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2016年9月29日(木)
『もんじゅ』夢の始末 どうなる核燃サイクル

ゲスト

馳浩
前文部科学大臣 自由民主党衆議院議員
山際大志郎
元経済産業副大臣 自由民主党衆議院議員
田坂広志
多摩大学大学院教授 元内閣官房参与

高速増殖炉『もんじゅ』見直し 核燃料サイクルの行方は?
秋元キャスター
「そもそも高速増殖炉もんじゅとは何なのか。何を目指してきたのかというところから話を聞いていきたいと思います。まずは高速増殖炉の仕組みについて確認していきます。高速増殖炉は発電しながら消費した以上の原子燃料の生成ができる原子炉で、どういう仕組みなのか。まずウラン235とプルトニウムを混ぜたMOX燃料を中心部に置きまして、周囲にそれまで燃料として使えなかったウラン238を置きます。中心部のMOX燃料を核分裂させると、そこから飛び出た高速中性子が外側のウラン238にぶつかり、核分裂しやすいプルトニウムに変化するということですね。これが新たな燃料になるという、まさに夢のような技術なわけなのですが、まず馳さん。この高速増殖炉もんじゅによって日本はエネルギーのどういう未来を描いていたのでしょうか?」
馳議員
「ポイントは国の存続とエネルギーの安定供給はまさしくイコールフィッテングなわけですよ。従って、これはエネルギーの安全保障という観点もあると思います。あとで出てくるとも思いますが、ナショナルフラッグというのはこのエネルギーをいかに自らが純国産として開発していくか、エネルギーの安定供給の体制をいかに確保していくかと。もちろん、諸外国と良い外交関係を結んで、資源エネルギーを買うというのも1つですが、我が国のナショナルフラッグ、日本人自らが研究、開発、その成果として核燃料サイクル事業を使って、未来永劫に安定供給できるようにすべきではないかというところは、政策として、我が国はとってきたということを是非、理解していただきたいと思います」
反町キャスター
「山際さん、いかがですか?もんじゅ。どういう希望がそこに託されていたと、過去形ですよ、とりあえず現状では。どう感じていますか?」
山際議員
「馳先生がおっしゃったことに尽きると思います。もんじゅだけをやっているわけではなくて、それこそイーターという核融合炉。これは簡単に言えば、人工の太陽を地球上でつくって、その熱を取り出すことで電気をつくろうというものですが、そういう計画とか、もちろん、再生可能エネルギーも含めて、多くの可能性というものを探る中の、非常に大きな1つとして、高速増殖炉というものを位置づけてきたということなのだと思います。当然これがあったからと言って、日本で消費されるエネルギーの、電気の部分の大層はこれで何とかなるかもしれませんが、原料として使うエネルギーの部分で化石燃料を使わないということはないですね。それから、100%自給というのはどこまでいっても、それは難しいです。難しいのですが、しかし、ある程度は、自分のところでやれるようにしようという、我々としては希望を持っていましたし、現在でも、それは持ち続けている希望です」
反町キャスター
「もんじゅ、高速増殖炉をずっと取り組んできてうまくいかなかったということで、今回、廃止の方向になっているんですけれども、いろいろ問題点があったのでしょうけれども、難しいところ、どこが難しかったのですか?」
田坂教授
「よく言われるのは、ナトリウムを冷却剤に使っている。水と触れたり、空気に触れると燃えたり、爆発したりする。その意味で、簡単に考えても、高度な技術が必要ですけれど、さらに原子核工学的に見ても、炉心の設計もなかなか難しいですけれど、ただ、敢えて申し上げれば、今回、もんじゅが壁にあたったのは、むしろそれ以前の技術の高度な挑戦のところというよりは、非常に素朴なことで壁に突き当たっていますよね。たとえば、炉心に中継器を落としてしまうとか、さらに点検漏れがあるとか、むしろ手前のところの組織的な体質がこんな高度な技術開発に挑戦できるのか、特にリスクを伴った。その部分が国民からも疑問を持たれたことだと。これは分けて考えておかなければいけないと思うんです。つまり、非常に高度な技術的な挑戦であることは、私の学生時代の、何十年も前からもそうですけれども、今回、もんじゅが壁に突き当たったのはそういう高度な挑戦のところで壁に突き当たったわけではない。もっと手前のところで壁に突き当たったところが極めて残念だなと思いますけれども」
