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2016年9月21日(水)
分析!日銀の総括検証 黒田総裁の次の一手は

ゲスト

西村康稔
自由民主党総裁特別補佐 筆頭副幹事長 衆議院議員
須田美矢子
キヤノングローバル戦略研究所特別顧問
加藤出
東短リサーチ社長 チーフエコノミスト
大山泰
フジテレビ解説委員(経済)

検証『総括検証』『新しい枠組み』 物価2%目標と金利コントロール
秋元キャスター
「昨日と今日の2日間、日銀は金融政策決定会合を開いて、3年半に渡る異次元の金融緩和の総括的な検証を行ったうえで、金融緩和強化のための新しい枠組みを決定しました。大山さん、今日、日銀が発表しました総括的な検証と金融緩和強化のための新しい枠組み、ポイントをお願いします」
大山解説委員
「総括的な検証のポイントの方、いくつかですけれども、2013年4月からやっている量的、質的緩和ですね。当初2年で、2%の物価上昇をもたらす。国債を大量に市場で買って、国債を買うと金利が下がるという関係にあるので、金利が下がれば、家を買う人も出るだろうし、住宅ローンを借り換える人もいるだろうし、企業も新しい設備をやるだろうし、そういう意味で、全体として自分達が検証したところでは経済、物価への好転をもたらしたと。物価の持続的な下落という意味でのデフレはなくなった。それから、物価上昇率2%目標の達成を阻害した要因とありますけれども、2年限定短期決戦みたいな、戦力の逐次投入をしなくて、2年で2%を目指すことを念頭にいくということは、検証全体を読む感じではそれはできなかった。別にできなかったとか、失敗しましたという、そういう表現はありませんけれど、そういう印象を受けたうえで、この3年半の中で、消費者、物価上昇率2%、インフレ率2%。これは生鮮食品を除く、消費者物価指数で見るんですけれども。と言うことは、エネルギーも入っているんですね、原油価格も。原油価格は途中で、1バレル100ドルだったのが25ドルぐらいになったような局面もある。それから、2014年4月から消費税率が5%から8%になった時に、駆け込み需要もあったけれども、そのあとは消費マインドが冷え込んだこと。それから、成長センターだとずっと言われていた新興国の経済もここのところ減速、足踏みだったこと。そういうことが、この2年で2%ができない。3年半でもできないという理由として挙げています。ただ、今年1月から始めたマイナス金利政策も含め、金利を大きく押し下げることは非常に有効だった。今後の何か金融政策の示唆で、そこではフォワード・ルッキング、政策の先行き見通しなど期待形成を強める手段の導入が必要とあります。ちょっと理屈っぽくて、難しいですけれども、ざっくり言うと、日銀はこれからも物価上昇率2%になるまで、とことんやりますと。2年ではできなかった、3年半ではできなかったけど、とことんやりますと、皆、物価が上がると思って、インフレになると思って、インフレ期待を国民、企業の方々、皆さん持ってくださいというぐらいの決意を念頭に、政策を進めていくというふうに読めます。そのうえで今日ちょっと難しい話。2%を超えるまで、その目的に向かって金融緩和をやると、コミットメントというのは宣言、約束みたいなものですよね、中央銀行としての。これを新たに強く強調したうえで、これまでは年80兆円の国債を買い入れて、金融市場にまわるお金の量をドンドン出していくという考え方から、イールドカーブ・コントロールという、ちょっと難しいですけれども、金利ターゲットと言って、10年の国債の金利を0%に維持できるような買い入れ方の工夫をしますということです」
秋元キャスター
「このイールドカーブ、具体的には?」
大山解説委員
「ちょっと難しいですけれど、イールドカーブ・コントロールと言いますけれども、国債は3年ものとか、5年もの、1年未満の小さいものもあるんですけれども、それぞれの利回りをつないでいったカーブで、これ全体が日銀の大規模な異次元緩和で、ざっくりですけれども、下がったんですよね。だから、先ほど言った日銀の検証でも、景気に与える影響が良かったというのは、先ほど、言ったように金利が下がれば、お金も借りやすくなるし、お金が出ている量もこれまでの2倍、3倍ですから、それが実体経済に染みわたっていくのではないかという意味で、そう見てほしいですけど、それをいったん消して、ここが10年ものの金利のところですけれど、これが概ねゼロになるように、これまで国債を年80兆円買うというのをメインにおいていたのですけれども。それは現状も80兆円ぐらい買うことをベースにここぐらいで止まることを中心に、これからの金融政策はやっていきますという形の話です」
