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2016年10月5日(水)
櫻井よしこ×中谷元 日本国憲法と安全保障

ゲスト

櫻井よしこ
ジャーナリスト 国家基本問題研究所理事長
中谷元
前防衛大臣 自由民主党憲法改正推進本部長代理 衆議院議員

櫻井よしこ×中谷元 なぜ今『憲法改正』か?
秋元キャスター
「なぜ今、憲法改正が必要なのかという、憲法改正論議の大前提の部分を聞いていきたいと思うのですが、櫻井さん、なぜ今なのでしょうか?」
櫻井氏
「あまりにも明らかではないですか。だって、3分の2、衆参両院でいるわけですよね。戦後初めてですよ、衆参両院で3分の2を確保したというのはね。もちろん、自民党の憲法改正の考えと公明党の考えの間には違いがありますから、皆が一枚岩ということではありませんけれど、それでも今の憲法を何とかしましょうという大きな流れは同じですよね。初めて国民の選択として、3分の2を衆参両院で憲法に手をつけましょうという人達が確保したわけですから、これは国民に対する、ある種の責任でありますし、私は、日本国に対する責任だと思っていますね。だから、これはあまりにも自明のことで、なぜ今と言うよりも、なぜ今までしなかったのでしょうかということを問うべき時だと思いますね」
反町キャスター
「安保法制というのがありました。安保法制をつくる時に、憲法の枠内におけるギリギリの集団的自衛権の限定容認という、いろんな言葉が飛び交う中で、これによって憲法改正の必要がなくなったのではないか。これによってある程度の安心、安全というものができたのではないかという議論もありました。それはどうなのですか?」
櫻井氏
「それは時々、言われることですけれど、私、本質的にまったく違うと思いますね。具体的に、たとえば、尖閣の危機がどういうふうに起きるかということをいろいろと具体的に考えてみると、安保法制、中谷さん達が御苦労なさって、こういうこと言うのは本当申し訳ないですけれども、安保法制は、集団的自衛権をほんの一部、いろいろな条件付きで行使するという、集団的自衛権の行使というところに踏み切ったという1点のみで、私は評価をしているんです。その他のことは、ごめんなさい、中谷さん、本当に評価していないですよ」
反町キャスター
「それだけでは日本の安全は守れない?」
櫻井氏
「いや、守られないと断言してしまうと少しは守られる場面もあるかもしれないけれども、これから起こるであろう実際の危機にこれを当てはめてみると、グレーゾーンと言われる1番大事なところ、中国はこれを狙ってきますよ。日本の法整備、ありませんからね。このへんのところ全部、抜かしてしまっているわけですね。だから、そのような時には役に立たない。それから、一部集団的自衛権行使するとなっても、自衛隊は未だに、自衛隊法とか、憲法の縛りの中にあって警察官の職務執行法の枠の中にまだいるんですよ。本当の意味での軍隊ではないですね。本当の意味での軍隊にして、ちゃんとした責任が持てるような法律というものをつくってあげなければいけないですね。そうしないと、たとえば、いざ、出て行ってください、尖閣を守ってくださいと言って、反町さんを送りますね。手、足を縛って行ってこいというようなものです。十分働くことができるわけがないですよね。そういう状況の中に、未だに自衛隊を置いているということ自体がおかしいと、私は思っていますね」

憲法『前文』のあるべき姿
秋元キャスター
「日本の安全保障のために憲法を改正するとすれば、どこをどう変えるのかということですけれど、櫻井さんは以前から、憲法の基本的な原則を記した前文から変える必要があると主張をされているのですけれど、特に問題があると指摘されているのが、この『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』ですね。櫻井さん、この部分、どこが問題なのでしょうか?」
櫻井氏
