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2016年8月16日(火)
今どきの『親子関係』 家族の『絆』はどこへ

ゲスト

下重暁子
作家
信田さよ子
原宿カウンセリングセンター所長
原田曜平
博報堂若者研究所リーダー

今どきの『親子関係』 『ママっ子男子』とは?
秋元キャスター
「今どきの親子関係がどうなっているかから見ていきたいと思うのですが、原田さんは著書で『ママっ子男子』という、新しい親子関係について書かれているのですが、このママっ子男子とはどういうものなのでしょうか?」
原田氏
「要は、お母さんと非常にお友達のような関係を築いている、今どきの若年男子。主にはハイティーンぐらいから20代の男の子の中で非常に多くなってきていると。ここ16、17年、若者研究をやっているんですけれども、本当にこの数年で若い男の子達が、急に、俺、お母さんと昨日、デートに行ってきたんですよと。デートという表現を、たとえば、使うとか。本当に仲が良くなってきているんですよ。しかも、人前で恥ずかしがらずに、それを公言するような。場合によっては、合コンでも、俺、お母さんと超仲良いんだよと言うようになってきている。女の子側もそれを受け入れるようになってきて、意外と、お母さんと仲良い男の子達、いいね、みたいな状況になってきて、すごく異変が起きているぞということで、従来のマザコンとは何か違うものであるということで、ママっ子男子とネーミングしたんですね。たとえば、ママっ子男子とそのお母さま達とのやり取りのLINEをいくつも集めたんですよ」
秋元キャスター
「スマートフォンでメッセージのやり取りをするLINEの画面ですね?」
原田氏
「はい。たとえば、こんな感じですね。緑色の方が子供、ママっ子男子の男の子、19歳の子ですけれど、おしゃれってなに着ていこうかなと悩んでいるよ。何がいいかなということを、お母さんに書いているわけですね」
秋元キャスター
「おしゃれを、何を着ていっていいか、お母さんに相談をしている?」
原田氏
「たぶん、だから、東京に出てきて一人暮らしとかなんでしょうね。離れているんでしょうね。そうしたら、お母さんが、わかった、買ってあげるからと答えていると。いや、○○さんとはお母さんの名前ですけれども、いや、○○さんのセンスは、ちょっとダサいからな、みたいにお互いじゃれあっているわけですよ、突っ込んでね」
秋元キャスター
「笑というのがついていますものね」
原田氏
「だけど、僕、お金ないから、お母さま買ってくださいと。これは冗談ですよね。そうすると、お母さんが、最後に、もう、私のセンス信じないなら、東京の店員さんに、上から下まで見てもらうしかないね、みたいな。まさに、このLINEのやり取りを見ると、非常に対等、フラットでお友達のような関係になっていますよね。昔の上下、親子という関係ではなくなってきているということで、新しい言葉が必要だろうということで、ママっ子男子というネーミングをしたんですね」
秋元キャスター
「でも、本当に画面だけ見ていると、親子の会話とはちょっと思えない形ですよね。この上下関係のなさというのはどうしてこうなったのでしょう?」
原田氏
「本当に、いくつも、いくつも理由があるんですけれども、もう1つは、経済的に若い人達が非常に厳しい状況になってきているので、前提として、ちょっと親に、親と仲良く手を組んでおいた方が得策であるというところは」
秋元キャスター
「したたかですね」
原田氏
「そこまで露骨に考えているかわからないですけれども、背景にはたぶんあると思います。非正規雇用の率も高いですし、手取り収入も減ってきていますから。ここ10年、15年で言えば、というのもありますし、もう1つ、私が研究しているのが、10代後半から20代ぐらいの若者ですけれども、その親世代がすごく激変して。たとえば、40代後半から現在の50代前半ぐらいのバブル世代と言われる女性達の、それこそ、サザエさんの世界で言ったらフネさんと同じ年ぐらいですけれども、現在、ああいう割烹着を着たお母さまはいらっしゃらないですよね。自分達のことを、美魔女とおっしゃって、実際、おきれいで。だから、一緒に、子供が、息子が歩いていても、誇らしいわけ。すごくきれいですから。お前のおかあちゃんきれいだねと言われるわけですからね。いろいろ消費意欲も旺盛だし、恋愛経験というのも、かつての日本のお母さまとは違って自分で恋愛経験を積んでいますから。だから、子供の恋愛相談にものれる。親世代の変化というのも非常に大きいのではないかと思っています」
