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2016年9月15日(木)
朝鮮半島『非常事態』 ▽ 慰安婦問題と10億円

ゲスト

小野寺五典
自由民主党政務調査会長代理 元防衛大臣 衆議院議員
古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員
金慶珠
東海大学教養学部国際関係学科教授

電撃訪朝の議員が語る 北朝鮮核実験の思惑
秋元キャスター
「先週、アントニオ猪木参議院議員が北朝鮮を訪問しまして、北朝鮮の外交責任者であります李洙墉朝鮮労働党中央委員会副委員長らと会談した時の様子です。この猪木議員の奥に座っているのが、日本維新の会の松浪健太衆院議員ですけれど、番組では、今日午後、インタビューをしました。松浪議員が話された北朝鮮の核開発について、北朝鮮からは
「核は、先制使用はしないが、米韓が軍事演習するのであれば対応せざるを得ない」
という話があったと。松浪さんの印象、分析として北朝鮮にとって『核保有そのものが宗教の一種』で『核開発は国家統一の一番の求心力』ではないのかという話がありました。まずは小野寺さん、この北朝鮮の核実験に対する、この説明をどう見ていますか?」
小野寺議員
「今回、そういう意図で行ったわけではないとは思いますが、今年になって、2回、核実験を行う。国連も類似の様々な制裁や発言を国連として出している。そういう国が、今、北朝鮮が困っているのは世界からこうやって孤立化しているんだと。皆で締め付けているのですが、むしろ北朝鮮としては、それでもいろんな人が来てくれているのだよという、そういう変な宣伝に使われていけないなと思うので、そこは松浪さん、猪木さんはよく存じ上げて、しっかり言うべきことは言ってきたと思うのですが、相手から、そういう悪宣伝に使われるような材料は気をつけた方がいいなと、私どもは思っています」
反町キャスター
「核の先制使用はしないという北側の言い分。これをどう見ますか?」
小野寺議員
「それはどの国も、核の先制使用というのは通常、するとは言いませんので、ですから、これはお決まりの文句と考えていいと思います」
反町キャスター
「古森さんはいかがですか?松浪さんの印象、核保有そのものが宗教の一種のような印象を受けた、という松浪さんのこの話」
古森氏
「だから、この問題の全体像の断片を、非常にうまく描いた表現だと思うけれど、ただ、宗教という言葉を使うと、宗教はナイフで人を刺すというようなこととは違うではないですか。何かスピリチャルなことですよね。それを核兵器の保有に当てはめて、全体がボケて、信じ込んで、お祈りしているようなことの中に核兵器の保有ということもあるみたいな。だから、これも意味論というか、言葉の機能とか、意味ということに関して、セマンティックというのがあるけれども、気をつけなければいけない言葉の使い方で核武装が宗教だということを言うと、本質論がボケちゃうと思う」
反町キャスター
「韓国の側からすると、先制使用をしないという北の発言。いろいろなところから今回、松浪さんだけではなくて、いろんなところで、核の先制使用はしないと北は言いますよね。これは、韓国の皆さんは、ああ、そうか、そんな感じ?」
金教授
「真に受ける人は誰もいないでしょう。真に受ける人、誰もいないでしょうし、今回の訪朝団も日本以外ではほとんど取り上げられないニュースです。今回の訪朝団が結構なトップクラスの人に1時間半以上会っているというのは、彼らが帰ってきてから、日本国内に向けてのいろんな、こういう宗教とか、求心力を高めるためとか、先制攻撃しませんとか、そういう言葉を日本国内に広めるためであって、これは国際社会、特に韓国は厳しい姿勢で臨んでいますので、真に受ける人はたぶん日本国内ですらないのではないでしょうか」
反町キャスター
