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2016年9月19日(月)
年金制度の課題と改革 100年安心の落とし穴

ゲスト

田村憲久
前厚生労働大臣 自由民主党政務調査会長代理
長妻昭
元厚生労働大臣 民進党衆議院議員
井堀利宏
東京大学名誉教授 政策研究大学院大学教授

公的年金は『払い損』なのか? 年金制度の現状を徹底検証
秋元キャスター
「田村さん、この年金制度、今のところはうまくまわっていると考えていますか?」
田村議員
「国民年金の場合、満額40年納めている人の方が少ないので、そういう意味では、国民年金だけでずっとこられた方というのが本当に5万7000円もらえているかというと、そうではないと。これは将来に向かってもそういう課題がありますから。そこをどうしていくか。これは、またあとで話になると思いますが、年金を維持するために、マクロ経済スライドというのがかかってくるようになってくるんですよね。すると、さらに金額は下がらないですけれども、賃金水準から見た水準が基礎年金が下がっていく。そういう問題がありますので。そこをどうするのだというので、民主党政権の時に、そういう年金生活者の支援給付金制度というのをつくろうというので、40年払った方には、月額5000円プラスしようという形で、これを補完しようとしていますけれど。いずれにしましても、将来的に国民年金の問題というのはどうなるかというのが大きな課題になってくる可能性はあると思います。ただ、厚生年金の方は一応、約束している所得代替率と言いまして、現役世代の時に働いた、平均賃金の50%。ただ、これもモデル世帯ですので、モデル世帯、夫婦揃って年金34万9000円、月々稼いでいるというような世帯だと思いますが、そこは50%。そこより多いところは代替率が下がって、そこより低いところは高くなるんですね。だから、どちらかと言うと、低所得の家庭の方に優遇にはなっているんですけれども、50%と言っても、実はそういうような事情もありますから、本当に国民の生活の基幹的な役割を年金が果たすかどうかというのは、これからよく見ていかなければならないと思います」
長妻議員
「1つ、生活保護でショッキングなデータが、今年、出たのですが、今年の4月に初めて生活保護を受給している世帯のうち、65歳以上の世帯が半分を超えると。まさにこれですね。これが今年4月から半分を超えたんです。65歳以上の生活保護世帯。先進国を見ますと、こんな国ないんですね。ヨーロッパの国はほとんどゼロのところもありますし、生活保護、高齢者は、あるいは数パーセント。イギリスでも2、3割ぐらいですね、高齢者が生活保護を受給するというのは。つまり、年金が、きちんと機能、ある程度しているということなので、最大の問題は年金がかなり綻びを、限界まで綻びが大きくなって、生活保護が年金代わりに今やなりつつあると。もうなっていると。高齢者の独り暮らしの方も、65歳以上で3人に1人が1人暮らしなんですね。ですから、年金も細って支えるご家族もなかなかいなくなって、相当高齢者間の貧困格差というのも大きいし、これから、今もそうですけれども、老後破産とか、非常に大変な社会問題が起きる。だから、年金の、確かに100年安心プランというのは、財政としては、ある程度持たせようということなのですが、マクロ経済スライドをかけますと、たとえば、基礎年金でも3割ぐらい目減りすると。30年かけて。ですから、財政は、年金は持つけれども、生活できる年金の金額のレベルではないのではないのかと。こういう不安があるので我々としては福祉的給付。先ほど、田村さんがおっしゃったような、税金で上乗せをしていく。こういう方向を拡充したり、適用拡大を拡充したり、そういうことにまず全力で取り組む必要があると思います」
反町キャスター
「福祉的な給付制度、先ほどの田村さんの話があった、月額5000円ですよね。5000円で、5万7000円の人に5000円を足して6万2000円で、これでやっていけと。そういう意味ではないですよね?」
長妻議員
「これは法律をつくる時に、自民党の、あの時は加藤勝信さんと議論をして、法律の中にも、主旨として、一定の年限が経ったら見直しをして、拡充しようというような主旨で、手始めに、最大で、年間で6万円という上乗せを、だいたい700万人ぐらいの今受給している方に、まずは行っていくと。それを今後、全体の状況を見ながら、拡充していく。こういうことでありますので、そこらへんを早急に自民党とも議論をしていきたいと思います」
