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2016年9月6日(火)
中国バブル崩壊前夜? 習主席権力闘争の弊害

ゲスト

片山さつき
自由民主党政務調査会長代理 参議院議員
津上俊哉
現代中国研究家 津上工作室代表
柯隆
富士通総研主席研究員・静岡県立大学特任教授
 

経済リスクとバブル崩壊懸念
秋元キャスター
「さて、中国の習近平国家主席が初めて議長を務めましたG20首脳会議ですけれども、昨日、閉幕いたしました。そのG20首脳宣言の骨子こちらです。成長加速のため金融や財政、構造改革の政策を総動員すること。鉄鋼の過剰生産が世界的な課題と認識し、解決に向け話し合う国際フォーラムを設置すること。また、貿易と投資における保護主義に反対。さらには為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済の安定に悪影響である。こういったことに合意しているわけですけれども、津上さん、どう評価されますか」
津上氏
「これだったら合意できるという無難な内容が並んでいるという感じですよね」
反町キャスター
「それは、個別的に、それぞれの国、この場合で言えば、たぶん中国がYESと言えるギリギリの線がこのへんだったということになりますか。でも、事実上、僕らから見ると、これは中国の課題を列挙しているようにも見えるんですけれども、それを書かないところで皆、飲める?」
津上氏
「G7の時の、安倍さんの時も財政出動は大事だというような形で、何とかG7を取りまとめようとトライしたわけですよね。だから、その意味では、何とか最大公約数というような形になりやすいという中身だと思うんです。ただ、テーブルの下では過剰生産の問題をもっと何とかしろという、もうちょっと言いたい人達がいっぱいいたのに、国際フォーラムということで一応、蓋をしたみたいな感じになっている。全体としては大きなブレイクスルーが今回、実現したという感じではなくて双方、収まりつくところできれいにまとめたなという以上のものではない感じがしますね」
反町キャスター
「失敗は許されない会議だったのですか?習政権にとってという意味でですよ。ちょっと内政的な、政治的な意味ですけれども」
津上氏
「もちろん、そうだと思います。1つには南シナ海とか、ああいうふうな政治問題は取り上げてくれるなと必死になって抑えてきてね。それから、経済の問題についても過剰生産とか、あちらの方であまり押し込まれて、わんわん言われるのは勘弁というね。どちらかと言うと、守りにまわった会議だったですよね」
反町キャスター
「片山さん、どう感じますか?今回のG20の骨子を見て」
片山議員
「G20は中国としてはうまく乗り切ったと。大変官僚的な対応をされたと思いますよ。ただ、逆に言うと、来年、我々も非常に注目をしているのは、トップ7に誰が入ってくるかということの中で、サプライサイドの構造改革をやらなければならないということも皆、合意しているんですけれども、巷間言われているように、習近平国家主席の側、やや消極的で、李克強さんの方がより危機意識を持って改革しているようなことを言っていると。どちらかと言うと、でも、習近平さんに近い方が取り上げられていくと。さらに普通だったらここで次の人が見えるような人事をするのですが、次の人が見えるような人事はしないという説が、今日も、私がいろいろお話をしたら、あって、そうすると、弱い体制かと思われた習近平体制が、5かける2ではなく、さらに先に行くかもしれないということの中で、その先を見るのだったら当然ゆっくり改革するということしか考えられないなと。それをG20の首脳達がわかっていますから、ある程度、フォーラムみたいなものをつくって、釘を刺したと。ただし、我が国が2002年を迎えた時と、現在の企業債務のGDP(国内総生産)比が日本と中国で似てきていると。170%近くになっている。そろそろ限界かなと言われている中で、そこをどうやっていくかについて決定的なソリューションを、おそらく持っていないですよ。持っていない中で、抑制ができるかというのは、権力が押えていられるかだけですから。それを日本の場合はG7がそろそろ処理しろと2001年に言って、2002年がりそなだった。それで、この2016年、2017年になるか。そのへんは国際的に、非常に注目を浴びたと思いますね」