秋元キャスター
「何でも相談できる先輩みたいな関係ですかね?」
原田氏
「でも、先輩というか、本当に友達親子というか。本当にお友達。逆に、友達に恋愛の悩み相談をするとSNSで広がっちゃうんですよ。あいつ、こじれているらしいよとか。お母さんは意外とSNSを使いこなせる世代ではないので、お母さんに言った方が広がりにくい。そういう理由もあるみたいで。親友のような。かつての親友。お母さんには言えないけれども、親友に言えるというのが逆転しているという傾向もあるみたいですね」
秋元キャスター
「下重さん、いかがですか?こういう親子関係は」
下重氏
「そうですね。ママっ子女子というのは昔からあったんですよね。それと同じになってきたということですよね、男の子も。だから、まったく女性化しているというか、ママっ子女子とママっ子男子というのはまったく子供も同じになっちゃっている、それが良いか悪いかは別ですよ、と思いますね。ただ、何でこうやって依存し合っているのかなと思うと、これは結局のところ、お互いが楽なんです。お互いが喧嘩しているとしんどいではないですか。そういうことをしない。親を乗り越えていこうと思うと喧嘩しなければいけないし、反抗期があって、反抗しなければいけないなんていうことがあると親も悩むし、子供も悩むでしょう。悩まなくて済むわけです。こうやって仲良くしていれば。それは成長しないということです。一言で言えば。私に言わせれば」
原田氏
「ちょっと庇うつもりはないですけれども、時代背景の変化もありまして、たとえば、私は団塊ジュニアと言われる世代ですけれど、うちの父親は団塊世代よりちょっと上ですけれども、お前、良い大学に入って、良い会社に行かないとダメだぞ、と言うのに、説得力もあったわけです、時代的に。彼もそう生きていたわけですから。ところが、バブル世代あたりというのは本当に、思春期はすごく良い時代を生きましたけれども、中高年になってから、非常にリストラされて、不遇の世代ですから。子供に何か押しつけて、こう生きろと言うのが、自分自身ちょっと見えなくなっちゃっている面があるんですよね。だから、親の方もちょっと悪く言うと押しつけにくい時代になっていて、ある種、子供に選択を丸投げしまっている、そういう時代背景もある」
下重氏
「だから、私が言う楽なんですよね。子供の方も楽ですよ。お母さんと仲良くしていれば」
秋元キャスター
「依存し合っている関係に見える?」
下重氏
「そうですね。それをいかにも仲が良いというふうに、デートも一緒にすると。何か買ってもらうと。楽であってはそこから生まれてくるものはないと私は思うの。楽なことばかりを選んでいくと、そこから生まれるものは何もありません」
信田氏
「先ほどの、ママっ子女子の話ですけれども、私は『一卵性母娘な関係』という本を1999年に書いたんですよ。その頃は、おっしゃったように団塊ジュニアと団塊世代のお母さんがまるでペアルックを着て、一緒に買い物に行ったりして、服を交換していってというのがすごく多かったんですね。私、このままいくのかなと思ったんですけれども、それが2008年から現在に至るまで、お母さんが重いという、つまり、お母さんとの関係がすごく大変な娘達と、そのまま10年後、15年後ぐらいになったということで、このママっ子男子が今後どうなっていくかということについては、そのまま本当にフラットな関係でいけるのか。一転二転するような気もしなくもない」
秋元キャスター
「母、娘の場合はある時に重くなっていってしまったと」
信田氏
「そうでしたね。それはびっくりしましたね」
下重氏
「それは同じことが起きると思いますね。むしろ男の子の場合も私はもっと重い形で起きると思うんですね、違う形で」

