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2016年8月10日(水)
中・韓の戦争観と日本 ▽ 中国公船の領海侵入

ゲスト

凌星光
日中科学技術文化センター理事長
金慶珠
東海大学教授
三浦瑠麗
国際政治学者

尖閣諸島沖の緊張と行方 中国船『領海侵入』の狙い
秋元キャスター
「尖閣諸島周辺における中国船の領海侵入問題についてうかがっていきます。今月5日に中国海警局の船3隻の領海侵入と漁船7隻に対する退去勧告が確認されて以来、中国の公船や漁船による日本の領海への侵入や接近などが連日続いています。領海侵入については、昨日まで3日連続となっていて、また6日には接続水域で、およそ230隻の中国船が確認されています。凌さん、なぜ今、中国は尖閣諸島周辺に次々と公船や漁船を送りこんでいるのでしょうか?」
凌氏
「これは、まず侵すという侵入ではないですね、中国から言わせると。これは自分の固有の領土を巡回していると。そう言っている。日本と同じことを言っているわけですね。もともと国交正常化の時に田中角栄さんと周恩来のもとで尖閣の問題は取り上げないと。棚上げということで合意しているんですよね」
反町キャスター
「したかどうか、そこもちょっと曖昧な部分はありませんか?」
凌氏
「そこはそういう口約束があると。そのあと鄧小平さんの時に平和友好条約を結ぶ時に、鄧小平さんと園田さんの間でも係争を棚に(上げ)、共同開発ということをはっきり言うんですよね、鄧小平さんが。それに対して園田さんは反対をしないと。事実上、受け入れていると」
反町キャスター
「反対をしないというね・・・それで?」
凌氏
「それで、その時の係争棚上げということについて、当時の日本の政治家の大部分の人は、これは日本にとって大変有利だということで、だいたい受け入れていたんですよね。これについては、たとえば、孫崎享さんとか、矢吹晋さんとか、村田忠禧さんが立派な本を書いて、この棚上げということが日中の平和的に進む、大変重要なところで。これを破っちゃいけないと。破ったのが問題なわけですよ」
反町キャスター
「棚上げが日中合意かどうかというところはもちろん、ファジーな部分があると僕は思っているんですけれども、中国側から見た時に、日本が棚上げを破って、あのへんで何かやりました?たとえば、石油掘削リグを建てましたか?」
凌氏
「だって、上陸をしたでしょう。灯台か何かつくったでしょう」
反町キャスター
「それはずっと昔、右翼の人達がつくったやつであって今、機能している灯台ではない。僕が聞きたいのは、なぜここのところ急に、何百隻という漁船、これまで3隻がマックスと言われていた時期もあった中で、十何隻という船、公船が、海警が急に来るようになったか。なぜここのところ急に増えたのですかと聞きたい」
凌氏
「これは新聞の報道で、昨年の倍になったとか、これは当面の情勢が影響しているのではないかという、私も思いますけれども。それは今、安倍外交というのはどちらかというと、中国に対する対抗的なのがずっと展開されてきましたよね。私も、よく我慢をしているなと、中国側はと思っていますけれども」
反町キャスター
「それにしたって南シナ海における、南シナ海の問題の会議なんかだって、それをやったのは、この間のラオスでやったやつだって随分昔ですよ。それが反応として、中国から船が出てくるにしたって、このタイミングというのはなぜ今なのか。よく言われるのは、いわゆる北戴河と言われる北京北部の避暑地で、党の幹部が集まっている。そこの場において、習主席が党の長老達に良い格好を示さなくてはいけないから、こういうことをやっているんだよと。この分析は間違っているのですか?」
凌氏
「たぶん、これは中国のトップクラスが、こういうふうにやれというのではないと思います。それはたまたま漁船の中で、一部の者がこれを機会に何かという可能性はありますけれども。ですから、これは、程大使も荒立てるなと言いましたよね。これは本来、中国と日本との間の外交問題の、特にこの尖閣の問題については、先ほど言いましたように、2012年の対抗措置をとった時以来ですね。これは係争棚上げに戻っていくまではこの問題は解決しないんですよね」
秋元キャスター
