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2016年8月18日(木)
経済3賢人が独自分析 2016年後半の景気は?

ゲスト

宅森昭吉
三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミスト
松野利彦
SMBCフレンド証券投資情報部チーフストラテジスト
永濱利廣
第一生命経済研究所首席エコノミスト
大山泰
フジテレビ解説委員

『経済3頭脳』が独自分析 日本経済の『今』
秋元キャスター
「今週、今年4月から6月までのGDP(国内総生産)が発表されました。実質GDPの成長率は、年率に換算してプラス0.2%。今年1月から3月のGDP成長率に引き続き、2期連続のプラス成長となったんですけれど、ほぼ横ばいにとどまっています。永濱さん、今回のこのGDPの発表をどう見ていますか?」
永濱氏
「そちらのグラフを要因分解したものがありまして、普通に出た数字をそのまま、要因分解をしたものですね。ただ、今回、言われているのは、前の期の1―3月が、閏年で成長率が押し上げられていたので、その押し下げが効いているということなので、こちらは閏年要因を調整したものですね。それで考えると、閏年も考慮をすれば、2期連続のプラスで、むしろプラス幅が拡大している。そう見ることができるんです。だからと言って、楽観的に見られるかというと、私はそうは見ていません。そもそもこれだけ増えたとは言っても、市場予想は下回ったということがもともとはあるんです。さらに言うと、この要因分解を見てもどういったところが押し上げたというのですかと言うと、これまで低迷していた個人消費が戻したことはいいことだと思うんですけれども、ここの住宅投資と公的需要、公共投資ですね。ここが結構、押し上げているんですね。ただ、これはなぜ押し上がっているかと言いますと、住宅投資に関しては、もしかしたらマイナス金利の影響が一部、効いている可能性もあるんですけれども、この時というのはまだ消費増税の先送りが、6月に決まりましたから、そういった形で消費増税前の駆け込み需要が…」
秋元キャスター
「まだ、わからない時期でしたね」
永濱氏
「可能性もありますし、また、細かい話をすると首都圏を中心に結構、大規模なマンションが着工して、そのへんがカウントされた可能性があるんですね。ということから考えると、たぶん次は住宅投資はマイナスに効いてくるのかなと。公共投資についても、これについては、要因としては昨年度の補正予算とか、また、今年度の予算の前倒しとか、そのへんでプラスに効いていると思うので、次の期はマイナスにはならないと思うのですが、プラス幅は縮小かなと。1番深刻なのは、いわゆる何が押し下げたかと言うと、外需と設備投資ですね。設備投資に至っては2期連続のマイナスと。おそらくいずれも企業活動ですけれども、年明け以降の円高。これが結構、根強く効いてきているのかなと。結局、景気循環は企業がつくりますから、それを考えると今回、閏年を除いて、伸びが加速したと言っても、楽観できる状況ではないかなと、このように見ています」
秋元キャスター
「日本経済の不調でGDPが伸び悩んでいると見ていますか?」
永濱氏
「全体的に言うと、そうだと思いますね」
秋元キャスター
「宅森さんは足元の景気をどう見ていますか?」
宅森氏
「昨年の夏のチャイナショックあたりから始まって、外的要因が相当、日本経済のマイナス要因になっているということは確かだと思うんですよ。ただ、ずっとそれでも足踏み状態が続いているというところは結構逆に考えると底堅いのかなと言えなくもないと思うんですね。オリンピックでも何年ぶりというのがすごくいっぱい出てきますけれど、メダルが何十年ぶりとかですね。こういう経済統計の方でも何十年ぶりというのがいっぱいあるんです。たとえば、有効求人倍率です。雇用の代表的な数字で代表的な数字で24年ぶりの高水準だとよく言われますよね。1.37倍ですね。24年ぶりというのは、バブルが弾けてすぐあたりの時ということになりますよね。だから、それぐらいのレベルですね。それから、合計特殊出生率も0.2ポイントぐらい上がりまして、21年ぶりの高水準になってきているということもあります。それから、限界的な雇用のデータと言えると思うんですけれども、年間の自殺者数、実は金融危機以来、18年ぶりの2.5万人割れです」