秋元キャスター
「ナトリウムのことについて、通常の原発では冷却剤に水を使用するんですけれど、高速増殖炉では、そこにナトリウムを使用しています。それによって中性子のスピードを高速に保つことができ、それによってウラン238をプルトニウムにすることができるわけですけれども、でも、ナトリウムは取り扱いが難しいということですよね?」
田坂教授
「極めて難しいですね。ただ、技術屋から見れば、だからこそ挑戦のし甲斐はあるんです。先ほど、馳前大臣の方からも話があった、資源の効率利用という意味で言えば、ウラン資源と言いますけど、ウラン235しか使えませんので、軽水炉では。0. 7%。従って、1 %未満しか使えていないのが238。ウランの238 が使えるようになる。プルトニウムに変えることによって。これは確かに、夢の原子炉といえる話だったんですね。ただ、この話、後半、非常に重要になるので申し上げるとまさに増殖をしていくから、この高速増殖炉は魅力あったわけです、増えていくから。そこの部分がこのあと、どういう議論になるのか。高速炉という言葉に変わった。これは後半の部分のテーマだとは思いますが」
秋元キャスター
「夢の技術と思われた高速増殖炉の開発。世界ではどうなっていったかというのを見ていきますと、1980年代にはアメリカとイギリス、1990年代初頭にはドイツとフランスで計画の中止ですとか、撤退が決まっているのですが、各国が高速増殖炉から撤退していく中で、なぜ日本だけが続けるという道を選んだのでしょうか?」
馳議員
「先ほど申し上げたように我が国としてのナショナルフラッグとしてエネルギー安全保障のための、1つの研究開発の、ナショナルフラッグとしてやる必要があるというのが1つ。それから、実際には日本は地震国でもあることから、ループ型という形でやっていますが、ロシアとかインドなどは実際に商用炉に向けてタンク型はもう既に開発に入っていますから、そう考えると、アメリカとイギリス、ドイツ、フランスの事情を説明してございますが、実際に商用炉に向けて取り組んでいる国もあるというのは、これは1つの事実です」
反町キャスター
「やめている国ばかりではない?」
馳議員
「はい」

『夢の原子炉』の後始末と課題
秋元キャスター
「なぜもんじゅが見直しに至ったのかということですけれど、もんじゅの歴史を簡単にこちらにまとめました。1991年、福井県の敦賀市に高速増殖炉もんじゅが完成しました。3年後の1994年に、初めて核分裂が連続して起こる臨界に達しましたが、翌年12月にはナトリウム漏えい事故が起き、運転停止となりました。この時、情報を積極的に公開しないという姿勢も問題になりました。そのあと、14年ぶりに運転を再開したんですけれども、2010年8月には、炉内中継装置の落下が起き、再び運転凍結となります。2012年にはおよそ1万件の機器点検漏れが発覚し、そのあとも、2015年8月には3000以上もの機器に安全重要度分類の誤りが発覚しました。先週、原子力関係閣僚会議が廃炉を含めた抜本的見直しを行うことを決定しまして、このように完成から現在まで25年の間で、もんじゅが稼働したのは250日だけということになったわけですけど、もんじゅで事故が相次いだ背景、理由をどう見ていますか?」
馳議員
「私は検討会を立ち上げて、これまでの総括をしましたし、その総括を踏まえて、あるべき姿、そのための運営主体の具体的な選定。その作業のところまでいって、大臣を退任したのですが、先ほどおっしゃったように、実はナトリウム漏れ事故の時は温度計の問題がありましたから、これはハード、構造的な問題として、きちんと改善はしていますし、それは大丈夫です。問題なのは、世の中の皆さんにご理解いただきたいのは、ナトリウムを扱うような構造的に複雑なものをこんな組織に任せておいていいのかと。それはまさしく1番単純ですけれども、安全管理、品質管理、保守・点検。言われていることをちゃんとやっていないではないかと。たとえば、複雑な構造、施設、設備ですね。それを目視でいいよと。いや、違うだろうと。目で見えないところはカメラなどを使って、ちゃんと裏まで見えるようにしなさいよと言っているにもかかわらず、目視でいいとしていたり、一事が万事。そういう対応の仕方が組織内にあったということ。従って、旧動燃から原子力研究開発機構に組織替えをしましたけれども、組織が変わったって、体質は変わっていないではないかということは、私は今回、昨年の11月、原子力規制委員会の田中さんから勧告を受けましたけれども、1番のポイントはそこだと思うんです。まさしく、これは信頼の問題ではないですか」