「団長である猪木さん、昨日、参議院の外交防衛委員会で、こういう話をされています。北朝鮮の核、アメリカに対して向けてある。ただ、沖縄には在日米軍基地もあるし、標的の一部に入るとしたら、日本にもそれらが、在日米軍基地は沖縄だけではなくて、横須賀にも、他のところにもいっぱいあります。そうした標的の一部に入るとしたら、日本に向けられる可能性もあるかもしれない。こういう話を猪木さんがされているんですけれども、先制使用はしないと言っていた北朝鮮。一方、北朝鮮の核の可能性について平壌から帰ってきた猪木さんは、こういうことを言っているんですけれども、北の日本というか、在日米軍基地、ないしは日本の何らかの中枢に対する核攻撃の可能性、かなり飛躍の部分もあるんですけれども、我々は現状、どのようにリスクを見たらいいのですか?」
小野寺議員
「まず私どもは日本の防衛というのは、日本は専守防衛ですから、盾の役割を持っている。アメリカは槍、ランサーですね。その役割を持っている。そういう役割を分けてやっているので、北朝鮮からもし何か来た時には、私どもはミサイル防衛システムで、それを止める。だけれども、ドンドン来たら堪らないので、これはアメリカが逆に言えば、槍の役割で北朝鮮の策源地を反撃するという、そういうことになると思うのですが、その時、どこから槍が飛んでいくかということです。槍が飛んでいくのは、たとえば、今回のB1Bであれば、グアムをたぶん起点として行くのだと思うのですが、少なくとも日本国内でも、たとえば、嘉手納というのはアジアの中では、最大級の米軍の基地がありますし、それから、横須賀というのは様々なイージス艦の母港にもなっていますし、原子力空母も、そこが母港になる。そうすると、日本国内にも様々な槍の場所があるわけです。それを、もし北朝鮮の方から見た時には、日本を攻撃しても、それは日本自体が北朝鮮を攻撃するということはないと彼らもわかっていると思うのですが、日本国内にある様々な槍。米軍の基地から当然、様々なものが飛んできて、それは北朝鮮の直接、脅威になると彼らが考えるとすれば、当然どこを戦略的に攻撃していくかということは向こうも死活問題になりますから、相当シビアに考えて、何らかの行動を行ってくるということは、決してない話ではないと思う」

制裁包囲網と核実験
秋元キャスター
「国際社会の動きを北朝鮮はどう見ているのか?松浪さん、このような印象を話しました。『中国も北朝鮮がなくなれば困るだろうと核を持つまではチキンレースをやめるつもりはないのではないか。制裁の実効性を持つのは、中国とロシアだけという状況が問題を難しくしているのではないか』。小野寺さん、これまでの北朝鮮に対する制裁の効果、どう見ていますか?」
小野寺議員
「実は国連で、かなり強い制裁を決議したのですが、実態としては北朝鮮の経済がそれで大きく、厳しい状況になっているという印象はありません。実はあの決議の中には、民生目的とか、人道的だとか、そういう抜け道があるので、それを取っていくと、たとえば、航空燃料だって、あるいは様々な通常の燃油だって、食料だって、全て民政目的と言えば流通してしまうということで、中国からの、たとえば、物流が急に止まったとか、それで北朝鮮が制裁で非常に困ったとか、そういうことがおそらくないのだと思います。特に中国が実態として、どれだけこの国連制裁の中で、しっかり北朝鮮に対して影響力を行使しているのかというのは甚だ疑問があると思います」
反町キャスター
「古森さん、いかがですか?制裁は、北朝鮮に効いているのですか?」
古森氏
「一般の国民と、労働党、人民軍のエリートの中枢、金正恩体制に直結している部分とを分けて、国際社会、アメリカが主導して先頭になってやっている制裁というのはエリート部分に対しての資金。これまでこの番組で何回か申し上げた記憶があるけれども、2005年に当時のブッシュ政権が実施したバンコ・デルタ・アジアという、これは北朝鮮労働党の何とか室という直結の金体制の軍資金を押さえた。この時やった特徴というのは、いわゆるセカンダリーボイコットと言って、北朝鮮の金融機関に対して押さえるのではなくて、北朝鮮とか、金融機関とか、商社とか、商社という言い方もおかしいけれど、企業と取引をした中国とか、他の銀行、その他の。そこにもいきなり制裁を加えたと。アメリカの金融機関は一切そこと金のやり取りをしないという。それで、効いたというわけです。オバマ大統領がかなりやり始めているんだけれど、セカンダリーボイコットというところまでやっていないわけですよ。だから、共和党の下院の外交委員長をやっていたエド・ロイスという、小野寺さんもよくご存知だと思うけれども、それが、つい、昨日か一昨日、もっときつくしなければダメだということを言っているという」