大山解説委員
「自殺者が少ないというのは、景気を悲観したりとか、日々の事業で借金を抱えちゃったりとか、それ以外にもいろんな要因はあると思うんですけれど、それを映したものと見られるわけですね?」
宅森氏
「そうです。経済生活問題が減っているんですね。それから、東京23区内の路上生活者の数字ですけれども、1995年からデータがありますが、1番低い数字が出ました」
秋元キャスター
「路上生活者の人数というのも景気を表す?」
宅森氏
「1番酷かったのは金融危機のあととか、そのあたりでグッと増えて6000人近くまでいったことがあるんです。それに比べると随分少なくなったなと思いますね。だから、着実に雇用だとか、そういう数字は良くなってきているという感じがします」
秋元キャスター
「大山さん、足元の景気を見るうえで注目しているのは?」
大山解説委員
「今、ちょっと実体経済の話を聞いたんですけれども、今度、金融市場の話で今年を見ていこうと思っているのですが、赤い方が円相場、青い方が平均株価ですけれども、だいたいリンクをしていて、上が円安で、下が円高ですから、為替が円安の方にいけば、青い方の株価は上がっていって、為替が円高に振れれば株価もドーンと落ちる。ここのところ連動してきた感じがあるんですけれども、今日は為替、99円をつけたりとか、今週は随分と円高になっているんですけれども、単純には言えないでしょうけれど、ここから見るとストーンとあまり落ちていないなというのが、8月ぐらいになって感じて、そのへんの動きをどう読んだらいいのか」
松野氏
「今ありました通り、株と為替というのは相関性が非常に高かったんですけれど、グラフを見ていただければわかりますように今年に入ってから乖離が始まって、ドンドン広がっていって。本来であれば、ドル円で、だいたい100円となりますと、だいたい1万1000円ぐらいのところまで、株価が下がっていなければいけないところが下がっていないというところですが、おそらく今年の前半のところあたりは、かなり我々の年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)ですとか、あるいは郵貯による株買いですね。それとあと自社株買いですか、企業の。こういったところが株を買い支えている部分がありまして。特に決定的になったのは日銀のETF(上場投資信託)の買い増しですね。3.3兆円買うといったところを年間6兆円まで増やしたということですから。年間6兆円と申しますと、単純に、平均して1週間にだいたい1000億円以上買うような勘定になりますので。1週間に1000億円を買う投資主体というのはそんなに珍しいわけではないのですが、そういう格好でコンスタントに毎週のように買うような投資主体というのはなかなかないですし、金額で1000億円と言いますと、ちょっとした投資信託の設定ぐらいの規模になりますので、かなりマーケットインパクトがあって、多少、為替が円高になったところでも、株が結構、高値を維持していると。こういったところですかね」
秋元キャスター
「連動してきたのだけれども、日銀のETF買いで株だけが上がっている状態?」
松野氏
「そうですね。最近は特に円高にもかかわらず、株が上がっている。乖離している状態になっているといったところの大きな要因はそこにあると思いますね」
秋元キャスター
「為替はどうなのかということですけれど、今週も円高が進んで、一時、1ドル99円台をつけていますけれど、松野さん、円高傾向が続く背景というのをどう見ていますか?」
松野氏
「それは通常、教科書通りですとだいたい為替というのは当然、アメリカと日本の金利差によって、ある程度決まるわけですけれども、だいたい金利差が縮まってくると円高の方向に向かって、広がってくると円安の方向に向かっていく。ですから、この段階ではどこの部分も広がっている状態ですので、為替がドンドン円安になっていっているんですけれども、ただ、一方で、直近はあまり変わらなくなってきている。このような状態ですから、最近、円高の方向になってきているということがあるんですけれども。この広がらない背景としては、アメリカの方の事情としては、最近、利上げすると言いながらも、なかなか利上げできていないと。