反町キャスター
「津上さん、片山さんの指摘、いくつかのうちの1つ、サプライサイドの話、供給過剰をどう調整するかについて、まずこの骨子の中にある、2つ目、鉄鋼の過剰生産が世界的な課題と認識して、解決に向けて話し合う国際フォーラムを設置するということになっています。片山さん、国際フォーラムに言及されましたけれど、鉄鋼供給過剰の問題、国際フォーラムを設置するというこの決着の仕方については、どう感じますか?」
津上氏
「これで蓋をしたということですよね。実態は全然解決になっていないわけですよ。まさに起きていることというのは、過剰生産ですごくダンピング的な、生産、輸出になっちゃって」
反町キャスター
「中国の鉄鋼が安く海外に輸出されている」
津上氏
「ええ。それで各国の国内産業、鉄鋼産業が皆、悪影響を被っていると。これは経済公害だ、勘弁してくれと、こんなものとね。そういう不満の声が、世界中からブーイングが上がっているわけですね。それに対して国際フォーラムを設置しますからという、そこで何を議論するかという議論は外において、とにかくデギゴトロジーを1つ置いて、それでこの場は乗り切ったという、それ以上のものではないと思うんですね」
反町キャスター
「柯さん、いかがですか?国際フォーラムというものを解決策として、全然ダメ?」
柯氏
「全然ダメと言うよりも、まったく議論がとんちんかんで問題がはっきりわかっているのだから、フォーラムで議論をするのではなくて、やるか、やらないかの話ですよね」
反町キャスター
「それは中国の内政の話として?」
柯氏
「いやいや、グローバルで皆、それぞれ、たとえば、割り当てていけば、あなた、何パーセン削減するかですとか。それから、中国が、要するに、安い鉄鋼をバンバン輸出して、皆、困っているというような話があったのですが、実はそうではなくて、今、困っているのは資源国ですよ。日本の鉄鋼メーカー困っていますか?困っていないですよ。この間、中国の東方電気という発電機をつくっている会社に行ってみたら、未だに、日本から特殊鋼を入れているわけ。中国はつくれないわけです。だから、日本の鉄鋼メーカーは困っていないです。これは誤解されると困るので。だから、オーストラリア、ブラジル、カナダ。こういった資源国が困るわけですから。ですから、資源国困るのならば、皆で、割り当てでやっていくと。こういう今さら、フォーラム設置して何をするの。10年かけて議論するの、というのが、だから、今回、私、意味のない言葉を並べているだけだと思いますね」
秋元キャスター
「IMF、国際通貨基金は加盟国の経済財政状況を、年に1回、その国の政府と協議をしながら評価をくだして、こういったレポートを出しています。4条協議と呼ぶんですけれども、先月12日に最新の中国のレポートが発表されました。それによりますと、中国経済の総論として、こういったことが書かれているんですね。様々な課題にはいまだ対応が可能だが、そうあり続けるためには、脆弱さを減じ、市場に則った新たな成長を支えるべく、緊急の行動が求められているということです。レポートの中で、IMF、大きく分けて3つ中国経済の問題を挙げています。企業債務の急増、金融リスクの増大、さらに高すぎる成長目標ということですけれども」
片山議員
「中国の不良債権問題、2000年ぐらいから言われていますが、2015年末で中国が公表している不良債権は19.5兆円で、GDP比でいくと不良債権比率1.7%しかないんですよ。ただ、それを信じている方はいなくて、つまり、追い貸しをして、正常債権化するか、せめて要注意先ぐらい、破綻懸念先もせめて要注意先か、場合によっては、資金繰りを回しちゃっているから、正常債権に入っているかもしれないという意味で、日本総研は、8.6%はあるだろうと。欧米金融機関は、いや、10倍はあるだろうということは、不良債権比率が20%。日本はピークの2002年、りそな国有化の時に、不良債権42兆円で、8.9%。約9%だった。それからいくとそろそろだなという感じが出ているんです。それにもかかわらず、現在、何が行われていないかと言うと、1996年に日本は住専の処理機構をつくって、整理回収機構をつくった。その初代室長が私ですけれども、その不良債権を束ねて、処理して、公的資金を入れるという枠組みを入れようも、まだやっていないと。それから、暫くして銀行に引き当てを積ませなければ危ないというので公的資金を注入する。その次をやったと。北拓の前後ですね。それもまだやっていないという状態の中で、それでも日本はそこから実質処理をやるまで6年かかっているんです。つまり、産業再生機構をやるのに6年。カネボウだ、ダイエーだ、3つの牙城で。それをこのまま抱えていくと、どこかでこの体制はオール国が丸抱えで全部一緒にやることになるんですよ。結局、究極のソリューションはないですよね。それを習近平さんがやろうが、李克強さんか、あるいは次の体制の方がやろうが。これは容易なことではないですよ。それを皆、経済人は心配をしているということです」
