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2016年8月22日(月)
検証・相模原殺傷事件 措置入院解除に問題は

ゲスト

黒岩祐
神奈川県知事
古川俊治
自由民主党厚労部会長 参議院議員
加藤久雄
弁護士
井原裕
獨協医科大学越谷病院こころの診療科教授

『相模原市障害者施設襲撃事件』 事件対応に問題は?
秋元キャスター
「今回の事件の経緯、振り返っていきたいと思います。問題点は様々、ありますけれども、今回の事件で逮捕されました植松聖容疑者、4年前の12月から相模原市の障害者施設津久井やまゆり園に勤務をしていました。この植松容疑者ですけれども、今年2月に、大島衆議院議長に宛てた手紙を持参し東京千代田区の衆議院議長公邸を訪ねています。その時に、植松容疑者が土下座をして動かなかったため、議長公邸側は手紙を受け取ったんですけれども、その大島議長に宛てた手紙というのがこちらです。『この手紙を手にとっていただき本当にありがとうございます。私は、障害者総勢470名を抹殺することができます。私の目標は、重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的な活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です。障害者は不幸をつくることしかできません。作戦内容、職員の少ない夜勤に決行いたします。重複障害者が多く在籍している2つの園、津久井やまゆり(もう1つ別の施設の名前が書いてあるが番組では伏せます)を標的とさせていただきます。ご決断をいただければ、いつでも作戦を実行いたします』とこういった内容の手紙だったわけです。議長公邸に手紙を持っていった3日後に、植松容疑者はやまゆり園の職員に対して、重度障害者は生きていてもしょうがない。安楽死させたほうがいいと発言をしています。その翌日、施設の幹部が、警察立ち合いのもと面談をしました。植松容疑者は考え方を変えず、自主退職します。同じ日に津久井署が相模原市に通報をします。植松容疑者は、緊急措置入院となるわけですけれども、この緊急措置入院というのは急速な入院の必要性があることが条件で、指定医1人が診察をし、知事の決定で行われます。入院の期間は72時間以内となっているんですけれど。加藤さん、この時点で警察の対処としては緊急措置入院しかないということになるのですか?」
加藤氏
「そういうことですね。法的にはその通りですけれども」
井原教授
「重度精神障害者は生きていてもしょうがない。安楽死させた方がいいという、この極端な信念を持った人間を診察しろと言われたら、精神科医、誰もがびっくり仰天だと思いますよね。つまり、普段、我々が見ている患者と言われている人達も独特の妄想というものを持ちますけれども、私達が普段、患者さんを見て、知っているところの妄想とはあまりにもかけ離れているので、こういう人を我々が診なければいけないのかということで、びっくり仰天だと思います」
反町キャスター
「それは、うつとか、たとえば、自傷、自分を傷つけるとか、周りの人間に対して他害、といっても、家族だとか、そういうレベルではなくて、470人を抹殺することができると言っている時点で、既に医療の対象ではないという主旨の話ですよね?それは」
井原教授
「そうです。医療の対象なのかどうか。非常に疑問があるのですが、緊急措置入院というのは、だいたい夜間だとか、休日に医者がいない、精神科医、保健指定医が自分しかいないところで、警察から、保健所から電話があって、指定措置診察してくれという感じで、それで診察するんですね。措置診察をする時に屈強なお巡りさんがいっぱいいて、対象者がいる。その状況で、先生、何とかしてくださいよ、という感じで来られるので、なかなか凄まじいプレッシャーの中で診察しなければいけない。そこで措置不要、これは病気ではなく、医療の管轄ではなくて、警察の管轄ですよ、と押し返すのもできないわけではないですが、もしかしたら、この重度精神障害が生きていても仕方がないというようなことを言った人が、その他にも何かいろいろ言うことがあって、いわゆる精神障害者に該当する可能性もあるかなというようなことも考えると思いますね。もし精神障害者で、治療をしなければいけないのであれば、精神科医としては積極的に治療をすべきですから、その場合、緊急措置、要措置と言うんですね。措置が必要だという判断をすることもあるかもしれません」
反町キャスター
「警察側は、まだ犯罪行為していないから、警察として、その時点では逮捕も、拘束も、何もできないけれども、唯一、警察として彼が犯罪を犯すかもしれない精神障害を持っていると思われる人を拘束する方法が緊急措置入院。精神科医にハンコを押してもらう方法を医師に強制しているような話に聞こえますよ、判断しろと」
井原教授
「医師に強制しているように、まさに医師に判断しろと、判断しろという場合も、しかも、どちらかと言えば、要措置にマルをつけろというような。要措置か、不要かという2つの選択肢があって、そこに2つのうちに1つを選んでマルをつけなさいという問題ですけれど、そこで度胸がよほど据わっている医者ならば措置不要にマルをつけると思いますけれど、なかなかそれはできるものでもない。だいたい真夜中に寝込みを襲われるように、措置診察をしなければいけないことになりますので。ただ、もちろん、措置不要だと判断したならば、措置不要にマルをつけるべきだと思いますよ」
黒岩知事
「ただ、重度障害者は生きていてもしょうがないととんでもないことを言っている人。この人のことを精神障害ではないかという前提のもとで議論が進んでいるような気がするんですね。ただ、精神障害ではないかもしれない。つまり、私も見ていた事件の中で、たとえば、オウム真理教事件がありましたよね。あの時にポアしてあげましょうと。殺してあげることが救済につながるのですよという。これを彼らの宗教上の信念だったり、思想だったりするわけじゃないですか。思想に、信念に、凝り固まった人は別に精神障害ではありませんということかもしれない。そういう人を精神科の先生にお任せしますということ自体に相当、無理があるのではないかなという気がするんですよね」

