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2016年8月29日(月)
アベノミクス…秋の陣 中小企業支援の是と非

ゲスト

平将明
元内閣府副大臣 自由民主党衆議院議員
伊藤元重
学習院大学国際社会科学部教授
舟久保利明
大田区工業連合会会長 昭和製作所代表取締役会長

産業『新陳代謝』と中小企業支援
秋元キャスター
「今日、話を聞いていく中小企業についてですけれども、まず基本的な分類から見ていきますと、法律上は、資本金、または従業員数が産業ごとに、それぞれ細かく定義されているんですね。これらの中小企業を合わせますと、その総数、およそ381万社。ちなみに大企業が1万社程度ですので、まさに中小企業が日本経済の母体という状況で、全産業の働き手を見ていきますと、働き手のうち中小企業の割合というのがおよそ7割を占めています。これらの中小企業にアベノミクスの効果が広がっているのかという点ですけれど、安倍総理、参院選前にこのような発言をされています。『政権交代前から中小企業の倒産件数が3割減少している。ここまで倒産が減ったのは25年ぶり。まだ道半ばではあるが、アベノミクスは順調に結果を出している』と言っていて、グラフを見てみますと、確かに倒産件数減っているんですけれども、伊藤さん、倒産件数が減っている現状、どのように評価されますか?」
伊藤教授
「景気が、いろいろ言われますけれども、アベノミクスが始まる前に比べると、流れが変わってきているということが多いと思うんですね。ただ、一方で、かなりこの20年間に中小企業の調整も起こったものですから、ある意味で言うと退出すべきものが出ていると。だから、倒産件数が少ないことだけをもって、良いとは、たぶん言えないのだろうと思うんです」
反町キャスター
「要するに、倒産件数が減っているのか。ないしは別の理由、たとえば、倒産しなくてはいけない企業がいろんな政府の様々な手当などによって倒産せずに残っているから倒産件数が減っているのか。倒産件数が減っていること自体は、評価すべきことなのですか?」
伊藤教授
「先ほど言った景気という意味ではそうなんですけれども、ただ、あとの議論につながるんですけれども、中小企業を議論する時にキーワードが…あまり良い言葉ではないかもしれませんけれども、多産多死という、たくさん生まれてたくさん死ぬと。これは日本だけで言っているのではなくて、世界的にそういう議論があるんですよね。つまり、倒産の部分だけを見てくると、やめるという企業、廃業とか、倒産とかいう部分ですけれども、他方で、たくさんの中小企業の周りで全体として活性化してくるというのが、ある意味、理想の社会なのだろう。ですから、そういう意味で言うと、倒産件数が減っているというのは、一方では、景気が少し持ち直しているという良い面もあるんだけれども、 他方で、そういう意味での新陳代謝がある意味非常に活性化していないという日本の問題が確かに出てくることは事実だと思います」
反町キャスター
「多産多死の状況が良い状況?要するに、高回転になっている状態?」
伊藤教授
「一般的に、それが中小企業の特徴だといろんな国で言われるんだろうと思うんですね」

中小企業が直面する現状
反町キャスター
「舟久保さん、大田区の中小企業の経営をされてこられたわけですが、どうですか?アベノミクスの恩恵というのは大田区の中小企業に染みわたっているのですか?」
舟久氏
「私は東京都の方の代表も兼ねているんですけれども、基本的に総会などに出席しますと、アベノミクスはあまり役立っていないというのがほとんどです」
反町キャスター
「要するに、旨味が伝わってこないということですね?」
舟久保氏
「いわゆる経営が楽にならないという意味ですね」
反町キャスター
「それはどうしてなのですか。舟久保さんに伺うのも変ですけれども、どうしてだと分析されますか?」
舟久保氏
「基本的には大企業が仕事を絞っていると。要するに、仕事が流れていかないということだと思います、私は」
反町キャスター
「大企業製造業、輸出関連産業というところは景気が良いのでないですか?」
舟久保氏
「いや、良いんですけれども、結局、既存の中小企業に仕事が流れていかないと。たとえば、大きな会社は昔、協力会とか、協同組合もつくってやっていましたけれど、そういうものを全部取っ払って、国際調達というような感じでいきますから。また大企業も、いわゆるコスト減のために、社外で行うような調達を中でやってしまうというような、そういうようなことも含めて、要するに、外に流れていかないということが1番の基本だと思う」