秋元キャスター
「続いて2番目ですけれど、金融リスクの増大。津上さん、これはどういうことなのでしょうか?」
津上氏
「大きく2つあると思うのですが、1つは、先ほど片山先生がおっしゃったように、不良債権が水面下で相当広がっているという話があるわけですね。これがたぶん金融機関の実質的な体力をドンドン蝕んでいるところがあって、正常な実業の企業に対する貸出だとかは、もうちょっと体力的にできなくなってという問題がいろいろ起きてきていると。これが金融の症状の1つ。それから、もう1つ、変な話ですが、もうポストバブルの時期だから皆、布団を被ってじっとしていなければいけないにもかかわらず、いまだにバブル踊りみたいなのが続いている場面があるんですね。それは利回り10%以上なんていう」
反町キャスター
「それが理財商品ですね。どういうものなのですか?」
津上氏
「シャドーバンクという話がありましたけれど、シャドーで投資家に提供される利殖のための金融商品なのですが、シャドーはどちらかと言うと抑制して、リスクがあまり高くならないように、という方向に切り替わったはずだったと思ったら、IMFのレポートの中で、まさに残高が40兆元と。その対前年同期比で48%増大と。これは危険ですということがこのIMFのレポートの中で指摘をされているんですね。40兆元というのはエッと思いました、本当」
反町キャスター
「600兆円とは大きい額ですよね?」
津上氏
「ええ。GDPの6割近いのではないかと思うんですね。それぐらいの残高にこの理財商品というのが膨らんでいる。利回り10%以上と言うんだけれども、何で運用をしているかというと…」
反町キャスター
「この理財商品というのはそもそも何ですか、というところから。どういう機関が発行している、何を目的とした、名目としてはお金を集める商品で、どういう商品として売られているのですか?」
津上氏
「証券会社が組成するやつ、銀行の子会社が組成するやつとか、商品をつくっている人達はそういう人達ですけれども、何で運用をしているかと言うと、このレポート中で書いてあるのは、全部とは言わないけれども、半分近い理財商品というのは、運用先というのが危ないと書いてあるんです。何が危ないかと言うと、要するに、銀行の企業に対する貸出債権みたいなものがこの運用先の中に、そうすると貸出債権を買い取ってみたいな、そういう部分が運用先に入っているとか、あるいは株式投資にお金が回っているとかね。そういうすごくハイリスクな、何とか使われ方をしていると」
反町キャスター
「高利回りと書いてありますけれど、10%ぐらいの利回りがつくのですか?」
津上氏
「11%とか、14%なんて約束をしていることを、IMFのレポートに書いてあるんですね。IMFのレポートが言っているのは、昔の銀行というのは貸出が運用でしたよねと。そのお金はどうやって賄うかというと預金で貸出。これは伝統的な銀行の健全なリスクの低い仕事だったんだけれど、今、中国の銀行というのは、運用先というのが本当大丈夫ですかみたいな運用先の方の比重が高まっているということと、預金が取りにくくなっていて、特に中位、下位の銀行はインターバンクのマーケット。銀行間の資金のやり取り、非常に短期の1週間だとか、そういう短期の資金市場で、お金を取って、それで回していると。こういう形の銀行業務というのは、これはいったん何かショックが起きた時に、銀行間の市場もお金を皆、出せなくなって、干上がっちゃうとか、危ない」
反町キャスター
「ただ、津上さん、一昨年から昨年にかけて48%もその商品がより多く売れているということはハイリスクとは言いながらも、焦げついたり、紙切れ同然になったりしてしまうようなものが連発していたら、こんなにたくさん売れないわけではないですか?実はハイリスクと言いながら、ハイリスクではないのか?」