『措置入院』と再発防止への課題
秋元キャスター
「措置入院したあとに植松容疑者、大麻の陽性反応も出ているわけですけれども」
反町キャスター
「大麻を吸っている人は措置入院の対象になるのですか。それは精神病とは関係ない?」
井原教授
「入院をさせて、翌日に、大麻の陽性反応が検出した。入院した初日、2日目、3日目、このへんの時期というのは、精神学的な評価をしなければいけない時期です。だから、いろいろな情報を集めると思います。入院の時は、先ほども言いましたけれども、緊急措置。だから、どさくさに紛れて入院しているようなものなので、とにかく入院をしたこの人がどういう人なのかというのを調べるために、あれやこれやの診察をしますので、検査をして、いろいろ調べているステージですよね、まだその頃は。大麻以外にも、いろんな問題があるのではないかということがあったので、ということだと思いますね。2日目の措置入院の時には、1人の指定医が、大麻による精神障害、薬物による精神障害というのは、そういうカテゴリーがありますので、大麻がもたらした一過性の精神病性障害だというようなことの可能性を考えて診断をしたのだと思います」
秋元キャスター
「引き続き見ていきますけれども、2月22日に大麻精神病、妄想性障害と診断されて措置入院となります。この措置入院ですけれども、2人の医師の診察のもと、精神障害により他人を傷つけるおそれがあると診断をされた際に、都道府県知事、または政令指定都市の市長の決定で強制的に入院となります。今回の場合は、相模原市は政令指定都市ですので、相模原市長の決定により措置入院ということですけれど、3月2日、医師が他人を傷つけるおそれがなくなったと判断しまして、相模原市長の決定により、およそ2週間で措置入院解除、退院となりました。そこから4か月余り経った7月26日、植松容疑者が犯行に及んだということですけれども、黒岩さん、この警察や行政の対応、これで十分だと感じていますか?」
黒岩知事
「措置入院、それを解除するのだという報告が来て、最終的にその首長が判断をするということになっているようですけれども、私は、そういう判断を求められたことが1回もないです。1年間に神奈川県内で700件ぐらい措置入院の件がある。それはいちいち知事のところにあがってきませんよ」