秋元キャスター
「加藤さん、今回の、この総括的な検証と金融緩和強化のための新しい枠組み、全体としてはどう評価されますか?」
加藤氏
「やったことは良かったなと思います。短期決戦でいったもののうまくいかないからと言って、1度約束しちゃったから、とことんやらなければいけないみたいな玉砕方向に行っちゃうと結局、1番国民が不幸になってしまいますので、うまくいかない部分は素直に認めて、方針転換をしていくということが今回、ある程度、行われたのが良かったと思います」
反町キャスター
「方針転換したのですか?同じことを続けているように見える。どこが劇的に変わったと我々、受け止めればいいのですか?」
加藤氏
「1つにはマネタリーベースでお金の量を増やしていくと、経済を刺激してインフレ率が上がるのだという部分を完全に撤回はしていないですけれども、事実上それだけではダメだなという方向には舵を切っているわけです。ただ、そのへんを揚げ足取りでいくらでも突っ込みところは満載なのですが、ただ、それを言っても詮無いと言いますか、とことん突き進んでしまうことのリスクがありますので、今回の修正というは突っ込みところ多々あるんですけれども、むしろ暖かく受け止めるべきで、そうしないと、なぜなら結局、量を増やしていくには国債を増やして、買い入れを増やしていかなければなりませんが、大変な量の国債を買っていて、このままだと増加させることは困難ということで、今年の年初から、そこの限界にぶち当たっていたので。1月のグローバルな金融市場の混乱の時に何か手はないかという時に、マイナス金利政策にあたったと。しかし、これが日本中から大変な反発をかってしまって、7月にまた追加緩和を打たなければいけない雰囲気になってきましたが、マイナス金利のカードも切れないので株式投信の一種であるETFというものを年間6兆円で買うことになったわけですが、これもギリギリ限界と。来年の今頃には、日銀が筆頭株主の企業が続出しそうな勢いですから、そうなってしまうとこれ以上増やせないということで、事実上、7月の時点でお手上げ状態になったわけです、追加緩和という意味では。ただ、なぜマーケットが追加緩和もっとしないのかとか、これまで催促したかというと、日銀の側が2年間でインフレ2%にしてみるとずっと言ってきたので、そのためには何でもすると言ってきたので、では、やってよという、そういう突っ込みですよね。たとえば、ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁も同じように、だいたい2%のインフレ目標をやっていて、インフレの状況、日本もヨーロッパもあまり変わらないですけれど、別にマーケットは毎回の会合で追加緩和やってくれよ、やらないなら株を売っちゃうぞみたいな、そういうやり取りにはなっていないのは、向こうはそこまで前のめりの約束をしていないからなので。そういう意味で、マーケットとの関係を毎回の会合で催促されちゃうというところから離脱しないと、1度身を離さないと、ということでの、今回の修正という点では、良いかとは思うのですが」
反町キャスター
「前の約束からの離脱というところが評価されているのですか?」
加藤氏
「ですが、そのへんが、逆に言うと、非常にわかりにくくて、消化されていない部分があるんだと思いますね」
反町キャスター
「そこから離脱したと言いながら、オーバーシュート型コミットメント。2%、これを続ける。2年という年限、もう2年とっくに過ぎているので、約束も何もないですけれども、2年という年限、時間枠にはこだわらないよと言いながら、今度、2を超えるまで、これまで手前でやめるのではないかとか、いろんな噂がある中で、超えるまでやるよと、深く踏み込んでいるようにも見えるではないですか?」
加藤氏