「まず日本語としておかしいということはよく言われますね。信義に信頼して、それは小さな問題かもしれませんが、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存、つまり、命ですね、保持しようと決意した。たとえば、私達の命、子供達、未来世代の命を国際社会の平和を愛する心とか公正さと信義の厚さにお任せしましょうというわけですけれども、国際社会とは何ですか。国連なのですか。国連の安全保障理事会、常任理事国ですか。いろいろ考えてみたら、そこだって米英仏とロシアと中国、全然違うわけですよね。中国の習近平さんに私達の命と安寧を預けますかと言ったら皆、嫌だというのは当たり前ですね。でも、皆が嫌だというようなことがこの憲法前文に書かれていて、それをもとにして、それは憲法の精神ですから。それをもとにしていろんな条項が書かれているわけですね。だから、ここの前文を読んでみて、すごく日本だなとか、日本らしいなというところがないと思うんですよ。実は『憲法改正の論点』というので、私達がまとめたのですけれども、なぜ憲法改正をしなければいけないのということをいくつかのポイントに分けてまとめたんですね。前文も、私、すごく気になりますから、この最初のところに書いてあるのですけれども、たとえば、リンカーンのゲテスバーグ演説とか、アメリカ合衆国憲法とか、1943年のテヘラン宣言、米英ソです。1941年の大西洋憲章とか、とにかく外国のいろんな宣言とか、そういったものを部分的に借りてきて、それをコピーペーストしているわけですね。コピペと言いますね。コピペですよ、憲法前文というのは。憲法前文というのは、その国の国柄、先ほど、私が申し上げたような国柄、価値観というものを書き込むべきところなのに、外国のリンカーンさんから借りてきたり、米英ソから借りてきたり、アメリカ合衆国憲法から借りてきたり、日本は他国から借りなければいけない国ですか。違いますよ。我が国には我が国の伝統とか、そういったものがあるのですから、それを書きましょうということで、実はここに持ってきたのですけれども。産経新聞社がまとめた『国民の憲法』というのがあります。私の知っている方達が随分長い間議論して、本当に良いものができているのですが、自民党の草案より、中谷さん、こちらの方がいいと思っているんですけれども。この前文は優れものですよ。ここは、日本国は先人から受け継いだ悠久の歴史を持ち、天皇を国のもといとする立憲国家であると書いてありますね。私達の国は本当に、長い歴史がありますね。2700年になんなんとする歴史というのは、一貫してずっと1本の筋の通った歴史というのは、この地球上の他のどの国にもないですよ。1番古い継続した歴史、これは大事にしなければいけない。なぜ大事にしないといけないのか。私達の父母が大事にした、そのまた父母が大事にした、そのまた父母が大事にしたと。つまり、日本人皆がこの国を大事にしたから今の日本が続いた形であるんです。革命を起こしたわけでもなく。だから、私達につながる人達、先人達が大事にしてつくってくれたのが、この国であり、2700年近く続いている、そのところに敬意を払わなければいけない。そこを産経の『国民の憲法』はまず言っていますね。ここに日本国民は建国以来、天皇を国民統合の拠り所とし、今の天皇陛下のお言葉に皆が共鳴する。すごく尊敬をしたり、親しく思ったり、大事に思っているのが皇室ですよね。そのことを書いている。専断を排して、衆議を重んじる。我が国は本当、神様、天照大神の神話の時代から、神様でさえもすごく独断的なことはしないで、皆で相談して、衆議を重んじるんです。これは面白いですよね。尊厳ある近代国家を形成した。山紫水明の美しい国土と自然に恵まれ、海洋国家として、独自の日本文明を築いたと。すごくステキな文章ではないですか。山紫水明の美しい国であり、水に恵まれ、海に恵まれて、本当に素晴らしい国という日本を描いていますよね。そのあとに、よもの海をはらからと願い、和をもって貴しとする精神と、国難に赴く雄々しさを育んできた。よもの海をはらからと思うというのは天皇陛下の御製ですよね。日本が開戦しようとした時、本当に戦争に行くのかと。