12月に1回やったんですけれども、それ以降やる雰囲気を出しているものの、なかなかそこまで踏み込めていないということがあって、少しずつ、そうこうしているうちにアメリカの経済指標が結構、まちまちになってきてですね。そこからなかなか利上げをしにくくなっているのではなかろうかと。こういったところが金利を抑えているということですね。それから、日本側の事情としてはそろそろ金融政策に対する限界というわけではないですけれども、なかなかそれが効かなくて、円安の方向になかなか持っていけないというのがあって、このへんがどうも日米金利差があまり拡大をしていかない、現状維持のままで円高を誘発しているような材料になっているかなと思いますね」
秋元キャスター
「マイナス金利はあまり効果がなかったという意味ですか?」
松野氏
「むしろマイナス金利がために、運用をしなければいけないお金をマイナス金利のところに投じるわけにはいかないので、金利があって、安全性の高いところと言うと、アメリカの国債ですね。アメリカの国債をドンドン買うことによって、アメリカの金利がドンドン下がっていくと。日米金利差が広がらない理由になっちゃっているというところですかね」

『円高』で企業業績は
秋元キャスター
「永濱さん、この円高は、日本企業の業績にどのように影響していると分析されていますか?」
永濱氏
「内閣府がマクロ計量モデルというのをつくっていまして、要は、円高が10%進んだ時にGDPの主要な項目にどれだけ影響を及ぼすかと。そういった乗数というのを公表していまして、見ていただくと、たとえば、10%の円高で、GDPであれば、1年目の影響はまだ限定的ですけれども、2年目以降、相当効いてくるというところですね。実際、昨年の夏以降、相当、円高が進んでいまして。一方で、日本の場合は先日、事業規模で28兆円の大型の景気対策が打ち出されたんですけれども、ただ、内訳を見てみると真水の部分は7.5兆円と。おそらく今年度の補正だけで考えると5兆円台半ばぐらいですね。これで実際に今年度と来年度のGDPをどれだけ押し上げるかと言うと、経済成長率で言うと、たぶん今年度は上がっても0.2ぐらい。来年も0.2ぐらいということは、累積しても0.4ぐらいということは、結局、10%の円高で、全部、GDP成長が相殺されちゃうぐらいの影響があるわけですね。特に影響が1番大きいのが輸出であって。さらに付け加えれば、要は、円高が進んで、1年後ぐらいに影響が大きくなってくる。円高が進み始めたのが昨年の夏ということですね。と言うことからすると、今年の後半以降ぐらいから実体経済には相当、円高の圧力が増してくるのかなというところが言えて。実際その影響というのが既に企業業績に出始めています。企業業績のデータですけれども、これを見ていただくと、これは金融法人の経常利益を見ていただいても製造業、非製造業というところで、逆に言うと、アベノミクスはこれまでこの企業業績が過去最高益を更新してきてというところで牽引されてきたわけですけど、製造業については円高が進んで、企業業績はピークアウトしていますし、非製造業の方も製造業の影響を受けてきますから。となると下がってきているということからすると、なかなか企業業績が上向かない状況では、先行きの日本経済は楽観視できないと。こういう見方ができるのではないか」
秋元キャスター
「日本企業が厳しいと言っていましたけれど、業績の悪化で懸念されることは?」
永濱氏
「私が懸念しているのは、先行きの設備投資がちゃんと底堅さを維持できるかなというところを懸念していまして。なぜそういうことが言えるかというと、こちらデータがあるんですけれども、設備投資の先行指標の機械受注というデータですね。船舶、電力を除く民需ということで。これを見ていただくと実績と見通しの調査があって、そもそも景気が良い時というのは実績が上がっていて、とりあえず現在のところは確かに腰折れというまではいかないのかなとは言えるのですが、ただ、足元を見てみると、直近の実績で言うと大きく下がっていまして、さらに言うと、見通し調査からより実績が下がるというのが非常に危険信号ですね。だいたい景気が良い時というのは、アベノミクスの初期段階とかだと見通し調査に対して実績が上回る。こういうのが非常に景気が良い時ですけれど、昨年ぐらいからですか、実績の方が見通しを下回り始めている状況にある。