも5年以上の間隔を開けて開催されるのが、登録博覧会と言われているものです。日本では、1970年の大阪万博、2005年の愛知万博があります。こちら、3週間以上3か月以内、特定、専門的テーマで、2つの登録博覧会の間に1回だけ開催されるのが認定博覧会です。これは会場規模が25ヘクタール以内という広さの制限もあります。日本で開催されたものとしては1975年の沖縄海洋博、1985年のつくば万博、1990年の花の万博です。2025年に大阪万博が開かれれば、日本で開かれる6回目の国際博覧会ということになります。さらにあらためて日本で開かれた初めての国際博覧会、大阪万博について振り返ります。テーマは人類の進歩と調和です。1970年3月から9月、183日間ありました。海外参加国は76か国。28企業が参加しました。入場者数はおよそ6422万人、うち外国人は170万人だったということです。堺屋さんは当時、通産省の官僚として、1970年の大阪万博に企画から携わったと聞いていますが、当時の日本、1970年、なぜ大阪万博、誘致が必要だったのでしょうか?」
堺屋氏
「まず高度成長の最中で、日本を本当の近代工業国家、つまり、規格大量生産の国にしようという、そういう意図があったんです。それまで日本は繊維とか、造船で相当、成長していましたけれども、本当に規格大量生産ができるかどうか。これが大問題だったんですね。それで自動車であるとか、電気製品であるとか、そういったものを世界中に売れる国になろうというのが第一でした。2番目には団塊の世代がドンドン成長して、これが就職しなければいけない。その未来を見据えた人々になってもらいたい。そういうような人を育てようという気がありました。この2つを同時に達成させる。もう1つは東京一極集中を防ぎたいと」
反町キャスター
「それで大阪だった?」
堺屋氏
「ええ。だから、大阪で万国博覧会を開くというのが私達のテーマで、最初から大阪という地名があったんですね」
反町キャスター
「1970年、それに向けての、前の5年間ぐらい準備の期間というのを、境目にして、それ以前と以降で、明らかに日本の中に産業構造の変化というのは、そこで行われたと感じていますか?」
堺屋氏
「オリンピックの時は3種の神器と言われて、白黒テレビと電気冷蔵庫となったんですね。ところが、万国博覧会、わずか6年しか違わないけれど、今度はカラーテレビとクーラーと自動車になったんです。それだけ各家庭に自動車が普及して、カラーテレビになり、状況がまったく変わった。これは変化ですよね」
松村キャスター
「吉見さんは思い出ありますか?1970年の」
吉見教授
「あります。1970年の大阪万博というのは強烈な印象があって、しかも、中学1年生の少年はああいうのに熱狂をするんですね。ですから、当時1970年の状況の中では、子供達は確かに熱狂をしたと思います。大阪万博には1960年代のいろんなアーティスト、メディア・アーティストとか、前衛的ないろいろなことをやってきた人達のエネルギーが結集するんですね。ですから、1963年、1964年のニューヨーク万博に大阪万博はちょっと似ているのですけれども、ニューヨーク万博の時は企業家とか、デザイナーが活躍した。大阪万博では前衛的なアーティストが活躍をした。これが違いなのですが、いずれにせよ、1960年代の日本のエネルギーというものが確かにあそこに結集していったんです。ただ、これは高度成長の結果です。ですから、1960年代の高度成長、つまり、右肩上がりの時代に大阪万博は大成功したのですが、この成功体験、つまり、1964年のオリンピックの成功体験。それから、1970年の大阪万博の成功体験が、逆に日本の未来を考える時にマイナスに変化する時がくると思います。それが1990年代でした。つまり、社会が変わっていくんですよ。右肩上がり、高度成長からバブルへと、日本が上がっていく時にオリンピックと万博があった。でも、1990年代以降は違うではないですか。違っていて、社会がもう少し成熟化していくといいますが、もう高度成長なんかはないんですよ。そうではなく、社会がもっと中身を円熟させていく時代に入っていく。その時に果たして万博が適切なイベントかというのは、私はとっても疑問だと思います」
反町キャスター
「1964年のオリンピック、1970年の万博の成功体験が邪魔になる?」
吉見教授