反町キャスター
「大企業が円安で儲かって、その雰囲気、良い風が世の中に染み広がるよねという期待感を持ったからこそ、選挙で勝って、支持率が高く、安倍政権はここまできました。ここまできて3年経って、その暖かい風はどうやら一部で留まっているのではないのという疑念が噴出している状況だと思うんですけれど。先ほど、舟久保さんの質問に対してはどう答えますか?」
平議員
「これは、まだら模様だと思います。良いところもあれば、悪いところもある。それで、私の経験から言わせてもらえれば、良いところの人は、俺のところ良いとは絶対言わないです。青年会議所の仲間に聞くと、若い経営者が多いので、平さん、良いですよ、というのがいますが、業界の団体で出てきたら悪いと言いますよ。ただ、一方で、問題は当初の勢いはないわけですよ、アベノミクスは。だから、いつかは来るかと思っていたうちに、アベノミクスがちょっと勢いが衰えてきたねということと、株価が上がった時の浮かれた気分というのは、それはモノづくりにはありませんから。ギャップがあったというのも間違いない。だから、そこで追加的な政策として、地方創生が出てきたのであって 、地方経済とか中小企業にフォーカスして追加的な政策をしようということで地方創生があったと。ただ、これは、観光業だったり、一次産業の輸出産業化だったり、時間がかかることですから。だから、今後の政策を見ると少なくともビジネスチャンスはあります。ビジネスチャンスはある。ただ、同じ様に仕事をやっていて、同じ様に待っていたら、昔のように良くなるかと言えば、それは違いますよ。時代が変わるのに伴って自らも変化してもらわなければいけないし、我々も、アベノミクスをやれば何でも上手くいきますみたいなことを言っちゃう政治家もいるので、それは明らかに間違いで、人口も減っていく中で、国際競争も厳しい中で、それは違うと。だから、アベノミクスをやると、こういう環境の 変化があって、こういうビジネスは厳しくなるし、こういうビジネスはチャンスがありますよという、ビジョンをしっかり示す必要があると思いますね。これから、さらに」

中小企業の実情と支援策
秋元キャスター
「ここからは、中小企業の支援策について考えていきます。安倍政権は、今年度の第二次補正予算と来年度予算で打ち出す経済対策の中に、中小企業支援策も盛り込んでいます。イギリスのEU(欧州連合)離脱に伴う海外経済のリスク対応と、中小企業、小規模事業者、及び地方の支援として、財政措置で1.3兆円程度の経済対策ですけれども、中小企業への支援の中身は主に2つで、資金繰り支援と経営力・生産性の向上支援ということですが」
反町キャスター
「資金繰り支援というのは別にすぐ中小企業にばらまくとか、そういう意味ではなくて、何かあった時の備えをしておくよ、という意味ですよね」
伊藤教授
「あるいは本当に中身をよく精査をしていないですけれども、仮に、先行的な投資だとか、あるいは賃上げに適切に対応するとか、ということに対する支援ということであるとすると、大きな経済の流れを変えていくと。やはり、安倍内閣の中でどうなったかといろんな評価があるんだけれども、明らかにこの数年、経済の変化が激しくなってるんです。これは安倍内閣だけのせいではないでしょうけれども。技術革新も激しくなっていくし、これから賃上げがドンドン上がっていて、厳しくなっていくと。グローバル化も、外国人の導入の増加も増えて変わってきていると。結局、中小企業は、大事なことはその変化の中で、常に新しいところに動けるかどうかと。その動く時に可能であるのであれ ば、何らかの支援を。つまり、今までのを守るための支援ではなくて、前に向かって動けるための支援だとすると、それはそれなりに意義があると思います」
反町キャスター
「攻めの支援、攻めの投資に向けたバックアップが必要である?」
伊藤教授
「あるいは変化に対しての背中を押してあげるというのですか。これは賃金を上げていくことで対応していくのも、それに当然、含まれていると思います」
平議員