さらに言うと、7月の見通し調査も、前の期の見通し調査からちょっと下がっているんです。ということから考えると、円高の影響が大きいのかなということからすると、なかなか円高水準が続く中では今後、日本経済は厳しいなというところがありますし、さらに当然、企業業績の鈍化からきているわけですが、実は企業業績の鈍化というのが来年以降の賃金などへの影響も結構、マイナスに効いてきちゃうのではないかと。そういう懸念もしています。具体的になぜかと言うと、こちらのグラフですけれど、春闘の賃上げ率と、いわゆる一般労働者の所定内給与ですね。基本給と言ったらいいですかね。この部分のグラフを重ねて書いたものですけれども、春闘の賃上げ率と一般労働者の所定内給与というのは結構、連動性が高いです。これを見ていただくと、私も半年前に出させていただいた時に懸念するということをお話させていただいたのですが、おそらく今年の春闘は悪いだろうというところで、結果的にちょっと落ちたんですね。今年の賃金、まだ数字は途中までしか出ていませんけれども、たぶん過去の経験則から言うと、昨年度よりも今年度の賃金は、たぶん伸びが鈍化をするということが見えていまして、さらに来年の賃金を考えた場合も春闘を考えると、春闘はそもそも何で決まってくるかというと、3つの要因がありまして、1つは労働需給ですね。当然、人手不足感が高まってくれば賃金が上がりやすい。ここの部分は人手不足感がありますから、ここは悪くはないと思うんですけれども、企業業績は、先ほどのグラフを見ていただいた通り良くないというのがあるわけです。さらにもう1つ、3つ目の要因としてはインフレ率というのがあるんですね。物価が上がっていれば、それだけ労働組合側もその物価が上がっているからと要求を強めやすいですけれども、足元の物価がどうなっているかと言うと、消費者物価のインフレ率ですけれど、日銀はエネルギーを除いた物価を見ていてプラスだとおっしゃっているんですけれども、実際、春闘で、交渉で使われる物価というのは、いわゆる生鮮食品を除くと言うか、総合の物価、エネルギーを含んだ物価ですね。これまでエネルギーが下がってきましたからマイナスになっているわけですね。それを考えると労働需給はそこそこだけれども、企業業績も昨年よりは悪いし、インフレ率も下がっているということからするとおそらくこのままいってしまうとさらに来年の賃上げ率は下がって、賃金上昇率も下がっちゃうということからすると、個人消費にちょっと楽観的な見方はできないかなというところだと思います」

『消費』は高まるか?
秋元キャスター
「ここからは、宅森さんに身近なデータを紹介いただきながら、日本のGDPの6割を占める個人消費の行方について聞いていきます」
宅森氏
「消費について良い面と悪い面といろいろあるんですけれども、結構プラス面のデータもあります。たとえば、旅行とかそれなりに皆さん行っていらして、五稜郭タワーもすごいですよ、新幹線効果もあって、4月以降、前年比30%以上。地震があった6月の時も減るかなと思っていたんですけれど、五十パーセント台の伸びで、すごく出ています。ちょっと地震があった熊本絡みのところは弱いというのはありますけれども、東北の4大祭りですけれども、今年も8月の初旬に行われましたよね。この中では秋田竿燈祭が、最初の2日間ちょっと人数が少なかった。そういうことで減っているのですが、それ以外は増えていまして、特に仙台七夕祭とか、結構、増えているので、合計すると10万人ぐらい増えていることになります。ということで、これはプラスだろうと思うんですね」
秋元キャスター
「祭りに皆行くとプラスに影響するのですか?」
宅森氏
「個人消費でしょう。旅行だから。ということになるでしょうね。それから、最近、ポケモンGOなるものが流行っていまして、景気ウォッチャー調査でポケモンGOの影響がわかるんです。これはプラスに働いています。と言うのは、さすがに内閣府のデータでポケモンGOという言葉は統計に出てきません。ただ新作スマホゲームということで出てくるんですよ。これで調べてみますと、現状判断の中で、全部で2050人に聞いているんですけれども、9割強が答えているので、千八百何十人という人の中でコメントした人が6人なのですが、やや良くなったという中で、理由として使ったのが3人。