反町キャスター
「アメリカはなぜ金融制裁を、効果があったことを知りながら、緩めたのですか?」
古森氏
「騙されたんですよ。だって、原子炉か何かを止めると言った。向こうが。結局、止めないで、一時、止めたんだけれども、ウランかプルトニウムか、どちらか1つの方を止めて、もう1つの方で実はやっていたという、これは完全に騙されたわけですよ。そのバンコ・デルタ・アジアの時は本当に北朝鮮が困って、とにかくやめてくれとずっときたというのがあって。だから、本当にこの経済制裁だけで、あの政権の行動パターンをコントロールできるかどうか。これは当然、疑問が残るけれども、まだまだできることというのはあるわけでね」
反町キャスター
「そうすると、ここに松浪さんの話でもあったように、中露で締めなくちゃいけないという話もある一方で、古森さんの感覚からすると、いや、アメリカ、ないしその他、いわゆる自由主義諸国の中でもやろうと思えば、ギュッとやろうと思えば、まだ方法はあるんだよと、こういう感じですか?」
古森氏
「ただ、致命的なとどめを刺すようなことは、中国が原油をドンドン出していて、これが全部止まったら、北朝鮮の体制というのはかなり麻痺するということで。その原油のところまでは行っていないわけですよ。だから、アメリカがなかなか中国を動かせないと。アメリカのオバマ政権は非常に温和だけれど、最近の国務省高官の言葉を聞いていると、中国に対して北朝鮮に向かってのインフルエンスを使ってくれと言ったんです。この間まで。影響をね。最近はブリッケンなんていう副長官は、インフルエンスではなくて、レベレージという言葉を使い始めた。テコですよ。中国は北朝鮮に対してレベレージを使って締めてくれというようなふうに。だから、かなり必死になってきている。ところが、悲しい、残念なことにオバマ政権というのはもう終わりなわけですよ。だから、その政権の狭間というのはどうしても一貫性がなくなるから。北朝鮮にとっては、今年に入ってドンドンやりたいことをやっているというのも当然、彼らが見ているオバマ政権の緩みというか、脇が緩くなっているということもある。ただ、最初のご質問だけど、経済制裁が効かないからやっても無駄だよという議論には、私はなかなか与することはできない」
金教授
「制裁をする目的はそもそも核を放棄させるほどの痛みを伴わせなければ、意味がないにも関わらず、実際そこまでの痛みはここ20年間、持ってはこなかったと。だから、これはこれで私は続けるべきだと思います、制裁は。しかしながら、それに加え、新たな何らかの方法、アメリカの対北朝鮮政策、あるいは米中の関係というのも含め、より具体的なその段階も、周辺国も入りつつあると思います」

核実験と軍事的緊張
秋元キャスター
「松浪議員はアメリカの大統領がトランプ氏でもヒラリー氏でも大きな違いはないというのが北朝鮮の統一した意見なのではないか。この松浪さんの印象、分析、どう見ていますか?」
小野寺議員
「これは北朝鮮からしたら、誰が大統領になろうと北朝鮮と仲良くすることはないということなのではないかと私は思っています。ある面では、少し強気の発言を、敢えて日本の政治家に向こうの首脳レベルの方がされたのではないかなという、その程度のことだと思います」
反町キャスター
「古森さん、アメリカの北に対する姿勢をどう見ていますか?」
古森氏
「だから、超党派でここの部分は強固に対応していくぞと、これ以上のことは絶対に許容しないぞと。そのコンセンサス的なものというのは戦略思考としてあるわけですよ。ただ、今のヒラリー・クリントン氏、ドナルド・トランプ氏の、2人の候補の違いを見た場合、ヒラリーさんの方は民主党政権で、民主党政権は歴代、オルブライトさんという女性の国務長官がいて、平壌に行って、金正日などと一緒にダンスやったりとか、音楽を聞いたとか、そういうちょっと融和的なところが伝統的にあるわけです。オバマさんにも力を使いたくない、衝突は避けたいという、そういう流れがあって、そこのところは北朝鮮からすれば、つけこみやすいと。だけど、ヒラリーさんもそういうことを見ていて、世の中のアメリカの世論というのは、強く北朝鮮に対して反発していますから。