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2016年9月27日(火)
ヒラリーVSトランプ 大統領選初の直接対決

ゲスト

山本一太
自由民主党参議院議員
古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員
前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部教授

クリントンVSトランプ 安全保障で激論
秋元キャスター
「第1回テレビ討論会、安全保障に関する部分で論点となったのが、核兵器の拡散防止についてと日韓などとの同盟関係についての話です。山本さん、どのような感想を持ちましたか?」
山本議員
「トランプ候補が最初に出てきた時は、外交政策についてあまりにも基礎知識がないという感じがして、外交政策でも、経済政策でも日本と中国、ごちゃごちゃだったんですよね。でも、最近、少し基礎知識を勉強されているんだと思うので、だんだんバランス感覚のあることをおっしゃるようになってきたと思うんです。たとえば、核兵器拡散の話も、一時、日本と韓国の核保有を容認するみたいなことを言ってましたけれども、最近、こういうことを言っていないですよね。それから、同盟関係についても先週か何かに、確かアメリカの国防総省の査察官だったシュミットさんとかいう人が来て、この人が外交アドバイザーの1人だと言われているのですが、同盟関係は大事だと思っているんだと。契約、協定を守るみたいなことも言っているので、そこは随分変わってきたと。ただ、一貫して変わらないのは同盟国、もちろん、日本も、韓国も、ドイツも、それから、NATO(北大西洋条約機構)もそうだと思うんですけれども、安全保障の分野では、アメリカの現在の状況を考えれば、もうちょっと負担をしていただかなければいけないと。だから、はっきりしていることはもしトランプさんが大統領になれば、日本に対して安全保障分野でのより大きな負担を求めてくるのは間違いない。だから、日本側にしては、しっかりとトランプ大統領になった場合は、トランプさんにわかってもらわなければいけないということですね。つまり、日米安保条約をもう1回読んでほしいと石破前大臣もおっしゃっていたように、極東の平和と安定を維持するという目的があるわけであって、これは日本を守るためだけではなくて、アメリカの実は安全保障戦略にもすごく寄与している。つまり、アジア太平洋の平和と安全を維持するために日米安保条約というものが機能しているのであって、これはもし日本から引き上げて自分のところで持つということになれば、コストになるではないですか。だって、西大平洋からインド洋まで全部カバーしている第七艦隊の母港は横須賀でしょう。だから、そういうことをしっかり説明をし、なおかつ米軍の駐留経費についても、2004年のデータしかないので、どうしてこの古いデータしかないのかなと思ったら、考えて見たら、このデータは2004年にアメリカの議会が政府に要求して出してもらった。アメリカ側の資料ですよ。それによれば、よく出ている数字ですけれど、2人ともよくご存知の通り75%負担を(日本が)している。74かな。韓国は4割、ドイツに至っては3割。だから、こういうことをしっかりトランプ候補に説明をしていくということだと思います」
前嶋教授
「トランプさんを応援する人にとってみれば、安保の話というのは、遠い世界の話。我々にとっては納得できないことですが、遠い世界の話。それよりたぶんアメリカは現在お金がない。だから、出してくれという論理。トランプさんもおそらく本音の部分でわかっていると思うんですね。同盟関係が重要であって、日本がこれだけやっているというのはわかって、皆が教えているのだと思うんですけれど、でも、とりあえず支援者を獲得しなければ、もしくは固めなければいけないというところ、そういうところはかなりあると思いますね。だから、もしトランプ政権になったら日本としてはしっかり説明して、トランプさんも折れてくると思いますね、そこは」