「邪魔になる。全然、邪魔になって成功体験から脱却できないですよ。だから、1964年、1970年の万博の時、たとえば、1964年のオリンピックの時には、スローガンが『より早く、より高く、より強く成長する』でしょう。皆それでいいと思っていたんですよ。でも、2020年と言いますと、21世紀の価値は違います。21世紀の価値に合わせて言えば、より楽しく、それはクオリティの問題ですね。生活のクオリティの問題。それから、よりしなやかに。レジリエンスという言葉がありますけれども、いろいろな社会の変化に対応できるような形をつくっていく。何よりも重要なのはより末永くというサステナビリティと言われている価値ですね。つまり、私達はドンドン成長をしていく社会や、ドンドン変わっていく社会ではなくて、むしろ私達が生活のクオリティを、末永く維持していくためには、どういう価値が必要で、どういう風な社会をつくっていけばいいのかというのを考える曲がり角に来ていると思うんですね」
反町キャスター
「そういうコンセプトの変化した万博というのはできないのですか?」
吉見教授
「それは万博ではないと思います」
松井知事
「吉見先生が言われたのが、これは国威発揚型の万博なわけですよ。僕は昨年、BIE(博覧会国際事務局)にもお邪魔して、これからの万博は、どういう万博を目指していくのですかと、BIEの考え方どうなんですかと、というのは、要は、中身の話。課題を解決する。まさに21世紀の、課題解決型の、参加型の、そういう展示型ではなく、観るだけではなく、自分がまず参加して、参加型で、それをまさに体で感じられる、感覚がある。そういう万博でなければならないということをBIEの皆さんもおっしゃっていたんですね。だから、要は、社会も変わるから、万博もこれまでと同じような国威発揚型では、これはダメです。要は、課題解決していくという、そういう、まさに万博をつくっていきたいという思いを持っているんですよ」

テーマは『健康・長寿』
松村キャスター
「大阪府が誘致に動いている2025年の大阪万博ですが、大阪府が先月末に発表した素案によりますと、基本構想はこちらです。テーマは、人類の健康・長寿への挑戦。開催期間は2025年5月から10月の6か月間。開催候補地は、大阪市臨海部夢洲。これはおよそ100ヘクタールあります。全国への経済波及効果はおよそ6兆円。入場者数は3000万人以上を見込んでいます。松井さん、なぜ再び、大阪誘致なのでしょうか?」
松井知事
「万博も変わるんです。時代に合わせて。今の時代。これは世界の課題を解決できる、する。そういうものを参加型で、まさにそれを実体験できる。そういうイベントが必要だと。人類の健康・長寿への、その部分というのはライフサイエンスであったり、ウェルネスであったり。そういう部分については大阪というのは、関西というのは非常にポテンシャルが高いわけですよ。iPSを使った医療とか、そういう分野に対しては、大阪にそもそものポテンシャルがあると、こういうものを組み合わせて、これから9年間かけて、新しいものを生み出していこうと。生み出して、それを世界に発信して、世界にそういうものを提供できる。世界中から、そういう新しいものを買ってもらえるとか、ほしがってもらえる。そういうものを打ち出せる、発表できる。そういう万博をやりたいと。だから、それは大阪が1番適地ですよということを僕らは言っているわけです」
堺屋氏
「今度は、松井さんがおっしゃったように、長寿であるとか、サステナビリティ、安定性であるとか、あるいは何より日本に欠けている楽しさ。日本社会に楽しさが欠けている。外国人から聞いても、日本では買い物しかしないと。これは工業社会を引きずっているんですね、まだ。それが日本に来て、買い物ではなしに、楽しんでもらえると。そういう日本をつくらなければいけない」
松井知事
「健康というキーワードの中に、たとえば、笑いだとか、スポーツ、食。こういうものも全て入ってきますので、これは非常に人生を過ごす中での楽しみの大きな部分になってくると思います」
吉見教授