津上氏
「それは、要するに、政府が何とかするだろうという信仰が、まだ通用しているわけですね」
片山議員
「だから、言われているのが、ある投資家と言われる方が買いに入っていると。これまでデフォルトを正式にはしていないでしょう、これだけ。つまり、百歩譲って中身がちゃんと開示されているとしても、これだけの不動産の状態で、ちゃんとその賃料が払われるビルばかりの融資を束ねて売っているのかということの検証ができているのかというのがあるけれども、仮に良いものであったとしても、短期の商品を長期運用に貸しているのでしょう。それだけで長短のリスクがすさまじいのであって、それがこれだけあったら、利払いが遅れたり、何らかのことが起きてもおかしくないですが、起こしていないですよね」
反町キャスター
「何で起きないのですか?」
片山議員
「起こしていない状態をつくっているわけです。たぶんこの国の1番力のある主体がね」
津上氏
「まさに社会の安定という形で、政府がそこは支えるはずだというそういう信頼に基づいてやっている」
反町キャスター
「では、潰れているプロジェクトや事実上破綻している、その投資先を、国が追い貸ししたり、信用保証したりすることによって、それがいまだに商品として成立しているから売れ続けている。こういう状況が中国の中でぐるぐる回っているのですか?」
津上氏
「もう1つ、ちょっと言っておかないといけないのは…」
反町キャスター
「ちなみに10%すごくいいなと思うんですけれど、僕ら買えないんですよね」
津上氏
「非居住者の外人は買えないと思いますね。シャドー商品の膨張を、このまま許しておいたら、まずいということで2年ぐらい前に、要するに、銀行に簿外でドンドン、こういう業務をやるというのを認めないと。やるのだったら全部オンバランス、財務諸表に載せなさいという規制強化を行ったんですね、なものだから、銀行のバランスシート、これまで簿外でやったやつが引っ越してきてというような、それで、すごく増えているという部分もあるとは思います。ただ、それをあれしても、このポストバブルの時期に、10%の利回りというか、その商品がこんなにつくられるというのは、それは政府の保証みたいな暗黙の保証がなんとかしてくれるはずという信頼のもとに成り立っているとしか思えないわけであって」
反町キャスター
「それって信頼という言葉を使っていい話なのですか?」
津上氏
「そこのところですよね」
反町キャスター
「柯さん、いかがですか?この理財商品はいったいどういうものだと僕ら理解をしたら。これの害悪、どういう害があるのか。良いところがあれば、もちろん、教えてください」
柯氏
「お互い脅かしながら喋ってもしょうがいないので、まず事実関係だけ確認すると、理財商品は何かという質問。投資信託。現在の利回り、平均どのぐらいかと言うと責任持って申し上げると9%、平均9%。僕、実際、自分で買ったこともある。非居住者だけれども。買ったの」
反町キャスター
「何で買えるの?」
柯氏
「口座を持っているから。すぐ売ってくれるので。売って、短いのは94日間とか、百八十何日間とか、長いには5年。5年以上のものはあまりない」
反町キャスター
「でも、180日間、9%といったら、4.5の利子が付くのですか?」
柯氏
「そうそう。そういう計算は任せますけれども、それで誰が発行しているかという話がありましたが、1番目は保険会社。2番目が証券会社。3番目がファンド、投資信託。こういう人達がやっているわけで、誰が売っているか。銀行のカウンター。ただ、2014年にあったんだけれども、2014年前は危なかったんです。なぜか。そもそも銀行というのは、どこの国でもそうですけれど、預金を集めて貸出をする。預金者を守らなければいけない。預金者弱いので。だけど、これは預金者ではない。当時は、2014年前は預金のアカウントと、理財商品のアカウントがごちゃごちゃだったわけです。それで中国の銀行業監督委員会がファイアウォールをつくろう。これは絶対に、要するに、預金者を守るのだけれども、これを買った人は9%以上、あるいは8%の利回りをもらっているやつだから、倒産したら、お前、自己責任だということで、一応クリアしたんです、制度的には」
反町キャスター
「いつ潰れてもおかしくない制度にはなっているのですか?」
柯氏