反町キャスター
「あとでTPPの話も出るのでTPPもそうかもしれないですけれども、勝つまでの話で、勝ったら変わるという期待感を持って、トランプ候補の安保戦略を見ていいのですか?」
前嶋教授
「私はそう見ています。ただ、先ほどの、日本が75%、74%ならば25%を、100%払えと彼は言うんですよね。言っています。何回か言っていますけれど、だから、かなりレトリックの部分があると思うんですよね。75で100だというのは、まさにレトリックであって、そこまでわからない人ではないと思っています、あの人が。だから、日本としてはしっかり説明をすれば、たぶんわかってくれる人ではないかなと思います。ただ、現在の状況はそうではない、一種のパフォーマンスですよね」
古森氏
「トランプさんというのは大衆政治家であって国民がどういうことを感じているか、本当に考えているかどうかというところまで踏み込まないかもしれないけれども、感じているかということを反映して物事を言っている部分は間違いなくあるわけで、だから、核兵器と同盟関係の負担分、負担の分散ですよね。その2点に関しては、トランプさんが発言しているようなことを、もやもやと思っている人達はいるんですよ。それは、地下の底流、流れとして、地下水の流れとしてね。たとえば、核兵器にしても、上院の外交委員長をやっているボブ・コーカーという人がいるけれども、これが日本の拉致問題なんかの代表で行ったりして、問題は中国だと。中国を動かすには日本が核武装をすると言えば、一発だというようなことを雑談の範囲で言ったりするわけですよ。だから、北朝鮮が核兵器を持つ。これはこれまでの核拡散防止という、アメリカが超党派でずっと保持してきた、ヒラリーさんがおっしゃったこの大政策。これは非常にメイクセンスというか、良いものだった。それが綻んできている。これはどうにも否定できない」
反町キャスター
「トランプさんはそこまで理解をしたうえで?」
古森氏
「感じ取っている部分があるということです。だから、日本は、彼が言っていることは全然アメリカの現実から関係ないんだよという排除していくことはちょっと間違いだと思う。だから、北朝鮮が核兵器を持ったら、これまでの核拡散防止体制は崩れるわけですよ。既に崩れている。だから、普通だったら、民主主義で、アメリカの味方で、成熟している国の平和主義的な日本が核兵器を持ってもいいではないかという、こういった上院議員のオフ・ザ・レコード、バックグラウンドの発言ぐらいは、ぽつぽつ出てくるところがあるわけ。これが第1点。第2点は、同盟関係は、これはトランプさん、これまた単純な言い方だと、お金の問題に全部集約してくるけれど、もうちょっと人間の命とかということで、アメリカの若者達が日本を守るために命をかけで、沖縄とか、そういうところにいるではないかと。日本は自分の国の中だけで何もしないのかと。たとえば、北朝鮮がアメリカに向けて、ミサイルを撃った時に日本はそれを撃ちゃいけないという集団的自衛権が行使できないという、一部容認されたけれども、本当の行使とは違います。だから、タダ乗りという言葉が1980年代からあったけれども、アメリカが一生懸命にやって、日本を守っているのだけれど、日本は本当に一国平和主義で、アメリカに協力してくれないではないかというのが、これははっきりした形の言葉で、私はそういう記録をいっぱい持っていますよ。責任ある立場にある人が日本はもうちょっとやってくれと言っている。トランプさんはそれを非常に低俗な表現で、稚拙な言い方にせよ、そこのところをすくい取って、打ち上げているという部分があるということは、私は日本側に認識されるべきだと思います」
反町キャスター
「ヒラリーさんが言っている、たとえば、核不拡散の話とか、ないしは安保条約がある。アメリカは約束を守る国だと世界から思われているし、思われなくてはいけないとか、そういう世界から見られているのだよ、頼れるかどうかだよ。こういう非常に我々からすると心地良い、安心できる発言がずっと続くわけですよ。それに対して、トランプさんの発言というのは、今、言われたように核もったっていいではないかと。それと金を払いなさいよと非常に下品なとは言わないけれど、剥き出しの、そういうまったくアンチの話をぶつけてくるわけではないですか」