「これからの日本は、様々な世界的な課題に取り組んでいかなければならないという、松井知事のおっしゃったことはその通りだと思いますね。特に高齢化社会というのは、日本では深刻な問題になっていますし、これは韓国でも、中国でも、同じことが起こってくる。これはおっしゃる通りだと思います。ただ、2025年という時点を考えた時には、まだアフリカは人口爆発しているんですよ。それから、東南アジアだってまだ増えていますよ。つまり、世界はまだ人口爆発の途上にあるんですよ。高齢化という現実が世界を襲ってくるのは21世紀後半ですよ。半ばから後半にかけてですよ。世界で、一方は高齢化する社会があり、他方では人口爆発している社会がある。その間で何が起きているかというと移民の問題、難民の問題。それから、貧富の格差の問題。そういういろいろな問題が人口とか、人間の年齢ということを巡っては起きているんです。そうするともしテーマで、今回、健康・長寿ということをお話になられるのであれば、世界の、万博は世界のものです、世界のテーマを扱うのなら、なぜ人口爆発の問題、あるいはなぜ移民や難民の問題、貧富の格差の問題を同時にやらないのかという疑問もあります。1970年の大阪万博の時に、最初のテーマは人類の進歩と調和ではなかったんです。最初に考えられていたテーマは光は何処より来たりというテーマですよ。人類の進歩と調和ではなくマンアンドザウイズダム。人類と知恵というテーマで、不調和というか、1970年の時点でも世界は不調和であると。世界は不調和であって、それをどうやって克服する人類の知恵があるのかというテーマが掲げられていたんですね。これは桑原武夫さんが考えられていましたけれど、いいテーマ設定だと思いますよ。同じ問題、もっともっと世界は不調和になっていく。もっともっと一方では人口爆発していて、もう一方は高齢化が深刻になっているという世界でこの問題を考えるという。それが、万博がいいかどうかは、私は若干、異論があるんですけど、しかしながら、この不調和の問題というのは1970年以上に21世紀初頭の大きな問題で、この問題を日本が率先して考えるということには賛成です」
反町キャスター
「吉見さん、1970年の大阪万博のテーマが、人類と知恵と不調和という印象が僕にはまったくないですよ」
吉見教授
「はい」
堺屋氏
「私は全部、テーマ委員会に全部出席していたから記憶していますけれど、いろんな意見が出ました。それで結局、人類と進歩で決まったんですけれども、本当のこと言って、テーマなんてどうでもいいのだと。問題はコンセプトであると」
反町キャスター
「テーマとコンセプトは違うのですか?」
堺屋氏
「ええ。それでまずコンセプトを変えろと。コンセプトは何かというところは、どんな博覧会をするかということですよ。それでいろいろ使節団を派遣しました。私も行きましたけれども、それでコンセプトという言葉、そのころ日本にはなかったんです。一生懸命に字引を引いたら、哲学用語で概念と書いてあるんですよね。要するにどんな博覧会をするかと。これをまず決めろと言った。それでコンセプトは先ほど申し上げた、近代規格大量生産の日本ということになったんですね。それでテーマなんてどうでもいい、あれはキャッチフレーズだと。モントリオールのテーマは人類の環境と世界でしたよね。そんなのはどうでも、技術何とかという会社の宣伝と一緒で、あんなものどうでもいいのだと。問題はどんなコンセプトでやるかということ。従って、今度の健康というのは単なる個人の健康、人間の健康だけではなしに、地球の健康の問題もあるわけです。環境もあれば、水資源の問題、エネルギーの問題もあります。そういった大きな意味での健康を考えようと。そういうことですよ」
松井知事
「これは、先ほど、吉見さん言われたように、アフリカ、それから、アジアでこれから人口が爆発的に増えていく。まだ当面、爆発的に増えていきます、そのエリアで本当に、そこに住む人達の生活環境というのはどうなのと言えば、ちょっと非常に健康というキーワードからかけ離れていると。堺屋さんが言われたようにその環境を変えていく。地球環境ですね、これは。そういうことで、そこに住まう人達も、日本がこの50年で、15年間の平均寿命が伸びた。健康寿命も伸びてきたということを考えれば、その皆さんも願っていると思うんですね。アフリカの皆さんは非常に寿命が短いですよ、まだまだ」
反町キャスター
「そうすると、松井さん、テーマというものが先ほどの、堺屋さんので言うならば、テーマはどうでもいいのだと言ったんですけれど、コンセプトというものがもしあるとすれば、今回の2025年の大阪万博に向けたコンセプトというのは何か。これはこれからつくる?つくっているところ?」
松井知事
「そうですけれど、本当の意味での豊かさですよね」
堺屋氏