社会復帰『解除』の判断は…
反町キャスター
「県知事の判断で退院というか、措置入院解除が」
黒岩知事
「形の上ではそうなっているんですね。もし精神科のドクターの判断を覆して、私が、あの人は危ないから、もっと置いておけという裁量権があったら、逆に怖いのではないか。これは、要するに、事務的な手続きとして、首長の判断という形になっているんですね。それは権力を濫用すると、逆に何が起きるかわからない怖さがありますよね」
反町キャスター
「そうすると最終決定権者というのは、いわゆる精神科医だけの判断で、事実上、それでOK、退院できるのですか?」
黒岩知事
「精神科医が、たとえば、県に連絡し、それでこういうことでいきましょう、わかりました、という形ですね。だから、それは形式的に受け入れるという形。だから、最終的にはドクターの判断を尊重している形にはなりますね」
反町キャスター
「古川さん、いかがですか?この部分は。話を聞いていると制度の建つけで県知事に権限はあると言いながらも、県知事はそこの部分においては、細かく1つ1つは見ていくものではないと」
古川議員
「その内容について、何か問題があるということになれば、最終的に決定していないにしても、実質的な権限を持っている知事の責任ということは問われ得るんだと思います」
反町キャスター
「最終的に自治体の首長や県知事は了解をしたんだなという、その制度的な安心感というのが、この裏づけとしてあるはずですよ。でも、正直言ってしまえば、死刑判決なんかと違って1つ1つ、年間700件もあるものを知事が1件、1件精査をして、精神科医のヒヤリングをして、場合によっては本人にも聞いてみて、あなた、本当に大丈夫?とこの話をやってられるのかどうか。僕は、それは事務的には不可能だと思いますよ。不可能なものを事務的に、ただ単に表面的な安心感を持たせるために、知事に寄せているという、ここに制度的な問題はないか?ここはどうですか?」
古川議員
「これは、国の制度にはたくさんあります、こういうの。それはそうなので、法律の建つけとして、最終的な権限として、行政的な権限ですから。それは知事が、都道府県に投げている権限であれば、知事が行使するということになるわけですけれど、内容的には、それぞれの専門家が出てきてやらなければいけないわけですから。その内容については専門性のない行政官がやるよりも、ここは専門家である指定医がやるというのが妥当であると。内容の統制ですね、まさに。今回のことで先ほどおっしゃっていましたけれども、知事がおっしゃいましたけれども、ある程度、確信的な犯罪ではないかというおそれがあるとおっしゃっていて。ここも僕も法律家ですので、そこから言うと、治療ということがあるので、これももう1人の診断医は、非社会性、パーソナリティ障害と名前をつけているんですよね。これが正式な病名かどうかというのは疑義がありますよ。一応、指定医の診断ですから。そこで言うと単に反社会的な考えを持っているというだけで、これをなかなか強制的にどこかに隔離したり、あるいは犯罪者とレッテルを貼るということは、これはできないことですよね」
反町キャスター
「それは思想の自由ですよね。それが大量殺害に及ぶのかどうかの判断の、その瀬戸際はどこなのですか?」
古川議員
「それはおそらく医療の専門的な知見を介在させるということですね」
反町キャスター
「そこは医療の問題ですか。ここで議論をしているのは警察の問題ではない?」
古川議員
「だから、医療であるから、拘束ができるという建つけですよね」
黒岩知事
「おかしそうな人を隔離するということは無理だと思うけれど、そういう可能性があるということで警察がフォローをするということは十分あり得ると思うんですね」