古森氏
「その発言の本質部分というのは、自分の国を守るのは自分だよという、これは世界の原則ではないですか。全部、一国だけで守れる国はないからね。いろんな形で頼るけれども、ソ連という強大な脅威があって、それにこちら側が全部まとまって対決しなければいけないという時代は終わったのだから。中国がいろんな軍事脅威で出てきて、北朝鮮もいろいろやるけれども、ソ連の脅威に比べたらアメリカにとっては大したことはないわけですよ。だったら、もうちょっとドイツにしても、日本にしても自分の国の防衛ということをまともに、正面から取り組んでもいいのではないかというのが、今トランプさんを排除しているような人、現実主義者に、アメリカの中で、これは、私は数を挙げて言えるぐらい存在するわけですよ。だから、そこのところの流れをくみ取っているのだというね。お金の問題に集約をしてしまうところがトランプさんの信頼性を疑わせる、知的水準を疑わせる部分ではありますけどね」
反町キャスター
「75%の負担をしているんですよ、駐留在日米軍の費用。事実上、アメリカ本土に展開しているよりも日本にいる方が安上がりだという話ではないですか。そういう理屈は通らない?あの人には」
古森氏
「でも、安全保障はお金ではないではないですか。国を守るということは、お金ではないでしょう」
山本議員
「古森さんがおっしゃっているのはすごく大事なことで、お金だけかという話があると。アメリカ人の気持ちの中に、常に随分、1970年代ぐらいの、1980年代ぐらいの安保タダ乗り論みたいなのが残っていて、もうちょっと日本もできることがあるのではないかというものがあるのではないかと思うんです。これはおそらくヒラリー大統領になっても出てくるかもしれない。そういう意味から言うと、2004年に74%日本が負担をしているという調査が出たあと、日本側としては日米同盟を機能させるためのいろいろな仕組みをつくって前進させていると。たとえば、安全保障、安保法制、反対もありましたけれど、成立をしました。これはいろいろ限定された場合ですけれども、これまでよりも日米同盟を機能させるために積極的な役割を果たすということを発信し、これは、だから、ある意味、タイムリーという言い方が正しいのかわからないけれども、こういったアメリカ側の反応に対しても応える形になっていると思うんですね。日本側としても、お金だけではなくて、できることをやろうと。アメリカと一緒になってアジア太平洋の平和と安全を維持しようということをしっかりやっているんですよ、というアピールにはなっているとは思います」
反町キャスター
「とは言いながらも、世界の警察官ではないとアメリカは言い出した中で、トランプさんもそういうことを言っていて、そうすると、戦後の、ちょっと大がかりなことを言うと、パックス・アメリカーナということを言い出すとすれば、アメリカは、全世界に軍隊を派遣して、それぞれのところに基地を持ち、覇権国家として成立することによって、莫大な利益をアメリカ自身も享受してきたわけではないですか。その覇権による享受、利益というものをもうアメリカ自体が放棄しているようにも聞こえるんですよ」
山本議員
「覇権というものの意味だと思うんですけれど、そのパックス・アメリカーナみたいな、その手法は既に諦めているのだと。オバマ大統領自身が中東の問題に関してもそうですけれども、寛容政策が必要。アメリカが引いたら大変なことになってしまうと。だけど、よく言われた、例のフットピリントというか、静かな足跡戦略みたいな感じで、非常にスマートにアメリカの影響力を残しながら、リトレンチメントというのか、引いていくという姿勢であって、これはおそらくこれからの大統領も同じだと思うので、過去、オバマ大統領の前の大統領から、アメリカはとにかく積極的に全て関与していくと、介入していくと、そういう実は方針ではない。アメリカは世界の警察官にはなり得ないということはわかっていて、その中でいかにスマートに影響力を残していくのか。そのための、まさにアジア太平洋地域の基礎が最も信頼できる、価値観を共有する日本だと。中国ではないのだということを万一、トランプ大統領が誕生した時にはしっかり説明してわかってもらうということだと思います」