「そうです。だから、前までの2%になる、あるいは超えるまで続けるという言い方ではなくて、その短期間で達成してみせると言って、そう言って約束をして、それを裏づけるアクションをとることで、人々の期待を引っ張り上げるということだったのですが、それは、当初はある程度動いたのですけれども、だんだん息切れが起きてしまったので、今日の話は、そこはある種諦めたというか、現実対応になってきて、その粘り強くやりますという話に変わったわけですね」
須田氏
「この政策は、もともと期待に働きかけるという部分が大きかったから、それにしても複雑だというのが、第1の印象ですね。理解をするのにどうしようかという、よく伝わらないということだから、一般の人がこれを理解するのはかなりきついなというのが、まずあります。量をターゲットにして金融政策をやっていくのは限界だというのが見えている中で、今後、経済はどうなるかわからないというところがありますから、追加緩和の手段をどうやって持っていくのかということを考えた時に、持続性のある政策の枠組みにしなくてはいけないと。そういう意味では、量から金利へ移るしかないと思っていたんです。それは実現されたと。まだ量のところがいっぱい入っていますけれども、基本は、これは金融調節方針という、政策決定会合が執行部に指令を出す方法というのは、金利になっていますから。そういう意味では、金利にシフトしたと。そういう意味では良かったと思うんですけれども、10年金利をコントロールする?これはいくらなんでもやり過ぎだよと。市場機能はどうなるの、市場が果たすべきシグナル効果、これからどうするのと。財政がおかしくなって何の反応もできないという金利。それから、それを基にした様々な金利があるので、市場経済であるにもかかわらず、金利のシグナル効果をなくしてしまうというのは、金融政策ということだけではなく、経済全体に対する悪影響がすごく大きいと思うんです。金利が資源の配分を決めて、それが最適になるはずなんです。それがシグナル効果として果たさなくなるような政策に踏み込んでいった。できたら、そうなると。もし市場の力を、そのまま少し尊重をするのだったら、コントロールできないわけです。そうすると、政策に対する信任が失われると。だから、政策の信任が維持されるのか、市場が壊されるかというのが、これからの方向として出てくるというのが、1つ、良いことだけれども問題だと。それから、達成期限はなくしてほしいと思っていたから、それは、2年をやめてくれたことは良かったと思っています。強化ということ、金融緩和の強化という意味ですけれど、たぶん強化したというのは最後、どこまで持つかといった時に、オーバーシュートまで持つということですけれど、そこはこれまで言っていた必要なところまでやりますよといったことを、今のところで厳密に言ったら、たぶんそういうことだと思うんですね。まだ安定的というのが、どのぐらいの距離、時間でというのは明確にしていませんから。その意味で、現状の政策が枠組みを変えたにもかかわらず、そのまま維持できるような形にうまく持って行ったということでは、さすが日銀だなと思うんです。でも、金利はやり過ぎだし、もう1つ問題だと思っているのは、金融政策効果が2%実現できなかったということを先ほど書いてあったように、外生変数に依存するというのは、この金融政策は思ったより効かなかったのではないかと。1番大きいのは前の量的緩和をやっていた時に比べてということでもいいですけれども、前向きの循環メカニズムが違うんです。もう少し、だから、需給ギャップがドンドン拡大していったのが前回。今回はゼロまで、ほぼゼロまでいったかもしれないけれど、内閣府のデータだとまだまだ下ですけれども、日銀のデータだと、ほぼゼロ。ここ2年間上がっていないわけですね。なぜ上がっていかないのか。これだけ緩和をやっても、需給ギャップが改善していかないのはなぜなのかというような実体経済に対する影響をしっかり、物価については外生要因というのはわかるんですけれど、実体経済について外生要因だけだったのか。やっぱり金融政策の効果って、思ったよりなかったのではないかというところの反省がなかったのが残念です」
反町キャスター
「金融政策に効果はなかったのではないかという反省を黒田日銀がやったら完全に自己否定にならないのですか?」
須田氏
「でも、量から金利に移るんですよ。そうしたら、金利は単なる、これから先、技術的な制約要因ではなく、量よりも金利を直接コントロールする方が、効果がありますと言ってほしかったわけですよ」
西村議員