だから、それを反映して強くなってきていると。一方、ドナルド・トランプ氏の方も非常にちょっと単純すぎるような的なところがあるから、孤立主義とか、何とか言うけれど、アメリカに挑戦してくる、敵対性のある国家とか、テロ集団に対しては徹底して戦うところがあって、そう言いながらも、つい最近、俺が大統領になったら、金正恩氏と直接会うとちらっと言っちゃったわけですよ。そうしたら、サポーターにめちゃくちゃに袋叩きにされて、それはおかしいぞと言われた。ほんの数日前に面白い動きがあったのだけれども、トランプ陣営にCIA(中央情報局)の長官だったジェームズ・ウールジーという人が入ったんですよ。1992年、1993年頃のビル・クリントン政権時のCIA長官で、民主党なんだけれども、すごい強硬派ですよ。この人は1994年ぐらいの頃から北朝鮮に対する核武装をやめさせるためのサージカルストライキというか、拠点爆撃を主張していて、最近も主張しているんですよ。これがトランプ陣営の国家安全保障担当のアドバイザーとして入ったんですよ。まだ、日本の新聞にはあまり出ていないけれども」
反町キャスター
「そうすると、トランプさんでもヒラリーさんでも大きな違いはないという、北の見方、これはもしかしたらちょっと甘い?」
古森氏
「あまりきめ細かく見ていないのではないですか?」
金教授
「もちろん、政治を見る時にそういう人事というか、人の部分から入っていくのも大変面白いんですけれども、もう少し、北朝鮮が言っているのは、なるほどと思うのは、構図的に結局、民主党であれ、共和党であれ、対中国牽制という、この構図が続いていくであろうと。対中国を牽制する限り、アメリカが北朝鮮と会話をするとか、そこらへんが今の段階は見込めないよということを、彼らは敢えて宣言していると思うんですね。事実上、先ほど、韓国に安保法案があって、アメリカB1Bを飛ばしたのではないかという最大の理由は、北朝鮮の核実験というのもあるけれども、アメリカが、特に2012年以降、いわゆる戦略的忍耐という名のもとで、北朝鮮と会話をまったくしていないですね。その間、ずっと国連を舞台に、という制裁だけをやってきたと。今後、どういうふうになるのか。もちろん、トランプさんになれば、彼はうっかりというか、公に自分は金正恩氏と会うと。会わない理由はないみたいなことを何度も言っているので、それはちょっと置いておいて、ヒラリーさんになるにせよ、誰になるにせよ、新しい政権ができる、発足するのは、来年の1月ですよね、選挙を11月にやっても。そうすると、そこから、だいたい半年ぐらい、外交政策の優先順位とか、いろいろ決めて、そこからあたっていくわけですから。少なくとも、来年の中頃まではアメリカは今のようにずっと国連の中で煮え切らないけれども、制裁を繰り返すという、このようなことをやる」
反町キャスター
「その見立ては、古森さんどうですか?半年間の猶予が北に残っているかどうかです」
古森氏
「それは、それがアメリカ側も半年は何もしないというようなことは、そういうシステムではないですよ。出てきたものに対しては、対応しなければいけない。だから、ブッシュ政権は青島で不時着陸があって、むしろ政権の最初の頃に激動というのは起きるし、大きな政策をとる場合がある」
小野寺議員
「私どもが繰り返し、アメリカのどの方が大統領になっても伝えなければいけないのは、何度も北朝鮮の融和政策で私ども騙されているではないですか。ある時に、核の問題で、北朝鮮がじゃあ、これを引っ込めましょうというと、皆で経済支援や原子力発電に関するいろんな支援をしましたよね。その後、今度、金融で様々な制裁をしたあとに、また手を緩めると、金融制裁を緩めて、北朝鮮がまた水面下で、着々と核開発をしいく。こういうことが続いている限り、北朝鮮は信頼できない国ですので、政権変わって、アメリカのトップがこのことの歴史を忘れてしまうと、また、向こうから融和的な話が出ると、では、ちょっと会って話そうかという。必ずそういう硬軟を使い分けてきますので、私達もずっと北朝鮮を見ている、この経験は新しい大統領になっても、日本側としてしっかりと伝えないと、必ず向こうは騙してくる。それを繰り返し言っておかないと危なくて仕方がないと思います」

慰安婦問題と日韓関係 『少女像』と『10億円』