「いわゆる危機対応の、セーフティネットとしての金融ということになりますが、私は、たとえば、IT(情報技術)の導入だとか、3Dプリンターを使うとか、その事業をこうやって変えていくという経営計画をつくるとか、そういう条件つきのやつは金利がディスカウントされるみたいな仕組みをビルトインされているので、前向きな資金需要にも対応できると。ただ、ちょっと規模感でかいねと。この規模感というのは危機対応の規模感であって、中小企業の背中を押してあげる金融の規模感ではないので、イギリスのEU離脱の措置は危機がくるかもしれないから積んでいこうという部分と、前向きな金融支援と両方入っていると思います」
反町キャスター
「いわゆる、ばら撒きに見えますか?中小企業対策という名の下の」
平議員
「いや、ばら撒き…」
反町キャスター
「これが全てではないでしょう。他にいろいろやっているんだけれども、ここの部分だけを見るとばら撒きに見えますか?」
平議員
「いや、これはまったく見えなくて、なぜかと言うと、金融支援はデフォルトのところだけ支えてあげるので、結局、出るお金はすごく大きいわけですね。さらに実際、デフォルトが起きなければ、そのお金は棄損されないので、だから、金融支援のところというのは、出したお金の割に、効果がすごく大きいし、実際、デフォルトしなければ棄損されないので、これはばら撒きとは言いません」
反町キャスター
「一方、この中小企業向けの経営力とか、生産性の向上支援も含めた話で聞くと、中小企業対策ではないわけですよ。全体としてのタイトルは新たな経済対策となっているわけで、日本経済全体を元気にしようとなった時に1兆3000億円規模、補正では4300億円程度となっているもの。これを中小企業に、いわば準備する、充てる、ぶち込むということが経済の成長の目的とした時、どうですか?もっとわかりやすく言ってしまうと、これはどちらかと言うと、供給サイドを評価しましょうという話ですよね。だから、ばら撒きが良いとは言いませんよ。ないしは消費をもっと刺激するような方面に同じだけ使った方がより効果的になるのかどうか。そこらへんはどう思いますか?」
平議員
「これは全体のパッケージとしては、いわゆるアベノミクスの第二の矢ですよ。機動的な財政政策で、公的なお金で需要をつくらなければいかんと。そういった中で、いわゆる昔の言うところの公的な政策の投融資みたいなものも使いながら、たとえば、リニアとか、そういうものでお金をつくって、需要をつくりましょうというのがたぶんメインですよね、今回の補正。その中で一部、中小企業はどうしますかと言うので、世界経済が不安定になってきたからセーフティネットと生産性の向上と。だから、生産性の向上に充てられている金額自体は、たぶんちょっと、手元に資料がなく…1000億円とか2000億円の話だと思います。ここで大事なのは、補助金を出したら、本当に付加価値が増したのか、生産性が増えたのか、業態が転換されたのかというところの検証がこれまで非常に不十分だったので」
反町キャスター
「これまでと言うのは、要するに、安倍政権とか、そういうのではなく、歴代、ずっと日本政府のやってきた補助金、中小企業に対する補助金行政?」
平議員
「それはなぜかと言うと、補正というのは需要を支えるので、早く出して、早く使ってもらわないと効果が出ないわけですよね。だから、ちゃんとした計画を立て、そのあとPDCAを回すというより、できるだけ早く使ってくださいと。それが景気対策であり、補正予算なので」
反町キャスター
「それはちょっとおかしく…」
平議員
「でも、マクロ経済的には需要を支えなければいけないので、公共事業にしても、中小企業政策にしても何年もかけて使ってもらうのではなく、早く使ってもらわなければいけないというのはあった。ただこの間からやっているものづくり補助金というのも、舟久保さんも主張されていますけれど、もうちょっと、いわゆる成果を見るべきだと。今見ているのはものづくり補助金とか、サービスにも使えるようにしたのだけれども、ちゃんと使っているか、必要な帳票類をちゃんと出してください、ずるしていませんよねと。ここに確認の比重がいっていて、それを使ってつくった新商品とか、それがどれだけの付加価値を生み出したかとか、どれだけの売上げに貢献したのかという分析とか、さらにも っと応援したらもっと伸びるよねとか、出したものの、ちょっとうまくいっていないからテコ入れが必要だよねということは弱いですよ。だから、これはやっていかなければいけないという問題意識を持っているのだけど、難しいのは補正というのはすぐ使わなければいけない性格なので、私の考えは基金にしなければいけないです、そういう時は。数年度で。ただ、行革的な視点からいくと基金にドンと入れちゃうと、そのあとどう使ったかがわからないではないかと、だいたいやれない。だから、問題はガバナンスと目利きが問題であって、基金が悪いのではないです。ガバナンスと目利きが悪いです。それで基金悪者論で、なかなか基金化ができないのだけれども、私はこういう問題がある以上、中小企業の、 そういうところは基金化して、ちゃんとPDCAを回す、KPI設定し、それで足りないところは補ってあげる。さらに伸びる時には、追加的に支援をしてあげるという仕組みをつくるべきだと」
