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2016年9月5日(月)
解析『日中首脳会談』 中国外交の打算と誤算

ゲスト

小野寺五典
自由民主党政務調査会長代理 元防衛大臣 衆議院議員
宮家邦彦
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
趙宏偉
法政大学教授
孫秀萍
環球時報特約記者

G20で見えた『巨龍』の国際戦略
反町キャスター
「G20という国際会議の晴れ舞台である議長としては会議が始まる最中、ないしはその前に、日本から法の支配やら航行の自由やらということを言われて、足元をガタガタ揺さぶられたくないという、そこのところはどう感じましたか?」
小野寺議員
「もし従前に、会議の最中とか、会議の終わる前に日中の首脳会談があった時に当然、どういう議論をしたかというのは日本側としても記者会見なり、公に発表することになります。そうすると、そこで安倍総理はもちろん、法の支配によって、しっかりこの問題を解決すべきだとか、航行の自由の問題とか、あるいは東シナ海の現在の現状、そういうことを当然、言うことになりますので、そうなると全体の会議、経済中心の会議の中で、そういう問題がクローズアップされることが、逆に言えば、中国側からしたら、G20全体の流れの中で、ちょっと違う方向がクローズアップされることはどうなのかなという、そういう懸念は当然、持つんだと思います」
反町キャスター
「宮家さんいかがですか?これは習近平主席にしてみたら晴れ舞台なのですか?」
宮家氏
「そう。しかも、国際的なこともさることながら、国内的に強いリーダー、立派なリーダーがこうやって国際社会を仕切っていると。そういうイメージを出したいところであれば、小野寺さんがおっしゃった通り、あまり余計なことを言われて、議論の方向が、何か違う方向に行ってしまう。そこで当然、記者会見をやれば、その質問が出る。それを、今度は中国側に質問をする。こういうことは避けたいでしょうね」
孫氏
「今回の日中首脳会談は中国側というより日本側が会いたいという要素が多かったと思います。なぜかと言うと、まずはそういう南シナ海とか、東海のことを言いたくないだけではなく、日中の間に履行する材料とか、議題が少ないという現状もその原因の1つですね」
反町キャスター
「この間、王毅外交部長が日本に来た時にも、習近平さんの話で、中国に来るのだったら、中国は主人として歓迎します、来るのだったら客人としての振る舞いに気をつけなさいと言って帰ったわけではないですか。それはまさにこういう場において、首脳会談で東シナ海、南シナ海の話をするのは客人としての振る舞いに反するわけですか?中国の常識からすれば」
孫氏
「そうですね。面子を潰す話をしないし、とにかく和気あいあい、その場を過ごすというのが中国人の考え方です。それで、重要な話はその後ろでちゃんと話し合う」
宮家氏
「だけど、そうおっしゃるけれども、これは中国の会議ではないです。国際会議です。中国は重要な国際社会のメンバーです。国際的なルールがあって、その中で議長をやっているわけでしょう。ですから、それは中国の国内で、国民に対して、もしくは中国人が面子を潰したくない。それは当然です。私もよくわかる。だけど、それと国際社会の中での国際会議の議長というのは違うんです。そこを一緒にすると、中国のルールで全ての国際会議をやる、それは無理だ」
反町キャスター
「こういう国際会議の場において、日本が行きました。行ったその場で、あなた、国際仲裁裁判所で負けたのでしょう。法の支配を守りなさい、航行の自由を守りなさいと言われた、向こうは怒るというのは明白な、そのロジックなのですか?」
宮家氏
「いや、待ってください。それは国際社会の会議の中で、経済の会議でしょう。その中で、いろんな議論をする中でそういうものが出るかどうか。これは議論としてあり得る。だけど、2国間の会談の中で、それを取り上げるのは当たり前です。両方とも関心のある事項は取り上げるのが当たり前ですからね。2国間の会議で何を話したかというのは、国際会議、マルチの会議とは別の話ですから」