秋元キャスター
「日韓の連携、最大の障壁となっているのが、いわゆる従軍慰安婦問題ですけれども、昨年12月、日本政府が元慰安婦を支援するため、韓国政府が設立する財団に10億円を拠出することを前提に慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認しました。慰安婦少女像については、韓国政府が関連団体との協議を通じて解決に努力をするということで日韓が合意をしたわけですけれども、日本政府が拠出する10億円についてですが、全ての元慰安婦の名誉と尊厳の回復、心の傷と癒しのための事業に使われる、とされたのですけれども、実際には元慰安婦には1000万円。その遺族にはおよそ200万円が現金で渡されるということになりました。古森さん、現金で直接、渡されることによって、実質的な賠償金というふうに受け止められてしまう可能性、そのリスク。どのように見ていますか?」
古森氏
「日本政府、あるいは日本の国民もこれは賠償金ではないということははっきりコンセンサスがあって、そう思っているわけで。なぜ賠償金ではないのかということを説明する方法、いくらでもあるわけですよね。だけど、それを韓国側に理解をして受け入れてもらうということは、不可能なわけで。韓国側にもいろんな意見があるでしょうけれども、全体としては賠償金として受け取った方がいいという人達が多いと思うから。当事者や、問題の核心部に近いと思われる人達ほど、そういう賠償金にしたいということで。だから、そこのところは意見は違うんでね。英語で、let's agree to disagreeというのがあるではないですか。それでそのままでいいと思うんですよ。ただ、日本としてはやるべきことはちゃんとやっていると。しかも、私は日本が国民の血税で、お金を10億円も出すんであれば、外相が約束した、慰安婦像、少女像、間違いなく慰安婦を型どる像だけれど、それを韓国の国内法でも批判しているし、国際、ウィーン条約の、外交公館の威厳の侵害ということの国際合意にも違反をしているという、法の支配からすれば、韓国は法の支配があるのという疑問が起きるぐらいの、めちゃくちゃなことをやり続けていると。それをやめますよと、やめることを努力するというような言い方、いろんな言い方があるのでしょうけれど、とにかくお金を出せば、そうするのだよと、約束したと普通の人は思うわけだから、それをやらないということで、それは韓国の中の問題であって、挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)という市民団体、人道主義団体と言っているけれども、実際には非常に政治団体、政治活動団体としての性格が強い組織が国内の政治を攪乱させるために慰安婦問題を利用しているという側面が非常に強いわけですから。そこまで我々、日本側が入っていって手を出したり、覗き込んだりする必要はないわけで、勝手にそこの部分をやってくださいと。だけど、我々は、国と国の関係は約束をして、もうこれで終わりだと言ったではないですかということで、それで終わりにしなかったら、あなた達は約束を守っていませんねということで、道義的に高い立場に立って、もうちょっと大人の、成熟した民主主義を発揮してくださいと。法の統治をちゃんと守ってくださいということを言い続ければいいと。そんな考え方ですね」
金教授
「私はまさに今のように本質がドンドンすり替えられていく、この認識の中で、現実的に移転が可能かというと、それは非常に難しいと思います」
古森氏
「本質とは何ですか?」
金教授
「たとえば、おっしゃるように、では、10億円出したから移転をするんでしょうと、そういう話なのですか。10億円を出したから移転するという話ではそもそもない」
古森氏
「いや、そんな言い方はしていませんよ。あなたがパラフレーズして勝手に言っているだけで」
金教授
「いや、正確におっしゃいましたので、私があえて引用をしたんですけれども、合意の内容を見ると尊厳と名誉の回復と。そのために、日韓の政府がきちんと事業をやる。これが全て履行されたことを前提に、最終的かつ不可逆的であると。それとは別に日本政府の大使館を巡る、その安寧の懸念は十分に認知していると。だから、韓国が市民団体と交渉するなどして努力をすると。韓国政府としては、それは本気で努力するつもりもあったと思います」