「ちょっと待って、そこに行く前に。では、彼らのお金、どこで運用をしているか。銀行は預金を集めて融資をするんですね。投資はダメ。日本の銀行法でも、中国の商業銀行法でも認められていないわけです。それから、日本は金利の自由化が終わっているんです。できていると。中国は金利の自由化が進んでいない、現実的に言うと。だから、銀行は、せっかくいっぱいお金を集めて、貸出をする時に、金利が自由化されていないから不自由を感じるわけですよ。むしろ預金を一生懸命に集めるより、こちらの方が面白いわけですね。期待収益が高いわけですから。そうすると、たとえば、私はリサーチャーだから出張のついでに預金をするふりをして、必ず銀行員が預金をするよりも、こちらを買った方がいいと勧めるわけですよ。ただ、口座は別だよと。通帳は2つにしなければいけないと言われていまして、では、彼らはどこで運用をしているかというと基本は不動産。幸いにも株には手を出していない、不動産。だから、中国は不動産が暴落していないですね。下がっているんですけれども、2、3割は、一時期。最近は戻って来てきたわけですが。不動産が暴落していないがために、デフォルトが起きていないです。政府がどうこうしているわけではなくて」
反町キャスター
「最後は中国共産党が面倒を見てくれるだろうと皆、期待感を持っているからこそ、未だにこういう商品が売れ続けているという、ここは違う?」
柯氏
「申し訳ない。私もそうだけれども、私は銀行カウンターで、彼ら買っている人達を見ていると、共産党を信じているかどうかというのはその顔からは伺うことができない」
反町キャスター
「たとえば、潰れたとか、紙になったとか、破綻したとか、という話が広がっていれば、こんなには売れないでしょう。そこはどうなのですか?」
柯氏
「一部が破綻したケースがあります、一部はね。東北三省の杜撰なファンドを運用している会社が、要するに、騙し、騙しで19%、私は知っている、その利回りね。だから、19%になるとハイリスク、ハイリターンの原則からすると買っても、戻ってこないだろうという覚悟は必要なわけですよ。僕らが買ったのは9%とか、8%とか、試してやってみて、それはまあまあ大丈夫だろうなというのが、だから、買う人も常識が問われるわけですよ。だから、一部は、ごく一部ですよ。全体の1%がいかないぐらいが失敗したケースが表れているんです」
反町キャスター
「だから、まだ、48%も増えているということですか?」
柯氏
「だから、その次、なぜ48%増えたかというと2014年以降、この不動産バブルがコントロールされているがために不動産の在庫が増えて、投資したお金がキャッシングできていないわけですよ、ファンドが。それで、新規の調達で、理財商品を新しく売って、古い部分の償還に使われているんです。これはいけないことですけれども、やらざるを得なくなって。でも、それはリスクがすぐに顕在化するかというと、1つの指標の不動産価格がどうなるかですよ。だから、中国共産党がやっているのは何が何でも、要するに、不動産価格を必ずキープするとやっている。これは無茶ではないのだ」
片山議員
「それはある意味、正しいと思います」
津上氏
「だから、皆が寄りかかって、1番安全な運用先というのは不動産、買っておこうではないかという行動がやまないですよ。それで、この1年間の間に、また、北京、上海みたいな超特大都市の地価が何割も上がっているわけです。あり得ないと思うのだけれど、それは政府のそういう力に対する過信、信仰みたいなものが、正常なリスク判断を歪めているとしか思えない」
秋元キャスター
「先ほどから聞いているIMFレポートが指摘をする3大問題点。3つ目、高過ぎる成長目標ということですけれども、どういうことか。実は習主席、2012年の党大会で2020年までに名目の国内総生産(GDP)と国民所得を、それぞれ10年比で倍増するという公約を掲げているのですけれども、津上さん、中国のこの公約は達成できるのですか?」
津上氏
「これは2012年の党大会の公約なのですが、それだけだったら前政権の置き土産ですからと。私のではないと言えたのだけれども、翌年2013年に、チャイナドリームの中に、これをもういっぺん組み込んで裏書しちゃったんですね。だから、習さんの面子の問題になっちゃっているのですが、2010年と2020年の間ですから、要するに、5年経っているわけですよね。その間、結構、高い成長があったので、今後に限って言えば、6.5%以上の成長を続ければ、倍にはなるというところまではきているわけです」