我が国はよもの海をはらからと思っていた平和な国なんですよということを和歌に託して、詠まれてご紹介してくださって、ここでもう1回考えましょうと。ただ、日本国は戦争に行きましたけれど、このような価値観を私達の国は基本的にずっと持ってきている。日本国というのは、私は本当に穏やかな文明を育んできた国だと思っています。日本人はとても優しいですよね。優しいのは文明が優しいから、国柄がそうだからですよ。日本人全体、本当に優しい。だから、いつも騙されて、まずいことですけれども。こういった前文というのは、その国の価値観をしっかりと書き込んで、そこからいろんな法律というものが生まれていくべきだと思っているんです」
反町キャスター
「その立場からすると、今の日本国憲法の前文のその部分というのは、我々のDNAにはない言葉ですか?」
櫻井氏
「いや、だから、平和を愛するというのは私達です。でも、ここは平和を愛する諸国民と言っていますね。諸国、どこ?中国?、北朝鮮?、ロシア?、イラン?。その国際社会に私達の安全と生存、生存とは命ですよ。命を預けましょうと。彼らに頼ることによって安全と生存を保持しようと決意をしたと言っているのでしょう。反町さんがもしこれに賛成するなら、私はあなたに、あなたは行かなくてもいいけど、あなたのお子さんを習近平さんのところに預けなさいと言いますよ。そうすることによって、これを本当に信じているということが証明できるけれども。こんなに混乱している国際社会に誰が自分の大事な人の命を預けようと思いますか。自分達で守ってやりたい。子の命、孫の命、私達の命、日本国政府が守ってほしい。私達の手で守っていきましょう。こう思うのは当たり前だと思うんです。そこのところがこの平和を愛する諸国民の公正と信義、平和を愛する諸国民の公正と信義に満ち満ちた国際社会が第一ありますかということですよ、あるの?」
反町キャスター
「ないんだろうなという前提で聞いている。もう一問だけ、こういう文言を書くというのは、日本の国民というよりもそういうものがあてがわれて、それを訳したものがこれだとすれば、書いた側、たとえば、戦勝国、たとえば、アメリカが、要するに、当時の国際秩序、世界秩序を握っている国からすれば、それだとすれば、アメリカから見れば、諸国民の公正と信義に信頼し、これは、要するに、諸国民の公正と信義というのは、つまり、パックス・アメリカーナの前提があるわけですから。それならあるという読み方はありますかと思って聞いたのですが、それは、日本はダメかもしれない。アメリカ側から見ればアリだと。そういうことはあるのですか?」
櫻井氏
「アメリカは、日本を保護国にしようとしたわけですね。これは、デイファクトプロテクトレイトとして、事実上の保護国だと日本は言われています。我が国は独立国家ではあるけれども、事実上の保護国だと言われていますね。そのアメリカが、これを前文で書きました。これを具体化したのが9条ですね。具体化した9条、とりわけ戦争を放棄。第1項はいいです、私も正義と秩序を基調する国際平和を希求し、これは私も守るべきだと思います。ただし、問題は第2項ですよ。前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しないと。国の交戦権は、これを認めない。この地球上のどの国がこのようなことを決めていますか。いくつかありますよ。でも、すごく小さい国、モナコ公国とか、バチカンですね。バチカンはカトリックの総本山で、たかだか8000人ぐらいだか、8万人ぐらいの人口ですよね。だけれど、そのような国と日本国の1億2700万人ぐらいの国を一緒にしていいはずはないわけであって、この第2項というのはすごく問題で、この第2項が、憲法前文の赤字で皆さんがお示しになった部分の具体的条項です。日本国に何もさせないと。アメリカが守ってやるから、日本国は何もするなという前提で始まったわけですね。また、この時にできていた国々を見てみると、まだ中国ができていないですよね。本当に白人の皆さん方の考えた価値観だと思いますよ。だけれど、その後、世界は大きく変わったのではないのですか。100年に1回の大きな変化の中で、日本国民の命とか、安全とか、国土に責任を持つべきは日本国である。そのことを実現するためには、前文と憲法9条の2項は変えなければいけませんね」