反町キャスター
「過去形?」
金教授
「あったし、現在もあると。問題は何のための移転かというと、これをもって、本当に韓国の中の反対世論も収まり、日韓関係が正常化し、なおかつ今後必要な協力関係を築いていくためのものでなければ、移転を敢えて強行することによって、それでお互い、日韓関係がむしろ悪くなってしまえば、意味がないわけですね」
古森氏
「それはまったく屁理屈の屁理屈でね。日韓外相会議の中でそれは全然言っていない。もっと長期のことを、こうこうこういう存在しない目標を設定してね」
金教授
「言っていないのではなくて、合意をきちんと読んでください」
古森氏
「読んでいますよ、そのぐらいは」
金教授
「こちらがお金を出したのだから、あとは勝手でしょ。勝手にそちらのお手並み拝見で、約束をちゃんと守るのか見てみましょうというような形で、もちろん、古森先生は一個人ですから、そういうことをおっしゃるのは自由ですけれど、そういう目線で見た時、これが移されるかどうか見ているのではないと思うんですね。私は移転されるべきであると思います。ただ、それが今すぐなのか。今のような形で、では、10億円貰ったから、移転しますという形なのかというと、それは現実的ではない。日韓がもう少し協力をするべきだと思います」
反町キャスター
「金さん、でも、古森さんがこう言いながらも、たとえば、韓国の人に対して、10億円を出したのだから、移転しろよなんて、誰も言わないわけですよ。古森さんが言われたのは、僕が理解をしている限りにおいては、日本側の腹の中の落とし方の話でもあるわけですよ。要するに、出したのだから、やれよということになったら、やるか、やらないかは、そのレベルでは泥仕合になるから、そういうレベルの喧嘩はもうやめましょうと。高い所からというのは、その意味で、そちらのところを信じますよと、そういう話ですよ」
金教授
「反町さん、そうおっしゃいますけれど、いや、10億円を出したのだから、移転しろという話は、耳にタコができるぐらい聞いています。ただ、古森先生がおっしゃったように結局、賠償金の話において、日本は日本で賠償金ではないと。韓国は韓国で事実上の賠償金であるという、このお互いの都合の良い解釈というのは、これはある意味、最初から想定内。そうお互い解釈しましょうということで合意をしているので、そこは、私は古森さんとまったく意見は同じですね。これはこれで良いだろうと。それを事実上の賠償金ですよと言って配っているところまで首を突っ込んで、どうこう言う話ではないと。これは韓国なりの努力だと思います。この方も、最初、賠償金とはみなし難いということを言ったので、韓国の関係者が皆、めちゃくちゃ驚いて、外交部がすぐに、それは言い過ぎだというような釈明をしたんです。彼女自らが事実上の賠償金の性格だと。日本政府も責任を痛感したと発言をしたということで皆を説得しているので、それはそれで全ての支払いというのが滞りなく進むことを私は願います」
反町キャスター
「小野寺さん、どう見ていますか?」
小野寺議員
「日本政府として、日本国民から、こうして基金を拠出したわけですが、その目的というのは慰安婦の方々の名誉と、それから、尊厳の回復。心の傷の癒しということが基本ですから、その目的に使っていただければ、私どもは良いと思っています。それがどういう形で韓国国内で報道をされ、あるいは考えられるのかはわかりませんが、私達としてはあくまで、ここは被害に遭われた方々への心の傷の癒しという形で使っていただきたい。そういうお互いの関係が良くなることによって、たとえば、この少女像の問題に関しても韓国政府が関連団体とちゃんと話をして、努力をするというお話をしているので、私達はその努力を待つことの心の余裕は十分にありますので、そこは、ボールは韓国側にありますし。それから、おそらく朴槿恵さんの様々な話を見ても、韓国国内では、まだ、様々な意見があって当然、国内で非常に難しいバランスをとりながら、この問題を進めていると思うので、韓国の国内の世論に注意しながら、朴槿恵さんが一定の方向にいこうとしているという、その努力は、私どももしっかり評価をしながら、見守りたいと思います」