反町キャスター
「田村さん、いわゆる5万7000円で生活できないから、支援給付制度、福祉的給付制度という話。これは自民党としてはどういう立場なのですか?」
田村議員
「もともと国民年金は商売人の方々、自営業の方々を中心に考えた制度ですよね。ですから、なかなか自営業の方、所得が昔のクロヨン、トーゴーサンなんて話がありましたけれども、捕捉しづらいということもあって。サラリーマンの方は、給料はすぐにわかってしまいますから、それに料率をかけてということができるんですけれども、なかなかそこがわからないので、料率をかけるということもなかなかできないということですから、定額で保険料を払っていただき、定額で、要するに、年金をもらうという制度。こういう制度だったんですね。ところが、最近はそちらの方が少なくなっちゃいまして。それこそ働いてはいるんだけれど、非正規で、厚生年金の適用にならない方々でありますとか。そもそも無職の方でありますとか、そういう方々も含めて対象になってきていますので、かなり様相が変わってきているんです。そういう意味からすると、昔は生活の一部、つまり、老後の生活の一部を国民年金で賄いながら、自分は商売できますからね。65歳を超えても。すると、65歳まではバリバリ働いていたけれども、65歳になって、そもそも体のことを考えて、働き方は半分ぐらいにしようかなんてことで、国民年金と、それから、老後の働く収入、自営業として。それで生活するというようなそういう設計になっているんですね。だけど、国民年金しか収入はないとなると、なかなかそれで全てを賄うという水準にはそもそもなっていないというのが国民年金の考え方ですから、国民年金の方々は、今のところは老後の人生設計の中で、1つの大きな収入の柱ですけれども、それだけではなく、蓄えだとか、働くだとか、全体の中において人生設計を考えていかなければならんという制度になっているんですよね」
反町キャスター
「そうすると、第1号被保険者、月額5万7000円の年金の支給される皆さんというのは、基本的には自営業者などという、自分の商売をちゃんと持っていて稼ぎがある人に生活の一部の補填という建つけであったにもかかわらず、そうではない人が1号被保険者になっている。そこのところに対する対応というのは日本の年金制度としてはとれているんですか」
田村議員
「それがなかなかとれていなかったので、厚生年金の、要するに、言うなれば、これまで入っていなかった方々を厚生年金に入れていこうということで30時間以上というようなことがあったんですけれども、それを20から30時間の方々、週ですね。こういう方々も106万円以上とは思いますけれども、収入が。そういった方々に関してもちゃんと適用として入れていこうという方向で、第1弾は500人以上のところで入ったと。500人より多いところかな。入ったと思いますが、それを今度、今回、法律を出した中において、500人より少ない企業においても、強制的ではありませんが、中小零細、なかなか財政的に厳しいということもありますから。ただ、人がなかなか来ませんから。そういう意味では、うちはちゃんと年金制度、厚生年金に入っているのだよという形でとれるように、手を挙げていただければ適用しますよというような、そういう法律を国会に出しています。これによって大企業だけですと、25万人ぐらいの対象になるんですけれど、中小が入ってくるとさらにこれは増えてくる。ただし、それ以下の方をどうするのか。いろんな課題はありますから、そこをどう広げていくか。でも、あまりやり過ぎると、国民年金よりも保険料、それから、企業と本人の保険料含めて払う金額が少なくても、国民年金並みに5万7000円もらえちゃうと。これ以上もらえると公平性欠きますよね。だから、そこらへんの問題があるので、年収の少ない方、月収の少ない方に対して厚生年金に入っていただくのをどういう形にしていくかは、これから収入の少ない方々に対しては知恵を絞っていかなければ、公平性というものが担保できないなという問題点があるのは事実です」
井堀名誉教授