変わらないが3人ということで、良い1点、それから、やや良いに0.75、変わらないに0.5、やや悪くなったに0.25、悪くなったに0という点数を与えて加重平均をする。それをパーセント表示にしたものが平均と書いてある数字ですけど、62.5という数字になるわけです。50が変わらないという、ちょうど分岐点のところで数字になるわけですけれども、それを上回っていますので、景気にとってはプラスに働いたということになります。先行き判断の中では、やや良くなっているが7、変わらないが6、やや悪くなるが4、やや悪くなるというのはゴルフ場の方があまりゲームに夢中になってゴルフをやりに来なくなったら困るなというようなことをコメントされているというのがありましたけれども。これでも54.4ですから、このへんは新しい動きとしてはプラスに、若干ですけれども。それから、株価の動きが心配ではあるんですけれど、ちょっと明るい話題としてはオリンピックです。今日もレスリングで3つ金メダル獲りまして、金が10個になりました。金10というのは、非常に重要な統計でして、日本が参加国として参加しているオリンピックですね。1968年のメキシコ以降、ここで金メダルが、そういう状況では2ケタになったのはメキシコですけれど。そこから見ると、金メダルが10個の時、10個以上の時というのは開催期間中の日経平均株価は上昇します」
秋元キャスター
「なぜなのですか?」
宅森氏
「元気が出るんですよ。自分もがんばろうという気持ちということでね」
大山解説委員
「表を見ても、金メダルの数の時はプラスになっていますよね?」
宅森氏
「だから、9個の、北京の時はマイナスになってしまっているんですね。それから、ロンドンの時は7個しか獲れなかったんですけれども、ただメダル総数が38もあるんですよ。逆にメダル総数で見ると、だいたい30を超えると、それなりにメダルラッシュというイメージになるではないですか、毎日、毎日報道されるので。そうすると元気が出やすいということもあるんですね。スポーツの結果は、景気にすごく影響を与えるんです。たとえば、サッカーの日本代表が初めてワールドカップに出場を決め、ジョホールパルの歓喜がありましたよね。あの時は深夜にフジテレビで皆さん放送を見ていて、50%近い視聴率だったんです、1時近くで。良かったねということで、寝て起きたらびっくりするニュースが飛び込んできて、北海道拓殖銀行経営破綻ですよ。その時の日経平均株価は、1200円高です。だから、膿が出て良かったねというコメントもありましたから。逆に明るく捉えるというのがあります」
秋元キャスター
「永濱さん、日本の消費の現状をどう見ていますか?」
永濱氏
「こちらのデータですけれども、これまでのマクロの、家計消費と雇用者報酬のグラフでして、確かに雇用者報酬が増えている以外では、個人消費、消費増税後に、停滞しているとは言えるのですが、ただ、足元、年明け以降はちょっと個人消費下げ止まってきている感はあるかなと。なぜ下げ止まっているかと言うと、形態別の消費で要因分解できるんですけれども、耐久消費財で結構、戻ってきていまして、なぜかなということで、あくまで推測ですけれど、この耐久消費財、特に家電が消費増税前も売れたんですけれど、それよりも前に売れたタイミングがないかなというと、2009年度以降に家電エコポイントで、結構、家電が売れたんですね。テレビとか、エアコンとか。それが特にデジタル家電系が、買い替えサイクルというのがだいたい6、7年とか、それぐらいで、到来時期に来ているのかなということで、そこがちょっと出ているのかなというところだと思いますね。ただ、そうは言っても、雇用者報酬が増えている割には、個人消費が弱いという姿は変わらないというところがあって、足を引っ張っているのは株価が上がらないというところがあって、ある意味、所得が増えているのに個人消費が伸びないというのは非常に深刻な状況だと思うんですけれど、逆に言うと、先ほど、宅森さんがおっしゃったようなイベント的な効果の部分が意外と消費者の財布の紐を緩める可能性があるかもしれないという意味では、私も注目をしてみたいと考えています」

世界経済とリスク要因
秋元キャスター
「世界経済の見通しはあまりよくないと見たらいいのでしょうか?」
松野氏