反町キャスター
「できるのですか?6.5%」
津上氏
「そこですが、IMFのレポートはなかなか負債の膨張が止まらないとか、金融のリスクがドンドン高まっているという問題の大きな原因の1つというのが成長の目標が高過ぎて、しかも、そこに政府が何かいろいろやってくれるのだろうという期待まで乗っかっているものだから、そこのところ、根っこの成長率を下げないと、問題になかなか歯止めがかからないということを言っていて、その6.5を平均で行くというのをもっとスローダウンを受け入れるべきだとはっきり書いているんですね。IMFのレポートはおそらく中国政府との協議で、ここは削除とか、ここは修文とか…」
反町キャスター
「この用意してある表はIMFの見通しなのですか?」
津上氏
「はい。それでIMFがよくやるのですが、その3パターンということで、将来の見積もりをしているわけですね。これは一言で言うと、先に苦しい改革をすれば、あとは楽になりますという先憂後楽のシナリオという、これは前向きシナリオと言っているわけです」
反町キャスター
「最初にガクンと苦労して、落ちているのだけれども、そのあと、盛り返していくよ、というやつですね」
津上氏
「ちょっと、たとえば、ゾンビ企業とか、そこらへんの改革をやると、成長に悪影響は出るけれども、そこの苦しさを越えれば、あとは楽になりますよと。これは前向き。逆に、そこのところで改革を嫌がっていると、当座はちょっと高めだけれども、ドンドン悪くなっていますと、これがバッドシナリオ、停滞シナリオ。両者の中間が基本シナリオということですが、この基本シナリオのところで、IMFが言っているのは、2019年ぐらいになると6.0%。2021年とかになると5.8%まで成長率を下げていくということがお勧めだということが書いてあるんです。ただ、IMFは基本的には中国のGDPというものを、これはおかしいとは言わない、言えない組織なものだから、6.5%の平均というのは危ないですと。だけど、IMFの推奨の数字を、これ平均すると6.0%ですよ。6.5%は危ないですから6.0%ぐらいにと、あまり数字が変わらないじゃないですかと。IMFは、本当は、たとえば、3%ぐらいまで下げた方が安全と書きたいのかもしれないけれども」
反町キャスター
「3%というと、いわゆるハードランディング事態というところにまで、中国の成長速度を落とせと、IMFは思っているということなのですか?」
津上氏
「だから、ハードランディング事態ということも、ちょっとその底上げになっている部分というのがあると思うんです。本当のハードランディングというのはもちろん、マイナス成長です」
反町キャスター
「3%でハードランディングだったら、日本はどうなっちゃうんだと、僕は思ったんですけれども」
津上氏
「だから、このハードランディング事態とか、何とかというのも含め、ちょっと全体にグラフが上の方に」
反町キャスター
「下駄を履かせている表ですね、これは」
津上氏
「組織の制約としてエコノミストが思った通りの数字は書けないみたいなところがあるかもしれません。ただ、いずれにしても、この基本シナリオというところベースにして議論しても、現在の6.5%平均というの、これは危険ですと。もっと原則を受け入れるべきだということを、IMFのレポートがはっきり言っているというのは、サムシングだと思うんですよね」
反町キャスター
「減速を受け入れると、中国経済どうなってしまうのですか?」
津上氏
「だから、つらいことが増えるというのはあると思います。ただ国全体でなべて均等につらくなるわけではなくて、たぶん起きることというのは、たとえば、南の方の、深圳はいまだに絶好調ですね。だから、別にそういう全体の平均が下がったって、深圳は痛くも痒くもない。ところが、鉄工場の城下町が集積している遼寧省とか、東北地方はどえらいことになるんですね。だから、今後、中国の対策はもっと全国平均ではなく、重点で困難なところに特別な集中をしていくべきだと思うのですが、なかなか中国の統治の仕組みというのは、そういう集中みたいなことはしにくく、皆横並びみたいな仕組みになっているものだから、ちょっとやりにくいのだと思うんですね」
反町キャスター
「片山さん、中国の成長率、減速できるかどうかという話、どんなふうに感じますか?」
片山議員