親から子への『経済援助』
秋元キャスター
「ここからはお金という視点から親子関係を考えたいと思います。まず一世帯あたりの世代別の貯蓄額を示したものです。親世代が圧倒的に裕福で、働き盛りの40代でもおよそ1000万円と。60代、70代の半分以下となっています。この親と子の世代間の経済格差が親子関係にどういった影響を与えているのかということですけれど、信田さん、『家族のゆくえは金しだい』という本を書いていますけれども、親子間でのお金に関する相談というのはどういうものがありますか?」
信田氏
「私達は本当に具体的な問題が多いですけれども、引き籠っている30代、時には40代に至る息子が、自分は親のせいでこうなったんだと。だから、弁償しろと。賠償金をよこせ、もしくは償えと。これから自分はあと100万円出してくれたら専門学校に行くんだとか貰って、行かないとか。そういう形で息子の未来に、親は言われたら出し続けますよね。出して、出して、でも、裏切られ、裏切られ、結果的に親の方がお金がなくなってしまうみたいな、そういう事例はとても多いです」
秋元キャスター
「それは親が出しちゃうのですか?」
信田氏
「出しますね。息子がこのまま引き籠っているよりも、専門学校に行って、資格を取って、介護の仕事にでも就いてくれたらいいかなと。親の望みは唯1つですよ。自分が食べる分ぐらい自分で稼いでほしい。それが唯一の親の望みです。それすらもできない若者が結構、いますからね」
秋元キャスター
「そういうケースは結構あるのですか?」
信田氏
「多いです。珍しくはないですね。私達もカウンセリングをやっていて、2002年、2003年までは、子供を出すということで解決をしていたんですよ。そうすると、自立するし、アルバイトして、正社員になっていく。良かったわ、あの時、出してという時代があったんですよ。ところが、ある時からそれが効かなくなった。それをやったら、ホームレスになっちゃうよという事態になってきて。実際、先進国ではホームレスは若年化していますよね。そうやって自立のために家を出た。でも、親の援助も期待できない。社会保障もない。そこでホームレスになる若者が増えるという事態が、日本もやってきていると思った時に、ホームレスか、生活保護になるのか、親が出すのかの三択みたいな」
秋元キャスター
「子供にお金をせがまれて、あげる分もありますけれど、与えるということ、これは親の愛情ですか?」
信田氏
「良い質問ですね。お金と愛情というのは本当難しいところですよ。これまでは、日本の家族はあまりお金のことは言わないで…」
下重氏
「それが愛情だと思っていたのね」
信田氏
「それで他の絆でつながってきたというか。だけど、ここにきて社会が緩やかに下っていく時に、お金の問題も愛情とイコールではないんだけれども、お金の問題と愛情の問題をどういうふうに重ねて、どういうふうに分離するか。そこは一概に、私はこうだと言えないと思うんですよ。1番問題なのは、お金をあげるのが愛情だと思っている親です。子供に責められると後ろめたいので、愛情でどんどんお金を出しちゃう。結構、育児方針でもお金を出すことで愛情を注いでいると思っている親、結構しているんですよ。だから、そのあたりは少し考えるべきだろうなと」

子の『自立』と『依存』
秋元キャスター
「日本の親子が直面している1つの現実ですけれども、20代から40代半ばまでの親と同居している未婚者の割合です。割合は、どちらの世代も少しずつ増えていまして、20歳から34歳だと最近は48.9%。35歳から44歳だと16.7%の未婚者が親と同居している。結婚せず、親と同居して、家事や家賃などの負担を、親世代に頼るという、昔パラサイトシングルという言葉がありましたけれども、1990年代後半頃ですけれども、これは一向に減る様子がないということですが、信田さん、なぜ減らないのか?なぜ増え続けるのか?」
信田氏