経済で激しい応酬
秋元キャスター
「テレビ討論の中で経済について触れた部分。トランプ氏からは雇用の海外流出の歯止めですとか、法人税減税による雇用の創出、貿易協定の見直しが出ました。クリントン氏からは富裕層への増税拡充、再生可能エネルギー産業の推進などが出たわけですけれども、山本さん、どういう印象を持っていますか?」
山本議員
「いろいろな議論があったのですが、私が1番、ある意味でいうと、ショックを受けたという言い方は大げさですけれども、アッと思ったのは、TPPの貿易協定見直し。TPPについて、トランプ候補とヒラリー候補の反対合戦みたいになっちゃって、私が反対したんだみたいになっちゃった。そこはちょっと与党の政治家としては残念な部分みたいな。私はTPP推進派なので。ヒラリー候補の発言をよく聞いてみれば、貿易協定については評価をして、高い水準を目指すべきだとこれまでも言っていると。ただ、貿易協定が雇用を増やし、労働者の賃金を上げ、さらに安全保障に資するものでなければダメであると。現在のTPPの、その交渉の中身は確か自動車の原産地規則がちょっと問題ではないかというのがあった、それから、為替操作について、もうちょっとできることがあるのではないかみたいな話で、今の時点では反対で、大統領になる前も、なったあとも、そのあともずっと反対だと言っているということですね。ただ、これは先ほどから出ているように、大統領に当選すれば、また、その姿勢が変わってくる可能性もあるのではないかなと」
反町キャスター
「トランプさんも変わりますかね?」
山本議員
「いや、トランプ候補は一貫して反対していますから、それは同じ貿易協定の見直しでも、クリントン候補と言いまわしは違うと思います」
反町キャスター
「クリントン候補は大統領になったらもしかしたらTPPには条件見直したうえで変わってくる可能性があるかもしれないけれど、トランプさんはたぶん変わらないだろうなと、こんな感じて見ているのですか?」
山本議員
「そこはわかりません。ただ、トランプさんは極めてスーパー現実主義者だと思います。自分は『ジ・アート・オブ・ザ・ディール』という本を書いているぐらいですので、そこはよくわかりませんが、少なくともヒラリー候補は以前は賛成をしていましたし、少なくともその貿易協定の意味、オバマ大統領が何度も言っている、この地域における、貿易のルールというものを中国主導でつくらせてはいけないと。こういう意味はおそらくヒラリー候補は十二分にわかっていると思うんですね」
古森氏
「今回の選挙を見ていて、この部分の議論を聞いて私はなるほどと思ったんですけれども、今回、保守主義とリベラリズムとの対決という部分が、非常にないというか、曖昧なわけですよ。でも、この部分だけに関しては保守主義を、はっきりトランプさんは言っている。それに対してクリントンさんは反対をしている。むしろ上は叩いて、うんと税率を高くしようと言っていますよね、富裕層の方の。これは高所得層の増税、あるいは減税というのは伝統的にアメリカの政治において最も保守とリベラルが分かれる象徴ですよ。だから、共和党側は奇妙なぐらいこれは変えない。高所得層の増税、これはできない。リベラル派は逆にやるわけですよ。だから、ここのところではっきりしたイデオロギーと経済が一致した部分の考え方の違いが出てきてわかりやすいと思うんですね」
反町キャスター
「ただ、トランプさんの支持層というのは本来だったら富裕層への増税を歓迎する人達がついているのではないのですか?そうでもない?」
古森氏