反町キャスター
「日本の憲法を巡る意見は、いろいろあります。護憲の立場をとられる学者の方々に聞くと、前文をいじることに対してはこういう意見が出てきています。中国や北朝鮮の行動に対して、前文を変えてしまうと同じレベルに成り下がってしまう。前文にある名誉ある地位をなくしてしまうのではないか。品位をなくすのではないのか。こういう指摘についてはどう感じますか?」
櫻井氏
「全然理解できない。どういう意味ですか。中国や北朝鮮の行動に対して、前文を変えてしまうと、日本が同じレベルに成り下がってしまう。どういう論理なのか。全然わからないですね。説明してください」
反町キャスター
「おそらく僕らが理解している限りにおいては、要するに、この公正と信義を信頼しているというところを重要視している意見だと思うんです。北朝鮮や中国の脅威があるからこそ、我々は北朝鮮や中国を信頼できるのですか、信頼できないのだから、前文、憲法を変えなくてはいけないという、そのロジックをやることが結局、北朝鮮や中国のレベルというところですけれど、レベルに合わせることが日本の国家としての品格にどうなのですかという、この問いかけですけれども」
櫻井氏
「屁理屈ですよ、一言で言えば。そういう方々には中国の憲法を読んでほしいと思います。中国の憲法は、これは立派ですよ。すごく立派で、びっくりするぐらい。中国の歴史を書いて、文化・文明を書いて、日本国憲法にない環境権までちゃんと書き込んで、小さな異民族の皆さんの宗教、文化を全部大事にします。本当に至れり尽くせりで、もし憲法通りの中国だったら、私、本当に中国を尊敬します。だけれども、まったく違います。私は北朝鮮の憲法を知りませんけれども、このような中国や北朝鮮に対して前文を変えてしまうと、日本も同じレベルに成り下がってしまう、とおっしゃる方々はここのところの主張をもうちょっとわかりやすく言ってほしいとともに、中国や北朝鮮という国の実態をもう少しきちんと踏まえて話してほしいと思いますね」
中谷議員
「いずれにしても、70年前につくった憲法ですからね。現在において、新しい時代に入ってきています。新しい世代がそれを読むわけでありますので、ふさわしい、皆がわかる憲法にする必要があります。こういったご意見がある方も当然いらっしゃいますので、是非、国民が憲法をつくるわけでありますので、国民が国の形、これを選んでいくという見地で大いにこういった国のあり方を出し合って議論をすべきだと思います」
櫻井氏
「すごく大事なことがあるんですけれど、先ほど、反町さん、前文はアメリカが守ろうということで、書いたのではないですかとおっしゃった。守ろうと思ったか、隷属させようと思ったかは知りませんけれども、ただ、そのアメリカが変わっているんですよ。アメリカが既に、トランプさんが日本は韓国とともに、北朝鮮の核に対して、自分達の核のオプションを考えてみたらどうかとまで言っていると。トランプさんが大統領になるかならないかはわかりませんけれども、そういうことを言う方が何千万人の支持を得ている。もう1つ大事なことは、これも中谷さんのご専門でありますけれど、アメリカの国防総省直属のランド研究所というシンクタンクなどは、アメリカと中国が何か有事の時にはアメリカ有利でいくことはできない。ドンドン時間が経つほどに、中国有利になるということを、アメリカのシンクタンクが言っていて、国防総省直属のものが言っているんですね。そのような中で、アメリカが日本にもっと独立してください。我々におんぶに抱っこではダメですよというシグナルをあらゆるレベルで送ってきているわけでしょう。であるならば、この憲法前文、それから、憲法、アメリカがつくった憲法9条1項、2項。どうやって私達は対処すべきなのか。アメリカがそういう意味で離れていくわけですから日本として日本を守るために、自衛のためのちゃんとした力と意思を育てていかないといけないと思います」