「それは、パラサイトシングルというのがすごく新鮮な時代があったんですよ。えー、みたいな。でも、これを見てもわかるように、当たり前でしょう、みたいな。そうでないと生きられないという。むしろ親の側もメリットを利用し、子供の側もメリットを利用し、楽に生きるためにはやむを得ずそうしているという現実が私はあると思うので、私個人としては1人暮らしをするべきだと思います、20歳になったら。だけれど、それを主張するのがあまり非現実的な現実が広がっているので、私は仕事上あまり言わないようにしている、最近は」
下重氏
「ただ、私が思うのには、人を養うのは大変よ。親を養ったり、子供を養ったりするのはね。そうではなく、自分1人が食べる分には、自分1人を自分が養うというのは、これは義務だと思うのね。私は戦争負けた時に、自分はこれから大人は信用できないから、自分で食べていくと決めました。それから、何とかずっと誰にも食べさせてもらったことはなくて、自分で食べてきて、何とか本が売れたので、最後までいけるかなと思っているところですけれども。だから、自分1人を、自分で食べさせるというのは誰でもそれは義務ではないですか。健康な人ならですよ」
信田氏
「と親は言いますよね」
下重氏
「病気があったら別ですよ」
秋元キャスター
「現実、なかなか厳しいのではないか?」
下重氏
「厳しいですよね」
秋元キャスター
「パラサイトシングルも、当たり前になっちゃっていて」
信田氏
「そう、死語というか」
秋元キャスター
「死語になってしまっている?」
信田氏
「死語になっていると思いますね。それに今の若者は、人間関係がすごく難しいではないですか」
原田氏
「難しくなっていますね」
信田氏
「すごく難しくなっているんです。だから、その中をどうやって泳いで適応していくかということで結構ハードルがあるし、コミュ力という言葉があるように…」
秋元キャスター
「コミュニケーション能力ということですか?」
信田氏
「能力です。それが試されるので、ある程度、成績が良く、コミュンケーション能力があって、家族も安定していて、それでそこそこの大学に行った人だけはいけるかもしれないけれども、それ以外の人というのは本当に一歩落ちたら、まっ逆さまという時代ですから、私は本当に大変だろうなと思いますね」
原田氏
「でも、この数年、状況が変わっていまして、若い人の非正規雇用の率が増えていたり、給料は、依然として厳しい人が多かったりはするのですが、働こうと思えば、働ける状況にはあるんですね」
下重氏
「私は、そう思いますね」
原田氏
「ちょっと景気の回復に関しては、いろんな見方がありますけれども、とにかく労働人口の人手不足で若者がほしい、若者がほしいと、バブル期並みに内定率も良くなっていますからね。だから、意外と若者からしたら、自分で稼ぎを、昔ほど条件は良くないかもしけれども、最低限の稼ぎは少なくとも1990年代よりかはかなり良くなってきているんです。だから、何か変化が起きるタイミングがあるとしたら、今で。今起きなければちょっと今後も難しくなる」
信田氏
「結局そこで障害になっているのは、やりたいことをやるとか、自己実現という言葉があまりにも定着し過ぎていて、やろうと思えばできる。確かに求人倍率もアレですよね。だけど、これは俺のやることじゃないよとか、本当にやりたいことではないのではないかという、変に小学校からずっと言われたことが影響し、ちょっと障害になっているのではないのかなと思うんですけれども、どうでしょうか?」
下重氏
「それと人と同じことをやる、人と同じことをやって安心しているというところがあるでしょう。同じことがやれれば安心している、子供達もね。だから、親もそうですよ。周りのママ達を見てね。同じふうにやれていると思うと安心をする。人を見ていたらダメですよ。結局、私は、人間関係というのは個と個の付き合いだと思いますから、人を見て、グループを組むとか、人と同じことをしたいと思っている限り、苦労は付きまとうと思いますね。人間関係ということは人と同じことをしようと思っていたら、すごく大変ですからね。そうではなく、人に嫌われたっていいんですよ。私は私の道を行くということになる子がどうしていないのかというのはもう情けないね」
秋元キャスター
「自信が持てない?」
下重氏
「そうでしょう」
原田氏