存在感増す『巨龍』と安倍外交
秋元キャスター
「安倍総理、今日のセッションで『国際貿易を支える海洋における航行と上空の飛行の自由の確保、法の支配の徹底を再確認したい』と話したんですけれども、名指しはしていないですが、明らかにこれは中国を…」
宮家氏
「この言い方の中にもありますけれども、経済の会議ですよね。最後の項目に、世界経済に影響する重要で、世界的な、さらなる課題というのがあって、その中に文書の中では海洋の問題入っていないけれども、この書き方は国際貿易を支える海洋におけるという形で、経済と絡めて議論をするのは、これはルール違反ではないと」
小野寺議員
「こういうマルチの会議のホスト国は、首脳が当然、各国の首脳全員と会うというのが基本的な考え方ですので。会談自体は当然、開かれるものだと思います。ただ、会談の時間、長さとか、そういうことは、日本は十分取ってほしいという中で、中国側はたくさん来るから、少し短くとか、そういう議論はたぶんあったと思うのですが、基本的に会う、会わないの議論は、従前からこのルールの中では、ホスト国は、来た首脳とは、全員とお会いするというのが流れかと思います」
秋元キャスター
「タイミングが閉幕後になってしまうということはそんなにルール違反ではない?」
小野寺議員
「あります。それは会議の中でどことちょうど時間がうまく合うとか、いろんな首脳の来るスケジュールがありますから、それに合わせて相当綿密にやると思います。1つは、今回の議長、習近平さんのことを擁護すれば、議長ですからずっと議長席に座っていなければいけないので、この2日間の会議中、基本的にはずっと習近平さんはいるわけです、そこに。参加国のいろんな首脳は、ちょっと抜けて2国間会議というのを別な席でできるのですが、習さんはずっとそこにいるしかないものですから、言ってみれば、時間がかなりタイトなので、どことどう会うかというところを、やり繰りして、ちょうどこの時間を取っているということですので、中国は中国側で努力はしてくれていると思います」
趙教授
「両国の首脳は政治不信というか、お互いに政治不信が強いです。相手を全然信じないです。明らかに今回は安倍さんだけがトラブルメーカーかな。何か変なことをやってくるかなと」
反町キャスター
「中国にして見たら」
趙教授
「そうですね。だから、王毅さんが東京に来て、何回も念を押して、トラブルを起こすなというような言い方でしょう。失礼な言い方ですよ、本当。テレビで見ました」
反町キャスター
「それは王毅さんの言い方が失礼だと?」
趙教授
「そうです。客は客のルールを守れと。そういう言い方でしょう。要は、いかにも警戒しているんです。なぜそこまで警戒するか。信じていないです。だから、相互不信というのは両国の首脳同士、外務省同士もそうですし、相互不信というのが日中関係には、すごくはっきり悪影響を及ぼしていると思います。それから、もちろん、中国の基本的な方針です。政策ではこの南シナ海のことも終わりと。もう終わったと。中国としては政策として、外交戦略として、これはもう終わったと。1ページをめくった、これが王毅さんの言葉です。日本はまた来て、今度また国際会議の場で、提起があったら、それから、昨日、もし首脳会談があったら当然、そのあとは皆さんがおっしゃったように、安倍首相が記者会見をしますよね。記者会見をして、首脳会談で、私は何を言いましたと、そう言うではないですか。首脳、大事なG20の1つの話題にもなっちゃうんです。だから、昨日は絶対あり得ないと思っていました」

G20で見えた『巨龍』の国際戦略
小野寺議員
「基本的に、国際社会から見れば、国際仲裁裁判所で、むしろお白洲の裁きがあって、フィリピンの言い分が認められたわけです。国際ルールから言うと、終わったどころか、これから、逆に言えば、中国側がどうルールを守っていくかということを見てる状況ですから、終わったと決めつけられること自体が、せっかくG20という国際ルールの中で来ている場の中で、それをもし中国側が、そう決めつけるのであれば、そのホストとしての考え方として周りからどうなの?と言われることは仕方がないので、逆に、安倍総理がこの場で、こういう発言をするのも仕方のないことかなと思います」