「ついているのかもしれない。だから、そのへんがトランプさんのトランプさんらしいところで。たとえば、もう1つ言うと、保守主義とリベラリズムの経済への適用ということを見た場合に、貿易に関してはどうかと言うと、保守主義の方が自由貿易なわけです。リベラル派は、民主党は労働組合とべったりくっついているから、雇用の創出とか、何とか言って、保護貿易主義。これはトランプさん、保守主義者ではないのと思っていたら、貿易に関しては反対。リベラリズムになってしまっているわけ。これはそれだけアメリカが変わってきているのだよということの証拠かもしれないけれども。だから、富裕層増税とか、トリクルダウンというのは、我々が思っているよりも重要性のある、アメリカでは議論だと思いますよ」
前嶋教授
「おっしゃられた通り、ここはこれまでの大統領選挙の討論会だなという部分は結構あります、自由貿易以外は。減税対所得再分配的なやつ。わかり易いですけれども。ただ、トランプさんの場合こういうことを言わないで、ちょうど反町さんがおっしゃった富裕層の増税を言っていた層もいるのですけれど、一方で、今9月の末、共和党の本当に主流というか、真ん中にいかないといけないですね。そこだと思うんですね。クリントンさんの方はわかり易いのですが、トランプさんもそこを取ってトランプ応援団みたいな新しい人達も取ってと動くことがこうだと思うんですね。そのトランプ応援団の人達向けが例の自由貿易反対ですよね。これはちょうど山本さんもおっしゃられていたのですが、私もショックを受けました。それは自由貿易がダメだということがPRの材料になっちゃっているところが、今回の選挙のポイントだと思うんです。グローバル化の中で取り残された人々。左の方だとサンダースさんを応援して、右の方だったらトランプさんを応援するわけですが、それが剥き出しの本音。それに対応するには自由貿易ダメだよと。これまでずっとアメリカが言ってきたことを否定するんですよね。自由貿易こそ世界平和のためなのだと。要するに、第二次世界大戦に突っ走ったのは、アメリカがブロック経済をして、その部分でドイツの経済が悪くなりとか、いろんな当時の理論。言ってみれば刷り込まれたものが、ここで剥き出しの本音の方に変わってきちゃったんだと、こういうふうに思うんですね」
反町キャスター
「山本さんに聞いたのと同じ質問ですけれども、トランプさん大統領になってもTPPに反対し続けるのですか?」
前嶋教授
「微妙だと思うんですね。これだけ言っているのでさすがにTPPというものは反対だと思うんです。ただ、そのあとで自由貿易っていいかもしれないと言う可能性があるかと思うんですね。そうした場合は、2か国でやるとか。日本にとっては大きな手間ですけれど、そういうこと、あの人は全てがネゴシャブルと。『ジ・アート・オブ・ザ・ディール』の本にもありますが、まさに全てが交渉次第なので、そういうふうに日本が持っていかないといけないわけですけれど。あの人は、そう言えばわかるところがあるかもしれないですね。ちょっと、そこがあの人なのでわからない」

初の直接対決 激しい応酬
秋元キャスター
「テレビ討論会で批判合戦となったのがこれらの項目ですね。トランプ氏の納税証明書の公開拒否について。クリントン氏のEメール問題。クリントン氏の健康問題。トランプ氏の過去の女性蔑視発言についてなどでした」
山本議員
「このEメール問題はヒラリー候補にとって相当な弱点ですよね。9月の初め、1日か2日だったと思うんですけれども、NBCが主催した最高司令官フォーラムというのがあって、これは2人のディベート方式ですけれど、1人1人呼んで話を聞いたんですね。中身を言うと、ヒラリー候補の方が安全保障政策についてより具体的なことは言っていたのですけれども、実はその司会者が、メール問題で突っ込んで、半分ぐらいこれに使って、その対応が良くなかったということで、その直後の世論調査で、トランプさんが圧勝したんですよね。だから、その時に比べると、このEメール問題をサラッとかわして、どちらかというと納税証明書の公開拒否に持っていった。ここのくだりは後半のハイライトで、するどい攻撃をヒラリー候補が連発をしたと。この納税証明書の問題ではなく、トランプ候補の人間性、ビジネスのやり方とか、あるいは女性に対する蔑視発言とか、ここらへんをうまく織りこんで相当、練り込んだ戦略で攻撃をしたのかと。ただ、1つちょっと不思議に思ったのは、たとえば、納税証明書のところで、どのような利益相反があるかみたいなことを言ったのですが、トランプ候補からすれば、あなたに言われたくない、クリントン財団の問題があるではないか、というところを何で言わなかったのかなと思ったのですが、ここには出てきていないですけれど、最近出てきた、トランプ財団の問題。これは結構、深刻な問題ですよね」