「まず1つは時代が昔みたいに右肩上がりで、自分ががんばったらがんばった分、何かが貰えるという時代ではなくなって。自信を得にくいです。自分としてはがんばっているつもりなのに給料が下がっちゃったみたいな。報われにくくなっていますから。そういう意味で、自信を失っているのが1つと。もう1つが、SNSで、友達の数だけはすごく増えているんです。つまり、1回会っちゃえば2度と縁が切れない。ずっとその人の日記が毎日、毎日入ってくるわけですよ。となると、どういう状況かと言うと、自分と合わない人、嫌われている、自分が嫌いな人とも永遠につながり続けるんです。いろんな人、いろんなコミュニティに良い顔をしないといけないので、あまり自分が出せなくなってくるし、皆に合わせなければいけないとある種、よく、私はSNS村社会と言うんですけれど、そういう同調圧力が昔の日本以上に強くなっちゃっていると」
下重氏
「この圧力はすごいですよね。それに反発できるぐらいのものを持っていないと。人に嫌われたっていいではないですか。それだけたくさん友達がいて…関係の深い、思いやりのある友達が1人でもいた方がよっぽどいいですよ」
原田氏
「でも、実際、Twitterで炎上したら、大変ですよ」
下重氏
「いや、そう思いますけれども、でも、だって、あの本だって随分言われましたからね。私はわかっていますけれども。だけど、それはその人のものの考え方よね。私は人に言われても全然あまり感じないし、それは人が言っていることであって、私は違う考え方なのだからという、それは人と同じにならなければいけないというのがすごく圧力になって、それによってストレス…人と同じようにできない。親も子もね。できないというストレスになってしまって、それが全ての愚痴だとか、不平だとかのもとになっていますよね」
秋元キャスター
「そうすると自信が持てない。なかなか自由に生きにくいという状況の中で、何をもって自立なのかというところですけれども」
信田氏
「私は、カウンセリングで自立という言葉をほとんど使わないですよ。それは、親は子供に何を望むかと言ったら、自立を望みますと言うのは決まっているんですよね。だけど、自立ということがいったい何を意味するのかというのが今ほどわからないことはなくて、経済的にも難しい、それから、同調圧力が強い。そういう中で本当に自分の個として自分を際立たせるということは果たしてメリットになるのか、デメリットになるのかわからない社会ですから。私は、適応するということを上に置いた方がいいと思う」

『介護』とそれぞれの覚悟
秋元キャスター
「介護について、信田さんのところにはどういった相談がありますか?」
信田氏
「1つは、60代ぐらいになった娘が親の介護に直面して、親の介護がどうしてもできない自分…」
秋元キャスター
「自分の実の親?」
信田氏
「親ですね。姑ではなくて実母。そのことに気づいて、愕然として、自分は酷い人間ではないかとか、そう思って、カウンセリングいらっしゃる方もいます。あと介護はこれまでの夫婦関係とか、親子関係の総決算みたいなところがあって、自分の姑に介護が必要になった時に、夫が自分よりも姑の方を選んで、完全に夫婦別居になって、彼は母親と2人で暮らしているとか。逆の例もありますよね。自分の母に介護が必要になった時に今ある家族よりも自分と母との関係が重要になっちゃって、家族がないがしろになってしまうとか。すごくそういうことが多いですね」
秋元キャスター
「実のお母さんの介護ができない、それはどういう状況ですか?」
信田氏
「これまで見ないようにしてきたいろんな記憶とか、これまで見ないようにしてきた母親のいろんな言葉とか、そういうものが一気に押し寄せるというか、弱者になった母を前にして、こんなこともされたとか、本当に母は自分のためにやったのだろうかとか、いろんな価値が転換するような瞬間があるんですよね。だから、本当にうまくいっている親子は介護になってもギリギリのところはがんばって、介護して、看送ることができるんですけれど、それまでの母と娘の関係にいろいろ問題があると、介護になったからうまくできるというわけではないですよね」
下重氏