宮家氏
「今回はフィリピンだったけれども、結論が出れば当然、他の国、ベトナムとか、他の国々、どことは言いませんけれども、必ずやってきますよね。と言うことは、これは始まりでしかないということです」
小野寺議員
「G20は終わりましたけれども、明日から、今度ASEAN(東南アジア諸国連合)との会議があります。ここでは今回の議長国は中国寄りですから、それは一定の、制限はあると思いますが、少なくとも当事国がここにかなりありますので、そこはそこで、いろんな発言をしてくると思いますので、決して終わったということはあり得ないと思います」

『G20閉幕』 中国・習国家主席議長会見
反町キャスター
「G20ですから、経済的な、様々な合意事項や成果というものを習主席は会見で話しました。我々的には、たとえば、先ほどの総理の発言でありますとか、オバマ大統領との会談、日中首脳会談で会ったことなどを踏まえて、たとえば、南シナ海における問題。質疑の中でも少し出るかなと思う部分もあって見ていたんですけれども、質疑は受けず、一方的に主席の発言、経済分野における成果の発表だけで終わったんですけれども。まず宮家さんに聞きたいんですけれども、こういう会見で、今日のタイミングにおけるG20の議長会見の場おいて、質疑を受けて、そこにおいて、たとえば、南シナ海の話に対して習主席が話をする。これはもともと期待する方が野暮な話なのですか?」
宮家氏
「そうです。つまり、議長国として面子があり、それをちゃんと守って、中国の議長国としての仕事が成功したということを言えばいいです。それ以上、余計なことを言われても困るでしょう。ですから、特に今回の場合は、最近の中国の外交はうまくいっていないですよ。そうでしょう。北朝鮮の核実験は、核ミサイルは進むでしょう。韓国はTHAADを導入します。台湾では蔡英文が当選しちゃうし、日本との関係はこじれているし、仲裁裁判所の判決まで出ちゃう。このような状況では、中国は守りに徹するしかなかったと思います。守りに守って守り切ったじゃないですか。それなりにがんばったと思います」
小野寺議員
「経済的な国際会議の場で、議長国中国ということですから、そういう意味では、ある面ではかなり気を使った。ただ、そういう面で言うべきことは言ったという、そういう微妙なバランスがある、この言い振りだと思います。ですから、総理がこの発言をする時には従前から用意したものをしっかり読み上げる形で発言するというのは、これは大事な一言なので、足すことも、引くこともせず、そのまま伝えたという形になるのだと思います」
趙教授
「王毅さんの努力の効果であるとか、日本側が礼をわきまえたと」
反町キャスター
「これは我慢をしたと。」
趙教授
「ですね。どちらかと言うと。確かに、南シナ海という言葉は使っていません。一般論的に、全世界、グローバルで、太平洋でも、大西洋でも、国際貿易を支える海洋における航行と上空飛行の自由の確保とか、法の支配の徹底を再確認したい。そういう一般論的な話をしました。一般論的なら中国側も、俺も一般論的に言っていますよとも言えるんですね。それから、私が気づいているところですけれど、もしかしたら、オバマさんと打ち合わせをしたじゃないですか、安倍さんは。実際、オバマさんの昨日の習近平さんとの首脳会談はほぼ同じ言葉です。南シナ海という言葉は使っていないです、実際は。報道には出てくると、記者達は、海洋のことを言ったと、南シナ海と言って書いちゃうんですけれど、私は調べました。BBC、ロイター。それから、アメリカのホワイトハウスの公式発表も調べました。言っていないです。南シナ海という文字は出ないです」

中国外交の打算と誤算
反町キャスター
「これまで中国側が埋め立てて、滑走路をつくったり、海岸にミサイル並べたりしているのは西側、南側なのですけれど、フィリピン近いところ、アメリカ軍が軍事展開をしているこのフィリピンの本土により近いところにまだ手を出していなかった。ところが、このスカボロー礁に対して、フィリピン政府の発表によると中国海警局の船や浚渫船が確認されたという情報が出ているのですけれども」