「公的年金は保険料で賄うという建前と、それと税を投入しているところがごっちゃになっていると思うんですね。本来、無年金の方というのは保険料を払わないわけだから、払わない以上は年金給付もない。だから、年金を保険料方式でやる以上は無年金の方には払わない、保険料を払わないかわりに給付もない。それでバランスはとれているわけですね。ところが、無年金の方の中に経済的に大変だからということで、要するに、税金を補助する形で無年金の方を少し救済して、保険料をある程度払わなくても、多少年金給付を入れましょうという形にしているわけですけれども、これは、要するに、税と保険料を一緒に日本の公的年金というのはやっていて、役割分担が曖昧になっているから、ごちゃごちゃするんですよね。そこをすっきりさせるのか、あるいは、要するに、先ほど、社会保障、生活保護の話も出ましたけれども、年金と、それから、ほかの社会保障政策、生活保護などの政策との役割分担をどうするのか、これはしっかりしないと、社会的に大変な人に対して政府がいろんな手当をするというのはわかるんですけれど、それをやればやるほど年金制度が複雑になって。かつ財源を、結果として、将来に先送りしてしまうことになるわけで。今の高齢者の人、大変な人を、手当てするというのは重要ですけれど、同時にそれがこれから生まれてくる人、将来の人にとって、結果として世代間の公平感のバランスを欠くという問題。要するに、若い人から見ると年金制度が信頼できないのではないかという問題にもつながってくるので、要するに、年金制度がどこまで老後の役割として政府がきちんと面倒を見るかということ。もう少し、この理念をはっきりさせることをしないで、その場しのぎで、いろいろなかわいそうな人がいるから、いろいろな形で対応しましょうということをやるだけだと、根本的な問題の解決にならない」
反町キャスター
「社会福祉政策なのか、そうでないのかが曖昧である、という話でしたよね。社会福祉、要するに、年金は社会福祉の政策でないと見た方がいいという主旨?」
井堀名誉教授
「基本的に年金というのは現役世代が負担して、高齢者が受給するわけですけれども、それはあくまでも世代間の、現在の年金制度は賦課方式ですから、若い世代が年をとった人を支えるという、これはあくまでも老後の生活の資金を、若い世代が支えましょうということになるわけですね。それが老後の生活を全体として世代間で支えようという世界ですから、それぞれ高齢者の方の中で非常に貧しい人がいる時に、それを年金制度でやるかというのは、また別の話ですよ。年金というのは若い世代が年をとった世代を支えて、老後の生活をある程度カバーをしましょうということですけれど、あくまでも、全体として老後の生活をカバーするシステムなので、個々の人達が、どれぐらい経済状態が大変かということに関して、それぞれ年金がいちいち対応をしていたら年金制度が複雑になるだけですね。意味がないです」

急がれる『年金制度改革』の課題
反町キャスター
「年金について様々な手が打たれる中で、安倍政権の緊急対策、低年金者対策、無年金者対策というのにはこういうのがあります。低年金者に対しては年金生活者支援給付金ということで、2015年度の補正予算で前倒し的に実施したと。対象者1人につき3万円の臨時給付金。これは選挙の時に、民進党の皆さんもかなり怒って、これに関しては指摘をされていたんですけれども。もう1つは無年金者対策。年金受給資格期間の短縮で、これはこれまで25年だったものを10年に短縮しましょうと」
田村議員
「これは消費税10%に引き上げた時に本来ならば、先ほど言いました福祉的給付金は、長妻さん、おっしゃられましたけれども、年金生活者支援給付金という制度で、月額5000円。40年入った方には上乗せ。つまり、1年で6万円と。ちょうど半年分ですから、消費税が引き上がって。3万円。その半年分上がるんですね。そういうようなことをやっていたけれど、実は消費税の引き上げを延長しちゃったと。景気の問題があって。そういうことがあったし、もう1つは、消費が5%から8%に上げた時に落ち込んじゃったんですよね。それで中身を見ると、高齢者の方々がかなり落ち込んでいると。なぜかと言うと、若い方々は賃金が上がり出したわけですよね。ところが、高齢者の方々は年金がかなりの老後生活が中心ですから、収入の。ここがちょうど年金のマクロ経済スライドと、先ほどから言っていますけれど、年金財政を維持するために物価が上がったほどは上がらないという制度が発動しちゃったということで可処分所得自体、高齢者の方々、終わっちゃったんです。それでここは経済、景気の問題もあるということで3万円、臨時的に給付させていただいたということでありますから、決して総選挙対策ではありませんし。結局、何とか良くしないと、これはなかなか日本の財政再建ができませんから。そういう意味で、打った手であるとご理解いただければいいと思います」