秋元キャスター
「韓国国内、このような発言のやりとりがありました。日韓首脳会談で、安倍総理が少女像撤去を朴大統領に求めたことを根拠に、日韓合意に少女像を撤去するという裏合意があったのではないかと野党が追及しました。それに対して、朴槿恵大統領は、メディアを利用した日本の戦術に韓国の政界が巻き込まれてはいけない。少女像の撤去については日本側との裏合意はまったくないと裏合意を否定したんですけれども」
反町キャスター
「メディアを利用した日本の戦術…、別にこれもまた失礼な話で」
古森氏
「被害妄想で」
金教授
「なぜこのような話が出てきたのかというと、まず韓国の国内状況が与党と野党、あるいは朴槿恵政権に対する批判というのがすごく盛り上がっている。来年の大統領選挙に向けて候補者を固めるのが今年の年末、あるいは来年の初めなので、まずは国内情勢があるということと、もう1つ直接的には7日ですか、ラオスで、ASEAN(東南アジア諸国連合)プラス3の時、日韓首脳会談の時に安倍総理と朴槿恵大統領との会談で良い雰囲気だけれども、安倍総理が、そこで敢えて、私は敢えてだと思うんですけれども、少女像も含めて、韓国側の合意を期待するといった主旨の発言をしている」
反町キャスター
「でも、それは努力という意味です。努力するというのはあの時だって、尹さんと岸田外務大臣だって言ったのだもの」
金教授
「でも、韓国の中では、一方、少女像という単語さえ抜いて、これでやっとお互い、ここまで進んできたのだから、残りの合意の努力を言えばいいんだけれども」
小野寺議員
「大切な話なので、少なくとも、私どもはこんな裏合意があるなんて、決してあり得ないです。この問題がいかに難しいかということを日本政府もよくわかっていますので、その裏合意があって、こういう話が進んでいるということは全然ありませんので。そこは間違ったメッセージが、むしろ韓国側に伝わらないように、金さんにもしっかりと韓国側に、韓国の皆さんには裏合意なんかないのだということをしっかり言っていただいた方がいいと思います」
金教授
「もちろん。安倍総理は、少女像という単語は、敢えて日本国内向けにお入れになったんだと思います。それはそれでわかるのだけれども」
古森氏
「合意の中にある言葉をおたくの外務大臣が言っているのに、その言葉を、公式の声明の中になっている言葉を安倍さんが日本国総理大臣として言ったことがけしからんなんて」
金教授
「私が言っているのではなく、韓国の、野党の反応の話をしているんです。韓国の野党は、あげ足をとって、要は、ここまで堂々と少女像を移転せよみたいなことを言っているではないかと」
反町キャスター
「そこまでは言っていない」
金教授
「だから、韓国の国内政治の、そこは簡単に言うと、そういう話」
小野寺議員
「金さん、これが韓国国内の政争の具になっているので、私達は、かえって触れることによって。だから、この話は、裏合意はないということで収めていただければと思います」
金教授
「あまり触れない方がいいです。日韓関係とは関係のない、もちろんです」
古森氏
「関係なくたって、それで慰安婦問題がまた動くわけではないですか」
金教授
「問題は、韓国の中ではこのぐらい厳しく、与野党の対立の中でこの問題が敏感に、何かあれば、皆、目くじらを立てると」
反町キャスター
「政争の具になっているかどうかで、東亜日報は韓国で結構有名な新聞ですよね」
金教授
「そうです」
反町キャスター
「東亜日報の論説主幹のコラムというのがありました。北朝鮮核の危機と少女像移転というタイトルだったのですけれど、北朝鮮による核実験とミサイル連発で日韓の安保協力は切迫した課題となった。少女像を移転し、日米韓の軍事協力を強化する必要がある。こういう主旨のコラムが14日に出ています。このコラム、まずこういう主旨の話を新聞の中に、記事、主幹のコラムに出ることは、珍しい?」
金教授
「珍しいというか、ほぼ初めてではないでしょうか。これまで保守系というのは慰安婦合意を歓迎すると。しかしながら、少女像については、あまりにも市民団体を含めて、反対、すぐに移転という話になると皆、反対という。こういう状況だったので、ちょっと距離を置いていた。敢えて触れなかったという部分があるんですね。それは今回、非常に、大胆に、明確に少女像を移転し、より大きな国家の安全保障というものを考えるべきだという、ある意味、保守の新しい考え方ではないのだけれども、新しい発言としては非常に大きな注目を浴びています」