反町キャスター
「ものづくり基金というのを非常にコンパクトに、見ている人達に説明していただけますか?どういう基金なのですか?」
平議員
「だから、僕が言ったのは、補助金をつけますよね。1000億円というのは、いわゆる経済産業省の予算から見ると、すごく大きいわけですよ、1000億円というのは。たとえば、補正でやると、1000億円、できるだけ早く消化をしてほしいわけですね。だから、基金というのは、そこにお金を貯めておいて、時間をじっくり構えて、それで良いアイデアが出てきたら、それにしっかりお金を出していく。ただ、決算年度は跨いでしまいますよと。でも、普通は単年度なので、その決算の間にやらなければいけないのだけれど、数年かけてお金を出すし、モニタリングもする。それが基金です」
反町キャスター
「舟久保さん、平さんの言うものづくり補助金、何か問題があるのですか?」
舟久保氏
「もの補助とよく言いますけれど、基本的に私ももの補助を受けたことがあるんですけれども、平さんが先ほどおっしゃいましたように、いわゆる経理監査、業務監査の2通りの監査があると思うんですよ。経理監査というのは、とにかく間違いなくやっています。それは私もやられましたので覚えています、業務監査は何もやっていません」
反町キャスター
「それは、つまり、お金の使い方はチェックするけれども、どんな成果があったのかは誰も見に来ない?」
舟久保氏
「来ない。聞きにも来ない。というよりも…」
反町キャスター
「それは貰う側にしてみたら、うるさくなくていいなというところではないですか?そんなことは言っちゃいけない?」
舟久保氏
「そういう言い方をすると、ちょっとまずいですけれども、少なくとも我々がそういうことを経理監査に来た人に、うちはこういうことをやっていますと言ったって、わかってもらえない。それは特にもの補助の問題は、設備投資ではなく、新産業分野への進出とか、あるいは新技術の開発とか、まったく新しいことをやろうとする人達のためのものです、もの補助というのは。ですから、よっぽどの専門家でなければ、その内容が理解できないわけですよ。だから、理解できるもの、もの補助の何割かの、1割なら1割から引っこ抜いて、それをもしプロの人達だったら、溢れているポストドクターですか、ああいう人達が応募して、そういう1つのカテゴリーをつくって、もの補助の中に、そういう業務監査をやる…」
反町キャスター
「目利きの集団?」
舟久保氏
「そうです。平さんが言われたように、基金化するのも良いんですけれども。少なくとも、その半年とか、7か月で使い切ってしまわないで、要するに、その業務、その目的がちゃんと達成されるように、きちんと見守っていくような、そういう政策といいますか…」
反町キャスター
「たとえば、舟久保さん、もの補助を貰ってきちんと成果をあげている会社ともの補助を貰っているにも関わらず成果をあげられない会社に関し、評価がきちんとされていない。成功しても、失敗しても同じように、次のもの補助に対して申請できる。ここを不公平だと感じられている?」
舟久保氏
「不公平というより変ですよね。だって、それだけ税金を使って、もの補助をするわけですから。要するに、そういうのは変な話、ゾンビ企業みたいになっちゃいますよね。そういうことで生きていれば」
秋元キャスター
「モチベーションが下がることにもつながらないですか?良いものを、ちゃんと申請して、補助をつけてもらってという」
舟久保氏
「だから、そこのところですよね。だから、要するに、業務監査的なところが、最初から最後までずっとつながっていればいいですけれども、初めの、入口のところだけがきちんと業務監査されているところがあって、その業務監査のところが、いわゆる文書のつくり方で決まっちゃうというようなところがあるから、おかしいです」
伊藤教授