宮家氏
「私の読み、これは仮説ですよ。正しいという保証はないのだけれども、中国の政権の中枢の人達は必ずしも外交の専門家ではない。外交専門にやっている人、もしくは担当の人は上の25人にいません。と言うことは、私は中枢のところで外交の部分については日本の総理みたいにしっかりとした目的を持って、一貫した戦略を持つというよりは、一種の空白があるというか、真空的な部分があって、その周りに強硬派と、それから国際協調派。対外強硬派と協調派がある意味、綱引きをしていると思うんですよ。今回は船が出てくるのがよくわかる。つまり、G20があるから、ちょっと少し静かにせなあかんでと。そうでないと、習先生に泥を塗ることになる。恥をかかせることになる。面子を潰すことになる。だから、静かにしていたわけですよ。だけれども、それだったら、今度は強硬派の方が黙っていないですよ。何をやっているのだ。もっとやればいいではないかと。そういう形で、こういう独自の動き。どこまで中央の中枢の部分でOKをもらっているのかはわかりませんけれども」
反町キャスター
「OKなしで、海警局や浚渫船を、こんな軍事的にひりひりするところに船を出すのですか」
宮家氏
「明示的なOKはないと思います。これからもこのような形の、ある意味で、暴走とは言いませんけれども、既成事実を積み重ねようとする勢力と、そればかりやっていたら中国の国際的な利益というのがむしろ害されるのだと考える人達が行ったり来たり、これからすると思います。これまでも、たとえば、2014年の時は、APEC(アジア太平洋経済協力)があって、それで、その前に日本と結びましたよね、合意をね。その直前に、大会議があれば、それはあまりごちゃごちゃしたくないわけです。今回もそうです。外務大臣が日本にやってきて、日中韓をやった。これもある意味では中国がある程度、下手に出た。しかし、その次は、今度は強硬派の盛り返し、巻き返し。これが当分続くと私は思っています」
小野寺議員
「同じように、軍を含めた全体をしっかりグリップできているかと言うと、それも私の体験として心配なところがあります。4年ぐらい前でしょうか。日本の海上自衛隊の船に火器管制用の射撃のレーダーを照射したという事案がありましたが、あの時も、私は防衛大臣で外交的に抗議をした時に、逆に中国外務省は驚いて、そんなことがあったのか。その時は否定をしましたが、実際よく見てみたらそういうのがあった。同じようなことが過去もありまして、たとえば、胡錦濤政権の時代ですが、中国の主席が訪米して、米中の会談をしている最中に軍が新しいステルス戦闘機、中国がこの飛行実験をやって、一気に雰囲気が壊れたり、あるいは確かインドと中国の首脳会談をしている時に、習近平さんが行っている時、ちょうど中国の軍がインドの国境の方に入っていったり、せっかく話し合ってやろうとしているところを、違う勢力がそれを壊しちゃうとか、いろんなことはこれまでも起こってきました。ですから、もしかしたらこの浚渫船も、本当にもし浚渫船の話ですから、そんな船がどこに行くか、行かないかぐらいまでは首脳はわからないと思うんですよ。ただ、いろんな形でドンドン前に出ていくということがありますし、ベトナムやフィリピンで大きな問題が起きた時にも、あれは確か、石油の掘削船がドンドンそのへんに出ていって、中国の。それで国際社会、ベトナムがすごく怒ったのですが、それもおそらくこのタイミングでやるのか、おそらく中国の首脳は思ったとしても、あれだけ大きな国ですし、いろんなものが動いていますから、意図しないところ、あるいは意図して別な動きがいつでも、どこかで起きるかもしれない。そういう不安要素は大国ならでは持っていると思います」
反町キャスター
「ここをきちんと埋め立てて領土にすること、領有権を確定させることが中国の基本線だよと。孫さんもそう思います?予定通りの埋め立てで、予定通りの実効支配強化なのですか?」
孫氏