反町キャスター
「こういういろんな手を入れることが、そもそも年金の本来の政策的な理念を歪めることになるのではないか?税を入れることについて、どう思いますか?」
田村議員
「これは年金の安定性ということを考えた場合、一定の税を入れるということは致し方がないと思います。ですから、消費税、5%から引き上げた時にも、実は、3.2兆円は基礎年金の国の負担を3分の1から2分の1に引き上げるのに入れているんですね。そうやって、とにかく老後不安だと、年金が破綻するかもわらない、と思っている方々もおられますから。そこは一定の税を入れながら年金の安定性というものを維持したということでありますが、ただ、低所得の高齢者の方々、低年金の方。それらも含め、全て年金でカバーしようかというと、それはなかなか難しい話だというのはその通りであります。長妻先生のお話をお聞きしていて私はだいぶ進歩されたなと、と思うのは、最低保障年金などといって、老後の生活をある程度のところは保障しようということを言われていたんですけれど、さすがにそれは難しいだろうということをご理解される中で、それと福祉的な政策とは別よねという話がありました。私も考え方として同じだなと思ったのは所得を全部、所得だけではなく、貯蓄も全部さらけ出して、貯蓄が一定程度以下でないと生活保護がもらえないとなりますと、そこまで全部これまでの蓄えを使ってしまうんですよね。そうすると、完全に生活設計が崩壊したあとでないと生活保護に入れないですよね。それまでに、何かのうまい手があればずっと自立して生活をしていただくことができますので、そこは何らかの知恵があればそういうものを考えていく余地はあると思うんです。それは生活保護ではなくて。ただし、こういう話になりますと、高齢者の話ですから、そちらの方にお金を使おうという話になるのですが、一方で我が国はこれから子供の貧困の問題もある。それから、そもそも教育の問題だって、高等教育は世界に比べて、日本はお金を全然使っていないですよね。そういうものにも使わなければいけない。つまり、子供にもお金は使わなければいけない。では、どうするのだというのが、今の国の財政の中で、そう簡単に、確かに高齢者の方々の問題も大変だけれども、そもそも子供達がある程度、暮らしやすい社会と言いますか、親御さん達がしっかりと子育てできる社会でないと子供も増えませんから。年金制度自体、少子化になってくると、だんだん持続可能性が厳しくなってきますから。そういうところにお金を使っていかなければならないので、いろんな知恵は出てくるんですけれど、それに対する財源の裏づけと言いますか、それがなかなか立たないというのが、政府の1番頭の痛いところだということですね」
長妻議員
「最低保障年金を難しいと言っちゃダメよ。結局、かえって高くつくというのがあるんですよ。たぶん、田村さんの話も」
反町キャスター
「それは生活保護の方が、という意味ですね?国家財政から見た時に」
長妻議員
「そう。結局最終的に最低保障年金。こういう考え方に近づけていかなければいけないと思うのは」
反町キャスター
「民進党さんは、民主党さんの時にやられている最低保障年金は全額税方式だったですよね?」
長妻議員
「あれは税方式ですが、年金の高い方にはドンドン減らしていくという形で全員ではないですけれども。ですが、かえって高くつく論というのもきちんとデータに基づいて議論をしなければいけないのは年金を今のまま放ったらかしにしておいたらいいのかというと、財政的にはいいです。100年安心でしょうから。年金制度は安心だと。ただ、その年金が目減りをしていって生活できない。綻びもある。そうした時に生活保護費がどんどん増えて、今4兆円ですからね。半分が高齢者だと。そうした時にいったいそこの費用が増えて、医療も全部タダになりますから。そういう意味ではかえって高くつくと。こういうこともよくよく考えて、年金の綻びを税で正すということも、不公平はなしに、真剣に考えていかないと」