「介護が1番難しいですよね、介護の問題が。親子関係ならば、子供は成長してくる、その楽しみというのがあるでしょう。だけど、だんだん年老いていくということを、老老介護も多くなりましたし、そうなってくるとこんなに大変でしんどいものはないですね。これからの1番の問題は、私はここにあると思っています。それを解決しない限りは誰かが犠牲になるのよ。必ず犠牲になっているのは子供ですよね。何か国の方針かどうかはわかりませんけれども、だんだんと自分の家で看るという風潮が最近できてきている。もちろん、自分の家で看られれば、それが1番いいでしょうけれども、実際には本当に誰かが犠牲になって。私の友達も自分の仕事を全部辞めるとか、中断するとか、皆、犠牲になっていますよ。子供が犠牲になる。介護の間だけということは結局、お父様なり、お母様なりがいなくなるまではということでしょう、という感じですよね」
信田氏
「そうすると、介護ができないと気づいた方がまだいいということですね」
下重氏
「そうですね。だから、社会というのが大事になってきますよね。そこで社会が大事になってくるということは、社会的な介護の体制というのが本当にできているようでできていないね。それこそ働いている人達のお給料が少ないとか、いろんな暴行があってみたいに、いろんなことがあるではないですか。そういうことを考えるともっと介護を社会的に皆で看るという視点がなければ、介護は絶対に解決しません。自分の家で解決するなんてことはあり得ませんね」

『三世代同居』の功罪
秋元キャスター
「昨年3月に閣議決定された少子化社会対策大綱ですが、三世同居・近居の促進について」
下重氏
「私は先ほど、原田さんがとってもいいことおっしゃったと思うんですね。それは昔には帰れないということですね。まさに、これもその通りですね。昔には帰れない。昔は皆、三世代同居だったではないのと、良かったではないのと言うけれども、その時には三世代同居というのをしなければならないと思っていたわけで、そこから皆自由になってきたわけですよね。核家族がなぜできてきたかと言うと、三世代同居の中で嫁姑の問題であるとか、家族間の大変な人間関係のトラブルがいっぱいあったわけでしょう。そこから何とか逃れたいと言って若い夫婦が別居して核家族をつくってというふうになって、そこから変わってきたわけですよ。やっと皆、個々の自分達の家庭を持つようになって、それぞれ違ったっていいではないかと、同性同士だっていいではないかと、どういう家族だって、悪いことさえしていなければ、人に迷惑かけなければいいではないかという時代ですよ。私は個々になって、多様化していくのが当たり前だと思っている。それを元に戻そうというのは、戻りません。これは机上の空論だと思いますね」
信田氏
「看てもらうのはいいと思うんですけれども、看るのはすごく自己制御と言うのですか、これは絶対に口出ししてはいけない部分と、それから、看てもらった方は絶対に文句を言っちゃいけないですとか、これは介護と同じですよ。だから、お互いのルールをつくって、ギリギリやればいいのではないかなと思います」
下重氏
「一緒にいれば口出しをしたくなる。別に住んでいればいいのよ。いつも一緒になったら、目の前で見ているわけでしょう。そうしたら、その教育方針は違うのではないかとか、私はそうは思わないとかね」
信田氏
「昔に戻れないとおっしゃったけれど、昔の記憶がなくなれば戻る可能性もあるのかなと。カウンセリングの現場では何で同居してくれないのですかという息子夫婦や、娘夫婦がいるんですよ。冷たいではないですか、親子でしょう。そういう事例も結構あるので」
原田氏
「実際、増えているんです、同居も近居も。母数はまだ少ないかもしれないけど。ベースとしてはお金がないから依存せざるを得ないということで増えている。もう1つは友達親子ではないですけれど、ママっ子男子ではないですけれど、昔のお母さんみたいにお嫁さんに意地悪するという感じではなくて、フラットになってきているので、昔よりは接しやすくなっているのがたぶんあると思う。ただ介護とか、子育てとか、重要問題が生じた時、夫婦2人と親の時はいいのですが、親の介護が発生した時は重圧がかかるので、この関係が崩れる可能性があるのではないかと思うので、義務があるような関係に国が仕向けようとしてもあまりうまくいかない。自発的に彼らがお友達同士で付き合っている分には昔よりは自発的に近くに住んだり、同居したりするケースはあるんですよ」