「こうした事態に対して日本は岸田外務大臣が抗議しているんですけど、それに対して、程永華駐日中国大使も反論をしていますけれども、三浦さん、日本は今後できることとしてどういう対応があるんですか。抗議しかないのでしょうか?」
三浦氏
「日本は、まず抗議も夜中に呼びつけちゃダメだとか言われているんですけれど、そんなことは断じてないです。もっと語調を強めることはあるんだけれど、日本ができることは限られているんです。ここはアメリカに出てきてもらわないと困るところで、実際、何で困るかというと、本当に抑止するためには我々はそこまで抑止できる力を持っていないです。相手は核保有国ですからね。だけれども、我々が、もし、このままちょっとずつ譲っていくと、中国のサラミスライシング戦略と言われる薄切り戦略が成功することになる。実は歴史上、サラミスライシング戦略はほとんど防げないです。ほとんど防げないけれど、現在のような、大国だけれども、そこまでではない中国がアメリカに対してやる行動ではないと。だから、日本に対してはサラミスライシング戦略が効果を上げるんだけれども、アメリカに対しては、普通はしないですよね。だから、アメリカの立場をはっきりさせることによって、この尖閣の問題は、アメリカと中国の間の対立の問題だと的確にね」
反町キャスター
「そこに行く前に、アメリカの軍艦があの海域に出てくる前には日本の軍艦が展開して、その日中の軍、ミリタリー、ミリタリーの緊張感が醸し出されないと、アメリカは出てこないのではないですか」
三浦氏
「いや、それは違うと思います。日本が、たとえば、だんだんエスカレートしていくと極地紛争になるんですね。極地紛争になった時には基本的に国際社会は止める方向にいきます」
反町キャスター
「極地紛争というのは、海保と海警の関係上ではなくて、ミリタリーとミリタリーではないのですか?」
三浦氏
「ミリタリーとミリタリーの関係になりますよ」
反町キャスター
「日本の護衛艦と中国海軍が尖閣海域で対峙する前提がないとアメリカの軍艦が出てこないでしょう」
三浦氏
「いや、それは違うんですよ。つまり、外交的なメッセージとして、これはアメリカのある種、影響力のある問題であると。だから、台湾海峡危機の時にやったのと同じですよね。スーッと通るのと同じ意味」
凌氏
「現在、三浦さんがアメリカに頼れば、中国に対して抑止力ができると。それから、1996年の…」
反町キャスター
「台湾海峡事件ね」
凌氏
「あの時とは全然違いますよ。現在の状況」
反町キャスター
「それは、強くなったと言いたいのだろうけれども」
凌氏
「だから、強くなったから中国は何でもやっているという、そういうわけではなくてね。抑止力というものをアメリカに頼ることが問題」
三浦氏
「中国的には問題だけれども、日本的には問題はない」
反町キャスター
「抑止の理論を、どの国をレバレッジ使うのか。それはその国の価値観だから、それは問題ないと言われてもしょうがない」
凌氏
「お互いに抑止力を働かせようとすると悪循環に陥るんです。対話と…」
三浦氏
「対話だったら、現状ここまで・・・」
凌氏
「新しい安全保障体制ね」

『中国と韓国の戦争観』 『先の大戦』中国の認識
反町キャスター
「凌さん、終戦に至る経緯は、歴史の教科書にいろいろ書いてあると、僕らは、ここで聞いていきたいんですけれども。その中国の教科書を僕らが調べたところでは、毛沢東が日本侵略者に対する最後の一戦という声明を発表して、中国の一切の抗日勢力に全国規模の反抗を行うように呼びかけたのだと。八路軍、新四軍というのですか、その他、諸々の人民の軍隊は投降を拒否した敵を、断固として、殲滅したのだと。8月15日に、日本政府は無条件降伏をやむなく宣言し、9月2 日に降伏文書に正式に署名をした。ここに至って中国人民の抗日戦争は最後の勝利を獲得したと。何か毛沢東が先頭に立って、日本軍を撃破したかのような書きぶりが教科書に書いてあると言うんですけれど、これはちょっと事実とは違うのではないですか?」
凌氏
「私は、教科書を専門に調べたりしていませんけれど。抗日戦争は中国共産党指導のもとに勝利をしたと、これはこれまでずっと言われてきました。しかし、抗日戦争というのはもちろん、国民党と一緒に国共合作でやりましたから当然、国民党も貢献をしていて、それを否定しているわけではないけれども、ずっと共産党を強調してきた。でも、これは改革開放政策をやってから、特に馬英九政権が生まれて、大陸と台湾の関係が改善していく中で、抗日戦争というのは国民党の将軍、兵士も評価すべきだと。それを、学術関係では、研究者のレベルではかなり前から始まっていましたけれども」