「健康というのは、社会の健康とか、地球の健康とか、人間の個人の健康とか、家庭の健康とか、いろいろな意味がありますよ。それで社会の健康という意味になると、まさにこのテーマにふさわしいと思うんですよね」
反町キャスター
「堺屋さん、そこまでいろいろと言葉を広げていってしまうと、テーマとか、コンセプト、どのぐらい博覧会そのものに対する拘束力、指導性あるのかな。要するに、面白くて、人が集まればいいのか。こういう話にだんだん聞こえてしまうのですけれども、そうでもないのですか?そこまで拡大解釈に拡大解釈を続けたうえで、テーマ、コンセプトはこうですというものが果たしてイベントそのものに対する一貫性、柱としてどのぐらい生きるものなのですか?」
堺屋氏
「日本万国博覧会のコンセプト。近代工業社会、大量生産社会と言ったら、実に見事に出ていますよね。だから、人類の進歩と調和というのはあまりコンセプトとしては重要ではなかった。だから、テーマ委員会というのはすぐ解散してやめてしまったんです。その後この規格大量生産のできる日本ということで駐車場を増やさなければいけないとか、大阪中に違法駐車ゼロという社会ができたんですね。あの瞬間、1年ぐらいはね。それから、会場の中で不法販売がゼロ。これも世界では珍しいです。それはそういう社会をつくろうとしたんです。万国博覧会がなぜ人気があったのか。単に賑やかで面白かったというわけではなしに、市民全体の協力、地域社会の健全性。それがあの瞬間に示されたわけですよ。その迫力が万国博覧会の会場からあった」
反町キャスター
「吉見さん、いかがですか?テーマとコンセプトというのはある意味、大命題なみたいなものだ。重要なのはコンセプトである。それが大阪においてはきちんと機能したのだけれども、今度2025年に向けた。まずカチッとしたものは、まだできている印象は、僕は受けないですけれども」
吉見教授
「私は、テーマは重要だと思っていますよ。大阪万博は1970年ですよ。やる側は一生懸命に考えて。受け手は違いますよ、来た6000万人の人々はそのテーマをちゃんと受け止めたかそうかは、これは別です。単に楽しんだだけかもしれない。でも、やる側がきちんとこういうことを訴えたんだというテーマを持って大衆に投げかける。これは大切だと思います」
堺屋氏
「だから、各界それをやっていたんですね。各界やっていたけれど、会場にどう反映されたかということになると、コンセプトが必要になるんですよね。だから、その点、あとから博覧会を見た人、研究をした人は、この間、京都でシンポジウムありましたけど、非常にその点は誤解をされていると思います」
反町キャスター
「その意味で言うと、もう1回、2025年のこのテーマに戻るのですけど、健康・長寿への挑戦というのはここから何かを…」
堺屋氏
「健康・長寿というのは、個人の健康とは思われたくないですね」
反町キャスター
「社会とか、地球の話ですよね。でも、僕ら番組のスタッフと話をした時に、大阪万博をやるのはいいのだけれど、健康・長寿、これは60歳以上の人だけの万博かい?という、そういうイメージですよ。松井さんに聞いた方がいいのかな。これは世代、60歳以上の方限定みたいな。シニア万博みたいな」
松井知事
「これは先ほどの吉見さんのお話でも、アフリカやアジアの人達は現在の生活環境から含めて、そこも健康になりたいから、変えたいですよ。要は、まったく日本とは違うインフラの中で生活されているわけですから。それはそういう意味から言うと個人の、要は、高齢者の体調の話だけではなくて、地球環境の部分についても健康ということにはつながっていくと思うんですよ」
松村キャスター
「2025年の大阪万博ですが、会場候補地は大阪市臨海部夢洲です。どのような場所かと言いますと、大阪港にある390ヘクタールの人工島夢洲の中央部。およそ100ヘクタールです。広さは東京ディズニーリゾートとほぼ同じということです。松井さん、この夢洲に決めた経緯というのはどういったものですか?」
松井知事
「この大阪のベイエリアというのは、1984年のオリンピックを目指して埋立てをやってきた場所で、要は、埋立てをして、もう7000億円、お金を投資しているんですよ。現在、空き地であるということです。万博をやるとすると100ヘクタールぐらいの面積が要るわけで、昔1970年、堺屋先生がやられた時は、千里丘の丘陵を削って、それをあとは住宅に転用する形。今の時代、山を削ってという時代ではありませんから。だから、そういう意味で、ベイエリアを埋立て、広大な空き地になっているところを有効利用をしようと。こういうことですね」