信田氏
「近居の場合は、妻の(親の)側の近く、妻の親が近くにいる。夫の親ではなくというのはある。それは妻の発言権が強いから。自分の言うことを聞かせるタイプの男性は結婚できないでしょう、これからは。ママっ子男子的なのがモテるというのはそういうことですよね。女性の意向を汲むということで皆、結婚できるんだし…なんて言っていいんですか?そうすると、女性の親の方が面倒を見てもらいたいと、実家の近くに住むというのも、スープの冷めない距離というのも、既にこれは実現していると思います」
秋元キャスター
「核家族化で家族の絆が弱くなってきたと言われるなかで、三世代同居で家族の絆が取り戻せるのではないかというのは?」
下重氏
「そんなことはないです」
信田氏
「ないです」
原田氏
「変なしがらみも戻ってしまう」
下重氏
「それは3人とも一緒ですね」

原田曜平 博報堂若者研究所リーダーの提言:『ママっ子男子を社会の活力へ』
原田氏
「どういうことかと言うと、たとえば、消費の面で言うと、かなりそういう状況になってきていて、若い人達があまりお金を使わなくなってきていると。不必要に使っていた過去とどちらが良かったかという議論はあるんですけれども、さておき、個人消費が伸びないというのは日本の今の問題ですから、そうなった時、ママっ子男子というのは良くも悪くも親と一緒に消費をする傾向が強い、女子もそうですけれども、男の子も。たとえば、車とか、住宅とか、高額商品というのはお母さんとセットにした時、お母さんとセットで買われるケースがすごく増えているそうですね。一緒に買いに行くと。たとえば、25歳のご夫婦が車を買おうとするんだけれども、車のディーラーさんはそのご夫婦を口説いてもなかなか買ってくれないと。ある日、お母さんを連れてきたと、お母さんを口説いたら、あんた買いなさいよ、みたいな感じで、ちょっと頭金を出してあげるも含めて買われると。この前18歳に選挙権が、有権者ができましたけれども、親子で選挙に行くケースがすごく多かったみたいなんですよ。もっと親子で選挙に行きましょうと言えば投票率を伸ばせられたかもしれない。良くも悪くも親子がすごく仲良くなっているのは、良い悪いはさておき、それを利用して介護・子育て、強制で無理矢理やらせるというのは難しい時代にはなっていますけれど、ここに着目するというのが重要なのではないかということが言いたかったんです」

信田さよ子 原宿カウンセリングセンター所長の提言:『世代の境界を!』
信田氏
「私はカウンセリングしながら、親世代が、たとえば、子供のためにとか、子供世代のためにやることが決して子供のためになっていないということをいっぱい見てきていますので、親世代は親世代で充足して生きる。子供世代はその親世代を利用しながらも、したたかに生きるという、世代の境界がないと様々な問題が起きてしまうのではないかなと思っています」

作家 下重暁子氏の提言:『親子は役割ではなく個である』
下重氏
「家族を見た時に親子というのがお父さん、お母さん、子供と役割分担になっているのよ今。それが全ての根源ではないかと思って、そうじゃないの、1人1人違う人でしょう、だから、自分のお父さんのお名前は何と言ったら、知らない子がいましたよ。名前なんて呼んだことないものって。パパはパパ、お父さんはお父さんだって。役割でしか見てない。そんなつまらないことはないでしょう、いろんなパパがいて、いろんな人がいるわけじゃない。お母さんだっていろんな個で違うわけでしょう。その人と付き合うことがどんなに楽しいか。それなのに親というのを役割で見ると、子供も子供という役割できちんとやるとか、甘えるところは甘えるとかね。何かそういうのは、私はどうもニセくさいというのか、そういう家族だなという気がして、それが長続きすることはできないに決まっているふうに思いますね。もっと個と個の付き合いをすべきだと。それがわかり合うコツだと思うんですね」