反町キャスター
「いわゆる中国の本土の方の研究者でも、これは毛沢東が戦った戦争ではなくて、国民党が勝利した戦争なのだと皆、思っている?」
凌氏
「いやいや、そういうのではなくて、主導的役割を果たすのは共産党だけれども、これは全中国人民が戦って、それで国民党の将軍も当然、貢献をしているから。だから、いろんな戦益などでも、昔は共産党が主導したのが宣伝されたけれども、国民党の将軍の戦った勝利というものも紹介される。1番象徴的なのが、この前の70周年記念のパレードですね。そこにはかつて国民党の軍隊であった、生き残った老兵ですね、招聘されました。このパレードに」
反町キャスター
「確認だけしたいのですが、そうすると、現在の中国の教育、教科書においては、対日戦争の勝利の立役者というのは共産党であり、毛沢東であるということになっているのですか?」
凌氏
「基本的には、共産党のリーダーシップが1番強いと。しかし、同時に国民党の方も客観的に評価すべきだという方向に現在あります。それは研究者レベルで、それが徐々に取り入れられているというのが現状でしょうね」
反町キャスター
「間違っていませんか?歴史の把握の仕方として。客観的な事実として見れば、あの戦争、日本軍と中国大陸において戦ったのは蒋介石率いる国民党だったと皆、普通に思うのではないですか。それを毛沢東率いる共産党が日本軍を追い出したみたいな話という言い方を、ここにそう書いてあるんだけれども、そこは歴史を歪曲していませんかという、ここの部分は皆さん、引っかかる部分だと思うんだけれども、ここはどうなのですか?」
凌氏
「私は、基本的には断固として日本と戦ったというか、そこでリーダーシップをとっている、その面においては、やはり共産党ですよ。たとえば、1954年とか、1955年頃、その時にアメリカの視察団と言いますか、それが国民党軍と共産党軍を見て、どうも共産党軍は大衆の支持があっていいと。国民党は大衆の支持を得られていないと。そこで共産党と国民党が協力して新しい中国をつくるようにアメリカが働きかけるんですよね。蒋介石はそれを拒否するんだけれど。ですから、どちらかと言うと、国共合作で連合政府論というのを毛沢東が書きますけれど、連合政府論というのは、アメリカと中国共産党がだいたいルーズベルトが信用していたというか、そういう人たちの中でかなり働いていたというか、そういったのが最近、資料で出ていますよね。だから、アメリカでさえも共産党の抗日戦争における役割というか、評価をしていますよ」
三浦氏
「学問と言うのは、事実に基づいて、真摯に、真理を追い求めるものなんです。でも、この間も、国際会議なんかでお世話になった先生が消えちゃったりして、戻ってきましたけれど。拉致されたりする、もしくは帰ってこなかったりするということが日常茶飯事なところにおいて、日本は手加減をせざるを得ないですよ。それは凌さんに聞いてもそれは学者としての帽子ではないので、中国の学者さん、中国の人の帽子を被っているので、それを我々はしようがないんですよ」
反町キャスター
「しようがないと言っても、歴史認識とか、それを事実というベースに立って、様々な政策や歴史感覚や国際世論におけるアピールをされるのは迷惑を被りますよね?」
三浦氏
「そうですよ。だから、中国という政府が変わらない限り、この国の根幹に我々に勝ったとか、日本人に対して勝ったとか、日本人が最大の敵であったという、その歴史観はもう揺るぎようがないわけですよ。だから、全ての土台にそれがあるから、だから、反日教育せざるを得ないし、愛国者として育てられた人達は日本に来たらびっくりしたりするわけです。そんな人達だったの、結構、親切じゃないとか。だから、しようがないんですよ。だから、我々は中国というものがまともな国ではないということを前提において付き合わなければいけないです。つまり、まともな国というのは、別に国力の問題ではなくて、リーゾンが通じる、理性が通じるということです。理性が通じるかどうかというのは利益が食い違っている場合にでも交渉が可能だということで、少なくとも歴史認識に関しては、交渉は可能ではないというところからスタートしないと」