「まず2%のインフレ目標。これは政府と日銀の間で、共同声明でやって、これを達成しようと。釈迦に説法ですけれども、デフレの状態は物価が下がり過ぎて、売上げも減るし、賃金も減るし、そうしたら、また安いものを買おうとするし、どんどん物価が下がっていく、あるいは下がっているから待とうとしますから、不動産にしても、何でも下がっていくということでデフレはダメだと。これは世界共通の認識で、緩やかなインフレ目標を設定している国が世界中で多いわけです。我々も2%目標を達成しようということで、2013年にスタートして日銀はバズーカと言われる大胆な金融緩和、量的・質的緩和で解消したわけです。私はここは見方が違うんです。私も関わっていましたので、政府の立場で、内閣府で関わっていましたけれども、これはこれで効果があったと。黒田総裁が言われるように1年間2013年から2014年にかけては、物価も1%超えるところまでいきましたし、株価も上がりましたし、企業業績は良くなった。投資をやっていこうという雰囲気になりました。これは人々も2%の目標に対してやっているのだから、物価が上がっていくんだなという期待感も持ったし、足元も上がりかけたから、これはそうだなということで物価が上がっていくと思っていたはずです。ところが、これが本当に外的要因で2014年から物価が落ち始めたのは、原油価格が落ち、新興国経済も悪くなり、それから、消費税の増税に伴う需要が弱かったというところがあって、物価が落ちてきたと。今度は、物価が落ちてくると、足元の物価が落ちているではないか、何だ、上がると思っていたのに、落ちているではないかと思い始めると、かつて15年間、物価がデフレ状態で下がり続けたわけですから。そうだと。物価は下がるのだという、染みついていたデフレマインドが皆の気持ちにまた戻ってきて、なかなか今度はインフレになりにくい状態になってきているのではないかと思います」
反町キャスター
「実際に下がっていますよね、物価が」
西村議員
「そう。だからこそ、ここでもう1回検証して、まさにもう1回、ここで進化させる、先ほど、申し上げましたけれど、量的緩和プラス金利の部分をやったということだと思うんです。金利に重点を置いてきたということだと思いますけれど、このイールドカーブの、ちょっとよろしいですか、まさに一般の人わかりにくいと思うんですけれども、1年の時の金利、国債の金利がマイナス0.2、0.3ぐらいになっていると。10年でマイナスゼロ近傍。40年で国債で0.6%ということですから、当然長いものは、借金する時も長いものは金利が高くなるということですから。マイナス金利で、これはこれで効果があったと私は思うのは短いところ、普通の企業の人が借りるというのはこのへんですから、この金利は下がっています。国債はマイナスだけれども、実際借りる金利も、中小企業の方でも0.5%とか、3%、もちろん、その企業の状態によって違うのですが、このへんの金利で借りられるようになっているのは、かつては1%以上あったのが下がっているわけですね。これは中小企業にとっても楽になっているし、投資をしようかという気持ちも出てくるということですね。もちろん、須田さんが言われたように、何に投資をするかというのは、規制緩和なり、成長戦略なりがあって、この分野にやろうかというのはありますけれども、しかし、企業にとっては相当楽になっていると。長期的にも40年のものでも0.6でできるのですから、これはまさにトヨタとか、20年の社債を出したり、ソフトバンクも社債を出したり、JRも出したりとか、多くの企業が、特にインフラ型の企業は、長いものを借りてやると。金利は下がっていますから、これで設備投資につながっている面というのはあると思うんです。ただ一方、たとえば、生命保険とか、年金とか、長期の運用、このへんで運用をしている人達からすると、金利が下がって、生命保険の運用ができないとか、年金の運用ができないとか、弊害が出てきているので、このあたりの金利はもう少し、10年をゼロにするわけですから、このカーブがこんな感じで今日ぐらいの現状もいいというような近い発言を黒田総裁されていたと思いますけれども、このへんの金利はある程度そうした企業が、生保とか、年金も運用できるようにちょっと高めにしよう。しかし、安いところは下げようではないかということを、量的緩和と併せて打ち出したと。私は、量的緩和をやめて、金利にいったのではなくて、ある意味、ハイブリッドで両方やるということだと思いますので、そういう意味で、とことんやるというのか、何でもやると、2%になるまで何でもやるという、しっかり下さ支えをやりますというメッセージを日銀は出してくれたと思いますので、政府側はそうした資金を扱いやすくなっているところで、新しい分野に投資をしたり、特区でやったり、規制緩和でやったりするところを、成長戦略をしっかりやらなければいけない」