『入院の判断』の実情
反町キャスター
「この容疑者は当初、大学出たあと、学校教師を目指していたと。教師を目指したあと、様々な事情があって施設で働くようになったと。そういう彼のキャリアを見た時に、井原さんのお立場からすれば、彼はそこにおいて犯行につながる精神構造、どういったものが考えられると感じますか?」
井原教授
「一般論として言いますけれども、こうやって障害者の施設だとか、精神科医だってそうだし、精神科の看護師だってそうだし、ハンディキャップを負っている人達に対する」
反町キャスター
「ハンディキャップ、植松容疑者のケースはどういうハンディキャップになりますか?」
井原教授
「重度障害者」
反町キャスター
「入院している人達ですね」
井原教授
「そうです。こういうところに勤める人はそれなりの人の役に立ちたいという気持ちで入ってくる人が多いです。最初のうちは一生懸命やっていて、奉仕感情でやっていくわけですが、実際問題、そのケアをしていると、なかなか大変でだんだん心が折れていくというのはあるわけですね。おむつの処理だとか、食事、入浴の介助だとか、突然、興奮するとか、暴力を振るうとか、てんかん、発作を起こすとか、あるいは肺炎を起こしたりとか、転んだり、床ずれを起こしたり、むせかえる。いつも何か起きているんですね。こういう時、あっち行って、こっち行ってということをずっとやるのがこういう障害者施設の職員の仕事です。なかなか大変で当然、心が折れて、いわゆる燃え尽き症候群になっちゃう人もいます。ですから、このケースについて私は特段、植松を弁護する気持ちはありませんが、重度障害者の施設、スタッフの心の健康という問題も含まれているなという気が若干します」
反町キャスター
「労働環境が犯行を産んだという主旨でお話になっていますか?」
井原教授
「労働環境とまでは言わないのですが、あまりにも過酷。労働環境といったら、いかにも雇用者側の問題という感じになるんですけれど、雇用者がいくらがんばったって、なかなか障害者の施設で働くというのは容易ではない。だんだん気持ちが折れてくると。一生懸命とか、そういう奉仕の気持ちとか、利用者に対する愛情とかというだけで務まる仕事ではないですよね」
反町キャスター
「人に尽くしたいという気持ちで教師も目指し、施設で働くようになる。でも、それが先ほど言われた燃え尽き、バーンアウト症候群になったあとに、それが殺意にまで、まったく反対にまでいくものなのですか?」
井原教授
「いってはいけないと思いますよね。だから、なぜここまで極端な発想になってしまったのか。だから、そこのところはなかなか私ではわからないところがあります。しかし、いずれにしても、こうやって重度障害者の施設の職員だとか、私だって精神科の病院に勤めていたことがありますし、そういうところで重度障害者というのは見ています。こういった人達はこういった時、スタッフ同士で励まし合い、普段やっている仕事の意義を確かめあうようなことをあらためてやらないとなかなか気持ちが折れていくことは確かですね。そこでまた、だからと言って、安楽死させた方がいいという、ここまで極端な主張に飛んでいくことはないわけですけれども、実際問題は」
反町キャスター
「その部分というのは、そこまでまったく反対まで飛んでいったところに、彼のその精神障害が、そこにあるという見方になるのですか?」
井原教授
「カルテを読んでいないから、私も何とも言えないですけれども、精神科医の場合には、何か訳があって、こんなふうな考えに至ったのだろう、だから、そのへんの訳を解きほぐしていけば、それによって本人も、2人で話し合いながら、それが精神療法と言われている営みですけれども、少し頑なな考えをほぐすこともできるのではないかという想いで一生懸命カウンセリング、精神療法、カウンセリングを行うということはあり得ると思いますね」
反町キャスター
「そういう同情的なという部分もある一方で、その彼が大島議長に宛てた手紙にこういう部分があるんですよ。何回も出ていますけれど。作戦を実行するに、私からいくつかのご要望がございます。逮捕後の監禁は、これは自分の刑務所に入っていることだと思うんですけれど、逮捕後の監禁は最長で2年までとし、そのあとは自由な人生を送らせてください。心神喪失による無罪ですと。これをどうみていますか?」
井原教授
「心神喪失による無罪というものを、そんなに簡単に、簡単なことではないというか、当然ながら精神鑑定になって、心神喪失者の行為はこれを罰せずなんですけれど、そんなことをいきなりその語るということがおかしな感じがします」

海外の『措置入院』の実情
反町キャスター
「加藤さん、いかがですか?私は心神喪失で、何人を殺そうとも無罪になりますよと、事前に、衆議院議長に手紙を出した人間がそういう事件を起こしたと。これをどう見ますか?」
加藤氏
「先ほどの確信犯の問題も、私は40年、確信犯のライフワークとしてやってきた人間で、様々な確信犯に会って、その責任能力についてもやっているんですけれども、ドイツの場合は刑法で心神喪失というのは、まったくくだらない概念ですけれど。これは1日でも早く破棄しなければいけない。要するに、責任無能力者ですよね。ドイツの場合は、性格異常であっても、確信犯であっても、場合によっては、責任無能力の場合があると。その場合には当然、無罪と。しかし、そういった危険思想の持ち主で、危険な確信犯的な考え方の者については刑罰にはもちろん、馴染まない。しかし、それに対して裁判所できちんと刑事処分というもので、一生そういった確信的な思想がなくならない限り、司法精神病院に入れて、これは無期限で、そういった思想がなくなるまで入れておけると。入れるにあたっては刑事裁判官がきちんと、これは本当に確信犯なのか。確信に基づいて犯罪行為の時にその確信が、彼の凶悪な犯罪と因果関係があるのかということを精神科医がきちんと鑑定をして、そうだということになれば無罪。しかし、これだけの被害者が出ているのだから、あんたね、日本の場合だったら死刑になっちゃうんですけれど、ドイツの場合は死刑はありませんから。しかし、あなたは一生外には出せませんよと。出す場合でも一生、特別な保護観察をつけると。それで1週間に2回、3回、保護観察官が訪問して、きちんとした社会生活を送っているかどうか。1年ごとに再検査をして、それを執行裁判官という人達がきちんと判断して、これはダメだと。保護観察中に違反事項があれば、元の精神病院に戻すということで、これだけの事件を起こした人が無罪になると、この考え方自身が非常に甘いというか、そんなことは到底許されない」