反町キャスター
「いろんな国との間で、たとえば、歴史的な事実を巡る2国間協議とか、いろいろ行われていることもあるとは思うんですけれども、確かに日韓、日中の間の歴史教育に関する摺合せって、うまくいっていないですよね」
三浦氏
「摺合せなくてもいいと思っているんですよね」
凌氏
「研究者というか、学者ですね。学者、いろんな見方があるわけです。日本だってそうでしょう。それから、当局というか、政府、党。それは党の見解がある。三浦さんは、私は今、中国を代表しているけれども、中国にもいろんな意見がある。ただし、一定のアレを超えると今、言ったような問題とされることはある。それは確かにあるけど、先ほど、言ったように今、中国では学問においてかなり幅が出てきている。先ほど言ったような、国民党に対する正当な、客観的評価をすべきだというのは、20年間でだんだん強くなってきて。何と言うのですか、言論の自由。今、盛んに問題にされていますけれども、言論の自由というのは、基本的には拡大してきている。時々、締まる場合もありますけれどもね。これは中国の今の発展の過程にあって、これは話すと長くなりますけれども、現在、ちょうど中国は大変重要な転換期。最近、私は帰ったんですけれども、これまでの30年間というのはどんどん資本主義化が進んでしまって、もう1度社会主義の理念を呼び戻そうという、そういう転換期にあって、一時的に今、転換期の苦しみだと。だから、これはそういう歴史的な発展のプロセスで見なくてはいけない。今、三浦さんが言ったように、この中国は異質の国、かつて日本も異質の国と言われたこともあります」
反町キャスター
「それはアメリカからね。中国から言われたわけではないです」
凌氏
「ですから、私はこの面は体制の違いと認めたうえで、お互いに相手の国情というものを尊重しながら、認め合って、どうやって交流を深め、良い方向に持っていくか。これしかないです」

『日韓併合』と『先の大戦』
反町キャスター
「金さん、まず8.15が独立解放の日である、光復節であるという前提から聞いていきたいんですよ。日韓併合というのは、韓国においてどういうふうに捉えられているのか。理屈っぽくはあまりしたくはないのだけれども、日韓併合条約の第1条は、こうなっていて、韓国皇帝陛下は韓国全部に関する一切の統治権を完全且永久に日本国皇帝陛下に譲与す。これが双方の完全なる合意のもとに行われたものか。日本の力によって強制的にやられたものか。いろいろ分析はあるでしょう。こういうものを、でも、見る限りにおいて全部とは言いませんよ。当時の韓国、大韓帝国ですよね。大韓帝国の置かれた状況というものは、積極的に日本との併合を選択したものかどうか。こういうところはどうだったのですか?」
金教授
「それこそ歴史的に見ると、それは積極的に選択した勢力が存在をしたのは事実です。いわゆる一心会とか、よく日本で言われますけれど。しかし、その人達が当時、国民という概念がどこまであったのかというのは別として、国家の利益を考えての行動だったのかというよりは、権力闘争の中で、より日本という権力に付こうとしたという勢力として区別されているんです。問題は日韓基本条約。日本でよく言うのは合法的な条約であったと。お互いの合弁であるという考え方ですけれども、韓国では明確に、これは国権の被奪という言葉を使います。被害者として奪われたと。一方的に奪われたという形で」
反町キャスター
「つまり、日韓併合は日本によって強制的にやられたものだということですか?」
金教授
「これは国際法的に、違法であり、無効であると。この話題は、私はこの話は、実は、1965年の日韓基本条約を結ぶ際の、真っ先の話題です。お互いの最初のテーマが、果たして日韓併合条約及びそれ以前も、ずっと実は1894年あたりからいろんな条約があるわけですけれども。いずれにしてもそういったものは無効であると。韓国の政府が正式に主張をしたのは無効であると。日本は、いや、そんなことはないと。あれは有効であると。そこで、最終的には、already null and void、もはや無効であるという有名な文言が出てくるわけです。その韓国の解釈は既に最初から無効であり、今も無効であるという解釈。これが、日本にとって1945年までは有効だったんだけれど、それ以降は無効になったと。いずれにせよ、今となっては無効になったものですけれどもね」