反町キャスター
「長妻さんの指摘にあった、生活保護に流れていくことと、年金をいろいろな形で維持することによってそこでがんばってもらうという、どちらが高くつくのかという、ここの部分は?」
井堀名誉教授
「それは、生活保護の方が高くつきますよ、当然。全部面倒を見なければいけないし。おっしゃられたように医療費もタダですからね。ただ、生活保護にならないように、かつ公的年金に頼り過ぎないようにするには、自助努力が必要ですよ。今の高齢者の方にそれを求めるのは無理だけれども、これから年金制度に入ってくる、あるいは若い人達に関してはある程度、自助努力で、自分の老後の設計をきちんと出しておくと。そうすれば、高齢になった時にある程度、資産があるわけですから。そうすると、あまり社会保障に頼らなくても、年金に頼らなくても、他の生活保護に頼らなくてもある程度、全部やれば、うまくいくような平均的な人を。そういう人をなるべく多くつくっておけば、年金が少し足りなくても、年金はこれから減ってくるのはしょうがないと思うんです。公的年金の給付は。だけど、生活保護に流れていく人達の数を減らすことはできるんですよ。だから、公的年金がダメだから、生活保護に行くというのはしょうがないですよね、今の制度だと。だけど、なるべく流れを若い人からは少なくするような、長期的な政策が必要だと思うんですね」
反町キャスター
「長期的な政策というのは、いわゆる先ほど言われた、厚生年金の加入者の枠を少しずつ増やすとか、そういうことも、そのうちの1つになってくるのですか?」
井堀名誉教授
「厚生年金自体も、実は100年安心の年金の中で、厚生年金も実は危ないんですよね。当然、若い人の数は、厚生年金を払う若い世代は減っていますから。厚生年金を引退した高齢者の方も増えていますから。厚生年金も厚労省の試算のように、必ずしも100年間うまくまわっていくとは思えなくて。厚生年金自体危ないですよ。どちらにしても今の制度だと、50年先は年金給付を大幅に下げるか、あるいは保険料を上げるしかないので、どちらも非常に難しいわけですから、その時に何とか自助努力を予め若い人からやっていくという」
反町キャスター
「今日、年金の話ですけれども、年金ではなくて、自助努力を若い人達に求めていかなくてはダメだと、こういう話になってしまうのですか?結論的に」
井堀名誉教授
「若い人に関してはね」

現役世代『年金離れ』の真相
秋元キャスター
「ここから制度を支える側、現役世代側についてです。国民年金の対象となる第1号について、このような調査データがあります。この調査は2014年から2015年の2年間に、国民年金保険料をきちんと払っていたかを厚労省が調べたものです。対象になった第1号被保険者は、およそ1595万人ですけれども、2年間完納していた、全て納めていた人は585万人に留まっているんです。一部納付し、納付できない理由を申請して全額免除になった人とか、さらに学生や若者向けの特例措置を受けた人などを合わせると642万人です。この方々は支払わらなかった期間分を追納しなければ、老後にもらえる年金が減額されます。要注意なのが、この2年間の調査期間に368万人いた未納の人ですね。このまま継続していけば無年金になる可能性があるので。その内訳を見ますと自営業以外に、無職、パート・アルバイトなどで働いている人も多いようです。常用雇用というのには契約社員ですとか、派遣社員が含まれているということですけれど、田村さん、これらの現役世代、払いたくても払えないような収入なのか。それともお金はあるんだけれども、敢えて払わないのか。実情、どう見ていますか?」
田村議員
「まず本来、所得がなかった場合には、免除の方に来ていただくということを、我々やっていかなければならんと思いますね。そうすると、少なくとも基礎年金の2分の1分はもらえるわけでありますから。でも、そうではない方々、この中におられるとすれば、たとえば、パート・アルバイト、それから、常用雇用。こういう方々に関して、特に常用雇用に関しては、本来は厚生年金に入っていただかなければならんので、そういう意味では、先ほど、長妻さん、おっしゃられましたけれど、そういう方々はどうするのだということで、財務省の、国税の情報というものを、我々もらいまして、それで国税の情報と厚生年金の適用事業所の情報をぶつけたんですよ。