『障害者施設襲撃事件』の教訓 どう対応? 『理性なき悪意』
黒岩知事
「犯罪が起きてから警察が動く、これは基本だと思うけれど、ただ、僕は反町さんと20年近く前にワシントンに一緒に居たんですね。その時にバイオテロというのを徹底的に取材してたんですね。バイオテロは、1人の人間が自分の冷蔵庫でバイオ菌を養成して、それをばらまいちゃうということでできてしまうような犯罪。これどうすするのか、これが起きた時には間に合わないわけですね。そうすると、予防的に警察が動かざるを得ないということですね。その時にいろんな情報ネットワークを張り巡らし、そういう変な物質の動きがないかとか、いろいろな情報を集めながら、危ないとなった人間をずっとフォローしている。ということによって、防止ということにつなげてきたわけです。今回もそれに近いのではないかと思うんですよ。犯罪が起きるまでは警察は手を出せませんと言ったって、彼は施設を狙うぞと言っている、何百人を殺すぞと言っているわけですね。その人間を、要するに、警察がこの人間がそういうこと起こしたら大変だということで密かにずっと見ているという、これはできると思うんですね。捕まえていって隔離することはできなくても、それだけで、ずっとフォローしてくことはできる。これはちょっと考えるべきではないでしょうかね」
加藤氏
「私は基本的に反対ですけれども」
町キャスター
「狂信的な何かを持っていても?その人達は普通に街中を…」
加藤氏
「それはやむを得ないです。それが法治国家で民主主義のまどろっこしいところです」
反町キャスター
「リスクは社会が負うべきである?」
加藤氏
「負うべきで、今回の場合でもヘイトクライムではないかと言われていますけれども、それをなくしていくには基本的にこの社会が教育をしていかなければいけない。それが民主主義国家の大原則で、そういう監視社会になっちゃって…」
反町キャスター
「燃え尽き症候群を防ぐための社会政策とかありますか?」
加藤氏
「いや、それはないけれども、起こっちゃったあとはもう再びやられない。それが法治国家の知恵というか」
黒岩知事
「今回の件はテロという見方もできるではないですか。大量殺人、テロ。いろいろな情報ネットワークを張り巡らしながら、テロを起こしそうな人を早目にキャッチして、それをフォローして、情報の流れをキャッチして、抑えている。これが当たり前になってきているのではないですか?」
加藤氏
「それは当たり前ではないですよ」
黒岩知事
「あちらこちらに監視カメラがついていると。ちょっと前までは監視カメラがついている世の中は警察国家でこんなの嫌だと言っていたのが、むしろ監視カメラがあることが安心だとなってきているわけでしょう」
加藤氏
「ええ」
黒岩知事
「テロに対する恐怖から、そういったものを先制的に抑えていくという、皆さんの要望はあると思う」
加藤氏
「それはおっしゃる通りで。ただ、それを措置入院でやること事態が…」
黒岩知事
「措置入院とは言っていない。フォローしていくということ」
加藤氏
「それはまた、立法者がキチッと。今回の場合と分けて考えなければいけない」
反町キャスター
「分けるのは難しくないですか?どう分けたらいいのですか?」
加藤氏
「今回の特徴は、背後に、大麻を入手した、そういう世界があるのではないかと。それであるとすれば、ドイツには犯罪結社罪がある。テロを、暴力的な、政治的な結社罪というものをつくる。そうすると、日本では人権派という人達が、結社罪はけしからんと。そういう場合は集団で、ドイツの場合は2人以上で結社した場合と。こういう単独犯の場合、これを個別にやっていくのは民主主義国家の宿命みたいなもので」
反町キャスター
「自民党としてはどのような対応を考えていますか?」
古川議員
「どの程度、具体的に。先ほど、ワシントンの話ありましたけれど、テロもそうですけれど、これは具体的に何か兆候があって、根拠があればもちろん、警察もやるべきですし、そういう法律だったらできるんです。要件を立てて、こういう動きがあったと。ただ、思想だけということになると、これは濫用されたら大変な話になりますし、あいつはあんなこと考えているから閉じ込めちゃえとかいう話になってきちゃいますから、この人の監視をずっと続けるというのも、かなり特定して、ずっとフォローして、生活も全部チェックするわけですね。これはかなりの人権に対する侵害になりますから、それなりの根拠がなければいけないということになりますよね」