反町キャスター
「日本の事実上の植民地支配に対する反省があるか。あるべきだろうという議論については当然あると思いますよ。そうではなくて、当時の大韓帝国の政府が大日本帝国政府に対して、こういうものに、強制力があったにせよ、なかったことにせよ、この文書に調印したことに対する、当時の大韓帝国政府に対する批判というものは、韓国国内にはありますよね?」
金教授
「当時、韓国を代表する政府というより王朝と一部の勢力ですよ。王朝とはまた別で王朝というのはその過程の中で何度も抵抗を試みるのですが、いずれも成功しない。しかしながら」
反町キャスター
「結んだ、大韓帝国に対する批判というのは、現在の韓国内にはないの?」
金教授
「あります。当然、大きなものがあります。彼らのことを韓国では、いわゆる親日派である、親日売国勢力であると規定をしています。だから、私は個人的には、韓国人として韓国にとっての歴史認識における1番の課題というのは、一方的に、日本は加害者であり、韓国は被害者であると。朝鮮は被害者であるという、そこから出発する。これは十分わかるのですが、結論までもが全てがその論理で、包装されてしまうきらいがある。特にメディアなどでは顕著ですよね。そうではなくて、一方で今、反町さんがおそらく、私に聞きたいのは、当時の朝鮮にもいろんな動きがあったのではないかと」
反町キャスター
「半島情勢ですよ。もし日本とこういう形で併合条約を結ばなければ、ロシアはその時、大韓帝国に対してどういう姿勢をとり得ましたか?中国は、大韓帝国にどういう姿勢を取りえましたか。様々な列強に挟まれて、囲まれた時に、当時の大韓帝国の指導部が日本を選んだという選択肢があるという、この分析というのは間違っていますかという、ここを聞きたいのだと。日本が強制したという部分はあるかもしれない。けれども、時の韓国、大韓帝国政府が列強を見た時に、日本と与するのが得だと判断をしたリスク、可能性はありますか?ここを聞きたいんです」
金教授
「それを単純に見るには、日本の統合過程があまりにも横暴だったんです。韓国の王妃を殺害して、その死体を焼いて、金で一心会を含めて、いろんな政治勢力を買い占めていった。弾圧をしていった。殺していったという、この歴史的事実から見て、韓国が好き好んで、これにやったでしょうというのは、私はそれこそ暴言だと思います。今、反町さんが私に聞いたような、当時の列強の中で、もし朝鮮が日本に併合をされなければ、ロシアにやられていたかもしれないと、中国にやられていたかもしれない、あるいは欧米列強にやられていたかもしれないという発言が、実は1965年の日韓基本条約の協定の中で、日本側の発言として出てきます。これに対して韓国は非常に激怒して、会談が中断されるわけですけれども、そもそも歴史に、もしというものはあまり意味がない。なおかつ当時の朝鮮というのはあまりにも無力で、あまりにも受動的な存在で、状況において、ただ眠っているが如く、その周辺の状況に巻き込まれるしかない存在だと日本が言っているものだと。朝鮮の可能性というものを日本が段階的に踏み躙って、結局は併合という条約まで強制的に結んでおきながら、そういった見立ては成立しないというのが、韓国の歴史認識。当時もそうですし、現在もそうです」
反町キャスター
「日本との併合を選んだというのは?」
金教授
「一部の勢力として、そういう人々がいたのは、それは事実です」
反町キャスター
「教科書にね、今日は中国、韓国、それぞれ拾っているんだけれども、韓国の小学校歴史教科書というところから引っ張ってみると、日本は1910年にわが国を完全に奪ってしまった。以降、日本は朝鮮総督府を置き、憲兵警察を動員して我が民族を弾圧し、農民達が先祖代々受け継いできた土地を、期限内に申告しなかったという理由で奪った。また、わが国民に日本にひたすら仕えさせる植民地教育を行った。こういう…」
金教授
「事実でしょう。弾圧したのも事実だし、土地改革をしたのも事実だし、植民地教育を行った。最終的に同化政策をやったのも事実です。問題は、教育の問題になると、歴史の事実をどう見るかという問題と若干、違うから。私は先ほど、事実と解釈の問題が出てきましたけれども」
反町キャスター
「日韓併合をポジティブに評価してくれなんて思うつもりはないですよ。ただし、韓国においては完全にあれは良いことは1つもなかったと、こういうことですか?」