「一般論で言えば、政府の財政支出は皆、そういうところがあるんです。たとえば、そこがまさに議論をしているところで、結局、パフォーマンス仕様だとか、アウトカム仕様をやりましょうとか、小学校の先生が何人必要なのかと、それを増やした方がいいかもしれないし、いろんなことをやってみればいいのだけれども、問題はそれによって、どの程度の成果が出ているか、出ていないかということがポイントになるのだろうと思うんです。残念ながら、財政というのは何をやったのかというところ、インプットのところがどうしても注目され、先を見るのが難しい部分があるので。ものづくり補助事業のことが出ている。それは変えていかなければいけないと思いますよ。少なくともそういう議 論が経済財政諮問会議とか、そういうところで議論が始まっているし、いろいろなところでやっているんですけれども、ただ、現実問題、先ほど、おっしゃったように非常に短い期間の中でお金を使いながらやるというのがちょっと難しい面もあるわけで。ただ、それを放置しておくわけにはいきませんから、できるだけ早く、アウトカムというのですか、結果を見るようなものを可能な限り、また今度、財政の仕組みの中に入れていくしかないだろうと思うんですね」
反町キャスター
「先ほど、平さんが言われた単年度で使い切って、渡すことだけを目的とするのではなくて、基金にして、継続的に審査したうえで、チェックまでするという、そこまでの制度をつくったらどうだという話、いかがですか?」
伊藤教授
「それはあり得るんだと思いますね。特に1年でできないことがありますからね。単年度の予算でも、見れば、今年やったことを来年やって、再来年もやっているわけですから。そういう意味では、その中で成果というのをもっと見られるはずですよ。ですから、あまり成果が見られていないというのは、見られていないということに対する1つのエクスキューズというか、そういうのもあると思うんですよ。そこを変えていかないといけないでしょうね」
反町キャスター
「補助金全てに、そういうことが言えると言われた、伊藤さんの言葉、すごくショックなのですが」
伊藤教授
「全てというのは大なり小なりですよ。全部が、そうというわけではなくて。だからこそパフォーマンスとか、アウトカムということが叫ばれているのだと思うんです」

『ゾンビ企業』が延命…? 産業『新陳代謝』と中小企業支援
秋元キャスター
「OECD(経済協力開発機構)の対日審査報告書での分析をどのように受け止めますか?」
平将議員
「OECDが、政府が手厚い支援をしているというのは金額ベースで言うと、たぶん金融ですよ、金融支援のところだと思います。ですから、先ほど言った中小企業の生産性を高めるとか、そういう補助金自体が全体としてOECDでズバ抜けて高いとあまり思いません。ただ、先ほど言ったようにPDCAちゃんと回すとか、B/Cをちゃんと見るというところはまだまだできていないので、それは1つの課題としてあると思います。それとゾンビ企業もたぶん中小企業だけを言っているのではなく、特に日本はバブル崩壊がありましたから、大手流通とか、要は、大きな債務を抱えてしまって、身動きがとれなかったゾンビ企業を温存したがために、失われた10年が失われた20年になっちゃったというのがあるので、中小企業がゾンビですかと言うよりは、私は大企業のゾンビの方が大きな問題だろうと思います。ですから、中小企業のゾンビのところは補助金で生きながらえるというのはなかなかなくて、公的企業の支援のところで生き延びているというのが本来で、たとえば、先ほど言った、ものづくり補助金も、企業の資金繰りの面には使えないわけですよ。だって、帳票類を出さなければいけないわけですから。だから、これを使って新商品の開発をしましたということなので、実際には資金繰りには使いませんから、だから、問題は公的企業の支援のところ。それは危機的な状況のところに発動するけれども、そうではない時には発動しないと。ただ、一方で問題は日本の金 融機関もだらしなくて、預貸率を見ると、5割を切っている金融機関がいっぱいあって、本来、地域金融機関というのは、地域で集めたお金を、地域企業に融資して、地域経済を活性化させるんですよ。でも、銀行の経営者は恥ずかしげもなく、うちの地域には貸し先ないんだよと言って、国債を買ったり、東京に進出したり、マイナス金利になったら怪しい債権を買おうとしたり、これは全然ダメなので、私はある一定の地元で集めたお金は地元で融資をする指標だとか、預貸率の実質的な目標を持たせて、彼らのマインドを変える必要があると思っていて、それは、同時にやる必要があると思います」
反町キャスター