そうしたら79万事業所ぐらいが合っていないですよね。所得税を払っているのに、従業員のを預かってね。なのに、厚生年金の方を払っていないというのがありましたから。随時、調べていまして、かなり進んできています。3年でだいたい全て終わると思います。そうなってくると払っていない方がわかりますから。入れてくださいよというような指導をしていくと。こういうことをやっていきますから。ただ、どんだけやったって、また新しい企業や、1回入れても、悪い企業はすぐに抜いちゃうわけでしょう。だって、その方が企業は、企業の、要するに、保険料は助かるわけですから。だから、4年に1回、全企業をまわって、入っていなかったら、また入ってくださいというのをやっていますから。こうやってきめ細かくやっていくしかないです」
長妻議員
「自営業のための国民年金第1号なのに、自営業の方の未納は2割しかないと。非常に少ないと。むしろパート・アルバイトとか、常用雇用、この方々の未納が多いと。常用雇用、パート・アルバイトの方は会社で働いているわけですね。両方足すと46%ですか。半分近くがもし会社で働いていれば原則、厚生年金に入れるということを実現すれば、給料天引きですから、即座に未納なくなります、ここは。ですから、先進国の中で日本にちょっと良くない発想があるのは、非正規雇用だと事業主負担を払わないでいいから、非正規雇用を雇おうかなと。こう考える経営者もいるかもしれませんけれども、啓蒙、大変だと思いますけれども、人を雇う時には社会保障の事業主負担というのは、これはついてまわる基本的なものだという他の先進国と同じようにそういう発想を持っていただいて、違法状態はもちろん、いけませんし、さらに合法で基礎年金、合法で厚生年金に入れないでいいというグループもありますので、非正規雇用の中で時間が短い方は。そういう方々もできる限り会社で働いていれば、厚生年金に入っていただくような。中小企業は厳しいですから、それに対応する対策も打ちながら、早急に実現しなければいけないと」
反町キャスター
「要するに、国民年金というのは、自営業者の人達。サラリーマンは、プラス厚生年金保険みたいなね。そういう大きな2つの分け方、働き方はこの2つだよというものの間に、パート・アルバイト、契約も含め、非正規のものというのが入ってきて、それがどこにも入らずにいろんなところに散在して、その人達が未納になったり、減額されたりとか、こういう現象ですよね。つまり、日本の新たな現状、労働市場の環境に年金制度が対応していないという言い方はあるのですか?」
井堀名誉教授
「それはそうです。自営業者の人達はずっと自営業者で、サラリーマンの人は、基本的に終身雇用。サラリーマンというのが多くて、それが専業主婦でもそうですけど。その制度を前提にしたから1号、2号、3号ができたわけですね。ところが、おっしゃったように、労働市場が流動化して、サラリーマンの場合でも、正規ではない人がいっぱい増えているし、あるいはサラリーマンの人が脱サラして自営業やる場合もあるし、逆の場合もあるし、いろんな形態がありますよね。それから、専業(主婦)の方も、離婚ですとか、いろんな形で家族形態も変わりますから。そういう意味では、その人がどの職業に就いているかということで一生、同じ職業に就いているだろうということで年金制度をつくるということ自体が、非常にある意味で、混乱を招いているか。そこから外れている人から見ると非常にやりにくくなってきているんですね」

孫子の代まで持つ制度は? 年金の将来ビジョンを問う
秋元キャスター
「ここからは今後の年金改革について、方向性ですとか、議論の焦点を聞いていきますけれども、日本の年金制度を考えるうえで、制度の枠組みに関する2つの主要なタイプを見ていきます。まず賦課方式と言われる制度で日本の年金も基本的にはこちらになります。現役世代は前の世代の年金を支え、自分が引退したあとには、次の世代に支えられるという、この繰り返しで制度が維持される仕組みです。一方、積立方式です。シンガポールですとか、マレーシアで採用されている制度で、個人個人で積立資金を運用しまして引退後に運用益を含めた形で受け取るという仕組みです。井堀さん、日本の年金、持続可能にするためには、具体的にどういう改革案を持っているのでしょうか?」
井堀名誉教授