憲法『9条』改正の是非
秋元キャスター
「先ほど、櫻井さんからも憲法9条第2項が問題だという話がありました。この2項をあらためて紹介しますと、この第1項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めないということですけれど、櫻井さん、この第2項、問題があるとすれば、どう変えていくべきだと考えますか?」
櫻井氏
「そこは、第1項はきちんと守った方がいいと思うんですよ。我が国は侵略戦争をしませんということですけれどもね。第2項において、我が国はちゃんと自衛のための軍隊を持ちますということをはっきり書いた方がいいと思います。今の憲法には、自衛隊という言葉が出てきませんね。でも、自衛隊は現実に存在をしているわけで、本当に大きな役割を果たしていて、92%以上の国民が自衛隊に対して支持を与えているわけですから。このように国民を守り、災害時にいち早く出ていき、PKO(国連平和維持活動)をやって、尖閣諸島の沖でじっと海保を見守っている。そういう役割を果たしている自衛隊が憲法の中に一言も書かれていないというのはおかしいわけでね。本当は無いことになっているわけでしょう、字面から言うと。我が国は自衛のために十分な戦力としての国軍を持ちます。国軍が自衛隊でもいいと思います。どういう言葉でもいいと思いますけれども、きちんとした軍隊を持ちますということを明記すべきだと思います。それから、もう1つ書くべきことは、国際的な貢献をします、PKOとか、世界のために役に立つ国でなければいけないわけですから。本当にもっと心配する方々がいらっしゃるのでしょう、お母さん方なんかは侵略戦争をするのではないかと。侵略戦争はしませんということを憲法9条1項で、私は十分だと思いますけれども、もし国民の皆さん方が心配ならば、我が国は侵略戦争をしませんということを明記するということも考えていいと思いますよ」
反町キャスター
「さらに1項に付け加えるようなイメージですね?」
櫻井氏
「そうですね」
反町キャスター
「中谷さん、2項を変えるべきという櫻井さんの意見をどう感じますか?」
中谷議員
「これは様々な議論、意見があるんですね。最初は自衛のための戦争も、自衛のための措置もしないというところから始まって、やはり自衛隊は必要だということ。そして平和安全法制の議論に至りましたけれども、この安全保障環境というのが大きく変化する中で、9条の中から読み解いていったわけです。9条が言う憲法の範囲、解釈をどう考えるかと。私は4つの考え方があると思うんです。これは、9条は平和を維持するために変えてはいけないという考えの人。それから、2番目は、昨年、平和安全法制で徹底的に憲法議論をしましたけれども、その時に現行の憲法解釈によって集団的な限定的な範囲の自衛権の行使を容認したということで、必要最小限度の自衛権ということで位置づけると。3つ目は、自民党の憲法草案を掲げていますけれど、国際法の中で各国は軍を持っているんです。軍を持っていない国はありません。そういう意味で、国を守るという組織として認めて、国連憲章に基づいたフルサイズの集団的自衛権、これを認めていますけど、これについてもしっかりと安全保障基本法などの法律も合わせてつくるという考え方です。それから、最後4番目、自衛隊が合憲であるということを明確にするための憲法改正ということで、憲法の改正によって現在の自衛隊というものが必要最小限度の自衛権の行使を明確に位置づけるというような形で考えていくということで、これは各党、まだまだ様々な議論が必要でありますので、大いに国会の審査会の場で日本の安全保障を巡って議論していきたいと思いますが、国民の理解がそれについてきているのかと言うと、まだそこまでできていないわけでありますので。大いに議論を通じて、本当の意味を理解していただいて、真剣に今の日本国の防衛、いかにあるべきかというのも合わせて考えていただきたいと思います」

自民党の改憲草案
秋元キャスター
「自民党の憲法改正草案、第9条のポイントですが、1項の自衛権の発動は、集団的自衛権を含めての自衛権ということになるのでしょうか?」