『措置入院』を考える 『措置解除』の実情
秋元キャスター
「措置入院解除における医師の責任というのはどの程度だと?」
井原教授
「直ちにその者を退院させなければならない、直ちに、というプレッシャーの中で精神科医達は仕事をしていますので、自傷他害のおそれが明々白々でなくなっているにもかかわらず、いつまでもダラダラと措置入院を続けることの人道上の問題ということを非難されることの方が多いです。さらに言えば、患者さん自身に権利があるんですね。たとえば、今の、私はこんなに落ち着いているのに、自傷他害で措置入院が続くなんておかしいではないかというようなことを訴える。県庁とか、いろんなところに訴えることができるようになっています。そういう権利があるんですよということを措置入院の時に説明するんですけれども、説明をしていますから、本人がいつでも電話できる状態です。だから、不当な措置入院をいつまでも続けるんじゃないぞというようなことを、精神科医というのは常に県だとか、いろんなところから監視されていますので、おそれがないと認められるに至った時はまさしく直ちにできるだけ早く措置解除し医療入院に移行させるだとか、退院させるだとか、ということをしなければいけないとかですね」
反町キャスター
「医師は患者が本当のことを言っているかどうかの見極め、どうにもならないと思うんですけれども」
井原教授
「その通り。治療の場面で患者さんと医師が出会っていますから、私みたいに精神鑑定をやる人間は、精神鑑定の場面で、鑑定人を騙しにくる人がいくらでもいますから、最初から騙されてなるものかという気でいます。嘘をついていたら、ばれるような引っかけ質問をいっぱいして、病人のフリをしていることが明らかになるような、質問をいっぱい用意します。ただ、今回は治療という場面ですから、治療という文脈では、患者さんが言っていることを尊重する。ひとりの病める患者として、人間として尊重するということが必要になってきますので、患者さんがまさか医者を騙しにかかるなんてそんなことはないだろうという性善説で見ていきます」
反町キャスター
「鑑定と治療では医師のモードが違ってくるのですか?」
井原教授
「そうですね。精神鑑定をやる時と、治療を担当する時、ほとんど医者は二重人格になっていると思いますね」
反町キャスター
「1回措置入院で入院してしまったら、性善説で、この人は私に対して嘘をつかないと、大麻の反応が消えて症状が和らいだね、私は大丈夫です、と言ったら退院させてしまうのですか?」
井原教授
「治療のための入院ですので、治療という行為をしている医者が取調官のようなテンションで診るのは非常に難しい」
反町キャスター
「当初の大麻性障害という原因そのもの、その要件を持って措置入院させたことがそもそもの誤りがあるのではないですか?」
井原教授
「誤りがあったのかもしれません。いずれにせよ、大麻による精神症状だったのかどうか、あとから詳しく検証しなければいけないですね。だけど、限られた情報の中で判断しなければいけなかったので、担当したドクターの悩みは深かったであろうと」