「中小企業、うまくいっている間はいいけれども、個人保証というのが」
舟久保氏
「やっていますね」
反町キャスター
「具体的にはどういう時に個人保証で資金を調達して、どうしたら経営者がやめるに、やめられなくなるのか?」
舟久保氏
「個人保証というのは資産にくっついている個人保証ですよね。私自身にこれだけの価値があるから、それだけ出すという、そういう個人保証ではないです。あくまでも資産の担保に関しての保証です。ですから、私は息子に代を譲ったのですけれど、会社の責任で金を借りるという、そういう仕組みに持って行くということを言っていました。自分の保証ではなくて」
反町キャスター
「付き合いのある金融機関が、これからは舟久保さんの家屋敷を担保にするのではなく、会社を担保に金を貸してくれと言ったときに、いいですよと、そちらに変えましょうと。融資しますよと言ってくれますか?」
舟久保氏
「それだけ会社の経営の内容が良くなれば…、だって、大きな会社は皆、会社保証ではないですか。上場会社の役員は個人保証なんてしていません。だから、そういうような会社になりたいと、そういうことを目指すべきだと」

中小企業『新陳代謝』の課題 成長と淘汰のサジ加減は…
秋元キャスター
「リーマンショック後に始まった、金融機関による中小企業に対する支援策をどう評価されますか?」
平議員
「これはリーマンショックという異常事態のあとなので、多少理解できるところもありますけど、でも、実際お上が銀行にリスケに応じろというのは、まさにマーケットを歪める最たるもので、筋としては良くない。それで414万件、114兆円とありますが、こういうことをお上がやるとどうなるかというと、とりあえずリスケしてもらおうかなと、必要のない人までやると思います。ちなみに私も中小企業の経営をしている時に取引金融機関が、メインと準メイン両方が潰れちゃったので、一方的にリスケをしました。その時は元本返済をやめて利息だけ払ってと交渉しましたけれども、本当に真剣にやっている経営者は政府に言われなくても、そう交渉しながらリスケするのですが、ただ、銀行の交渉力と中小企業の交渉力、立場を考えれば、なかなかやりにくかったので、そういう声を汲み取ってやったのだと思います。ただ、リーマンショックから立ち直りつつあるので、たとえば、その時にやった特別保証も、保証協会、いわゆる政府が これを貸してくださいと、緊急融資でと、100%リスクは政府が取りますよと、銀行はとらなくていいですよという、リスク分担をドンドン銀行側に寄せていますので、これはドンドン出口に向かって進んでいるということだと思います」
反町キャスター
「舟久保さんの周りでモラトリアム法案によって救われた会社は?」
舟久保氏
「うちもそうですけれども。うちの場合は特に東日本大震災でお得意さんが壊れちゃったというようなことで、銀行から言ってきてもらったというところがあります」
反町キャスター
「それは東日本大震災によって部品を提供していた会社、工場が潰れてしまって…」
舟久保氏
「要は、取引先の工場が、うちの場合は研究所ですけれども、壊れちゃって、それで仕事が出てこなくなっちゃった。だから、そこの研究所の所員がダーッと異動したんですけれども、ですから、そういう意味で言うと、うちの会社の仕事がそれだけバンと減ったという。その時に銀行の方がその情報でもってリスケしなさいよと。だから、そういう銀行にとって意義ある企業であれば、そういう不慮のことに関しては面倒見てくれるようになってきましたね、最近は」
反町キャスター
「その意味において意義があった?新陳代謝を妨げた法案になるのか?」
平議員
「私は自分で交渉しましたけれども、なかなか交渉しきれないですね。私も怖いですよね、銀行にリスケの相談をしに行くのは。恐怖感がありますから。できる経営者は一握りなので」
反町キャスター
「怖いというのは銀行側からリスケできませんと言われたら、どうなるのですか?」
平議員
「破綻先と認定されてしまったら回収にまわされます。整理回収機構にまわってしまう。最後は銀行が決めることですよね」
反町キャスター
「他の銀行に持っていける話ではない?」
川久保氏
「全然ないです」
平議員
「銀行と交渉する時はほぼ命がけですね。経営者は。それで、これをやったから、助かった企業もたくさんあるし、この法律をやっていなかったら、舟久保さんから言ったらリスケに応じてくれてかもしれないけれど、銀行から舟久保さんのところにリスケしましょうかなんて言わない、それまでの銀行だったら。これが良かったのか、悪かったのかと言えば、本来潰れなくていい企業が救われたという良い部分と金融マーケットを歪めたという悪い部分との両方がありますねと」