反町キャスター
「堺屋さん、埋立地夢洲に誘致するというのは、どう感じていますか?」
堺屋氏
「私は、前の万博公園でやったらいいと思っていたんです」
反町キャスター
「まだ土地が残っているのですか?団地がいっぱい建っちゃって」
堺屋氏
「団地ではなしに公園になって、それから、アウトレットができたりしているんですね。サッカー場なんかがついていますけれど、それをそのままパビリオンをつくって。私達、上海でやったように、あれは造船所をそのまま使ってパビリオンにしたのですけど、それでやったらいいと。万博は同じ会場で繰り返しやるのが大前提ですから。フランスでも4回。それからシカゴも2回。同じところで繰り返しやるものですよ。だから、千里丘でやればいいと思っていたのですが、この夢洲ができあがって非常にいいということなので、あと京都とか、近隣からどういう具合にアプローチをするか。東京、九州からどうアプローチをするか。そういうものを上手につなげば、前も初めは3000万人と言っていたのが6400万人来てくれたみたいに相当の観客が呼べると思いますよ」
反町キャスター
「松井さん、アクセスの話を聞いていますけれども、私達が聞いている限りでは地下鉄1本ですよね?」
松井知事
「ええ」
反町キャスター
「あと車でどういうアクセスルートを確保されるのかという、アクセスの問題はどうなるのですかという話。もう1つ、この土地はまさに当初、オリンピック用に用意した土地だけれども、それがうまくいかなかったので、いまだ遊休地になっていると、IRと書いてあります。要するに、カジノを要望している。カジノ誘致とオリンピックや万博の誘致というのが同じタイミングかどうか、僕は知りませんけれど、そういうものが隣り合わせにある。それが果たして善いのか悪いのかというところも含めて、この土地には、要するに、大阪のそういうイベントものを全て集める土地にしたいとか、そういうことですか?」
松井知事
「これは、まずIRについてはまだ国で法律が通っていませんから、あくまでもこれからの話ですよ。我々とすれば、法律が通れば、IRをやりたいですけれど、IRというのはエンタテインメントなので。エンタテインメントというのは、万博のコンセプトとも一致はしますよ。もう1つ、アクセスについては、これは専門家、大阪府、大阪市ともに、土木部、都市整備部の専門家が入って、3000万人、半年間でそれがきちんと輸送ができるということで、陸路もあるし、鉄道、それから、海、水上を使って、これは十分可能だということは、これは試算をしています」
松村キャスター
「大阪府ですが、今回の基本構想の素案で、万博開催が実現した場合の経済効果を6兆円としていますが、松井さん、この6兆円というものはどのようなものを積み上げて試算されたものなのでしょうか?」
松井知事
「これは経済学の先生に、要は、入場者数がどう、そこに行くまでにいろんな建設も含めて投資が始まりますから、そういうものも全て含めると6兆円の経済波及効果があるでしょうということです。これは専門家に見てもらって計算をしていただきました」
堺屋氏
「万国博覧会の経済効果はオリンピックと違って、オリンピックはほとんど公共投資の効果です。万国博覧会は、公共投資もあるけれども、1番大きいのは旅行効果ですね。3000万人と言っていますけれども、前も3000万人が6400万人入ったんだけれども、もうちょっと入ろうとしてね。この旅行効果はものすごく大きいですよ。世界中から、今度はもっと来ますから。この経済効果というのは消費需要を引き立てる効果がありますね」
松村キャスター
「入場者数3000万人を見込んでいるということですが、この数字の根拠はどこからですか?」
松井知事
「これは愛知万博で、このぐらいの数が来られているので、まずは十分、3000万人は大丈夫だろうという計算をしています」
堺屋氏
「愛知博覧会は2200万人入ったんですけれども、あれはほとんどが東海3県です。大阪万国博覧会の場合は日本中からほとんど均等に来たんです。しかも、3月15日に開会して初めの1か月間は、東京の人はまったく来なかったんです。東京は大阪みたいな田舎でやっている行事に行くかということを言っていたんですね」
反町キャスター
「本当ですか?」
堺屋氏