「そうですね。IMF(国際通貨基金)の特徴としては年初の見通しが割りと甘めで、期を追うごとに下方修正することが多かったので、一概にそれが悪いかというとそうではないですが、世界経済の巡航速度は4%ぐらいと言われています。それよりは若干ペースダウンしているのかなと」
秋元キャスター
「この見通しはEU(欧州連合)離脱前のものです。EU離脱が世界経済を悪くする可能性というのは?」
松野氏
「イギリスそのものは悪くなると思いますけれど、たとえば、日本はイギリスとの貿易量が多いかと言うと、まったくないわけではないのでしょうけれども、中国やアメリカに比べれば規模も小さいですし、離脱の交渉が始まるのは来年からとなりますので、足元の経済を見る限りはそれほど大きな影響があるかと言うと、全体にはあまりないのかなと思います」

米国経済と利上げ見通し
秋元キャスター
「アメリカ経済の現状はどうなっていますか?」
松野氏
「アメリカ経済は、平均時給と消費者物価指数ということで、リーマンショック以降、平均時給はなかなか伸びなかったんですけれども、ようやくここにきて右肩上がりになってきたと。それにあわせて物価のところも少しずつ上がってきているということで、アメリカの経済的には暖まってきているのかなと思いますね。改善に向かっていると思います。マーケットが非常に注目している雇用統計なのですが、失業率が下がってきているということで、5%を割り込む状況になってきています。足元で非農業部門の雇用者数の増減ですが、乱高下していますが、だいたい15万人ぐらいということで、ひと頃に比べると伸びが鈍化しているところがありまして、見方がいろいろとあるのですが、完全雇用に近い形になってきて、ここからさらに雇用者数が伸ばせるかというと、それも難しいのかなということはあるかと思います。もう1つの考え方としては、そうではなく、アメリカの経済はそろそろピークアウトしているのではないか。労働生産性が悪いとか、小売売上高が予想より悪いといったような、予想より悪い経済指標が出てきているので、そういう見方もできなくもないのですけれども、どちらかと言うと、アメリカの金融政策を司る、FRB(連邦準備制度)を見ていても、利上げしたい状況、本当に景気がピークアウトしているのであれば、それよりも金融緩和を考えていくような状況になるかと思うのですけれど、現在そういう状況ではないということを考えるとアメリカの経済というのはそこそこしっかりしているのかなという感じですね」
大山解説委員
「マーケットは、これだけ巡航速度になっているのに何故アメリカは利上げしないのかとみるのか、年内には確実にするとみているのか、その時期についてどういう風に見ているのでしょうか」
松野氏
「マーケット的には12月、年内に1回ぐらいできるだろうな、あるいはできればいいなと。もう1回ぐらい、年末にというのがコンセンサスになっているみたいですね」
秋元キャスター
「アメリカの大統領選の影響は?」
松野氏
「クリントン有利という話ですから、サプライズは何もない一方で、不確定要因もないのですが、トランプ氏の方はかなり不確定要因が多く、何をするかわからないというような話はあるのですが、最近ドンドン人気が衰えてきているみたいですから、その点はマーケット的には安心感はあるかなと。ただ、トランプ人気が高まってくると、マーケット的には波乱含みの要因になるのかなと思いますね」

2016年後半 日本経済の焦点
秋元キャスター
「秋以降、気になるデータはありますか?」
宅森氏
「日本シリーズの対戦カードがどうなるか。プロ野球です。日本シリーズの対戦カードを見てみると毎年、年の初めに某新聞で世論調査がありまして、巨人何パーセントとか、阪神何パーセントとか聞くわけです。それを元にランキングをつくってみたところセリーグですと1位が巨人、2位が阪神で、パリーグの方は1位がソフトバンク、2位が日ハムという順番ですね。日本シリーズの対戦カードで、クライマックスシリーズがあるので予想も難しいのですけれども、人気ランキングの合計数を出しまして、2~5の時は、1985年以降、17回あるのですが、16回が拡張局面、1回が後退ですけれども、これは、日本シリーズのやっていた11月が景気の谷で、すぐ上向いていったという、2012年ですね。巨人×日ハム戦だったのですが。7~8というやや不人気球団が絡む時に後退は5回で、拡張が2回です。