反町キャスター
「山際さん、いかがですか?これまでの馳さんの話を聞いていると、要するに、もんじゅが廃炉の方針になったというのは別に日本の原子力技術の問題ではなく、組織のガバナンス、モラル、組織的な緩みの問題で、これまでお金と時間をかけたものをやめることになったのか。これはもったいない気もするのですが、どう考えていますか?」
山際議員
「取っかかりというか、最初の部分は、そうだったというのは誰も否定しないです。しかし、今回、どうしてももんじゅを、まだやめると決めてるわけではないですが、その方向に進んでいるのは、私は、最大の理由は3.11があったあとに、新規制基準というものがつくられて、それに適合させようとする時に、莫大なコストと時間がかかるという試算が出てきたと。これが本当に、先ほどの話ではありませんけれども、国民に対して、きちんと続けていくということを説明できますか、確実にやっていくことができるのですかと。その問題ということの方が、今回のことに関しては大きいと思います。ですから、もちろん、これまでいろいろ意味で問題があったというのは否定もしませんし、その部分は隠すわけにもいかないし、改善もしなければいけないのですが、実際に今回のもんじゅを廃炉の方向に持っていこうかという議論になる最大の焦点は、要するに、コストと時間がかかるということだと思いますね」
反町キャスター
「そうすると、福島第1原発の事故がなければ、今回のこのような廃止の方向ということにならなかったのかもしれない?」
馳議員
「一言で言えば、費用対効果なわけですよ」
反町キャスター
「これまでの事業費1兆2000億円。維持費が、動かしていなくても1日5000万円かかると。再稼働するとならば5800億円かかるのではないかという、このことですね?」
馳議員
「はい。今回、12月までには高速増殖炉もんじゅは廃炉も含めたですね。廃炉の方向の話をされていますけれども、そうじゃない。廃炉を含めた見直し。なぜかと言うと、廃炉と一口で言っても、明日からシャッターを閉める閉店ではないのだから、つまり、30年近くかかるわけです。現在、引き受けていただいている福井県に対する、あるいは使用済核燃料の再処理工場を持っている青森県に対する、きちんとした説明をしなければいけないということを考えれば、今後、高速炉の研究は維持をしますと。高速炉の研究・開発、これは維持をします。当然、これは高速炉となると実用化を目指していきますから。おそらく経済産業省が所管をして、文科省が研究開発する部分で協力をして、当然その先には商用炉がありますから、商業用の発電炉がありますから。事業者も入ってくることになりますよね。従って、もんじゅをこのまま再稼働しても、実は再稼働するまで、まだ10年かかるんですよ。現在のもんじゅを再稼働するまでには。それには5000億円近くの金もかかるんですよ。また、そのために新しい規制基準に適合した使用済燃料の再処理の工場も必要になってくるわけですね。という費用対効果を考えると、今後、山際さんもおっしゃったけれども、3.11で新規制基準ができたと同時に、日本とフランスでの原子炉の共同開発計画も進んでいる中で、情勢がやはり、変わってきたのではないかと。3.11だけではなくて、国際的な共同研究開発の、これもあるのではないかと。これも情勢の変化だから。ここは見直しましょうという大きな要因になったところです」
反町キャスター
「費用の話、これまでかかった費用が1兆2000億円。放って置いても、1日5000万円で。再稼働するのには5800億円。いずれにしてもケタがすごくて、驚くんですけれども。費用対効果の話が出たので、そこから聞きたいんですけれども、これまでかけた1兆2000億円。日本の原子力技術に対する貢献という点から見た時に、1兆2000億円をかけただけのものというのは、日本の科学技術に対しての見返りはあったのですか?」
田坂教授