「はい。それが、ゴールデンウィークが過ぎ、だんだん経つと、大阪の博覧会はすごいらしいよという人が増えてきて、それで博覧会に行かないと、東京の少年達も顔が立たないような事態になって、夏休みになったら1日に80万人ずつ入ったんです。だから、おそらく旅行効果は3000万人を上まわると思います」
反町キャスター
「そこですよ。松井さん、6000万人が来るとか、何万人来るとか考えた時に、1970年の時には、6400万人は来たのだけれども、外国人は170万人でした。今回、2025年は3000万人と言いますけれど、3000万人のうちの外国人、いわゆるインバウンドはどのぐらいの割合を示すだろうという想定ですか?」
松井知事
「これは今年半期で、450万人が大阪に来ていただいています、外国のお客様が万博なしで。我々は2020年、オリンピックの年には1300万人、1年間で来ていただけると目標を立てています。もともとは650万人と予定をしていたんですけれど、2020年。昨年の時点で710万人でそれを超えてしまいまして、5年前倒しで超えているので、今の時点でも半期で450万人。今年、たぶん1000万人の大台、12月までいけば、というところまで見えてきているので、これはもう十分、2020年には1300万人ですから、そのうち万博目当てで1300万人の半分、来ていただいたとしても、外国人のお客さんは650万人、僕はもっと上がると思いますけれど」
反町キャスター
「そうすると、皮算用的な話を聞くと、総入場者数3000万人、うち600万人か700万人ぐらいはインバウンド、外国人、こういう想定でいるのですか?」
松井知事
「そこはクリアできる範囲だと思っています。もっと上がるかもしれないと思っています」
松村キャスター
「ここからは万博誘致が成功した場合のコストについて聞きます。試算では、会場建設費に1200億から1300億円程度。運営費には690億円から740億円程度かかるとされていますが、まずこの会場建設費。松井さん、どこがどれだけの負担をするという割合というのはどうなっているのでしょう?」
松井知事
「これは基本的には万博を開催する場合、国、地方自治体、民間という形で3分の1ずつというような分担になってきますよね」
反町キャスター
「それは大阪の、1970年の時も3分の1ずつだったのですか?」
堺屋氏
「1970年の時は、公共の負担はうんと少なかったんです」
反町キャスター
「それは政府、自治体、両方?」
堺屋氏
「両方。パビリオンは全部民間が建ててくれました。それから、入場料収入が6400万人入って、それで飲食店舗の売上げが大変上がったものですから、結局192億円儲かった。当時192億円と言ったら、予算が8兆円の時ですから今で言うと2000億円ぐらい儲かったんですね」
反町キャスター
「それはもう1回、そのぐらい利益を上げようと狙っている部分は?」
松井知事
「もちろん、黒字にはしようとは思っていますよ。ただ、会場建設費、1200億円から1300億円となっていますけれども、経済効果6兆円で。試算の中では。オリンピックと比較していただいたら、国立競技場1つ分よりも低いので。全体をやる。十分、投資に見合うリターンを狙える、まさに投資だと思いますよ、それは」

資金調達の課題
反町キャスター
「会場建設費と運営費で2000億円ちょっと。2500億円ぐらい。それで済むのですか?」
松井知事
「要は、これから山を削って、面積を確保する話ではありません。埋め立てでほぼできあがってきている部分ですから、これは概算ですけれども、シビアに見積もっている数字です」
反町キャスター
「府は3分の1ということで800億から1000億円。それは用意できるのですか?」
松井知事
「国と自治体、民間ですから」
反町キャスター
「運営費は?」
松井知事
「運営費はチケットいきます」
反町キャスター
「会場建設費の3分の1を府が負担する?」
松井知事
「それは府・市一体でやっていますので、またその半分ですね。大阪市と共同作業です。いろいろ議会で言われるのだけれど、財政状況を言わせていただくと、大阪府の場合、橋下前知事の時と僕で9年。9年間黒字です。これまでの借金も、積み立て不足も解消していますし、このぐらいの体力はあると思っています」
反町キャスター
「3分の1を負担する財界の話ですが、大阪商工会議所、慎重ですよね。どういう向き合いでいくのですか?」
松井知事