マイナス金利の効果と副作用
大山解説委員
「今日、日銀は総括的な検証の中でマイナス金利、国債の買い入れを組み合わせたことで、長短金利を大きく下げたと。留意点、マインド面などを通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性があるということも触れているんですよね。そういう論拠の流れの中で、マイナス金利は現状維持という形で出てきて…」
秋元キャスター
「加藤さん、マイナス金利の維持、どう評価されますか?」
加藤氏
「9月5日の黒田さんの講演以降、マイナス金利の弊害に触れるようになってきたというのが大きな変化で、それ以前はプラス面ばかりを言っていて、あるいは金融機関のために政策をやっているのではないみたいな発言もあったぐらいですが、強烈な反発が、日銀のところにいきましたので。しかも、10年国債、今日は0%あたりに固定するという話をしたわけですが、7月の下旬にはマイナス0.3%近くまで下がったわけなので、あの頃は下がり過ぎだったと、弊害の方が大きいという認識に実はなっているわけです。なので、どこに固定をするかという時に1番低かったところではなくて、むしろ高いところにしているというのは弊害を意識しているということなのですが、昨日、札幌に講演で呼ばれて行ったのですが、向こうの企業の方々と話していると金利が十分に低いのでここから金利が下がったら設備投資をするかというと、そういう問題ではないと皆さん、おっしゃるわけですね。結局、儲かるチャンスがあるのかどうか。ここで工場をつくって、収益が上がるのか、あるいはいろんな税制やいろんな規制の中でそういうものがなくなっていけば、もっと自由に行動できるようになると。そういう話はいっぱい聞かれるのですけれども、金利が下がったら活動が変わるとか、全然聞かれないわけで、そういう中で、やみくもに金利を押し下げ、お金を配って金利を押し下げるということをやってきたことの、ある種、限界にぶち当たっちゃったわけですね。また、問題の1つは基本的に企業も家計も将来不安というのが非常に強くて、だから、金利が低いのにそれを利用しようとしないと。先日、数週間前、スウェーデンにちょっと寄ってみたのですが、あちらもマイナス金利ですけど、反応が随分違うんですね。基本的にお年寄りは老後の生活資金に不安がないというところですから。社会福祉国家なので。別に預金金利が0%になったとしても、そのこと自体で、将来に不安があるとか、(不安が)増すとか、全然ないわけです。一方で、人口動態も若い、移民もいっぱい入ってきているので、出生率も高いので若い人が多い経済ですので、金利が下がれば、家を買おうとか、自動車を買おう、借金してと素直に反応するわけなので。あるいはお年寄りも長生きするリスクがあるから、預金を使わないとか、そういうことはない社会なので、そういう経済と、皆が将来不安だと言っている経済では、金利を下げた時の反応がまったく違うなと。そういう意味では、金利だけで、日銀の政策だけで経済を活性化させようというのは限界で、それは黒田さんも既に言い始めていて、経済にとっての中立的な金利という考え方があるんですけど、経済を加熱させもしないし、ブレーキもかけないという、ちょうど良い金利というのがあるとすれば、それよりも日銀は市場の金利を大幅に下げればこのギャップが経済を刺激する。ところが、中立的な金利というのはすごく低い位置にあるので、そうすると、日銀が押し下げてもあまり差がつかないわけですね。その中立的な金利というのはどうして上がるのかというと、結局は日本経済の自力である潜在成長率、あるいは今後の日本経済が成長してくから大丈夫だと、あるいは財政も大丈夫、年金も大丈夫と皆が思えれば、前向きになれば金利が上がってくるわけですから、無理やり押さえつけている金利が刺激効果を及ぼすわけですが、そう意味では、金利政策だけでは無理だという、この3年半で明らかになって、それがいろいろ遠まわしなのだけれども、今日の中に」