「私がお答えするよりも、国民の実感として何が成果として上がっているかということを示していただいたら、かなり残念な結果になると思うんです。ただ、終わっていると言ったら、失礼ですけれど、過去のことをとやかく議論をしてみてもしょうがない。むしろいったい何を学んだのかということを私は明確にするべきだと思うんです。先ほどから組織の体質が緩いとか、いろんな議論があるし、これは多くの人がわかっていることですが、では、どうするのだと。たとえば、私自身はアメリカの国立研究所で働いていた、原子力関係ですけれど、時代がありますけれども、たとえばですが、アメリカは責任体系が非常に明確ですね。1つの大きなビッグプロジェクトをやる時に、アメリカの国立研究所、特にエネルギー省傘下の国立研究所は、全て民間に運営を委託するわけですね。その代わり、何年間でどれぐらいの予算でどういう成果を出すということをしっかりと約束させるわけです。それができなければ、何年間かあとの契約更改の時には外される。他の民間企業にいく。こういう厳しい状況の中で責任体系も明確。だからこそ、民間企業の中にテクノロジーマネジメント、技術の、開発のプロフェッショナルがドンドン育っているんですね。研究者というのは、残念ながら、技術マネジメントのプロではないですね。そこをごちゃ混ぜにしてしまって、どこかの室長に、君、リスクマネジメントもちゃんとやってくれとか、やってみても、この手の大きなプロジェクトは無理ですね。と言うことは、この投入したコストはもう戻ってこないわけですから、ここで何を学ぶか。徹底的な日本における技術開発の、たとえば、仕組みのあり方。これをもっと見直すべきだと。そうしないと、仮にもんじゅの代わりに新もんじゅをどこかにつくるにしても、規制委員会が投げかけている宿題には何も答えていないですね。運営主体がどうあるべきか。これについて単に組織を別につくったって意味がない。こういう高度なリスクのあるテクノロジーマネジメントをやる組織、人材というものを、これを機にしっかりと日本で育てましょう。そのためには、たとえば、アメリカのやり方も参考になるかもしれない」

次代担う?『高速炉』とは
秋元キャスター
「ここからは、もんじゅの廃炉が決定した場合に、日本の原子力政策の基本方針である核燃料サイクルはどうなっていくのか。今後の研究、開発の方向性などについて聞いていきます。先週の関係閣僚会議では、高速増殖炉の推進に代わる新たな方針が示されました。それがこちらです。もんじゅ、高速増殖炉は、廃炉を含めて、抜本的に見直し。核燃料サイクルを推進し、高速炉の研究開発方針を堅持ということですけれども、馳さん、もんじゅは廃炉を含め抜本的な見直しだけれども、核燃料サイクルは推進という、これはどう見たらいいのでしょうか?」
馳議員
「わかりやすく言うと、使用済み核燃料をそのまま置いておいたら廃棄物になりますよね。それを高速炉を使って減らしていく。その分、環境に対する低減化をはかっていく。そのことがまさしく廃棄物を減らすことにつながるわけですから、まさしくエネルギーの安全保障にも資すると。こういう方向性で実用炉として、実際には最終的には商用炉として発電にも使っていくという方向に持っていくわけです」
反町キャスター
「馳さん、我々的に事前に考えているのはこういうものかなと。これは我々が勝手に描く想像です。この高速増殖炉というのは、燃料も増やすし、廃棄物も量を減らすし、放射線量も減らすであろうと。今度それに代わって新しく政府がやろうとしているのは、この高速炉というものですけれども、それは燃料を増やすこと、増殖はしないのだけれども、馳さんが言われたように、核廃棄物の量は減るし、線量も減る。要するに、量を増やすということを今度は諦めて、もう少し別の道があるのかどうかを考えていくと。こういう方針なのですか?」
山際議員
「これは誤解があるので2014年にエネルギー基本計画をつくった時まで遡って、エネルギー基本計画に何と書かれているかというと、ちゃんと確認した方がいいと思うんですよ。実は当時、私は自民党の、党の側のエネルギー基本計画をまとめる側にいたものですから、ここの文言をつくるのは非常に苦労をしたんです。その時の整理は、高速炉という言葉をエネルギー基本計画の中できちんと使っているんです。この高速炉という意味は、燃料を増やさないタイプの高速炉も含まれるし、高速増殖炉も含まれているんです」
反町キャスター
「この間の、原子力関係閣僚会議、そのポイントに出ている、高速炉の研究開発の方針堅持というのは、これも全部含めるの?」
山際議員
「含めるんです。それで、ですから、頭書きの部分で、エネルギー基本計画に基づき、核燃料サイクルを推進するとこの間の閣僚会議では表現をしているはずですね。エネルギー基本計画に基づきという以上は、エネルギー基本計画に立ち戻ると、高速炉というのは増殖炉も含んだ概念であると」
反町キャスター
「でも、日本の高速増殖炉と言ったら、もんじゅではないかと僕らは思っていたのですけれども、もんじゅの廃止を含めて見直すとやっておきながら、高速増殖炉も諦めていないのは、何か煮え切らないですね?」