「そのことをお話する場合に中国は、おっしゃられた通り、大きな国ですので、確かに、たとえば、上が方針を決めたら、下はぶれる幅があるんですね。だけれども、中国は海洋戦略を確定した以上、下の人は具体的なことをやる場合にたぶんこういうようないろんなトラブルが出てきたりするんですけれども。もう1つは、中国側のかなり中国の強硬派は、中国人民大学国際関係学院の副院長という方が、このような話をしたんです。中国の南シナ海問題はあと2年間で終わりという話をしているんです。なぜ2年間。もう1つ、おっしゃったスカボロー礁と埋め立てると同時に、それから離れて、ヨウコウトウというところもあるんですけれども、その中にもう1つの埋め立て地をつくって、それでやっと中国の南シナ海の…」
反町キャスター
「実効支配が確定するということですか?」
孫氏
「実効支配ではないです。それは、あなたが言ったことです」
反町キャスター
「もっと言うと、領海化、内海化というのですか?」
孫氏
「つまり、軍事施設が自分の国を守る、海洋戦略の実現が終わったという話ですよ。だから、そこに注目して見ると南シナ海問題はこれからも続くし国際社会に何を言われたとしても、中国の建設は止められないという事実を皆さんも理解していただきたい」
宮家氏
「孫さん、この政策が中国の国益にとってダメージが大きいとは思いませんか?」
孫氏
「だから、おっしゃったように、中国国内でも力の比べがあって、私が紹介したのは中国の中で1番強硬派の意見ですので、正しいかどうかは、それは別として中国の国家の利益から考えると、中国から見ると、それはやらなければいけないことで、海洋戦略のうえで、それが必要なことだと。それは中国政府としての認識だということになると、下は何とかしてそれを実現したいというのが、現在の中国。だけど、上の人は、おっしゃったように国際世界の世論とか、いろいろな考え方を判断しながら、それを決めていくという政策ですので、変わる可能性もありますね」
反町キャスター
「このスカボロー礁を埋め立てていくことは宮家さんが言われるみたいに国際仲裁裁判所であれだけ批判されて、東南アジアの国々からも全部とは言いませんが、それなりの批判も受けている。それでもやっていく。これは行って来い、いわゆる損か得かという話ですよ。埋め立てた方が中国にとっては得なのですか?スカボロー礁は」
趙教授
「まずこの船のニュースについては、私は、むしろちょっと疑問を持っていますね。フィリピン側の発表しかないです。他のところ、他の、たとえば、ロイター、BBCとか、アメリカからの発表が出ていないですね。そのうち出てくるかもしれません、それが第1。第2は、長期的に見ると中国は必ずやると思います。短期は5年、10年、中国にとっては短期という場合もある。いわゆる100年マラソンの本が出るぐらいです。長期的には必ずやると思います。要は、南シナ海を、いわゆる中国の視点からすると、失地回復です。失った土地の回復です。そういう視点です。だから、早晩やります」
反町キャスター
「小野寺さん、ここの部分をきちんと取り返すこと、失地回復と趙さんが言いました。ここの部分というのは、失地、中国からしてみれば、これはもともと所有していたものを誰かに奪われた。こういう感覚なのですか?」
小野寺議員
「私は国際会議の時、防衛大臣が集まる会議の時に、中国の代表の方がいろんな国からのクレームがついた時に、檀上で言った言葉が今でも忘れられないのですが、ここは2000年前から中国のものだと。そう言った瞬間に、会場にいたASEANの皆さんが2000年前はいったい、うちの国はどこだったかなと。中国は歴史をドンドン遡って、自分を歴史の中心になるようにいつもお話をします。でも、それはダメだということが、今回、国際仲裁裁判所で結論が出ているので、その議論は、むしろ私からしたらもう終わりと。そんな、昔ここは俺のものなのだという話はないんだよと言うのが、国際的な現在の判断で、結論は出ていますから、むしろその話は、ここで終わりと考えた方がいいと思います」

中露関係と日本への影響
反町キャスター