反町キャスター
「何で遠まわしなのですか?率直言うことは、自己否定につながるから言えないのですか?」
加藤氏
「そういうことなのでしょうね。1番のポイントは、政策委員会の中に、マネーをばら撒けばいいんだと思っている人達もいて、一方で、いや、正常化させなければいけないのだという人もいて、全員をある程度まとめないと収拾がつかない。こちらもある程度立てながら、こちらもとやると今日のような表現にならざるを得ないわけですね」
反町キャスター
「そうすると、玉虫色の表現が負けを負けと認めずに、勝ってないんだけれども、負けてもいないみたいな、よくわからない表現だと思うのは、それは別に世間体とか、見た目の話とか、ないしは日銀の体面とか、プライドだけではなくて、中の調和を保つために、そういう表現を取らざるを得なかった?」
加藤氏
「もちろん、ある程度、体裁を保たないと、諦めたのかと思われるリスクもあるという、諸々入っているわけですけれども、ただバランスを取らないと、今日、その結論に至らないと、採決が取れないというリスクもあったということだと思います」
須田氏
「まず、今の話から。マイナス金利ではなくて。政策ボードにいた者として思うのは、同じ土俵で議論して、いろんな政策をとことん常にできる限りのことをやっているから、どんな政策にもコストとベネフィットがあるんです。それをどう評価するか。そこには個々人の価値判断も入ります。それをウェイトはどちらが大きいかで、ベネフィットが大きいと思う人はその政策をやるし、コストの大きいというのは、たとえば、追加緩和だったらノーと言うわけです。でも、同じ土俵で議論をしていたから、私の場合はそうだから、反対をしていても賛成者がわかると。あなたのことはわかりますと。こちらも賛成者の気持ちもよくわかるんです、価値判断も含めた。だけれど、現在のボードはそれぞれ言い放しで。それが常に一緒に考えながら、コストとベネフィットはこうだよね、でも、ベネフィットが大きいからこうやってやってきたんだよね、と言って議論を進めていれば、もっとまとまった政策を提言できたという」
反町キャスター
「土俵の違いというのがよくわからないですけれども、かつてはどこが一緒だったので今はどのように土俵が違うのか、わかりやすく言っていただくと。かつてはどういう同質性があり、今はどういうところが完全に違う惑星の人と話をする状態になっているのか?」
須田氏
「少なくとも1つは期待をうまくコントロールできるとは考えていなかったんですけれども、今はそれがかなりできるのではないかと思っている人達が、結構なウェイトを占めてきたというところで。まず政策というのは時間をかけて、効果が出るのも時間がかかるし、物価が上がるまでも時間がかかる。それから、金融政策をやっていくとずっと低い金利が続くと言ったらバブルも起こってしまうから、聞く耳を持ちながらということで、時間をかけながら、つまり、物価というのは実体経済の体温だと。だから、実体経済を良くしながら物価が上がっていく状況をつくりたい。だから、じわじわとしかできないと。時間がかかるということが、そういうことで皆が合意をしていたと。だけれど、なかなか物価が上がらないから、では、もっと行こうといった時に、そこまでいってもコストの方が高いという人と、そうではない人というのが分かれましたから。そういう意味では、同じ土俵で議論を、そういう意味で同じようだったと言うのだけれど、期待に働きかけて、期限を区切って、インフレーションターゲッティングという、そうすれば効果があるので実現できるのだと。そういうことはコストプッシュで物価を上げても、実体経済はついてくるという考え方」
反町キャスター
「それは危険なのですね?」
須田氏
「はい。それは失敗したんです、今回」
西村議員