山際議員
「田坂先生に聞いていただいた方がもっとはっきりとわかると思うのですが、少なくとも研究をする段階において増殖炉であるかどうかということは、技術的には高速炉と軽水炉ではだいぶ違いますけれど、しかし、高速炉と高速増殖炉とでは基本的な技術は同じだと、我々は理解をしています」
反町キャスター
「田坂さん、どうなのですか?政府の方針で聞いていると、高速増殖炉はやめて高速炉と、こういう変化なのかなと我々は思っていたのですが、山際さんの話だと、高速炉というのは、つまり、これも含めるのだから諦めていないんだよと。そういうことでよろしいのですか?」
田坂教授
「私はその理解でよろしいと思うんですよ。また、その理解であるべきだと思うんです。ただし、原研機構が、確か2011年に出した報告書では、高速炉とは増殖率が1.0以下だというものと決めて、増殖炉は1点いくつ。要するに、増えていくものと定義しています。そういう定義も存在していることは事実でありますが、政府の基本方針としては、山際さんがおっしゃった考え方でいくべきだと。つまり、高速増殖炉も含まれていますよと。ただし、おそらく国民から見て気になるのは、つまり、増殖炉を含むということは含まない部分もあるわけですね。つまり、増殖はしないけれども、高速炉でやっていく場面があり得るという、その政策論がどういう意味なのかというのをしっかり説明をしないと、先ほど、冒頭にあった夢の原子炉。ドンドン燃料が増えていくということが全体の一部であるとしても、その政策論が浮かび上がってきているということが、国民にどう説明するのかというのが難しくなるわけです。その時、重要なのが、後半にある、放射性廃棄物の低減化技術として意味がありますよということを、政府はおそらく言おうとしているのだと思いますね。ファーストブリーダーリアクター。高速増殖炉という言葉を、世界的には、ファーストバーニングリアクターという言葉に言い換えようと。半分、笑い話みたいな話があるぐらいで、放射性廃棄物をドンドン燃やしていく炉として、いわゆる廃棄物専焼炉。専ら燃やす炉として使うという考え方はあるわけです。ただこのあたりの概念を整理しておかないと、夢の原子炉はどうなったのですかという疑問が国民から出てくると。まさに増殖していくということをどこまでも諦めないのだとしたら、どのようにしてそれを実現するのかということを明確に宣言をしないと誤解は生まれると思います」
反町キャスター
「わからないですよね」
馳議員
「だから、12月までに関係閣僚会議で明確に今後の方向性を検討していくということになったわけですよ」

『夢の原子炉』の後始末と課題
反町キャスター
「もんじゅのそれ以前の運営体制というのは何がどういうことによって、責任体制がはっきりしていなかったという、ここの部分は?」
馳議員
「かつての動燃もそうですし、また、原子力発電所を動かしている事業者からの出向もありましたし、研究者もいますし、プロパーの職員もいれば、出向もいる、というような中でのセクト主義。こういったことが、原子力規制委員会から指摘されているように安全、管理、保守点検。言われたことをちゃんとやっていなかったよねと。これは信頼の一丁目一番地ですよということにつながったということですね」
反町キャスター
「技術の話でなく、マネジメントとか、ガバナンスの話にいってしますと、いや、もったいないなという気がすごくするのですけれども、人を入れ替えることによって、もう1回というのはダメなんですね?お金もかかるし、時間もかかるということで」
馳議員
「検討会の結果を踏まえて新たな運営主体を特定し、これでやらせてくださいという方向で調整もしていましたが、最終的には経済産業省や資源エネルギー庁や外務省や、等々、総合的な判断の中で、政治的に判断をされた以上はそれに従うのは筋ですし、その報告が今後の高速炉開発の進め方として明確になったわけですから、おそらく今日、こうして積み重ねてきた議論も踏まえて、12月に向けて方向性が出されると認識をしています」
田坂教授