「まず我々、政治家的な目で見ても、体制も大変だろうなと思うのは、つまり、5か年計画で倍増するよと言っちゃったラインはここなのでしょう、6.5。政治的に非常に大きなことですよね。責任を問われるので。そこを、まずどうやって乗り越えるのかなという、来年に向けて。これが非常に大きいのですが、その意味では、今回G20である程度言ってもらったことはいいきっかけになるのではないのですか。要するに、国際社会から構造転換を求められていて、中国もIMFの中で、SDR(特別引出権)に元を入れるとか、国際金融社会の中での大人のプレイヤーとして入っていきたいので、そのためにはいろいろやらなければいけないという言い訳もできるではないですか。あの原則というのか、だんだん正常化していく中で、彼らがやろうとしている1つは、まずサービス産業を増やしていく。それから、国内の民間消費を増やしていく。これはある程度はできていて、それらのところはそれなりに調子が良いところもあると。我々が本当に、正確に見られる数字というのは日本から対中国輸出ですが、それらの産業、それぞれの地域に向けてはそれなりにモノを買ってくれているという事実があるから、ある程度経済がまわっているのだろうと。確かに遼寧省みたいなところはガクンと落ちているよと。あとは日本で言うと、特区ですよね。この特区のような制度を自由貿易試験区と言って、良さそうなところで始めているわけです。そこで何をしようとしているのだと言ったら、第2の香港をつくって金融特区にしようとか、IT(情報技術)にしようとか、規制を緩和し、どこかの国でも皆やっていますが。こうすると、中国全体がグッドカンパニーとバッドカンパニーに、不良債権処理で分かれるようなシナリオをとっていこうかなと見えますね。そこはある程度しょうがないね、差があるねと。サービス化率にしても、生産性にしてもと」
津上氏
「目標が達成できない場合の責任どうこうについて、私の個人的な、こうなってくれるといいなという願望を言うと、たぶん来年の党大会前には、ごめん、6.5%の目標は暫く冷蔵庫に入れるとか、何だとかできないと思います。来年の秋までは現状維持でこのまま走るんだと思うんですよ。ただし、人事が、終わって2期目がスタートしたあとで、できれば、この目標を下方修正するなり、達成を後ろへずらすなりという形で抑えると」
片山議員
「私もそう思いますね。そうでないと無理でしょう」
柯氏
「まず中国は、5年おきに5か年計画をつくりますけれども、5年経って1度も振り返ったことはありません。検証をしたことはありません」
反町キャスター
「達成できなかったことについて責任を問われたことはないわけですね」
柯氏
「だから、1度もそれは問われたことはない、検証すらないわけです」
片山議員
「でも、これ、先の目標ですよね」
津上氏
「これはIMFです」
柯氏
「だから、これまでの経験は何もないわけですからね。それから、IMFのこういう計算、僕らも分析をやるわけですから、よくやるわけです。これは鉛筆を舐めながら、これつくるわけですよ。何のアテにもならないわけです。根拠はないわけです。だから、ある種の僕らも分析をやるので、趣味でやっているわけです、こんなのは。本当の意味はない。意味があるのは中身です、成長の。これまで中国が30年間どういう成長をしてきたのかと言うと、難しい言葉で言うと雁行発展モデルと言って、昔、日本がやった比較優位というのか、要するに、人件費が安い時にドンドン輸出製造業がたくさんつくって、輸出すると。これまでの30年で、中国、見事に成功した。それから、日本が、それが終わってから、いわゆる技術革新、イノベーションがあって、ドンドン技術立国をやったわけですから。中国がそれに移行するためには、日本よりはるかに時間がかかるわけです。と言うのは、国有企業が邪魔になっているわけです。国有企業というのは独占するわけですから。イノベーションをやりたがらないですよね。知財権保護されないものだから、基礎研究をする会社が損をするわけですよ。誰かにコピーをされるわけだから。そうすると、移行期というのは日本が、たとえば、5年、10年で終わった。次のステージに行った。中国は30年かかるかもしれませんので、そこの時間、30年のこの停滞の期間というのを世界がどう耐えていくかと」
反町キャスター
「中国経済が急減速すると、日本経済はどうなるのですか?」
片山議員