反町キャスター
「大学のやつですか?」
山本議員
「はい。トランプ財団で集めたお金。慈善団体として寄付として募ったお金。25万ドル以上、流用したと言われていて、これは納税申告書と、確かスタッフのリークでわかった。どうもそういうことがあったらしいと。これは完全に法律違反なので、たぶんそのことがあったのでクリントン財団のことは言わなかったのかと思いましたが、かなりうまく乗り切って、攻撃に結びつけたという感じがしました」
反町キャスター
「トランプさんはネガティブ発言できないし、しないと言っていました。これまでイメージとしては、どちらかと言うと罵詈雑言というのか、そういうことはトランプさんの得意技だったような印象がある中で、今日のディベートだけを見ている限りにおいては批判的、ネガティブなキャンペーンを大展開したのはヒラリーさんの方で、どちらかと言うとトランプさんは、それに関して我慢したとは言いませんけれど。少なくとも量的に言っても、我々、意図的にそうやっているわけではないですけれど、目につくところだけ言わせていただくと量的に言っても明らかにヒラリーさんの方がネガティブキャンペーンの場としては、今日のディベート大活用していたように見えるのですけれど、そこはどう感じましたか?」
山本議員
「それはおっしゃる通りだと思いますね。メディアはとにかく全て反トランプなので、たとえば、いろんな人達がいろんな分析を出しているんですけれども、トランプ候補が何度も発言を遮りましたよね。70回遮ったとか。いろんな報道というか、いろんなPR、宣伝、ヒラリー陣営が流しているわけではないのでしょうけれど、そういういろんな報道が見られるんですけれども、逆に言うと、これでもトランプ候補は相当、抑えた方だと思うんですよね。これまでのような個人攻撃一辺倒みたいなスタイルから考えると、相当抑えた、計算されたパフォーマンスと言っていいのではないでしょうか」
古森氏
「私も同じ、もうちょっと山本さんのお話を進めて、かなり意図的に、トランプさんは今回の1対1の討論会ではヒラリー攻撃をしないようにブレーキをかけたと。なぜかと言うと、大統領らしさというようなこと。それこそまだトランプさんに入れようかな、どうしようかなと迷っているような人達にアピールするための、そのための、自分の器を広げるような形であって、たとえば、、ヒラリーさんにとって一番弱みであるEメールの濫用問題。これだってほとんど攻撃していないですね。非常にこれまでの言っていることだったら、いっぱい攻撃できることが、嘘ついたとか、いっぱいあるわけです。議会証言とか。それを抑えている。それから、クリントン財団のこともほとんど提起しなかったのではないかな。これもちょっと悪の巣窟というとオーバーだけれども、世界中の疑惑に満ちた国とか、人物とかがいっぱいお金を出して、その代わりにアメリカ政府の大統領とか、高官に会えるという、汚職に近いようなのがいっぱいあるわけ。それから、もう1つは、ヒラリーさんにとっての弱みは、ベンナジのアメリカのリビア駐在大使が殺されたテロがあったけれども、これを事前にアルカイーダに近いグループがずっと綿密に計画を立てて、やってきたわけだけれども、オバマ政権は、いや、それは偶発的な、アメリカ側で誰かがイスラム教を愚弄するようなビデオをつくったから、それに対し自然発生的に起きた事件だと言って、スーザン・ライスとか、それから、クリントンさんもそういう説明をしていたんですよ。