中谷議員
「戦争放棄というのは国際法でも違法とされている戦争を放棄して、侵略目的の武力行使は行わないと。自衛権というのは国際法で認められている権利です。国連憲章に書かれています。これにつきましては、国家としての当然の権利として、国連でも議論されていますけれど、他国を侵略目的で武力行使をすることは禁止されていますし、容認される内容ではないということです。ただし、自民党の草案の場合は、もはや一国のみで平和と安全を守れるという時代ではないので、国際社会の一員として国際社会の平和と安全を守る必要があるし、それが我が国の平和と安全につながっていくという観点から国際社会の平和のためも活動にも参加できるとしていますが、これは国連の決議に従うわけでありますので、他国を侵略する目的で武力行使につながることがないようになっています。ただし、これは一案でありますので、自衛権にも幅のあるお考えがありまして、最後まで自民党内でいろいろと議論があったわけでありますが、当時議論をして1つの形をつくりましょうという歴史的な公的文書になりますけれども、その時点で取りまとめた考え方ということです」
反町キャスター
「ここで言う自衛権には集団的自衛権が入るという話だと思っていいのですか?」
中谷議員
「そうです」
反町キャスター
「それは安保法制で限定容認された集団的自衛権というものが、自民党の憲法改正草案ではタガを外して全部入れるという、そういう理解でよろしいですか?」
中谷議員
「はい。国連憲章でも認められている国家としての自然権の権利として認めたものでありますが、しかし、これは議論が必要なところでありますので、これの取り扱い等については国家安全保障基本法をつくって法律で運用はしっかり規定して、当然ながら国会などのシビリアンコントロールをしっかりかけていくという意味です」
反町キャスター
「自民党の改正草案の建てつけをどう見ますか?」
櫻井氏
「いいと思いますが、加えるとしたら、シビリアンコントロールということを、総理大臣が最高指揮官ですよということをきちんと書き込んだ方が、国民の皆さんが安心すると思います。憲法で不安を掻き立てるのはよくないことですから、皆に日本国はこういう形で軍事力を持ちますよと。私達は絶対侵略しないですよと。ただし、国防のための軍事力というのは持たないとダメですね。あくまでも決定するのは国民の代表である内閣総理大臣ですよということを謳ったらいいのではないかと思いますね」
中谷議員
「これはトータルとしての草案ですから、内閣総理大臣の規定の中に最高指揮官であり、統括するという規定も置いていますし、この9条の中にもできる内容を規定をしていまして、シビリアンコントロール、統制はしっかり前文の中にも書き込んでいます。もう1つ、国防軍保持と書いてますけれども、これはしっかり法律で国会の統制を受けるという条項も書いています」
反町キャスター
「総理が本当に常に正しい判断をするのか、そうではない、心配になる総理もいたと思いますよ。そういう総理に対して憲法がブレーキをかける、この部分はどう考えますか?」
櫻井氏
「総理大臣が決めるとしても、国会の議決を得たうえで、了承を得なければいけないわけですから、1人の人間が、たとえば、独裁者が決めるというような仕組みには日本の国会はなっていないですね。そのことが大事だと思います。なるべく間違いを犯さないように国会での議論があり、専門家チームの議論があるわけですから、いろいろな歯止めはかかっていると思います」
中谷議員
「これは国会の統制もあれば、総選挙も4年の任期ですから、いずれあるわけですよ。変な総理だと、総選挙で存続できませんよね。そういった民主主義のうえで国会があり、国会がコントロールし、内閣ができて、そこでも総理大臣、防衛大臣という文民統制の流れが今もありますので、同じだと思います」

『憲法改正』議論の行方
秋元キャスター
「どのくらいのタイムスパンで進めていくべきだと思いますか?」
櫻井氏