「あらためて確認しておきますけれども、世界の原子力事故の大半、ほとんどは技術的な原因ではないですね。人的、組織的、制度的、文化的な問題で起こっているんですね。従って、3.11のあと、1番、我々がやるべきことは国民からの信頼を回復することですね。その信頼の原点というのはまさに今申し上げた人的、組織的、制度的、文化的な部分で事故を起こすことはありませんと。ところが、何か時折、勘違いが生まれているのは、技術基準を高くすれば、もちろん、高くした方がいいですけれども、それをすれば、それを満たしていれば、事故は起きないかというと、過去の歴史はそうではないですね。人的なエラー、東海村の臨界事故もそうですね。従って、このことをしっかり考えて、もんじゅは素晴らしいと思って皆やってきたわけですから。それをやるのだったら、高速増殖炉をやるのだったら、危険度はさらに高い施設ですから、普通の原発よりも。それだけまた高い、組織的、制度的な、文化的な強靭さが求められるんですね。このことを先ほどから、私は一貫して申し上げているんですね」
反町キャスター
「そうすると、たとえば、馳さんが言われたみたいに、セクト主義とか、寄せ集めというか、往復切符で来るような人達ではなくて、完全に、たとえば、もんじゅならもんじゅで組織をつくって、そこで新規で人を雇用して、そこに骨を埋める人を集め、プロフェッショナルなプロパーを育てていく。そこから始めなくてはいけないという話になりますか?」
田坂教授
「1つはそういう考え方もあると思います。ただ、その前提として、敢えて申し上げますが、政府のあり方、つまり、省庁のあり方も変わるべきだと思うんですね。省庁の中で何年かごとに課長とかが代わっていく。そうすると、いったい誰の責任だったか。これは都庁でちょうど起こっていますね。ですから、私、省庁のあり方、責任の取り方。民間にもちろん、あなたの会社ですよと、責任をとらせることは当然、あっていいですけれども、その手前にある国民の税金を使う、その采配を振るう立場の役人の方々がもっと責任体系を明確にしないと、そこの部分だけ、いつも曖昧になって誰が責任者かわからない。でも、民間が責任をとれというだけでは動かないと思うんです。これがまさに行政改革。この国に求められている行政改革の1つの大きなポイントだと思うんです。単に無駄遣いを減らすことだけが行政改革ではない。まさに責任を明確に、省庁も含めて、していくということが今求められているのだと思います」

次代担う?『高速炉』とは
秋元キャスター
「もんじゅ見直しのあとも、政府が研究開発を続けるべきだとしている高速炉ですけれども、世界の開発動向をまとめました。高速炉開発を進めているのは日本の他に、フランス、ロシア、中国、インドの4か国で、基礎技術を確認するための実験炉。そして運転・保守経験を蓄積するための原型炉。出力規模を抑えて経済性を検証する実証炉と、さらには商業ベースで運用をする商用炉。この4段階があるんですけれども、フランスでは2025年頃に実証炉。ロシア、中国、インドでは2025年から2030年にかけて商用炉が実用化される計画となっているのですが、田坂さん、各国の高速炉の開発、達成度、各国の状況をどのように見ていますか?」
田坂教授
「日本よりは進んでいる。特にロシア、伝え聞くところによれば、かなり商用化の一歩手前ぐらいまできているという情報が入ってきていますけれど、ただ、慎重に見ておくべきだとは思いますね。それぞれいろんな政治的な判断もあって情報を出してくるところがありますので。ですから、私はもう少し厳しい局面があるだろうとは思っていますが、いずれにしても日本は高速炉、もし開発競争というものがあるならば、一歩遅れているということは事実ですね」
反町キャスター
「そうした中で、先日、世耕経産大臣はこういう話をされています。ASTRID、フランスの高速炉の実証炉、実験をしている部分ですけど、ASTRIDは2014年に日仏首脳間が合意して進められている極めて両国にとって意義ある重要なプロジェクトということを、世耕さんは言っているんですけれども、馳さん、先ほどの各国の進捗状況を見ると、ロシアやインドや中国の方が進んで、フランスは一段下のところにいるというのが、うちの調べた限りにおける各国の進捗状況。その中で世耕さんはフランスとの連携が重要であるという、このASTRIDというのは、そんなに我々、信じてついていくべき?」
馳議員
「まず日本とフランスという政治体制を含めて、価値観を共有する国家であるということはご理解いただけますね。我が国はロシアや中国とも体制が違いますから。そういった意味での、また、フランスは原子力開発については先端の国家であるということは、これも間違いない。ただ、私は敢えて意味のある重要なプロジェクトであるということは理解していますが、人のふんどしで相撲を取ってていいのかという一言も」
反町キャスター
「ナショナルフラッグと言っていましたよね」
馳議員