金教授
「そんなことはないです。日本に対する、反日の世論というのが高まったのは、実は民主化以降ですよね。それまでは政府がそれを相当、抑えていたと。そういう様々な不満が民主化と同時に出てきた。しかし、民主化と同時に、植民地時代に対する学問的な視点や観点というものも多様になってきました。おっしゃりたいのはおそらく植民地受益論ではないけれど、日本が支配したことによって近代化したではないか。もちろん、道路が敷かれたり、近代化したという事実は認めている教科書もあります。しかし、それをもって、植民地の35年間の、先ほど、鞭打つことはなかったと言いましたけれども、関東大震災をはじめ、多くの虐殺があったのは事実です。イギリス人のように、人種差別がなかったとおっしゃるけれども、明確な差別がありました。だから、そういう様々な、想像してみてください。いわゆる国を奪われたわけですから、その歳月を道路や学校や、あるいは蒸気機関で相殺する概念なのか、そもそもと言うと、それは決して相殺されることはない概念だと思います」
反町キャスター
「そこですよね。奪われたというところになっちゃうんですね。それは時の韓国政府、大韓帝国政府と日本政府の間のアレではなくて、日本がいかにも力で全部奪ったという、この前提はそこに立っちゃうと。何をやってもらおうとも、そんなことは…」
金教授
「でも、反町さんの論理だと全ての帝国主義や植民地主義は結局、合法的な契約だということになりますよ」
反町キャスター
「全てとは言いません」

『靖国参拝』反対の理由
秋元キャスター
「ここからは靖国神社について両国の意識を聞いていきたいと思います。こちら靖国神社に祀られています御霊の数ですけれども、靖国神社には246万6000余りの方々の御霊が祀られていますが、日本人ばかりではなくて、およそ2万600人の朝鮮人。およそ2万8000人の台湾人が祀られているとされています。金さん、朝鮮人も靖国神社に祀られているということについては韓国ではどういう意見があるのでしょうか?」
金教授
「当然、分祀の動きというのはありますね。台湾人の団体や韓国の人々もやっていてそもそも非常にわかりにくい概念ではあります。現在2万0636人とおっしゃいましたけれども、これは2万0636柱と言うのですか、なおかつ英霊なんですよね。別にご遺体があるわけでも何でもなく、木で書いてまたどうのこうのと。分祀できる、できないは靖国が決めるということなのですが、私は靖国問題を見る時にこういう宗教的な解釈よりも、これはもう明らかに政治的、外交的問題である。日本国内の政治問題もであり、外交問題でもある。その分、靖国を巡る様々な環境変化があった。靖国も変化したし、日本政府の靖国の関係性も変化したし、それから、中国や韓国の靖国に対する姿勢も変化してきたと。それこそ具体的には、2001年、小泉元総理が公約に挙げたあたりから、お互いのナショナリズムの1つの象徴的な問題として、この靖国がいまだに取り沙汰されているという状況ですよね」
反町キャスター
「韓国の皆さんは、たとえば、いわゆる日本軍に参加した朝鮮人兵士が、戦死してあそこに祀られていることに関しては皆、怒っているのですか?怒っていない人もいるんだろうけれども、どういう気持ちですか?」
金教授
「もちろん、100%とは言いませんけれども、常識的には、基本的にはあの戦争で、多くの若者が命を落としたわけですよね。若者のみならず、朝鮮の犠牲が多くあったと。その犠牲者を戦場に引きずり出した人々が今、靖国にいると。先ほど、1番の変化はまず靖国神社自身であると申し上げたのですが、靖国神社が問題になるのは1979年のA級戦犯の合祀、あのあたりからです。日本側の首相の参拝も、それまで私的参拝とかでいろいろあるんですけれども、いわゆる公式参拝だと花火を打ち上げたのが、中曽根総理大臣で、これは1985年、このあたりから、これが中国の猛烈な反発、韓国も反発をすると。しかし、中国ほどではなかった。しかし、そのあと日韓の間で慰安婦問題なども起こるにつれて、靖国に関しては韓国も積極的に犠牲者とその犠牲を強いた人々が同じところにいる、この神社、まして韓国の人にとってみれば日本の戦争に付き合わされ、戦後の補償もまったくない。これは大島渚監督の『忘れられた皇軍』というドキュメンタリーを見ると、本当に胸に迫るものがあるんですけれども、そういった犠牲に対する反省もないままにA級戦犯がいるところに日本の総理大臣や閣僚が行くというのは、これは許せない、こういう論調ですよね」