ところが、そうではないという証拠がドンドン出てきて、これはまだ実際には解決していないですよ。だから、この問題についてもほとんど触れていないと。それから、健康問題についても、彼、トランプ氏がこれまで言っている表現に比べたら、1番悪い言葉ではスタミナがないというだけでしょう。あまりネガティブではないよね。スタミナがないと言われたことないですか、反町さんはないのかもしれないけれど、スタミナはそんなに鋭い言葉ではないではないですか。だから、これはこれまでのトランプさんの言っていることを見ていたら、非常に抑制されていると思う。トランプ陣営が抑制していたのではないか。もう1つの証拠というか材料はトランプさんが大嫌いなライバルで、ニューヨークで同じような経歴でお金持ちになったマーク・キャストロという名前の人がいるんですよ。それを持ってきて、1番、民主党陣営は正面の方において、顔を見ただけでも嫌がる相手です。そうしたら、もし、あんた達がそれをやるのだったら、事前にトランプさんは、ジェニファー・フラワーという、ビル・クリントン親しい関係にあった人を1番前に持ってきて、前の席に座らせると。そう言っていたわけ。ところが、これをやっていないですよ。連れてきていない。だから、今回はネガティブキャンペーンをやめておこうではないかという配慮を、私は感じました」
反町キャスター
「そうすると、ニューヨークのキャストロという人は来ていたのですか?」
古森氏
「来ている」
反町キャスター
「トランプ陣営はそれに対する対抗策をとらなかった?」
古森氏
「とらなかった。キャストロはCNNの討論会に出てきて、トランプが全然ダメだと言っていますよ」
反町キャスター
「その意味でいうと、敢えて斬らせて、世論に、ヒラリーはこういう人ですよねと、斬られた傷を見せるのが今回のトランプの作戦だった?」
古森氏
「今の表現のような緻密さがあるかどうかは、斬られて見せてという、そこまで考えているかは知らないけれども、私は、攻撃、アタックドッグではないのだよと。もうちょっと大統領、プレジデンシャルだと。素質を見せるという、そういう配慮を私は感じました」
秋元キャスター
「それは一定の効果はあったのでしょうか?」
古森氏
「だから、ネガティブキャンペーンが意外と弱かったので、あったかもしれない。まだわからないよね。醜い言葉はなかったではないですか、あまり」
前嶋教授
「私はこう思うんですね。メディアとか、最初に戻るんですけれど、それでは論理的にはクリントさんが勝った。だけど、支持者の間ではどちらかと言うと共和党支持者の方がヒラリーさんではなく、ここはトランプさんだと。その意味で、あと押しはあったと思います」
反町キャスター
「あのやり取りでネガティブなところの言い合いだけを見るとヒラリーって嫌な人だねというイメージを植えつけることにトランプは成功した?」
前嶋教授
「成功した。一方で、民主党支持者にとってみれば、トランプはダメだと。論理的なクリントンの方がいいと。こう思うわけですよね」

勝敗の行方を徹底分析
秋元キャスター
「投票までのスケジュール、山本さんはどこに注目されますか?」
山本議員
「支持率は大事ですけれども、これが全て大統領選挙の結果に結びつくわけではないですよね。たとえば、オバマ、ロムニーは最後まで支持率が拮抗していたのですが、フタを上げてみたらオバマさんが圧勝したわけですよね。だから、州ごとの代議員の数、これを見ていかなければいけないということで、政治家から見ると、選挙の地合いは民主党の方がいいです。たとえば、1992年から2020年までの20年間の6回の大統領選挙を見ると4回それぞれ勝ったところ、3対3のところ、5回、6回それぞれの勝っているところと分けてみると、4回から6回まで勝ったところを並べてみれば、民主党は281、共和党219。3対3のところが38あるんですね。ここらへんを見ると、民主党の方がまだ地合いがいいのだと思います。ただ、スイングステートと言われるところで言うと、オハイオで負けた候補者は大統領になっていないので、オハイオはトランプさんが勝っていますね。