「はい。我が国がもんじゅで取り組んできた開発は確かに田坂先生がおっしゃるように、人的な問題、ソフトの問題での、1つのブレーキがかかっている状況ではあります。ただ、我が国は研究開発について、フランスには負けていないわけですし。ただ、日仏の意義ある重要なプロジェクトであることは事実ですが、でも、実際にASTRIDを動かしている会社はアレバのはずです。アレバと三菱重工等が協力してやっていると思いますけど、これは本当にアレバと組んで、このまま、言われるがままに資金も出して、得られる知見、技術が、我々の独自のものとして得られるのかということも、そこまで考えたうえでこのプロジェクトは進めていく必要があると思います」
反町キャスター
「山際さん、いかがですか?このフランスとの連携。パートナーとしてはフランスがいいのですか?」
山際議員
「私自身はいいと思います、結論から言うと。それで時間軸を少し考えた方がいいと思うんです。今回9月21日の閣僚会議があったので、そこで注目をされ、初めて日の目を見た感じがしますが、2014年にと書かれているように、2年前に首脳間で、合意をして、この決定があるかないかとは別に進められてきた計画であるということ。これは最初に理解をしておかなければいけないですね。そのうえで、私、先日フランスに、これはMOX燃料と再処理を実際にアレバ、あるいは工場等々を見てきたわけですね。見てきて思うのは、彼らは何だかんだと言って、MOX燃料を50年前からつくっているんですよ。日本は2018年にやっと、六ヶ所村、上期に、それが稼働すると。もう少し謙虚になるべきではないだろうか。我々に、日本の技術は確かに素晴らしいものがたくさんあります。その技術を生み出す、その能力も、我々日本人は持っていると思います。しかし、考えてみれば、この日本の近代化は西洋の技術を謙虚に学ぶところから始まったわけです。原子力において先ほど、田坂先生おっしゃったように一歩遅れているということが認識としてあるならば、キャッチアップするために進んでいるところと組んで、その技術を我がものにしていくというものは我々日本も近代化でずっとやってきたわけではないですか。とすると、進んでいるところと積極的に組んでやっていくというのは決して悪いことではないと思う。同じように、馳先生がおっしゃったように、その時に我々の資源だけをとられて何も得るものがないという下手はうってはいけませんから、きちんと契約もとり、また、いろんな意味で、共同で研究できるような、そういう形はとっていかなければいけませんけれども、組む相手としては、フランスは適確だと思います」
反町キャスター
「馳さんの考えと山際さんの考え違うというのは、これは役所の体質が違う?役所の考えが違うと、文科省はこう思っているんだけれども、経産省はこうだと。そういう見方でいいのですか?」
馳議員
「政府として一体的に最終的には政府として方向性を決めていかなければいけないプロセスで、私が言っているような考えも必要ですし、山際さんがおっしゃっている謙虚さを持ってフランスから学ぶということも必要ですし」
反町キャスター
「でも、全然違う考えだとどうなのだろうかと思うんだけれども」
馳議員
「それはまさしく最終的に、我が国が今後、高速炉を開発していくわけですから。そこの知見に活かしていかなければいけないです。その時、私だけの意見とか、山際さんだけの意見と、文科省だけの意見とか、経産省だけの意見とか、あるいは逆に、外務省の意見とか、色をつけてはいけないです。それぞれの専門的な見地から、意見は言いながらも、最終的にコンダクターがリーダーシップを持ってやっていかなければいけないから」
山際議員
「もっと言うと、違うことを言っているわけではないと。だから、フランスと組むことが是か非かということで言ったら、2人とも是だと言っているわけです。しかし、フランスと組んでやった時に…」
馳議員
「私も最初から是と言っているじゃない。重要なプロジェクトと最初から言ったではないですか」
山際議員
「是であるが故に、人のふんどしで相撲をとるようなことになってはいかんという注意を馳先生はしているわけで、私はもちろん、そうだけど、フランスは一歩進んでいるというのを謙虚に認めて、学べるものはドンドン貪欲に学ぶという姿勢でやった方がいいのではないかというので、違うことを言っているわけではないと思いますよ」

核燃料サイクルの行方は
秋元キャスター
「高速炉の開発ができた時に、新たな原発の新設というものも視野に入ってくるのですか?」
山際議員