「私は、中谷さんも含めて、安倍総理も含めて、今の国会の議論を見ていると、もっと危機感を持ってほしいと思いますよ。日本国が1日も早くなすべきことは2つあるんですね。憲法改正と自衛隊の予算を増やして、海保とともに実力部隊として強くするということと、もう1つはTPPですよ。この2つを国家戦略として、世界戦略の基本として、1日も早くきちんとやらなければいけない。にもかかわらず、期限を設けませんとかですね。本日、民進党の野田さんが、自民党が草案を取り下げることが第一歩だとおっしゃった。私は、野田さんをとても尊敬していますけれども、この点においては彼は間違っている。自民党に草案を取り下げなさいと言う前に、民進党でちゃんとしたものを出しなさいと言いたいですね。前に決めたものについても踏襲しないというような意見が出ていますけれども、野党第一党の責任を何と心得ているのか。おまけに共産党と共闘して補選をやろうなんていうのは心構えがなっていないですよ。こんなので日本の政権を未来にかけて奪い獲ろうなんて言うのはおこがましいと思います。民進党の人達にすごく反省してほしい。同時に自民党にも悠長にしている時間はないのだということを強く申し上げたいと思いますね。従って、秋元さんの質問には、1日も早くやりなさいということですね」

『お試し改憲』の是非
反町キャスター
「安全保障、9条、そういう真ん中のハードルの高いものではなく、合区解消、環境権、私学助成、同性婚、こういうものからとりあえずお試しで、これを入口とすることについてはどう考えていますか?」
櫻井氏
「それも1つの理屈ですけれども、その理屈で果たして間に合うかという疑問を私は持っているんです。変な話ですけれど、中国は必ず尖閣に手をかけてくると思いますよ。国際社会の戦略家はそれを大前提にして考えて、日本はそれを守り切れるか、アメリカはそれを守り切れるか、台湾はどうか、という議論が現実の戦略論ではドンドン行われているんですよ。そのような時に私学助成とか、同性婚も大事な問題でありますけれども、本当にこういう順番で日本国は間に合うのでしょうかということを私は問いたい。理由があったら、いくらでもお試ししたらいいですよ。国民が憲法改正はこういうふうにするのだなと、大丈夫なのだなと納得するまで待つのも大事ですけれども、今は本当に100年に1度の緊急事態だと思った方がいいと思うんですね。だからこそ、政治は言葉によって成り立っているんですよ。言葉によっていかに国民を説得するか、国民に何を伝えるか、それを自民党があまりにもやっていないではないかと思います」
中谷議員
「お試し改憲は憲法改正を決定する国民に対する愚弄であって、そんな気持ちでやっているわけではありません」
反町キャスター
「それはネーミングがけしからんという」
中谷議員
「名前がけしからんです。事実上、国会で3分の2の合意がなければ国民投票にかけられませんので、しかも、国民の過半数の賛同が要りますので、国民が理解できるかどうかという観点は必要だと思うんですね。そのために自民党はガイドブックも出して、各地で憲法について説明会をしていますので、大いに説明して、努力をしていきたいと思います」

中谷元 自由民主党憲法改正推進本部長代理の提言:『万機公論に決すべし(全党熟議)』
中谷議員
「これは明治維新の時に船中八策ということで改革姿勢を示したんです。その時に万機公論に決すべしということで、無窮の大典をつくるべきだと、議会をつくれと。と言うことで、民主主義のスタートになりました。これが明治天皇の五箇条の御誓文の中にも入っていますが、国民が主権で、国民で議論しながら、日本の国の将来を決めるという基本姿勢ですから、国民の合意が必要ですので、大いに万機公論を行って、全党で熟議をして。最近、イギリスも、ポーランドも国民投票で失敗しているんです。そういうことがないようにしっかり国民に理解されるように、熟議していきたいと思います」

ジャーナリスト 櫻井よしこ氏の提言:『興亡の淵にある事を考えよ』
櫻井氏
「先ほどから申し上げているように日本は100年に1度の危機に直面していますから、そのことをよく考えて、国のあり方、行く末というものを考えてほしいということです」