「まず私も18回ぐらい会合に副大臣として出席しましたけれども。ずっと議論を聞いていましたし、政府としての意見も言いましたけど、もちろん、政策をどうするかとか、それぞれの政策の効果、あるいはマイナス面、いろいろな評価が委員によって違います。ただ、全体として2%物価目標に向けてやっていこうと、政府、日銀で、共同声明をやっていますので、その方向で緩和的な措置をとろうということでは動き出したわけですね、量的緩和。期待に働きかける、つまり、2%物価目標というのを実現するぞということを強く言ってですね。そうすると、国民の皆さんも、そうなんだ、物価は上がっていくのだという期待に働きかけて、それなら、買おうかということで、この1年から1年半にかけて大規模な量的、質的緩和から、すごく効果が出たのだと思います。だからこそ物価は1%以上上がってきましたし、これは経済も、結果的に円安の効果も持ちましたので、企業収益も上がりましたし、賃金も上げていこうということで、私は効果があったと思います。だから、最終的には経済成長率と物価と金利というのは、全部上がってくれば皆、上がってくるし、悪くなれば下がってくるわけですけれども、これはそれぞれに作用して、そうなるわけですけれども、今回、私は日銀の大胆な金融緩和は、そういう意味で、第一の矢としてやってくれたおかげで、経済全体に刺激を与えて、企業収益も上がって、投資をやろう、あるいは賃金を上げようという雰囲気は、これは出てきたと思いますので、これは効果があったと。ただし、そこから先が、消費税があったり、中国の減速があったり、あるいは原油価格が下がったりとか、いろんな要因がありましたので、変わりましたけど、まず効果があったというのは1つです。ついでに言うと当時、私もカナダとか、アメリカのフェッド、あるいはイギリスの中央銀行の副総裁とか、理事と相当意見交換をしましたけれども、概して言えば、差はありますけれども、2年で2%の物価目標の達成については、これは壮大な実験かもしれないけれども、これは十分可能性があると見ていた方々が多いです。全体としてはそういう見方をされていましたので、残念ながらいろんな要因で、1年半ぐらいで物価が下がってきましたけれど、そういう意味で、私は効果があったと思います。ただ、ここまでやってきてマイナス面も出てきているので、これは先ほど申し上げた長期の金利が下がり過ぎて、生保とか、年金、あるいは地銀も、地方の金融機関も貸出金利が下がって、利益が上がらないと、収益を圧迫するということ。そういったことに配慮して、今回、若干の修正をしながら進化をしていったということですので、これは、日銀はよくやっていると思いますし、それを受けて、何度も言いますけれど、結局はお金がいっぱいあっても、金利が下がっても、使いたいというところがないといけないので、そこは規制緩和なり、特区なり、いろんな成長戦略を打ってやっていかないといけないということだと思います」

量的・質的緩和の限界と可能性
秋元キャスター
「日銀の資産残高が急増しています。2008年は124兆円で、2013年に黒田さんが総裁に就任されて、量的・質的金融緩和が導入されますと年々資産残高は増え続けまして、今年の9月10日現在、456兆円となっています。その分、お金が市中に出まわっているはずですが、どこに行ってしまったのか?」
加藤氏
「日銀当座預金という日銀の口座に貯まっているわけです、ほとんど。貯まっているお金を増やすという政策をやってきた政策でもあるわけですが、基本的にほとんど使われないので、貯まっているだけですので、現状それがとんでもないインフレを起こすとかではなくて、ただ、貯まっている状況。今、悪さはしていないんですけれど、こういった状況が続いていくと、大きな問題が2つあるわけですが、1つは、将来的に経済が活性化されてインフレが2%超えてきたという時に、これから出口に行こうとなると、日銀に巨額の損失が生じてくるということはあるわけですね。マイナス金利の国債を日銀が猛烈に買っていることもあって、日銀が持っている国債の利回りが相当低いですね。3月時点で日銀の資産の平均利回りが0.4%を割れていましたけれど、現在もっと下がっているはずです。そうすると、ちょっと金利を上げていくだけで日銀が赤字に陥るということがあり得ます。ただ、日本経済全体として復活してくるのであれば日銀が赤字でもいいではないかという考え方も一歩引けば言えなくもないですけれど、ただ、現実にはそうなった時に日銀が赤字だと我々の税金で補填しなければいけなくなってきますから、そうなると、独立性の議論が言えなくなって、一般会計から税金を入れなくてはやっていけないのでは政府に対して強いことも言えなくなるでしょうから、最終的に何が問題かと言うと日銀が便利な豚の貯金箱になってしまうリスクが、現在も相当なっちゃっていますけれど、そのリスクがますます高まってしまうと。つまり、10年国債金利をゼロで固定するとなれば、国の借金が増えたということで、債券市場が警告を発すると、大丈夫かというシグナルが出なくなってきますから、そこで、政府の財政規律がますます緩んでいっちゃってというリスクが出てくるわけです。なので、こういった大胆な政策をやる一方で、政府は政府で財政再建を同時にやっていくという、一時期のイギリスがそうでしたけれども、そういうパッケージならいいですが、どちらも緩んでくるとなると、先行き大きな問題が出てきますね」