朴大統領訪日の行方
秋元キャスター
「大統領訪日が実現した場合、この少女像撤去というのは前に進むのでしょうか?」
金教授
「小野寺先生の話が非常に重要なポイントだと思うんです。韓国の中の世論です。韓国の中の世論をどのようにとりまとめ、世論の合意を得る形で政治を進めていくのかというのは韓国の中ではどの政権、右であろうが、左であろうが、常に大きな課題なんですよね。だから、外交的な問題であっても、国内の世論の分裂というものを両睨みしながら、慎重にしていかなければいけない。よく日本では、メディア的には韓国の世論というのは韓国政府の問題でしょうと冷たく突き放す。もちろん、それはおっしゃる通りで、韓国の中の問題ですけれども、日韓関係の進展がスムーズにいくには韓国の世論さえ、言い換えれば、味方につければ、日韓関係はスムーズにいくと。過去、韓流ブームとか、時代がいい時に一気に盛り上がる。その雰囲気とも似ているんですよ」
古森氏
「あまりにも自己中心というか、韓国の国内感情を日本政府が汲み取って、解決させるなんて、韓国の政府がやるべきことを日本政府が何でやらなければいけないのか」
金教授
「歴史認識ですとか、領土問題ですとか、そういうお互いの葛藤の要因を敢えて強調せずに管理していく、その姿勢を今後、大局的に見た時、古森さんがおっしゃるように、それをやれという話でも何でもなくて、本当に日韓関係をよくすると思うのであれば、そのこともちゃんと考慮すべきであると言っているんです」
古森氏
「こういう言い方があるから、日韓関係はうまくいかないんですよ。一方的なことだけをただ要求して、韓国国内の野党の意見も取り込めと。では、韓国政府も日本の中で一番極端な僕の意見も考慮してくださいよ」
小野寺議員
「朴槿恵大統領が日本に来るというのは、日中韓の3か国の首脳会談というのが定例で行われていて、今度それが日本で行われるので、年内ということで朴槿恵さん、おそらく李克強さんが来て、安倍総理と首脳会談をする。おそらく2国間の会談もすると思います。ただ、その3つの国が合わさると、おそらく主要テーマは北朝鮮になると思います。この3つの国で共通して解決すべきは、北朝鮮の核の問題、ミサイルの問題、東アジアの安全保障のバランス問題、そうするとこれを中心として議題としていくことが重要だと思うので、まずはそこから話し合うことが大事だと。バイもやります。その時には当然、いろんな話が出ていきますが、少なくとも日本としては慰安婦問題に関しては、ボールは韓国側にあるわけですから、あとは韓国側の努力を私どもとしては静かに見守ると」

小野寺五典 自由民主党政務調査会長代理の提言:『脅威の共有』
小野寺議員
「これは様々な日韓の間に課題がありますが、対北朝鮮の問題も含めた、東アジア全体の安全保障を考えたら、日韓がしっかり協力をしなければいけない。そのためには安全保障上の脅威を共有すれば、いろいろな課題をお互いの国は乗り越えていけるのではないか。そういう、何が1番、私どもにとって問題かということを認識すれば、関係改善にさらに加速度がつくのではないかと思います」

金慶珠 東海大学教養学部国際学科教授の提言:『総論』
金教授
「日韓の話になると総論は同じ、各論はそれぞれというケースが結構あると申し上げました。総論というのは何もザル法みたいな合意を意味するのではなく、両国がこの地域の平和と安定に向けて進むべき価値を共有しているかという、その総論においては、私は日韓関係というのは、戦後、1965年以来、非常に良好な関係を築いてきたし、1度もブレたことはないと思うんですね。その総論的な価値をもう1度、思い出しつつ、各論の部分を調整していかなければいけないと思います」

古森義久 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の提言:『大人の関係』
古森氏
「これは、法の統治を守る、約束したことを守る、国際規範も守るというようなことで、とにかく子供じみたことはやめましょうということです」