「G20でいろんな会談が行われている中で、1つ、我々が注目したのは、中国とロシアの首脳会談です。ポイントはここ、昨日行われた中露首脳会談では、習近平主席の方から、中露は全方位の戦略協力を強化し、国家主権、安全、発展上の利益を守るため互いに努力をすると。プーチン大統領からはシリア情勢や南シナ海の平和・安定維持も協議した。露中の観点はほぼ一致しているとの発言がありました。9月の12日から19日にかけて南シナ海の北西部で、中国、ロシアが合同軍事演習を行うということも合わせて発表されています。小野寺さん、この間、つい2日、3日前、ウラジオストクで日露首脳会談がありました。僕ら的に言うと、日露新時代に向けて少し動きがあるのかな。関係者の方に言わせると、ロシアは、本当は中国を嫌いなんだよと。中国を警戒しているからこそ、日本に対して接近しているのではないかという分析をする方がたくさんいるんですけれど。一方、中露首脳会談、字面だけ見ていると、非常にまだ蜜月関係というのか、相互利益がまだ太く残っているようにも見えます。この中露関係、どう見たらいいのですか?」
小野寺議員
「ちょっと悪い言葉を使うと、国際社会の中で好かれていない両国が、それぞれ自分が行っている力による現状変更についてお互いに認め合って、お互いに肯定化をするという、そういう話なので。たとえば、中国からすれば、南シナ海の問題については、これはロシアに支持してねと。ロシアにしたらシリアとか、ウクライナの問題については中国、支持してねと。お互いに国際社会からいろいろ言われていることに関して、この2大国だけはお互いに庇い合ったりするので、それぞれのやっていることについては肯定をしようかなと。もう1つ注目すべきは、今回の中露の軍事演習は南シナ海です。実は日本がウクライナの制裁に入った時に、真っ先に中露の軍事演習を日本海で行いました。この時は日本海で習近平さんとプーチンさんが一緒に開会式に出て中露の演習を行ったんですよ。当時、防衛大臣は私だったので。しかも、これは日本海でやられましたから。ある面で私どもは対抗というわけではないですが、日本とアメリカとインドのバナバール演習を日本の近海でやったんです。今回は、南シナ海で行うわけではないですか。と言うことは、逆に、実際この両大国の思惑はこの問題に関しては一致する。だけれど、シベリアを含めて、かなりロシアと中国は国境を接していますから、そこはそれなりの緊張感(がある)、両方の関係でうまく使っているのではないかと思います」
宮家氏
「中露が一致していることがあるとすれば、それは、アメリカを困らせること。これであればべったりやっているわけですよ。ですから、アメリカが困ることについては、彼らは同意をするんです、お互いに。しかし、中露が信頼関係あるか。先ほど、趙先生、日中に信頼関係はないというけれども、それはロシアと中国の方が僕はないと思います。ですから、その意味で、彼らがやっているのは戦略的なパートナーではなく、あくまでも戦術的なパートナーとして利用しあっている。アメリカが困るのであれば、それは、皆で応援をしようと、お互いにね。だけれど、自分達が本当に戦略的な問題がある場合には、それは日本とだってやらなければいけないことは当然、プーチンさん、ありますよ。そこは使い分けていると思うんです」
趙教授
「習近平自身の言葉で表現すると、中露は特殊関係です。そこまで言っているんです」
反町キャスター
「特殊関係とはどういう意味?」
趙教授
「準同盟という言葉を使えばわかりやすいかな。同盟ではありません。ロシアもやらないで、中国もやらないです。要は、ギリギリのところで、いわゆる準同盟と。言葉に出ているのは明らかにそういうことですね。
孫氏
「これまでに歩いた道から見ると何かある時に中露は必ず一緒になって、たとえば、連合国に投票をする場合とか、いろいろなことをやっていく時は必ず一緒になるんですね。中国はロシアのプーチン大統領に対する、あるいはロシアの指導者に対する、その親しみがすごく強いんですよね。特にプーチンさんの場合に、うちは特集を組むぐらいに、プーチンさんの良いところを称えているということです」
反町キャスター
「それは環球時報の話ですね?」
孫氏
「そうですね。つまり、信頼関係ができやすい状態というのは事実です。だから、何かあると、たとえば、波風がある時に、トラブルがある時に、必ず中露は一緒になって」

米・露・日…各国の思惑は?