日銀の狙いと今後の日本経済
秋元キャスター
「アベノミクスノ将来性、見通しはいかがですか?」
加藤氏
「今やバーナンキ氏がやっていた頃よりも黒田さんの緩和の方がはるかにすごいスケールになってきていると。なのにアメリカの方は一応、利上げに入っていったのに、日本はまだまだ緩和だと。この違いは何かと、潜在成長率、将来期待の差が決定的にあるのだと思います。アメリカの場合、シリコンバレーのような成長セクターがあり、かつ生産年齢人口が増えていくという、経済の違いがありますから、同じ緩和をやっても効き方が全然違うという点では、アベノミクスの本来の三本の矢はすごくいいコンセプトだったと思うんですけれども。金融緩和で支えながら、財政も出しながら、最終的には成長戦略、構造改革でやっていく、そこの部分は、せっかく長期政権で支持率も高いということ故に、より踏み込んでいかないと。従来の政権に比べたらいろんな改革が進んでいるとは思うんです。ただ、本当はもっとできたと思うんですね。たとえば、世界銀行が毎年調査している、ビジネスのし易さランキングがありますが、その中で起業のし易さで日本は81位と、低いところにいると、規制緩和とか、やれることはまだまだある。あとは移民をどうするかですね、人口対策として。無茶に入れてはいけないですけれども、ただ、1億総活躍するには介護や育児などサポートしてくれる人も必要なわけで、そういうところにもせっかくの長期政権ですから、(成長戦略に)踏み込んでほしい。そうしないと事実上、黒田さんの緩和はもうやり過ぎたところに、やり過ぎたところを実際に戻そうとしていますから、あくまで成長戦略とのパッケージでいかないと(いけないと)いうことだと思います」
須田氏
「もともと三本の矢というのは三本一体になって初めて、一本ずつではダメで、三本で効果が発揮されるということだったにもかかわらず金融政策に負担がかかり過ぎたということを、それを新アベノミクスで修正をかけようとしていることはすばらしいことだとは思っています。ただ、日本は完全雇用なんです、基本は。需給ギャップは議論があるけど、完全雇用のもとでポリシーミックスを考えた時、財政はこれまでやっていないから、もう少し成長戦略に役立つものだったら支出すればいいとは思います。だけど、金融政策はG20でも言われているように、負担がかかり過ぎだということで、これはもう少し減らすと。ポリシーミックスとしては金融政策は少し落として、財政で、成長戦略でがんばっていく。このポリシーミックスが必要なのだと思っています」

加藤出 東短リサーチ社長の提言:『中立金利を上げる』
加藤氏
「つまりは構造改革ということなのですが、潜在成長率を上げていって中立的な金利水準をあげていかないと、いくら日銀が緩和をやっても刺激効果が出てこないという現実がこの3年半ではっきり見えてきたということですので、支持率がいまだに高い安倍政権故に期待したいところですので、是非西村先生にもお願いしたいなと思います」

須田美矢子 キヤノングローバル戦略研究所特別顧問の提言:『共同声明に立ち返る』
須田氏
「実は2%を決めたのは日銀だと言っていますけれども、共同声明にはしっかりと政府が成長力を高めるということが前提になっていて、それがないと2%は実現できませんと書いてあるわけです。ですから、政府は2%を達成するためにサポートするという責任が共同声明に入っているということですから、がんばっていただきたいと思います」

西村康稔 自由民主党総裁特別補佐の提言:『ラスト・チャンス! とことんやろう政府・日銀』
西村議員
「この安倍政権でデフレから脱却するラスト・チャンスと思います。人口減少の中で、様々なハードルがありますけれども、徹底的に日銀が今日、ある意味進化をしたと思うんですけれども、とことんやろうということで宣言もしてくれていますので、政府の側も衆参共に安定的な政権になっていますので、しっかりとやるべきことを思い切って実現すべき時だと思います」