「積極的に参加を求めていきますけれども、おっしゃることはしかたがないと思います。株主もいっぱいいらっしゃって、この時代に何でもかんでも費用を負担しますと言うのは、訴訟のリスクもあるわけですから、これから検討委員会の中で具体的に中身を詰めていきますから。大きなテーマについてはだいぶ理解も進んできましたから、中身を具体的に詰めることによって、ご参加いただけると思うし、もう1つは日本万博なので」
反町キャスター
「大阪商工会議所だけではなくて、経団連、同友会、全国の経済団体に対して協力を求めていく?」
松井知事
「もちろん、そうです。これは政府が主となってやっていくのですけれども。十分民間の負担いただける部分については賄えると思っているし、集め方にしても、これまでの奉加帳方式は厳しいでしょうね、現在の企業の状況を見れば、奉加帳で株主からもいろいろと批判を浴びるでしょうから、ではなくて、メリットになる、コマーシャルになるとかですね。そういうメリットのある方法もこれから考えていきたいと思っています」
反町キャスター
「でも、奉加帳方式の方が楽ですよね?」
松井知事
「楽をするつもりはないので」

検証『6兆円』経済効果
松村キャスター
「安倍総理は先月28日の衆院本会議で『万博は開催地のみならず、我が国を訪れる観光客が増大し、地域活性化の起爆剤となる』と発言しています。万博による経済効果をどのように見ていますか?」
堺屋氏
「私は、万国博覧会をやったら、まず大阪でやる前提なら、大変地方振興に役立つと思いますね。現在、東京に集中してやっていますけれども、全国に散らばる。この博覧会だけではないですよね。北陸新幹線を大阪につなげるとか、そういことを続けていったら、全国を振興すること効果がある。万国博覧会に来た外国人観光客も全国に散らばる、そういう宣伝効果が非常に高いと思います」
吉見教授
「2020年の東京オリンピックまでは皆がそこを目指していくだろうという意識を持っていますね。そうすると、そのあとが心配になってきて、2020年以降、日本はどうなってしまうのだと。いろいろな統計を見ると、2020年代から2030年代、結構苦しいのではないか、人口の面でも、経済の面でも。どうやってこの20年間をサバイバルしていくのかということを皆さん考え出している。ここで必要なのはイベントではなく、日本社会全体の構造改革だと思います。ですから、経済がシュリンクしていく、人口も縮んでいく。経済がグローバル化していく。世界が本当にグローバルにつながっていく社会の中で日本がもう1回強くなるためには、産業がもう1回力を持つためには、イベントをやるという話はカンフル剤みたいなところがあって、短期的には良くなっているように見えるかもしれない。でも、これは麻薬で、そうではなくて、本当に体質改善をするならば、体を切るべきところは切って、構造的に直していき、人の面でも、意識の面でも、社会の構造の面でも、組織の構造の面でも、日本を変えていくにはどうしたらいいのかということをもっと地道にやっていく方が近道だと思いますね」
松井知事
「吉見先生が言われるように、構造改革も大事ですが、新たにイノベーションを起こすきっかけも大事ですよ。これは両方を進めていく。これが日本の成長につながると思います」

松井一郎 大阪府知事の提言:『日本の成長』
松井知事
「世界の課題を解決して日本が成長していく。新しいイノベーション。商品も、サービスも新しいものをつくっていく。そのきっかけになるのがこの大阪万博だと思っています」

堺屋太一 大阪府・市特別顧問の提言:『楽しい日本』
堺屋氏
「日本は近代になってから2度敗戦しているんです。1回は明治維新、幕末維新の時ですね。明治の日本というのは強い日本を目指しました。それから、太平洋戦争。戦後の日本というのは豊かな日本を目指しました。今度は、楽しい日本を目指そうと。楽しい日本をつくれば、健康、長寿になり、社会が平等になり、豊かさの平等ではなくて、楽しさの平等をつくりたいということです」

吉見俊哉 東京大学大学院情報学環教授の提言:『万博幻想からの脱却を!』
吉見教授
「オリンピックとか、万博にすがって未来をつくる、あるいはイノベーションをするというのは何か違うと思うんですね。そんなことをやらなくても、万博にこだわることをやめちゃえばこそ、むしろイノベーションや新しい日本がつくれるのではないかと。対極的な考え方ですけれども、むしろその方が可能性があると私は思います」