反町キャスター
「宮家さん、こういう中露関係を見た時に、この間のウラジオストクにおける安倍・プーチン会談をどう見るのかという話について聞きたいですけれども」
宮家氏
「プーチンさんは中露、もしくは日露だけを見ているわけではないです。あの人は欧州を見て、中東を見て、アジアを見て、それでロシアの生き残りを考えているんです。その時に、彼にとって1番大きな敵は何かと言ったらNATO(北大西洋条約機構)です。アメリカです。だから、その部分で中国は使えるんです、戦術的なパートナーとしては。だって、中国だってアメリカとの問題を抱えているからです。その部分は、共通の利益があるんです。しかし、この問題をアジアだけに限定をして考えた場合は、中国はおそらく極東ロシア地域にこれからドンドン中国人が入っていくと。あそこは人口が非常に少ないですから潜在的に脅威を感じているはずです。ただ、今の段階ではすぐにそういうことが起きるわけではありません。ですから、今の段階で中国が危ないから、プーチンさんが日本に近づいたとか、そういう議論を私はあまり買いません。しかし、戦略的に考えた場合には、プーチンさんの頭の中には、常に欧州があり、中東があり、中国という3つの方面があって、これを見ながら、戦術的な決断をしているだけだと思います」
反町キャスター
「プーチン大統領から見た時に日本というカードの旨味。わかりやすく言うと北方領土交渉を日本との間で進める旨味はどこにあるのですか?」
宮家氏
「それは経済ですよ」
反町キャスター
「それは対アメリカのカードとして日本をどうこうとか、そういう意味ではなくて?」
宮家氏
「アメリカのカードとして使い切れないと思うのですが、少なくとも今のような状況で、石油の値段が下がり、制裁がかかっているロシアにとって、それでもヨーロッパ方面で、中東方面で活動せざるを得ないわけだから、それは一息つきたいですよ」
小野寺議員
「たとえば、中国との関係で言うと、安全保障から考えると、中国はロシアに対しての一定の脅威に当然なります。それから、ロシアで様々な防衛装備がありますが、これが、中国がある面で技術を移転して、中国がそれで、いろんな国に売ってたくさん儲けてるというのもあります。そうすると、ロシアから見るといろんなものを、もしかしたら中国に盗られているかもしれない。そういう危機感は当然ありますし、今後シベリア開発においても、あれだけ多くの中国人がいますから、いろいろな脅威を感じるのだろうと。では、日本はどうかと言うと安全保障面でアメリカとロシアの問題が大きくならなければ、日本とロシアで安全保障の問題はまずあり得ません。それから、日本から盗るものというのは、逆に言えば、技術や資本。いろんなものがあります。そうすると、どちらと今後、付き合っていったらいいかなと。片方はかなり警戒をしながら、もしかしたら自分の1番の宝物をまた盗られているかもしれない。片方はこれは今後ともいろんな技術を、むしろもらえるかもしれない。そう考えた場合には、どちらと付き合った方が1番得かなと思う時には、日本という選択肢も当然あるのだろうと思います。そういう意味で、日本というパートナーというのは、ロシアにとって特に北方領土、あるいはシベリア開発においてはかなり与しやすい相手だなと、与しやすいという言い方は悪いですが、かなりお互いに、ロシアからしたらメリットが大きい、そういう相手だなと。当然プーチンさんが考えてもおかしくないと思います」

安倍首相・習主席のムードは?