「株は、対中国依存度の高い会社は下がりますが、実質的に貿易で影響を受けることがどのくらいあるかというと、たとえば、自動車メーカーで言うと、すごく中国に入れ込んでしまっているワーゲンのリスクは高い。日本車メーカーはそれに比べれば、そこまでではないだろうと。つまり、投資が、このところの日中間の冷え込みでガクンと減っていることによって、相対的な傷は日本の方が浅いかもしれないけれど、傷はあると。経済のマイナスに確実になると」
反町キャスター
「今の政治体制のままで、今日、議論してきたような経済改革は実行できるのかどうか、見立てはどうですか?」
津上氏
「中国共産党が崩壊しても、中国という国はなくなるわけではない。たぶん共産党が崩壊しても、後継の政権が出てきた時には、何だ、またお前かみたいな、連続性みたいなものは共産党から承継すると思います。ただ、そう申し上げたうえで言うならば、現在の共産党の体制というのは、市場経済の理念に則った改革というのはやりきれないのではないかなと。内部にそういうものと相性の悪い人達をたくさん抱えて込んでいるので、この人達を全部切り捨てないとそういうことにならないと思うんですね。切り捨てると体制が崩壊してしまうかもしれない。そういう意味では、どの家庭にもうまく読めないお経というのがあるものだという、中国の諺があるのだけれども、中国共産党の今の体制にとっては、市場経済に基づいた改革というのは、理屈ではわかっているんだけれども、なかなかやり切れない部分だという気がしてきています」
柯氏
「中国は、3つの転換をしている、1つは政治、一党独裁から民主化、これはすごく時間がかかる。2番目が計画経済から市場経済へ、これはまだ途中、終わっていなくて。3番目が輸出製造業に依存してきた成長が、消費とか依存するわけですけれども、この3つの転換というのは、これだけの国ですから、すごく時間もかかるし、それを知ったうえで、中国とどう向き合うか、片山先生がおっしゃるように、日本は意外に大きな心配はいらないと思います。なぜかと言うと、日本と中国がつきあっているのは、高付加価値の部分ですからから、中国が淘汰されるのは、低付加価値の部分なので、高付加価値の部分で中国と付き合っている以上は無難だと思いますね」

柯隆 富士通総研主席研究員の提言:『合従連衡』
柯氏
「これは、戦国時代はいろんな国がどういうパワーバランスで外交を展開していくかという古い言葉ですが、今回のG20見ていただいてわかる通り、まさに合従連衡なので、これまで日本は日米同盟さえちゃんとしていれば問題がないと言われてきたのですけれども、今回話し合われていないロシアの話とか、中国との関係だとか、もう少し東アジア、グローバルな問題を捉えて、合従連衡の考え方で戦略をつくり直した方がいいのではないかという意味で合従連衡と書いた」

現代中国研究家 津上俊哉氏の提言:『同じ舟の上』
津上氏
「金融で心配な話がいっぱい出てきたのですが、私は同時に、そうばったりと崩壊するみたいなことにはならないだろうと思うし、できれば来年以降にもう1回改革加速の方向にいってもらえればいいなと思っています。中国の減速とか、ハードランディングを含め、日本はここから完全にデカップリングで遮断されるということは期待しない方がいいですよ。IMFのレポートにも貿易を通じた影響、金融を通じた影響、コモデティを通じた影響、全部世界中ではないかみたいなことなので、そういうことが起きた時には我々皆、同じ舟の上で揺さぶられるのだと覚悟はしておいた方がいいなと」

片山さつき 自由民主党政務調査会長代理の提言:『中国版“産業再生機構”に日本のノウハウ!』
片山議員
「中国が中国の問題を自国内で処理していただくようにもっていくことが、国際社会皆にとって、日本にとっても必要だと思うのは、経済難民、政治難民が大量に出た時に中東からは遠いですよ。日本は中国からの経済、政治難民を断り切れないですが、我が国にはそれを完全に、大規模に受け入れる余力はないですから、何とかこの体制なのか、次の次の体制なのかわからないけれども、我が国が最後は産業再生機構で、中国がこういうふうにシフトしてほしいというところを残し、余剰の部分を処理して、それをキチッとやり終えたと、雇用対策も最後までしたと。その経験を持っているのは日本だけですから、日本のノウハウを活かして、やっていただきたいですね。それが日本経済にとってもリスクを最もミニマイズする道だと思います」