「賦課方式か積立方式かというのは、制度が全然違いますので、どちらでやるのかというのは非常に重要なわけですね。しかも、日本の場合、既に賦課方式で運用されて、かなり年金が成熟していますから、これから積立方式に変えるのは、非常に大変なので。1つは、要するに、賦課方式の制度は維持しながら、なるべく世代間で対立が先鋭化しないような。賦課方式で言いますと、若い世代はお金を払うわけですね。年をとった世代はお金をもらうのですけれども、少子高齢化になってしまいますと、どうしても賦課方式の場合ですと、若い世代の保険料を上げるか、高齢世代の給付を下げるか、どちらか、あるいは両方やらない限りはバランスしないわけですよ。要するに、少子高齢化で若い人の数が減って高齢者の数が増えて、しかも、高齢者の寿命も延びていますから。そうすると、若い人は保険料が上がるのは嫌だというし、高齢者の人はたくさんもらいたいという。世代間で対立が非常に先鋭化して、年金制度がうまく機能しなくなってしまいます。それをどうするかという時に、見える化して、要するに、若い世代も自分の親の、自分の高齢者の親がどのぐらい経済状態が貧しいのか。逆に高齢者の人も自分の子供世代、あるいは孫が、どのぐらい経済的に大変なのか、裕福なのかがわかりますから、ミクロの環境で。そうすると、賦課方式でも、政府を通して保険料を払う人が保険料は自分の親だけにいくと。その個人換算。要するに、サラリーマンの保険料はサラリーマンにですね。高齢者、自分の親だけにいくという形にすると、親は給付をもらうんですけれど、自分の子供からきますから、どうしても子供が大変だったら、あまりもらい過ぎるのは困ると思って、子供の方に還すわけです。逆に子供があまりにも親が大変だと思ったら、保険料をたくさん上げても自分の親にいくわけですから、それは非常に良いと。だから、親子間ですと世代間の…」
反町キャスター
「それは家族単位の年金制度という意味で言っています?」
井堀名誉教授
「個人単位。要するに、家族単位という意味で」
反町キャスター
「と言うことは子供が多いがたくさんいた方が有利?」
井堀名誉教授
「そういうことです。そういう年金年度ですね。だから、たとえば、子供がたくさんいますよね。保険料をとるわけです。全部、自分の親だけにそれがいくわけで。そうすると、子供がたくさんいて、ちゃんと、しかも、収入がたくさんあれば、親の年金給付は増えると。逆に子供は少なくて、子供があまり稼いでいないと、親の年金給付も減るという、こういう制度だと。要するに、親と子の関係だとミクロで見える化しますから。それぞれの親子の人があまりとげとげしくならない、要するに、年金というのは世代間の再分配なので、世代間の再分配というのは政府を通して賦課方式でやる場合もあるのですが、同時に親子間の贈与とか、遺産という、あるいは教育投資とか、いろいろな形で民間でも世代間の再分配をやっているわけです。だから、民間の世代間の再分配と公的な世代間の再分配を、両方セットにして考えて、親世代と子世代、あるいは世代間の助け合いをうまくやる、そのひとつの手段として公的年金を活用しましょうと。こうすると、少子化対策にもなりますよね。子供がたくさんいないと年金が増えない」
田村議員
「子供がいないともらえないと」
井堀名誉教授
「そうですね。子供のいない方というのは、子供を育てるのに、そんなにお金がかかっていないから、その分ちゃんと自分の老後の資金は自分で運用をしなくてはいけないという」
田村議員
「強制的にやらないといけませんよね。そういうところを自由に任せたら、使っちゃうかもしれないですものね」
長妻議員
「年金のない時代はまさに同じですよね。年金のない時代は、昔、子供が親に仕送りして支えていたと。だから、年金というのは扶養の社会化と。つまり、親を支えるのは個人の家庭だけでは潰れてしまうので、皆で、保険方式で支えていきましょうということなので、相当、お子さんがつくりたいけれども、できないご家庭もいらっしゃるわけで。そういうところが、年金がないとなると、相当モラルハザードというか、社会が混乱しますよね」

『年金改革』議論の焦点
秋元キャスター
「安定した制度にするために急がれる論点は何がありますか?」
田村議員