ただ、拡張の2回というのはロッテが下克上で日本一になった時なので、日本人が割と好む形ですよね。3位から下克上で日本一と。6というのは可もなく、不可もなくということで、拡張3回、後退3回。昨年はこちらのパターンになるのですが。今年はどうなるのかというと、まだ結果を見て見ないとわかりませんが、パリーグの方は逆転があるかどうかですけれど、ソフトバンク、日ハムの優勝争いでどちらかが出てくる可能性が高い。そうすると1か2になりますね。セリーグの方は広島が強いということで、広島の3。巨人が追いかけていて、メイクドラマができるかどうかなのですが、これが1と。この組み合わせは全部2~5になるんですよね。秋になると経済対策の効果も出てくるし、プラスなのかなと。あと面白いのは広島がAクラスになった時は名目成長率が高めになる。なので、10月以降はエネルギー価格の前年との関係で、消費者物価も少しずつマイナス幅が小さくなって、プラスの方に動きやすいんですよね」
永濱氏
「今年後半以降の日本経済の鍵を握るのは日銀の今後のスタンスであって、それこそ総括的な検証をして、追加緩和、緩和の拡大にいけば、もう1回アベノミクス再起動ということがある一方で、それができなければ、景気後退の可能性もあると考えています。市場では追加緩和難しいのではないかな的な見方が多いですね。それがあるからこそ長期金利が上がっていることもあるのですけれど。追加緩和どんなことが考えられるのかと。どういったものが期待されているのかというと、結論から言ってしまうと、量の部分を増やせないのではと言われているところを枠組み変えて増やすとか、もしくは政府・日銀の協定の拡充とか、このへんが踏み込めれば、追加緩和の可能性があるのではないかなと思います。具体的に言うと、国債を市場はどう見ているのかと言うと既に世の中にある日本国債3分の1以上を日銀が持ってしまっていると。一方で、民間の金融機関も担保のため一定の国債を持たなければいけないことから考えると、市場では来年度中にも国債が買い切れなくなってしまうのではないかと、限界説があるんですけれども、一方で、黒田総裁は、まだ3分の2弱は国債が残っているんだと、だから、限界ではないとおっしゃっているんですね。と言うことからすると、実際に3分の2の残りの部分をちゃんと買えるように枠組みの変更ができるかどうかというところが1つ方向性としてあります。政府・日銀の協定拡充、将来的なヘリコプターマネーなどに連想がいくと思うのですが、もっと政府、日銀が協調して、政府が発行する国債を間接的にもうちょっと引き受けに近いような枠組みができるかどうか、そういったところが出てくれば、追加緩和にいくと思うのですが、それができないと緩和縮小という可能性があるので、円高が進んで、景気後退になりかねないかなと思っています」

宅森昭吉 三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミストの提言:『不退転』
宅森氏
「景気は底堅いというのが、私の解釈ですけれども、なかなか回復になっていない。その回復を判断で示す、改善に戻るのは年内にできるのかどうかギリギリのところですね。不退転で、最後まで諦めずに年内に回復をしてほしいと思っています」

松野利彦 SMBCフレンド証券投資情報部チーフストラテジストの提言:『各国の金融 財政政策に注目』
松野氏
「金融政策に関しましては番組でずっとやっていまして日本とアメリカの金融政策に今後注目なのですが、それを含めまして金融政策のある程度効果というものを考えると、限界があるかと思いますので、そろそろ財政政策の出番かなと思いますので、日本でもやりますけれども、世界でもそういったところに注目して、今後の経済を見ておく必要があるかなと思います」

永濱利廣 第一生命経済研究所首席エコノミストの提言:『BoJ』
永濱氏
「BOJというのは日本銀行、Bank of Japanの略ですけれども、日銀の行動次第だと思います。実際に9月に総括的な検証をして、そこで追加緩和をやらなくてもいいんですけれども、イングランド銀行もその時には追加緩和をやらなくても緩和の示唆はしていますので、緩和の拡大という方向を見せられればいいと思うのですが、間違って緩和縮小となるとアベノミクスは終わってしまうかなと。それぐらい重要なポイントなのかなと思います」