伊藤教授
「理想は必要ですよ、やっぱり。ただし、速やかにそれを外すことが重要です。そういう意味で、これが必要か必要でないかということになると、こういうある種の政策の機能であると思うんだけれども、往々にして、それがダメになっちゃうんですね。ちょっと違う例で申し訳ないですけれども、ブラジルとか、オーストラリアが自動車の輸入制限をしたんです。それは守るために。だけど、これを3年、5年で撤廃しますと。その間にしっかりやってくださいねと言ったのだけれども、どうせ3年、5年してまたダメならまた輸入制限してもらえると言うので、ズルズルいって、結局うまくいかなかったんですね。日本の輸入製品は、WTO(世界貿易機関)、GATTに入るということになったものですから、否応なしに3年、5年で外れるだろうというので、必死になったわけで、だから、こういう制度は、そういうところがあるんですよね。だから、その時代で見るとたぶん必要ですよ。ただし、つくったことで結局ズルズル行っちゃうかどうかということで。そこらへんは、だから、法律のつくり方みたいなのをしっかり最初にやっておくのでしょうね。1年でやめちゃうということでなく、きちんとやらなければいけない」

成長分野への『選択と集中』
秋元キャスター
「安倍政権の成長戦略では、経営規模、産業の種類に関わらず、今後はあらゆる産業で労働生産性を高めていく必要があるとしています」
伊藤教授
「生産性をどう上げるかという時に、何となく我々イメージとして全部の企業の生産性というか、付加価値を上げていくというイメージになるんですけれども、欧米のケースを含め、何が起きているかと言うと、どの産業を見ても、生産性の高い企業と低い企業があるわけで、これは大小関係ないです。申し訳ないけれど、付加価値の低いところが撤退して、ウェイトが高い方にいくというのが生産性を上げるのに最も重要な手法です。特に中小、中堅企業は数が多いですから、中小企業の中にも生産性の高いところと、そうでないところがある。今日のキーテーマは新陳代謝で、まさにそこに結びつくわけになります。否応なしに労働力不足が起こっていますから、賃金も上 がってくると思いますから、そういう中で乗り遅れているところと、それを越えられる企業というのが出てくるわけで、個々の企業にとっては大変なことだと思いますけれども、結果論として見れば、それで日本の生産性は上がっていくと思います」

平将明 自由民主党衆議院議員の提言:『Big Dataで精緻な政策』
平議員
「中小企業をどう助けるかという話だけれども、なぜ中小企業に手を差し伸べるかと言えば、それは地域経済を良くするためにやるという大目的があるわけですね。これまでは用意をして、申し込んでくれた人に補助金が出たりしましたが、実はビックデータを分析すると、地域に貢献している企業というのが具体的に検索できるんです。その企業の売上げが上がると、そこと取引している地域の企業の売上げが上がるという相関関係が極めて強いんですね。こういうのをコネクターハブ企業と言うんですけど、概念はあったのだけれど、ビックデータを解析しないとできなかったので、それがようやくできるようになった。だから、こういうビックデータを使って、ここを応援 すると、地域経済が良くなるというのがわかるわけですから、ここにしっかりとフォーカスをあて、政策を打つというのが大事だと思います」

伊藤元重 学習院大学国際社会科学部教授の提言:『変化をチャンスに』
伊藤教授
「アベノミクスはいろいろ言われるんですけれども、いろんなものが変わってきているんですよ。グローバル化もそうだし、ビックデータもそうですし、労働市場も変わってきていて、結局、中小企業は変化こそが飯の種というか、そういう意味では、政策も大事ですけれども、とにかく変化に敏感になって、中小企業の方にがんばっていただきたいなという想いを込めて書きました」

舟久保利 大田区工業連合会会長の提言:『ものつくり補助金の効率的運用』
舟久保氏
「経営のドラッカーが言うように、要するに、新しい産業分野と新しい技術を開発することが資本主義の発展だということです。そのために中小企業に限らず、政策でお金を使う時にはキチッとした評価を出すような仕組みをつくって、お金を使って下さいというのが私の想いです」