フロリダもちょっと勝っています。ただ最新の各州の支持率をネットで見てきたのですけれど、さすがだなと思ったのは、バージニア州知事のティム・ケインでしたか、この人を副大統領に持ってきた。バージニアがポイントなんですよ。バージニアが7ポイントぐらい離れている。あとはトランプが271を獲るためにはまずジョージアとか、ノースカロライナとか、共和党が6回勝っているところは死守しなければいけない。ノースカロライナは微妙ですよ、互角。つまり、プラスアルファ、ペンシルバニア、ウィスコンシン、ミシガン、ここもスイングステートと言われているのですが、6回とも民主党が勝っていますから、ここを2つぐらい獲っていかなければいけない。万が一にも、バージニアで負けると、オハイオ、ペンシルバニア、ミシガンぐらい獲っていかないと271までいかないので、地合いはよくないのですが、オクトーバーサプライズがありますから何が起こるかわからない。CNNの調査結果は必ずしも現在のアメリカのムードを反映していない。とにかくメディアの報道は全部反トランプで、ヒラリーさんを応援していますけれども、これが逆にトランプ支持者の怒りを増幅させる結果にもなっているので最後までわからない。ただ、スイングステートの数字はこれからしっかりフォローしていかなければならないと思います」
前嶋氏
「スイングステート、だいぶトランプさんが盛り返してきてオハイオなんかはそうですけれども、トランプさんが優勢になってきた。数字を見ると、まだクリントンさんが有利ですね、現時点で。ただ、1か月前よりかなりトランプさんが競ってきたというのが現状だと思います。最終的にどうなるか何とも言えないところがあるのですが、10対1ぐらいで組織力が強いという。最後はドブ板選挙なんですよね、アメリカは。個別訪問でデータをすごく持って。ボランティアを送ってというそういう選挙が展開されていて、それでは圧倒的に組織力があるクリントンさんが強いですよね。その意味で、クリントンさん有利で続いていくと思います。ただ、トランプさんの盛り上がり、モメンタムはちょっと驚きですね」
古森氏
「今回の選挙の特徴は、過去のことを知っていれば知っているほど読み方を間違えると。伝統的な叡智というか、それに当てはまらないことばかり起き、トランプさんが共和党の指名候補になるという事態を誰1人予測できなかったという。何か我々のわからないことがアメリカで起きているのではないかということ。不測の事態がある。私はヒラリーさんが健康問題をまだ抱えていると思います。激戦が続きますからそれがあるのではないかということ。選挙はヒラリーさんが勝つのだろうという予測は、皆さんがおっしゃっているように、私もその通りだろうと思うのだけれど、守りなわけですよ。トランプさんの方はあらゆる攻撃をかけていくという、守りが崩れる。オクトーバーサプライズという、ここで考えている想像を超えたことが起き得るということで結果は予断を許さないということになってしまう」

山本一太 自由民主党参議院議員の提言:『本音と良心の攻防』
山本議員
「アメリカ人の剥き出しの本音。偏見、孤立主義、そういうものがある。それに対して良心。多様性を認めなければいけないのではないか、寛容でなければいけないのではないか。このアメリカ人の心の中の葛藤というのか、対決、この結果が今度の大統領選挙の結果になるのではないかと思っています」

古森義久 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の提言:『予断を排そう』
古森氏
「下駄をはくまでわからないぞというのが今回の選挙の特徴だと思います」

前嶋和弘 上智大学総合グローバル学部教授の提言『“大統領的”とは』
前嶋教授
「要するに、ヒラリー・クリントンさんだったら今と変わらない。なんとか信頼できる。しかし、トランプさんだったら変化して、何かすごいことができるのかもしれない。変化の大統領なのか、守りの大統領なのか。大統領的とはどうだろうと考える時に、本音と良心、そして予断を許さないと思います」