措置入院後の情報共有
反町キャスター
「医師なのか、自治体なのか、国なのか、家族なのか、本人か、どこに責任があると見たらいいのですか?」
古川議員
「今回の問題は偶然違う自治体に出ちゃったわけですよね。だから、情報共有ができなかった問題があると。それから、もう1つの制度の建てつけとして、警察に情報が行かないと、措置入院解除の。これも1つの問題点だと思います。それから、主治医が措置入院を解除するにあたって患者さん本人、それから家族とよく話し合って、解除の時期を決めていくという体制が、正直に申し上げて、かなり医療機関の特に医師の指定医の方は業務だけでもかなり重いわけですから、それを続けて全部制度化していけるものなのか、これも1つの問題点としてはあると思います。家族もある程度の責任も持たなければいけなくなりますけれども、全て精神患者さんについて事後の責任を持つことは不可能ですよね。そこは現行制度としてできる限り訪問看護などで現在の体制でもできるようになっていますけれど、外に出てからね、そこをどうやるか、あるいはさらなる退院後のフォローアップというのは必要だと思っています」
黒岩知事
「これは相対的に言うと、情報共有のあり方、これが大きな問題点としてあると思いますね。これを措置入院のことで全部いっぺんに包んで考えてみた時、そうしたら神奈川県の、先ほど申し上げたように、年間700件もあるわけです。それを全部フォローしていくのはなかなか難しい。気になるのは、今回の特異性、それは議長に宛てた手紙の中の、要するに、予告ですよね。あれは、爆破予告と同じですよ。テロの予告と同じですよ。そういうことをやっている人間だという情報がどこまでつながっていたかということだと思うんですね。そんなこと言っている人間だということで、ずっとお墨付きがついていっていれば、それはと言って、フォローもできたかもしれない。そこのところがどこかぶつぶつ切れていたなという思いがしますよね」

なすべき治療と犯罪防止
黒岩知事
「今回1番気をつけなければいけない議論は、障害者は基本的には障害者差別解消法を4月に施行して、障害者の差別はやめましょう。我々も障害者を雇用しましょうということを全面的にやっているわけですよ。この方針は変えてはいけないと思います。今回犯罪を行った容疑者が何か精神障害者みたいな感じがすると、こんな危ないのも精神障害者の中にいて、何するかわからないぞと、こういうのは取り締らなくてはならないぞと、そういう話になってくると今、大きく進めている話とは逆になってしまう。だから、そこはカァーッと熱くなって障害は危ないと言ったら絶対にまずい。今回の事例を個別に見るべき。これはテロと見るべき」

黒岩祐治 神奈川県知事の提言:『いのちの授業』
黒岩知事
「今も、あの被害現場、事件現場のところで、一生懸命に入所者のためにケアを継続している、がんばっている職員がいるということ。この事実だけは是非、忘れないでほしい。この人達は本当にがんばっています。そういった中で、今回あらためて皆で考え直すべきは、何と言っても1番大事なものは命だと。命というものを考えようと。これを授業の中で全部やっていこう。これを提言したいと思います」

古川俊治 自由民主党厚労部会長の提言:『患者の退院後の支援体制』
古川議員
「患者さんが退院したあと、精神障害者の患者さんが措置入院を解除したあと、しっかりフォローアップができる体制。これをいろんな面で充実させていって、2度とそういった症状に戻らない。そこを監視できるようなシステムというのは今後、考えなければいけないと思います」

弁護士 加藤久雄の提言:『①刑法の改正 ②専門家の養成』
加藤氏
「今回の問題を措置入院の問題だけで片づけるのではなくて、大きくこれだけの犠牲者が出ているわけですから、108年間続いている現行刑法の改正をきちんとやって刑罰に代替する保安処分というものを設けることによって、いろんな矛盾を解消することができるのではないか。もう1つは、残念なことに司法試験科目から刑事政策の科目が外れてしまっているんですよね。これだけいろいろな犯罪、課題があるのに司法試験科目で刑事政策がないというのはおかしいので、是非復活するように皆さん方にがんばっていただきたいなと思っています」

井原裕 獨協医科大学越谷病院こころの診療科教授の提言:『医者はおまわりさんではありません。犯罪と戦うのは警察の仕事』
井原教授
「私ども精神科医にどうか是非とも心の健康に奉仕するという、本来の仕事に専念させていただきたい。それはおそらく精神科医全ての切なる願いではないかと思っています」