「1つは、厚生年金の適用拡大、要は、厚生年金は本来企業で働いておられますから、厚生年金ですけれども、それが現在の基準から外れていて、厚生年金の適用者ではないという方をどれだけお救いしていくか。現在の制度でできないならば、新しい制度も必要かもわかりません。もう1つは、国民年金の水準が下がってきますからマクロ経済スライドが勝っていって、もちろん、老後の生活の全てではないので、生活設計の中での大きな柱であることは間違いありませんから、金額の水準というものが本当に適当か、どうなのか。適当でないとすれば、どういうような助け方があるのかというのを含め、これから大きな課題になってくる可能性があると思います」
長妻議員
「田村さんがおっしゃったことが第1段階として重要だと思うんです。我々が少し不満なのは安倍内閣になって年金の制度の話というのが一切なくなってしまっているので、これは与野党でテーブルをつくっていただいて、政府も関係者も入った、協議会を再開する必要があるのと。税も含めて、一体改革の第2弾みたいなものをちゃんとやらないと、年金制度を議論する。ここでも議論がありましたが、保険方式だけで年金をこれからも進めていくとどこかで税金を絡めていって厚くしていかないと生活保護が増えてしまうと。ですから、最低保障機能をキチッと議論をし、これは財源が必要ですから、消費税10%に上げたあと、どう財源を考えるか、正直に国民の皆さんに説明をして、ある時期に選択していただくということも必要だと思うんですね。国民の理解をいただいたうえで、税金を投入して、最低保障機能を確保していくと。そうしないと、今後年金が不安だと、保険料を払う方がドンドン減ってしまう。私が1番気になるのは、地元で会合をやると、時々、若い方が手を挙げ、自分は非正規だから国民年金だと、1万6000円は大変だからちょっと払えないから、払わないで、老後に本当に苦しくなったら生活保護を受けると。こういう生き方は良いでしょうか、悪いでしょうかとおっしゃる若い方がおられるんですよ。こういう考え方が広がっていくと最悪は生活保護みたいな話になって、生活保護が膨れ上がると、今度は生活保護を受けさせないため財源が大変だから入口で規制するようなことになって社会が混乱すると、こういうことになりかねないので、あるところで財源を国民の皆さんに正直にお示しして、年金の税金による下支え、これも議論する必要があると思います」
田村議員
「年金というのは、そもそも保険ですから、そこにドンドン税金をつぎ込んでいくとそもそも年金という保険制度ではなくなってしまうんです。果たして年金でやるのか、他の公的扶助のような形でやるのかをよく考えないといけません。このへんのところも含めて、いろいろな議論をさせていただければありがたいと思いますね、与野党で」

田村憲久 前厚生労働大臣の提言:『経済成長と少子化対策』
田村議員
「デフレが続くと今の年金制度は破綻してしまいます。国の税金も上がってこないのでなかなか厳しい。一方で、少子化というのが年金の持続可能性、賦課方式ですから、しっかりと少子化対策もやって、一定のお子さんの数も確保しながら、年金を持続可能で安定的なものにしていくという意味で、これを提言させていただきました」

長妻昭 元厚生労働大臣の提言:『保険と福祉のベストミックス』
長妻議員
「根本対策は、分厚い中間層を復活させるということなのですが、年金だけで言うと、保険と福祉、これをベストミックスさせる。保険というのは保険料、福祉というのは税金、これを不公平がないように、国民の皆さんから批判が出ないように適切な形で年金(制度)にテコ入れをしていく。これを与野党で考えていくということが、これから重要になってくると思います」

井堀利宏 東京大学名誉教授の提言:『公的年金の役割を明確化させる』
井堀名誉教授
「年金に社会保障のかなりの部分を背負い込みし過ぎていると思います。年金は基本的に長寿のリスクをシェアするという方式に純化して、老後の生活の主要な財源ではないということを政府が国民にはっきりさせて、若い人から401kのような自分で自分の老後を準備するようなものを充実させていくと。公的年金はスリム化し、賦課方式はスリム化していくしかないと思うんですね。賦課方式からスリム化していって、徐々に若い人から自分達の老後の面倒は(自分で)きちんと見るような、そういう制度を。現在401kが普及する段階にきていますから、積極的に進めていって、事実上若い人から積み立て方式に徐々に移行できるようにする。老後のリスクのためのスリム化した公的年金をうまく組み合わせるということですね」