「エネルギー政策というのは国家百年の計ですよ。となると、これから十数年先、100年先にどういうものが必要かと、その可能性は今の段階で消してはいけないです。そういう意味で言いますと、高速増殖炉を含めたうえでの高速炉というのは、今から研究を継続して、さらに強化しておかないと、何十年か先に本当に必要だという時に花開く技術にならないわけですね。ですから、その旗を降ろしてはいけないということを、先ほどから議論しているのだと理解しています」
反町キャスター
「高速炉は原発よりもリスキーなのかもしれない。受け入れ自治体を探していくというのは至難の業ですよね?」
山際議員
「だから、時間がかかることなのだと思うんです。技術ですから、日進月歩でドンドン進んで行って、安全性だってそれに従ってドンドン進んでいく。ですから、将来に対する可能性を消すべきではないという発言を私はさせていただいたんですね。今回のエネルギー基本計画、2年前につくらせていただきましたが、これが想定しているのは2030年という姿を想定してものごとを言っているんです。逆に言うと、2030年以降はどうするのかということに関してはまだ決まっていない。今回、パリ協定で2050年にCO2を80%削減するという、野心的な目標をコミットしたということになると、それに対して、本当に原子力というものを考えずにしてCO2を削減することができるのか。しっかり議論しなければいけない日がそう遠くない将来にきます。その時にオプション全部消してしまっていたら、議論にもならないですよ。だから、可能性を消さないように、消さないようにということを注意深くやりながら進んでいるということだと思います」
田坂教授
「国民に対して、我々が申し上げるべきことは、選択の幅を広げることだと思うんです。これしかないということではなく、最後は国民が決めていく。たとえば、原子力を進めるかどうかについても最後は国民が決める。だけれども、今のままだと、核燃料サイクルの1本槍の硬直した選択肢しかないと。ワンス・スルーみたいな政策も含めて、導入しながら、核燃料サイクルを研究開発という観点から見れば、まだまだ挑戦してみていいと思うんです。ただし、全ての情報公開をしながら、国民の前で選択肢を広げて、さあ、どれでいきましょうかと、何年か先に堂々と国民に問うべき場面が出てくると思うんですね」

馳浩 自由民主党衆議院議員の提言:『人のふんどしで すもう とるな』
馳議員
「エネルギーに関する研究・開発はナショナルフラッグでなければはいけませんから、この灯は絶対に消してはいけません。ただ、総合的な判断で、おそらく今回、フランスとの共同研究に入ると思いますけれど、それは大事にしながらも、常に研究者の皆さん方、現場にいる皆さん方は我が国独自の研究開発で高速炉を実現して、商用に向けていくのだと。これは絶対に降ろしてはいけないと思います」

山際大志郎 自由民主党衆議院議員の提言:『国家百年の計』
山際議員
「政治は国家百年の計をいつも言うのですが、特にエネルギー政策ですね。国家百年の計として非常に長い時間がかかる、その中でものごとを判断していかなければいけないので、様々な可能性を消してはいけないと。その可能性の中の1つが高速増殖炉も含めたものだと認識しています」

田坂広志 多摩大学大学院教授の提言:『国民にとって選択肢の多様性』
田坂教授
「福島原発事故から5年という歳月が経って、おそらく再生可能エネルギーを含めて、いろんなチャレンジをやっている。たとえば、化石燃料でも地球温暖化にできるだけマイナスのない利用の仕方も考える。省エネについてもドンドン国民の力を借りてやっていく。この挑戦をやりながら、最後にどういうエネルギーミックスでいくかということは、国民が最後は決断されると思うんですね。ただ、そのためにも今からいろんな選択肢を国民の前に示していくことが必要だろう。原子力においても核燃料サイクルについてももちろん、研究・開発段階も含め、まだチャレンジする余地があると思いますが、一方で、ワンス・スルー方式、世界の主流である使用済み燃料をそのまま処分するということも視野に入れ、廃棄物も地層処分だけでない。先ほどのような高速炉の中で燃やしていくというような技術・開発の可能性もチャレンジしてみる。いろいろなこともやりながら、どの段階かで、国民に対していったいどれで我々はいくべきでしょうかと問う、この時期がやってくるのだと。そのことを考えて国民のエネルギーについての選択肢を多様化していく。これをまずはやるべきだろうと思っています」