反町キャスター
「小野寺さん、ここはG20という場をわきまえてという言い方、総理にわきまえてと言うのも失礼かもしれないけれども、こういう場においては、敬意を払う、謝意を表明する、ここまでになるわけですよね?」
小野寺議員
「カメラが入っている場所ですから、それはまず議長として中国側がかなりしっかり運営をされて、感謝をしますということが、これは通常、言う話ですし、中国側も今回はお出でいただいてありがとうと。良い方向で会議がいきましたと。そのやり取りは当然、普通に行うことだと思います。ただ、問題はカメラの出たあとに、それぞれの国から、それぞれの国の関心事案について、それぞれ、たとえば、安全保障もありますし、経済もありますし、いろんなことでやり取りをするということですから、カメラが入っているというところはああいう和やかな雰囲気と考えていただいていいと思います」
趙教授
「日中首脳会談の机の上に、花、国旗を置かないというのが、要は、これは正式な会談ではないのだと示す意図じゃないかな」
反町キャスター
「正式会談じゃないから、花も国旗も置かない?」
小野寺議員
「2国間会談はどんなことがあっても正式会談ですから。もし、それを、敢えてしていないとすれば、それは普通であれば、ホストとしての矜持の問題になりますので、たまたま、そういう形ではない会議室が会場になったと、私どもは理解をしておいた方がいいのではないかなと思います」
反町キャスター
「テーブルの上に花もなく、国旗も飾らないこと、趙さんの説明だと、要するに、これは正式な会談ではないということを意味したんだよと。宮家さんも小野寺さんもそれはちょっと失礼ではないかと。孫さんはそこは受け止めていますか?」
孫氏
「もう1つの原因が考えられるというのは中国の国内向けかもしれない。そういうメッセージとしては」
反町キャスター
「歓迎していないということを知らしめたいわけ」
孫氏
「そうです。なぜそういうかと言うと、これまでにさんざん安倍総理の批判をずっとやってきましたということで、急に態度が変わり過ぎるとどうかなと。国内としては受け入れられない部分があるのではないかなと。それを彼らは知って、ちょっとこういう形で。だけれども、関係を改善したい。日本は自ら来たというイメージも強くつくり出したいというようなことで、こういう結果になったのではないかなと思います」
反町キャスター
「日中首脳会談の習主席の冒頭発言です」
秋元キャスター
「習主席は『中日関係は2014年末に改善のプロセスを開始しましたが、時に複雑な要素に妨害されて、脆弱な一面もあります。両国としては妨害を排除して一日も早く正常な発展の軌道に戻すよう努力しなければならない』と話をしました」
宮家氏
「誰が妨害しているのでしょうね」
反町キャスター
「そこですよ。複雑な要素とは何ですかね?」
趙教授
「日本側から時々、ガス田だと言い出し、尖閣国有化とかいろいろと。この頃、また南シナ海を言い出しました。とんでもないと。そういうことではないかと思います。特に南シナ海」
小野寺議員
「特に2014年末というと、南シナ海のことが、たぶんこの中の念頭にあると考えていいのでしょうか」
趙教授
「1番重要なのは南シナ海です。東シナ海は日中間の問題です。南シナ海は日本と関係ないというのが中国の立場ですね。関係ないところに日本が来て、何だと、そういうことです」
小野寺議員
「2014年末はおそらく首脳会談で、海空の連絡メカニズムをやりましょうと。いろんな合意があったわけですが、それがうまく進んでいないのが、これから読み解くと、南シナ海の問題があって、日本がそのことに関して国際法に従ってとか、対話による解決だということを言っているので…」
反町キャスター
「そうするとG20での安倍総理の発言などは、習主席にしてみたら、そういうことを言っているから日中関係はいつまで経ってもうまくいかないんだよと発言しているように聞こえます」
小野寺議員
「この場でのこの発言だけでなく、いろいろな国際会議の場、ASEANの会議の場でこの問題について日本が指摘をすることが多いと思いますので。それに関してこういう発言をされたのだと思うのですが、日本政府が常に言っているのは海上の交通路ですから、これは航行の自由を確保しなければ、最終的には世界経済にも影響が出ますよね。ですから、国際ルールでやりましょうねと言っているので、時に複雑な要素の妨害というのは、私どもからしたら、ちょっと違うのではないかなという印象は持ちます」
反町キャスター
「安倍総理の謝意と経緯を表明した冒頭発言に対し、それを受けての習主席の冒頭発言がこれだとしたら、このバランスはどう見たらいいですか?」
小野寺議員
「もしかしたら、このところに関しては、中国国内でも報道されていることになります。それは中国国内向けに、このような言いまわしを使って、暗に日本がやっていることについて、私達は快く思っていないということを、むしろ中国国内向けに見せたのだと思います。安倍総理は、逆に言えば、日本国内で中国との表面的ないい関係の話をされても、日本国内で安倍総理、けしからんという声はあがりませんから。そういう意味では、対外的に言う場面では、客人として丁寧な発言をされたのだと思います」