三浦氏
「金さんの想いはその通りだと思いますよ。靖国の1 番置き去りにされてきた問題というのは、兵士の犠牲。これは国家に命令されて、国家が本来、守るべき国民の一部であるところである兵士を戦場に送り出して、死ぬという。この行為に対してどう悼むのかという問題があるわけです。ところが、靖国は宗教法人ではないですか。宗教法人は勝手に存在しているものですね。勝手に存在しているものが、A級先般の合祀も勝手に判断するわけですよ。ところが、そこに国家の関与というのが文書という形であるわけです。遺族年金的な問題がかかわるので。つまり、兵士の中で亡くなった方のお名前があったりすると、そのお名前というものが靖国に送られる時は役所から送られるんですよね。そこの微妙な国家と宗教法人である靖国との関係というもの、しかも、慰霊は何故か靖国が権限も握っているし…」
反町キャスター
「そういう手続き論の話ではなく、金さんの言っていた話はどう感じますか?」
三浦氏
「金さんがおっしゃったのは金さんの立場ですから、私は金さんの立場はここで論じる必要はないと思います。総理が(靖国に)行かれるということに関してはA級戦犯に関しては問題だと思います。B級戦犯、C級戦犯に関しては戦争を決定したということではなく、戦争に伴う犯罪ですよね。A級戦犯を合祀したということについて、国家がそれを靖国に丸投げしたまま靖国に権力を握られながらいくという、その形が不健全だと申し上げている。つまり、国有化すればいいんです。宗教法人ではないとすればいい」
金教授
「国家神道の復活ですか?」
三浦氏
「そうではなくて。金さんの言いたいことは、視聴者はわかっていますよ。国家神道の復活とか、それ自体が日本の戦前を想起させるというのはわかっているけれども、私は日本人だから、日本人の犠牲者に対する態度として、これまでの政府は真摯ではなかったと。古賀さんも遺族会の会長として怒ってるんですよ。つまり、自分達兵士の命を粗末に扱った指導者を合祀しておいてなんだという、そこの論点があるわけです。そこの論点を無視して、いきなり外交問題にされること自体、問題があると思っていて。私が言っているのは内閣総理大臣が行くべきかどうかということではなく、まず最初に天皇陛下が行けないような状況をまず解消するということが、日本人としての三浦個人の考えです。それを結果的に達成するには国有化をし、判断を国がせざるを得ない、そこにおける政教分離の原則の問題点を解決する必要がありますけれども、それが宗教法人ではないということになれば、それは義務ではないし、内閣総理大臣が行かないという権利もある。日本の歴史の中に濃厚に存在している、御霊という概念。これは少なくとも直接的なご遺族が存命な限りは論点になり続けるんです。行ってほしい、行きたいという人がある程度いる。そこに新しい施設を持ってくるというのは合意がもたないんです、国内では。だからこそ判断を靖国に投げるべきではなくて、A級戦犯を分祀するという判断も国がやるべきだと言っているんです」
凌氏
「中国は簡単です。戦犯が祀られている。それを分祀すれば、中国は異議なしですよ。タッチしない」

凌星光 日中科学技術文化センター理事長の提言:『敵を作らないこと』
凌氏
「『敵を作らないこと』、侵略をしないこと、覇権を求めないこと、相手の主張に耳を傾ける、それから、友好活動を展開する、相互信頼を醸成する、こういう方面でお互い相互理解を深めていくということだと思います」

金慶珠 東海大学教授の提言:『寛容』
金教授
「我々は歴史を既に共有してしまった。その中で、未来を目指していかなければいけない。地域の平和と安定、そのための寛容さというものを、いつ、どの時よりも私は大事にしたいと思います」

国際政治学者 三浦瑠麗氏の提言:『革新的利益は平和』
三浦氏
「これまで国力を増大しようとする国は自分の革新的利益だと言いながら、軍事的に拡張し、経済的にも拡張してきました。しかし、結果的に国が求めるものというのは国民の幸せであり、富める、豊かな社会をつくっていくことですよね。それからすると、中国にとっても平和が革新的利益のはずであると申し上げたい」